(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068195
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】アース基準線
(51)【国際特許分類】
G01R 1/06 20060101AFI20240510BHJP
【FI】
G01R1/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023189244
(22)【出願日】2023-11-06
(31)【優先権主張番号】10 2022 129 381.5
(32)【優先日】2022-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】17/981,488
(32)【優先日】2022-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】522447255
【氏名又は名称】ペーエムカー メス- ウント コムニカーティオンステヒニク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル エンゲルス
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ パルフィ-ダウン-サイラー
(72)【発明者】
【氏名】マルク ハイマン
(72)【発明者】
【氏名】ナディヤ ラーペリ
(72)【発明者】
【氏名】ペーター ヒルデンハーゲン
(72)【発明者】
【氏名】カイ クライン
(72)【発明者】
【氏名】ユリイ ベーバー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ポドレベルゼク
【テーマコード(参考)】
2G011
【Fターム(参考)】
2G011AA21
2G011AB08
2G011AB09
2G011AC11
2G011AC32
2G011AE11
(57)【要約】
【課題】プローブヘッドを使用する測定用途でより長いアース基準線が利用できるように、自己インダクタンス駆動信号劣化を低減したアース基準線を提供する。
【解決手段】プローブヘッドを使用して高周波電気信号を測定するためのアース基準線。前記アース基準線は、フレキシブル本体と、フレキシブル本体のプローブ端部上に配置されたプローブソケットと、フレキシブル本体の接地端部上に配置された接地ソケットと、プローブソケットと接地ソケットとを電気的に接続しかつフレキシブル本体内に少なくとも部分的に延在する電気接触経路と、電気接触経路内に電気的に配置された抵抗装置とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プローブヘッドを使用して高周波電気信号を測定するためのアース基準線であって、
前記アース基準線が、
フレキシブル本体と、
前記フレキシブル本体のプローブ端部上に配置されたプローブソケットと、
前記フレキシブル本体の接地端部に配置された接地ソケットと、
前記プローブソケットと前記接地ソケットを電気的に接続しかつ前記フレキシブル本体内に少なくとも部分的に延在する電気接触経路と、
前記電気接触経路内に電気的に配置された抵抗装置とを備える、アース基準線。
【請求項2】
前記フレキシブル本体は、導電性コア及び電気絶縁カバーを備える、請求項1に記載のアース基準線。
【請求項3】
前記フレキシブル本体は、ストリップ形状を有し、ガラス強化エポキシ積層材料によって覆われた銅製のストリップを備える、請求項1又は2に記載のアース基準線。
【請求項4】
前記フレキシブル本体は、0.8mm未満の合計厚さを有する、請求項2に記載のアース基準線。
【請求項5】
前記アース基準線は、前記フレキシブル本体の前記プローブ端部に取り付けられたプローブソケット板と、前記フレキシブル本体の前記接地端部に取り付けられた接地ソケット板とをさらに備え、
前記プローブソケットが前記プローブソケット板に取り付けられ、前記接地ソケットが前記接地ソケット板に取り付けられている、請求項1~4のいずれか一項に記載のアース基準線。
【請求項6】
前記プローブソケット板が前記フレキシブル本体の前側に取り付けられかつ前記抵抗装置が前記フレキシブル本体の裏側に取り付けられ、かつ/又は、
前記接地ソケット板が前記フレキシブル本体の前側に取り付けられかつ前記抵抗装置が前記フレキシブル本体の裏側に取り付けられている、請求項4に記載のアース基準線。
【請求項7】
前記プローブソケット板及び/又は前記接地ソケット板は、電気絶縁材料から構成され、前記プローブソケット板及び前記接地ソケット板のそれぞれが導電経路用の貫通孔を備える、請求項4に記載のアース基準線。
【請求項8】
前記抵抗装置は抵抗器を備え、前記抵抗器は、プローブ端部の抵抗器及び/又は接地端部の抵抗器を備え、前記プローブ端部の抵抗器及び/又は前記接地端部の抵抗器は、1つ又は2つ以上の個々の抵抗器を備える、請求項1~7のいずれか一項に記載のアース基準線。
【請求項9】
前記抵抗装置は、フェライトビーズを備え、前記フェライトビーズは、プローブ端部のフェライトビーズ及び/又は接地端部のフェライトビーズを備え、前記プローブ端部のフェライトビーズ及び/又は前記接地端部のフェライトビーズは、1つ又は2つ以上の個々のフェライトビーズを備える、請求項1~7のいずれか一項に記載のアース基準線。
【請求項10】
前記プローブソケット及び前記接地ソケットは、導電性材料から構成されており、前記プローブソケットは、プローブヘッドの接地ポートに取り付けられるように構成されており、前記接地ソケットは、接地先端を受け入れるように構成されている、請求項1~9のいずれか一項に記載のアース基準線。
【請求項11】
前記アース基準線は、プローブソケットカバー及び接地ソケットカバーをさらに備え、前記プローブソケットカバー及び前記接地ソケットカバーは、それぞれ、前記プローブソケット及び前記接地ソケットに取り外し可能に取り付けられるように構成されている、請求項1~10のいずれか一項に記載のアース基準線。
【請求項12】
前記接地ソケットカバーは、前記接地ソケットが、人間の手、ロボットアーム、及び/又は、ツールを使用して予め定めた位置に保持されうるように構成された取り付け面を備える、請求項1~11のいずれか一項に記載のアース基準線。
【請求項13】
DUT上の高周波電気信号を測定する測定装置であって、
前記測定装置は、
a.電気信号入力ポートと高インピーダンス接地接続ポートとを有するプローブヘッドと、
b.前記電気信号入力ポートに取り付けられた電気信号入力先端と、
c.前記プローブソケットを介して前記高インピーダンス接地接続ポートに取り付けられている請求項1に記載のアース基準線とを備える、測定装置。
【請求項14】
請求項1に記載のアース基準線を使用してDUT上の高周波電気信号を測定する方法であって、
前記方法は、
電気信号入力先端をプローブヘッドの電気信号入力ポートに取り付けるステップと、
前記アース基準線の前記プローブソケットを前記プローブヘッドの高インピーダンス接地接続ポートに接続することによって、請求項1に記載の接地接続ポートを、前記プローブヘッドの高インピーダンス接地接続ポートに取り付けるステップと、
前記プローブヘッドに電力を供給し、前記プローブヘッドをデータ取得装置に接続するステップと、
前記DUT上の信号線とプローブ先端とを接触させるステップと、
前記DUT上の接地パッドと接地先端を接触させるステップと、
高周波電気信号の測定を、自己インダクタンス駆動信号の品質損失が実質的にない状態で行うステップとを備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、試験中のデバイス(Device under testing)(「DUT」)上の電気信号を測定するための装置に関する。より具体的には、本開示は、高周波電気信号を測定するためのプローブヘッドと共に使用するためのアース基準線に関する。さらに、本開示は、高周波電気信号を測定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
DUT上の高周波電気信号を測定する場合、広範囲のDUTと信号帯域幅に対して、最高の信号の品質を確実に得ることが望まれる。
【0003】
プローブヘッドを使用して高周波電気信号を測定する場合は、入力信号接続と接地基準接続が必要である。ほとんどのプローブヘッドは、それぞれ、電気信号入力用の専用ポートと、信号入力先端とアース基準線を接続できる、接地接続とから構成されている。
【0004】
アース基準線の自己インダクタンスは、特に高周波電気信号測定の場合、信号の劣化を引き起こすことが観測されている。その結果、立上り時間が短くなり、オーバーシュートが大きくなり、これはリンギングとも呼ばれる。
【0005】
このリンギングを低減する現在の解決策は非実用的である。1つの例は、アース基準線の自己インダクタンスを低減するために、例えば円形断面を使用するなどしてその形状を調整することによって、アース基準線の自己インダクタンスを低減することである。アース基準線の業界標準の平坦で直線状の形状から逸脱することにより、柔軟性が低下し、それによって、DUT上の接地地点に到達するために必要な可動範囲が減少する。
【0006】
もう1つの例は、アース基準線の長さを短くすることである。しかしながら、短くされたアース基準線を利用することによって、プローブ地点と接地地点との間の十分に短い距離を有するDUTへの測定用途を制限する。短くされたアース基準線は、プローブ地点と接地地点との間の最小距離を満たす狭い範囲のDUTでのみ使用できる。
【0007】
一方、より長いアース基準線を使用すると、信号の品質が低下する。従って、低減された信号の品質によって、精密で正確なDUT電気信号測定が阻害される。
【発明の概要】
【0008】
プローブヘッドを使用する測定用途でより長いアース基準線が利用できるように、自己インダクタンス駆動信号劣化を低減したアース基準線が必要とされている。
【0009】
本開示によると、プローブヘッドを使用して高周波電気信号を測定するためのアース基準線であって、前記アース基準線は、フレキシブル本体と、前記フレキシブル本体のプローブ端部上に配置されたプローブソケットと、前記フレキシブル本体の接地端部上に配置された接地ソケットと、前記プローブソケットと前記接地ソケットを電気的に接続しかつ前記フレキシブル本体内に少なくとも部分的に延在する電気接触経路と、前記電気接触経路内に電気的に配置された抵抗装置とを備える、アース基準線を開示している。
【0010】
一実施形態において、フレキシブル本体は、導電性コア及び電気絶縁カバーを備える。
【0011】
一実施形態では、フレキシブル本体は、ストリップ形状を有し、ガラス強化エポキシ積層材料によって覆われた銅製のストリップを備える。
【0012】
一実施形態では、フレキシブル本体は、0.8mm未満の合計厚さを有する。
【0013】
一実施形態では、アース基準線は、フレキシブル本体のプローブ端部に取り付けられたプローブソケット板と、フレキシブル本体の接地端部に取り付けられた接地ソケットとをさらに備え、プローブソケットはがプローブソケット板に取り付けられ、接地ソケットが接地ソケット板に取り付けられている。
【0014】
一実施形態では、プローブソケット板がフレキシブル本体の前側に取り付けられかつ抵抗装置がフレキシブル本体の裏側に取り付けられ、かつ/又は、接地ソケット板がフレキシブル本体の前側に取り付けられかつ抵抗装置がフレキシブル本体の裏側に取り付けられている。
【0015】
一実施形態では、プローブソケット板及び/又は接地ソケット板は、電気絶縁材料から構成され、かつ、導電経路用の貫通孔を備える。
【0016】
一実施形態では、抵抗装置は抵抗器を備え、抵抗器は、プローブ端部の抵抗器及び/又は接地端部の抵抗器を備え、プローブ端部の抵抗器及び/又は接地端部の抵抗器は、1つ又は2つ以上の個々の抵抗器を備える。
【0017】
一実施形態では、抵抗装置は、フェライトビーズを備え、フェライトビーズは、プローブ端部のフェライトビーズ及び/又は接地端部のフェライトビーズを備え、プローブ端部のフェライトビーズ及び/又は接地端部のフェライトビーズは、1つ又は2つ以上の個々のフェライトビーズを備える。
【0018】
一実施形態では、プローブソケット及び接地ソケットは、導電性材料から構成され、プローブソケットは、プローブヘッドの接地ポートに取り付けられるように構成され、接地ソケットは、接地先端を受け入れるように構成されている。
【0019】
一実施形態では、アース基準線は、プローブソケットカバー及び接地ソケットカバーを備え、プローブソケットカバー及び接地ソケットカバーは、それぞれ、プローブソケット及び接地ソケットに取り外し可能に取り付けられるように構成されている。
【0020】
一実施形態では、プローブソケットカバー及び接地ソケットカバーは、電気絶縁材料から構成されている。
【0021】
一実施形態では、接地ソケットカバーは、接地ソケットが、人間の手、ロボットアーム、及び/又は、ツールを使用して、動作中において予め定めた位置に保持されうるように構成された取り付け面を備える。
【0022】
DUT上の高周波電気信号を測定する測定装置を提供する。このDUT上の高周波電気信号を測定する測定装置は、電気信号入力ポートと高インピーダンス接地接続ポートを有するプローブヘッドと、電気信号入力ポートに取り付けられた電気信号入力先端と、プローブソケットを介して高インピーダンス接地接続ポートに取り付けられた、本開示によるアース基準線とを備える。
【0023】
一実施形態では、プローブヘッドはアクティブプローブヘッドである。
【0024】
一実施形態では、測定装置は、可動プローブヘッド支持アーム及び/又は可動接地先端支持アームをさらに備える。
【0025】
請求項1に記載のアース基準線を使用してDUT上の高周波電気信号を測定する方法において、前記方法は、電気信号入力先端をプローブヘッドの電気信号入力ポートに取り付けるステップと、前記アース基準線の前記プローブソケットを前記高インピーダンス接地接続ポートに接続することによって、本開示による前記アース基準線を、前記プローブヘッドの前記高インピーダンス接地接続ポートに取り付けるステップと、前記プローブヘッドに電力を供給し、プローブヘッドをデータ取得装置に接続するステップと、前記DUT上の信号線とプローブ先端とを接触させるステップと、前記DUT上の接地パッドと前記接地先端を接触させるステップと、高周波電気信号の測定を、自己インダクタンス駆動信号の品質損失が実質的にない状態で行うステップとを備える。
【0026】
本明細書に組み込まれかつ本明細書の一部を構成する添付図面は、本開示のいくつかの実施形態を示す。本明細書の説明と共に、添付図面は、本開示の原理を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、抵抗装置を有する例示的なアース基準線の概略断面側面図を示す。
【
図2】
図2は、
図1の例示的なアース基準線の接地端部を、抵抗器を備える抵抗装置を示す底面図で示す。
【
図3】
図3は、
図1の例示的なアース基準線の接地端部を、フェライトビーズを備える抵抗装置を示す底面図で示す。
【
図4】
図4は、
図1の例示的なアース基準線の接地端部を、接地ソケットを示す上面図で示す。
【
図5】
図5は、
図1の例示的なアース基準線のプローブヘッド端部を、抵抗器を備える抵抗装置を示す底面図で示す。
【
図6】
図6は、
図1の例示的なアース基準線のプローブヘッド端部を、フェライトビーズを備える抵抗装置を示す底面図で示す。
【
図7】
図7は、
図1の例示的なアース基準線のプローブヘッド端部を、プローブヘッドソケットを示す上面図で示す。
【
図8】
図8は、
図1の例示的なアース基準線を、接地ソケットに取り付けられた接地先端と、接地ソケット及びプローブヘッドソケットに取り付けられた電気絶縁体と共に上面図で示す。
【
図9】
図9は、
図1のアース基準線を備える例示的な測定装置を、試験板と係合する斜視図で示す。
【
図10】
図10は、プローブヘッドを使用して高周波電気信号測定を行うためにアース基準線を使用するための例示的な方法ステップを示す。
【
図11】
図11は、32mmの柔軟性長さに対して二重対数線図を使用して、周波数領域における測定信号を図示する。
【
図12】
図12は、52mmの柔軟性長さに対して二重対数線図を使用して、周波数領域における測定信号を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本開示は、一般に、プローブヘッドを使用して高周波電気信号を測定するための方法及び装置を提供する。本開示によれば、アース基準線は、フレキシブル本体と、フレキシブル本体のプローブ端部上に配置されたプローブソケットと、フレキシブル本体の接地端部上に配置された接地ソケットと、プローブソケットと接地ソケットを電気的に接続しかつフレキシブル本体内に少なくとも部分的に延在する電気接触経路と、電気接触経路内に電気的に配置された抵抗装置とを備える。
【0029】
電気接触経路内に電気的に配置された抵抗装置を有することにより、高周波電気信号測定中にプローブヘッド内で利用される場合に、アース基準線によって生成される自己インダクタンスを緩和することが可能になる。自己インダクタンスが緩和されるため、試験中のデバイス、すなわちDUT上のより遠く離れた接地地点に到達することを可能にする長さで、フレキシブル本体を設けることができる。これにより、アース基準線によって生じる自己インダクタンス駆動信号損失を観測することなく、広範囲のDUTに対してアース基準線を使用できる可能性がある。
【0030】
以下において、本開示の例及び方法の詳細な説明を行う。好ましい例及び代替例の両方の説明は、単に例示的なものであり、変形例、修正、及び変更が明らかでありうることを当業者には理解されよう。したがって、実施例は、請求項によって定義される基礎をなす本開示の態様の広さを限定しないことを理解されたい。
【0031】
一般に、本明細書に記載する例示的な装置は、高周波電気信号測定用途のプローブヘッドと組み合わせて使用するアース基準線である。
【0032】
本開示の意味では、アース基準線は、プローブヘッドと組み合わせて使用されるように設計される補助構成要素として理解されうる。プローブを使用して電気信号を測定する場合は、接地基準接続が必要である。したがって、測定プローブは、信号取得中に接地基準を提供するために、異なるタイプの接地接続と結合される。アース基準線によって、DUT上の接地地点とプローブヘッドの接地ポートとの間の電気接触を確立することができる。
【0033】
アース基準線は、移動式のプローブ、手持ち式のプローブ、又は、ロボットアームによって操縦されるプローブなどの様々なプローブに使用することができる。プローブヘッドは、高周波電気信号測定用のアクティブプローブヘッドとしうる。プローブヘッドは、信号出力ケーブル、例えば、6mケーブルに接続することができる。ケーブルは、単一のシールドケーブルとしうる。プローブヘッドは、信号出力ケーブルによって生じる減衰量を平衡化する補償回路を備えうる。
【0034】
本開示によるプローブヘッドは、様々なタイプのアース基準線を受け入れるように構成された専用接地ポートを備えうる。さらに、本開示によるプローブヘッドは、また、様々なタイプの信号入力先端を受け入れるように構成された専用信号入力ポートを備えうる。
【0035】
このようなプローブヘッドで電気信号を測定するには、信号入力先端を持つDUT上のプローブ地点と、アース基準線を持つDUT上の接地地点を接触させる必要がある。
【0036】
本開示によるアース基準線を設けることにより、アース基準線の自己インダクタンスを補償することができ、それによって、プローブヘッドに取り付けられた信号入力先端で測定される高品質の信号をうることができる。
【0037】
アース基準線内に配置された抵抗器又はフェライトビーズの形状の専用抵抗装置を使用することによって、アース基準線の自己インダクタンスの影響を補償するか又は緩和することが分かった。このような装備されたアース基準線の長さによって、高周波電気信号の測定中に自己インダクタンス駆動信号の品質損失への影響を低減する。その結果、アース基準線をより長く設計することができ、それによって、特に、DUTプローブ地点がDUT接地地点までより大きな距離で提供される用途において、より広い範囲の測定適用を可能にする。
【0038】
アース基準線の自己インダクタンスの有害な効果は、接地先端とプローブコネクタとの間の電気接続部に抵抗装置を設けることによって補償することができる。
【0039】
以下の記載では、本開示の例及び方法の詳細な説明を行う。好ましい例及び代替例の両方の説明は、単に例示的なものであり、変形例、修正、及び変更が明らかでありうることを当業者には理解されよう。したがって、実施例は、請求項によって定義される基礎をなす開示の態様の広さを限定しないことを理解されたい。
【0040】
用語集
本明細書で使用される「抵抗装置(resistive device)」は、電気信号の高周波測定中に発生する接地リードの自己インダクタンスの影響を緩和するように構成された装置としうる。抵抗器及びフェライトビーズは、適切な抵抗装置として作用することが発明者によって見出された。
【0041】
本明細書で使用される「フェライトビーズ(ferrite beads)」は、高周波電気信号を測定するためのアース基準線と組み合わせて本明細書で開示されるように使用される場合、抵抗効果も有するインダクタとして分類されうる。
【0042】
本明細書で使用される「高周波(high frequency)」とは、100MHz以上の周波数を意味する。
【0043】
本明細書で使用される「プローブヘッド(probe head)」は、高周波電気信号測定に適した、アクティブで補償されたシングルエンドのプローブヘッドを意味するが、必ずしもこれに限定されない。
【0044】
次に
図1を参照すると、抵抗装置を有するアース基準線の概略断面側面図が図示されている。アース基準線10は、フレキシブル本体12と、フレキシブル本体12のプローブ端部16上に配置されたプローブソケット14と、フレキシブル本体12の接地端部20上に配置された接地ソケット18と、プローブソケット14と接地ソケット18とを電気的に接続しかつフレキシブル本体12内に少なくとも部分的に延在する電気接触経路22と、電気接触経路22内に電気的に配置された抵抗装置24とを備えうる。
図1の例示では、フレキシブル本体12は、S字曲線で僅かに曲げられている。フレキシブル本体12が直線状である場合、フレキシブル本体12は、0から到達した距離までの接地ソケット18に対するプローブソケット14の任意の距離を可能にするように構成されうる。いくつかの実施形態において、導電性ストリップ12は、ねじれ方向において柔軟としうる。
【0045】
フレキシブル本体12は、層状又はサンドイッチ状の構成部品の形態の複合部品としうる。フレキシブル本体12は、導電性コア及び電気絶縁カバーを備えうる。
図1において、フレキシブル本体12は、ストリップ形状を有しており、FR-4としても知られるガラス強化エポキシ積層材料28によって覆われた銅製のストリップ26を備えている。銅製のストリップは、50マイクロメートルの厚さを有することができ、ガラス強化エポキシ積層材料は、0.1mmの厚さを有する。
【0046】
アース基準線10は、フレキシブル本体12のプローブ端部16に取り付けられたプローブソケット板30と、フレキシブル本体12の接地端部20に取り付けられた接地ソケット板32とをさらに備える。プローブソケット14は、プローブソケット板30に取り付けられており、接地ソケット18は、接地ソケット板32に取り付けられている。プローブソケット板30は、フレキシブル本体12に直接的に取り付けられている。プローブソケット板30がフレキシブル本体12に接触する領域では、フレキシブル本体12は強固である。柔軟性は、プローブソケット板30と接地ソケット板32との間に延在する、フレキシブル本体12の柔軟性長さ34に沿ってのみ設けられる。
【0047】
いくつかの実施形態では、プローブソケット板30及び接地ソケット板32は、フレキシブル本体12の前側36に取り付けられうる。抵抗装置24は、フレキシブル本体12の裏側38に取り付けられうる。
【0048】
いくつかの実施形態では、プローブソケット板30及び接地ソケット板32は、電気絶縁材料から構成され、これらの板のそれぞれが電気接触経路22のための貫通孔40を備えている。
【0049】
いくつかの実施形態では、抵抗装置24は、プローブ端部の抵抗装置及び接地端部の抵抗装置を備えうる。プローブ端部の抵抗装置及び接地端部の抵抗装置は、それぞれ、並列に配置された3つの個々の抵抗装置を備えうる。抵抗装置は、抵抗器又はフェライトビーズ又はそれらの組み合わせを備えうる。
【0050】
電気接触経路22は、フレキシブル本体12の柔軟性長さ34の全体にわたって延在する。フレキシブル本体12内には、銅製のストリップ26が配置されている。銅製のストリップ26及び電気接触経路22は、プローブソケット板30がフレキシブル本体12に接触しかつプローブ端部の抵抗装置が設けられた領域に到達すると、プローブ端部の抵抗装置を通ってプローブソケット電気接続リンク42に至る。接地ソケット板32がフレキシブル本体12に接触し、接地端部の抵抗装置が設けられている領域に達すると、銅製のストリップ26の端部及び電気接触経路22は接地端部の抵抗装置を通って接地ソケット電気接続リンク44に至る。接地ソケット電気接続リンク44及びプローブソケット電気接続リンク42は、それぞれ、それぞれの貫通孔40を貫通し、これにより、プローブソケット14と接地ソケット18との間に電気接触経路22が確立される。
【0051】
いくつかの実施形態によれば、フレキシブル本体12は、例えば、フレキシブルプリント回路基板(「PCB」)を備えうる。PCBは、単層、二重層、多層ボードとしうる。PCBは、PCB上に、構成要素、例えば、接地先端、プローブコネクタ、及び/又は、抵抗装置を半田実装するのに適した耐熱特性を有する基板材料として、ポリイミド及び/又は透明ポリエステルフィルムを更に備える。PCBは、ポリイミド誘電体層と組み合わされた、銅から構成されたトレースの導電層を備えうる。銅導電層の厚さは、約0.00254mm(約0.0001インチ)から約0.254mm(約0.01インチ)まで変化させることができる。誘電体材料の厚さは、約0.0127mm(約0.0005インチ)から約0.254mm(約0.01インチ)の範囲とすることができる。
銅導電層及び誘電体層は、接着剤を使用して又は蒸着技術を使用して接合されうる。
【0052】
ここで
図2を参照すると、
図1の例示的なアース基準線の接地端部が裏側から見られるように示されており、抵抗装置24は抵抗器を備える。いくつかの実施形態では、アース基準線10は、フレキシブル本体12と、フレキシブル本体12の接地端部20上に配置された接地ソケット18とを備えうる。フレキシブル本体12は、導電性コア及び電気絶縁カバーを備えうる。フレキシブル本体12は、ストリップ形状を有し、銅製のストリップ26と、FR-4としても知られるガラス強化エポキシ積層材料28とを備えうる。いくつかの実施形態では、アース基準線10は、フレキシブル本体12の接地端部20に取り付けられた接地ソケット板32をさらに備えうる。接地ソケット18は、接地ソケット板32に取り付けることができる。いくつかの実施形態では、接地ソケット板32は、フレキシブル本体12の前側に取り付けることができ、抵抗装置24は、フレキシブル本体12の裏側38に取り付けられうる。
【0053】
いくつかの実施形態では、接地ソケット18は、導電性材料から構成されうる。いくつかの実施形態では、抵抗装置24は抵抗器58を備えうる。抵抗器は接地端部の抵抗器を備えうる。接地端部の抵抗器は、並列に配置された3つの個々の抵抗器からなりうる。各個々の抵抗器24は、表面実装抵抗器とすることができる。各個々の抵抗器は、3オームの抵抗を有することができる。したがって、3つの抵抗器の合計抵抗は60オームとすることができる。
【0054】
いくつかの実施形態では、アース基準線10は、接地ソケット18を抵抗器58に接続する接地ソケット電気接続リンク44を備えうる。接地ソケット電気接続リンク44は、接地ソケット18に面する前側(
図4参照)に電気接点が設けられるように、ガラス強化エポキシ積層材料28に埋め込むことができる。接地ソケット18から開始して、電気経路22の構成要素は、接地ソケット18、接地ソケット電気接続リンク44、3つの平行表面実装抵抗器58、及び、銅製のストリップ26とすることができる。いくつかの実施形態では、接地ソケット18、接地ソケット電気接続リンク44、平行表面実装抵抗器58、及び銅製のストリップ26は、共に半田付けされうる。
【0055】
ここで
図3を参照すると、
図1の例示的なアース基準線の接地端部が裏側から見られるように示されており、抵抗装置24はフェライトビーズを備える。いくつかの実施形態では、アース基準線10は、フレキシブル本体12と、フレキシブル本体12の接地端部20上に配置された接地ソケット18とを備えうる。フレキシブル本体12は、導電性コア及び電気絶縁カバーを備えうる。フレキシブル本体12は、ストリップ形状を有し、銅製のストリップ26と、FR-4としても知られるガラス強化エポキシ積層材料28とを備えうる。いくつかの実施形態では、アース基準線10は、フレキシブル本体12の接地端部20に取り付けられた接地ソケット板32をさらに備えうる。接地ソケット18は、接地ソケット板32に取り付けることができる。いくつかの実施形態では、接地ソケット板32は、フレキシブル本体12の前側に取り付けることができ、抵抗装置24は、フレキシブル本体12の裏側38に取り付けられうる。
【0056】
いくつかの実施形態では、接地ソケット18は、導電性材料から構成されうる。いくつかの実施形態では、抵抗装置24はフェライトビーズ60を備えうる。フェライトビーズは、接地端部のフェライトビーズを備えうる。接地端部のフェライトビーズは、並列に配置された3つの個々のフェライトビーズからなりうる。各個々のフェライトビーズ60は、電線62が貫通するフェライトビーズとすることができる。
【0057】
いくつかの実施形態では、アース基準線10は、接地ソケット18をフェライトビーズ60に接続する接地ソケット電気接続リンク44を備えうる。接地ソケット電気接続リンク44は、接地ソケット18に面する前側(
図4参照)に電気接点が設けられるように、ガラス強化エポキシ積層材料28に埋め込むことができる。接地ソケット18から開始して、電気経路22の構成要素は、接地ソケット18、接地ソケット電気接続リンク44、3つの平行表面実装フェライトビーズ60、及び、銅製のストリップ26とすることができる。いくつかの実施形態では、接地ソケット18、接地ソケット電気接続リンク44、電線62、及び銅製のストリップ26は共に半田付けされうる。ここで
図4を参照すると、
図1の例示的なアース基準線の接地端部が、前側から見て示されている。
図4は、
図2及び
図3に示される両方の実施形態を等しく表す。
図4は、裏側から前側36に反転した図を表す。いくつかの実施形態では、接地ソケット板32は、長方形の断面を有しうる。接地ソケット板32は、例えば接着によってフレキシブル本体12に固定して取り付けることができる。接地ソケット板32は、フレキシブル本体12のガラス強化エポキシ積層材料28と面一としうる。接地ソケット18は、フレキシブル本体12の長手軸線23に直交して配置され、フレキシブル本体12を越えて突出する突出シリンダ19を備えうる。接地ソケット18は、さらに、接地ソケット板32の中央に配置されかつフレキシブル本体12の長手軸線23に直交する接地ソケットシリンダシャフト21を備えうる。
【0058】
いくつかの実施形態では、接地ソケット18は、接地ソケット18の本体軸線25に沿って設けられた円筒形の穴を備えうる接地先端レセプタクル46を備えうる。接地先端レセプタクル46は、接地ソケット18の本体軸線25に沿ってレセプタクル46内に取り外し可能に挿入することができる、
図8を参照する接地先端50を受け入れるように構成されている。
【0059】
ここで
図5を参照すると、
図1の例示的なアース基準線のプローブ端部が裏側から見られるように示されており、抵抗装置24は抵抗器を備える。いくつかの実施形態では、アース基準線10は、フレキシブル本体12と、フレキシブル本体12のプローブ端部16上に配置されたプローブソケット14とを備えうる。フレキシブル本体12は、導電性コア及び電気絶縁カバーを備えうる。フレキシブル本体12は、ストリップ形状を有し、銅製のストリップ26と、FR-4としても知られるガラス強化エポキシ積層材料28とを備えうる。いくつかの実施形態では、アース基準線10は、フレキシブル本体12のプローブ端部16に取り付けられたプローブソケット板30をさらに備えうる。プローブソケット14は、プローブソケット板30に取り付けられうる。いくつかの実施形態では、プローブソケット板30は、フレキシブル本体12の前側に取り付けることができ、抵抗装置24は、フレキシブル本体12の裏側38に取り付けられうる。
【0060】
いくつかの実施形態では、プローブソケット14は、導電性材料から構成されうる。いくつかの実施形態では、抵抗器58はプローブ端部の抵抗器を備えうる。プローブ端部の抵抗器は、並列に配置された3つの個々の抵抗器からなりうる。各個々の抵抗器58は表面実装抵抗器としうる。各個々の抵抗器は、180オームの抵抗を有することができる。3つの抵抗器の合計抵抗値は、60オームとしうる。
【0061】
いくつかの実施形態では、アース基準線10は、プローブソケット14を抵抗器58に接続するプローブソケット電気接続リンク42を備えうる。プローブソケット電気接続リンク42は、電気接点がプローブソケット14に面する前側(
図5参照)に設けられるように、ガラス強化エポキシ積層材料28に埋め込まれうる。プローブソケット14から開始して、電気経路22の構成要素は、プローブソケット14、プローブソケット電気接続リンク42、3つの平行表面実装抵抗器58、及び、銅製のストリップ26としうる。いくつかの実施形態では、プローブソケット14、プローブソケット電気接続リンク42、平行表面実装抵抗器58、及び、銅製のストリップ26は、共に半田付けされうる。
【0062】
ここで
図6を参照すると、
図1の例示的なアース基準線のプローブ端部が裏側から見られるように示されており、抵抗装置24はフェライトビーズを備える。いくつかの実施形態では、アース基準線10は、フレキシブル本体12と、フレキシブル本体12のプローブ端部16上に配置されたプローブソケット14とを備えうる。フレキシブル本体12は、導電性コア及び電気絶縁カバーを備えうる。フレキシブル本体12は、ストリップ形状を有し、銅製のストリップ26と、FR-4としても知られるガラス強化エポキシ積層材料28とを備えうる。いくつかの実施形態では、アース基準線10は、フレキシブル本体12のプローブ端部16に取り付けられたプローブソケット板30をさらに備えうる。プローブソケット14は、プローブソケット板30に取り付けられうる。いくつかの実施形態では、プローブソケット板30は、フレキシブル本体12の前側に取り付けることができ、抵抗装置24は、フレキシブル本体12の裏側38に取り付けられうる。
【0063】
いくつかの実施形態では、プローブソケット14は、導電性材料から構成されうる。いくつかの実施形態では、フェライトビーズ60はプローブ端部のフェライトビーズ備えうる。プローブ端部のフェライトビーズは、並列に配置された3つの個々のフェライトビーズからなりうる。各個々のフェライトビーズ60は、フェライトビーズ60を貫通する電線62を備えうる。
【0064】
いくつかの実施形態では、アース基準線10は、プローブソケット14をフェライトビーズ60に接続する、プローブソケット電気接続リンク42を備えることができる。プローブソケット電気接続リンク42は、電気接点がプローブソケット14に面する前側(
図7参照)に設けられるように、ガラス強化エポキシ積層材料28に埋め込まれうる。プローブソケット14から開始して、電気経路22の構成要素は、プローブソケット14、プローブソケット電気接続リンク42、3つの平行表面実装フェライトビーズ60、及び、銅製のストリップ26とすることができる。いくつかの実施形態では、接地ソケット18、接地ソケット電気接続リンク44、電線62、及び、銅製のストリップ26は共に半田付けされうる。ここで
図7を参照すると、
図1の例示的なアース基準線のプローブ端部が、前側から見て示されている。
図7は、
図5及び
図6に示される両方の実施形態を等しく表す。
図7は、裏側から前側36に反転した図を表す。いくつかの実施形態では、プローブソケット板30は、長方形の断面を有しうる。プローブソケット板30は、例えば、接着によってフレキシブル本体12に固定して取り付けることができる。プローブソケット板30は、フレキシブル本体12のガラス強化エポキシ積層材料28と面一としうる。プローブソケット14は、フレキシブル本体12の長手軸線23に直交して配置されかつフレキシブル本体12を越えて突出する、プローブ接続ピン48を備えうる。プローブ接続ピン48は、
図9に示すプローブヘッド200の雌型接地ポート204内に挿入されるように構成されている。プローブ接続ピン48は、プローブ接続ピン本体軸線49に沿ってレセプタクル46内に取り外し可能に挿入されうる。
【0065】
図1~
図7に示すインダクタンスデバイス24の構成は、単に例示的な実施形態に過ぎない。3つの抵抗装置24を有する代わりに、1つ、2つ又は以上の抵抗装置を、異なるサイズ及び構成で利用することができる。本開示によるアース基準線は、抵抗器、フェライトビーズ、又は、それらの組み合わせを備えうる。当業者であれば、過度の負担なしに、個々の用途に合わせた簡単な実験を通して抵抗装置24の効果的な構成を特定することができる。
【0066】
次に
図8を参照すると、例示的な実施形態のアース基準線が正面図で示されている。アース基準線10は、
図2~
図7に開示されているようなアース基準線としうる。該当する場合、同じ原則、定義及び説明が適用される。アース基準線10は、柔軟性長さ34を有するフレキシブル本体12を備えうる。いくつかの実施形態において、柔軟性長さ34は、例えば、3cmより大きく又は5cmより大きくしうる。
【0067】
いくつかの実施形態では、接地ソケット18及びプローブソケット14は、導電性材料から構成される。プローブソケット14は、プローブヘッド接続ピン48を介してプローブヘッドの接地ポートに取り付けられるように構成することができる。接地ソケット18は、接地先端50を受け入れるように構成することができる。
図8に示す例示では、接地先端50が接地ソケットに取り付けられている。
【0068】
いくつかの実施形態では、アース基準線10は、プローブソケットカバー56及び接地ソケットカバー52をさらに備えうる。プローブソケットカバー56と接地ソケットカバー52とを電気的に絶縁することができることによって、プローブソケット14と接地ソケット18とをそれぞれ遮蔽することができる。プローブソケットカバー56及び接地ソケットカバー52は、それぞれ、組み立て及び分解することができ、それによってプローブソケット及び接地ソケットにそれぞれ取り外し可能に取り付けられる、2つの実質的に中空の筒状の半シェルを備えうる。
【0069】
いくつかの実施形態では、接地ソケットカバー52は、接地ソケットが、人間の手、ロボットアーム、及び/又は、ツールを使用して予め定めた位置に保持されうるように構成された取り付け面54を備えうる。取り付け面54は、接地ソケットシリンダシャフト軸線21に沿ってフレキシブル本体12を越えて配置され、補助締結手段とフレキシブル本体12との間の安全な距離を可能にする。取り付け面54は、取り付け面54を適切に固定するための外部の幾何学的要求に合うように便利に調整することができる。
【0070】
次に
図9を参照すると、例示的な実施形態のDUT上の高周波電気信号を測定するための測定装置が斜視図で示されている。いくつかの実施形態において、測定装置100は、電気信号入力ポート202及び高インピーダンス接地接続ポート204を有するプローブヘッド200を備えうる。測定装置100は、電気信号入力ポートに取り付けられた電気信号入力先端206をさらに備えうる。測定装置100は、アース基準線10のプローブソケット14を介して高インピーダンス接地接続ポート204に取り付けられた、本開示によるアース基準線10をさらに備えうる。アース基準線10は、さらに、アース基準線10の接地ソケット18に取り付けられた接地先端50を備えうる。接地先端50は、接地パッド304上で試験板300と接触することができる。
【0071】
入力先端206は、DUTの信号線302上に配置することができる。このDUTは、
図9において試験板300によって実証される。実際のDUTは、通常、回路基板等上の所与の信号線を測定するときに、接地先端50を配置するための選択肢がほんのわずかしかない。フレキシブル本体12によって、電気信号入力先端206から離間した様々な位置に接地先端50を配置することができる。アース基準線10の抵抗装置24のために、アース基準線10の自己インダクタンスは、電気信号入力先端206と接地先端50との間の相対距離に関係なく補償されうる。
【0072】
次に
図10を参照すると、DUT上の高周波電気信号を測定するために本開示によるアース基準線を使用する例示的な測定方法の概略フローチャートが示されている。いくつかの方法ステップにおいて、操作者は、電気信号入力先端をプローブヘッドの電気信号入力ポートに取り付けるステップ(S10)を実行しうる。操作者は、アース基準線のプローブソケットを高インピーダンス接地接続ポートに接続することによって、本開示によるアース基準線をプローブヘッドの高インピーダンス接地接続ポートに取り付けるステップ(S12)を実行することができる。操作者は、プローブヘッドに電力を供給し、プローブヘッドをデータ取得装置に接続するステップ(S14に)を実行しうる。DUT上の信号線をプローブ先端に接触させるステップ(S16)を行うことができる。操作者は、DUT上の接地パッドを接地先端と接触させるステップ(S18)を実行しうる。自己インダクタンス駆動信号の品質損失が実質的にない状態で高周波電気信号の測定を行うステップ(S20)が実行される。
【0073】
ここで
図11を参照すると、柔軟性長さ32mmに対して二重対数線図を使用して周波数領域における測定信号が示されている。
【0074】
使用したプローブヘッドは、6mの単一遮蔽信号出力ケーブルを使用した補償型アクティブプローブヘッドであった。ケーブルによる減衰はプローブヘッドの補償回路で補償した。
【0075】
実線は、60オームとなる、抵抗装置として3つの180オーム抵抗器を並列に使用した実験を表している。32mmのアース基準線のインダクタンスは約14nHであった。点線は、同じ寸法でありながら抵抗器がないアース基準線を表している。
【0076】
周波数領域プロット(実線)の点M5で示されるように、1.52GHzの帯域幅では、1.0dBのピーク及び11%のオーバーシュートのみが観察された。抵抗器を使用した実験では、3dBのカットオフ周波数、点M6をより高い帯域幅で到達していた。
【0077】
次に
図12を参照すると、52mmの柔軟性長さに対して二重対数線図を使用して周波数領域における測定信号が示されている。測定された周波数ドメイン特性は、本開示によれば、52mmのアース基準線を有するアクティブ高周波プローブを使用して測定された。
【0078】
使用したプローブヘッドは、6mの単一遮蔽信号出力ケーブルを使用した補償型アクティブプローブヘッドであった。ケーブルによる減衰はプローブヘッドの補償回路で補償した。
【0079】
実線は、60オームとなる、3つの180オーム抵抗器を並列に使用した実験を表している。52mmのアース基準線のインダクタンスは約14nHであった。点線は、同じ寸法でありながら抵抗器がないアース基準線を表している。
【0080】
結論
本開示の多数の実施形態について説明した。本明細書は、多くの特定の実施の詳細を含むが、これらの詳細は、いかなる開示の技術的範囲又は特許請求されうるものの制限として解釈されるべきではない。
【0081】
個々の実施形態の文脈で本明細書に記載される特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わせて実施することもできる。逆に、単一の実施形態の文脈で説明される様々な特徴は、複数の実施形態において別々に、又は任意の適切なサブコンビネーションで、組み合わせて実施することもできる。さらに、特徴は、一定の組み合わせで作用するものとして上述され、そのようなものとして最初に特許請求されたものでさえも説明されうるが、いくつかの場合には、特許請求された組み合わせから1つ以上の特徴は、組み合わせから除外されることができ、特許請求された組み合わせは、サブコンビネーション又はサブコンビネーションの変形に向けることができる。
【0082】
同様に、動作は特定の順序で図面に描かれているが、このことは、そのような動作が示された特定の順序又は逐次的な順序で実行されること、又は例示された全ての動作が実行され、望ましい結果を達成することを要求するものとして理解されるべきではない。特定の状況では、マルチタスクと並列処理が有利な場合がある。
【0083】
以上、主題の特定の実施例について説明した。他の実施形態は、以下の請求の技術的範囲内にある。ある場合には、請求項に記載された動作は異なる順序で実行することができ、なお望ましい結果を達成することができる。加えて、添付の図に描かれるプロセスは、望ましい結果を達成するために、必ずしも特定の順序が示されたり、逐次的な順序を必要としない。特定の実施形態では、マルチタスク処理及び並列処理が有利である場合がある。それにもかかわらず、請求の範囲の開示の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な改変が行われてもよいことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0084】
10 アース基準線
12 フレキシブル本体
14 プローブソケット
16 プローブ端部
18 接地ソケット
19 突出シリンダ
20 接地端部
21 接地ソケットシリンダシャフト軸線
22 電気接触経路
23 フレキシブル本体の長手方向軸線
24 抵抗装置
25 接地ソケットの本体軸線
26 銅製のストリップ
28 ガラス強化エポキシ積層材料
30 プローブソケット板
32 接地ソケット板
34 柔軟性長さ
36 前側
38 裏側
40 貫通孔
42 プローブソケット電気接続リンク
44 接地ソケット電気接続リンク
46 接地先端レセプタクル
48 プローブ接続ピン
49 プローブ接続ピン本体軸線
50 接地先端
52 接地ソケットカバー
54 取り付け面
56 プローブソケットカバー
58 抵抗器
60 フェライトビーズ
62 電線
100 測定装置
200 プローブヘッド
202 電気信号入力ポート
204 高インピーダンス接地接続ポート
206 電気信号入力先端
300 試験板
302 信号線
304 接地パッド