(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006819
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】コンテンツ取引システム、閲覧投票者端末およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/18 20120101AFI20240110BHJP
G06Q 30/08 20120101ALI20240110BHJP
【FI】
G06Q50/18 310
G06Q30/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022108060
(22)【出願日】2022-07-04
(71)【出願人】
【識別番号】522076583
【氏名又は名称】株式会社WonderPro
(74)【代理人】
【識別番号】100112520
【弁理士】
【氏名又は名称】林 茂則
(72)【発明者】
【氏名】米倉 佑飛
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB26
5L049BB73
(57)【要約】
【課題】創作者が出品を希望するコンテンツのうち、多数の潜在的購入者から一定の評価を得たコンテンツに取引を限定する。
【解決手段】創作者が創作したコンテンツおよびコンテンツ関連情報を創作者端末から受信するコンテンツ情報受信部と、コンテンツ情報を加工したコンテンツ加工情報を閲覧投票者端末に送信し、閲覧投票者端末において、コンテンツ加工情報の全部若しくは一部の閲覧、または、コンテンツに対する投票があった場合に、コンテンツの閲覧投票データを生成する閲覧投票部と、閲覧投票データに基づきコンテンツを取引対象にするかを判定する取引判定部と、取引判定部が取引対象にすると判定した場合、コンテンツを取引し、取引による収益を、コンテンツの創作者、コンテンツに投票した閲覧投票者およびシステム管理者への配当として分配する配当分配部と、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
創作者が創作したコンテンツおよび当該コンテンツの関連情報を含むコンテンツ情報を、創作者端末から受信するコンテンツ情報受信部と、
前記コンテンツ情報を加工したコンテンツ加工情報を閲覧投票者端末に送信し、前記閲覧投票者端末において、前記コンテンツ加工情報の全部若しくは一部の閲覧、または、前記コンテンツに対する投票があった場合に、前記コンテンツの閲覧投票データを生成する閲覧投票部と、
前記閲覧投票データに基づき前記コンテンツを取引対象にするかを判定する取引判定部と、
前記取引判定部が取引対象にすると判定した場合、前記コンテンツを取引し、前記取引による収益を、前記コンテンツの創作者、前記コンテンツに投票した閲覧投票者およびシステム管理者への配当として分配する配当分配部と、
を有するコンテンツ取引システム。
【請求項2】
前記取引判定部が前記コンテンツを取引対象にすると判定した場合、前記コンテンツの非代替性トークン(NFT)の生成を要求するとともに、前記コンテンツをピアツーピア(P2P)ネットワークに記録するよう要求する生成記録要求部をさらに有する
請求項1に記載のコンテンツ取引システム。
【請求項3】
前記取引判定部が前記コンテンツを取引対象にすると判定した場合、前記コンテンツのレプリカを生成し、前記レプリカのNFTの生成を要求するとともに、前記レプリカを前記P2Pネットワークに記録するよう要求し、前記レプリカの前記NFTを前記閲覧投票者端末に送信するレプリカ生成送信部をさらに有する
請求項2に記載のコンテンツ取引システム。
【請求項4】
前記レプリカ生成送信部は、前記レプリカの前記NFTを、前記創作者が指定する閲覧投票者端末および前記投票を実行した閲覧投票者端末から選択された複数の閲覧投票者端末に送信する
請求項3に記載のコンテンツ取引システム。
【請求項5】
前記閲覧投票部は、複数の前記コンテンツ加工情報を含む一覧データを前記閲覧投票者端末に送信し、前記閲覧投票データを前記コンテンツ加工情報ごとに生成する
請求項1に記載のコンテンツ取引システム。
【請求項6】
前記取引判定部は、前記閲覧投票データに含まれる閲覧数および投票数に基づき、前記コンテンツ加工情報に係る前記コンテンツの支持率(支持率=投票数/閲覧数)を算出し、前記支持率が所定値を超えた場合に前記コンテンツを取引対象にすると判定する
請求項1に記載のコンテンツ取引システム。
【請求項7】
前記取引判定部が前記コンテンツを取引対象にすると判定した場合、前記支持率に基づいて前記コンテンツにランクを付与するランク付与部をさらに有し、
前記コンテンツを取引する際、取引情報に前記ランクを付加する
請求項6に記載のコンテンツ取引システム。
【請求項8】
前記コンテンツの取引が、前記コンテンツのオークションへの出品であり、
前記オークションにおける入札、落札、その他の制御を実行するオークション制御部をさらに有する
請求項1から請求項7の何れか一項に記載のコンテンツ取引システム。
【請求項9】
前記コンテンツの取引が、前記コンテンツの販売であり、
前記販売を制御する販売制御部をさらに有する
請求項1から請求項7の何れか一項に記載のコンテンツ取引システム。
【請求項10】
創作者が創作したコンテンツおよび当該コンテンツの関連情報を含むコンテンツ情報を複数含む一覧データを受信する閲覧投票者端末であって、
前記一覧データ、または、前記一覧データに含まれている複数の前記コンテンツ加工情報から選択された一つのコンテンツ加工情報、を表示する表示部と、
前記一覧データに含まれている複数の前記コンテンツ加工情報から前記一つのコンテンツ加工情報を選択する選択操作が実行されること、または、複数の前記コンテンツ加工情報のそれぞれに含まれている前記コンテンツのレプリカが所定時間を超えて表示されること、により前記コンテンツ加工情報の表示を検出する表示検出部と、
前記一つのコンテンツ加工情報とともに表示される投票領域への投票操作により、投票を検知する投票検知部と、を有し、
前記表示検出部は、前記表示の検出を契機として、前記閲覧投票部に、表示に係るコンテンツの閲覧通知を送信し、
前記投票検知部は、前記投票の検知を契機として、前記閲覧投票部に、表示に係るコンテンツの投票通知を送信する
閲覧投票者端末。
【請求項11】
前記投票検知部は、前記閲覧投票者端末を操作する閲覧投票者に付与された最大投票数を超える投票を無効にする
請求項10に記載の閲覧投票者端末。
【請求項12】
創作者が創作したコンテンツおよび当該コンテンツの関連情報を含むコンテンツ情報を、創作者端末から受信する機能と、
前記コンテンツ情報を加工したコンテンツ加工情報を閲覧投票者端末に送信し、前記閲覧投票者端末において、前記コンテンツ加工情報の全部若しくは一部の閲覧、または、前記コンテンツに対する投票があった場合に、前記コンテンツの閲覧投票データを生成する機能と、
前記閲覧投票データに基づき前記コンテンツを取引対象にするかを判定する機能と、
前記取引判定部が取引対象にすると判定した場合、前記コンテンツを取引し、前記取引による収益を、前記コンテンツの創作者、前記コンテンツに投票した閲覧投票者およびシステム管理者への配当として分配する機能と、
をコンピュータに実現させるためのプログラム。
【請求項13】
創作者が創作したコンテンツおよび当該コンテンツの関連情報を含むコンテンツ情報を複数含む一覧データ、または、前記一覧データに含まれている複数の前記コンテンツ加工情報から選択された一つのコンテンツ加工情報、を表示する機能と、
前記一覧データに含まれている複数の前記コンテンツ加工情報から前記一つのコンテンツ加工情報を選択する選択操作が実行されること、または、複数の前記コンテンツ加工情報のそれぞれに含まれている前記コンテンツのレプリカが所定時間を超えて表示されること、により前記コンテンツ加工情報の表示を検出し、前記表示の検出を契機として、前記表示に係るコンテンツの閲覧通知を送信する機能と、
前記一つのコンテンツ加工情報とともに表示される投票領域への投票操作により、投票を検知し、前記投票の検知を契機として、前記表示に係るコンテンツの投票通知を送信する機能と、をコンピュータに実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツ取引システム、閲覧投票者端末およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、特許文献1は、「アート作品取引システム、アート作品取引方法、およびアート作品取引管理装置」の発明を開示する。当該「アート作品取引システム」は、「アート作品取引システムの登録ユーザが使用するユーザ端末と、ブロックチェーンネットワークと、アート作品の取引を管理するアート作品取引管理装置と、前記アート作品の所有権に関する所有権トークンを管理する所有権トークン管理装置と、を備え、前記アート作品取引管理装置は、前記登録ユーザであるアーティストから出品リクエストが行われたアート作品の出品登録を行い、前記アート作品取引管理装置は、前記所有権トークン管理装置へ前記所有権トークンの発行指示を行い、前記所有権トークン管理装置は、前記発行指示に基づき、出品登録された前記アート作品に対応する前記所有権トークンを発行し、発行した前記所有権トークンを前記ブロックチェーンネットワークへ出品する」との構成を有する。
【0003】
当該発明によれば、「アート作品取引システム」に「所有権トークン管理装置」を備え、アート作品の出品に際して当該作品の「所有権トークン」を発行し、発行した「所有権トークン」をブロックチェーンネットワークに出品することで、アーティストの利便性を向上させ、アート作品の流動性を向上させることができる、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来技術のアート作品取引システムは、単に、取引対象を「所有権トークン」とするのみであり、取引対象の価値の源泉である「アート作品」を全て同列に扱うこととなる。その結果、取引対象として扱う価値が高い「アート作品」と、取引対象として扱うには価値の低い「アート作品」が混在し、作品を購入しようとする購入者にとっては、玉石混交の作品群から好みの作品を見つけ出すことが困難になり、一方、価値の高い作品を出品するアーティストにとっては、自己の作品が多くの作品群に埋もれ、購入者の目に触れる機会を逸する危険性が高くなってしまう問題がある。
【0006】
本発明の目的は、アート作品等コンテンツを取引するシステムにおいて、創作者(アーティスト)が出品を希望するコンテンツのうち、多数の潜在的購入者から一定の評価を得たコンテンツのみを取引対象とすることによって取引対象を絞り、比較的価値が高いコンテンツのみが上市されるコンテンツ取引システムを提供することにある。また、購入者にとっては、潜在購入者による評価を参考に、購入の意思決定が行い易いコンテンツ取引システムを提供し、未だ世間には知られていないものの作品自体には高い評価を得ている創作者にとっては、購入者の目に触れ易いコンテンツ取引システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様においては、創作者が創作したコンテンツおよび当該コンテンツの関連情報を含むコンテンツ情報を、創作者端末から受信するコンテンツ情報受信部と、前記コンテンツ情報を加工したコンテンツ加工情報を閲覧投票者端末に送信し、前記閲覧投票者端末において、前記コンテンツ加工情報の全部若しくは一部の閲覧、または、前記コンテンツに対する投票があった場合に、前記コンテンツの閲覧投票データを生成する閲覧投票部と、前記閲覧投票データに基づき前記コンテンツを取引対象にするかを判定する取引判定部と、前記取引判定部が取引対象にすると判定した場合、前記コンテンツを取引し、前記取引による収益を、前記コンテンツの創作者、前記コンテンツに投票した閲覧投票者およびシステム管理者への配当として分配する配当分配部と、を有するコンテンツ取引システムを提供する。
【0008】
前記取引判定部が前記コンテンツを取引対象にすると判定した場合、前記コンテンツの非代替性トークン(NFT)の生成を要求するとともに、前記コンテンツをピアツーピア(P2P)ネットワークに記録するよう要求する生成記録要求部をさらに有することができる。
【0009】
前記取引判定部が前記コンテンツを取引対象にすると判定した場合、前記コンテンツのレプリカを生成し、前記レプリカのNFTの生成を要求するとともに、前記レプリカを前記P2Pネットワークに記録するよう要求し、前記レプリカの前記NFTを前記閲覧投票者端末に送信するレプリカ生成送信部をさらに有することができる。この場合、前記レプリカ生成送信部は、前記レプリカの前記NFTを、前記創作者が指定する閲覧投票者端末および前記投票を実行した閲覧投票者端末から選択された複数の閲覧投票者端末に送信することができる。
【0010】
前記閲覧投票部は、複数の前記コンテンツ加工情報を含む一覧データを前記閲覧投票者端末に送信し、前記閲覧投票データを前記コンテンツ加工情報ごとに生成することができる。
【0011】
前記取引判定部は、前記閲覧投票データに含まれる閲覧数および投票数に基づき、前記コンテンツ加工情報に係る前記コンテンツの支持率(支持率=投票数/閲覧数)を算出し、前記支持率が所定値を超えた場合に前記コンテンツを取引対象にすると判定することができる。また、前記取引判定部が前記コンテンツを取引対象にすると判定した場合、前記支持率に基づいて前記コンテンツにランクを付与するランク付与部をさらに有し、前記コンテンツを取引する際、取引情報に前記ランクを付加することができる。
【0012】
前記コンテンツの取引が、前記コンテンツのオークションへの出品である場合、前記オークションにおける入札、落札、その他の制御を実行するオークション制御部をさらに有することができる。前記コンテンツの取引が、前記コンテンツの販売である場合、前記販売を制御する販売制御部をさらに有することができる。
【0013】
本発明の第2の態様においては、創作者が創作したコンテンツおよび当該コンテンツの関連情報を含むコンテンツ情報を複数含む一覧データを受信する閲覧投票者端末であって、前記一覧データ、または、前記一覧データに含まれている複数の前記コンテンツ加工情報から選択された一つのコンテンツ加工情報、を表示する表示部と、前記一覧データに含まれている複数の前記コンテンツ加工情報から前記一つのコンテンツ加工情報を選択する選択操作が実行されること、または、複数の前記コンテンツ加工情報のそれぞれに含まれている前記コンテンツのレプリカが所定時間を超えて表示されること、により前記コンテンツ加工情報の表示を検出する表示検出部と、前記一つのコンテンツ加工情報とともに表示される投票領域への投票操作により、投票を検知する投票検知部と、を有し、前記表示検出部は、前記表示の検出を契機として、前記閲覧投票部に、表示に係るコンテンツの閲覧通知を送信し、前記投票検知部は、前記投票の検知を契機として、前記閲覧投票部に、表示に係るコンテンツの投票通知を送信する閲覧投票者端末を提供する。
【0014】
前記投票検知部は、前記閲覧投票者端末を操作する閲覧投票者に付与された最大投票数を超える投票を無効にしてもよい。
【0015】
本発明の第3の態様においては、創作者が創作したコンテンツおよび当該コンテンツの関連情報を含むコンテンツ情報を、創作者端末から受信する機能と、前記コンテンツ情報を加工したコンテンツ加工情報を閲覧投票者端末に送信し、前記閲覧投票者端末において、前記コンテンツ加工情報の全部若しくは一部の閲覧、または、前記コンテンツに対する投票があった場合に、前記コンテンツの閲覧投票データを生成する機能と、前記閲覧投票データに基づき前記コンテンツを取引対象にするかを判定する機能と、前記取引判定部が取引対象にすると判定した場合、前記コンテンツを取引し、前記取引による収益を、前記コンテンツの創作者、前記コンテンツに投票した閲覧投票者およびシステム管理者への配当として分配する機能と、をコンピュータに実現させるためのプログラムを提供する。
【0016】
本発明の第4の態様においては、創作者が創作したコンテンツおよび当該コンテンツの関連情報を含むコンテンツ情報を複数含む一覧データ、または、前記一覧データに含まれている複数の前記コンテンツ加工情報から選択された一つのコンテンツ加工情報、を表示する機能と、前記一覧データに含まれている複数の前記コンテンツ加工情報から前記一つのコンテンツ加工情報を選択する選択操作が実行されること、または、複数の前記コンテンツ加工情報のそれぞれに含まれている前記コンテンツのレプリカが所定時間を超えて表示されること、により前記コンテンツ加工情報の表示を検出し、前記表示の検出を契機として、前記表示に係るコンテンツの閲覧通知を送信する機能と、前記一つのコンテンツ加工情報とともに表示される投票領域への投票操作により、投票を検知し、前記投票の検知を契機として、前記表示に係るコンテンツの投票通知を送信する機能と、をコンピュータに実現させるためのプログラムを提供する。
【0017】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】コンテンツ取引の全体を説明するための概念図である。
【
図2】コンテンツ取引システム100および閲覧投票者端末300の構成を示す機能ブロック図である。
【
図3】コンテンツ取引システム100の動作を示すフロー図であり、主に制御サーバにおけるユーザ登録の処理フローを示す。
【
図4】コンテンツ取引システム100の動作を示すフロー図であり、主に制御サーバにおける全体の処理フローを示す。
【
図5】コンテンツ取引システム100の動作を示すフロー図であり、主に投票サーバにおける処理フローを示す。
【
図6】閲覧投票者端末300における一覧データの表示を示した概念図である。
【
図7】閲覧投票者端末300における表示を示した画面図であり、投票操作をアクティブにした場合の表示例を示す。
【
図8】閲覧投票者端末300における表示を示した画面図であり、投票操作をアクティブにした場合の表示例を示す。
【
図9】コンテンツ取引システム100の動作を示すフロー図であり、主にオークションサーバにおける処理フローを示す。
【
図10】参加者端末400における一覧データの表示を示した概念図である。
【
図11】参加者端末400における表示を示した画面図であり、入札ページの例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0020】
図1は、コンテンツ取引の全体を説明するための概念図である。本実施の形態でのコンテンツの取引は、コンテンツ取引システム100、創作者端末200、閲覧投票者端末300および参加者端末400が、インターネット500によって相互接続されたネットワーク上で実施される。
【0021】
コンテンツ取引システム100は、コンテンツ取引を制御するサーバ等の情報処理システムであり、創作者端末200はコンテンツを創作した創作者の情報端末である。閲覧投票者端末300は、コンテンツを閲覧し、閲覧したコンテンツに対して肯定的な評価を与える場合に投票を行う閲覧投票者の情報端末である。参加者端末400は、コンテンツ取引の一態様であるオークションに参加する参加者の情報端末である。インターネット500は、通信ネットワークの一例であり、インターネットプロトコル(IP)によって接続される通信ネットワークである。なお、インターネット500には、ピアツーピア(P2P)ネットワーク550を含む。P2Pネットワーク550は、各情報機器(ノード)が対等な者として通信するP2P方式で接続され、多数のノードによってネットワークを構成する、インターネット500のオーバーレイネットワークである。
【0022】
なお、上記した情報端末には、パーソナルコンピュータ、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末等、インターネット500に接続可能な全ての情報機器が含まれる。
【0023】
図2は、コンテンツ取引システム100および閲覧投票者端末300の構成を示す機能ブロック図である。コンテンツ取引システム100は、ユーザ登録部110、ユーザデータベース(ユーザDB)112、コンテンツ情報受信部120、閲覧投票部130、取引判定部150、生成記録要求部160、レプリカ生成送信部170、オークション制御部180および配当分配部190を有し、閲覧投票者端末300は、一覧データ受信部310、表示部320、表示検出部330および投票検知部340を有する。閲覧投票部130は、一覧データ生成部132、一覧データ送信部134、表示通知受信部136、投票通知受信部138および閲覧投票データ生成部140を有する。取引判定部150は、判定部152およびランク付与部154を有する。生成記録要求部160は、NFT生成要求部162およびコンテンツ記録要求部164を有する。レプリカ生成送信部170は、レプリカ作成部172、レプリカ配布先抽出部174およびレプリカ送信部176を有する。表示部320は、表示制御部322および表示パネル324を有する。
【0024】
コンテンツ取引システム100は、コンテンツの取引を制御する情報処理システムである。コンテンツ取引システム100で取引されるコンテンツは、絵画、写真、デザイン画等のアート作品を想定するが、特に限定されず、音楽等の楽曲作品であってもよい。ただし、取引対象のコンテンツは、現物として存在する絵画等の有体物ではなく、情報処理装置で取り扱うことが可能なデジタルデータであることを要する。すなわち、コンテンツは、有体物たるアート作品等をデジタル化したデジタルデータ、あるいは、デジタルデータとして創作されたアート作品等である。デジタルデータは、絵画、写真等2次元画像で表現される2次元データ、建築物等3次元で表現される3次元データ、動きを表現する動画データ、楽曲データであってもよい。なお、複数のデジタルデータを組み合わせて一つのコンテンツとしてもよい。たとえば、ビデオクリップのように、楽曲や音声に動画を組み合わせた音声動画データをコンテンツとしてもよい。
【0025】
ユーザ登録部110は、コンテンツの取引を希望する創作者を登録する。なお、本明細書における創作者は、コンテンツを実際に創作した者に限るものではなく、実際の創作者から正当に権利を得た承継人または創作者の代理人を含む。また、ユーザ登録部110は、コンテンツを閲覧し投票する閲覧投票者を登録する。後に説明するように、閲覧投票者による投票がコンテンツを評価する指標に利用され、コンテンツの取引が成立した場合には、一定の利益が閲覧投票者に還元されるため、閲覧投票者は正当である必要がある。よって、創作者のみならず、閲覧投票者も登録を要件とする。登録された創作者および閲覧投票者は、ユーザデータベース(ユーザDB)112に記録される。
【0026】
コンテンツ情報受信部120は、創作者端末200から、コンテンツ情報を受信する。コンテンツ情報には、コンテンツであるデジタルデータそれ自体および当該コンテンツの関連情報を含む。コンテンツの関連情報は、創作者の氏名等創作者を識別する情報、創作者の思いを記したテキスト、創作時のメイキングビデオやメイキングストーリへのURLリンク等を含む。コンテンツの関連情報に創作者の思いやメイキングエピソードを含めることで、当該コンテンツの閲覧やオークションの際にこれを開示し、閲覧投票者による投票やオークション参加者による入札の判断に資することができる。
【0027】
閲覧投票部130は、コンテンツ加工情報を閲覧投票者端末300に送信し、閲覧投票者端末300において、コンテンツ加工情報の全部若しくは一部の閲覧、または、コンテンツに対する投票があった場合に、コンテンツの閲覧投票データを生成する。コンテンツ加工情報は、コンテンツ情報を加工した情報であり、コンテンツそれ自体のデータは含まず、代わりに、コンテンツの解像度を落としたデータ、すなわちコンテンツのレプリカデータを含む。レプリカデータとすることで通信に必要なデータ量を削減することができる。
【0028】
閲覧投票部130の一覧データ生成部132は、複数のコンテンツ加工情報を含む一覧データ生成する。一覧データ送信部134は、一覧データ生成部132で生成した一覧データを閲覧投票者端末300に送信する。表示通知受信部136は、閲覧投票者端末300からの表示通知を受信し、投票通知受信部138は、閲覧投票者端末300からの投票通知を受信する。閲覧投票データ生成部140は、表示通知受信部136および投票通知受信部138が受信した表示通知および投票通知から閲覧投票データを生成する。閲覧投票データは、コンテンツ加工情報ごとに生成される。
【0029】
取引判定部150は、閲覧投票データに基づきコンテンツを取引対象にするかを判定する。判定部152は、たとえば、閲覧投票データに含まれる閲覧数および投票数に基づき、コンテンツ加工情報に係るコンテンツの支持率(支持率=投票数/閲覧数)を算出し、支持率が所定値を超えた場合にコンテンツを取引対象にすると判定する。所定値として、たとえば10%、好ましくは20%を例示することができる。判定部152を備えることで、当該コンテンツに対する客観的な評価を得ることができ、一定の評価に満たないコンテンツ、たとえば支持率が10%を超えないコンテンツを取引対象から除外することができる。
【0030】
ランク付与部154は、判定部152がコンテンツを取引対象にすると判定した場合、支持率に基づいてコンテンツにランクを付与する。たとえば、支持率が高い程、高いランクを付与し、オークション制御部180がコンテンツを出品する際、出品情報にランクを付加することができる。これにより、オークション参加者の入札判断を容易にすることができる。
【0031】
生成記録要求部160は、判定部152がコンテンツを取引対象にすると判定した場合、コンテンツの非代替性トークン(NFT)の生成を要求し、コンテンツをP2Pネットワーク550に記録するよう要求する。NFT生成要求部162は、コンテンツの所有者等を記録した非代替性トークン(NFT)の生成を要求する。NFTの生成は、たとえば、ブロックチェーン技術を利用した公知のNFTサービスを利用することで実現できる。この場合、生成されるNFTは、ブロックチェーンを構成するブロックの一つに割り当てて記録され、P2Pネットワーク550上の多数の情報処理装置に同一ファイルとして記録されることで、内容の一意性が担保され、NFTに記録された所有者の正当性を保証できる。
【0032】
コンテンツ記録要求部164は、コンテンツを分散ファイルシステムとしてのP2Pネットワーク550に記録するよう要求する。コンテンツの記録には、たとえば、公知のIPFS(Inter Planetary File System)サービスを利用することができる。IPFSサービスを利用することで、データ保存の安全性、永続性を高めることができる。
【0033】
レプリカ生成送信部170は、判定部152がコンテンツを取引対象にすると判定した場合、コンテンツのレプリカを生成し、レプリカのNFT生成を要求するとともに、レプリカをP2Pネットワーク550に記録するよう要求する。生成されたレプリカのNFTは、閲覧投票者端末300に送信される。なお、NFTの閲覧投票者端末300への送信は、NFTのデータそれ自体を送信先である閲覧投票者端末300に送信する訳ではなく、NFTの所有者IDを、送信先のユーザである閲覧投票者に紐付けられたP2Pネットワーク上のアカウントに書き換えることによって実現する。以下、本明細書において「NFTを送信する」と表現する場合、同様である。
【0034】
レプリカ生成送信部170は、レプリカ作成部172、レプリカ配布先抽出部174、レプリカ送信部176を有する。レプリカ作成部172は、コンテンツのレプリカを作成し、生成したレプリカのNFT生成を要求するとともに、レプリカをP2Pネットワーク550に記録するよう要求する。レプリカ送信部176は、レプリカ配布先抽出部174で抽出した配布先にレプリカのNFTを送信する。
レプリカ配布先抽出部174は、たとえば、創作者が指定する閲覧投票者端末300を配布先として選択でき、あるいは、投票を実行した閲覧投票者端末300から適当な複数の配布先を選択することができる。レプリカ配布先抽出部174により配布先を選択し、適切な対象に適切なタイミングでレプリカのNFTを送信することにより、オークションや販売等、コンテンツの取引における入札や購入を期待できる潜在購入者に、適切なタイミングで広告することができる。
【0035】
オークション制御部180は、判定部152がコンテンツを取引対象にすると判定した場合、コンテンツをオークションに出品し、オークションにおける入札、落札、その他の制御を実行する。落札の際の決済は、たとえばETH(イーサリアム:Ethereum)等の暗号資産によって行うことができる。なお、コンテンツ取引の態様として、ここではオークションを例にしているが、コンテンツの取引態様は、コンテンツの販売であってもよい。この場合、オークション制御部180に代えて、販売を制御する販売制御部としてもよい。販売制御部として、一般的なオンラインショップ(ネットショップ)、EC(electronic commerce)サイトを提供するサービスサーバを例示できる。
【0036】
配当分配部190は、オークションでコンテンツが落札された場合、当該落札に対する収益を、コンテンツの創作者、コンテンツに投票した閲覧投票者およびシステム管理者への配当として分配する。すなわち、創作者はコンテンツの創作に対する報酬として配当を受け、閲覧投票者は、コンテンツの公正な評価に対する報酬として配当を受けることができる。また、システム管理者は、システムの維持管理に対する報酬として配当を受けることができる。なお、配当は、たとえばETH(イーサリアム:Ethereum)等の暗号資産によって行うことができる。
【0037】
閲覧投票者端末300は、創作者が創作したコンテンツおよび当該コンテンツの関連情報を含むコンテンツ情報を複数含む一覧データを受信する。一覧データ受信部310は、コンテンツ取引システム100の一覧データ送信部134が送信した一覧データを受信する。表示部320は、一覧データ、または、一覧データに含まれている複数のコンテンツ加工情報から選択された一つのコンテンツ加工情報、を表示する。表示部320は、表示制御部322および表示パネル324を有し、表示制御部322は、表示パネル324への表示を制御する。表示パネル324は、たとえばタッチセンサ機能付きの液晶パネルである。
【0038】
表示検出部330は、コンテンツ加工情報の表示を検出する。前記した表示の検出は、たとえば、一覧データに含まれている複数のコンテンツ加工情報から一つのコンテンツ加工情報を選択する選択操作が実行されること、で行う。あるいは、前記した表示の検出は、たとえば、複数のコンテンツ加工情報のそれぞれに含まれているコンテンツのレプリカが所定時間を超えて表示されること、で行う。表示検出部330は、表示の検出を契機として、閲覧投票部130に、表示に係るコンテンツの閲覧通知を送信する。
【0039】
投票検知部340は、一つのコンテンツ加工情報とともに表示される投票領域への投票操作により、投票を検知する。投票検知部340は、投票の検知を契機として、閲覧投票部130に、表示に係るコンテンツの投票通知を送信する。なお、投票検知部340は、閲覧投票者の各々に付与された最大投票数を超える投票を無効にすることができる。すなわち、一人の閲覧投票者には、所定期間内に投票できる最大投票数が定められており、投票検知部340は、ある閲覧投票者の投票が、当該閲覧投票者に与えられた最大投票数を超える投票であった場合、その投票を無効にすることができる。これにより、閲覧投票者の慎重な投票行動を促し、閲覧投票者は、真に評価できるコンテンツにのみ投票を考えるようになる。その結果、投票結果の信頼度を高めることができる。
【0040】
次に、コンテンツ取引システム100の処理を説明する。なお、コンテンツ取引システム100における処理は、概略、閲覧投票部130における処理、オークション制御部180における処理、その他の処理に分けることができ、これら3種の処理をそれぞれ独立したサーバとして管理運用することが可能である。以下の説明では、閲覧投票部130における処理を投票サーバの処理、オークション制御部180における処理をオークションサーバの処理、その他の処理を制御サーバの処理、として説明する。上記各サーバは、単一のハードウエアで稼働してもよく、複数のハードウエアで独立稼働するものであってもよい。
【0041】
図3は、コンテンツ取引システム100の動作を示すフロー図であり、主に制御サーバにおけるユーザ登録の処理フローを示す。
【0042】
コンテンツの取引または閲覧投票を希望する創作者または閲覧投票者は、まず、コンテンツ取引システム100へのユーザ登録(ステップ600)を行う。すなわち、各々が使用する創作者端末200または閲覧投票者端末300は、コンテンツ取引システム100の制御サーバに対し、ユーザ登録要求を送信し(ステップ602)、制御サーバは登録フォームを返信する(ステップ604)。返信には、利用規約を含めてもよい。
【0043】
創作者端末200または閲覧投票者端末300は、利用規約および登録フォームを受信し(ステップ606)、利用規約を承認したうえで(ステップ608)、登録フォームへの入力を行い、当該フォームを制御サーバに送信する(ステップ610)。なお、取引において不正な行為を排除するため、また、後に発生する配当を適切に配分するのため等の理由から、登録は実名で行うことが好ましい。
【0044】
制御サーバは、入力された登録フォームを受信し(ステップ612)、ユーザ登録の可否を判断する(ステップ614)。可否判断の要件として、たとえば利用規約への承諾があるか、登録された実名に不正はないか(本人確認)、等が例示できる。ステップ614で登録可と判断された場合、制御サーバは、ログイン情報(たとえばID、パスワード)を生成し(ステップ616)、ユーザ登録を行う(ステップ618)。ログイン情報等ユーザ登録に係る登録情報は、ユーザデータベースに112記録され、登録要求があった創作者端末200または閲覧投票者端末300に送信される(ステップ620)。登録情報を受信した創作者端末200または閲覧投票者端末300は、登録情報を表示し(ステップ622)、処理を終了する(ステップ624)。
【0045】
ステップ614で登録が不可と判断された場合、制御サーバは登録不可通知を送信し(ステップ626)、登録不可通知を受信した創作者端末200または閲覧投票者端末300は、登録不可を表示し(ステップ628)、処理を終了する(ステップ630)。
【0046】
図4は、コンテンツ取引システム100の動作を示すフロー図であり、主に制御サーバにおける全体の処理フローを示す。
【0047】
コンテンツの登録を希望する創作者は、コンテンツ登録を開始する(ステップ702)。すなわち、創作者端末200から制御サーバにログイン要求(ステップ704)を送信し、ログイン要求を受けた制御サーバは、ログイン認証を行う(ステップ706)。当該認証が成功した場合、制御サーバはコンテンツのアップロード要求を返信し、創作者端末200は、コンテンツのアップロードを行う(ステップ708)。なお、当該アップロード際に、コンテンツに関連する関連情報も同時にアップロードされてもよい。
【0048】
制御サーバは、アップロードされたコンテンツを受信し(ステップ710)、コンテンツを公開する(ステップ712)。なお、コンテンツの公開前に、ステップ710で受信したコンテンツを審査することが好ましい。たとえば、受信したコンテンツが既に公開されている他のコンテンツに酷似している場合、当該コンテンツの公開が第三者の権利を侵害する可能性があり、暴力的な表現を含むコンテンツである場合、当該コンテンツの公開が公序良俗に反する可能性がある。このような可能性のあるコンテンツは、公開前の審査によって排除し、適切なコンテンツに限って公開(ステップ712)することが好ましい。
【0049】
コンテンツ公開処理は、投票サーバにて行い(ステップ714)、投票サーバは、閲覧投票者端末300と通信してコンテンツの閲覧および投票に資する。また、ステップ712で公開処理が実行されると、制御サーバはコンテンツ公開報告を送信し、創作者端末200は当該報告を受信する(ステップ716)。
【0050】
投票サーバにおけるコンテンツの公開(ステップ714)の結果として、制御サーバは閲覧投票データを取得する(ステップ718)。制御サーバは、閲覧投票データを取得すると、公開期間が経過したかを判断し(ステップ720)、未だ公開期間内である場合には、投票サーバからの閲覧投票データの取得を待機する。公開期間を経過している場合、制御サーバは、当該コンテンツが取引対象とする基準をクリアしているかを判断する(ステップ722)。当該基準をクリアしていない場合、処理を終了し(ステップ724)、当該基準をクリアしている場合、制御サーバは、コンテンツのNFT生成を要求する(ステップ726)。当該要求に応答するNFTの生成は、公知のNFTサービスよって実行され、生成されたNFTは、たとえばブロックチェーンの一部としてP2Pネットワーク550に記録される。
【0051】
ステップ726のNFT生成要求とともに、制御サーバは、コンテンツの記録を要求する(ステップ728)。当該要求に応答するコンテンツの記録は、たとえば公知のIPFSサービスによって実行され、コンテンツを分散ファイルシステムとしてのP2Pネットワーク550に記録する。
【0052】
ステップ726のNFT生成要求およびステップ728のコンテンツ記録要求の処理が実行されると、制御サーバはNFTの生成報告を送信し、創作者端末200は当該報告を受信する(ステップ730)。
【0053】
制御サーバは、コンテンツのレプリカを作成し(ステップ732)、コンテンツの場合と同様、レプリカのNFT生成を要求するとともに、レプリカを、P2Pネットワーク550に記録するよう要求する。その後制御サーバは、レプリカの配布先抽出処理を実行する(ステップ734)。そして、抽出した配布先にレプリカのNFTを送信(配布)する(ステップ736)。なお、ステップ732で作成したレプリカは、コンテンツと同様に、たとえばP2Pネットワーク550に記録し、ステップ736のレプリカの配布は、レプリカの記録先であるP2Pネットワーク550へのリンクURLの通知等、アクセス方法の報知に代えてもよい。
【0054】
その後、制御サーバは、オークションを開始する(ステップ738)。オークションの実行制御は、オークションサーバにて行い(ステップ740)、オークションサーバは、オークションの参加者端末400と通信してコンテンツへの入札、落札、決済等の処理を実行する。
【0055】
オークションが終了し、コンテンツが落札された場合、制御サーバは、落札結果を取得し(ステップ742)、落札結果報告を創作者端末200に送信する。創作者端末200は当該報告を受信する(ステップ744)。
【0056】
ステップ742の落札結果を受け、制御サーバは、落札によって得られた収益を配当として配分する処理を実行する(ステップ746)。配当は、たとえば暗号資産で提供され、それぞれ受け取るべき者の端末(創作者端末200および閲覧投票者端末300)に送信され、各端末でこれを受け取る(ステップ748)。制御サーバは処理を終了する(ステップ750)。
【0057】
図5は、コンテンツ取引システム100の動作を示すフロー図であり、主に投票サーバにおける処理フローを示す。
【0058】
コンテンツの閲覧、投票を希望する閲覧投票者は、閲覧投票者端末300から投票サーバにログイン要求(ステップ802)を送信し、当該要求を受けた投票サーバは、ログイン認証を行う(ステップ804)。認証に成功した場合、閲覧投票者端末300は、投票サーバにログインのうえ、コンテンツの一覧データを要求し(ステップ806)、投票サーバは、当該要求に応じて一覧ページを送信する(ステップ808)。閲覧投票者端末300は、一覧ページを受信し(ステップ810)、受信した一覧ページを閲覧投票者端末300の表示パネル324に表示する(ステップ812)。
【0059】
図6は、閲覧投票者端末300における一覧データの表示を示した概念図である。一覧データは、複数のコンテンツ加工情報を含み、各コンテンツ加工情報は、縮小画像X1、詳細表示画像X2として表示される。縮小画像X1および詳細表示画像X2は、表示制御部322が制御する画像メモリに配置された概念上のものであり、表示パネル324に表示される画像は、表示ウィンドウWの内側にある画像に限られる。
【0060】
縮小画像X1は、コンテンツのレプリカRP1とタイトルTIを含み、画面上部横方向に配置される。詳細表示画像X2は、タイトルTIに加えて、レプリカRP1より解像度の高いレプリカRP2、レーティングレベルRLの入力領域、創作者コメントCCを含み、縮小画像X1より下部縦方向に配置される。レーティングレベルRLは、閲覧投票者が投票の際に入力する、主観的な好感度を星数で示した指標である。なお、
図6では、レーティングレベルRLを示すマークとして星型のマークを用いているが、星型に限らず、ハート型のマーク、親指を立てた形の所謂いいねボタンマーク等、他のマークを用いてもよい。創作者コメントCCは、コンテンツの関連情報として創作者から提供されたメーキングビデオリンクや創作者の思いを込めたコメント等である。詳細表示画像X2において、創作者コメントCCを表示することで、閲覧投票者は、コンテンツの制作過程におけるエピソードや創作者の思いを理解し、投票の可否判断の参考にすることができる。
【0061】
表示パネル324がタッチパネル機能を備える場合、表示パネル324へのタッチ操作(たとえば操作者の指を画面に触れた状態で横方向または縦方向に移動する操作)によって、縮小画像X1を横方向に、詳細表示画像X2を縦方向にすることが可能である。
【0062】
なお、
図6では、縮小画像X1がコンテンツのタイトルTIおよびレプリカRP1を含み、詳細表示画像X2がタイトルTI、レプリカRP2、レーティングレベルRL、創作者コメントCCを含む例を説明しているが、縮小画像X1または詳細表示画像X2に表示される項目はこれらに限られず、たとえばコンテンツ加工情報に含まれる創作者の氏名等、任意のコンテンツ関連情報を含むことができる。また、
図6の例では、一覧データに含まれるコンテンツ加工情報の画像(縮小画像X1および詳細表示画像X2)を単一頁に配置する例を示したが、コンテンツ加工情報を複数のカテゴリで分類し、各カテゴリに対応するページをページタブによって選択し、選択されたカテゴリに属するコンテンツ加工情報の画像を
図6に示すように表示してもよい。また、
図6の例では、縮小画像X1の数が5、詳細表示画像X2の数が2の場合を示しているが、縮小画像X1および詳細表示画像X2の数は、画像メモリの容量によって増減し、任意である。
【0063】
図5を参照して説明を続ける。ステップ812で一覧データを表示した閲覧投票者端末300は、画面操作があるまで待機する(ステップ814)。すなわち、ステップ814で画面操作の有無を検知し、画面操作を検知しない場合(ステップ814のNo)はステップ814を繰り返す。ステップ814で画面操作を検知した場合(ステップ814のYes)、つまり画面操作があった場合、当該画面操作が終了操作であるかを判断する(ステップ816)。
【0064】
ステップ814の画面操作が終了操作でない場合、当該画面操作によって、コンテンツに係る情報(コンテンツ加工情報)の表示が検出されたかを判断する(ステップ818)。たとえば、表示パネル324に表示されている一つの画像にタップ操作(操作者の指を短い時間間隔で画面に触れた後に離す操作)を行って、当該画像を選択した場合、選択に係る画像のコンテンツ加工情報が表示されたと判断できる。あるいは、詳細表示画像X2が一定時間を経過する間、表示パネル324に表示されたと判断される場合、当該詳細表示画像X2に係るコンテンツ加工情報が表示されたと判断できる。この場合の一定時間として、たとえば1~5秒の範囲内の時間、好ましくは1.5~3秒の範囲内の時間、より好ましくは、2~2.5秒の範囲内の時間を例示することができる。なお、ステップ814の画面操作が、縮小画像X1の選択操作である場合、閲覧投票者端末300の表示制御部322は、選択に係るコンテンツ加工情報(縮小画像X1)の詳細表示画像X2を、表示パネル324に表示する。
【0065】
ステップ818において、ある画像の表示(すなわち画像に係るコンテンツ加工情報の表示)が検出された場合、閲覧投票者端末300は、表示に係るコンテンツが閲覧された旨の閲覧通知を生成し、投票サーバに送信する(ステップ820)。閲覧通知を受信した投票サーバは、表示に係るコンテンツの閲覧数を記録する(ステップ822)。ステップ818で表示が検出されない場合、ステップ814に戻って画面操作を待機する。
【0066】
ステップ820の閲覧通知の後、閲覧投票者端末300は、投票操作を活性化(アクティブに)し、投票操作があったかを判断する(ステップ824)。
図7および
図8は、投票操作をアクティブにした場合の表示例を示す。投票操作をアクティブにすることで、
図7においては投票ボタンVBが表示またはアクティブになり、
図8においては、表示と判断された詳細表示画像X2に重ねて投票領域VRが表示される。投票操作は、投票ボタンVBへのタップ操作、または、投票領域VRへのタップ操作によって行える。投票のキャンセルは、アプリケーションソフトが備える戻るボタンの操作、または
図8に示すキャンセル領域CRへのタップ操作によって行う。
【0067】
ステップ824の判断で投票操作がない(投票がキャンセルされた)と判断された場合、ステップ814に戻って画面操作を待機する。ステップ824の判断で投票操作があると判断された場合、閲覧投票者端末300は、表示と判断された画像(詳細表示画像X2)に係るコンテンツに投票があった旨の投票通知を生成し、投票通知を投票サーバに送信する(ステップ826)。閲覧投票者端末300は、その後ステップ814に戻って画面操作を待機する。投票通知を受信した投票サーバは、投票に係るコンテンツの投票数を記録する(ステップ828)。
【0068】
ステップ814で検知した画面操作が終了操作であった場合(ステップ816でYesと判断した場合)、閲覧投票者端末300は、当該閲覧投票者端末300における一連の閲覧投票操作が終了した旨の終了通知を生成して投票サーバに送信し(ステップ830)、その後処理を終了する(ステップ832)。投票通知を受信した投票サーバは、ステップ822で記録した閲覧数およびステップ828で記録した投票数を読み出し(ステップ834)、当該閲覧投票者端末300におけるコンテンツごとの閲覧数および投票数を集計し、集計結果を含む閲覧投票データを生成してこれを制御サーバに送信する(ステップ836)。その後、投票サーバは、当該閲覧投票者端末300についての処理を終了する(ステップ838)。
【0069】
なお上記した例では、ステップ816で終了操作を検知した場合に終了通知(ステップ830)が送信される例を説明したが、当該例の場合に加えて、画面操作が一定時間行われない場合、画面操作が一定時間行われない等に起因してスリープモードに移行した場合、閲覧投票者端末300の電源が遮断された場合等、閲覧投票者端末300における閲覧投票操作が以後行われないと判断できるような場合に、ステップ830の終了通知が送信されてもよい。
【0070】
図9は、コンテンツ取引システム100の動作を示すフロー図であり、主にオークションサーバにおける処理フローを示す。
【0071】
オークションに参加を希望する参加者は、参加者端末400からオークションサーバにコンテンツの一覧データを要求し(ステップ902)、オークションサーバは、当該要求に応じて一覧ページを送信する(ステップ904)。参加者端末400は、一覧ページを受信し(ステップ906)、受信した一覧ページを参加者端末400に表示する。なお、オークションへの参加には、
図3で説明したようなユーザ登録は必須ではなく、決済前のロイン認証も必須ではない。ただし、落札した場合の決済処理には、ある程度の参加者情報が必要であり、参加者はユーザ登録されていることが好ましい。
【0072】
図10は、参加者端末400における一覧データの表示を示した概念図である。一覧データは、出品に係る複数のコンテンツのそれぞれに対応したコンテンツ加工情報を含み、各コンテンツ加工情報は、縮小画像X3として参加者端末400の表示部に表示される。複数の縮小画像X3は、複数のカテゴリC1~C4に分け、カテゴリごとのカテゴリタイトルCTとともに、2次元に配列される。なお、縮小画像X3の配列は、
図6の場合と同様に、参加者端末400の表示部が制御する画像メモリに配置された概念上のものであり、参加者端末400の表示部に表示される画像は、表示ウィンドウWの内側にある画像に限られる。参加者端末400の表示部がタッチパネル機能を備える場合、タッチパネルへの操作によって、縮小画像X3を横方向または縦方向に移動し、任意の縮小画像X3を表示ウィンドウWの内側に表示することができる。
【0073】
縮小画像X3は、縮小画像X1と同様、コンテンツのレプリカRP1とタイトルTIを含むが、これに限られず、コンテンツ加工情報に含まれる創作者の氏名等、任意のコンテンツ関連情報を含んでもよい。
図10では、4つのカテゴリC1~C4と各カテゴリの縮小画像X3の数が5の場合を例示しているが、カテゴリの数および各カテゴリにおける縮小画像X3の数は、画像メモリの容量によって増減し、任意である。また、
図10では、縮小画像X3を単一頁に配置する例を示したが、コンテンツ加工情報を複数のカテゴリで分類し、各カテゴリに対応するページをページタブによって選択し、選択されたカテゴリに属するコンテンツ加工情報の縮小画像X3を
図10に示すように表示してもよい。この場合、カテゴリC1~C4はサブカテゴリとして機能させることができる。
【0074】
図9を参照して説明を続ける。表示された一覧ページ(ステップ906)のうち、何れかの縮小画像X3をタップ操作することで、当該タップ操作に係るコンテンツを選択する(ステップ910)。選択したコンテンツのオークションに参加する場合、参加者端末400は、参加要求をオークションサーバに送信し(ステップ912)、当該参加要求に応じて、オークションサーバは、入札ページを送信する(ステップ914)。参加者端末400は、受信した入札ページを表示する(ステップ916)。
【0075】
図11は、入札ページの例を示した画像図である。入札ページには、コンテンツのタイトルTI、詳細表示画像X2のレプリカRP2より高い解像度を有するレプリカRP3、入札に必要な各種情報Etcの他、ランク付与部154で付与されたランクRAを表示する。ランクRAは、閲覧投票者による公正な投票に基づき付与される信頼性の高いコンテンツ評価指標であり、参加者にとっては、入札判断の有用な参考情報となる。
【0076】
入札ページ(ステップ916)が表示された参加者端末400において入札されたかを判断し(ステップ918)、入札された場合、入札ページの価格フィールドに入力された入札価格を取得し(ステップ920)、入札者のID、時刻、入札額等を含む入札情報をオークションサーバに送信する(ステップ922)。ステップ918で入札がなかった場合は処理を終了する(ステップ942)。
【0077】
入札情報を受信(ステップ924)したオークションサーバは、入札履歴を更新し、落札されたかを判断する(ステップ926)。落札されない場合は次の入札を待機し、落札された場合は落札情報を記録し(ステップ928)、落札した参加者端末400に落札通知を送信する(ステップ930)。落札通知を送信(ステップ930)したオークションサーバ、および、落札通知を受信(ステップ932)した参加者端末400は、相互に決済処理を行う(ステップ934、936)。決済処理の完了を受けて、オークションサーバは、落札に係るコンテンツのNFTを落札者の参加者端末400に送信し(ステップ938)、落札者の参加者端末400は、落札したコンテンツのNFTを受信し(ステップ940)、処理を終了する(ステップ942)。NFTを送信(ステップ938)したオークションサーバは、オークションの結果を制御サーバに送信し(ステップ944)、出品コンテンツのオークション処理を終了する(ステップ946)。
【0078】
本実施の形態のコンテンツ取引システム100および閲覧投票者端末300によれば、創作者が出品を希望するコンテンツのうち、潜在的購入者である閲覧投票者から一定の評価を得たコンテンツのみを取引対象にすることができ、取引価値が比較的高いコンテンツのみが扱われるコンテンツ取引システムを提供できる。また、コンテンツの購入者(たとえばオークション参加者)にとっては、多数の閲覧投票者の評価を参考に、コンテンツ購入(入札)の意思決定が行える。さらに、創作者にとっては、購入者等他者の目に触れる機会を増やし、自己の創作物が広く世間に認められる機会を増やすことができる。
【0079】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0080】
たとえば、上記した実施の形態は、コンピュータで稼働が可能なプログラムとして把握することも可能である。すなわち、創作者が創作したコンテンツおよび当該コンテンツの関連情報を含むコンテンツ情報を、創作者端末200から受信する機能と、コンテンツ情報を加工したコンテンツ加工情報を閲覧投票者端末300に送信し、閲覧投票者端末300において、コンテンツ加工情報の全部若しくは一部の閲覧、または、コンテンツに対する投票があった場合に、コンテンツの閲覧投票データを生成する機能と、閲覧投票データに基づきコンテンツを取引対象にするかを判定する機能と、コンテンツを取引対象にすると判定した場合、コンテンツをオークションに出品し、オークションにおける入札、落札、その他の制御を実行する機能と、オークションでコンテンツが落札された場合、当該落札に対する収益を、コンテンツの創作者、コンテンツに投票した閲覧投票者およびシステム管理者への配当として分配する機能と、をコンピュータに実現させるためのプログラム、として把握することができる。
【0081】
あるいは、上記した実施の形態は、創作者が創作したコンテンツおよび当該コンテンツの関連情報を含むコンテンツ情報を複数含む一覧データ、または、一覧データに含まれている複数のコンテンツ加工情報から選択された一つのコンテンツ加工情報、を表示する機能と、一覧データに含まれている複数のコンテンツ加工情報から一つのコンテンツ加工情報を選択する選択操作が実行されること、または、複数のコンテンツ加工情報のそれぞれに含まれているコンテンツのレプリカが所定時間を超えて表示されること、によりコンテンツ加工情報の表示を検出し、表示の検出を契機として、表示に係るコンテンツの閲覧通知を送信する機能と、一つのコンテンツ加工情報とともに表示される投票領域への投票操作により、投票を検知し、投票の検知を契機として、表示に係るコンテンツの投票通知を送信する機能と、をコンピュータに実現させるためのプログラム、として把握することができる。
【0082】
また、上記実施の形態では、閲覧投票者端末300および参加者端末400がスマートフォンである場合を例示しているが、閲覧投票者端末300および参加者端末400は、デスクトップコンピュータ、ノート型コンピュータ、タブレット型コンピュータ等のコンピュータであってもよい。この場合、大きな画面でコンテンツ一覧を見やすく、また、各コンテンツの画像を大きく表示して見やすくできる。
【符号の説明】
【0083】
100…コンテンツ取引システム、110…ユーザ登録部、120…コンテンツ情報受信部、130…閲覧投票部、132…一覧データ生成部、134…一覧データ送信部、136…表示通知受信部、138…投票通知受信部、140…閲覧投票データ生成部、150…取引判定部、152…判定部、154…ランク付与部、160…生成記録要求部、162…NFT生成要求部、164…コンテンツ記録要求部、170…レプリカ生成送信部、172…レプリカ作成部、174…レプリカ配布先抽出部、176…レプリカ送信部、180…オークション制御部、190…配当分配部、200…創作者端末、300…閲覧投票者端末、310…一覧データ受信部、320…表示部、322…表示制御部、324…表示パネル、330…表示検出部、340…投票検知部、400…参加者端末、500…インターネット、550…ピアツーピアネットワーク(P2Pネットワーク)。