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特開2024-68177クラッチアッセンブリ及びそれを含む回転系
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068177
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】クラッチアッセンブリ及びそれを含む回転系
(51)【国際特許分類】
   F16D 7/02 20060101AFI20240510BHJP
   F16D 1/095 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
F16D7/02 A
F16D1/095
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023188242
(22)【出願日】2023-11-02
(31)【優先権主張番号】63/422528
(32)【優先日】2022-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500124378
【氏名又は名称】ボーグワーナー インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100093861
【弁理士】
【氏名又は名称】大賀 眞司
(74)【代理人】
【識別番号】100129218
【弁理士】
【氏名又は名称】百本 宏之
(72)【発明者】
【氏名】シーゲル,ベンジャミン エー.
(72)【発明者】
【氏名】コウォル,スティーブン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ヴィアーク,デイビット ティー.
(57)【要約】      (修正有)
【課題】改良されたクラッチアセンブリを提供する。
【解決手段】クラッチアセンブリは、第1のシャフト軸に沿って延び、第1のシャフト軸を中心に回転可能な第1のシャフトと、第1のシャフト軸と平行な第2のシャフト軸に沿って延び、第2のシャフト軸を中心に回転可能である第2のシャフトとを含む。また、第1のシャフトに結合され、第1のシャフトとともに回転可能な第1の摩擦部品と、第2のシャフトに結合され、第2のシャフトとともに回転可能な第2の摩擦部品とを含む。さらに、バンドクラッチアセンブリを含む。バンドクラッチアセンブリは、第1及び第2の摩擦部品の周囲に配置された保持バンドと、保持バンドに結合された保持部品とを含む。保持バンドは、第1及び第2の摩擦部品と係合可能であり、保持バンド及び保持部品は、第1及び第2のシャフトの回転中、第1及び第2のシャフトとともに回転可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クラッチアセンブリであって、
第1のシャフト軸に沿って延び、前記第1のシャフト軸を中心に回転可能である第1のシャフトと、
前記第1のシャフト軸と平行な第2のシャフト軸に沿って延び、前記第2のシャフト軸を中心に回転可能である第2のシャフトと、
前記第1のシャフトに結合され、前記第1のシャフトとともに回転可能な第1の摩擦部品と、
前記第2のシャフトに結合され、前記第2のシャフトとともに回転可能である第2の摩擦部品と、
前記第1及び第2の摩擦部品の周囲に配置された保持バンドと、前記保持バンドに結合された保持部品とを備えるバンドクラッチアセンブリとを含み、
前記保持バンドは、前記第1及び第2の摩擦部品と係合可能であり、前記保持バンド及び前記保持部品は、前記第1及び第2のシャフトの回転中に、前記第1及び第2のシャフトとともに回転可能である、クラッチアセンブリ。
【請求項2】
湿式クラッチアセンブリとしてさらに画定される、請求項1に記載のクラッチアセンブリ。
【請求項3】
乾式クラッチアセンブリとしてさらに画定される、請求項1に記載のクラッチアセンブリ。
【請求項4】
前記保持バンドはバンド直径を画定し、前記バンド直径は前記クラッチアセンブリの動作中一定である、先行請求項のいずれか1項に記載のクラッチアセンブリ。
【請求項5】
前記保持バンドは、前記クラッチアセンブリの動作中、前記第1及び第2の摩擦部品と継続的に係合する、請求項1~3のいずれか1項に記載のクラッチアセンブリ。
【請求項6】
前記保持部品は、前記第1及び第2の摩擦部品への前記保持バンドの係合を確保し、前記保持部品は、前記保持バンドの一定の直径を維持する、請求項1~3のいずれか1項に記載のクラッチアセンブリ。
【請求項7】
前記保持部品が保持クランプとしてさらに画定される、請求項1~3のいずれか1項に記載のクラッチアセンブリ。
【請求項8】
前記保持部品はさらに保持ネジとして画定される、請求項1~3のいずれか1項に記載のクラッチアセンブリ。
【請求項9】
前記バンドクラッチアセンブリの回転中に前記保持バンドのバランスを取るために、前記保持バンドに結合された少なくとも1つのバランスマスをさらに含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のクラッチアセンブリ。
【請求項10】
前記第1の摩擦部品は、前記第1のシャフトと一体である、請求項1~3のいずれか1項に記載のクラッチアセンブリ。
【請求項11】
前記第2の摩擦部品は、前記第2のシャフトと一体である、請求項1~3のいずれか1項に記載のクラッチアセンブリ。
【請求項12】
前記保持バンドは、前記第1及び第2の摩擦部品に面する内側バンド表面を有し、前記内側バンド表面はバンド摩擦係数を有し、前記第1の摩擦部品は第1の摩擦係数を有し、前記第2の摩擦部品は第2の摩擦係数を有し、前記第1のシャフトと前記第2のシャフトが回転しているとき、前記第1の摩擦部品と前記内側バンド表面との間の静摩擦係数が除かれると、前記第1のシャフトは前記第2のシャフトよりも速く回転する、請求項1~3のいずれか1項に記載のクラッチアセンブリ。
【請求項13】
請求項1~3のいずれか1項に記載のクラッチアセンブリを備え、前記第1のシャフトに回転トルクを与えるために前記第1のシャフトに結合された第1のトルク部品をさらに備える回転系。
【請求項14】
アセンブリであって、
請求項13に記載の回転系と、
第2のクラッチアセンブリを備える第2の回転系とを含み、前記第2のクラッチアセンブリは、
第1のシャフトと、
前記第2のクラッチアセンブリの前記第1のシャフトと平行な第2のシャフトと、
前記第2のクラッチアセンブリの前記第1のシャフトに結合され、前記第1のシャフトとともに回転可能な第1の摩擦部品と、
前記第2のクラッチアセンブリの前記第2のシャフトに結合され、前記第2のシャフトとともに回転可能な第2の摩擦部品と、
前記第2のクラッチアセンブリの前記第1及び第2の摩擦部品の周囲に配置された第2の保持バンドと、前記第2の保持バンドに結合された第2の保持部品とを備える第2のバンドクラッチアセンブリであって、前記第2のバンドクラッチアセンブリの前記第2の保持バンドは、前記第2のクラッチアセンブリの前記第1及び第2の摩擦部品と係合可能であり、前記第2のバンドクラッチアセンブリの前記第2の保持バンド及び前記第2のバンドクラッチアセンブリの前記第2の保持部品は、前記第2のクラッチアセンブリの前記第1及び第2のシャフトの回転中に、前記第2のクラッチアセンブリの前記第1及び第2のシャフトとともに回転可能である第2のバンドクラッチアセンブリとを含み、
前記第2のクラッチアセンブリの前記第1のシャフトに回転トルクを与えるために、前記第2のクラッチアセンブリの前記第1のシャフトに結合された第2のトルク部品をさらに含む、アセンブリ。
【請求項15】
請求項13に記載の回転系を動作させる方法であって、
前記第1のトルク部品から前記第1のシャフトに伝達する所定量のトルクを決定するステップと、
前記所定量のトルクを超えた場合に、前記第1の摩擦部品が前記保持バンドに対して滑ることを可能にするのに必要な、前記第1の摩擦部品と前記保持バンドとの間の摩擦係数を計算するステップとを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
「関連出願の相互参照」
本特許出願は、2022年11月4日に出願された米国仮特許出願第63/422,528号の優先権及びそのすべての利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般にクラッチアセンブリに関し、具体的には、回転系で使用するクラッチアセンブリに関する。
【背景技術】
【0003】
一般的なクラッチアセンブリは、第1の回転部品、例えば、第1のトルク部品から回転トルクを受ける第1のシャフトから、第2の回転部品、例えば、第2のシャフトにトルクを伝達するために使用される。一般的なクラッチアセンブリは、第1及び第2の回転部品を選択的に回転可能に係合及び係合解除して、回転トルクを第1のシャフトから第2のシャフトに選択的に伝達し、次に、回転トルクを車両の少なくとも1つの車輪に伝達する。近年の電気自動車には、以前よりも高い回転トルクを供給できる電気モータが搭載される。これを考慮して、クラッチアセンブリはより強力になるように設計され、その結果、クラッチアセンブリをトルクスパイクから保護するために、より高価でかさばるクラッチアセンブリが必要になることがよくある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、改良されたクラッチアセンブリが依然として必要とされる。
【0005】
クラッチアセンブリは、第1のシャフト軸に沿って延び、第1のシャフト軸を中心に回転可能な第1のシャフトと、第1のシャフト軸と平行な第2のシャフト軸に沿って延び、第2のシャフト軸を中心に回転可能である第2のシャフトとを含む。クラッチアセンブリは、また、第1のシャフトに結合され、第1のシャフトとともに回転可能な第1の摩擦部品と、第2のシャフトに結合され、第2のシャフトとともに回転可能な第2の摩擦部品とを含む。クラッチアセンブリはさらに、バンドクラッチアセンブリを含む。バンドクラッチアセンブリは、第1及び第2の摩擦部品の周囲に配置された保持バンドと、保持バンドに結合された保持部品とを含む。保持バンドは、第1及び第2の摩擦部品と係合可能であり、保持バンド及び保持部品は、第1及び第2のシャフトの回転中、第1及び第2のシャフトとともに回転可能である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、クラッチアセンブリ及びそれを含む回転アセンブリの斜視図である。
図2図2は、2つの回転アセンブリを含む車両の斜視図である。
図3図3は、クラッチアセンブリの部分断面図である。
図4図4は、クラッチアセンブリのバンドクラッチアセンブリの正面図である。
図5図5は、バンドクラッチアッセンブリの正面図である。
図6図6は、クラッチアセンブリの上面図である。
図7図7は、バンドクラッチアセンブリの側面図である。
図8図8は、バンドクラッチアセンブリの一実施形態の斜視図である。
図9図9は、クラッチアセンブリの一実施形態の分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図面を参照すると、いくつかの図を通して同様の数字は同様の部分を示し、クラッチアセンブリ20が図1に全体的に示される。クラッチアセンブリ20は、第1のシャフト軸SA1に沿って延び、第1のシャフト軸SA1を中心に回転可能な第1のシャフト22と、第1のシャフト軸SA1と平行な第2のシャフト軸SA2に沿って延び、第2のシャフト軸SA2を中心に回転可能である第2のシャフト24とを含む。第1のシャフト軸SA1は、第2のシャフト軸SA2と同軸であってもよい。クラッチアセンブリ20は、通常、第1のシャフト22に結合され、第1のシャフト22とともに回転可能な第1の摩擦部品26と、第2のシャフト24に結合され、第2のシャフト24とともに回転可能な第2の摩擦部品28とを含む。第1の摩擦部品26は、第1のシャフト22と一体(すなわち、ワンピース)であってもよく、又は第1のシャフト22に固定される別個の部品であってもよい。同様に、第2の摩擦部品28は、第2のシャフト24と一体(すなわち、ワンピース)であってもよいし、第2のシャフト24に固定される別個の部品であってもよい。また、理解すべきものとして、クラッチアセンブリ20は、第1の摩擦部品26のみを含んでもよく、第2のシャフト24は、以下でさらに詳細に説明するように、スプライン接続、溶接接続、又は任意の他の適切な剛性接続などを介して、保持バンド32に剛性的に結合されてもよい。このような実施形態では、所定量のトルクを超えると、第1のシャフト22のみが保持バンド32に対して滑るように構成される。
【0008】
クラッチアセンブリ20は、第1及び第2の摩擦部品26、28の周囲に配置された保持バンド32と、保持バンド32に結合された保持部品34とを含むバンドクラッチアセンブリ30をさらに含む。保持バンド32は、第1及び第2の摩擦部品26、28と係合可能であり、保持バンド32及び保持部品34は、第1及び第2のシャフト22、24の回転中、第1及び第2のシャフト22、24とともに回転可能である。一般に、保持バンド32の内面75には、摩擦材料76が配置される。摩擦材料76は、内面75が隆起、溝、圧痕、突起等を有するように、保持バンド32と一体であってもよい。又は、摩擦材料76は、保持バンド32の内面75に接着される保持バンド32とは別の材料であってもよい。理解すべきものとして、クラッチアセンブリ20は、湿式クラッチアセンブリ(すなわち、クラッチアセンブリ内に潤滑剤を含む)であってもよく、又は乾式クラッチアセンブリ(すなわち、クラッチアセンブリ内に潤滑剤がない)であってもよい。第1及び第2の摩擦部品26、28は、ディスク、ドラム、又は保持バンド32が第1及び第2の摩擦部品26、28に接触できるようにする任意の他の適切な構成として構成され得る。ここでも、理解すべきものとして、いくつかの実施形態では、クラッチアセンブリ20は、第2の摩擦部品28ではなく第1の摩擦部品26を含んでもよく、そのような実施形態では、第2のシャフト24は、第1のシャフト22のみが保持バンド32に対して滑ることができるように、スプライン接続、溶接、又は他の適切な剛性接続などによって保持バンド32に剛性的に接続されてもよい。
【0009】
以下、さらに詳細に説明するように、クラッチアセンブリ20はいくつかの利点を提供する。まず、クラッチアセンブリ20は、第1及び第2の摩擦部品26、28と係合可能な保持バンド32を有し、保持バンド32及び保持部品34は、第1及び第2のシャフト22、24の回転中、第1及び第2のシャフト22、24とともに回転可能であり、それにより、クラッチアセンブリ20は、バネ負荷クラッチなどの他のクラッチアセンブリよりも小さなスペースを占める。同様に、いくつかの実施形態では、クラッチアセンブリ20は、第1の摩擦部品26と係合可能な保持バンド32と、保持バンド32に剛性的に結合された第2のシャフト24とを有し、保持バンド32及び保持部品34は、第1及び第2のシャフト22、24の回転中、第1及び第2のシャフト22、24とともに回転可能であり、それにより、クラッチアセンブリ20は、バネ負荷クラッチなどの他のクラッチアセンブリよりも小さなスペースを占める。第2に、バンドクラッチアセンブリ30を有するクラッチアセンブリ20は、保持バンド32と第1の摩擦部品26と、存在する場合には第2の摩擦部品との間の接触領域により、大きな保持容量を可能にする。より具体的には、保持バンド32と第1の摩擦部品26及び任意選択で第2の摩擦部品28との間の摩擦係数を計算する場合、この係数は保持バンド32用の指数であるため、小さなパッケージングで非常に高い容量が得られる。第3に、以下にさらに詳細に説明するように、バンドクラッチアセンブリ30は、第1のシャフト22に与えられる所定のトルクが所定のトルク閾値を超えるとき、少なくとも第1のシャフト22が選択的に滑ることを可能にする。換言すれば、第1のシャフト22に与えられる所定のトルクが所定のトルク閾値を超えたときに第1のシャフト22を選択的に滑らせることにより、クラッチアセンブリ20はトルク遮断装置として機能する。トルク遮断装置は、メカニカルヒューズと呼ばれることもある。次に、トルクが所定のトルク閾値を下回ると、保持バンド32は、以前に滑ったシャフト(すなわち、第1のシャフト22)との回転可能な接続(すなわち、同時に回転)を取り戻し、それにより、第1及び第2のシャフト22、24は、第1及び第2のシャフト軸SA1、SA2の周りで同時に回転する。クラッチアセンブリ20に連動して第1及び第2のシャフト22、24が回転する間、保持バンド32は、通常、第1及び/又は第2のシャフト22、24が滑っている間、第1及び第2の摩擦部品26、28と連続的に係合している。
【0010】
一実施形態では、クラッチアセンブリ20は、第1のシャフト22に回転トルクを提供するために第1のシャフト22に結合された第1のトルク部品40を含む回転系38に含まれてもよい。第1のトルク部品40は、第1の電気モータ44としてさらに画定され得る。第1のシャフト22は、電気モータ44の雄部材であってもよいし、電気モータ44の雄部材に結合されてもよい。このような実施形態では、第1の電気モータ44は、バンドクラッチアセンブリ30を介して第1のシャフト22に、ひいては第2のシャフト24に回転トルクを提供するように構成される。第1の電気モータ44はまた、第1の電気モータ44が発電機としても機能するように、バンドクラッチアセンブリ30を介して第2のシャフト24から提供されるトルクを介して第1のシャフト22から回転トルクを収容し得る。非限定的な例では、回転系38は、二次電池式電気自動車パワートレインとしてさらに画定され得る。回転系38は、トランスファーケース、風力タービン、及びバンドクラッチアセンブリによって互いに結合される第1のシャフト(入力シャフト)及び第2のシャフト(出力シャフト)を有する任意の他の適切なシステムなどの他の用途に使用され得る。
【0011】
保持バンド32は、図5に示すように、第1の摩擦部品26と、第2の摩擦部品28が存在する場合には、第2の摩擦部品28とに面する内側バンド表面48を有する。内側バンド表面48は、バンド摩擦係数を有し、第1の摩擦部品26は第1の摩擦係数を有し、第2の摩擦部品28は第2の摩擦係数を有する。第1のシャフト22及び第2のシャフト24が回転しているとき、第1のトルク部品40から与えられるトルクスパイクによって第1の摩擦部品26と内側バンド表面48との間の静摩擦係数が除かれると、第1のシャフト22は第2のシャフト24よりも速く回転する可能性がある。次に、トルクが第1のトルク部品40から減少すると、保持バンド32は、第1のシャフト22、バンドクラッチアセンブリ30、及び第2のシャフト24が第1及び第2のシャフト軸SA1、SA2の周りで同時に回転するように、第1の摩擦部品26と再係合する。
【0012】
一般的に、保持バンド32はバンド直径BDを画定し、バンド直径BDはクラッチアセンブリ20の動作中一定である。クラッチアセンブリ20が望む様々なパラメータに基づいて、保持バンド32は、第1及び第2の摩擦部品26、28と保持バンド32との間に所望のトルク容量を達成するために、第1及び第2の摩擦部品26、28の周囲に所望の締まりまで締め付けられる。保持クランプ又は保持ネジなどの保持部品34は、保持バンド32を締め付けて、第1の摩擦部品26、及び存在する場合には第2の摩擦部品28と係合状態に保持するために使用される。保持バンド32が第1及び第2の摩擦部品26、28と係合状態に保持されるとき、クラッチアセンブリ20がクラッチアセンブリ20を能動的に作動させるのではなく、受動的にトルクを調整することができるため、クラッチアセンブリ20は、第1及び第2の摩擦部品26、28に対して保持バンド32を係合及び係合解除するための作動装置を必要としない(すなわち、クラッチアセンブリ20には、保持バンド32を作動させる作動装置が不要である)。二次電池式電気自動車パワートレインなどの回転系38におけるクラッチアセンブリ20の用途に応じて、材料及び/又はコーティングの選択、バンドクラッチアセンブリ30が湿式クラッチアセンブリである場合の潤滑剤の選択などによる摩擦係数、保持バンド32の締まり具合、保持バンド32のサイズなどは、所望のトルク容量を達成し、トルク遮断がいつ発生するかを決定するために調整され得る。
【0013】
図4に示すように、クラッチアセンブリ20は、保持バンド32に結合された少なくとも1つのバランスマス36を含み得る。必要に応じて、2つ、3つ、4つなどの任意の数のバランスマスを含めることができることは理解される。バランスマス36は、第1のシャフト22、第2のシャフト24、及びバンドクラッチアセンブリ30が第1及び第2の軸SA1、SA2の周りで回転しているときに、クラッチアセンブリ20のマスのバランスを取るのを助けるために保持バンド32に結合される。
【0014】
回転系38は車両50に使用され得る。このような実施形態では、図2に示されるように、車両50は、回転系38が車両50の第1の車輪52に回転トルクを提供し、第2の回転系56が車両50の第2の車輪54に回転トルクを提供するように、2つの回転系を含むアセンブリ74を含んでもよい。また、そのような実施形態では、第2の回転系56は、第2の車輪54に回転トルクを提供する第2の電気モータ46などの第2のトルク部品42を含んでもよい。クラッチアセンブリ20及び第1のトルク部品40を含む回転系38に関する上記説明は、第2の回転系56にも同様に適用することは理解される。
【0015】
具体的には、第2の回転系56は、互いに同軸で回転可能な第1のシャフト58及び第2のシャフト60を含む第2のクラッチアセンブリ57を含んでもよい。第2のクラッチアセンブリ57はまた、第2のクラッチアセンブリ57の第1のシャフト58に結合され、それとともに回転可能な第1の摩擦部品62と、第2のクラッチアセンブリ57の第2のシャフト60に結合され、それとともに回転可能な第2の摩擦部品64とを含む。第2のクラッチアセンブリ57はさらに、第2のバンドクラッチアセンブリ66を含む。第2のバンドクラッチアセンブリ66は、第2のクラッチアセンブリ57の第1及び第2の摩擦部品62、64の周囲に配置された第2の保持バンド68と、第2の保持バンド68に結合された第2の保持部品70とを含む。第2の保持バンド68は、第2のクラッチアセンブリ57の第1及び第2の摩擦部品62、64と係合可能であり、第2の保持バンド68及び第2の保持部品70は、第2のクラッチアセンブリ57の第1及び第2のシャフト58、60の回転中に、第2のクラッチアセンブリ57の第1及び第2のシャフト58、60とともに回転可能である。クラッチアセンブリ20及び第1のトルク部品40を含む回転系38に関する上記説明は、第2のクラッチアセンブリ57及び第2のトルク部品42を含む第2の回転系56にも同様に適用することは理解される。
【0016】
回転系38を動作させる方法は、第1のトルク部品40から第1のシャフト22に伝達する所定量のトルクを決定するステップと、所定量のトルクを超えた場合に、第1の摩擦部品26が保持バンド32に対して滑ることを可能にするために必要な、第1の摩擦部品26と保持バンド32との間の摩擦係数を計算するステップとを含む。
【0017】
本発明を例示的に説明したが、使用された用語は、限定ではなく説明の言葉としての性質を有することを意図することは理解される。上記教示に照らして、本発明の多くの修正及び変形が可能であり、本発明は、具体的に説明した以外の方法で実施することもできる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9