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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068184
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】履物
(51)【国際特許分類】
   A43B 3/00 20220101AFI20240510BHJP
   A43B 23/02 20060101ALI20240510BHJP
   A43B 23/24 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
A43B3/00 103E
A43B23/02 108
A43B23/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023188653
(22)【出願日】2023-11-02
(31)【優先権主張番号】P 2022177390
(32)【優先日】2022-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】507001807
【氏名又は名称】森本 桂一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(72)【発明者】
【氏名】森本 桂一郎
【テーマコード(参考)】
4F050
【Fターム(参考)】
4F050AA15
4F050BD11
4F050BD15
4F050GA30
(57)【要約】
【課題】スニーカの雰囲気を有する新たなファッション要素となる履物(例えば、草履)を提供する。
【解決手段】基台(10)と鼻緒(11)とを有する履物(101)である。鼻緒(11)は、前坪(12)と、前坪(12)から左右後方に向かって延びる一対の鼻緒左部分(13)と鼻緒右部分(13)とを有し、鼻緒左部分(13)と鼻緒右部分(13)はそれぞれ、履物の前後方向に間隔をあけて設けられた複数の紐係合部(17)を有する。履物は、紐係合部(17)に紐(23)が掛けられることにより、スニーカのような雰囲気を醸し出し、新たなファッションの要素を提供する。需要者は、履物(101)にあわせて和服をアレンジし、斬新な和服ファッションを提供する機会が得られる。また、新たな和服ファッションは、新たな需要者層を開拓するだけでなく、和装製品を扱う産業の振興を促す。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
足を載せる基台(10)と、前記基台(10)に留められて前記基台(10)の上に載せられた足に係合して足を保持する鼻緒(11)とを有する履物(101)であって、
前記鼻緒(11)は、前坪(12)と、前記前坪(12)から左右後方に向かって延びる一対の鼻緒左部分(13)と鼻緒右部分(13)とを有し、
前記鼻緒左部分(13)と前記鼻緒右部分(13)はそれぞれ、前記履物(101)の前後方向に間隔をあけて設けられた複数の紐係合部(17)を有する、履物。
【請求項2】
前記鼻緒左部分(13)の前記複数の紐係合部(17)と前記鼻緒右部分(13)の前記複数の紐係合部(17)に交互に係合して前記鼻緒左部分(13)と前記鼻緒右部分(13)を互いに連結する紐(23)を有する、請求項1に記載の履物。
【請求項3】
前記鼻緒左部分(13)と前記鼻緒右部分(13)はそれぞれ、本体部分(14)と、前記本体部分(14)から突出する突出片(19)とを有し、
前記突出片(19)に前記紐係合部(17)が設けられている、請求項1に記載の履物。
【請求項4】
前記紐係合部(17)の基台側には、前記鼻緒左部分(13)と前記鼻緒右部分(13)を互いに連結して、前記基台(10)に載せられた足の一部を覆う舌部(22)が設けられている、請求項3に記載の履物。
【請求項5】
前記紐係合部(17)は前記鼻緒(11)に設けられた紐通し孔(18)である、請求項1~4のいずれかに記載の履物。
【請求項6】
前記紐係合部(17)は、帯状部材を折り返して構成され且つ前記帯状部材の両端部が前記鼻緒に連結されたループ(24)である、請求項1~4のいずれかに記載の履物。
【請求項7】
前記紐係合部(17)は、コ字型の形状を有し、縦方向に延在するウェブと、前記ウェブの上端と下端から前記ウェブに直交する方向に並列に延在する上下のフランジとを有し、前記上下のフランジの末端を前記草履の中心に向けた状態で、前記下のフランジを前記鼻緒に固定されたフック(25)である、請求項1~4のいずれかに記載の履物。
【請求項8】
足を載せる基台(32)と、前記基台(32)に留められて前記基台(32)の上に載せられた足に係合して足を保持する左右の鼻緒(33)とを有する草履(31)に着脱可能に取り付けられる装飾(40)であって、
前記装飾(40)は、
前記左右の鼻緒(33)の間に配置される覆い片(41)と、
一端部(54)が前記覆い片(41)の左右に連結されており、前記覆い片(41)が前記左右の鼻緒(33)の間に配置された状態で、前記覆い片(41)から前記左右の鼻緒(33)のそれぞれの内面(35)、底面及び外面(37)へと順次装着される左右一対の連結片(51)とを備え、
前記左右一対の連結片(51)が連結手段によって互いに連結されるように構成された草履用の装飾(40)。
【請求項9】
草履(31)に着脱自在に取り付けされる装飾(40)であって、
前記草履(31)の左右の鼻緒(33)の間に配置される覆い片(41)と、
前記覆い片(41)の左右縁部(42)に固定された左右一対の連結片(51)を備え、
前記装飾(40)は、前記覆い片(41)を前記草履(31)の前記左右の鼻緒(33)の上に配置された状態で、前記左右一対の連結片(51)が前記左右の鼻緒(33)のそれぞれの内面(35)、底面、及び外面(37)に沿わせた状態で前記左右の鼻緒(33)に装着され、前記左右一対の連結片(51)が連結手段によって互いに連結されるように構成されている草履用の装飾(40)。
【請求項10】
草履(31)に着脱自在に取り付けられる装飾(40)であって、
前記草履(31)の左右の鼻緒(33)の間に配置される覆い片(41)と、
前記覆い片(41)の左右縁部(42)にそれぞれ固定された左右一対の連結片(51)を備え、
前記左右一対の連結片(51)はそれぞれ、第1面(52)と第2面(53)を有し、
前記左右一対の連結片(51)はそれぞれ、前記第1面(52)を前記連結片(51)の裏面に接した状態で、一端部(54)が前記覆い片(51)の左右縁部(42)に揃えて固定されており、
前記左右一対の連結片(51)はそれぞれ、前記第2面(53)が前記左右の鼻緒(33)の内面(35)から底面を介して外面(37)へと沿って配置されるように構成されており、
前記左右一対の連結片(51)が連結手段によって互いに連結されるように構成されている、草履用の装飾(40)。
【請求項11】
前記連結手段が、前記左右一対の連結片(51)のそれぞれに形成された紐孔(57)を有し、
前記左右一対の連結片(51)が前記紐孔(57)に通す紐(71)によって互いに連結されるように構成されている、請求項8から10のいずれかに記載の草履用の装飾(40)。
【請求項12】
前記連結手段が、前記左右一対の連結片(51)の前記紐孔(57)に通す紐(71)を含む、請求項11に記載の草履用の装飾(40)。
【請求項13】
請求項12の装飾(40)が、前記左右一対の連結片(51)と前記紐(71)によって前記草履(31)の前記左右の鼻緒(33)に取り付けられている装飾履物(40)。
【請求項14】
前記連結手段が、前記左右一対の連結片(51)に設けられたホック、ボタン、スナップ又は面ファスナを含む、請求項8から10のいずれかに記載の草履用の装飾。
【請求項15】
請求項14の装飾が前記連結手段によって前記草履(31)の前記左右の鼻緒(33)に取り付けられている装飾履物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は履物に関する。本発明はまた、人が足を載せる基台と、基台の上に載せられた足を保持するための鼻緒とを有する履物(例えば、草履、下駄)、履物に取り付ける装飾、および装飾を取り付けた装飾履物に関する。
【背景技術】
【0002】
履物、特に和装用の草履は、人が足を載せる草履台と、草履台の上に載せられた人の足を草履台の上に保持するための鼻緒から構成されている。この構成は、デザインに大きな変化を加えることなく、古来受け継がれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一方、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)等の急速な発展に伴い、日本古来の伝統的ファッションにも大きな変化が望まれている。特に、インスタグラム(登録商標)の発達は、ファッション界に大きな革命を起こし、実用的側面だけでなく、または実用的側面とは別に、「見栄え」の良さがフォロワーの数を増やし、それが購買意欲を活性して、伝統的な日本文化を支える産業界の発展にも繋がるものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
このような観点から、本発明は、伝統的な履物に大きな変革をもたらす新たなデザインの履物、特にスニーカ風の履物を提供することを目的とするものである。
【0005】
そのため、本発明の実施形態である履物は、足を載せる基台(10)と、前記基台(10)に留められて前記基台(10)の上に載せられた足に係合して足を保持する鼻緒(11)とを有する履物(101)であって、
前記鼻緒(11)は、前坪(12)と、前記前坪(12)から左右後方に向かって延びる一対の鼻緒左部分(13)と鼻緒右部分(13)とを有し、
前記鼻緒左部分(13)と前記鼻緒右部分(13)はそれぞれ、前記履物(101)の前後方向に間隔をあけて設けられた複数の紐係合部(17)を有する、
ことを特徴とする。
【0006】
本発明の他の形態1は、前記鼻緒左部分(13)の前記複数の紐係合部(17)と前記鼻緒右部分(13)の前記複数の紐係合部(17)に交互に係合して前記鼻緒左部分(113)と前記鼻緒右部分(13)を互いに連結する紐(23)を有する。
【0007】
本発明の他の形態2は、前記鼻緒左部分(13)と前記鼻緒右部分(13)はそれぞれ、本体部分(14)と、前記本体部分(14)から突出する突出片(19)とを有し、
前記突出片(19)に前記紐係合部(17)が設けられている。
【0008】
本発明の他の形態3は、前記紐係合部(17)の基台側には、前記鼻緒左部分(13)と前記鼻緒右部分(13)を互いに連結して、前記基台(10)に載せられた足の一部を覆う舌部(22)が設けられている。
【0009】
本発明の他の形態4は、前記紐係合部(17)は前記鼻緒(11)に設けられた紐通し孔(18)である。
【0010】
本発明の他の形態5は、前記紐係合部(17)は、帯状部材を折り返して構成され且つ前記帯状部材の両端部が前記鼻緒に連結されたループ(24)である。
【0011】
本発明の他の形態6は、前記紐係合部(17)は、コ字型の形状を有し、縦方向に延在するウェブと、前記ウェブの上端と下端から前記ウェブに直交する方向に並列に延在する上下のフランジとを有し、前記上下のフランジの末端を前記草履の中心に向けた状態で、前記下のフランジを前記鼻緒に固定されたフック(25)である。
【0012】
これら複数の他の形態1~7は、実施形態に単独で組み入れることができるし、複数の他の形態1~7を任意に組み合わせて実施形態に組み入れることも可能であり、それらの組み合わせはいずれも本発明の範囲に含まれるものと理解すべきである。
【発明の効果】
【0013】
このように構成された履物(101)は、紐係合部(17)に紐(23)が掛けられることにより、スニーカのような雰囲気を醸し出し、新たなファッション要素を提供する。そのため、需要者は、履物(101)にあわせて和服をアレンジし、斬新な和服ファッションを提供する機会が得られる。また、新たな和服ファッションは、新たな需要者層を開拓するだけでなく、和装製品を扱う産業の振興を促す。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の実施形態1に係る草履(左足用の草履)を斜め前方上方から見た前方斜視図。
図2図2は、図1の草履を斜め後方上方から見た後方斜視図。
図3図3は、図1の草履を左横から見た左側面図。
図4図4は、図1の草履を右横から見た右側面図。
図5図5は、図1の草履を上方から見た平面図
図6図6は、図1の草履を下方から見た底面図。
図7図7は、図1の草履を後方から見た背面図。
図8図8は、図1の草履を前方から見た正面図。
図9図9は、図1の草履から紐を外した部分を斜め前方上方から見た前方斜視図。
図10図10は、図1の草履から紐を外した部分を上方から見た平面図。
図11図11は、図1から符号と引き出し線を除いた、草履の前方斜視図。
図12図12は、図2から符号と引き出し線を除いた、草履の後方斜視図。
図13図13は、図3から符号と引き出し線を除いた、草履の左側面図。
図14図14は、図4から符号と引き出し線を除いた、草履の右側面図。
図15図15は、図5から符号と引き出し線を除いた、草履の平面図
図16図16は、図6から符号と引き出し線を除いた、草履の底面図。
図17図17は、図7から符号と引き出し線を除いた、草履の背面図。
図18図18は、図8から符号と引き出し線を除いた、草履の正面図。
図19図19は、図9から符号と引き出し線を除いた、草履の前方斜視図。
図20図20は、図10から符号と引き出し線を除いた、草履の平面図。
図21図21は、本発明の実施形態1に係る草履(左足用の草履)を斜め前方上方から見た前方斜視図。
図22図22は、図21の草履を斜め後方上方から見た後方斜視図。
図23図23は、図21の草履を左横から見た左側面図。
図24図24は、図21の草履を右横から見た右側面図。
図25図25は、図21の草履を上方から見た平面図
図26図26は、図21の草履を下方から見た底面図。
図27図27は、図21の草履を後方から見た背面図。
図28図28は、図21の草履を前方から見た正面図。
図29図29は、図21の草履から紐を外した部分を斜め前方上方から見た前方斜視図。
図30図30は、図21の草履から紐を外した部分を上方から見た平面図。
図31図31は、図21から符号と引き出し線を除いた、草履の前方斜視図。
図32図32は、図22から符号と引き出し線を除いた、草履の後方斜視図。
図33図33は、図23から符号と引き出し線を除いた、草履の左側面図。
図34図34は、図24から符号と引き出し線を除いた、草履の右側面図。
図35図35は、図25から符号と引き出し線を除いた、草履の平面図
図36図36は、図26から符号と引き出し線を除いた、草履の底面図。
図37図37は、図27から符号と引き出し線を除いた、草履の背面図。
図38図38は、図28から符号と引き出し線を除いた、草履の正面図。
図39図39は、図29から符号と引き出し線を除いた、草履の前方斜視図。
図40図40は、図30から符号と引き出し線を除いた、草履の平面図。
図41図41は、環状ループの紐係合部を示す斜視図。
図42図42は、コ字型フックの紐係合部を示す斜視図。
図43図43は、実施形態3に係る装飾履物の斜視図。
図44図44は、図43に示す草履の平面図。
図45図45は、図44の草履に取り付ける装飾部分本体を斜め上方から見た斜視図。
図46図46は、図44の草履に取り付ける装飾部分本体を斜め下方から見た斜視図。
図47図44の草履に図45,46の装飾部分本体を載せた平面図。
図48図47の装飾部分本体に紐を通す状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る草履の実施形態を説明する。
【0016】
[実施形態1]
図1図10は、実施形態1の履物(装飾履物)を示す。実施形態1において、履物は草履101、特に和装用の草履である。
【0017】
草履101は、人が足を載せる基台(以下の説明では「草履台」という。)10と、草履台10の上に載せられた足を草履台10に保持する鼻緒11を有する。
【0018】
鼻緒11は、草履台10に載せられた足の第一趾と第二趾によって挟まれる部分(前坪)12と、前坪12から二股に分かれ左右後方に向かって延在する左右一対の鼻緒左部分13と鼻緒右部分13を有する。図示しないが、前坪12の前端部分(前緒)は草履台10の前部に設けた前孔15に通されて結ばれ(固定され)、鼻緒左部分13と鼻緒右部分13の後端部分(後緒)は草履台10の後部に設けた左右一対の後孔16に通されて結ばれる(固定される)。
【0019】
鼻緒左部分13と鼻緒右部分13はそれぞれ、本体部分14を有する。本体部分14には、本体部分14の長手方向(前後方向)に所定の間隔をあけて、または等間隔に、複数の紐係合部17が設けられている。図示する実施形態において、紐係合部17は、紐を通すことができる貫通孔(紐通し孔18)である。
【0020】
紐通し孔18の数と間隔は、デザイナの趣向に応じて決めることができる。
【0021】
実施形態1の草履101では、鼻緒11の左右本体部分14はそれぞれ本体部分14から突出する突出片(紐通し片)19を有し、突出片19に複数の紐通し孔18が形成されている。突出片19は、本体部分14を作る際に該本体部分14と同じ材料で一緒に加工してもよいし、本体部分14を作ったあとで、別途作成した突出片19を縫い付けてもよい。
【0022】
実施形態1の草履101では、鼻緒11の本体部分14は、人の足に接触する下生地部分20と、人の足に接触しない上生地部分21を有し、下生地部分20と上生地部分21が鼻緒11の長手方向側縁部において縫い合わされており、この縫い合わせ部に沿って、下生地部分20と上生地部分21の間に、突出片19が縫い込まれている。
【0023】
実施形態1の草履101では、紐通し孔18の草履台側に、草履台10に載せられた足の甲(足背)の一部を覆う装飾用の舌部22が設けられている。図9,10に示すように、実施形態では、舌部22は、例えば左右の突出片19の内側で、鼻緒11の左右本体部分14にそれぞれ縫い付けられて、左右本体部分14を互いに連結している。
【0024】
このように構成された草履部分(草履台10と鼻緒11)に対して、図1~8に示すように、左右の複数の紐通し孔18に紐23が交互に通される。
【0025】
このように構成された草履101は、紐23が通されることによって、スニーカのような雰囲気を醸し出し、新たなファッション要素を提供するものである。これにより、需要者は、実施形態の草履101にあわせて和服をアレンジし、斬新な和服ファッションを提供する機会が得られる。また、新たな和服ファッションは、新たな需要者層を開拓するだけでなく、和装製品を扱う産業の振興を促すものである。
【0026】
[実施形態2]
図21から図30は実施形態2に係る草履102を示す。図示するように、実施形態2の草履102は、実施形態1の草履101と同じ構成要素を含む。したがって、実施形態2の草履102の構成要素であって、実施形態1の草履101の構成要素に対応する箇所には同じ符号を付して説明を省略する。
【0027】
[変形例]
上述した実施形態1,2の草履101,102では、鼻緒本体部分14又は突出片19に紐通し孔18を設け、そこに紐23を通したが、紐23を左右の本体14に係合する部分(紐係合部)は、図41に示す環状のループ24、または図42に示すコ字型のフック25であってもよい。
【0028】
図41のループ24は、帯状の生地又は皮を折り返して構成され、折り返した部分の端部が鼻緒本体部分14又は突出片19に縫い付けられて固定され、図41に矢印26で示すように、ループ24の内側に紐が通される。
【0029】
図42のフック25は、略コ字型の形状を有する金属材料(例えば、鉄、ステンレス、アルミニウム)で作られており、縦方向に延在するウェブ27と、ウェブ27の上端と下端からウェブ27に直交する方向に並列に延在する上下のフランジ28,29とを一体的に有する。下フランジ29の先端には、下フランジ29の先端から下方に向けて延在する係合部30(特に、先端が尖った突起)が一体的に設けられている。このフック25は、例えば、上下のフランジ28,29の末端を草履の中心に向けた状態で、係合部30を鼻緒11の本体部分14又は突出片19に打ち込むと共にその先端部分をウェブ27側に向けて折り返すことで、鼻緒11の本体部分14又は突出片19に固定され、これに対して、紐が矢印31で示すように掛けられる。なお、フック25を鼻緒に固定する手段は係合部を設けることに限るものでなく、例えば、下フランジ29に糸孔を形成し、そこに糸を通して鼻緒に縫い付けてもよい。
【0030】
上述した複数の紐係合部の形態は、単独で、または任意に組み合わせて履物に設けることができる。
【0031】
以上、本発明を草履に適用した実施形態及びその他の形態を説明したが、本発明は草履に限らず、人が足を載せる基台と、該基台の上に足を保持するための鼻緒又はそれに類する構成を備えた種々の履物(例えば、下駄)を含む。
【0032】
[実施形態3]
図43は、実施形態3に係る装飾履物30を示す。装飾履物30は、草履31(図44参照)と、草履31に着脱可能に取り付けられる装飾40(図45,46参照)を有する。
【0033】
図44に示すように、草履31は、足を載せる基台32と、基台32に留められ、基台32の上に載せられた足に係合して足を保持する左右の鼻緒33とを有する。
【0034】
図45,46に示すように、装飾40は、左右の鼻緒33の間に着脱自在にかけ渡すことができる装飾物で、左右の鼻緒33の上に載せられる又はそれらの間にかけ渡される覆い片(舌部)41と、覆い片41を鼻緒33に取り付けるための左右一対の連結片51及び紐71(図43参照)とを有する。
【0035】
図45に示すように、覆い片41は、覆い片41を鼻緒33の上に載せた状態で左右の鼻緒33の縁(左側の鼻緒の左縁、右側の鼻緒の右縁)に沿って延在する縦方向の左右縁部42と、覆い片41を鼻緒33の上に載せた状態で鼻緒33の先端側と後端側にそれぞれ位置する幅狭の前縁43と幅広の後44によって輪郭が形成されおり、上方から見たときに略台形又は略台形に近い六角形を有する。
【0036】
覆い片41は、比較的柔らかい皮革、各種生地(例えば、織物生地、編物生地)を含む任意の軟質材料から形成される。表面と裏面を形成する材料は同じでもよいし、表面を形成する材料と裏面を形成する材料を違えてもよい。いずれの形態にあっても、覆い片41を形成する材料は限定的ではなく、例えばプラスチックや金属などの材料を使用してもよいし、プラスチック片及び/又は金属片(例えば、ビーズ)を糸や紐などで繋ぎ合わせて構成されたものであってもよい。
【0037】
実施形態では、覆い片41の左右前端側には、左右の縁部42の近くにそれぞれ一つ又は複数の紐孔45が形成されている。
【0038】
覆い片41の左右縁部42には左右の連結片51が固定される。覆い片41と同様に、連結片51は、比較的柔らかい皮革、各種生地(例えば、織物生地、編物生地)を含む任意の軟質材料から形成される。表面と裏面を形成する材料は同じでもよいし、表面を形成する材料と裏面を形成する材料を違えてもよい。いずれの形態にあっても、連結片51を形成する材料は限定的ではなく、例えばプラスチックや金属などの材料を使用してもよいし、プラスチック片、金属片(例えば、ビーズ)を糸や紐などで繋ぎ合わせて構成されたものであってもよい。
【0039】
連結片51は、図46に表れる第1面52と図45に表れる第2面53を有する。実施形態では、連結片51は、第1面52を覆い片41の裏面に接触させた状態で、一端部54を覆い片41の左右縁部42に揃えて縫い付けられている。
【0040】
図45,46に示されるように、連結片51の他端部55には、実施形態では3つの鳩目鋲56が固定されて紐孔57が形成されている。鳩目鋲56は必ずしも必要ではなく、連結片51に孔をあけてこれを紐孔として利用することもできる。
【0041】
このように組み合わされた覆い片41と連結片51からなる装飾本体部分(装飾40から紐71を除いた部分)61は、図47に示すように、覆い片41の前縁43と後縁45を鼻緒33の先端側と後端側にそれぞれ位置させた状態で、覆い片41と連結片51の左右縁部を左右の鼻緒33の上に載せる。このとき、左右の連結片51は、連結片51の第2面53が鼻緒33の上面34、内面35、底面(上面の反対側の面)、及び外面37[図44参照]に沿ってこれらを順次覆うように、鼻緒33の周りに巻き付ける。
【0042】
次に、図48に示すように、覆い片41の紐孔45と左右連結片51の紐孔57に紐71を通して、装飾本体部分61を左右の鼻緒33の上に固定する。
【0043】
上述のように、実施形態では、連結片51は、第1面52を覆い片41の裏面に接触させた状態で、一端部(縁)54を覆い片41の左右縁部42に揃えることによって、覆い片41の左右から中央に向かって延在するように取り付けられている。そのため、連結片51は、鼻緒33の上面34、内面35、底面、及び外面37に沿って配置されることで、鼻緒33にしっかりと保持される。その結果、紐71を通した状態で、装飾本体部分61が安定する。
【0044】
ただし、連結片51の一端部54を覆い片41の左右縁部42に揃えることは必要ではないし、連結片52の第2面53を覆い片41の裏面に接触させた状態で、連結片52を覆い片41に取り付けてもよい。
【0045】
上述の実施形態では、覆い片41と連結片51を別部材で構成したが、これら覆い片と連結片を一つの材料で構成してもよい。例えば、一枚の基材を覆い片の一端部に相当する箇所で折り返すとともに、例えばこの一端部に近い折り返し部分を覆い片部分に縫い付けることによって、上述した実施形態の形の装飾本体部分に相当する部分を得ることができる。
【0046】
上述の実施形態3では、連結片に紐孔を設けてこれを「紐通し片」として利用しているが、左右の連結片の一方又は両方の一部又は全体を相手方の連結片に向けて延ばすとともに、左右の連結片に連結手段[例えば、ホック、ボタン、スナップ(スナップボタン)、面ファスナ(マジックテープ、ベルクロファスナ(共に商標名)]を設け、該連結手段によって左右の連結片を互いに連結するように構成してもよい。
【0047】
以上、実施形態3では、装飾履物として草履を説明したが、装飾履物は下駄であってもよい。
【符号の説明】
【0048】
101,102:草履(履物)
10:草履台(基台)
11:鼻緒
12:前坪
13:鼻緒左部分、鼻緒右部分
14:本体部分
15:前孔
16:後孔
17:紐係合部
18:紐通し孔
19:突出片
20:下生地部分
21:上生地部分
22:舌部
23:紐
24:ループ
25:フック
30:装飾履物
31:草履
32:基台
33:鼻緒
40:装飾
41:覆い片(舌部)
51:連結片
57:紐孔
61:装飾本体部分
71:紐
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