(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068171
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】アンテナ組立体を備えている積層グレージング組立体
(51)【国際特許分類】
B60J 1/00 20060101AFI20240510BHJP
H01Q 1/32 20060101ALI20240510BHJP
H01Q 1/22 20060101ALI20240510BHJP
C03C 27/12 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
B60J1/00 B
H01Q1/32 A
H01Q1/22 C
C03C27/12 M
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023188122
(22)【出願日】2023-11-02
(31)【優先権主張番号】17/980,664
(32)【優先日】2022-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519196036
【氏名又は名称】エージーシー オートモーティヴ アメリカズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】アブドゥルハリム モハメッド
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 貢一
【テーマコード(参考)】
4G061
5J046
5J047
【Fターム(参考)】
4G061AA03
4G061AA04
4G061BA02
4G061CB19
4G061CD03
4G061CD18
5J046AA14
5J046AB06
5J046LA02
5J047AA14
5J047AB06
5J047EC03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】車両に搭載するために好適な、アンテナ組立体を備えている積層グレージング組立体を提供する。
【解決手段】積層グレージング組立体20は、外側ガラス基板22と、内側ガラス基板24と、その間に配置されたポリマー中間層26とを備えている。積層グレージング組立体はさらに、アンテナ組立体28を備え、アンテナ組立体は、ポリマー中間層と、外側ガラス基板及び内側ガラス基板の一方との間に配置されている。アンテナ組立体は、放射素子を支持するフィルム層を含む。フィルム層は、1.45ないし1.55の屈折率を有する透明フィルム層であってよい。放射素子は、導電性ワイヤを含み、導電性ワイヤは、フィルム層上に配置され、無線周波数信号を送信及び/又は受信するために通電されるように構成されている。さらに、積層グレージング組立体は、フィルム層と、外側ガラス基板及び内側ガラス基板の一方との間に配置された接着層を備えてよい。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側表面(P1表面)と、反対側の内側表面(P2表面)とを有する外側ガラス基板と、
内側表面(P3表面)と、反対側の外側表面(P4表面)とを有する内側ガラス基板と、
前記外側ガラス基板の前記P2表面と前記内側ガラス基板の前記P3表面との間に配置されているポリマー中間層と、
前記ポリマー中間層と、前記P2表面と前記P3表面とのうちの一方との間に配置され、100μm以下のアンテナ厚みを有するアンテナ組立体とを備え、
前記アンテナ組立体は、
前記P2表面と前記P3表面とのうちの一方に対面する第1表面と、前記ポリマー中間層に対面する反対側の第2表面とを含む透明フィルム層であり、1.45ないし1.55の屈折率を有する透明フィルム層と、
前記透明フィルム層の前記第1表面と前記第2表面とのうちの一方に配置され、通電されて、無線周波数信号を送信及び/又は受信するように構成されている導電性ワイヤを含む放射素子とを含む、
積層グレージング組立体。
【請求項2】
前記透明フィルム層は、85%以上の透過率を有し、
任意には、以下のこと、即ち、
前記透明フィルム層が、1%未満のヘイズを有することと、
前記透明フィルム層が、三酢酸セルロースと環状オレフィンポリマーとの1つから選択されることと
のうちの1つ以上を有する、請求項1記載の積層グレージング組立体。
【請求項3】
さらに、接着層を備え、前記接着層は、85%以上の透過率を有し、前記接着層は、前記透明フィルム層の前記第1表面と、前記P2表面と前記P3表面とのうちの一方との間に配置され、前記透明フィルム層を前記P2表面と前記P3表面とのうちの一方に結合し、
任意には、以下のこと、即ち、
前記導電性ワイヤが、前記透明フィルム層の前記第1表面に配置され、これにより、前記接着層が、前記透明フィルム層の前記第1表面と、前記P2表面と前記P3表面とのうちの1つとの間で、前記導電性ワイヤを少なくとも部分的にエンキャプシュレートすることと、
積層グレージング組立体が、全表面積を規定し、前記アンテナ組立体が、積層グレージング組立体の前記全表面積よりも小さい部分のみに配置されていることと、
積層グレージング組立体の部分が、SAE J3097/ANSI Z26.1に準拠しSAE J3097/ANSI Z26.1で測定した、耐衝撃性と耐貫通性との両方を示すことと
のうちの1つ以上を有する、請求項1記載の積層グレージング組立体。
【請求項4】
前記導電性ワイヤは、前記透明フィルム層の前記第2表面に配置され、
積層グレージング組立体はさらに、絶縁層を備え、前記絶縁層は、85%以上の透過率を有し、前記透明フィルム層と前記ポリマー中間層の間に配置され、これにより前記絶縁層は、前記透明フィルム層の前記第2表面と前記ポリマー中間層の間で、前記導電性ワイヤを少なくとも部分的にエンキャプシュレートする、請求項1記載の積層グレージング組立体。
【請求項5】
前記導電性ワイヤは、20μm以下のワイヤ太さを有し、
前記導電性ワイヤは、90%以上の開口率を有するメッシュを形成するように配置されている、請求項1記載の積層グレージング組立体。
【請求項6】
積層グレージング組立体は、全表面積を規定し、前記アンテナ組立体は、積層グレージング組立体の前記全表面積よりも小さい部分のみに配置され、
積層グレージング組立体の前記部分は、70%以上の透過率を有する、請求項1記載の積層グレージング組立体。
【請求項7】
さらに、前記内側ガラス基板の前記P4表面に結合され、前記アンテナ組立体に容量結合され、無線周波数信号を送信及び/又は受信するために、前記アンテナ組立体に通電する給電素子を備え、
任意には、以下のこと、即ち、
前記アンテナ組立体が、410MHzから7.125GHzまでの周波数を有する5G無線周波数信号を送信及び/又は受信するように構成されていることと、
前記アンテナ組立体が、24GHzから100GHzまでの周波数を有する5G無線周波数信号を送信及び/又は受信するように構成されていることと
のうちの1つ以上を有する、請求項1記載の積層グレージング組立体。
【請求項8】
前記アンテナ組立体はさらに、結合部分を含み、前記結合部分は、前記導電性ワイヤと前記透明フィルム層の同じ表面に配置され、前記導電性ワイヤに電気的に結合され、
前記P4表面に結合されている前記給電素子は、前記アンテナ組立体の前記結合部分と位置合わせされ、容量結合され、無線周波数信号を送信及び/又は受信するために、前記アンテナ組立体に通電する、請求項7記載の積層グレージング組立体。
【請求項9】
積層グレージング組立体はさらに、不透明帯を備え、前記不透明帯は、前記P2表面と前記P4表面との一方に配置され、積層グレージング組立体の周縁部の周りに少なくとも部分的に延び、
前記アンテナ組立体の前記結合部分は、積層グレージング組立体の前記周縁部に配置され、これにより、積層グレージング組立体を前記P1表面から見た場合に、前記不透明帯が前記給電素子を隠す、請求項8記載の積層グレージング組立体。
【請求項10】
前記アンテナ組立体の前記結合部分は、導電性箔を含む、請求項9記載の積層グレージング組立体。
【請求項11】
外側表面(P1表面)と、反対側の内側表面(P2表面)とを有する外側ガラス基板と、
内側表面(P3表面)と、反対側の外側表面(P4表面)とを有する内側ガラス基板と、
前記外側ガラス基板の前記P2表面と前記内側ガラス基板の前記P3表面との間に配置されているポリマー中間層と、
前記ポリマー中間層と、前記P2表面と前記P3表面とのうちの一方との間に配置されているアンテナ組立体を備え、
前記アンテナ組立体は、
前記P2表面と前記P3表面とのうちの一方に対面する第1表面と、前記ポリマー中間層に対面する反対側の第2表面とを含むフィルム層と、
前記フィルム層の前記第1表面と、前記P2表面と前記P3表面とのうちの一方との間に配置され、前記フィルム層を前記P2表面と前記P3表面とのうちの一方に結合する接着層と、
前記フィルム層の前記第1表面と前記第2表面とのうちの一方に配置され、通電されて、5G無線周波数信号を送信及び/又は受信するように構成されている導電性ワイヤを含む放射素子とを含み、
積層グレージング組立体は、全表面積を規定し、前記アンテナ組立体は、積層グレージング組立体の前記全表面積よりも小さい部分のみに配置され、
前記アンテナ組立体が配置されている積層グレージング組立体の前記部分は、70%以上の透過率を有し、SAE J3097/ANSI Z26.1に準拠しSAE J3097/ANSI Z26.1で測定した、耐衝撃性と耐貫通性との両方を示す、
積層グレージング組立体。
【請求項12】
外側表面(P1表面)と、反対側の内側表面(P2表面)とを有する外側ガラス基板と、
内側表面(P3表面)と、反対側の外側表面(P4表面)とを有する内側ガラス基板と、
前記P2表面と前記P4表面とのうちの一方に配置され、積層グレージング組立体の周縁部の周りに少なくとも部分的に延びる不透明帯と、
前記外側ガラス基板の前記P2表面と前記内側ガラス基板の前記P3表面との間に配置されているポリマー中間層と、
前記ポリマー中間層と、前記P2表面と前記P3表面とのうちの一方との間に配置されているアンテナ組立体とを備え、
前記アンテナ組立体は、
前記P2表面と前記P3表面とのうちの一方に対面する第1表面と、前記ポリマー中間層に対面する反対側の第2表面とを含むフィルム層と、
前記フィルム層の前記第1表面と前記第2表面とのうちの一方に配置され、90%以上の開口率を有するメッシュを形成するように配置されている複数の導電性ワイヤと、
前記メッシュに電気的に結合され、前記導電性ワイヤと前記フィルム層の同じ表面に配置され、積層グレージング組立体の前記周縁部に配置されている結合部分とを含み、
さらに、
前記P4表面に結合され、積層グレージング組立体を前記P1表面から見た場合に、前記不透明帯が給電素子を隠すように、前記結合部分と位置合わせされている給電素子であり、前記アンテナ組立体の前記結合部分に容量結合され、5G無線周波数信号を送信及び/又は受信するために、前記アンテナ組立体に通電する給電素子を備えている、
積層グレージング組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、全体的に、積層グレージング組立体に関し、さらに具体的には、アンテナ組立体を備えている積層グレージング組立体に関する。
【0002】
本出願は、2022年11月4日に出願された米国特許出願第17/980664号の優先権を主張するものであり、その出願は、参照によりその全体がこの文中に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
いくつかの自動車メーカーでは、車両上及び/又は車両内に複数のアンテナを付加することで、車両接続性を拡大しようとする動きが加速している。一つの解決策として、車両のガラスコンポーネント、例えばウィンドシールド(フロントガラス)などの中に、アンテナ組立体を含める開発が行われてきた。しかし、このことの中に、顕著に大きな難問がある。
【0004】
ラミネートウィンドシールドの中に放射素子を搭載した透明フィルムを配置する試みがなされてきた。しかし、このようなアンテナ組立体は、ウィンドシールドを通して見た場合に、可視的であることが多い。実際、これらのアンテナ組立体が透明である場合にも、ラミネートウィンドシールドを通して見た場合に、透明フィルムの縁部がまだ知覚可能である。これに加えて、これらのアンテナ組立体をラミネートウィンドシールドの中に含めると、十分な耐衝撃性や耐貫通性に問題が生じることが多い。さらに、アンテナ組立体の望まれる周波数範囲が増加するにつれて(例えば、5Gセルラーのために)、無線周波数信号を送信及び/又は受信するために、ラミネートウィンドシールドの中に含まれる放射素子に、豊富に(eloquently)かつ効果的に給電することがますます困難になる。
【発明の概要】
【0005】
以上のことから、アンテナ組立体を備えた改良された積層グレージング組立体への必要性が生じている。
【0006】
本開示の一般的な態様では、積層グレージング組立体を提供する。積層グレージング組立体は、外側表面(P1表面)と、反対側の内側表面(P2表面)とを有する外側ガラス基板と;内側表面(P3表面)と、反対側の外側表面(P4表面)とを有する内側ガラス基板と;外側ガラス基板のP2表面と内側ガラス基板のP3表面との間に配置されているポリマー中間層とを備えている。積層グレージング組立体はさらに、ポリマー中間層と、P2表面とP3表面とのうちの一方との間に配置されているアンテナ組立体を備えている。アンテナ組立体は、100μm以下のアンテナ厚みを有し、透明フィルム層と放射素子とを含む。透明フィルム層は、1.45ないし1.55の屈折率を有し、P2表面とP3表面とのうちの一方に対面する第1表面と、ポリマー中間層に対面する反対側の第2表面とを含む。放射素子は、透明フィルム層の第1表面と第2表面とのうちの一方に配置され、通電されて、無線周波数信号を送信及び/又は受信するように構成されている導電性ワイヤを含む。
【0007】
本開示の別の一般的な態様では、積層グレージング組立体を提供する。積層グレージング組立体は、外側表面(P1表面)と、反対側の内側表面(P2表面)とを有する外側ガラス基板と;内側表面(P3表面)と、反対側の外側表面(P4表面)とを有する内側ガラス基板と;外側ガラス基板のP2表面と内側ガラス基板のP3表面との間に配置されているポリマー中間層とを備えている。積層グレージング組立体はさらに、ポリマー中間層と、P2表面とP3表面とのうちの一方との間に配置されているアンテナ組立体を備えている。アンテナ組立体は、フィルム層と、接着層と、放射素子とを含む。フィルム層は、P2表面とP3表面とのうちの一方に対面する第1表面と、ポリマー中間層に対面する反対側の第2表面とを含む。放射素子は、フィルム層の第1表面と第2表面とのうちの一方に配置され、通電されて、5G無線周波数信号を送信及び/又は受信するように構成されている導電性ワイヤを含む。接着層は、フィルム層の第1表面と、P2表面とP3表面とのうちの一方との間に配置され、フィルム層をP2表面とP3表面とのうちの一方に結合する。積層グレージング組立体は、全表面積を規定し、アンテナ組立体は、積層グレージング組立体の全表面積よりも小さい部分のみに配置されている。ここで、アンテナ組立体が配置されている積層グレージング組立体の部分は、70%以上の透過率を有し、SAE J3097/ANSI Z26.1に準拠しSAE J3097/ANSI Z26.1で測定した、耐衝撃性と耐貫通性とを示す。
【0008】
本開示のさらに別の一般的な態様では、積層グレージング組立体を提供する。積層グレージング組立体は、外側表面(P1表面)と、反対側の内側表面(P2表面)とを有する外側ガラス基板と;P2表面とP4表面とのうちの一方に配置され、積層グレージング組立体の周縁部の周りに少なくとも部分的に延びる不透明帯と;内側表面(P3表面)と、反対側の外側表面(P4表面)とを有する内側ガラス基板と;外側ガラス基板のP2表面と内側ガラス基板のP3表面との間に配置されているポリマー中間層とを備えている。積層グレージング組立体はさらに、ポリマー中間層と、P2表面とP3表面とのうちの一方との間に配置されているアンテナ組立体を備えている。アンテナ組立体はさらに、P3表面に対面する第1表面と、ポリマー中間層に対面する反対側の第2表面とを含むフィルム層を含む。アンテナ組立体はさらに、フィルム層の第1表面と第2表面とのうちの一方に配置され、90%以上の開口率を有するメッシュを形成するように配置されている複数の導電性ワイヤを含む。アンテナ組立体はさらに、メッシュに電気的に結合され、導電性ワイヤとフィルム層の同じ表面に配置され、積層グレージング組立体の周縁部に配置されている結合部分を含む。これに加えて、積層グレージング組立体はさらに、給電素子を備え、給電素子は、P4表面に結合され、積層グレージング組立体をP1表面から見た場合に、不透明帯が給電素子を隠すように、結合部分と位置合わせされ、給電素子は、アンテナ組立体の結合部分に容量結合され、5G無線周波数信号を送信及び/又は受信するために、アンテナ組立体に通電する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
添付の図面との関連で考慮すれば、以下の詳細な説明を参照することによって、本開示の利点が一層よく理解されるようになるので、本開示の利点は容易に理解される。
【0010】
【
図1A】アンテナ組立体の一例を備えている積層グレージング組立体を含む車両の部分正面図である。
【
図2A】外側ガラス基板と、内側ガラス基板と、外側ガラス基板と内側ガラス基板との間に配置されたポリマー中間層と、ポリマー中間層と外側ガラス基板との間に配置されたアンテナ組立体とを備え、2A-2A線に沿って得られた
図1Aの積層グレージング組立体の一例の断面概略図である。
【
図2B】フィルム層の第2表面に配置された導電性ワイヤを備えている積層グレージング組立体の拡大断面概略図を示す
図2Aの詳細図である。
【
図3A】ポリマー中間層と外側ガラス基板との間に配置されたアンテナ組立体を備え、3A-3A線に沿って得られた
図1Aの積層グレージング組立体の別の例の断面概略図である。
【
図3B】フィルム層の第1表面に配置された導電性ワイヤを備えている積層グレージング組立体の拡大断面概略図を示す
図3Aの詳細図である。
【
図4A】ポリマー中間層と内側ガラス基板との間に配置されたアンテナ組立体を備え、4A-4A線に沿って得られた
図1Aの積層グレージング組立体のさらに別の例の断面概略図である。
【
図4B】フィルム層の第2表面に配置された導電性ワイヤを備えている積層グレージング組立体の拡大断面概略図を示す
図4Aの詳細図である。
【
図5A】ポリマー中間層と内側ガラス基板との間に配置されたアンテナ組立体を備え、5A-5A線に沿って得られた
図1Aの積層グレージング組立体の追加例の断面概略図である。
【
図5B】フィルム層の第1表面に配置された導電性ワイヤを備えている積層グレージング組立体の拡大断面概略図を示す
図5Aの詳細図である。
【
図6A】ポリマー中間層と内側ガラス基板との間に配置されたアンテナ組立体を備え、6A-6A線に沿って得られた
図1Aの積層グレージング組立体のなお別の例の断面概略図である。
【
図6B】フィルム層の第2表面に配置された導電性ワイヤと、フィルム層と内側ガラス基板との間に配置された接着層とを備えている積層グレージング組立体の拡大断面概略図を示す
図6Aの詳細図である。
【
図7A】ポリマー中間層と内側ガラス基板との間に配置されたアンテナ組立体を備え、7A-7A線に沿って得られた
図1Aの積層グレージング組立体のさらに他の例の断面概略図である。
【
図7B】フィルム層の第1表面に配置された導電性ワイヤと、フィルム層と内側ガラス基板との間に配置された接着層とを備えている積層グレージング組立体の拡大断面概略図を示す
図7Aの詳細図である。
【
図8A】ポリマー中間層と内側ガラス基板との間に配置されたアンテナ組立体を備え、8A-8A線に沿って得られた
図1Aの積層グレージング組立体の別の例の断面概略図である。
【
図8B】フィルム層の第2表面に配置された導電性ワイヤと、ポリマー中間層とフィルム層との間に配置された絶縁層とを備えている積層グレージング組立体の拡大断面概略図を示す
図8Aの詳細図である。
【
図9A】ポリマー中間層と内側ガラス基板との間に配置されたアンテナ組立体を備え、9A-9A線に沿って得られた
図1Aの積層グレージング組立体のさらに別の例の断面概略図である。
【
図9B】フィルム層の第2表面に配置された導電性ワイヤと、フィルム層と内側ガラス基板との間に配置された接着層と、ポリマー中間層とフィルム層との間に配置された絶縁層とを備えている、積層グレージング組立体の拡大断面概略図を示す
図9Aの詳細図である。
【
図10A】ポリマー中間層と内側ガラス基板との間に配置されたアンテナ組立体と、アンテナ組立体に通電するために内側ガラス基板に結合された給電素子とを備え、10A-10A線に沿って得られた
図1Aの積層グレージング組立体の断面概略図である。
【
図10B】フィルム層の第2表面に配置された導電性ワイヤを備えている積層グレージング組立体の拡大断面概略図を示す
図10Aの詳細図である。
【
図11A】結合部分を含むアンテナ組立体の他の例を備えている積層グレージング組立体を含む車両の部分正面図である。
【
図12A】ポリマー中間層と内側ガラス基板との間に配置された結合部分を含むアンテナ組立体を備え、12A-12A線に沿って得られた
図11Aの積層グレージング組立体の断面概略図である。
【
図12B】導電性ワイヤと、フィルム層の第2表面に配置された結合部分とを備えている、積層グレージング組立体の拡大断面概略図を示す
図12Aの詳細図である。
【
図13】不透明帯とアンテナ組立体とを備えている積層グレージング組立体を含む車両の部分正面図である。
【
図14A】14A-14A線に沿って得られた
図13の積層グレージング組立体の断面概略図であり、外側ガラス基板に配置された不透明帯と、内側ガラス基板とポリマー中間層との間に配置されたアンテナ組立体とを示す。
【
図14B】導電性ワイヤと、フィルム層の第2表面に配置された結合部分とを備えている積層グレージング組立体の拡大断面概略図を示す
図14Aの詳細図である。
【
図15A】15A-15A線に沿って得られた
図13の積層グレージング組立体の断面概略図であり、外側ガラス基板に配置された不透明帯と、外側ガラス基板とポリマー中間層との間に配置されたアンテナ組立体とを示す。
【
図15B】導電性ワイヤと、フィルム層の第2表面に配置された結合部分とを備えている積層グレージング組立体の拡大断面概略図を示す
図15Aの詳細図である。
【
図16A】16A-16A線に沿って得られた
図13の積層グレージング組立体の断面概略図であり、内側ガラス基板に配置された不透明帯と、外側ガラス基板とポリマー中間層との間に配置されたアンテナ組立体とを示す。
【
図16B】フィルム層の第2表面に配置された導電性ワイヤを備えている積層グレージング組立体の拡大断面概略図を示す
図16Aの詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図面を参照すると、さまざまな図で、同様の参照数字は、同様の又は同一のコンポーネントを識別するために使用され、
図1は、積層グレージング組立体20を示す。積層グレージング組立体20は、フロントガラス、サイドウィンドウ、クォーターウィンドウ、リアウィンドウなどのような車両18のウィンドウとして自動車の文脈で使用してよい。もちろん、積層グレージング組立体20は、自動車の文脈以外であっても使用されてよいことを理解するものとする。
【0012】
積層グレージング組立体20は、外側ガラス基板22と内側ガラス基板24とを含む。
図2Aは、2A-2A線に沿って得られた
図1の積層グレージング組立体20の断面概略図の一例を示す。外側ガラス基板22は、外側表面(P1表面)と、反対側の内側表面(P2表面)とを含む。同様に、内側ガラス基板24は、内側表面(P3表面)と、反対側の外側表面(P4表面)とを含む。一例では、P4表面は、車両18の中に設置されたときに車両18の内部に面するように配置されてよく、P1表面は、車両18の中に設置されたときに車両18から外側に面するように配置されてよい。さらに積層グレージング組立体20は、外側ガラス基板22のP2表面と内側ガラス基板24のP3表面との間に配置されたポリマー中間層26と、ポリマー中間層26と内側ガラス基板24のP3表面との間に配置されたアンテナ組立体28とを備えている。
【0013】
外側ガラス基板22と内側ガラス基板24との両方は、任意の適切なガラス製造プロセスを使用して製造されてよい。ガラス製造プロセスは、フロート法を含むが、それに限定されない。外側ガラス基板22と内側ガラス基板24とは、任意の適切なガラス組成物を有してよい。これは、ソーダ石灰ガラス、アルミノシリケートガラス、ホウ素シリケートガラス、ホウ素アルミノシリケートガラスなどを含むが、それらに限定されない。外側ガラス基板22と内側ガラス基板24とは、同一又は異なるガラス組成物を有してよいことが理解されるものとする。
【0014】
外側ガラス基板22と内側ガラス基板24とは、任意の適切なガラス曲げプロセスを使用して曲げてよい。ガラス曲げプロセスは、プレス曲げ、重力曲げ(即ち、たるみ曲げ)、ロール成形、又は冷間曲げを含むが、それらに限定されない。外側ガラス基板22と内側ガラス基板24とは、所望の用途に適した任意の幾何学形状に曲げてよい。外側ガラス基板22と内側ガラス基板24とは、一緒に曲げてよく(即ち、互いに隣接して配置された状態で曲げてよく)、又は、別々に曲げてよいことが理解されるものとする。
【0015】
いくつかの例では、外側ガラス基板22と内側ガラス基板24とは透明である。この文脈で、「透明」という用語は、「実質的に透明」とも呼ばれるものであり、予め定義された可視光範囲の中の光の透過の70%以上がそれを通過することを可能にする材料を指す。特に断りのない限り、所定の可視光領域とは、人間の目が見ることができる電磁スペクトルのセグメントである。さらに簡単に言えば、この波長の範囲は可視光と呼ばれる。典型的には、人間の目は約380nmから約780nmまでの波長を検出することができ、従って、本明細書で定義される所定の可視光線範囲は、特に断りのない限り、約380nmから約780nmまでの光の波長を指す。いくつかの例では、外側ガラス基板22と内側ガラス基板24とは、外側ガラス基板22と内側ガラス基板24との透過率を変化させるさまざまな添加剤を含んでよい。例えば、添加剤は、外側ガラス基板22と内側ガラス基板24とを、依然として上述のように「透明」又は「実質的に透明」であるように維持しながら、さまざまなレベルの色調(tint)又は彩色(coloration)を与えてよい。
【0016】
他の例では、外側ガラス基板22と内側ガラス基板24とのうちの一方又は両方が、上述のように透明ではない。例えば、積層グレージング組立体20がプライバシーガラスである場合に、積層グレージング組立体20の透明性は実質的に減少される。従って、積層グレージング組立体20は、所定の波長範囲で70%未満の光透過率、例えば、0を超える値から70%までの光透過率を可能にする。
【0017】
外側ガラス基板22は厚みT1を有し、内側ガラス基板24は厚みT2を有する。外側ガラス基板22と内側ガラス基板24とのそれぞれの厚みT1,T2は、用途に適した任意の厚みであってよい。例えば、外側ガラス基板22と内側ガラス基板24とのそれぞれの厚みT1,T2は、約0.3mmないし約4.1mmであってよい。さらに具体的には、厚みT1,T2はそれぞれ、約0.3mm,0.4mm,0.5mm,0.6mm,0.7mm,0.8mm,0.9mm,1.0mm,1.1mm,1.2mm,1.3mm,1.4mm,1.5mm,1.6mm,1.7mm,1.8mm,1.9mm,2.0mm,2.1mm,2.2mm,2.3mm,2.4mm,2.5mm,2.6mm,2.7mm,2.8mm,2.9mm,3.0mm,3.1mm,3.2mm,3.3mm,3.4mm,3.5mm,3.6mm,3.7mm,3.8mm,3.9mm,4.0mm,又は4.1mmであってよい。厚みT1と厚みT2とは同じであってよく、又は異なってよいことが理解されるものとする。一例では、外側ガラス基板22と内側ガラス基板24とは同じ厚みを有し(即ち、T1はT2に等しい)、積層グレージング組立体20は「対称」な積層体とみなされる。しかしながら、別の例では、外側ガラス基板22と内側ガラス基板24とは異なる厚みを有し(即ち、T1はT2に等しくない)、積層グレージング組立体20は「非対称」な積層体とみなされる。上記の例示的なT1とT2との値の全ての組み合わせ、及びその間の全ての端数値が想定される。
【0018】
ポリマー中間層26は、外側ガラス基板22と内側ガラス基板24とを接着し、これにより、積層グレージング組立体20に衝撃又は破損が生じた場合に、ポリマー中間層26が外側ガラス基板22及び/又は内側ガラス基板24を保持するようにする。ポリマー中間層26は、ポリビニルブチラール(PVB)、エチレンビニルアセテート(EVA)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)などのポリマー又は熱可塑性樹脂を含む。ポリマー中間層26を実施するための他の適切な材料には、光学的ヘイズ、ガラスへの接着性、及び構造剛性に関する必要な性能特性を提供する材料を利用してよい。外側ガラス基板22及び内側ガラス基板24と同様に、ポリマー中間層26はさらに、光に対して実質的に透明であるか、又は違った形態で透明(完全に透明)である。従って、外側ガラス基板22と内側ガラス基板24との間にポリマー中間層26を備えている積層グレージング組立体20はさらに、光に対して実質的に透明であるか、又は違った形態で透明である。ポリマー中間層26をポリマー中間層26に隣接する各層に接着して積層グレージング組立体20を形成する積層プロセスに供する前は、ポリマー中間層26は、透明度がさらに低くてよいことが理解されるものとする。
【0019】
図2Aないし5Bを参照すると、アンテナ組立体28は、概括的に、ポリマー中間層26と、外側ガラス基板22のP2表面と内側ガラス基板24のP3表面との一方との間に配置されている。換言すれば、アンテナ組立体28は、P2表面とポリマー中間層26とのみの間、P3表面とポリマー中間層26とのみの間に配置されてよい。又は、アンテナ組立体28は、放射素子32をそれぞれが支持する2つのフィルム層30をそれぞれ含んでよい。その一方のフィルム層30は、P2表面とポリマー中間層26との間に配置され、他方のフィルム層30は、P3表面とポリマー中間層26との間に配置されている。
図2Aないし3Bは、ポリマー中間層26と、外側ガラス基板22のP2表面との間に配置されているアンテナ組立体28を示す。
図4Aないし5Bは、ポリマー中間層26と、内側ガラス基板24のP3表面との間に配置されているアンテナ組立体28を示す。従って、上述したいずれの配置でも、ポリマー中間層26は、アンテナ組立体28を少なくとも部分的にエンキャプシュレート(樹脂封止)してよく、アンテナ組立体28を積層グレージング組立体20の中(即ち、外側ガラス基板22のP2表面と内側ガラス基板24のP3表面との間)に保持してよい。
【0020】
アンテナ組立体28は、放射素子32(後述)を支持するフィルム層30を含む。フィルム層30は、第1表面30Aと、反対側の第2表面30Bとを含む。
図2Aないし3Bを参照すると、アンテナ組立体28がポリマー中間層26と外側ガラス基板22のP2表面との間に配置されている例では、フィルム層30が外側ガラス基板22とポリマー中間層26との間に配置されるように、第1表面30Aは、外側ガラス基板22のP2表面に対面し、第2表面30Bは、ポリマー中間層26に対面する。
図4Aないし5Bを参照すると、アンテナ組立体28がポリマー中間層26と内側ガラス基板24のP3表面との間に配置されている例では、フィルム層30が内側ガラス基板24とポリマー中間層26との間に配置されるように、第1表面30Aは、内側ガラス基板24のP3表面に対面し、第2表面30Bは、ポリマー中間層26に対面する。フィルム層は、膜厚FTを有する。必須ではないが、膜厚FTは、100μm以下,90μm以下,80μm以下,70μm以下,60μm以下,50μm以下,40μm以下,30μm以下,又は20μm以下(又は10μm以下)であってよい。
【0021】
引き続き
図2Aないし5Bを参照すると、いくつかの実施形態では、フィルム層30は透明であり、透明フィルム層30と呼ばれる。透明フィルム層30は、85%以上、90%以上、又は95%以上の透過率を有してよい。透過率を測定するための1つの好適な技術は、ASTM D1003(2021)に規定されたものであり、このASTM D1003は、「Standard Test Method for Haze and Luminous Transmittance of Transparent Plastics」と題され、その全体が参照によりこの文中に組み込まれる。ASTM D1003は、概括的に、光が試験片を通過する際の光の挙動を観察するために、ヘイズメーター又は分光光度計を使用して、透過率を測定することができると規定している。また、透明フィルム層30は、1%以下、0.5%以下、0.25%以下、又は0.1%以下のヘイズを有してよい。さらに、ヘイズを測定するための1つの好適な技術は、ASTM D1003に規定されている。ASTM D1003はさらに、概括的に、光が試験片を通過する際の光の挙動を観察するために、ヘイズメーター又は分光光度計を使用して、ヘイズを測定することができると規定している。
【0022】
さらに、透明フィルムを積層グレージング組立体内に配置する場合に、積層グレージング組立体20を通して見た場合に透明フィルムの縁部が人間の目に比較的知覚可能でないように、ガラスと同様の屈折率を有する材料を選択することが望ましい。従って、一実施形態では、透明フィルム層30は、1.45ないし1.55の屈折率を有する。その結果、透明フィルム層30の屈折率は、外側ガラス基板22、内側ガラス基板24、及びポリマー中間層26の屈折率に比較的近い。例えば、外側ガラス基板22と内側ガラス基板24とは、ソーダ石灰ガラスの既知の屈折率(約1.5)と一致する屈折率を有してよい。ポリマー中間層26は、例えばポリビニルブチラールの既知の屈折率(約1.5)と一致する屈折率を有してよい。従って、透明フィルム層30の1.45ないし1.55の屈折率は、外側ガラス基板22、内側ガラス基板24、及びポリマー中間層26の屈折率とほぼ「合致(match)」する。非限定的な例として、透明フィルム層30は、外側ガラス基板22、内側ガラス基板24、及び/又はポリマー中間層26の(それに加算/減算して)、0.05以内(即ち、±0.05)、0.03以内(即ち、±0.03)、又は0.01以内(即ち、±0.01)の屈折率を有してよい。屈折率を測定するための1つの好適な技術は、ASTM D542(2022)に規定されたものであり、このASTM D542は、「Standard Test Method for Index of Refraction of Transparent Organic Plastics」と題され、参照によりその全体がこの文中に組み込まれる。ASTM D542は、概括的には、光が試験片を通過する際の光の挙動を観察するために、屈折率計を使用して、屈折率を測定することができると規定している。
【0023】
他の実施形態では、外側ガラス基板22と内側ガラス基板24とは、約1.5よりも低い屈折率を有してよい。例えば、ホウ素シリケートガラスの屈折率は、約1.47であることが知られている。他のガラス組成物は、さらに低い屈折率を有してよい。同様に、ポリマー中間層26は、約1.5よりも低い屈折率を有してよい。これらの例では、透明フィルム層30は、外側ガラス基板22、内側ガラス基板24、及び/又はポリマー中間層26の屈折率に合致させて、外側ガラス基板22、内側ガラス基板24、及び/又はポリマー中間層26の(それに加算/減算して)、0.05以内(即ち、±0.05)、0.03以内(即ち、±0.03)、又は0.01以内(即ち、±0.01)の屈折率を有してよいことが、さらに理解されるものとする。
【0024】
透明フィルム層30の屈折率を、外側ガラス基板22、内側ガラス基板24及びポリマー中間層26の屈折率に合致させた結果、積層グレージング組立体20を通して見た場合に、透明フィルム層30の縁部は、人間の目に比較的知覚可能でなくなる。従って、上記の特性により、透明フィルム層30は、積層グレージング組立体20を通して見た場合に、人間の目には十分に知覚不能である。透明フィルム層30は、三酢酸セルロース(TAC)及び環状オレフィンポリマー(COP)を含むが、これらに限定されない、上記の特性を有する任意の適切な材料を含んでよい。
【0025】
他の実施形態では、フィルム層30は、放射素子32を支持するキャリアフィルム30である。これらの実施形態では、キャリアフィルム30は、透明フィルム層30の文脈で上述した屈折率、透過率、及びヘイズ値を、必ずしも有さない。しかしながら、用途によっては、キャリアフィルム30は、ある程度の透明性と、透明フィルム層30の文脈で上述したうちで1つ以上の特性とを有してよいことを理解するものとする。キャリアフィルムに対して任意の適切な材料が、想定される。
【0026】
放射素子32は、フィルム層30の第1表面30Aと第2表面30Bとのうちの一方に配置された導電性ワイヤ34を含む。例えば、
図3B及び5Bは、第1表面30Aに配置された導電性ワイヤ34を示し、
図2B及び4Bは、第2表面30Bに配置された導電性ワイヤ34を示す。好ましくは、導電性ワイヤ34は、第1表面30A又は第2表面30Bの一方のみに配置されている。しかしながら、導電性ワイヤ34は、第1表面30Aと第2表面30Bとの両方に配置されてよいことを、理解するものとする。導電性ワイヤ34は、ワイヤ太さWTを有する。必須ではないが、多くの実施形態では、ワイヤ太さWTは20μm以下である。例えば、導電性ワイヤ34は、ワイヤ太さWTを規定する円形断面を有してよく、20μm以下の直径を有してよい。別の例では、導電性ワイヤ34は、ワイヤ太さWTを規定する矩形断面を有してよく、20μm以下の高さ及び/又は幅を有してよい。従って、従来のアンテナ組立体に使用される従来の導電性ワイヤと比較して導電性ワイヤ34の厚み(太さ)が比較的薄いため、放射素子32は、積層グレージング組立体20を通して見たとき、人間の目に実質的に知覚不能であることが可能である。このように、特定の実施形態では、透明フィルム層30と放射素子32との両方が実質的に透明であるため、アンテナ組立体28は全体として実質的に透明であることが可能である。例えば、積層グレージング組立体20は、全表面積を規定してよく、アンテナ組立体28は、全表面積よりも小さい(少ない)積層グレージング組立体20の部分Pのみに配置されてよい。積層グレージング組立体20の部分Pは、70%以上の透過率を有してよい。積層グレージング組立体20の透過率を測定するための1つの好適な技術は、ISO13837(2021)に規定されたものであり、このISO13837は、「Road vehicles-Safety glazing materials-Method for the determination of solar transmittance」と題され、その全体が参照によりこの文中に組み込まれる。概括的には、ISO13837は、光が積層グレージング組立体を通過する際の光の挙動を観察するために、分光光度計を使用して積層グレージング組立体の透過率を測定することができると規定している。
【0027】
アンテナ組立体28は、アンテナ厚みAT1を有する。アンテナ厚みAT1は、フィルム層30の膜厚FTと、放射素子32を規定する導電性ワイヤ34のワイヤ太さWTとの累積厚みとして定義される。いくつかの実施形態では、アンテナ厚みAT1は100μm以下である。例えば、アンテナ厚みAT1は、100μm以下,90μm以下,80μm以下,70μm以下,60μm以下,50μm以下,25μm以下,又は10μm以下であってよい。有利なこととして、ポリマー中間層26に対してアンテナ厚みAT1が薄い(小さい)ことにより、アンテナ組立体28を受けるためにポリマー中間層26に空隙をカットする必要がなく、アンテナ組立体28が積層グレージング組立体20の中に含められることを可能にする。言い換えれば、ポリマー中間層26は、アンテナ組立体28を積層グレージング組立体20の中にたわませて収容するのに十分な可撓性と圧縮性を有する。これにより、アンテナ組立体28を受け入れるために、ポリマー中間層26に空隙をカットする必要がないようにする。
【0028】
放射素子32は、周波数信号を送信及び/又は受信するために通電されるように構成されている。換言すれば、導電性ワイヤ34は、無線周波数信号を送信及び/又は受信するための任意の適切な構造を有する放射素子32を規定する。その任意の適切な構造は、モノポールアンテナ、ダイポールアンテナ、パッチアンテナ、スロットアンテナ、ビバルディアンテナ、円錐アンテナ、球根状アンテナ、ホーンアンテナなどを含むが、これらに限定されない。さらに、放射素子32は、多数の標準周波数のいずれかの範囲内で、無線周波数信号を送信及び/又は受信するように構成されてよい。その標準周波数の範囲は、振幅変調(AM)、周波数変調(FM)、デジタル音声放送(DAB)、リモートキーレスエントリー(RKE)、デジタルテレビ(DTV)、全地球測位システム(GPS)、2Gセルラー、3Gセルラー、及び4Gセルラーを含むが、これらに限定されない。放射素子32はまた、410MHzから7.125GHzまでの周波数を有する低帯域及び中帯域の5G無線周波数信号、また、24GHzから100GHzまでの周波数を有するミリ波の5G無線周波数信号を送信及び/又は受信するように構成されてよい。
【0029】
図1Bを再び参照すると、導電性ワイヤ34は、メッシュ36を形成するように配置されてよい。例えば、メッシュ36は、導電性ワイヤ34の格子によって規定されてよい。導電性ワイヤ34は、互いにスペースをおいて配置され、メッシュ36を規定するように交差する。メッシュ36で、導電性ワイヤ34は、相互に対して角度αで配置されている。角度αは、導電性ワイヤ34が互いに直交するように約90度であってよいし、又は角度αは、斜角であってよい。さらに、導電性ワイヤ34は、ピッチ幅PWで互いにスペースをおいてよい。メッシュ36を規定する他のパターンとしては、ハニカムパターンを含むことが想定されるが、これに限定されない。メッシュ36はまた、開口38を各導電性ワイヤ34の間に画定する。メッシュ36の開口率(即ち、導電性ワイヤ34に対する開口38の面積比)は、90%以上であってよい。導電性ワイヤ34は、適切な太さを有し、90%以上の開口率を有するメッシュ36を規定するために任意の適切な方式で配置されてよい。例えば、ワイヤのワイヤ太さWTは、20μm以下,15μm以下,10μm以下,8μm以下,6μm以下,4μm以下,又は2μm以下であってよい。さらに、メッシュ36のピッチ幅PWは、800μm以下,700μm以下,600μm以下,500μm以下,400μm以下,300μm以下,200μm以下,又は100μm以下であってよい。上記の例示的な、ワイヤ太さWTとピッチ幅PWとの値の全ての組み合わせ、及びその間の全ての端数値が、想定される。最終的に、メッシュ36は、同様の幾何学形状を有する固体金属箔と同等の放射特性を、放射素子32が有するように設計されてよい。さらに、メッシュ36の開口率が高いため、メッシュ36は、積層グレージング組立体20を通して人間の目で見た場合に、実質的に知覚不能であることが可能である。このように、いくつかの実施形態では、透明フィルム層30と、メッシュ36を含む放射素子32との両方が実質的に透明であるため、アンテナ組立体28は全体として、積層グレージング組立体20を通して見た場合に、実質的に透明である。
【0030】
図6Aないし10Bは、積層グレージング組立体20の多数の例を示し、これは、アンテナ組立体28が、ポリマー中間層26と内側ガラス基板24のP3表面との間に配置されている。アンテナ組立体28が、代わりにポリマー中間層26と外側ガラス基板22のP2表面との間に配置されている例では、
図6Aないし10Bに示す構成は実質的に同じ構造を有するが、代わりに、内側ガラス基板24のP3表面に対して配置されるということが理解されるものとする。
【0031】
いくつかの実施形態では、積層グレージング組立体20は接着層40を備えている。接着層40は、フィルム層30の第1表面30Aと、P2表面とP3表面とのうちの一方との間に配置されて、透明フィルム層30をP2表面とP3表面とのうちの一方に結合してよい。換言すれば、
図6Aないし7Bに示すように、アンテナ組立体28がポリマー中間層26とP3表面との間に配置されている例では、接着層40は、フィルム層30の第1表面30AとP3表面との間に配置され、フィルム層30をP3表面に結合する。同様に、図示しないが、アンテナ組立体28がポリマー中間層26と外側ガラス基板22のP2表面との間に配置されている例では、接着層40は、フィルム層30の第1表面30AとP2表面との間に配置され、フィルム層30をP2表面に結合する。接着層40は、(例えば、ASTM D1003に従って測定して)85%以上、90%以上、又は95%以上の透過率を有してよい。接着層40は、接着剤厚みAT2を有する。必須ではないが、接着剤厚みAT2は、50μm以下,45μm以下,40μm以下,35μm以下,30μm以下,25μm以下,20μm以下,15μm以下,10μm以下,又は5μm以下であってよい。接着層40は、アクリル、シリコーン、ウレタンを含むが、これらに限定されない任意の適切な材料から構成してよい。
【0032】
図6Bに最もよく示されるように、アンテナ組立体28がポリマー中間層26とP3表面との間に配置され、導電性ワイヤ34がフィルム層30の第2表面30Bに配置されている例では、接着層40は、フィルム層30の第1表面30Aを内側ガラス基板24のP3表面に結合し、ポリマー中間層26は、導電性ワイヤ34を少なくとも部分的にエンキャプシュレートする。
図7Bを参照すると、アンテナ組立体28がポリマー中間層26とP3表面との間に配置され、導電性ワイヤ34がフィルム層30の第1表面30Aに配置されている例では、接着層40は、フィルム層30の第1表面30Aを内側ガラス基板24のP3表面に結合し、フィルム層30の第1表面30Aと内側ガラス基板24のP3表面との間で導電性ワイヤ34を少なくとも部分的にエンキャプシュレートする。同様に、図示しないが、アンテナ組立体28がポリマー中間層26とP2表面との間に配置され、導電性ワイヤ34がフィルム層30の第2表面30Bに配置されている例では、接着層40は、フィルム層30の第1表面30AをP2表面に結合し、ポリマー中間層26は、導電性ワイヤ34を少なくとも部分的にエンキャプシュレートする。さらに、これも図示していないが、アンテナ組立体28がポリマー中間層26とP2表面との間に配置され、導電性ワイヤ34がフィルム層30の第1表面30Aに配置されている例では、接着層40は、フィルム層30の第1表面30AをP2表面に結合し、フィルム層30の第1表面30AとP2表面との間で導電性ワイヤ34を少なくとも部分的にエンキャプシュレートする。
【0033】
有利なこととして、フィルム層30と、P2表面とP3表面とのうちの一方との間に接着層40を配置することにより、積層グレージング組立体20の組み立てプロセスを容易にすることができる。例えば、ポリマー中間層26が外側ガラス基板22と内側ガラス基板24との間に配置され、その後積層される前に、フィルム層30は、接着層40を介してP2表面とP3表面とのうちの一方に結合されてよい。従って、接着層40は、積層プロセスの間、フィルム層30を本来の位置に維持する。
【0034】
さらに有利なこととして、フィルム層30と、P2表面とP3表面とのうちの一方との間に接着層40を配置することにより、フィルム層30と、P2表面とP3表面とのうちの一方との接着性が向上する。従って、接着層40を含む構成では、接着層40とポリマー中間層26とは、積層グレージング組立体20の衝撃又は破損の際に、外側ガラス基板22及び/又は内側ガラス基板24を保持するように協働する。このことは、アンテナ組立体28を備えている積層グレージング組立体20の部分Pに、特に重要である。上述したように、従来の積層グレージング組立体にフィルム層を配置する従来の配置は、フィルム層を備えた従来の積層グレージング組立体の領域の中で、ガラスの十分な保持を有することに問題がある。しかしながら、P2表面とP3表面とのうちの一方とアンテナ組立体28との間で、積層グレージング組立体20に接着層40を追加することにより、衝撃又は破損の際に外側ガラス基板22及び/又は内側ガラス基板24に対して、十分な保持を与える。これにより、アンテナ組立体28を備えている積層グレージング組立体20の部分Pが、SAE J3097/ANSI Z26.1に準拠しSAE J3097/ANSI Z26.1で測定した、耐衝撃性と耐貫通性との両方を示すようになる。
【0035】
SAE J3097/ANSI Z26.1(2019)は「Standard for Safety Glazing Materials for Glazing Motor Vehicles and Motor Vehicle Equipment Operating on Land Highways」と題され、参照によりその全体がこの文中に組み込まれる。概括的には、SAE J3097/ANSI Z26.1は、さまざまな重さの鋼球をさまざまな高さから積層グレージング組立体の代表的なクーポン(試験片)に落下させ、積層グレージング組立体の耐衝撃性と耐貫通性とを決定する試験手順を規定している。例えば、耐衝撃性を試験するために、約0.5ポンドの平滑な鋼球を、10mの高さから、アンテナ組立体28が配置された積層グレージング組立体20の部分Pを代表するクーポンに落下させてよい。耐貫通性を試験するために、約5ポンドの平滑な鋼球を、4mの高さから、アンテナ組立体28が配置された積層グレージング組立体20の部分Pを代表するクーポンに落下させてよい。さらにSAE J3097/ANSI Z26.1は、積層グレージング組立体が規格を満たすのに十分な耐衝撃性と耐貫通性とを有するかどうかを示す許容可能な試験結果を規定している。最終的に、SAE J3097/ANSI Z26.1への準拠は、「グレージング材料」と題された米国連邦自動車安全規格第205号への準拠のために必要とされる。その全体が参照によりこの文中に組み込まれるこのように、接着層40が積層グレージング組立体20に含まれた実施形態では、アンテナ組立体28が配置された積層グレージング組立体20の部分Pは、自動車産業規格に適合するのに十分な耐衝撃性の特性(例えば、積層グレージング組立体20のP1表面に衝突する石のような物体)と、耐貫通性の特性(例えば、積層グレージング組立体20のP4表面に衝突する乗客の頭部のような物体)とを示す。
【0036】
図8A及び8Bを参照すると、いくつかの実施形態では、積層グレージング組立体20は絶縁層42を備えている。特に、導電性ワイヤ34がフィルム層30の第2表面30Bに配置される場合に、絶縁層42は、フィルム層30とポリマー中間層26との間に配置されている。従って、絶縁層42は、フィルム層30の第2表面30Bとポリマー中間層26との間で、導電性ワイヤ34を少なくとも部分的にエンキャプシュレートしてよい。絶縁層42は、積層グレージング組立体20の組み立てプロセスで利点を発揮する。特に、アンテナ組立体28がP2表面とP3表面とのうちの一方とポリマー中間層26との間に配置され、その後に(外側ガラス基板22とともに)積層されて積層グレージング組立体20を形成した場合に、絶縁層42は、導電性ワイヤ34が(人間又は機械によって)接触されないように、フィルム層30と導電性ワイヤ34とにわたって堆積されてよい。必須ではないが、絶縁層42は、(例えばASTM D1003に従って測定して)85%以上、90%以上、又は95%以上の透過率を有してよい。絶縁層42は、絶縁厚みITを有する。必須ではないが、絶縁厚みITは、20μm以下,15μm以下,10μm以下,5μm以下,1μm以下,又は0.5μm以下であってよい。好ましくは、絶縁厚みITは、導電性ワイヤ34のワイヤ太さWTよりも大きい。例えば、導電性ワイヤ34が、5μmのワイヤ太さWTを有する場合に、絶縁層42は、好ましくは7μm以上の絶縁厚みITを有する。これにより、絶縁層42が、導電性ワイヤ34を少なくとも部分的にエンキャプシュレートする場合であっても、絶縁層42は、導電性ワイヤ34を越えて延びて導電性ワイヤ34をポリマー中間層26から絶縁するようにする。絶縁層42は、任意の適切な材料を含んでよく、それは二酸化ケイ素(SiO
2)を含むが、これに限定されない。
【0037】
いくつかの実施形態では、積層グレージング組立体20は、接着層40と絶縁層42との両方を備えている。
図9A及び9Bを参照すると、フィルム層30が内側ガラス基板24のP3表面とポリマー中間層26との間に配置され、導電性ワイヤ34が第2表面30Bに配置されている例では、絶縁層42は、フィルム層30とポリマー中間層26との間に配置され、接着層40は、第1表面30AとP3表面との間に配置されて、フィルム層30をP3表面に結合する。同様に、図示しないが、フィルム層30が外側ガラス基板22のP2表面とポリマー中間層26との間に配置され、導電性ワイヤ34が第2表面30Bに配置されている例では、絶縁層42は、フィルム層30とポリマー中間層26との間に配置され、接着層40は、第1表面30AとP2表面との間に配置されて、フィルム層30をP2表面に結合する。特筆することとしては、アンテナ組立体28の両側に配置された接着層40及び/又は絶縁層42を含んでいても、アンテナ組立体28を備えている積層グレージング組立体20の部分Pは、70%以上の透過率を有することが可能である。重要なことは、アンテナ組立体28を備えている積層グレージング組立体20の部分Pが、70%以上の透過率を有することが可能であるため、アンテナ組立体28は、FMVSS205の視認性要件に適合したまま、車両18のドライバーの視野内に配置されてよい。
【0038】
図10A及び10Bを参照すると、いくつかの実施形態で、積層グレージング組立体20は、内側ガラス基板24のP4表面に結合された給電素子44を備えている。給電素子44は、アンテナ組立体28に容量結合し、無線周波数信号を送信及び/又は受信するために、アンテナ組立体28に通電してよい。例えば、給電素子44は、カプラ48に取り付けられた同軸ケーブル46を含んでよい。カプラ48は、プリント回路基板を含んでよい。プリント回路基板は、同軸ケーブル46と電気的に通信し、内側ガラス基板24のP4表面に対向し、同軸ケーブル46をアンテナ組立体28に容量結合して、無線周波数信号を送信及び/又は受信するために、アンテナ組立体28に通電してよい。カプラ48をP4表面に固定するために、給電接着層49を、カプラ48と内側ガラス基板24のP4表面との間に設けて、給電素子44を内側ガラス基板24のP4表面に結合してよい。もちろん、アンテナ組立体28に容量結合し、無線周波数信号を送信及び/又は受信するために、アンテナ組立体28に通電するように構成された、給電素子44を構成する他の適切な構造が想定される。
図10A及び10Bは、フィルム層30の第2表面30Bに配置されたアンテナ組立体28の導電性ワイヤ34を示すが、導電性ワイヤ34は、代替的にフィルム層30の第1表面30Aに配置されてよいことが理解されるものとする。同様に、
図10A及び10Bは、P3表面とポリマー中間層との間に配置されたアンテナ組立体28を示すが、アンテナ組立体がP2表面とポリマー中間層26との間に配置されている例では、給電素子44は、無線周波数信号を送信及び/又は受信するためにアンテナ組立体28に通電するように構成されてよいことが理解されるものとする。さらに、
図10A及び10Bに示していないが、積層グレージング組立体20は、上述の
図6Aないし9Bの文脈で説明したように、接着層40及び/又は絶縁層42を含んでよい。
【0039】
図11Aないし12Bを参照すると、いくつかの例では、アンテナ組立体28はさらに、結合部分50を含み、結合部分50は、導電性ワイヤ34とフィルム層30の同じ表面に配置され、導電性ワイヤ34に電気的に結合されている。ここで、給電素子44は、(上述したように)内側ガラス基板24のP4表面に結合され、無線周波数信号を送信及び/又は受信するために、アンテナ組立体28に通電する目的で、アンテナ組立体28の結合部分50と位置合わせされ(aligned)、容量結合されてよい。従って、給電素子44は、アンテナ組立体28とハードワイヤで接続されることも直接接触することもされず、全体的に、アンテナ組立体28と同一平面上にない(non-coplanar)ように配置されている。給電素子44は、内側ガラス基板24及び/又はポリマー中間層26を介してアンテナ組立体28に電流を誘導することができる。
【0040】
結合部分50は、アンテナ組立体28の放射素子32よりも高密度な導電性構造を含んでよい。例えば、結合部分50は、給電メッシュを形成するように配置された導電性箔51又は導電性給電ワイヤを含んでよい。給電メッシュは、メッシュ36よりも低い開口率を有してよい。しかし他の例では、給電メッシュは、メッシュ36と同じ特性(例えば、ワイヤ太さWT,ピッチ幅PW,開口率)を有する。いずれにしても、結合部分50は、放射素子32と給電素子44との間に導電性構造を提供して、給電素子44のアンテナ組立体28への容量結合を促進し、無線周波数信号を送信及び/又は受信するために、アンテナ組立体28に通電する。特筆することとしては、給電素子44とアンテナ組立体28との間の容量結合を向上させるためにアンテナ組立体28に結合部分50を追加することは、結果として、一層高い周波数(5Gセルラーなど)でのアンテナ組立体28の性能を向上させる。
【0041】
結合部分50及び/又は給電素子44は、積層グレージング組立体20を通して見た場合に、人間の目に知覚可能であってよい(即ち、透明度がさらに低くてよい)。従って、
図13ないし16Bを参照すると、積層グレージング組立体20は、不透明帯52を含んでよいことが想定される。不透明帯52は、P2表面とP4表面とのうちの一方に配置され、少なくとも部分的に積層グレージング組立体20の周縁部54の周りに延びる。もちろん、不透明帯52は、積層グレージング組立体20の周縁部54全体の周りに延びてよいことが理解されるものとする。不透明帯52は、任意の適切な材料を含んでよく、任意の適切なプロセスを使用して付与(塗布)されてよい。例えば、不透明帯52は、外側ガラス基板22のP2表面と内側ガラス基板24のP4表面とのうちの一方に焼成されるセラミックフリットから形成されてよく、又は外側ガラス基板22のP2表面と内側ガラス基板24のP4表面とのうちの一方に印刷されるインクから形成されてよい。不透明帯52は、他の構成が想定される。不透明帯52は、いくつかの付加的な機能を果たす。不透明帯52は、周縁部54の周りに延びる積層グレージング組立体20の領域を通る光の透過をブロックする。そうすることで、不透明帯52は、積層グレージング組立体20を車両18に接着する下地接着剤を紫外線が劣化させることを防止する。別の例として、不透明帯52は、積層グレージング組立体20の上部からさらに下方に延びて、ドライバーの目を太陽光から遮蔽するサンシェードとして機能してよい。また、不透明帯52は、外部の観察者に対して下地の接着剤が可視的であることをブロックし、美的外観を向上させてよい。さらに、不透明帯52は、ドットパターン、製造者ロゴ、又は政府によって要求される情報(FMVSS205によって要求される情報など)のような、審美的に好ましい装飾パターンを規定してよい。
【0042】
図14Aないし15Bに示す例では、不透明帯52はP2表面に配置され、アンテナ組立体28の結合部分50は、積層グレージング組立体20の周縁部54に配置され、これにより、不透明帯52は、積層グレージング組立体20をP1表面から見た場合に、結合部分50と給電素子44とを隠す(obscure)。
図14A及び14Bに示す例では、アンテナ組立体28はP3表面とポリマー中間層26との間に配置され、不透明帯52は、積層グレージング組立体20をP1表面から見た場合に、結合部分50と給電素子44とを隠す。同様に、
図15A及び15Bに示す例では、アンテナ組立体28はP2表面(不透明帯52を含む)とポリマー中間層26との間に配置され、不透明帯52は、積層グレージング組立体20をP1表面から見た場合に、結合部分50と給電素子44とを隠す。
図16A及び16Bに示す例では、アンテナ組立体28はP2表面とポリマー中間層26との間に配置され、不透明帯52はP4表面に配置され、これにより、不透明帯52は、積層グレージング組立体20をP1表面から見た場合に、給電素子44を隠す。
【0043】
図11Aないし16Bは、フィルム層30の第2表面30Bに配置されたアンテナ組立体28の導電性ワイヤ34と結合部分50とを示すが、これに代えて、導電性ワイヤ34と結合部分50とは、フィルム層30の第1表面30Aに配置されてよいことが理解されるものとする。さらに、
図11Aないし16Bに示していないが、積層グレージング組立体20は、上述の
図6Aないし9Bの文脈で説明したように、接着層40及び/又は絶縁層42を含んでよい。
【0044】
前述の記載では、いくつかの実施形態を説明している。しかしながら、本明細書に記載された実施形態は、網羅的であることを意図しないものであり、本発明を特定の形態に限定することを意図しない。使用した用語は、限定の語句ではなく、説明の語句の性質を意図している。上記の教示を考慮して、多くの修正及び変形が可能であり、本発明は、具体的に説明した以外の方法で実施してよい。
【0045】
本明細書で既に言及したものを超えるさまざまな追加的な変更及び改変が、上述の実施形態に対して行われてよい。本開示は、例示を目的として提示されたものであり、全ての実施形態の網羅的な説明として解釈されないものとする。また、これらの実施形態に関連して、図示又は記載された特定の要素に請求項を限定して解釈されないものとする。例えば、限定するものではないが、実質的に同様の機能を提供するか、又は適切な動作を提供する代替要素によって、記載された実施形態の任意の個々の要素を置換してよい。これは、例えば、当業者に現在知られている代替要素や、将来開発される可能性のある代替要素、例えば、開発時に当業者が代替要素として認識する可能性のある代替要素を含む。例えば、冠詞「a」,「an」,「the」又は「前記」を使用した単数形の請求項要素への言及は、要素を単数形に限定するものとして解釈されるものではない。さらに、用語「含み」、「含んで」及び「含む」は、用語「備え」、「備えて」及び「備える」と同じ意味を有することが、理解されることである。
【外国語明細書】