(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068182
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】プラズマを用いる使用者の皮膚治療装置
(51)【国際特許分類】
A61N 1/44 20060101AFI20240510BHJP
【FI】
A61N1/44
【審査請求】有
【請求項の数】28
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023188489
(22)【出願日】2023-11-02
(31)【優先権主張番号】18/052,572
(32)【優先日】2022-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】523417000
【氏名又は名称】智必立國際生醫股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】李慧芳
(72)【発明者】
【氏名】林▲イク▼廷
(72)【発明者】
【氏名】張君豪
(72)【発明者】
【氏名】劉志東
(72)【発明者】
【氏名】蕭駿平
(72)【発明者】
【氏名】鄭▲イク▼彬
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053MM02
4C053MM05
4C053MM08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】より安全で高い処理効率を有するように工夫されたプラズマを用いて使用者の皮膚を治療する装置を提供する。
【解決手段】本発明において、プラズマを用いて使用者の皮膚を治療する皮膚治療装置100が提供される。前記皮膚治療装置は、プラズマ生成部材と電源とを含む。プラズマ生成部材は、第1表面を含む放電電極と、放電電極の第1表面に設けられている第1誘電体材料層103bと、放電電極を囲む接地電極103cと、放電電極を接地電極から隔てるように囲む絶縁部材103dとを含む。電源は、プラズマ生成部材に電力を供給することで放電電極の第1表面から接地電極及び第1誘電体材料層と使用者の皮膚との間にプラズマを生成するように配置されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマを用いて使用者の皮膚を治療する皮膚治療装置であって、
前記使用者の皮膚に面する第1表面を含む放電電極と、前記放電電極の前記第1表面に設けられている第1誘電体材料層と、前記皮膚治療装置の稼動時に前記放電電極よりも前記使用者の皮膚に近接するように前記放電電極を囲む接地電極と、前記放電電極を前記接地電極から隔てるように囲む絶縁部材と、を含むプラズマ生成部材と、
前記プラズマ生成部材に電力を供給することで前記放電電極の前記第1表面から前記接地電極及び前記第1誘電体材料層と前記使用者の皮膚との間にプラズマを生成するように配置されている電源と、
を含むことを特徴とする皮膚治療装置。
【請求項2】
前記絶縁部材は、約1mm~15mmの厚さを有することを特徴とする請求項1に記載の皮膚治療装置。
【請求項3】
前記第1誘電体材料層は、セラミックス、石英、ガラス、テフロン、シリコン、プラスチックスチール、PP、PC、PE、PET、及びABSからなる群から選ばれる材料を含むことを特徴とする請求項1に記載の皮膚治療装置。
【請求項4】
前記放電電極と前記接地電極との間の電位差は約2kV~4.5kVであることを特徴とする請求項1に記載の皮膚治療装置。
【請求項5】
前記第1誘電体材料層は、約0.1mm~2mmの厚さを有することを特徴とする請求項1に記載の皮膚治療装置。
【請求項6】
前記接地電極の前記使用者の皮膚に面する側に設けられている第2誘電体材料層を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の皮膚治療装置。
【請求項7】
前記第2誘電体材料層は、約5μm~200μmの厚さを有することを特徴とする請求項6に記載の皮膚治療装置。
【請求項8】
前記第2誘電体材料層は、セラミックス、石英、ガラス、テフロン、シリコン、プラスチックスチール、PP、PC、PE、PET、及びABSからなる群から選ばれる材料を含むことを特徴とする請求項7に記載の皮膚治療装置。
【請求項9】
前記第1誘電体材料層と前記使用者の皮膚との間の距離は2mm未満である請求項1に記載の皮膚治療装置。
【請求項10】
プラズマを用いて使用者の皮膚を治療する皮膚治療装置であって、
接地電極と、前記皮膚治療装置の稼動時に前記接地電極よりも前記使用者の皮膚から離れるように前記接地電極を囲む放電電極と、前記放電電極の前記使用者の皮膚に面する第1表面に設けられている第1誘電体材料層と、前記接地電極を前記放電電極から隔てるように囲む絶縁部材と、を含むプラズマ生成部材と、
前記プラズマ生成部材に電力を供給することで前記放電電極の前記第1表面から前記接地電極及び前記第1誘電体材料層と前記使用者の皮膚との間にプラズマを生成するように配置されている電源と、
を含むことを特徴とする皮膚治療装置。
【請求項11】
前記絶縁部材は、約1mm~15mmの厚さを有することを特徴とする請求項10に記載の皮膚治療装置。
【請求項12】
前記第1誘電体材料層は、セラミックス、石英、ガラス、テフロン、シリコン、プラスチックスチール、PP、PC、PE、PET、及びABSからなる群から選ばれる材料を含むことを特徴とする請求項10に記載の皮膚治療装置。
【請求項13】
前記放電電極と前記接地電極との間の電位差は約2kV~4.5kVであることを特徴とする請求項10に記載の皮膚治療装置。
【請求項14】
前記第1誘電体材料層は、約0.1mm~2mmの厚さを有することを特徴とする請求項10に記載の皮膚治療装置。
【請求項15】
前記接地電極の前記使用者の皮膚に面する側に設けられている第2誘電体材料層を更に含むことを特徴とする請求項10に記載の皮膚治療装置。
【請求項16】
前記第2誘電体材料層は、約5μm~200μmの厚さを有することを特徴とする請求項15に記載の皮膚治療装置。
【請求項17】
前記第2誘電体材料層は、セラミックス、石英、ガラス、テフロン、シリコン、プラスチックスチール、PP、PC、PE、PET、及びABSからなる群から選ばれる材料を含むことを特徴とする請求項15に記載の皮膚治療装置。
【請求項18】
前記第1誘電体材料層と前記使用者の皮膚との間の距離は2mm未満である請求項10に記載の皮膚治療装置。
【請求項19】
プラズマを用いて使用者の皮膚を治療する皮膚治療装置であって、
放電電極と、前記放電電極の前記使用者の皮膚に面する第1表面に設けられている第1誘電体材料層と、前記皮膚治療装置の稼動時に前記放電電極よりも前記使用者の皮膚に近接するように前記放電電極に隣接する接地電極と、前記放電電極と前記接地電極とを隔てる絶縁部材と、を含むプラズマ生成部材と、
前記プラズマ生成部材に電力を供給することで前記放電電極の前記第1表面から前記接地電極及び前記第1誘電体材料層と前記使用者の皮膚との間にプラズマを生成するように配置されている電源と、
を含むことを特徴とする皮膚治療装置。
【請求項20】
前記絶縁部材は、約1mm~15mmの厚さを有することを特徴とする請求項19に記載の皮膚治療装置。
【請求項21】
前記第1誘電体材料層は、セラミックス、石英、ガラス、テフロン、シリコン、プラスチックスチール、PP、PC、PE、PET、及びABSからなる群から選ばれる材料を含むことを特徴とする請求項19に記載の皮膚治療装置。
【請求項22】
前記放電電極と前記接地電極との間の電位差は約2kV~4.5kVであることを特徴とする請求項19に記載の皮膚治療装置。
【請求項23】
前記第1誘電体材料層は、約0.1mm~2mmの厚さを有することを特徴とする請求項19に記載の皮膚治療装置。
【請求項24】
前記接地電極の前記使用者の皮膚に面する側に設けられている第2誘電体材料層を更に含むことを特徴とする請求項19に記載の皮膚治療装置。
【請求項25】
前記第2誘電体材料層は、約5μm~200μmの厚さを有することを特徴とする請求項24に記載の皮膚治療装置。
【請求項26】
前記第2誘電体材料層は、セラミックス、石英、ガラス、テフロン、シリコン、プラスチックスチール、PP、PC、PE、PET、及びABSからなる群から選ばれる材料を含むことを特徴とする請求項24に記載の皮膚治療装置。
【請求項27】
前記第1誘電体材料層と前記使用者の皮膚との間の距離は2mm未満である請求項19に記載の皮膚治療装置。
【請求項28】
プラズマを用いて使用者の皮膚を治療する皮膚治療装置であって、
放電電極と、前記放電電極に設けられている第1誘電体材料層と、接地電極と、前記放電電極と前記接地電極とを隔てる絶縁部材とを含むプラズマ生成部材を収容するハウジングを含み、
前記ハウジングは上部において開口を含む突出ヘッド部を有し、
前記開口から前記第1誘電体材料層と、前記接地電極と、前記絶縁部材とが露出することを特徴とする皮膚治療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプラズマを用いる携帯式装置(portable and compact device)に関し、特に、プラズマを用いて使用者の皮膚を治療する携帯式装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラズマは固体、液体、気体に続く物質の第4の基本状態である。教科書では、「荷電粒子及び中性粒子からなる準中性物質であると共に、集団挙動を示す」と定義している。炎、稲妻、オーロラ、太陽の何れもよく見られるプラズマ状態である。一般的に、プラズマの生成は、あるガス塊が外部からエネルギーが印加されて空間中の遊離電子が加速され、そのガス塊に衝突してより多くの荷電粒子、活性粒子及びフリーラジカルが生成するものである。マクロでは、ガス塊は電気的に中性のままであり、プラズマ化の過程でガスはしばしば放電を伴う。
【0003】
プラズマは、プラズマコーティング及びプラズマエッチングなどの半導体製造に広く使用され、また、プラズマ薄型テレビなどの民生用電子機器にも広く使用されている。さらに、プラズマは皮膚の美容、殺菌及び/又は治療の目的でスキンケア市場にも拡大している。
【0004】
例えば、特許文献WO2016/114504A1には携帯式プラズマ皮膚改善装置が開示されている。
図1に示すように、常圧での誘電体バリア放電によりプラズマを生成させて皮膚の状態を改善する。使用者が手で接地部(80)に触れると、ヘッド部(60)の突出部(61)は皮膚と接触し、それと同時に前蓋(40)と後蓋(50)とをしっかり掴む。上プレート(プラズマ生成モジュール(30)の一部であり、
図1には示されていない)と皮膚との間の空間にはプラズマが生成されるが、使用者が接地部分(80)に触れないと、プラズマは生成されない。
【0005】
しかしながら、
図1から分かるように、接地部(80)は、使用者の手によって把持されるように構成されており、使用者が装置を使用して使用者の顔の皮膚に接触すると、使用者の心臓を通る電流の回路が生成されるため、安全上の問題、特に、心臓ペースメーカーが植え込まれた人にとって安全上の問題がある。
【0006】
別の特許文献US2018/0126183A1には、皮膚治療装置(10)が開示されている。
図2に示すように、使用時に、使用者はスイッチによって駆動装置(18)を起動して、且つ装置(10)の皮膚インタフェース(13)は消毒する皮膚領域、例えば傷口に貼り付けて又は接近する。駆動装置(18)を起動すると、駆動装置(18)は低圧電気信号を生成して、その信号をプラグ及びソケット(33、34)を介して変圧器(25)の一次巻線コイル(primary winding coil)に伝送する。変圧器(25)は低圧電気信号をより高い高圧電気信号に変換して、主電極(26)及び皮膚インタフェース電極(27)の間に印加する。これによって放電を発生して、主電極(26)と皮膚インタフェース電極(27)との間に位置する空気を電離させて、皮膚インタフェース電極(27)に低温プラズマを生成する。生成した低温プラズマは皮膚に拡散し、皮膚を消毒することとなる。
【0007】
しかし、
図2から分かるように、放電、すなわちプラズマは、主電極(26)と皮膚インタフェース電極(27)との間に生成されたものであり、プラズマの生成後、一定の距離(
図2のDで示す)拡散した後、使用者の皮膚に達して作用する。このため、先行特許文献US2018/0126183A1において、プラズマ中の滞留時間の短い活性粒子(例えば、水酸基の滞留時間はわずか数十ナノ秒のレベルである)が被処理物表面(例えば人間の皮膚)に伝わらず、治療効果が大きく低下されてしまう。
【0008】
このため、前述の欠点を有しないプラズマを用いて使用者の皮膚を治療する別の携帯式装置が望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、プラズマを用いて使用者の皮膚を治療する従来の装置の欠点に鑑み、より安全で高い処理効率を有するように工夫されたプラズマを用いて使用者の皮膚を治療する装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様では、プラズマを用いて使用者の皮膚を治療する皮膚治療装置であって、使用者の皮膚に面する第1表面を含む放電電極と、放電電極の第1表面に設けられている第1誘電体材料層と、皮膚治療装置の稼動時に放電電極よりも使用者の皮膚に近接するように放電電極を囲む接地電極と、放電電極を接地電極から隔てるように囲む絶縁部材と、を含むプラズマ生成部材と、プラズマ生成部材に電力を供給することで放電電極の第1表面から接地電極及び第1誘電体材料層と使用者の皮膚との間にプラズマを生成するように配置されている電源と、を含むことを特徴とする皮膚治療装置が提供される。
【0011】
本発明の他の一態様では、プラズマを用いて使用者の皮膚を治療する皮膚治療装置であって、接地電極と、皮膚治療装置の稼動時に接地電極よりも使用者の皮膚から離れるように接地電極を囲む放電電極と、放電電極の使用者の皮膚に面する第1表面に設けられている第1誘電体材料層と、接地電極を放電電極から隔てるように囲む絶縁部材と、を含むプラズマ生成部材と、プラズマ生成部材に電力を供給することで放電電極の第1表面から接地電極及び第1誘電体材料層と使用者の皮膚との間にプラズマを生成するように配置されている電源と、を含むことを特徴とする皮膚治療装置が提供される。
【0012】
本発明の他の一態様では、プラズマを用いて使用者の皮膚を治療する皮膚治療装置であって、放電電極と、放電電極の使用者の皮膚に面する第1表面に設けられている第1誘電体材料層と、皮膚治療装置の稼動時に放電電極よりも使用者の皮膚に近接するように放電電極に隣接する接地電極と、放電電極と接地電極とを隔てる絶縁部材と、を含むプラズマ生成部材と、プラズマ生成部材に電力を供給することで放電電極の第1表面から接地電極及び第1誘電体材料層と使用者の皮膚との間にプラズマを生成するように配置されている電源と、を含むことを特徴とする皮膚治療装置が提供される。
【0013】
本発明の他の一態様では、絶縁部材は、約1mm~15mmの厚さを有する。
【0014】
本発明の他の一態様では、第1誘電体材料層は、セラミックス、石英、ガラス、テフロン、シリコン、プラスチックスチール、PP、PC、PE、PET、及びABSからなる群から選ばれる材料を含む。
【0015】
本発明の他の一態様では、放電電極と接地電極との間の電位差は約2kV~4.5kVである。
【0016】
本発明の他の一態様では、第1誘電体材料層は、約0.1mm~2mmの厚さを有する。
【0017】
本発明の他の一態様では、接地電極の使用者の皮膚に面する側に設けられている第2誘電体材料層を更に含む。
【0018】
本発明の他の一態様では、第2誘電体材料層は、約5μm~200μmの厚さを有する。
【0019】
本発明の他の一態様では、第2誘電体材料層は、セラミックス、石英、ガラス、テフロン、シリコン、プラスチックスチール、PP、PC、PE、PET、及びABSからなる群から選ばれる材料を含む。
【0020】
本発明の他の一態様では、前記第1誘電体材料層と前記使用者の皮膚との間の距離は2mm未満である。
【0021】
本発明の他の一態様では、プラズマを用いて使用者の皮膚を治療する皮膚治療装置であって、放電電極と、放電電極に設けられている第1誘電体材料層と、接地電極と、放電電極と接地電極とを隔てる絶縁部材とを含むプラズマ生成部材が収容されているハウジングを含み、ハウジングは上部において開口を含む突出ヘッド部を有し、開口から第1誘電体材料層と、接地電極と、絶縁部材とが露出することを特徴とする皮膚治療装置が提供される。
【0022】
本発明の他の一態様では、プラズマを用いて使用者の皮膚を治療する皮膚治療装置であって、放電電極と、放電電極に設けられている第1誘電体材料層と、接地電極と、放電電極と接地電極とを隔てる絶縁部材と、少なくとも接地電極に設けられている第2誘電体材料層とを含むプラズマ生成部材が収容されているハウジングを含み、ハウジングは上部において開口を含む突出ヘッド部を有し、開口から少なくとも第1誘電体材料層と、第2誘電体材料層とが露出することを特徴とする皮膚治療装置が提供される。
【発明の効果】
【0023】
本発明によると、より安全で高い処理効率を有するように工夫されたプラズマを用いて使用者の皮膚を治療することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】従来の携帯式プラズマ皮膚改善装置(特許文献WO2016/114504A1の
図2に示すもの)を示す図である。
【
図2】従来の皮膚治療装置(特許文献US2018/0126183A1の
図3に示すもの)を示す図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係るプラズマを用いて使用者の皮膚を治療する携帯式装置の外観を示す図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係るプラズマを用いて使用者の皮膚を治療する携帯式装置の内部部材を示す図である。
【
図5A】本発明の第1実施形態に係るプラズマを用いて使用者の皮膚を治療する携帯式装置のプラズマ生成部材の一部の構造を示す平面図である。
【
図5B】本発明の第1実施形態に係るプラズマを用いて使用者の皮膚を治療する携帯式装置のプラズマ生成部材の一部の構造を示す断面図である。
【
図6】出力モード(デューティサイクル)とプラズマの強度との関係を示すグラフである。
【
図7】出力モード(デューティサイクル)とプラズマ電力の出力との関係を示すグラフである。
【
図8】本発明の第2実施形態に係るプラズマを用いて使用者の皮膚を治療する携帯式装置の外観を示す図である。
【
図9A】本発明の第2実施形態に係るプラズマを用いて使用者の皮膚を治療する携帯式装置のプラズマ生成部材の一部の構造を示す平面図である。
【
図9B】本発明の第2実施形態に係るプラズマを用いて使用者の皮膚を治療する携帯式装置のプラズマ生成部材の一部の構造を示す断面図である。
【
図10】本発明の第2誘電体材料層の厚さとプラズマ電流の出力との関係を示すグラフである。
【
図11A】本発明の第3実施形態に係るプラズマを用いて使用者の皮膚を治療する携帯式装置のプラズマ生成部材の一部の構造を示す平面図である。
【
図11B】本発明の第3実施形態に係るプラズマを用いて使用者の皮膚を治療する携帯式装置のプラズマ生成部材の一部の構造を示す断面図である。
【
図12】本発明の第4実施形態に係るプラズマを用いて使用者の皮膚を治療する携帯式装置の外観を示す図である。
【
図13】本発明の第4実施形態に係るプラズマを用いて使用者の皮膚を治療する携帯式装置の内部部材を示す図である。
【
図14A】本発明の第4実施形態に係るプラズマを用いて使用者の皮膚を治療する携帯式装置のプラズマ生成部材の一部の構造を示す平面図である。
【
図14B】本発明の第4実施形態に係るプラズマを用いて使用者の皮膚を治療する携帯式装置のプラズマ生成部材の一部の構造を示す断面図である。
【
図14C】本発明の他の実施形態に係るプラズマを用いて使用者の皮膚を治療する携帯式装置のプラズマ生成部材の一部の構造を示す断面図である。
【
図15】本発明の第1実施形態の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の本質、利点、及び好ましい実施形態を十分に理解するために、添付の図面を参照することにより、以下の詳細な説明をより明確に理解することができる。
【0026】
以下、本発明の好ましい実施形態及び図面を参照しながら本発明を説明する。また、本発明は、以下の実施形態に限定されることを意図するものではなく、本明細書で開示された原則に従うものである。さらに、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本明細書の開示に従って様々な改良又は変更を加えて、それを本発明の要旨及び範囲、並びに添付の特許請求の範囲に含めることができる。
【0027】
(第1実施形態)
図3、4、5A及び5Bを参照しながら第1実施形態を説明する。
図3は本発明の第1実施形態に係るプラズマを用いて使用者の皮膚を治療する携帯式装置(100)の外観を示す図である。
図4は本発明の第1実施形態に係る携帯式装置(100)の内部部材を示す図である。
図5A及び5Bはそれぞれ本発明の第1実施形態に係る携帯式装置(100)のプラズマ生成部材の一部の構造を示す平面図、及びプラズマ生成部材の一部の構造を示すA-A矢視断面図である。
【0028】
まず、
図3及び
図4に示すように、プラズマを用いて使用者の皮膚を治療する携帯式装置(100)は、ハウジング(101)と、ハウジング(101)の上部に位置する突出ヘッド部(102)とを含む。使用者が携帯式装置(100)を把握して使用する時、突出ヘッド部(102)を使用者の皮膚に接触することとなる。携帯式装置(100)は、プラズマ生成部材(103)と、ハウジング(101)中のプラズマ生成部材(103)に接続される電源(104)とを含む。
【0029】
図5A及び5Bに示すように、プラズマ生成部材(103)は、使用者の皮膚(90)に面する第1表面を含む放電電極(103a)と、放電電極(103a)の第1表面に設けられている第1誘電体材料層(103b)と、装置の稼動時に放電電極(103a)よりも使用者の皮膚(90)に近接するように放電電極(103a)を囲む接地電極(103c)と、放電電極(103a)を接地電極(103c)から隔てるように囲む絶縁部材(103d)と、を含む。絶縁の性質及びプラズマの強度を考慮すると、絶縁部材(103d)は、約1mm~15mmの厚さ(放電電極と接地電極とを隔てる距離)を有することが好ましく、約3mm~10mmの厚さを有することがより好ましい。第1誘電体材料層(103b)は、セラミックス、石英、ガラス、テフロン、シリコン、プラスチックスチール、PP、PC、PE、PET、及びABSからなる群から選ばれる材料により形成され、約0.1mm~2mmの厚さを有することが好ましい。
【0030】
携帯式装置(100)を使用する時、電源(104)からプラズマ生成部材(103)に電力を供給することで、放電電極(103a)と接地電極(103c)との間に好ましいは約2kV~4.5kV、より好ましいは約2.5kV~4kVの電位差を発生させることにより、放電電極(103a)の第1表面から接地電極(103c)及び第1誘電体材料層(103b)と使用者の皮膚(90)との間にプラズマを生成する。
図6及び
図7に示すように、電源(104)の出力モード(デューティサイクル)を調整することで、プラズマの強度と電力の出力を制御して適切なプラズマ電流の出力となるように制御することができる。
【0031】
突出ヘッド部(102)は、プラズマ生成部材(103)を収容して第1誘電体材料層(103b)と、絶縁部材(103d)と、接地電極(103c)とを外に露出させることができるように円形状の開口を有する。携帯式装置(100)を使用する時、絶縁部材(103d)と接地電極(103c)を使用者の皮膚に接触する。第1誘電体材料層(103b)は使用者の皮膚(90)との間に所定の距離(D1)(放電距離と称することができる)を有することが好ましい。これにより、第1誘電体材料層(103b)と、絶縁部材(103d)と、使用者の皮膚(90)とからなる空間にプラズマを生成することができる。D1は2mm未満であることが好ましく、約0.3mm~1.2mmであることがより好ましい。
【0032】
図4に戻って、使用者が携帯式装置(100)を使用して顔の皮膚(又は皮膚)を治療する時、接地電極(103c)を使用者の顔の皮膚に接触する。使用者の顔の皮膚は接地されると見なすことができるため、放電電極(103a)から使用者の顔の皮膚及び接地電極(103c)に流れる電流の回路(105)が発生することとなる。電流の回路(105)は使用者の顔の領域に安全的に制限されるため、電流は使用者の心臓に流れることはない。また、電流の回路(105)は使用者の皮膚(90)に直接に発生するものであるため、プラズマの強度がかなり良いものである。
【0033】
(第2実施形態)
図8、9A及び9Bを参照しながら第2実施形態を説明する。
図8は本発明の第2実施形態に係るプラズマを用いて使用者の皮膚を治療する携帯式装置(200)の外観を示す図である。
図9A及び9Bはそれぞれ本発明の第2実施形態に係る携帯式装置(200)のプラズマ生成部材の一部の構造を示す平面図、及びプラズマ生成部材の一部の構造を示すA-A矢視断面図である。第2実施形態において、第1実施形態と同様又は対応する部材は同様又は対応する符号が付与される。
【0034】
図8及び
図9A~9Bに示すように、プラズマを用いて使用者の皮膚を治療する携帯式装置(200)は、ハウジング(101)と、ハウジング(101)の上部に位置する突出ヘッド部(102)とを含む。使用者が携帯式装置(200)を把握して使用する時、突出ヘッド部(102)を使用者の皮膚に接触することとなる。携帯式装置(200)は、プラズマ生成部材と、ハウジング(101)中のプラズマ生成部材に接続される電源とを含む。携帯式装置(200)の電源は第1実施形態において説明した電源(104)と同様であり、また、携帯式装置(200)のプラズマ生成部材は第1実施形態において説明したプラズマ生成部材(103)と同様である。異なる部分は、少なくとも接地電極(103c)の使用者の皮膚(90)に面する側に設けられている第2誘電体材料層(103e)を更に含むことだけである。或いは、
図9Bに示すように、第2誘電体材料層(103e)は接地電極(103c)及び絶縁部材(103d)の使用者の皮膚(90)に面する側に設けられてもよい。第2誘電体材料層(103e)は、セラミックス、石英、ガラス、テフロン、シリコン、プラスチックスチール、PP、PC、PE、PET、及びABSからなる群から選ばれる材料により形成され、約5μm~200μmの厚さを有することが好ましい。なお、説明すべきことは、使用者はプラズマ電流の出力の強度を感じ取ることができる。
図10から分かるように、第2誘電体材料層の厚さを調整することでプラズマ電流の出力を制御することができる。電流の出力が大きすぎると、使用者が不快感を感じるが、電流の出力が小さすぎると、プラズマ電力が弱くなることに伴って、プラズマによる治療の効果も低下することとなる。故に、誘電体材料層の適切な厚さは使用者体験と効果とのバランスを取るためのキーファクタである。
【0035】
突出ヘッド部(102)は、プラズマ生成部材を収容して第1誘電体材料層(103b)と、第2誘電体材料層(103e)とを外に露出させることができるように円形状の開口を有する。携帯式装置(200)を使用する時、第2誘電体材料層(103e)を使用者の皮膚に接触する。第1誘電体材料層(103b)は使用者の皮膚(90)との間に所定の距離(D1)を有することが好ましい。これにより、第1誘電体材料層(103b)と、絶縁部材(103d)と、第2誘電体材料層(103e)と、使用者の皮膚(90)とからなる空間にプラズマを生成することができる。D1は2mm未満であることが好ましく、約0.3mm~1.2mmであることがより好ましい。
【0036】
使用者が携帯式装置(200)を使用して顔の皮膚を治療する時、第2誘電体材料層(103e)を使用者の顔の皮膚に接触する。第2誘電体材料層(103e)及び使用者の顔の皮膚は接地されると見なすことができるため、放電電極(103a)から第2誘電体材料層(103e)、使用者の顔の皮膚及び接地電極(103c)に流れる電流の回路が発生することとなる。電流の回路は使用者の顔の領域に安全的に制限されるため、電流は使用者の心臓に流れることはない。また、プラズマ及び電流の回路は使用者の皮膚(90)に直接に発生するものであり、反応性ラジカルが皮膚に直接に生成して作用するため、滞留時間の問題がなく、プラズマの効果が明らかなものとなる。
【0037】
(第3実施形態)
図11A及び11Bを参照しながら第3実施形態を説明する。
図11A及び11Bはそれぞれ本発明の第3実施形態に係る携帯式装置のプラズマ生成部材の一部の構造を示す平面図、及びプラズマ生成部材の一部の構造を示すA-A矢視断面図である。第3実施形態において、第1又は第2実施形態と同様又は対応する部材は同様又は対応する符号が付与される。
【0038】
本発明の第3実施形態に係るプラズマを用いて使用者の皮膚を治療する携帯式装置の構造及び構成要素は、第1又は第2実施形態に係る携帯式装置(100)又は携帯式装置(200)の構造及び構成要素と同様である。異なる部分は、D1、及び、突出ヘッド部は、プラズマ生成部材を収容して、
図3、4及び5に示すように第1誘電体材料層(103b)と、絶縁部材(103d)と、接地電極(103c)とを外に露出させ、又は、
図8及び9A~9Bに示すように第1誘電体材料層(103b)と、第2誘電体材料層(103e)とを外に露出させることができるように方形状(square)の開口を有することだけである。
【0039】
説明の簡略化のために、同様の部材に対する説明を省略する。
【0040】
注意すべきことは、突出ヘッド部の形状及び/又は突出ヘッド部が有する開口の形状は同様又は相似とは限らず、プラズマを用いて使用者の皮膚を治療する携帯式装置のニーズ及びデザインに基づいて変更することができる。例えば、突出ヘッド部の形状は楕円形状、矩形状、多辺形、星形に形成されていると共に、突出ヘッド部が有する開口の形状は菱形状に形成されていてもよく、又は、突出ヘッド部の形状は円形状に形成されていると共に、突出ヘッド部が有する開口の形状は楕円形状、矩形状、多辺形、星形、菱形状に形成されていてもよい。
【0041】
(第4実施形態)
図12、13及び14A~14Cを参照しながら第4実施形態を説明する。
図12は本発明の第4実施形態に係るプラズマを用いて使用者の皮膚を治療する携帯式装置(300)の外観を示す図である。
図13は本発明の第4実施形態に係る携帯式装置(300)の内部部材を示す図である。
図14A及び14Bはそれぞれ本発明の第4実施形態に係るプラズマを用いて使用者の皮膚を治療する携帯式装置(300)のプラズマ生成部材の一部の構造を示す平面図、及びプラズマ生成部材の一部の構造を示すA-A矢視断面図である。第4実施形態において、第1、第2又は第3実施形態と同様又は対応する部材は同様又は対応する符号が付与される。
【0042】
図12及び
図13に示すように、プラズマを用いて使用者の皮膚を治療する携帯式装置(300)は、ハウジング(101)と、ハウジング(101)の上部に位置する突出ヘッド部(102)とを含む。使用者が携帯式装置(300)を把握して使用する時、突出ヘッド部(102)を使用者の皮膚に接触することとなる。携帯式装置(300)は、プラズマ生成部材(103)と、ハウジング(101)中のプラズマ生成部材(103)に接続される電源(104)とを含む。携帯式装置(300)ののプラズマ生成部材(103)は第1実施形態において説明したプラズマ生成部材(103)と同様である。異なる部分は、放電電極(103a)が皮膚治療装置(300)の稼動時に接地電極(103c)よりも使用者の皮膚から離れるように接地電極(103c)を囲むことだけである。
【0043】
図14A~14Cに示すように、突出ヘッド部(102)は、プラズマ生成部材(103)が設置され第1誘電体材料層(103b)と、絶縁部材(103d)と、接地電極(103c)とを外に露出させることができるように円形状の開口を有する。携帯式装置(300)を使用する時、接地電極(103c)を使用者の皮膚に接触する。第1誘電体材料層(103b)は使用者の皮膚(90)との間に所定の距離(D1)を有することが好ましい。これにより、第1誘電体材料層(103b)と、絶縁部材(103d)と、使用者の皮膚(90)とからなる空間にプラズマを生成することができる。D1は2mm未満であることが好ましく、約0.3mm~1.2mmであることがより好ましい。
【0044】
図13に戻って、使用者が携帯式装置(300)を使用して顔の皮膚を治療する時、接地電極(103c)を使用者の顔の皮膚に接触する。使用者の顔の皮膚は接地されると見なすことができるため、放電電極(103a)から使用者の顔の皮膚及び接地電極(103c)に流れる電流の回路(105’)が発生することとなる。電流の回路(105’)は使用者の顔の領域に安全的に制限されるため、電流は使用者の心臓に流れることはない。また、プラズマ及び電流の回路(105’)は使用者の皮膚(90)に直接に発生するものであり、反応性ラジカルが皮膚に直接に生成して作用するため、滞留時間の問題がなく、プラズマの効果が明らかなものとなる。第1実施形態に係る電流の回路(105)と比較すると、放電電極(103a)と接地電極(103c)との位置が逆になり、電流の流れ方向が異なるが、治療領域に制限されて他の位置(例えば、心臓)に流れることがないため、使用上の安全性が非常に高いことが分かるようになる。
【0045】
注意すべきことは、
図14Cに示すように、第2実施例と同様に、少なくとも接地電極(103c)の使用者の皮膚(90)に面する側に設けられている第2誘電体材料層(103e)を更に含むことができる。或いは、第2誘電体材料層(103e)は接地電極(103c)及び絶縁部材(103d)の一側に設けられてもよい。また、第2実施例と同様に、該一側は使用者の皮膚に面する側であってもよい。
【0046】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、前記内容が様々な装置、環境、及び状況において使用され得ることを容易に認識することができる。例えば、接地電極は必ず放電電極を囲む必要はなく、その逆も同様である。接地電極及び放電電極は、互いに隣接する(
図15を参照)と共に、絶縁部材によって隔てられるように工夫されることができる。
【0047】
本開示は、具体的な実施形態となるように記載されているものであるが、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、様々な変更及び改良を加えることができる。その目的は、本開示が添付の特許請求の範囲に属する変更及び改良などを含むものとなるようにすることである。
【符号の説明】
【0048】
10 皮膚治療装置
13 皮膚インタフェース
18 駆動装置
25 変圧器
26 主電極
27 皮膚インタフェース電極
30 プラズマ生成モジュール
33 ソケット
34 ソケット
40 前蓋
50 後蓋
60 ヘッド部
61 突出部
80 接地部
90 使用者の皮膚
100 携帯式装置
101 ハウジング
102 突出ヘッド部
103 プラズマ生成部材
103a 放電電極
103b 第1誘電体材料層
103c 接地電極
103d 絶縁部材
103e 第2誘電体材料層
104 電源
105 電流の回路
105’ 電流の回路
200 携帯式装置
300 携帯式装置
D 距離
D1 距離
【外国語明細書】