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特開2024-68189自動化機関室の主機関のHIL模倣システム
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  • 特開-自動化機関室の主機関のHIL模倣システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068189
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】自動化機関室の主機関のHIL模倣システム
(51)【国際特許分類】
   B63B 79/20 20200101AFI20240510BHJP
【FI】
B63B79/20
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023189030
(22)【出願日】2023-11-06
(31)【優先権主張番号】202211386737.2
(32)【優先日】2022-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WINDOWS
2.HDMI
3.SIMULINK
(71)【出願人】
【識別番号】515352847
【氏名又は名称】大連海事大学
(71)【出願人】
【識別番号】524067543
【氏名又は名称】大連海大智船科技有限責任公司
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】魯 道毅
(72)【発明者】
【氏名】張 均東
(72)【発明者】
【氏名】郭 蒙
(72)【発明者】
【氏名】蒋 丁雨
(72)【発明者】
【氏名】唐 元元
(72)【発明者】
【氏名】李 燕彪
(72)【発明者】
【氏名】沈 浩生
(57)【要約】      (修正有)
【課題】自動化機関室の主機関のHIL模倣システムを提供する。
【解決手段】システムは、集中制御室に配置されたサーバーと機関室の内部に設けられた主機関補助システムと主機関物理模型と現地制御箱とを備える。前記サーバーは、燃焼室圧力監視ソフトウェアとHILシステムソフトウェアの実行に用いられる。前記HILシステムソフトウェアは、システム維持管理モジュールと評価機能モジュールと通信機能モジュールと主機デジタルモデルと燃料噴射モデルと主機負荷モデルと主機熱交換モデルと対話型インターフェースとを含む。前記主機関補助システムと主機関物理模型と現地制御箱は全て前記サーバーと通信接続する。本発明は、主機関、主機関補助システム及びその他の付属システムに対して詳細設計、技術改良及び最適化を行い、模倣システムと自動化機関室を有機的に統合して両方の利点を合わせ持つ自動化機関室の主機関のHIL模倣システムを構築する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集中制御室に配置されたサーバーと、機関室の内部に設けられた主機関補助システムと、主機関物理模型と、現地制御箱とを備え、
前記サーバーが、燃焼室圧力監視ソフトウェアとHILシステムソフトウェアの実行に用いられ、前記HILシステムソフトウェアが、システム維持管理モジュールと評価機能モジュールと通信機能モジュールと主機デジタルモデルと燃料噴射モデルと主機負荷モデルと主機熱交換モデルと対話型インターフェースとを含み、前記燃焼室圧力監視ソフトウェアが、主機デジタルモデルにより計算されたディーゼルエンジンの燃焼室圧力とクランク軸の回転角度データを表示し、ディーゼルエンジンの燃焼室作業条件パラメータを確認し、ディーゼルエンジンの作動状態をオンラインで分析するために用いられ、
前記主機関補助システムと主機関物理模型と現地制御箱が、全て前記サーバーと通信接続する、ことを特徴とする自動化機関室の主機関のHIL模倣システム。
【請求項2】
主機遠隔制御システムと監視警報システムとを更に備え、前記主機遠隔制御システムと前記監視警報システムが全て前記サーバーと通信接続し、
前記主機遠隔制御システムが、一方で、使用者の模倣主機関に対する操作指令を受信する上に、始動準備状態に従って論理判断を行った後で主機空気圧制御システムに制御信号を出力して関連電磁弁の作動を制御し、主機関の遠隔制御始動、停機及び転換の空気回路の論理を遂げ、他方で、使用者の模倣主機関に対する操作指令を受信する上に、HILシステムを通してエンジン制御システムに操作指示を転送し、最後にエンジン制御システムの論理演算経由で燃料噴射及び排気弁の制御信号をサーバーに搭載された主機デジタルモデルに送信する、ことを特徴とする請求項1に記載の自動化機関室の主機関のHIL模倣システム。
【請求項3】
前記主機関物理模型が、主機関上の関連燃料、潤滑油、冷却淡水及び圧縮空気システムを含み、現実の媒質流動に従って設計を行い、燃料消費模倣装置と圧縮空気消費模倣装置とを備え、前記燃料消費模倣装置が主機関実物の作動過程中の燃料消費を模倣するために用いられ、前記圧縮空気消費模倣装置が主機関実物の作動過程中の圧縮空気消費を模倣するために用いられ、燃焼室に入る圧縮空気を大気中に排出する、ことを特徴とする請求項1に記載の自動化機関室の主機関のHIL模倣システム。
【請求項4】
前記燃料噴射モデルが、上位機の燃料噴射システムに基づいてモデル化され、主機関の燃料高圧油ポンプの作動過程と燃料噴射過程を模倣する上に、噴射開始角度、噴射終了角度及び燃料消費量を算出し、AMSが現地のセンサーから収集した後の主機関の燃料供給の圧力、温度及び流量をイーサネット経由でHILシステムに送信する必要があり、ひいてはHILシステムが燃料の供給と流動状況を判断し、噴射開始角度、噴射終了角度及び燃料消費量を計算する、ことを特徴とする請求項1に記載の自動化機関室の主機関のHIL模倣システム。
【請求項5】
前記主機熱交換モデルが、機関室の主機関と補助システムの原型設備の特性パラメータに従ってモデル化され、燃焼室ライナー冷却水熱交換モデルと低温淡水熱交換モデルと潤滑油熱交換モデルとを含み、主機関と燃焼室ライナー冷却水、低温冷却水及び潤滑油との間の熱交換を模倣し、冷却水や潤滑油の出口温度等の補助システムのパラメータを算出するために用いられ、
AMSが現地のセンサーから収集した後の前記主機燃焼室ライナー淡水冷却システムの圧力と入口温度の信号をHILシステムサーバーに実時間で送信する必要があり、燃焼室ライナー冷却水熱交換モデルが、主機関の作業条件に応じて主機関の各燃焼室出口と総管路の冷却水温度を算出してI/Oボードを介して現地の副次的な計器に送って表示し、
AMSが現地のセンサーから収集した後の前記低温淡水熱交換モデルの圧力をHILシステムサーバーに実時間で送信する必要があり、低温淡水熱交換モデルが、主機関の作業条件に応じて主機関の空気冷却器の温度を算出してI/Oボードを介して現地の副次的な計器に送って表示し、
前記潤滑油熱交換モデルが、主潤滑油ポンプの運転/停機信号、潤滑油入口圧力及び潤滑油出口圧力を受信し、主機潤滑油システムの各連結点の出口温度等のパラメータを算出してAMSに送信して主機潤滑油システムの副次的な計器に表示する、ことを特徴とする請求項1に記載の自動化機関室の主機関のHIL模倣システム。
【請求項6】
前記主機関物理模型の燃料システム、潤滑油システム及び燃焼室ライナー冷却水システムに抵抗装置を追加し、主機関模型の圧力計表示と圧力センサーの収集信号が主機関実物と一致することを確保し、
主機関物理模型に原型機及びHIL模倣システムの要求に基づいてセンサー、原始的な計器及び副次的な計器を配置し、前記副次的な計器が現実のシステム管路と接続し、取り替えられた原始的な計器の位置に取り付けられ、表示されるデータがHILシステムで提供される模倣データである、ことを特徴とする請求項1に記載の自動化機関室の主機関のHIL模倣システム。
【請求項7】
前記現地制御箱が、主機関側制御箱と補助送風機制御箱と油圧ポンプ制御箱とを含み、
前記主機関側制御箱から出力された回転速度設定値電流信号が主機関側強制制御信号とともにI/Oボードで収集されて、イーサネット経由でHILシステムサーバーに送信され、
補助送風機制御箱と油圧ポンプ制御箱、並びにそれらの上にある計器、表示ランプ及びボタンの外観及び布置が、主機関原型と一致し、前記補助送風機制御箱と油圧ポンプ制御箱に必要な模倣信号の出力制御用の計器は、副次的な計器を利用し、
各制御箱内にI/Oボードが設置されて、イーサネット経由で制御箱の模倣操作と相互作用を実現する、ことを特徴とする請求項1に記載の自動化機関室の主機関のHIL模倣システム。
【請求項8】
前記主機関補助システムが、主機燃料供給システムと主機燃焼室ライナー冷却水システムと主機低温冷却水システムと主機潤滑油システムと主機圧縮空気システムとを含み、
各補助システムが、現実の媒質流動と正常な作動のシステム実物に従って設計され及び構築され、設備用電力が、船の発電所によって提供され、模倣及び表示が必要なパラメータが、HILシステムソフトウェアによって計算されて表示に出力され、対応する計器は副次的な計器を利用する、ことを特徴とする請求項1に記載の自動化機関室の主機関のHIL模倣システム。
【請求項9】
I/O通信ボードを更に備え、前記I/O通信ボードが、付属機関室の設備に配置され、機関室設備の現場データを収集する上にHILシステムソフトウェアによって算出されたデータを設備へ実行、並びに計器へ表示に出力するために用いられ、I/O通信ボードが、イーサネット、直列インターフェース及びCAN通信インターフェース機能を備える、ことを特徴とする請求項1に記載の自動化機関室の主機関のHIL模倣システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、舶用機関の技術分野、特に、自動化機関室の主機関のHIL模倣システムに関する。
【背景技術】
【0002】
主ディーゼルエンジン(主機関と略称する)は、軸系装置を介してプロペラを取付けてプロペラを回転駆動し、ひいてはその動力を船体に伝達して船を動かす舶用主動力装置である。これは、船上で最大かつ最も高価な単一設備である。船の安全な航行を確保するためには、航海技師が正式に船で作業する前に主機関の操作訓練と評価を受ける必要がある。
【0003】
現在、関連大学と海事局は、主に自動化機関室又は模倣システムを利用して関連操作訓練を行う。その中では、自動化機関室が主機関実物とその補助システムを利用するため、現場での操作体験が結構で、訓練効果が良い。しかし、主機関実物は、高い建設コストや多くの隠れた危険や大変な汚染排出や大量の保全作業等いろいろな問題をもたらす。
【0004】
模倣システムの長所と短所は、自動化機関室の反対である。一般的な模倣システムは、タービン模擬操縦装置や主機関半実物模倣システムやHIL模倣システム等を含む。これらの模倣製品は、名称が異なるが、実質が似るものであり、主に数学的モデル又は3次元モデルを利用して主機関実物を模倣し代替する。主機関補助システムは、タービン模擬操縦装置において模倣を数値で行うが、主機関半実物模倣システムとHIL模倣システムにおいてはそれが通常は省略され、固定値を限界として主機関の数学的モデルに入力される。その上、これらの模倣製品は、一部の制御盤と周辺制御システムを配置することで半実物模倣システムを形成するが、模倣制御盤と制御システム実物との違いにより、現場での操作体験が乏しく、設備及びシステムの構造と動作原理が把握しにくく、訓練計画が不完全となる。その結果、模倣システムの訓練効果は、自動化機関室の訓練効果ほどよくない。
【0005】
この2つを適切に統合することができれば、模倣システムと自動化機関室の利点を十分に活用し、それらの欠点を克服する可能性がある。ただし、自動化機関室では設備及びシステムが全部実物を使うので、燃料や潤滑油や圧縮空気や高温冷却水や低温冷却水等の流動媒質実物を利用することを必ず含むが、従来技術では付属装置実物と主機関の模倣システムとの間の信号相互作用を完全で合理的で有効的に実現できる技術的解決策が欠如している。更に、主機関模倣モデルが主機関実物に代わった後、燃料消費量や潤滑油/冷却水の熱交換や圧縮空気消費量等が関連実物システムでどのように一致して応じるかも、克服すべき大きな技術的障害となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、自動化機関室の主機関のHIL模倣システムを提供する。従来技術において主機関模倣モデルが主機関実物に代わった後、付属装置実物と主機関模倣システムとの間の相互作用が有効的に行われない上に、燃料消費量や潤滑油/冷却水の熱交換や圧縮空気消費量等が一致して応じないという技術的問題を解決する。本発明は、主機関、主機関補助システム及びその他の付属システムに対して詳細設計、技術改良及び最適化を行い、模倣システムと自動化機関室を有機的に統合して両方の利点を合わせ持つ自動化機関室の主機関のHIL模倣システムを構築する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様である自動化機関室の主機関のHIL模倣システムは、
集中制御室に配置されたサーバーと、機関室の内部に設けられた主機関補助システムと、主機関物理模型と、現地制御箱とを備え、
前記サーバーが、燃焼室圧力監視ソフトウェアとHILシステムソフトウェアの実行に用いられ、前記HILシステムソフトウェアが、システム維持管理モジュールと評価機能モジュールと通信機能モジュールと主機デジタルモデルと燃料噴射モデルと主機負荷モデルと主機熱交換モデルと対話型インターフェースとを含み、前記燃焼室圧力監視ソフトウェアが、主機デジタルモデルにより計算されたディーゼルエンジンの燃焼室圧力とクランク軸の回転角度データを表示し、ディーゼルエンジンの燃焼室作業条件パラメータを確認し、ディーゼルエンジンの作動状態をオンラインで分析するために用いられ、
前記主機関補助システムと主機関物理模型と現地制御箱が、全て前記サーバーと通信接続する。
【0008】
更に、前記主機関のHIL模倣システムは、
主機遠隔制御システムと監視警報システムとを更に備え、前記主機遠隔制御システムと前記監視警報システムが全て前記サーバーと通信接続する。
【0009】
前記主機遠隔制御システムは、一方で、使用者の模倣主機関に対する操作指令を受信するとともに、始動準備状態に従って論理判断を行った後で主機空気圧制御システムに制御信号を出力して関連電磁弁の作動を制御し、主機関の遠隔制御始動、停機及び転換の空気回路の論理を遂げ、他方で、使用者の模倣主機関に対する操作指令を受信するとともに、HILシステムを通してエンジン制御システムに前記操作指示を転送し、最後にエンジン制御システムの論理演算経由で燃料噴射及び排気弁の制御信号をサーバーに搭載された主機デジタルモデルに送信する。
【0010】
更に、前記主機関物理模型が、主機関上の関連燃料、潤滑油、冷却淡水及び圧縮空気システムを含み、現実の媒質流動に従って設計を行い、燃料消費模倣装置と圧縮空気消費模倣装置とを備え、前記燃料消費模倣装置が主機関実物の作動過程中の燃料消費を模倣するために用いられ、前記圧縮空気消費模倣装置が主機関実物の作動過程中の圧縮空気消費を模倣するために用いられ、燃焼室に入る圧縮空気を大気中に排出する。
【0011】
更に、前記燃料噴射モデルが、上位機の燃料噴射システムに基づいてモデル化され、主機関の燃料高圧油ポンプの作動過程と燃料噴射過程を模倣する上に、噴射開始角度、噴射終了角度及び燃料消費量を算出し、主機関の燃料供給の圧力、温度及び流量をAMSにより現地のセンサーから収集した後、イーサネット経由でHILシステムに送信する必要がある。
【0012】
更に、前記主機熱交換モデルが、機関室の主機関と補助システムの原型設備の特性パラメータに従ってモデル化され、主に燃焼室ライナー冷却水熱交換モデルと低温淡水熱交換モデルと潤滑油熱交換モデルとを含み、主機関と燃焼室ライナー冷却水、低温冷却水及び潤滑油との間の熱交換を模倣し、冷却水や潤滑油の出口温度等の補助システムのパラメータを算出するために用いられる。
【0013】
更に、前記主機関物理模型の燃料システム、潤滑油システム及び燃焼室ライナー冷却水システムに抵抗装置を追加し、主機関模型の圧力計表示と圧力センサーの収集信号が主機関実物と一致することを確保し、
主機関物理模型に原型機及びHIL模倣システムの要求に基づいてセンサー、原始的な計器及び副次的な計器を配置し、副次的な計器が現実のシステム管路と接続し、取り替えられた原始的な計器の位置に取り付けられ、表示されるデータはHILシステムで提供される模倣データである。
【0014】
更に、前記現地制御箱が、主機関側制御箱と補助送風機制御箱と油圧ポンプ制御箱とを含み、
前記主機関側制御箱から出力された回転速度設定値電流信号が主機関側強制制御信号とともにI/Oボードで収集されて、その後イーサネット経由でHILシステムサーバーに送信され、
補助送風機制御箱と油圧ポンプ制御箱、並びにそれらの上にある計器、表示ランプ及びボタンの外観及び布置が、主機関原型と一致し、前記補助送風機制御箱と油圧ポンプ制御箱に必要な模倣信号の出力制御用の計器は、副次的な計器を利用し、
各制御箱内にIOボードが設置されて、イーサネット経由で制御箱の模倣操作と相互作用を実現する。
【0015】
更に、前記主機関補助システムが、主機燃料供給システムと主機燃焼室ライナー冷却水システムと主機低温冷却水システムと主機潤滑油システムと主機圧縮空気システムとを含み、
各補助システムが、現実の媒質流動と正常な作動のシステム実物に従って設計され及び構築され、設備用電力が、船の発電所によって提供され、模倣及び表示が必要なパラメータが、HILシステムソフトウェアによって計算されて表示に出力され、対応する計器は副次的な計器を利用する。
【0016】
更に、前記主機関のHIL模倣システムは、I/O通信ボードを更に備え、前記I/O通信ボードが、付属機関室の設備に配置され、機関室設備の現場データを収集するとともに、HILシステムソフトウェアによって算出されたデータを設備へ実行、並びに計器へ表示に出力するために用いられ、I/O通信ボードが、イーサネット、直列インターフェース及びCAN通信インターフェース機能を備える。
【0017】
本発明は、従来技術に比べて以下の有益な効果を備える。
【0018】
1.本発明は、主機関模倣システムと機関室実物を有機的に統合し、システム全体(機関室内のすべての設備、システム管路、制御箱、計器及びセンサー等を含む)を機関室実物の布置に従って設計し、一致性の高い外観、音響及び操作体験を確保し、作業員が船舶主機関実物を操作していると想像するようにさせ、船舶主機関実物を操作するのと非常に一致する効果を実現する。その上、本発明は、主機関システム実物に比べて、機関室実物の高い建設コストや多くの隠れた危険や大変な汚染排出や大量の保全作業等いろいろな問題を解決する。
【0019】
2.本発明では、主機関補助システム(主機燃料供給システムと主機燃焼室ライナー冷却水システムと主機低温冷却水システムと主機潤滑油システムと主機圧縮空気システムとを含む)は、現実の媒質流動及び正常な作動のシステム実物に従って設計及び構築を行い、船舶実物システムとの一致性を確保する。その上、補助システム実物とHIL模倣システムとの相互作用する解決策を設計し、システム全体の有機的な統合を確保する。
【0020】
3.本発明における主機関物理模型の外観、材料及び様々な管路接点(燃料、潤滑油、燃焼室油、冷却水、始動空気、制御空気)は、主機関原型と一致する。主機関模型の内部では、燃料システム、潤滑油システム及び燃焼室ライナー冷却水システムに抵抗装置を追加し、主機関模型の圧力計表示と圧力センサーの収集信号が主機関実物と一致することを確保する。
【0021】
4.本発明では、主機関の燃料システム管路に燃料消費模倣装置を追加し、圧縮空気システムに圧縮空気消費模倣装置を追加することで、燃料及び圧縮空気消費量が現実のディーゼルエンジンシステムと一致するようにしている。
【0022】
5.本発明では、主機潤滑油システム、主機燃焼室ライナー冷却水システム及び主機低温冷却水システム系統をシステム実物に準じて設計し、作業環境の真実性を確保する。運転中の主機関と潤滑油、燃焼室ライナー冷却水及び低温冷却水との熱交換を実物そっくりに反映するために、潤滑油熱交換モデル、燃焼室ライナー冷却水熱交換モデル及び低温淡水熱交換モデルを確立する上に、主機本体と主機関補助システムの温度表示方式を仮想と現実が結びつけられるように設計することで、システム内のすべての温度パラメータが主機システム実物と一致するようにする。
【0023】
6.本発明は、電子式燃料噴射主機関に対しMOP制御ステーション及びエンジン制御システムを配置し、従来の主機関と電子式燃料噴射主機関に対する訓練及び評価要件を同時に満たすようにする。
【0024】
7.本発明では、信号の数や種類に応じて柔軟に配置できる多型の専用通信ボードを設計・開発し、複数系統の異なる種類の信号収集及び伝送要件を満たすようにする。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明の実施例又は従来技術における技術的解決手段をより明らかに説明するために、以下、実施例又は従来技術の記述に必要とされる添付の図面を簡単に紹介するが、下記の添付の図面が本発明の一部の実施例であり、当業者であれば、創造的労動を行わずに更にこれらの添付の図面によって他の添付の図面を得るのができることはいうまでもない。
【0026】
図1図1は、本発明による自動化機関室の主機関のHIL模倣システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の実施例の目的、技術手段及びメリットをより明らかにするために、以下、本発明の実施例における図面を参照しながら、本発明の実施例における技術的手段を明らか且つ完全に説明するが、説明される実施例が全ての実施例ではなく、本発明の一部の実施例に過ぎないことはいうまでもない。当業者が本発明における実施例に基づいて創造的労動を行うことなく得た他の実施例は、全て本発明が保護する範囲に含まれるものとする。
【0028】
図1に示されるように、本発明は、自動化機関室の主機関のHIL模倣システムを提供する。主機関のHIL模倣システムは、集中制御室に配置されたサーバーと機関室の内部に設けられた主機関補助システムと主機関物理模型と現地制御箱とを備える。サーバーは、燃焼室圧力監視ソフトウェアとHILシステムソフトウェアの実行に用いられる。HILシステムソフトウェアは、システム維持管理モジュールと評価機能モジュールと通信機能モジュールと主機デジタルモデルと燃料噴射モデルと主機負荷モデルと主機熱交換モデルと対話型インターフェースとを含む。燃焼室圧力監視ソフトウェアは、主機デジタルモデルにより計算されたディーゼルエンジンの燃焼室圧力とクランク軸の回転角度データを表示し、ディーゼルエンジンの燃焼室圧力パラメータを確認し、ディーゼルエンジンの作動状態をオンラインで分析するために用いられる。主機関補助システムと主機関物理模型と現地制御箱は全て前記サーバーと通信接続する。
【0029】
本発明は、船舶主機関を模倣対象としてその模倣モデルを構築し、主機関物理模型、エンジン制御システム(ECSと略称する)、主機遠隔制御システム(RCSと略称する)、監視警報システム(AMSと略称する)及び主機関補助システムとの相互接続を遂げて、主機関のハードウェアインループシステム(HILと略称する)を構築する。HILシステムは、センサーやデータ収集装置を介して現場のデータを収集し、主機遠隔制御システムや現地制御箱等の操作信号を受信し、数学的モデルに入力して計算し、主機関の実時間の作動状態とデータを得、ひいては動作や表示のために計器や設備に出力する。HILシステムの全体的な目標は、作業員が模倣主機関を操作する際に、HILシステムが主機関実物の代わりに稼動し、主機関実物の作動状態を実時間且つ実物そっくりに模倣することで、作業員が船舶主機関実物を操作していると想像するようにさせ、船舶主機関実物を操作するのと非常に一致する効果を実現する。
【0030】
HILシステムは、主機関実物の代わりに、始動準備や始動や加速やプログラム負荷や回転速度制御や応急操作や減速や停機や転換や逆始動等、船舶主機関実物の稼動の全て作業条件を遂げる可能性がある。HILシステムの模倣により生成された回転速度信号は、周波数変換モーターを介して主機関の弾み車を駆動して主機関の作動を模倣し、主機関上の各副次的な計器もHILシステムの出力信号によって制御される。主機関物理模型(主機関上の関連燃料、潤滑油、冷却淡水及び圧縮空気システムを含む)の熱機械的パラメータの表示と音響の効果は、実物と一致することが条件である。
【0031】
主機関補助システム(燃料システムや潤滑油システムや燃焼室ライナー冷却水システムや低温淡水システムや圧縮空気システム等を含む)は、現実の媒質流量と正常な作動のシステム実物に従って設計され及び構築され、設備用電力は船の発電所によって提供される。補助システムに対する主機関の影響は、副次的な計器を介して表示され、定常状態の数値と動的過程は主機関実物と一致することが条件である。
【0032】
具体的に、HILシステムは、主にサーバー一組(それぞれHILシステムソフトウェアと燃焼室圧力監視ソフトウェアを一組含む)と主機物理模型一組と現地制御箱一組とエンジン制御システム(ECS)一組と主機関補助システムと主機遠隔制御システムと監視警報システムとMOP制御ステーション一組(一組のMOP模倣ソフトウェアを含む)とネットワーク交換機一台と増幅音響設備一組とI/O通信ボード一組とを含む。
【0033】
システム全体(機関室内の全ての設備やシステム管路や制御箱や計器等を含む)は、機関室実物での布置に従って設計され、非常に一致する外観と操作体験を確保する。使用者は、主機遠隔制御システムを制御し、HILシステムを介して模倣主機関に様々な制御指令を送信できるが、補助システムが正常に作動していることを確保する必要がある。HILシステムは、補助システムの状態データを実時間で収集し、補助システムの動作状態を判断し、それに応じて主機関模倣モデルの運転を制御する。補助システムが異常な場合、模倣主機関は、主機関実物に応じて動作又は応答を与え、船舶実物システムとの一致性を確保する。
【0034】
当該システムの各モジュールについては、次にそれぞれ説明を行う。
【0035】
1. サーバー
サーバーは、機関室の集中制御室の集中制御台に配置され、高性能PCデスクトップ一台と計算機表示部一台で構成され、HILシステム全体の核心である。PCデスクトップの推奨設定は次のとおりである:8芯のCPU+512G、16GのRAM、250TB SSD P1000 4Gのディスクリートグラフィックス。
【0036】
サーバーは、現場の信号、AMS通信データ及びRCSの主機関に対する指令を実時間で収集することで、HILシステムソフトウェア中の数学模倣モデルでの計算を通して、模倣主機関及び補助システムの性能パラメータを、機関室の副次的な計器、RCS、AMS及び駆動モーターの周波数変換器に実時間で出力する。
【0037】
サーバーでは、HILシステムソフトウェアとシリンダ圧力監視ソフトウェアを実行している。どちらのソフトウェアも.NETプラットフォームのC#言語で開発され、対話型インターフェースは、WPFインターフェースフレームワークを利用して開発される。燃焼室圧力監視ソフトウェアは、主機デジタルモデルにより計算されたディーゼルエンジンの燃焼室圧力とクランク軸の回転角度データを作表し、柱状グラフ及び曲線グラフの形式で表示することで、ディーゼルエンジンの燃焼室圧力パラメータを確認し、ディーゼルエンジンの作動状態をオンラインで分析するために用いられる。HILシステムソフトウェアは、システム維持管理モジュールと評価機能モジュールと通信機能モジュールと主機デジタルモデルと燃料噴射モデルと主機負荷モデルと主機熱交換モデルと対話型インターフェースとを含む。
【0038】
システム維持管理モジュールは、システム、ネットワーク及びI/Oボードの運転状態を実時間で監視するための自己診断プログラムを備え、障害が発生すると、音響光学の表示を与えると同時に、操作履歴と履歴データを記録して保存できる。
【0039】
評価機能モジュールは、加重値配分、パラメータ閾値識別及びファジィ識別に基づいて開発され、主機関操作に対するインテリジェントな評価と採点を実現できる。特定の評価項目に対しては、要求に応じて点数加重値や評価期間や評価要素のキーワードや評価関数の類別やしきい値等の情報をXMLファイル内で柔軟に配置することができる。
【0040】
通信機能モジュールは、TCP/IP通信プロトコルに従って開発され、I/O通信ボード、ECSシステム、MOP、AMS及びRCSとの通信を実現するために用いられる。
【0041】
主機デジタルモデルは、上位機の動作原理と特性パラメータに基づいてエンジンの零次元モデリング法でモデル化を行う。まず、モデル化と較正をMABLAB/SIMULINKで行う。次に、調整されたSIMULINKディーゼルエンジンモデルに基づいて、エンジン数学的モデルをC#言語で開発する。SIMULINKのパッケージ化ファイルを実施する場合と比較して、システムソフトウェアにおいてC#で直接開発された主機デジタルモデルは、より効率的に運転し、デバッグと設定がより柔軟である。主機デジタルモデルは、主機関の運転プロセスを模倣し、主機関の工率や掃気圧力や掃気温度や排気管圧力や排気管温度や各燃焼室の排気温度やタービンの回転速度やタービンの後部温度等の熱機械的パラメータを実時間で計算して出力する。主機デジタルモデルには、故障メカニズムモデルが組み込まれて主機関の典型的な故障を模倣できるようになる。主機デジタルモデルの模倣された作業パラメータは、基本的にディーゼルエンジンのデータと一致する上に、主機デジタルモデルの始動、停機、転換、速度調整及び動的過程は、船舶実物と一致し、始動準備操作、停泊及び出発、定速航行、応急操作、設備及びシステム故障分析の機能を備える。更に、主機関補助送風機と作動油システムの制御論理法及び数学的モデルは、補助送風機と作動油ポンプを制御し、状態とパラメータ表示を模倣するために用いられる。
【0042】
燃料噴射モデルは、上位機の燃料噴射システムに基づいてモデル化され開発され、主機関実物の作動状態を検出することで燃料供給と流動状態を判断し、ひいては主機関の燃料高圧油ポンプの作動過程と燃料噴射過程を模倣する上に、噴射開始角度、噴射終了角度及び燃料消費量を算出する。主機関の燃料供給の圧力、温度及び流量は、AMSが現地のセンサーから収集した後で、イーサネット経由でHILシステムに実時間で送信する必要がある。HILシステムは、これらの信号を通して燃料の供給と流量を判断する。つまり、主機関に入る圧力、温度及び流量は、現実の信号を利用し、噴射開始角度、噴射終了角度及び燃料消費量は模倣を通して計算される。
【0043】
主機関負荷モデルは、過酷な海況や船底汚損や喫水や航行域等のいろいろな影響要因を考慮し、船舶とスラスターの特性を結合して開発されるものであり、船舶直行運動の数学的モデルとプロペラの四象限動力学モデルとを含み、船舶のプロペラ負荷を模倣し、様々な作業条件下での主機関とプロペラの調和する作動を実現し、過酷な海況や船底汚損や喫水や航行域等のいろいろな影響下での船舶の推進状況を模倣できる。
【0044】
主機熱交換モデルは、機関室の主機関と補助システムの原型設備の特性パラメータに従ってモデル化され、主に燃焼室ライナー冷却水熱交換モデルと低温淡水熱交換モデルと潤滑油熱交換モデルとを含み、主機関と燃焼室ライナー冷却水、低温冷却水及び潤滑油との間の熱交換を模倣し、冷却水や潤滑油の出口温度等の補助システムのパラメータを算出するために用いられる。
【0045】
燃焼室ライナー冷却水熱交換モデルは、機関室の主機高温冷却水システムと主機特性パラメータに基づいて確立され、主機関に対する冷却水システムの冷却性能を模倣し、主機関の様々な作動条件下での冷却水の温度変化を算出し、高温淡水の熱力学的パラメータの変化規律が原型機又は海上試験のデータと基本的に一致することが条件である。AMSは、主機燃焼室ライナー淡水冷却システムの圧力と入口温度の信号を現地のセンサーから収集した後でHILシステムサーバーに実時間で送信する必要がある。燃焼室ライナー冷却水熱交換モデルは、主機関の作業条件に応じて主機関の各燃焼室出口と総管路の冷却水温度を算出してI/Oボードを介して現地の副次的な計器に送って表示する。AMS警報及び表示用の温度センサー模倣信号は、HILシステムサーバーからイーサネット経由でAMSに送信される。
【0046】
低温淡水で冷却する必要がある主機関中の設備には、主機関の空気冷却器、潤滑油冷却器及び燃焼室ライナー水冷却器がある。ここでは、低温淡水で潤滑油冷却器を冷却した後、燃焼室ライナー水冷却器を冷却するが、主機関の空気冷却器は低温水で個別に冷却する。低温淡水熱交換モデルは、機関室の主機低温淡水システムと主機特性パラメータに基づいて確立され、主機関の空気冷却器、潤滑油冷却器及び燃焼室ライナー水冷却器に対する低温淡水システムの冷却効果を模倣し、主機関の各作業条件下での冷却水の温度変化を計算し、低温淡水の熱力学的パラメータの変化規律が原型機又は海上試験のデータと基本的に一致することが条件である。AMSは、主機関の低温淡水冷却システムの圧力と潤滑油冷却器の入口温度の信号を現地のセンサーから収集した後でHILシステムサーバーに実時間で送信する必要がある。低温淡水熱交換モデルは、主機関の作業条件に応じて主機関の空気冷却器、潤滑油冷却器及び燃焼室ライナー水冷却器の冷却水の出口温度を算出してI/Oボードを介して現地の副次的な計器に送って表示する。AMS警報及び表示用の温度センサー模倣信号は、HILシステムサーバーからイーサネット経由でAMSに送信される。
【0047】
潤滑油熱交換モデルは、機関室の主機潤滑油システムと主機特性パラメータに基づいて確立され、潤滑油システムの潤滑及び冷却効果を模倣し、潤滑油出口温度等のパラメータを出力する。潤滑油熱交換モデルは、主潤滑油ポンプの運転/停機信号、潤滑油入口圧力及び潤滑油出口圧力を受信し、その後主機潤滑油システムの各連結点の出口温度等のパラメータを算出してAMSに送信して主機潤滑油システムの副次的な計器に表示する。
【0048】
2. 主機物理模型
主機物理模型の外観、材料及び様々な管路接点(燃料、潤滑油、燃焼室油、冷却水、始動空気、制御空気)は、主機関原型と一致する。
【0049】
主機物理模型は、完全な形状と構造を備える。主機関模型の内部では、燃料システム、潤滑油システム及び燃焼室ライナー冷却水システムに抵抗装置を追加し、主機関模型の圧力計表示と圧力センサーの収集信号が現実のディーゼルエンジンシステムと一致することを確保する。主機関模型の外部では、燃料システム管路に燃料消費模倣装置を追加し、圧縮空気システムに圧縮空気消費模倣装置を追加する。主機関模型には、原型機とHILシステム要件に基づいてセンサーと表示計器を配置する。模倣信号を制御するためには、原型機の原始的な計器を副次的な計器に替える必要があり、副次的な計器が現実のシステム管路と接続され、表示されるデータはHILシステムにより提供された模倣データである。
【0050】
主機物理模型は、周波数変換モーターを介して出力端の短軸と弾み車を回転に直接駆動し、主機関の回転を模倣し、周波数変換モーターはモデルベースに配置される。周波数変換モーターは、配電箱を介して送電網から直接供給され、その工率は主機関と回転速度に応じて決まる。
【0051】
主機物理模型の主機関側の制御台は原型機に従って設計され、始動や停機や転換や機側/遠方制御位置の変換等を含む主機関側操作を実現できる。
【0052】
主機関旋盤装置と旋盤機制御箱は原型機に従って設計され、旋盤機の離脱/閉合や主機関旋盤等の操作を行い、空気圧制御システムのガス回路と連動できる。
【0053】
3. 現地制御箱
現地制御箱は、主機関側制御箱と補助送風機制御箱と油圧ポンプ制御箱とを含む。
【0054】
主機関側制御箱の回転速度設定ノブでは4-20mAの電流信号を出力して主機関側強制制御信号とともにI/Oボードで収集し、その後イーサネット経由でHILシステムサーバーに送信する。
【0055】
補助送風機制御箱と油圧ポンプ制御箱、並びにそれらの上にある計器、表示ランプ及びボタンの外観及び布置は、主機関原型と一致し、HIL模倣信号出力制御の原始的な計器を副次的な計器に替える必要があり、稼働時間は原型機に従って設計され、24V DCで制御される。制御箱内に設置されたI/Oボードは、イーサネット経由で制御箱の模倣操作と相互作用を実現できる。
【0056】
4. エンジン制御システム
電子式燃料噴射主機関に対しては、ハードウェアとソフトウェアの機能模倣を含むエンジン制御システム(ECS)を配置する。ハードウェア部分は、原型機ECS制御箱を保持し、外形が現実の主機制御システムに似ており、内部の原型機制御装置を取り外し、特製ECS模倣ボードを取付け、通信を通してデータ収集と出力制御を実現する。ソフトウェア機能は、具体的に、原型機ECSシステム機能に従って開発され、主機関回転速度制御や燃料供給制御や燃料噴射制御や始動定時や排気定時や燃焼室燃料噴射等の機能を含む。
【0057】
5. 主機関補助システム
主機関補助システムは、主機燃料供給システムと主機燃焼室ライナー冷却水システムと主機低温冷却水システムと主機潤滑油システムと主機圧縮空気システムとを含む。全ての補助システムは、現実の媒質流量と正常な作動のシステム実物に従って設計され及び構築され、設備用電力は船の発電所によって提供され、模倣及び表示が必要なパラメータは、HILシステムソフトウェアによって計算されて表示に出力される。対応する計器は、副次的な計器を利用し、他の圧力計や温度計は、原始的な計器を利用してシステムの現実の圧力と温度の値を表示する。対応するセンサー信号は、AMSによって収集され、イーサネット経由でHILシステムサーバーに送信される。
【0058】
主機関の燃料消費量を模倣するために、連続的に調整可能な開口部を備えた弁が主機関の燃料供給管路(主機関の入口流量計の後、主機関の出口流量計の前)に追加される。HILシステムソフトウェアは、主機関の作業条件に応じて当該弁の開度と持続時間を制御し、燃料の流量を分流することで燃料消費を模倣する。
【0059】
主機燃焼室ライナー冷却水システム中の各燃焼室出口及び総管路の冷却水温度計は、副次的な計器を利用し、HILシステムソフトウェアによって計算されて表示に出力される。その他の計器は、原始的な計器を利用して現実の信号を収集して表示する。
【0060】
主機低温冷却水システムの潤滑油冷却器及び燃焼室ライナー水冷却器の冷却水の出口部、並びに主機関の空気冷却器の冷却水の出口部における三つの温度計は、副次的な計器を利用し、HILシステムソフトウェアによって計算されてから表示に出力される。その他の計器は、原始的な計器を利用して現実の信号を収集して表示する。
【0061】
主機潤滑油システムの潤滑油冷却器後の潤滑油温度、過給機潤滑油の出口温度及び主機関の各燃焼室のピストン冷却油の出口温度の計器は、副次的な計器を利用し、HILシステムソフトウェアによって計算されてから表示に出力される。その他の計器は、原始的な計器を利用して現実の信号を収集して表示する。
【0062】
主機圧縮空気システム及び空気圧制御システムは、実物に従って設計され、原型システムのセンサー、圧力スイッチ及び計器を保持する。主機関の始動過程中の圧縮空気消費量を模倣するために、燃焼室に入る圧縮空気を大気中に排出する。騒音公害を避けるために、圧縮空気排出管に減衰装置を設置する。高圧の始動空気を排出する際の可能的な危険を回避するために、始動空気が始動制御システムに入る前に減圧装置を取付けて圧縮空気を30barから10barに減らす。
【0063】
6. 主機遠隔制御システム
主機遠隔制御システム(RCS)は、安全保護システム機能を含む現実のRCSシステムを利用する。RCSは、旋盤機実物のEngaged/Disengaged信号、主始動弁のService/Blocked信号、始動空気分配器のService/Blocked信号、制御空気圧力信号、始動制御空気圧力信号及び各始動閉塞信号を収集して、始動準備状態を判断する上に、作業員の制御指示に従って論理演算を行って出力された電気信号により、空気圧制御システムの始動、停機、正転及び反転用の電磁弁を直接制御し、始動、停機及び方向転換を遠隔制御する機能を実現する。RCSは、操作移動台からの指令に応じて回転速度制限を行った後、HILシステムサーバーに回転速度設定値を4~20mAの電流信号で送信する。その上、RCSは故障停機機能と故障減速機能を備える必要があり、関連信号を開閉量の形式でHILシステムサーバーに送信する。
【0064】
7. 監視警報システム
監視警報システム(AMS)は、現実のAMSシステムを利用する。AMSデータソースは、2つの部分を含め、その1つはセンサーを介してシステム実物から収集された信号である。掃気圧力及び温度、排気圧力及び温度等の信号は、システム実物から収集できない場合、HILシステムのデジタルモデルによって計算され、TCP通信を介してAMSに送信される。HILシステムの必要な現実のシステムパラメータ信号は、AMSシステムからHILシステムサーバーにTCP通信を介して送信される。AMSは、少なくとも1,000の点数に監視警報すると、システム図形及びパラメータの表示や設定や印刷やパネル操作や拡張警報及びグループ化や警報点鎖錠や計測点表示等の機能を実現できる。
【0065】
8. MOP制御ステーション
電子式燃料噴射主機関に対しては、MOPソフトウェアの実行に用いられ、集中制御台に配備される2つの独立したMOPAとMOPB装置を含む一組のMOP制御ステーションを配置する。MOPAとMOPBは、同時に作動し同時に施行する上に、冗長バックアップの役割を果たすことができ、イーサネット経由でHILシステムサーバーと通信できる。
【0066】
MOP制御ステーションは、2台の15インチ産業用タッチセンサー式統合型計算機で構成されており、推奨設定は次のとおりである:Intel高性能及び低電力消費の4核CPU、優位周波数2.0GHz、8GBメモリ、Windows 10オペレーティング・システム、全平面5線式抵抗スクリーン、15インチ、画面横縦比4:3。インターフェース類型:直列インターフェース、USB、ギガビットイーサネットポート、HDMI。
【0067】
MOP制御ステーションは、電子式燃料噴射主機関の作動を監視するためのMOP対話型模倣ソフトウェアを備える。MOPソフトウェアは、.NETプラットフォームのC#言語で開発され、その対話型インターフェースは、WPFインターフェースフレームワークを利用して開発される。
【0068】
9. ネットワーク交換機
16ポートのネットワーク交換機2台が集中制御室に設置され、I/O通信ボードの信号を集めるために用いられる。
【0069】
10. 増幅音響設備
増幅音響設備一組は集中制御室と付属機関室に配置され、主機関の作動音を模倣するために用いられる。
【0070】
11. I/O通信ボード
HILシステムの要件に従って設計され開発されるI/O通信ボード一組は、付属機関室の関連設備の近傍に配置され、機関室設備の現場データを収集する上にHILシステムソフトウェアによって算出されたデータを設備へ実行、並びに計器へ表示に出力するために用いられる。I/O通信ボードは、イーサネット、直列インターフェース及びCAN通信インターフェース機能を備える。
【0071】
I/O通信ボードは、汎用型分布信号処理装置(DPU)、模倣変数分布処理装置(DPA)、及び電子式燃料噴射制御系統模倣ボード(ECU)の3種類を含む。具体的な設定は次の通りである。
【0072】
DPUは、32経路の開閉変数出力 (DC24V)と32経路の開閉変数入力と8経路の模倣変数出力(4-20mA)と6経路の模倣変数入力(4-20mA)とを含む。
【0073】
DPAは、32経路の模倣変数出力(4-20mA)と8経路のAI変数入力(4-20mA)とを含む。
【0074】
ECUは、エンジンの電子式燃料噴射制御系統模倣ボードであり、経路数と類型がボード実物と一致する。
【0075】
模倣システムは、現場設備との間のデータ相互作用をかなえ、データ更新速度が1秒以下であり、動的変化過程が連続し、主機関並びにその燃料や潤滑油や冷却水等のシステム信号をHILシステムに送信し、HILシステムによって模倣されたディーゼルエンジン並びにその燃料や潤滑油や冷却水等のシステムのパラメータを受信し表示することができる。
【0076】
最後に以下のことを説明すべきである。以上の各実施例は本発明の技術的手段を説明するためのものに過ぎず、それを限定するものではなく、上述した各実施例を参照して本発明を詳細に説明したが、上述した各実施例に記載の技術的手段を修正するか、その技術的特徴の一部又は全部に同等な取り替えを実施することも可能であり、これらの修正や取り替えによって、対応する技術的手段の本質が本発明の各実施例の技術的手段の範囲から逸脱しないことは当業者にとって自明である。
【0077】
(付記)
(付記1)
集中制御室に配置されたサーバーと、機関室の内部に設けられた主機関補助システムと、主機関物理模型と、現地制御箱とを備え、
前記サーバーが、燃焼室圧力監視ソフトウェアとHILシステムソフトウェアの実行に用いられ、前記HILシステムソフトウェアが、システム維持管理モジュールと評価機能モジュールと通信機能モジュールと主機デジタルモデルと燃料噴射モデルと主機負荷モデルと主機熱交換モデルと対話型インターフェースとを含み、前記燃焼室圧力監視ソフトウェアが、主機デジタルモデルにより計算されたディーゼルエンジンの燃焼室圧力とクランク軸の回転角度データを表示し、ディーゼルエンジンの燃焼室作業条件パラメータを確認し、ディーゼルエンジンの作動状態をオンラインで分析するために用いられ、
前記主機関補助システムと主機関物理模型と現地制御箱が、全て前記サーバーと通信接続する、ことを特徴とする自動化機関室の主機関のHIL模倣システム。
【0078】
(付記2)
主機遠隔制御システムと監視警報システムとを更に備え、前記主機遠隔制御システムと前記監視警報システムが全て前記サーバーと通信接続し、
前記主機遠隔制御システムが、一方で、使用者の模倣主機関に対する操作指令を受信する上に、始動準備状態に従って論理判断を行った後で主機空気圧制御システムに制御信号を出力して関連電磁弁の作動を制御し、主機関の遠隔制御始動、停機及び転換の空気回路の論理を遂げ、他方で、使用者の模倣主機関に対する操作指令を受信する上に、HILシステムを通してエンジン制御システムに操作指示を転送し、最後にエンジン制御システムの論理演算経由で燃料噴射及び排気弁の制御信号をサーバーに搭載された主機デジタルモデルに送信する、ことを特徴とする付記1に記載の自動化機関室の主機関のHIL模倣システム。
【0079】
(付記3)
前記主機関物理模型が、主機関上の関連燃料、潤滑油、冷却淡水及び圧縮空気システムを含み、現実の媒質流動に従って設計を行い、燃料消費模倣装置と圧縮空気消費模倣装置とを備え、前記燃料消費模倣装置が主機関実物の作動過程中の燃料消費を模倣するために用いられ、前記圧縮空気消費模倣装置が主機関実物の作動過程中の圧縮空気消費を模倣するために用いられ、燃焼室に入る圧縮空気を大気中に排出する、ことを特徴とする付記1に記載の自動化機関室の主機関のHIL模倣システム。
【0080】
(付記4)
前記燃料噴射モデルが、上位機の燃料噴射システムに基づいてモデル化され、主機関の燃料高圧油ポンプの作動過程と燃料噴射過程を模倣する上に、噴射開始角度、噴射終了角度及び燃料消費量を算出し、AMSが現地のセンサーから収集した後の主機関の燃料供給の圧力、温度及び流量をイーサネット経由でHILシステムに送信する必要があり、ひいてはHILシステムが燃料の供給と流動状況を判断し、噴射開始角度、噴射終了角度及び燃料消費量を計算する、ことを特徴とする付記1に記載の自動化機関室の主機関のHIL模倣システム。
【0081】
(付記5)
前記主機熱交換モデルが、機関室の主機関と補助システムの原型設備の特性パラメータに従ってモデル化され、燃焼室ライナー冷却水熱交換モデルと低温淡水熱交換モデルと潤滑油熱交換モデルとを含み、主機関と燃焼室ライナー冷却水、低温冷却水及び潤滑油との間の熱交換を模倣し、冷却水や潤滑油の出口温度等の補助システムのパラメータを算出するために用いられ、
AMSが現地のセンサーから収集した後の前記主機燃焼室ライナー淡水冷却システムの圧力と入口温度の信号をHILシステムサーバーに実時間で送信する必要があり、燃焼室ライナー冷却水熱交換モデルが、主機関の作業条件に応じて主機関の各燃焼室出口と総管路の冷却水温度を算出してI/Oボードを介して現地の副次的な計器に送って表示し、
AMSが現地のセンサーから収集した後の前記低温淡水熱交換モデルの圧力をHILシステムサーバーに実時間で送信する必要があり、低温淡水熱交換モデルが、主機関の作業条件に応じて主機関の空気冷却器の温度を算出してI/Oボードを介して現地の副次的な計器に送って表示し、
前記潤滑油熱交換モデルが、主潤滑油ポンプの運転/停機信号、潤滑油入口圧力及び潤滑油出口圧力を受信し、主機潤滑油システムの各連結点の出口温度等のパラメータを算出してAMSに送信して主機潤滑油システムの副次的な計器に表示する、ことを特徴とする付記1に記載の自動化機関室の主機関のHIL模倣システム。
【0082】
(付記6)
前記主機関物理模型の燃料システム、潤滑油システム及び燃焼室ライナー冷却水システムに抵抗装置を追加し、主機関模型の圧力計表示と圧力センサーの収集信号が主機関実物と一致することを確保し、
主機関物理模型に原型機及びHIL模倣システムの要求に基づいてセンサー、原始的な計器及び副次的な計器を配置し、前記副次的な計器が現実のシステム管路と接続し、取り替えられた原始的な計器の位置に取り付けられ、表示されるデータがHILシステムで提供される模倣データである、ことを特徴とする付記1に記載の自動化機関室の主機関のHIL模倣システム。
【0083】
(付記7)
前記現地制御箱が、主機関側制御箱と補助送風機制御箱と油圧ポンプ制御箱とを含み、
前記主機関側制御箱から出力された回転速度設定値電流信号が主機関側強制制御信号とともにI/Oボードで収集されて、イーサネット経由でHILシステムサーバーに送信され、
補助送風機制御箱と油圧ポンプ制御箱、並びにそれらの上にある計器、表示ランプ及びボタンの外観及び布置が、主機関原型と一致し、前記補助送風機制御箱と油圧ポンプ制御箱に必要な模倣信号の出力制御用の計器は、副次的な計器を利用し、
各制御箱内にI/Oボードが設置されて、イーサネット経由で制御箱の模倣操作と相互作用を実現する、ことを特徴とする付記1に記載の自動化機関室の主機関のHIL模倣システム。
【0084】
(付記8)
前記主機関補助システムが、主機燃料供給システムと主機燃焼室ライナー冷却水システムと主機低温冷却水システムと主機潤滑油システムと主機圧縮空気システムとを含み、
各補助システムが、現実の媒質流動と正常な作動のシステム実物に従って設計され及び構築され、設備用電力が、船の発電所によって提供され、模倣及び表示が必要なパラメータが、HILシステムソフトウェアによって計算されて表示に出力され、対応する計器は副次的な計器を利用する、ことを特徴とする付記1に記載の自動化機関室の主機関のHIL模倣システム。
【0085】
(付記9)
I/O通信ボードを更に備え、前記I/O通信ボードが、付属機関室の設備に配置され、機関室設備の現場データを収集する上にHILシステムソフトウェアによって算出されたデータを設備へ実行、並びに計器へ表示に出力するために用いられ、I/O通信ボードが、イーサネット、直列インターフェース及びCAN通信インターフェース機能を備える、ことを特徴とする付記1に記載の自動化機関室の主機関のHIL模倣システム。
図1
【外国語明細書】