IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 芝浦メカトロニクス株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-基板処理装置及び基板処理方法 図1
  • 特開-基板処理装置及び基板処理方法 図2
  • 特開-基板処理装置及び基板処理方法 図3
  • 特開-基板処理装置及び基板処理方法 図4
  • 特開-基板処理装置及び基板処理方法 図5
  • 特開-基板処理装置及び基板処理方法 図6
  • 特開-基板処理装置及び基板処理方法 図7A
  • 特開-基板処理装置及び基板処理方法 図7B
  • 特開-基板処理装置及び基板処理方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068175
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】基板処理装置及び基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20240510BHJP
【FI】
H01L21/304 651L
H01L21/304 651M
H01L21/304 651B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023188223
(22)【出願日】2023-11-02
(31)【優先権主張番号】P 2022176872
(32)【優先日】2022-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002428
【氏名又は名称】芝浦メカトロニクス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】松下 淳
【テーマコード(参考)】
5F157
【Fターム(参考)】
5F157AA09
5F157AB02
5F157AB14
5F157AB33
5F157AB48
5F157AB51
5F157AB64
5F157AB75
5F157AB90
5F157AC03
5F157AC56
5F157BB23
5F157BB45
5F157BH18
5F157CB14
5F157CB15
5F157CB24
5F157CE72
5F157CE76
5F157CE77
5F157CF02
5F157CF14
5F157CF34
5F157CF40
5F157CF60
5F157CF74
5F157DA21
5F157DB32
5F157DB37
5F157DB51
5F157DC90
(57)【要約】
【課題】 処理室内を清浄な雰囲気にし、特に、基板の表面上において清浄な雰囲気を保ちつつ、良好な基板乾燥を行うことができる基板処理装置及び基板処理方法を提供する。
【解決手段】 表面に液膜が形成された基板Wが搬入されるチャンバ21と、チャンバ21内に設けられ、基板Wを保持する保持部22と、チャンバ21の上部に設けられ、保持部22によって保持された基板Wの表面と液膜との間に気層を生じさせるように基板Wを加熱する加熱部211と、加熱部211と保持部22との間に設けられ、孔23aを有する透過窓23と、孔23aから前記保持部によって保持された基板Wに向けてガスを供給するガス供給部26と、透過窓23を回転させるモータ24と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に液膜が形成された基板が搬入されるチャンバと、
前記チャンバ内に設けられ、前記基板を保持する保持部と、
前記チャンバの上部に設けられ、前記保持部によって保持された前記基板の前記表面と前記液膜との間に気層を生じさせるように前記基板を加熱する加熱部と、
前記加熱部と前記保持部との間に設けられ、孔を有する透過窓と、
前記孔から前記保持部によって保持された前記基板に向けてガスを供給するガス供給部と、
前記透過窓を回転させるモータと、
を備える基板処理装置。
【請求項2】
前記孔は、前記透過窓の中心部に設けられていることを特徴とする請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記モータは、
前記チャンバ内に設けられ、前記透過窓を回転させるロータと、
前記チャンバ外に設けられ、前記ロータを回転させるステータと、
を有し、
前記ステータは、前記ロータを非接触状態で回転させることを特徴とする請求項1記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記基板は、回転駆動可能に設けられ、
前記透過窓の回転数は、前記基板の回転数より高いことを特徴とする請求項1記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記基板と前記透過窓の回転方向は、同一方向であることを特徴とする請求項4記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記透過窓を保持する円環状の透過窓保持部と、
を備え、
前記モータは、前記透過窓保持部を介して前記透過窓を回転させ、
前記透過窓保持部は、前記透過窓保持部の底面に径方向に延びた複数の羽根部材が前記透過窓保持部の円周に沿って形成されていることを特徴とする請求項1記載の基板処理装置。
【請求項7】
保持部が、表面に液膜が形成された状態でチャンバに搬入された基板を保持し、
加熱部が、前記保持部によって保持された前記基板の前記表面と前記液膜との間に気層を生じさせるように前記基板を加熱し、
ガス供給部が、前記加熱部と前記保持部との間に設けられた透過窓の孔から、前記保持部によって保持された前記基板に向けてガスを供給し、
モータが、前記透過窓を回転させる、
基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、基板処理装置及び基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体や液晶パネルなどを製造する製造工程において、ウェーハや液晶基板などの基板の表面に処理液を供給してその基板表面を例えば、洗浄処理し、その後、基板表面を乾燥させる基板処理装置が用いられている。
【0003】
上述した基板処理装置を用いた乾燥工程においては、基板の表面に形成されたパターン同士の間隔や構造、処理液の表面張力などに起因して、例えば、メモリセルやゲート周辺のパターンが倒壊して閉塞する問題が発生している。この傾向は、近年、半導体の高集積化や大容量化による微細化に伴って高くなる。
【0004】
上述したパターンの倒壊を抑制することを目的として、処理液を供給後、回転する基板を急速に加熱して、基板の表面と処理液の液膜との間に気層を生じさせ、液膜を液玉化して、回転の遠心力により基板外に排出することで、表面張力による微細なパターンの倒壊を抑制して乾燥処理を行う基板処理装置が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-102652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような、基板を急速に加熱して基板の表面と液膜の間に気層を生じさせ、液膜を液玉化する現象(ライデンフロスト現象)を利用した基板処理装置では、処理中の基板の周囲の雰囲気、特に基板の表面上の雰囲気を清浄に保つ点で課題がある。すなわち、処理中の基板の周囲の雰囲気を清浄に保つためには、処理室の天井側から基板に向かう清浄なガスを供給することが有効である。しかしながら、基板の上方には、基板を急速に加熱させるためのハロゲンランプ等の加熱部が配置される。しかも、加熱部の下には、加熱部に処理液がかかることを防ぐ目的と加熱部に起因する塵埃の落下を防ぐ目的で、透過窓が配置されている。そのため、上述のガスの供給によって清浄な雰囲気を作り出すことが困難となっている。
【0007】
本発明の目的は、処理室内を清浄な雰囲気にし、特に、基板の表面上において清浄な雰囲気を保ちつつ、良好な基板乾燥を行える基板処理装置及び基板処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態に係る基板処理装置は、表面に液膜が形成された基板が搬入されるチャンバと、前記チャンバ内に設けられ、前記基板を保持する保持部と、前記チャンバの上部に設けられ、前記保持部によって保持された前記基板の前記表面と前記液膜との間に気層を生じさせるように前記基板を加熱する加熱部と、前記加熱部と前記保持部との間に設けられ、孔を有する透過窓と、前記孔から前記保持部によって保持された前記基板に向けてガスを供給するガス供給部と、前記透過窓を回転させるモータと、を備える。
【0009】
実施形態に係る基板処理方法は、保持部が、表面に液膜が形成された状態でチャンバに搬入された基板を保持し、加熱部が、前記保持部によって保持された前記基板の前記表面と前記液膜との間に気層を生じさせるように前記基板を加熱し、ガス供給部が、前記加熱部と前記保持部との間に設けられた透過窓の孔から、前記保持部によって保持された前記基板に向けてガスを供給し、モータが、前記透過窓を回転させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の実施形態によれば、処理室内を清浄な雰囲気にし、特に、基板の表面上において清浄な雰囲気を保ちつつ、良好な基板乾燥を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施形態に係る基板処理装置の全体概略構成を示す平面図である。
図2】第1の実施形態に係る基板処理装置の処理チャンバの概略構成を示す断面図である。
図3】第1の実施形態に係る基板処理装置の乾燥処理部の概略構成を示す断面図である。
図4】第1の実施形態に係る基板処理装置の乾燥処理部内における乾燥処理中のガス、ミスト及び水蒸気成分等の流れを示す断面図である。
図5】第1の実施形態に係る乾燥処理の手順を示すフローチャートである。
図6】第1の実施形態に係る乾燥処理における基板及び透過窓が回転した際のガスの速度分布図である。
図7A】第2の実施形態に係る基板処理装置の乾燥処理部の透過窓保持部の断面図である。
図7B】第2の実施形態に係る基板処理装置の乾燥処理部の透過窓保持部の下面図である。
図8】第2の実施形態に係る基板処理装置の乾燥処理部の透過窓保持部付近のガス、ミスト及び水蒸気成分等の流れを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1の実施形態]
以下、本発明の第1の実施形態に係る基板処理装置1について、図1から図6を参照して説明する。
【0013】
[基板処理装置]
図1に示すように第1の実施形態に係る基板処理装置1は、基板Wが収納されているFOUP2を載置するFOUP載置台3と、FOUP2に収納された基板Wを搬送する搬送ロボット4と、搬送ロボット4が移動する搬送レール5と、搬送ロボット4によって搬送された基板Wを載置する基板載置台6と、基板載置台6に載置された基板Wを、後述する処理チャンバ10及び乾燥処理部20に搬送する搬送ロボット7と、搬送ロボット7が移動する搬送レール8と、処理液により処理を実行する処理チャンバ10と、処理チャンバ10で処理された基板Wを乾燥処理するための乾燥処理部20と、これら各部を制御する制御部60と、を備えている。
【0014】
[処理チャンバ]
図2に示すように、処理チャンバ10内には、基板Wを保持する保持部11が配置されている。保持部11は、回転テーブル111と回転軸112とモータ113と保持ピン114を有する。回転テーブル111は、回転軸112を介してモータ113に連結されている。モータ113は、制御部60と電気的に接続されており、制御部60からの指令により設定された回転数で回転する。保持ピン114は、基板Wの外周に接触してその基板Wを保持するようになっている。
【0015】
カップ12は、円筒形状であり回転テーブル111の周囲を囲むように配置されている。カップ12の周壁の上部は、径方向の内側に向かって傾斜し、回転テーブル111上の基板Wが露出するように開口している。カップ12は、モータ113によって回転する基板Wから飛散した処理液を回収し、回収した処理液を排出管(図示せず)に誘導する役割を果たしている。このカップ12は、昇降機構(図示せず)によって昇降可能に設けられている。より具体的には、カップ12は、昇降機構によって、基板Wの周囲を覆うことで飛散した処理液を回収する上昇位置と、搬送ロボット7による基板Wの搬入・搬出を許容する下降位置との間で昇降可能となっている。
【0016】
処理液供給部13は、保持部11によって保持された基板Wに処理液を供給する。処理液供給部13は、アーム駆動機構131と、揺動アーム132と、処理液吐出ノズル133を有する。
【0017】
アーム駆動機構131は、カップ12より外側に配置され、揺動アーム132を旋回できるように揺動アーム132の一端と連結している。また、アーム駆動機構131は、制御部60と電気的に接続され、制御部60に設定されたプログラムにより、揺動アーム132を駆動するようになっている。
【0018】
処理液吐出ノズル133は、揺動アーム132の他端に接続されており、アーム駆動機構131により、水平方向に移動する。処理液吐出ノズル133により処理液が基板Wの表面上に吐出されて、基板Wの表面を処理することができる。基板Wを処理する時、処理液吐出ノズル133は、アーム駆動機構131の動作により、カップ12より外側に設定された待機位置から、基板Wの中心に設定された処理位置に向けて、水平方向に移動する。なお、処理液吐出ノズル133は、処理液供給源30と処理液供給管31によって接続される。また、処理液供給管31の途中には、バルブ(図示せず)が設置される。このバルブや処理液供給源30は、制御部60と電気的にそれぞれ接続される。この制御部60により、処理液供給源30やバルブが制御されることで、処理液を処理液吐出ノズル133へ供給している。この処理液は、基板Wの洗浄処理を行うための液であり、エッチング液や洗浄液(APM、SC-1)等が使用される。
【0019】
リンス液供給部14は、保持部11によって保持された基板Wにリンス液を供給する。リンス液供給部14は、アーム駆動機構141と、揺動アーム142と、リンス液吐出ノズル143を有する。
【0020】
アーム駆動機構141は、カップ12より外側に配置され、揺動アーム142を旋回できるように揺動アーム142の一端と連結している。なお、アーム駆動機構141は、制御部60と電気的に接続され、制御部60に設定されたプログラムにより駆動する。
【0021】
リンス液吐出ノズル143は、揺動アーム142の他端に接続されており、アーム駆動機構141により、カップ12より外側に設定された待機位置から、基板Wの中心に設定された処理位置に向けて、水平方向に移動する。リンス液吐出ノズル143により、リンス液が基板Wの表面上に吐出されて、基板Wの表面上に存在する処理液吐出ノズル133より吐出された処理液を洗い流すことができる。なお、リンス液吐出ノズル143は、リンス液供給源40とリンス液供給管41によって接続される。また、リンス液供給管41の途中には、バルブ(図示せず)が設置される。このバルブやリンス液供給源40は、制御部60と電気的にそれぞれ接続される。この制御部60により、リンス液供給源40やバルブが制御されることで、リンス液をリンス液吐出ノズル143へ供給している。このリンス液は、基板Wの表面に存在する、処理液供給源30から供給された処理液を置換する液であり、後述する乾燥処理部20での乾燥処理で使用する液膜を形成する液である。リンス液は、超純水が使用される。なお、リンス液としては、超純水の他に、IPA(イソプロピルアルコール)を使用する場合も考えられ、リンス液吐出ノズル143の他にIPAを吐出するノズルや供給源を設けてもよい。
【0022】
搬送扉15は、搬送ロボット7によって基板Wを回転テーブル111上に搬入するための、搬入口の開閉を行う。この搬送扉15は、昇降機構によって昇降可能に設けられることにより、その開閉動作を行うことができる。
【0023】
[乾燥処理部]
図3に示すように乾燥処理部20は、チャンバ21と、保持部22と、透過窓23と、モータ24と、透過窓保持部25と、ガス供給部26と、カップ27と、リンス液供給部28と、昇降機構29を有する。
【0024】
チャンバ21は、内部に空間を有する直方体の上端部に円筒が設けられている。直方体の部分と円筒とは仕切りがなく、同一空間を有する。チャンバ21は、加熱部211と、搬送扉212を有する。
【0025】
加熱部211は、横長の直方体を成しており、チャンバ21の天井に壁面の一部として設けられている。加熱部211は、チャンバ21内の基板Wの表面に光を照射し、基板Wを加熱するものである。加熱部211は、ランプ211aと窓211bを有する。本実施形態では、ランプ211aは、直管タイプのハロゲンランプとしている。ランプ211aは、ハロゲンランプを平行に複数本並べて配置する。なお、二組のハロゲンランプ群を、互いに直交するように上下に重ねて配置し、格子状を成してもよい。窓211bは、ランプ211aの直下に配置されており、ランプ211aの点灯によって照射された光を透過する。窓211bは、ランプ211aで発生したパーティクルが基板Wに付着して金属汚染が発生することを防ぐ。また、窓211bは、チャンバ21内で発生したパーティクルがランプ211aに付着してランプ211aが劣化することを防ぐ。本実施形態では、窓211bに石英が用いられているが、石英に限らず、ランプ211aの発熱に耐えることができ、光を透過する部材であればよい。また、窓211bの形状は円形状を用いているが、ランプ211a全体の光が照射できれば、他の形状でも可能である。加熱部211は、制御部60と電気的に接続されており、ランプ211aの点灯の制御が制御部60によって行われる。
【0026】
搬送扉212は、搬送ロボット7によってチャンバ21内に基板Wを搬入するための、搬入口の開閉を行う。この搬送扉212は、昇降機構によって昇降可能に設けられることにより、その開閉動作を行うことができる。
【0027】
保持部22は、チャンバ21内に搬入された基板Wを保持する。保持部22は、回転テーブル221と回転軸222とモータ223と保持ピン224を有する。回転テーブル221は、回転軸222を介してモータ223に連結されている。モータ223は、制御部60と電気的に接続されており、制御部60からの指令により回転テーブル221を設定された回転数、例えば、100rpm~1000rpmで回転させる。保持ピン224は、基板Wの外周に接触してその基板Wを保持するようになっている。
【0028】
透過窓23は、加熱部211の下方に所定の間隔をあけて配置されている。これにより、加熱部211と透過窓23との間に空間Aが形成されている。また、透過窓23は、保持部22の上方に所定の間隔をあけて設けられる。これにより、保持部22によって保持された基板Wと透過窓23との間に空間Bが形成されている。つまり、透過窓23は、加熱部211と保持部22との間に配置されるように設けられている。また、透過窓23は、円板状を成している。この透過窓23は、保持部22によって保持された基板Wの上方の空間Bにガスを供給するため、中心部に厚み方向に貫通する孔23aを有している。本実施形態では、透過窓23の孔23aは円形であり、直径は、例えば、8mm未満としている。また、本実施形態では、窓211bと同様に、透過窓23に石英が用いられているが、石英に限らず、ランプ211aの発熱に耐えることができ、光を透過する部材であればよい。
【0029】
モータ24は、透過窓23を回転させるものであり、チャンバ21の上端部に配置される。モータ24は、ステータ24a、ロータ24bを有している。ステータ24aは円環状を成しており、チャンバ21の上端部においてチャンバ21の外側に配置される。具体的には、チャンバ21の上端部は、ステータ24aの内径が嵌る大きさの円筒形状を成しており、ステータ24aはこの円筒形状の部分に嵌るように設けられている。ステータ24aは、内部に永久磁石(図示せず)と電磁石(図示せず)が等間隔で交互に配置されている。ロータ24bは、ステータ24aの内径より小さい外径の円環状を成しており、ステータ24aの内周と対向するように、チャンバ21内に設けられる。ロータ24bの外周面とチャンバ21の円筒形状の部分の内周面との間には、わずかな隙間が設けられる。また、ロータ24bの内部には、永久磁石(図示せず)が等間隔に配置されている。ステータ24aは、制御部60の電気信号により電流が流れることで、内部の電磁石に磁界を発生させる。よって、ステータ24aとロータ24b間で吸引力と反発力が発生し、ロータ24bが、ステータ24aと非接触で回転動作を行う。これにより、後述する透過窓保持部25を介して透過窓23が回転する。ステータ24aの永久磁石は、制御部60からの電気信号の切断後でも、ステータ24aとロータ24bを非接触で保持する役割がある。モータ24による透過窓23の回転方向は、基板Wの回転方向と同一の方向であることが好ましい。また、このモータ24は、ロータ24bを通じて透過窓23の回転数が基板Wの回転数より高くなるように回転させる。
【0030】
透過窓保持部25は、透過窓23の外縁を保持するものであり、ロータ24bの下面に設けられている。透過窓保持部25は、円環状を成しており、透過窓23を保持するため、ロータ24bの回転中心に向かって円環全体の底面から水平に突出する突起部25aを有している。また、この突起部25aに対して透過窓23の外縁が固定部材(図示せず)によって固定されている。透過窓保持部25は、制御部60からの電気信号によりステータ24aに電流が流れると、ロータ24bと共に回転する。これにより、透過窓23も回転する。
【0031】
ガス供給部26は、ガスを、加熱部211と透過窓23との間に形成された空間Aに供給する。空間Aに供給されたガスは、空間A内に充満し、孔23aを経由して、保持部22によって保持された基板Wと透過窓23との間に形成された空間Bに移動する。ガス供給部26により供給されるガスは、不活性ガスであることが好ましく、例えば、窒素ガスがある。ガス供給部26は、ガス導入口26aとガス供給管26bを有する。ガス導入口26aは、チャンバ21の天井側にあり、加熱部211よりも外方に複数個、設けられている。ガス導入口26aより供給されるガスの流量は、例えば、30L/minであることが好ましい。ガス供給部26は、ガス供給管26bを通じてガス供給源50と接続される。ガス供給管26bにはフィルタが設けられており、このフィルタにより空間Aに清浄なガスを供給する。また、ガス供給管26bの途中には、バルブ(図示せず)が設定されている。バルブは、制御部60と電気的に接続される。制御部60により、バルブが制御されることで、ガスの供給及び供給停止、供給するガスの流量の調節が可能となる。また、ガス供給部26によって供給されたガスは、チャンバ21に設けられた排気口(図示せず)から排出される。
【0032】
カップ27は、円筒形状であり回転テーブル221の周囲を囲むように配置されている。カップ27の周壁の上部は、径方向の内側に向かって傾斜し、回転テーブル221上の基板Wが露出するように開口している。このカップ27は、昇降機構(図示せず)によって昇降可能に設けられており、回転テーブル221の高さ位置に対応するように昇降できる。
【0033】
リンス液供給部28は、保持部22によって保持された基板Wにリンス液を供給する。リンス液供給部28は、アーム駆動機構281と、揺動アーム282と、リンス液吐出ノズル283を有する。
【0034】
アーム駆動機構281は、カップ27より外側に配置され、揺動アーム282を旋回できるように揺動アーム282の一端と連結している。なお、アーム駆動機構281は、制御部60と電気的に接続され、制御部60に設定されたプログラムにより駆動する。
【0035】
リンス液吐出ノズル283は、揺動アーム282の他端に接続されており、アーム駆動機構281により、水平方向に移動できる。リンス液吐出ノズル283は、処理チャンバ10で供給されたリンス液が、基板Wの搬送途中に揮発したために薄くなった液盛り状態の液膜に、新たなリンス液を供給する役割を果たす。これにより、予め実験等で求められた、乾燥処理で必要となるリンス液の最適な液膜の厚さにすることができる。この最適な液膜の厚さは、基板Wが、後述する乾燥位置Uに移動してから乾燥処理が開始されるまでの間に、透過窓23からの輻射熱によって基板Wから蒸発しない程度の液膜の厚さで、かつ、ライデンフロスト現象による乾燥処理を行う上で、良好に乾燥できる液膜の厚さである。リンス液吐出ノズル283は、リンス液供給源40のリンス液供給管42が接続される。また、リンス液供給管42の途中には、バルブ(図示せず)が設置される。このバルブやリンス液供給源40は、制御部60と電気的にそれぞれ接続される。この制御部60により、リンス液供給源40やバルブが制御されることで、リンス液をリンス液吐出ノズル283へ供給している。このリンス液は、超純水が使用される。なお、リンス液としては、超純水の他に、IPA(イソプロピルアルコール)を使用する場合も考えられ、リンス液吐出ノズル283の他にIPAを吐出するノズルや供給源を設けてもよい。
【0036】
昇降機構29は、チャンバ21の外側、かつ、モータ223の下側に設けられており、回転テーブル221を昇降させる。また、昇降機構29は、基板Wが、予め設定した待機位置Dと乾燥位置Uに位置づけられるように、回転テーブル221を昇降させる。
【0037】
待機位置Dは、リンス液吐出ノズル283の吐出口よりも低い位置である。また、待機位置Dは、処理チャンバ10での処理が完了し、リンス液が液盛りされた状態で搬入されてきた基板Wが、回転テーブル221上に受け渡される位置であり、透過窓23から極力離隔した高さ位置に設定される。待機位置Dが、透過窓23から離隔した高さ位置に設定される理由は、以下の通りである。乾燥処理時のみに加熱部211により加熱したとしても、加熱部211によって発せられる熱によって透過窓23が蓄熱する。特に、本実施形態の透過窓23は、材質が石英のため熱伝導率が低いので、蓄熱しやすい。このため、乾燥処理が繰り返し行われることで、透過窓23が蓄熱し、透過窓23の温度が加熱部211による基板Wの加熱温度に近づいていく。つまり、リンス液を蒸発させる温度よりも高い温度になる。このような環境下でリンス液の液膜が形成された基板Wを透過窓23と近接した位置に搬入すると、高温化した透過窓23からの輻射熱によって基板W上の液膜が蒸発してしまう。このとき、液膜の全体が瞬時に蒸発するわけではなく、一部が蒸発する不均一な乾燥状態となることがある。この場合、残留するリンス液の表面張力によって、パターン閉塞が発生することがある。このため、加熱部211から離隔した位置に位置づけることで、このような輻射熱の影響を受けないようにする必要がある。したがって、待機位置Dは、基板W上に液盛りされたリンス液が、加熱部211によって繰り返し加熱されて蓄熱された透過窓23の輻射熱によって蒸発する恐れの小さい状態となるまで、透過窓23と離れている位置である。図3は、待機位置Dに基板Wを位置づけた状態を示している。乾燥位置Uは、透過窓23に近接して、加熱部211による乾燥処理が行われる際の基板Wの高さ位置である。図4は、乾燥位置Uに基板Wを位置付けた状態を示している。
【0038】
制御装置を構成する制御部60は、各部を集中的に制御するマイクロコンピュータと、基板処理に関する基板処理情報や各種プログラムなどを記憶する記憶部とを備えている。この制御部60は、搬送ロボット4及び7と、モータ113、223及び24と、アーム駆動機構131,141及び281と、加熱部211と、昇降機構29と、処理液供給源30と、リンス液供給源40と、ガス供給源50と、バルブなどと、電気的に接続され、これらをプログラムで制御する。
【0039】
[動作]
続いて、第1の実施形態の基板処理装置1の動作について、上記の図1図4に加えて、図5のフローチャート、図6の説明図を参照して説明する。なお、基板Wが収納されているFOUP2は、FOUP載置台3にセットされた状態になっているものとする。
【0040】
図1に示すように、搬送ロボット4が搬送レール5に沿って移動し、FOUP載置台3にセットされているFOUP2に対向するように停止する。この搬送ロボット4は、FOUP2に収納されている基板Wを取り出して、保持したまま搬送レール5に沿って移動し、基板載置台6に対向するように停止する。そして、搬送ロボット4は基板Wを基板載置台6に載置する。次に、搬送ロボット7が搬送レール8に沿って移動し、基板載置台6に対向するように停止する。搬送ロボット7は、基板載置台6に載置された基板Wを保持して、基板Wを保持したまま搬送レール8に沿って移動する。搬送ロボット7は、処理チャンバ10に対向するよう位置することで、基板Wを処理チャンバ10内へ搬入する。このとき、搬送扉15は開いており、カップ12は回転テーブル111より下方の下降位置に位置している。
【0041】
図2に示すように、搬送ロボット7によって搬入された基板Wは、回転テーブル111上に保持される。回転テーブル111上に保持された基板Wは、保持ピン114が基板Wの外周に接触することで保持される。これにより、基板Wは、回転テーブル111と共に回転可能に保持される。
【0042】
基板Wが回転テーブル111上に保持されると、制御部60は、モータ113を制御して、回転テーブル111を所定の回転数で回転させる。また、昇降機構を制御して、カップ12を基板Wの周囲を囲う上昇位置まで上昇させる。
【0043】
基板Wの回転開始後、回転している基板Wの表面を処理するために、図2で示す処理液吐出ノズル133が、カップ12よりも外側に退避した位置(待機位置)から、基板Wの表面の中心(処理位置)まで、アーム駆動機構131及び揺動アーム132によって移動する。なお、処理液吐出ノズル133の処理位置は、中心から少し外れた位置でも良い。処理液吐出ノズル133が処理位置に移動すると、制御部60により電気信号が処理液供給源30に送信される。これにより、処理液供給源30から処理液吐出ノズル133を介して、処理液が基板Wの表面に供給される。処理液が供給されている間は、基板Wの回転によって飛散された処理液をカップ12で回収し、排出管に誘導する。そして、基板Wの表面に処理液が吐出され、処理液の吐出が開始されてから所定時間が経過したら、処理液供給源30から処理液の供給が停止される。なお、処理液の供給が停止されたら、処理液吐出ノズル133は、アーム駆動機構131及び揺動アーム132により待機位置に移動する。
【0044】
次に、リンス液吐出ノズル143が、カップ12よりも外側に退避していた位置(待機位置)から、基板Wの表面の中心(処理位置)まで、アーム駆動機構141及び揺動アーム142によって移動する。なお、リンス液吐出ノズル143の処理位置は、中心から少し外れた位置でも良い。リンス液吐出ノズル143が処理位置に移動すると、制御部60により電気信号がリンス液供給源40に送信される。これにより、リンス液供給源40からリンス液吐出ノズル143を介して、リンス液が基板Wの表面に供給される。リンス液が供給されている間は、基板Wの回転によって飛散されたリンス液をカップ12で回収し、排出管に誘導する。リンス液の供給が開始されてから所定時間が経過したら、リンス液供給源40からのリンス液の供給を停止させる。このとき、リンス液の供給が停止したタイミングで回転テーブル111の回転が停止するように、所定時間の到達前からモータ113の回転を徐々に減速させる。つまり、基板Wの表面全体にリンス液を液盛りした状態で処理が終了する。このように基板Wの表面上を液盛り状態とすることで、基板Wを乾燥処理部20に搬送している途中で、基板Wの表面が汚染することを抑制する。さらに、リンス液による処理が終了したら、リンス液吐出ノズル143は、アーム駆動機構141及び揺動アーム142によって、待機位置に移動する。なお、図2は基板Wにリンス液が供給されている状態を示している。その後、カップ12が基板Wよりも下方の下降位置に移動し、搬送扉15が開くことで、搬送ロボット7により基板Wの表面上にリンス液を液盛りした状態で処理チャンバ10から基板Wが搬出される。
【0045】
次に、乾燥処理について、図5のフローチャートを用いて説明する。まず、リンス液で液盛りされた状態の基板Wは、搬送ロボット7により乾燥処理部20のチャンバ21内に搬入される(ステップS01)。このとき、搬送扉212は開いており、カップ27は回転テーブル221より下方に位置している。そして、搬入された基板Wは、回転テーブル221上に保持される。回転テーブル221上に保持された基板Wは、保持ピン224が基板Wの外周に接触することで保持される。これにより、基板Wは、回転テーブル221と共に回転可能に保持される。
【0046】
基板Wが回転テーブル221上に保持されると、制御部60から電気信号がガス供給源50及びモータ24に送信される。その後、ガス供給部26によって、加熱部211と透過窓23との間に形成された空間Aにガスが供給される。空間Aに供給されたガスは、孔23aを経由して、保持部22によって保持された基板Wと透過窓23との間に形成された空間Bへと移動する。これにより、基板Wの表面上を清浄な雰囲気にする。それと同時に、モータ24のステータ24aは、チャンバ21の外部から非接触で、ステータ24aの内側のロータ24bを所定の回転数で回転駆動させる。ロータ24bが回転すると、ロータ24bに固定されている透過窓23及び透過窓保持部25が回転する(ステップS02)。
【0047】
次に、制御部60から電気信号が、昇降機構とモータ223に送信される。これにより、基板Wよりも下方に位置していたカップ27が、昇降機構によって基板Wの周囲を囲むように上昇する。また、モータ223は所定の回転数で回転駆動し、回転テーブル221及び基板Wが回転される(ステップS03)。
【0048】
基板Wの回転開始後、リンス液吐出ノズル283が、カップ27よりも外側に退避していた位置(待機位置)から、基板Wの表面の中心(処理位置)まで、アーム駆動機構281及び揺動アーム282によって移動する(ステップS04)。なお、リンス液吐出ノズル283の処理位置は、中心から少し外れた位置でも良い。リンス液吐出ノズル283が処理位置に移動すると、制御部60により電気信号がリンス液供給源40に送信される。これにより、リンス液供給源40からリンス液が基板Wの表面に供給される(ステップS05)。供給されている間は、カップ27により、基板Wの回転によって飛散されたリンス液を回収し、排出管(図示せず)に誘導する。リンス液の供給が開始されてから所定時間が経過したら、リンス液供給源40からのリンス液の供給を停止させる。リンス液による処理が終了したら、リンス液吐出ノズル283は、アーム駆動機構281及び揺動アーム282により待機位置に移動する(ステップS06)。
【0049】
リンス液による処理後、昇降機構29は、基板Wの回転を維持しながら、基板Wを乾燥位置Uまで上昇させ、基板Wを透過窓23に接近させる(ステップS07)。それと同時に、カップ27が、乾燥位置Uにある基板Wに対応する高さ位置まで上昇する。これにより、乾燥処理中に飛散したリンス液を、カップ27が回収することができる。
【0050】
基板Wが乾燥位置Uに位置するまでに、透過窓23の回転数を基板Wの回転数より高い回転数、例えば、2000rpmとすることが好ましい。このようにすると、以下の利点がある。図6に示すように、空間Bに供給されたガスには、基板Wの回転と透過窓23の回転によってその回転方向へ移動する力が作用する。このため、空間Bのガスは、基板Wと透過窓23の回転速度に応じた速度、具体的には、基板W側よりも透過窓23側ほど早い速度で移動する。この結果、透過窓23に近いほど、ベルヌーイの定理によりガスの圧力が低くなる。そうすると、図4に示すように、圧力の高い基板Wに近い側から圧力の低い透過窓23側に気流(上昇気流)が発生する。この気流により、乾燥処理中に発生した基板Wの表面上のミストや水蒸気成分等を基板Wから遠ざかる方向へ移動させ、基板Wに再付着することを防止できる。また、基板Wを、加熱部211で加熱する前から回転させることにより、基板Wとともに基板Wの表面上のリンス液の液膜を回転させておき、加熱部211によって基板Wが加熱され、基板Wの表面上と液膜との間に気層が発生した後においても、慣性力によりリンス液の液膜が回転を継続して遠心力が働くようにする。
【0051】
基板Wとカップ27が上昇した後、加熱部211のランプ211aが点灯し、基板Wの表面を加熱する(ステップS08)。このとき、液膜と基板Wの表面との間の全体にライデンフロスト現象による気層が生じる温度以上になるよう、ランプ211aの温度を上昇させ、基板Wを急速に加熱する。このライデンフロスト現象によって、基板Wの表面と液膜との界面に発生する気層を介して、基板Wの表面から液膜が浮上することになる。この液膜の浮上状態が維持されることで液膜が液玉となり、その液玉が基板Wの回転による遠心力によって、基板Wの径方向外方に飛ばされることで基板Wの表面が乾燥される(ステップS09)。
【0052】
基板Wの乾燥処理が終了すると、ランプ211aは消灯する(ステップS10)。その後、昇降機構29は、基板Wの回転を維持しながら、基板Wを待機位置Dまで下降させる。また、カップ27が、待機位置Uにある基板Wに対応する高さ位置まで下降する(ステップS11)。基板Wが下降した後、モータ223による基板Wの回転、モータ24による透過窓23の回転及びガス供給部26による空間Aへのガスの供給を停止する(ステップS12)。その後、保持ピン224によって保持されていた基板Wが解放され、カップ27が基板Wよりも下方に下降する(ステップS13)。そして、乾燥処理済みの基板Wが搬送ロボット7によって、乾燥処理部20から搬出される(ステップS14)。
【0053】
[効果]
このように、本実施形態の基板処理装置1によれば、ガス供給部26によって、加熱部211と透過窓23との間に形成された空間Aに供給されたガスが、孔23aを経由して、保持部22によって保持された基板Wと透過窓23との間に形成された空間Bに移動することで、基板Wの表面上を清浄な雰囲気にすることができる。そして、ガス供給部26によりガスを供給し続けることで、処理室内を清浄な雰囲気にすることができ、良好な基板処理を行うことができる。
【0054】
本実施形態の基板処理装置1では、透過窓保持部25を介して、透過窓23にモータ24を設けることで、透過窓23を回転させることができる。また、基板Wの回転数より透過窓23の回転数の方が高いため、空間Bのガスは、基板W側よりも透過窓23側ほど早い速度で移動する。そのため、ベルヌーイの定理により、圧力の高い基板Wに近い側から圧力の低い透過窓23側に気流(上昇気流)が発生する。その気流によって、乾燥処理中に発生した基板Wの表面上のミストや水蒸気成分等が基板Wから遠ざかる方向へ移動する。つまり、基板Wにミストや水蒸気成分等が再付着することを防止でき、基板Wの表面上において清浄な雰囲気を保ちつつ、良好な基板乾燥を行うことができる。
【0055】
本実施形態の基板処理装置1では、孔23aは、透過窓23の中心部に設けることができる。これにより、基板Wの中心部から、基板Wの径方向外側に広がるようにガスが拡散されるため、効率よく空間B全体を清浄な雰囲気にすることができる。
【0056】
本実施形態の基板処理装置1では、モータ24は、チャンバ21内に設けられ、透過窓23を回転させるロータ24bと、チャンバ21外に設けられ、ロータ24bを回転させるステータ24aと、を有することで、ステータ24aは、ロータ24bを非接触状態で回転させることができる。これにより、ステータ24aとロータ24bの接触による粉塵の発生を抑制し、チャンバ21内を清浄な雰囲気に保つことができる。
【0057】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態に係る基板処理装置1について、図7A図7B及び図8を参照して説明する。第2の実施形態では、第1の実施形態と同様の構成要素には第1の実施形態と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。第2の実施形態において第1の実施形態との相違点は、透過窓保持部25に羽根部材25bを設けた点である。
【0058】
第2の実施形態の乾燥処理部20の透過窓保持部25の羽根部材25bは、図7Aに示すように、透過窓保持部25の底面から一部に形成されている。また、図7Bに示すように、羽根部材25bは、径方向に延びるように形成されており、回転方向に弧を描くような形状を成している。さらに、羽根部材25bは、透過窓保持部25の周方向に等間隔で、複数枚形成されている。また、本実施形態では、図7Aに示すように、透過窓保持部25の突起部25aは、第1の実施形態とは異なり、内周側の端部から下方に延びる円筒状の部分を有する。羽根部材25bは、この円筒上の部分とほぼ同じ高さに形成される
【0059】
羽根部材25bが設けられた透過窓保持部25が回転すると、図8に示すように、羽根部材25bの遠心力によって、透過窓保持部25の羽根部材25bの下方のガスが、羽根部材25bを経由して、透過窓保持部25の径方向の外側に放出される気流が発生する。これにより、透過窓23の回転で基板Wから遠ざかるように流れたミストや水蒸気成分等が、さらに径方向の外側に放出され、基板Wへの再付着をさらに防ぐことができる。また、羽根部材25b付近のガスの圧力は、ベルヌーイの定理によって低くなる。そのため、基板Wの表面上との圧力の差によって発生する気流(上昇気流)が、より大きくなる。つまり、基板Wの表面上をより清浄な雰囲気にすることができる。
【0060】
[変形例]
以下、本実施形態に係る基板処理装置1について、変形例を説明する。
【0061】
本実施形態では、透過窓23を回転させるモータ24のステータ24aは、チャンバ21外に設けられ、ロータ24bは、ステータ24aとは非接触状態でチャンバ21内に設けられているが、このような構成に限られない。例えば、モータ24、つまり、ステータ24a及びロータ24bをチャンバ21内に設け、透過窓23を回転させてもよい。
【0062】
また、加熱部211によって基板Wを加熱する前の工程である、基板Wにリンス液を供給する工程の一連、すなわち、(ステップS04)から(ステップS06)を省略してもよい。例えば、基板W上のリンス液の液膜が、加熱部211によって基板Wを加熱する前に最適な厚さであった場合、リンス液供給部28によるリンス液の供給する工程の一連を省略してもよい。なお、レーザー変位計等によって液膜の厚さを検出する検出部を設け、リンス液の液膜が、最適な厚さかどうか判断してもよい。
【0063】
[他の実施形態]
以上、本発明の実施形態及び各部の変形例を説明したが、この実施形態や各部の変形例は、一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上述したこれら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明に含まれる。
【符号の説明】
【0064】
1 基板処理装置
2 FOUP
3 FOUP載置台
4 搬送ロボット
5 搬送レール
6 基板載置台
7 搬送ロボット
8 搬送レール
10 処理チャンバ
11 保持部
12 カップ
13 処理液供給部
14 リンス液供給部
15 搬送扉
20 乾燥処理部
21 チャンバ
22 保持部
23 透過窓
23a 孔
24 モータ
24a ステータ
24b ロータ
25 透過窓保持部
25a 突起部
25b 羽根部材
26 ガス供給部
26a ガス導入口
27 カップ
28 リンス液供給部
29 昇降機構
30 処理液供給源
31 処理液供給管
40 リンス液供給源
41 リンス液供給管
42 リンス液供給管
50 ガス供給源
60 制御部
111 回転テーブル
112 回転軸
113 モータ
114 保持ピン
131 アーム駆動機構
132 揺動アーム
133 処理液吐出ノズル
141 アーム駆動機構
142 揺動アーム
143 リンス液吐出ノズル
211 加熱部
211a ランプ
211b 窓
212 搬送扉
221 回転テーブル
222 回転軸
223 モータ
224 保持ピン
281 アーム駆動機構
282 揺動アーム
283 リンス液吐出ノズル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8