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特開2024-68200厚さパラメータが制御された押出ラミネーションによる二次電池用パウチフィルム及びその製造方法 、当該二次電池用パウチフィルムを用いた二次電池及びその製造方法
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  • 特開-厚さパラメータが制御された押出ラミネーションによる二次電池用パウチフィルム及びその製造方法  、当該二次電池用パウチフィルムを用いた二次電池及びその製造方法 図1
  • 特開-厚さパラメータが制御された押出ラミネーションによる二次電池用パウチフィルム及びその製造方法  、当該二次電池用パウチフィルムを用いた二次電池及びその製造方法 図2
  • 特開-厚さパラメータが制御された押出ラミネーションによる二次電池用パウチフィルム及びその製造方法  、当該二次電池用パウチフィルムを用いた二次電池及びその製造方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068200
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】厚さパラメータが制御された押出ラミネーションによる二次電池用パウチフィルム及びその製造方法 、当該二次電池用パウチフィルムを用いた二次電池及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/133 20210101AFI20240510BHJP
   H01M 50/105 20210101ALI20240510BHJP
   H01M 50/121 20210101ALI20240510BHJP
   H01M 50/119 20210101ALI20240510BHJP
   H01M 50/129 20210101ALI20240510BHJP
   H01M 50/131 20210101ALI20240510BHJP
   B32B 15/085 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
H01M50/133
H01M50/105
H01M50/121
H01M50/119
H01M50/129
H01M50/131
B32B15/085 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023189572
(22)【出願日】2023-11-06
(31)【優先権主張番号】10-2022-0145627
(32)【優先日】2022-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】523422299
【氏名又は名称】ユルチョン・ケミカル・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】YOULCHON CHEMICAL CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【弁理士】
【氏名又は名称】式見 真行
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ノクチョン
(72)【発明者】
【氏名】ハン,ヒシク
(72)【発明者】
【氏名】パク,ハンチョル
(72)【発明者】
【氏名】イ,ジミン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ゴンリョン
【テーマコード(参考)】
4F100
5H011
【Fターム(参考)】
4F100AB00
4F100AB00B
4F100AK07
4F100AK07C
4F100AT00A
4F100BA03
4F100BA07
4F100EH17
4F100EH17C
4F100GB32
4F100GB41
4F100JG01
4F100JG04
4F100JK04
4F100JK06
4F100JL12
4F100JL12C
5H011AA01
5H011AA09
5H011CC02
5H011CC06
5H011CC10
5H011DD02
5H011DD13
5H011KK00
5H011KK01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】優れた成形性と共に、カーリング性、絶縁性、曲げ性、剥離強度を持つ二次電池パウチフィルム及びその製造方法を提供する。
【解決手段】二次電池パウチフィルムは、外層、金属層、シーラント層を含み、シーラント層は、押出ポリプロピレン(PP)層及び無延伸ポリプロピレン(CPP)層を含み、下記の[式1]の厚さパラメータを満たす。
[式1]
A+B<1.354
0.6≦C
([式1]中、Aは、金属層の厚さを二次電池パウチフィルムの総厚さで除した値であり、Bは、金属層の厚さをシーラント層の厚さで除した値であり、Cは、シーラント層の押出ポリプロピレン(PP)層の厚さをシーラント層の無延伸ポリプロピレン(CPP)層の厚さで除した値である。)。当該パウチフィルムは、優れた成形性と共に、カーリング性、絶縁性、曲げ性、剥離強度を持つ。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池パウチフィルムであって、
前記二次電池パウチフィルムが、外層、金属層、およびシーラント層を有して成り、
前記シーラント層が、押出ポリプロピレン(PP)層および無延伸ポリプロピレン(CPP)層を有して成り、
前記二次電池パウチフィルムが下記の[式1]の厚さパラメータを満たすことを特徴とする、二次電池パウチフィルム。
【請求項2】
前記C値は、0.6≦C≦1.0であることを特徴とする、請求項1に記載の二次電池パウチフィルム。
【請求項3】
前記二次電池パウチフィルムは、下記の方法による剥離強度の測定数値が8N以上であることを特徴とする、請求項2に記載の二次電池パウチフィルム。
【請求項4】
前記二次電池パウチフィルムは、下記の方法によるカーリングの測定数値が20mm未満であることを特徴とする、請求項2に記載の二次電池パウチフィルム。
【請求項5】
前記二次電池パウチフィルムは、下記の方法による成形性の測定数値が6mm以上であることを特徴とする、請求項2に記載の二次電池パウチフィルム。
【請求項6】
前記二次電池パウチフィルムは、下記の方法による絶縁性の測定数値が100GΩ以上、又は50GΩ以上100GΩ未満であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の二次電池パウチフィルム。
【請求項7】
前記二次電池パウチフィルムは、下記の方法による曲げ性の評価数値が50回以上、又は30回以上50回未満であることを特徴とする、請求項2に記載の二次電池パウチフィルム。
【請求項8】
二次電池パウチフィルムの製造方法であって、
前記二次電池パウチフィルムが、外層、金属層、およびシーラント層を有して成り、
シーラント層が、押出ポリプロピレン(PP)層および無延伸ポリプロピレン(CPP)層を有して成り、
下記の[式1]の厚さパラメータを満たすように前記二次電池パウチフィルムの層の厚さを調節する工程、
を含んで成ることを特徴とする、二次電池パウチフィルムの製造方法。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか一項に記載の二次電池パウチフィルムで外装されたことを特徴とする二次電池。
【請求項10】
前記二次電池が、電気自動車用又はエネルギー貯蔵装置用であることを特徴とする、請求項9に記載の二次電池。
【請求項11】
二次電池の製造方法であって、
請求項1~7のいずれか一項に記載の二次電池パウチフィルムで二次電池を外装する工程、
を含んで成ることを特徴とする二次電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、厚さパラメータが制御された押出ラミネーションによる二次電池用パウチフィルム及びその製造方法に関し、より詳しくは、剥離強度、成形性、絶縁性、曲げ性、カーリング性に優れることで特に中大型電池用に適合した厚さパラメータが制御された押出ラミネーションによる二次電池用パウチフィルム及びその製造方法 、当該二次電池用パウチフィルムを用いた二次電池及びその製造方法に関する。
[本発明を支援した国家研究開発事業]
【0002】
[課題固有番号]1415181922
[課題番号]20022450
[部署名]産業通商資源部
[課題管理(専門)機関名]韓国産業技術評価管理院
[研究事業名]素材部品パッケージ型(最高企業)
[研究課題名]2倍以上の高接着強度(60℃)の具現が可能な次世代二次電池パウチの開発
[寄与率]1/1
[課題遂行機関名]栗村化学(株)
[研究期間]2022-09-01~2022-12-31
【0003】
[課題固有番号]1415185612
[課題番号]20022450
[部署名]産業通商資源部
[課題管理(専門)機関名]韓国産業技術評価管理院
[研究事業名]素材部品パッケージ型(最高企業)
[研究課題名]2倍以上の高接着強度(60℃)の具現が可能な次世代二次電池パウチの開発
[寄与率]1/1
[課題遂行機関名]栗村化学(株)
[研究期間]2023-01-01~2023-12-31
【背景技術】
【0004】
リチウム二次電池(LiB)は、高いエネルギー密度と優れた出力を有するなどの多様な長所を基に多くのアプリケーションに適用されている。
【0005】
二次電池パウチフィルムは、かかる二次電池の電極群と電解液を取り囲む多層構造の包装用積層フィルムであって、電池の安定性、寿命特性、そして作動持続力を決める核心の部品素材であり、機械的柔軟性及び強度、高い酸素/水蒸気バリア性、高い熱的シーリング強度、電解液に対する耐化学性、電気絶縁性、高温安定性などが要求される。
【0006】
二次電池パウチフィルムは、通常、大別して外層/バリア層/内側シーラント層からなる。
外層又は最外層は、ナイロンやナイロンとPET(ポリエチレンテレフタレート)との混合素材、OPP(延伸ポリプロピレン)、ポリエチレンなどから構成されている。かかる外層又は最外層の要求特性としては、耐熱性、耐ピンホール性、耐化学性、成形性、及び絶縁性などが挙げられる。
バリア層は、水蒸気やその他の気体に対するバリア性と共に成形性が要求される。このような側面から、バリア層には成形可能な金属、例えば、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)などが用いられ、近年、アルミニウムが最も多く用いられている。
内層のシーラント層は、熱接着性、成形性と共に電解液と接触する層である点から、耐電解液性、絶縁抵抗性などが要求される。
【0007】

一方、リチウム二次電池の適用分野が小型から自動車用やESS用の中大型へと拡大されるにつれて、二次電池パウチフィルムもまた、中大型に適合した特性を持つことが要求されている。
関連して、自動車用のリチウム二次電池(LiB)のセルの大きさや二次電池パウチの成形深さは二次電池の容量に大きく影響を及ぼす因子である。セルの大きさの場合、その大きさが一般の小型用に比べて大きく二次電池パウチは大半はダブル成形(Double forming)で生産されることから高い成形性が要求され、また二次電池パウチの成形深さはセルの容量を決めることから、深さが深く成形(forming)されるほど次世代二次電池の要求容量である700Wh/Lに至るための必須条件であると言える。そのため、優れた成形性と共に、カーリング性、絶縁性、曲げ性、剥離強度などの特性が要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の例示的な具現例(または具現化例)では、一側面において、優れた成形性と共に、カーリング性、絶縁性、曲げ性、剥離強度を持つ二次電池用パウチフィルム及びその製造方法を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の例示的な具現例では、二次電池パウチフィルムにおいて、当該二次電池パウチフィルムは、外層、金属層、シーラント層を含み、前記シーラント層は、押出ポリプロピレン(PP)層(extruded polypropylene layer)及び無延伸ポリプロピレン(CPP)層(cast polypropylene layer)を含み、下記の[式1]の厚さパラメータを満たす二次電池パウチフィルムを提供する。
[式1]
A+B<1.354
0.6≦C
(前記[式1]中、Aは、金属層の厚さを二次電池パウチフィルムの総厚さで除した値(すなわち、金属層の厚さ/二次電池パウチフィルムの総厚さ)であり、Bは、金属層の厚さをシーラント層の厚さで除した値(すなわち、金属層の厚さ/シーラント層の厚さ)であり、Cは、シーラント層の押出ポリプロピレン(PP)層の厚さをシーラント層の無延伸ポリプロピレン(CPP)層の厚さで除した値(すなわち、押出PP層の厚さ/CPP層の厚さ)である。)
【0010】
例示的な一具現例において、前記Cは、0.6≦C≦1.0であることが好ましい。
【0011】
例示的な一具現例において、当該二次電池パウチフィルムは、下記の方法による剥離強度の測定数値が8N以上であってよい。
【0012】
[剥離強度の評価]
・二次電池パウチフィルムを横(MD)15mmおよび縦(TD)150mmの大きさにカットして試片を準備し、金属層とシーラント層を剥離して(または剥離した後)、速度50mm/minおよび90゜の条件で剥離強度を測定する。
例示的な一具現例において、当該二次電池パウチフィルムは、下記の方法によるカーリングの測定数値が20mm未満であってよい。
[カーリング(Curling)の評価]
・二次電池パウチフィルムを横(MD)150mmおよび縦(TD)150mmの大きさにカットして試片を準備し、試片のシーラント層を上向きにして4辺をガラス板にテープで固定させた後、試片の中央を対角線でX字状になるようにナイフでカットする。X字状の各辺は140mmの長さでカットされ、底から中央のカットされてカールした試片の端までの高さを測定する。
例示的な一具現例において、当該二次電池パウチフィルムは、下記の方法による成形性の測定数値が6mm以上であってよい。
[成形性の評価]
・二次電池パウチフィルムを15cm(MD)×15cm(TD)の大きさにカットして試片を準備する。
・準備した試片を二次電池パウチの成形金型(3cm×4cmの大きさ)を用いて成形する。
・試片が10個以上裂けないまで成形深さを変更して成形評価を繰り返し、10個以上裂けない試片の成形深さを測定する。
例示的な一具現例において、当該二次電池パウチフィルムは、下記の方法による絶縁性の測定数値が100GΩ以上又は50GΩ以上100GΩ未満であってよい。
[絶縁性の評価]
・二次電池パウチフィルムを金型を用いて成形深さ6mm又は成形深さが6mm未満(または6mm以下)である場合には最大成形深さで成形する。
・成形された試片に電解液2mLを注入し、リードタブ(Lead Tab)を挿入して3側面をシールする。
・シールされた試片を常温で24時間放置後、500Vの電圧を印加して絶縁性を測定する。
例示的な一具現例において、当該二次電池パウチフィルムは、下記の方法による曲げ性の評価数値が50回以上又は30回以上50回未満であってよい。
[曲げ性の評価]
・二次電池パウチフィルムを金型を用いて成形深さ6mm又は成形深さが6mm未満(または6mm以下)である場合には最大成形深さに成形する。
・成形された試片に電解液2mLを注入し、リードタブ(Lead Tab)を挿入して3側面をシールする。
・シールされた試片を常温で24時間放置後、500Vの電圧を印加して絶縁性が1GΩ以上の試片を選別する。
・熱接着された面のうちリードタブのない1面を繰り返し折り曲げに付す(または繰り返し折り曲げる、folded and unfolded repeatedly)。
・絶縁性が1GΩ以下になるまでの1面を繰り返し折り曲げた回数を測定する。
【0013】
また、本発明の例示的な具現例では、二次電池パウチフィルムの製造方法であって、前記二次電池パウチフィルムは、外層、金属層、シーラント層を含み、前記シーラント層は、押出ポリプロピレン(PP)層及び無延伸ポリプロピレン(CPP)層を含み、前述した[式1]を満たすように厚さを調節(または調整)する工程(または段階);を含む二次電池パウチフィルムの製造方法を提供する。
【0014】
また、本発明の例示的な具現例では、前述した二次電池パウチフィルムで外装された(encased)二次電池を提供する。
例示的な一具現例において、当該二次電池は、電気自動車用又はエネルギー貯蔵装置用であってよい。
また、本発明の例示的な具現例では、二次電池の製造方法であって、前述した二次電池パウチフィルムで二次電池を外装する工程(または段階);を含む二次電池の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の例示的な具現例に係るパウチフィルムは、優れた成形性と共に、カーリング性、絶縁性、曲げ性、剥離強度を持つ。このような二次電池パウチフィルムは、電気自動車やエネルギー貯蔵装置などの中大型の二次電池パウチフィルムとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】SDL方式で製造される二次電池パウチフィルムの構成を示す概略図である。
図2】EC方式で製造される二次電池パウチフィルムの構成を示す概略図である。
図3】実験例のカーリング性の評価における試片の模様を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
用語の定義
本明細書において二次電池パウチフィルムが所定の層を含んでなるとしているが、必ずしも当該層だけで構成されることではなく、更なる層が含まれてよい。
本明細書において特定の層の「上」に形成されるとは、当該層に直接形成されることだけではなく、更なる他の層を介して形成されることも含む。
【0018】
例示的な具現例の説明
以下、本発明の例示的な具現例を詳述する。
【0019】
二次電池パウチフィルムの製造の際にシーラント層を製造する方法として、押出ラミネーション(Extrusion Lamination;以下、ECと略称することがある)方式とソルベントドライラミネーション(Solvent-Dry Lamination;以下、SDLと略称することがある)方式がある。
【0020】
ソルベントドライラミネーション方式は、無延伸ポリプロピレン(CPP)層の上にソルベント型接着剤を用いて金属層を接着し当該ソルベント型接着剤を乾燥させる方式であって、これにより製造されるシーラント層はCPP層からなるようになる(図1参照)。
【0021】
一方、押出ラミネーション方式は、シーラント層に主に用いられるポリプロピレン、特に無延伸ポリプロピレン(CPP)を金属層に接着の際にポリプロピレン樹脂を押出する方式であって、その結果、シーラント層は、押出ポリプロピレン層とCPP層とからなるようになる(図2参照)。
【0022】
本発明者らは、特に押出ラミネーション方式による製造の際に金属層の厚さとパウチフィルムの総厚さ及びシーラント層の厚さとの厚さ比を適宜調節し、且つシーラント層を構成する2つの層のうちの押出ポリプロピレン層の厚さと無延伸ポリプロピレン層の厚さとの厚さ比を適宜調節することで、剥離強度、成形性、絶縁性、曲げ性に優れ、更にはカーリング性にも優れるものになることを見出し鋭意研究を重ねて本発明に至った。
【0023】
剥離強度、成形性、絶縁性、曲げ性、カーリング性は、シーラント層を含むパウチの層構成と層組成などに影響されるが、驚くべきことに前述したような厚さパラメータの調節だけで剥離強度、成形性、絶縁性、曲げ性、カーリング性を容易に制御することができる。
【0024】
図2は、本発明の例示的な一具現例に係るEC方式で製造される二次電池パウチフィルムの構成を示す概略図である。
【0025】
図2に示されたように、本発明の例示的な具現例に係る二次電池パウチフィルムは、外層、金属層、シーラント層を含み、前記シーラント層は、押出ポリプロピレン(PP)層及び無延伸ポリプロピレン(CPP)層を含み、下記の[式1]の厚さパラメータを満たす。
[式1]
A+B<1.354
0.6≦C
前記[式1]中、Aは、金属層の厚さを二次電池パウチフィルムの総厚さで除した値(すなわち、金属層の厚さ/二次電池パウチフィルムの総厚さ)であり、Bは、金属層の厚さをシーラント層の厚さで除した値(すなわち、金属層の厚さ/シーラント層の厚さ)であり、Cは、シーラント層の押出ポリプロピレン(PP)層の厚さをシーラント層の無延伸ポリプロピレン(CPP)層の厚さで除した値(すなわち、押出PP層の厚さ/CPP層の厚さ)である。
前述した[式1]の厚さパラメータを満たす場合、後述する実験例から確認できるように剥離強度、成形性、絶縁性、曲げ性に優れている。
【0026】
例示的な一具現例において、前記A+Bは、A+B<1.354、A+B≦1.350、A+B≦1.345、A+B≦1.340、A+B≦1.335、A+B≦1.330、A+B≦1.325、A+B≦1.320、A+B≦1.315、A+B≦1.310、A+B≦1.305、A+B≦1.300、A+B≦1.295、A+B≦1.290、A+B≦1.285、A+B≦1.280、A+B≦1.275、A+B≦1.270、A+B≦1.265、A+B≦1.260、A+B≦1.255、A+B≦1.250、A+B≦1.245、A+B≦1.240、A+B≦1.235、A+B≦1.230、A+B≦1.225、A+B≦1.220、A+B≦1.215、A+B≦1.210、A+B≦1.205、A+B≦1.200、A+B≦1.195、A+B≦1.190、A+B≦1.185、A+B≦1.180、A+B≦1.175、A+B≦1.170、A+B≦1.165、A+B≦1.160、A+B≦1.155、A+B≦1.150、A+B≦1.145、A+B≦1.140、A+B≦1.135、A+B≦1.130、A+B≦1.125、A+B≦1.120、A+B≦1.115、A+B≦1.110、A+B≦1.105、A+B≦1.100、A+B≦1.095、A+B≦1.090、A+B≦1.085、A+B≦1.080、A+B≦1.075、A+B≦1.070、A+B≦1.065、A+B≦1.060、A+B≦1.055、A+B≦1.050、A+B≦1.045、A+B≦1.040、A+B≦1.035、A+B≦1.030、A+B≦1.025、A+B≦1.020、A+B≦1.015、A+B≦1.010、A+B≦1.005、A+B≦1.000、A+B≦0.995、A+B≦0.990、A+B≦0.985、A+B≦0.980、A+B≦0.975、A+B≦0.970、A+B≦0.965、A+B≦0.960、A+B≦0.955、A+B≦0.950、A+B≦0.945、A+B≦0.940、A+B≦0.935、A+B≦0.930、A+B≦0.925、A+B≦0.920、A+B≦0.915、A+B≦0.910、A+B≦0.905、A+B≦0.900、A+B≦0.895、A+B≦0.890、A+B≦0.885、A+B≦0.880、A+B≦0.875、A+B≦0.870、A+B≦0.865、A+B≦0.860、A+B≦0.855、A+B≦0.850、A+B≦0.845、A+B≦0.840、A+B≦0.835、A+B≦0.830、A+B≦0.825、A+B≦0.820、A+B≦0.815、A+B≦0.810、A+B≦0.805、A+B≦0.800、A+B≦0.795、A+B≦0.790、A+B≦0.785、A+B≦0.780、A+B≦0.775、A+B≦0.770、又はA+B≦0.765であってよい。
例示的な一具現例において、A+B≧0.761、A+B≧0.765、A+B≧0.770、A+B≧0.775、A+B≧0.780、A+B≧0.785、A+B≧0.790、A+B≧0.795、A+B≧0.800、A+B≧0.805、A+B≧0.810、A+B≧0.815、A+B≧0.820、A+B≧0.825、A+B≧0.830、A+B≧0.835、A+B≧0.840、A+B≧0.845、A+B≧0.850、A+B≧0.855、A+B≧0.860、A+B≧0.865、A+B≧0.870、A+B≧0.875、A+B≧0.880、A+B≧0.885、A+B≧0.890、A+B≧0895、A+B≧0.900、A+B≧0.905、A+B≧0.910、A+B≧0.915、A+B≧0.920、A+B≧0.925、A+B≧0.930、A+B≧0.935、A+B≧0.940、A+B≧0.945、A+B≧0.950、A+B≧0.955、A+B≧0.960、A+B≧0.965、A+B≧0.970、A+B≧0.975、A+B≧0.980、A+B≧0.985、A+B≧0.990、A+B≧0.995、A+B≧1.000、A+B≧1.005、A+B≧1.010、A+B≧1.015、A+B≧1.020、A+B≧1.025、A+B≧1.030、A+B≧1.035、A+B≧1.040、A+B≧1.045、A+B≧1.050、A+B≧1.055、A+B≧1.060、A+B≧1.065、A+B≧1.070、A+B≧1.075、A+B≧1.080、A+B≧1.085、A+B≧1.090、A+B≧1.095、A+B≧1.100、A+B≧1.105、A+B≧1.110、A+B≧1.115、A+B≧1.120、A+B≧1.125、A+B≧1.130、A+B≧1.135、A+B≧1.140、A+B≧1.145、A+B≧1.150、A+B≧1.155、A+B≧1.160、A+B≧1.165、A+B≧1.170、A+B≧1.175、A+B≧1.180、A+B≧1.185、A+B≧1.190、A+B≧1.195、A+B≧1.200、A+B≧1.205、A+B≧1.210、A+B≧1.215、A+B≧1.220、A+B≧1.225、A+B≧1.230、A+B≧1.235、A+B≧1.240、A+B≧1.245、A+B≧1.250、A+B≧1.255、A+B≧1.260、A+B≧1.265、A+B≧1.270、A+B≧1.275、A+B≧1.280、A+B≧1.285、A+B≧1.290、A+B≧1.295、A+B≧1.300、A+B≧1.305、A+B≧1.310、A+B≧1.315、A+B≧1.320、A+B≧1.325、A+B≧1.330、A+B≧1.335、A+B≧1.340、A+B≧1.345、又はA+B≧1.350であってよい。
【0027】
例示的な一具現例において、前記C値は、0.6≦C又は0.6≦C≦3.0又は0.6≦C≦1.67であってよく、好ましくは、0.6≦C≦1.0である。後述する実験例から分かるように、特に0.6≦C≦1.0の範囲で剥離強度、成形性、絶縁性、曲げ性に優れている他、カーリング性にも優れている。
【0028】
非制限的な例示において、C値は、0.60、0.61、0.62、0.63、0.64、0.65、0.66、0.67、0.68、0.69、0.70、0.71、0.72、0.73、0.74、0.75、0.76、0.77、0.78、0.79、0.80、0.81、0.82、0.83、0.84、0.85、0.86、0.87、0.88、0.89、0.90、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95,0.96、0.97、0.98、0.99、1.00、1.01、1.02、1.03、1.04、1.05、1.06、1.07、1.08、1.09、1.10、1.11、1.12、1.13、1.14、1.15、1.16、1.17、1.18、1.19、1.20、1.21、1.22、1.23、1.24、1.25、1.26、1.27、1.28、1.29、1.30、1.31、1.32、1.33、1.34、1.35、1.36、1.37、1.38、1.39、1.40、1.41、1.42、1.43、1.44、1.45、1.46、1.47、1.48、1.49、1.50、1.51、1.52、1.53、1.54、1.55、1.56、1.57、1.58、1.59、1.60、1.61、1.62、1.63、1.64、1.65、1.66、1.67、1.68、1.69、1.70、1.71、1.72、1.73、1.74、1.75、1.76、1.77、1.78、1.79、1.80、1.81、1.82、1.83、1.84、1.85、1.86、1.87、1.88、1.89、1.90、1.91、1.92、1.93、1.94、1.95、1.96、1.97、1.98、1.99、2.00、2.01、2.02、2.03、2.04、2.05、2.06、2.07、2.08、2.09、2.10、2.11、2.12、2.13、2.14、2.15、2.16、2.17、2.18、2.19、2.20、2.21、2.22、2.23、2.24、2.25、2.26、2.27、2.28、2.29、2.30、2.31、2.32、2.33、2.34、2.35、2.36、2.37、2.38、2.39、2.40、2.41、2.42、2.43、2.44、2.45、2.46、2.47、2.48、2.49、2.50、2.51、2.52、2.53、2.54、2.55、2.56、2.57、2.58、2.59、2.60、2.61、2.62、2.63、2.64、2.65、2.66、2.67、2.68、2.69、2.70、2.71、2.72、2.73、2.74、2.75、2.76、2.77、2.78、2.79、2.80、2.81、2.82、2.83、2.84、2.85、2.86、2.87、2.88、2.89、2.90、2.91、2.92、2.93、2.94、2.95、2.96、2.97、2.98、2.99又は3.00であってよい。
【0029】
例示的な一具現例において、外層としては、ナイロン、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、ナイロンとPETとの混合層などから構成されてよい。
例示的な一具現例において、金属層は、アルミニウム、SUS、銅などの金属から構成されてよく、水分浸透性及び耐衝撃性を有する。
例示的な一具現例において、シーラント層の無延伸ポリプロピル(CPP)層は、要求物性に応じて各種の添加剤(ゴム、エラストマ、スリップ剤など)を含有してよい。
【0030】
例示的な一具現例において、前記二次電池パウチフィルムの総厚さは、例えば60~185μmであってよい。
一実施例において、前記二次電池パウチフィルムは、153μm以上であるか113μm以下のものであってよい。
例示的な一具現例において、前記金属層の厚さは、例えば20~80μmであってよい。
例示的な一具現例において、前記シーラント層の厚さは、例えば20~80μmであってよい。
例示的な一具現例において、前記シーラント層の無延伸ポリプロピルレン(CPP)層の厚さは、例えば20~80μmであってよい。
例示的な一具現例において、前記シーラント層の押出ポリプロピレン(PP)層の厚さは、例えば0~60μmであってよい。
【0031】
例示的な一具現例において、前記二次電池パウチフィルムは、後述する実施例の方法による剥離強度の測定数値が8N以上である。
例示的な一具現例において、前記二次電池パウチフィルムは、後述する実施例の方法によるカーリング性の測定数値が20mm未満である。
例示的な一具現例において、前記二次電池パウチフィルムは、後述する実施例の方法による成形性の測定数値が6mm以上である。
例示的な一具現例において、前記二次電池パウチフィルムは、後述する実施例の方法による絶縁性の測定数値が100GΩ以上又は50GΩ以上100GΩ未満であってよい。
例示的な一具現例において、前記二次電池パウチフィルムは、後述する実施例の方法による曲げ性の評価数値が50回以上又は30回以上50回未満であってよい。
【0032】
本発明の例示的な具現例の二次電池パウチフィルムの製造方法は、前記二次電池パウチフィルムが、外層、金属層、シーラント層を含むようにし、前記シーラント層は、押出ポリプロピレン(PP)層及び無延伸ポリプロピレン(CPP)層を含むようにし、前述した[式1]を満たすように層の厚さパラメータを調節する。
【0033】
一方、本発明の例示的な具現例では、前述した二次電池パウチフィルムで外装された二次電池を提供する。かかる二次電池は、代表的にリチウム二次電池であってよく、特に電気自動車(EV)用やエネルギー貯蔵装置(ESS)用などの中大型の二次電池であってよい。
【0034】
また、本発明の例示的な具現例では、前述した二次電池パウチフィルムで二次電池を外装する段階;を含む二次電池の製造方法を提供する。
【0035】
以下の実施例を通じて本発明の例示的な具現例をより詳しく説明することにする。なお、本明細書に開示された実施例は単に説明のための目的から例示されたものであって、本発明の実施例は種々の形態で実施でき、本明細書に開示された実施例に限定されると解釈されてはならない。
【0036】
[実験方法]
実施例及び比較例において、外層はナイロン及びPETの複合層から構成し、金属層はアルミニウム箔を用い、下記の表のように各厚さ比を調節した。
また、後述する方法にて剥離強度、成形性、絶縁性、カーリング性、曲げ性を評価した。
【0037】
<剥離強度の評価>
実施例及び比較例で製造された二次電池パウチフィルムを横(MD)15mm、縦(TD)150mmの大きさにカットして試片を準備した。金属層とシーラント層を剥離して(または剥離した後)、速度50mm/minおよび90゜の条件で剥離強度を測定した。
測定数値が8N以上であるとき、剥離強度が良好であると評価する。
【0038】
<カーリング(Curling)性の評価>
実施例及び比較例で製造された二次電池パウチフィルムを横150mm、縦150mmの大きさにカットして試片を準備した。試片のシーラント層を上向きにして4辺をガラス板にテープで固定させた後、試片の中央を対角線でX字状になるようにナイフでカットした。X字状の各辺は140mmの長さでカットされ、底から中央のカットされてカールした試片の端までの高さを測定した。因みに、図3は試片の模様を示す概略図である。
測定数値が20mm未満であるとき、カーリング性が良好であると評価する。
【0039】
<成形性の評価>
実施例及び比較例で製造された二次電池パウチフィルムをそれぞれ15cm×15cmの大きさにカットして試片を準備した。準備した試片を金型(3cm×4cmの大きさ)を用いて各サンプルを成形した。成形深さの設定を変更して成形性の評価を繰り返し、試片が10個以上裂けないまで行った。10個以上裂けなかった試片の成形深さを測定した。
測定数値が6mm以上であるとき、成形性が良好であると評価する。
【0040】
<絶縁性の評価>
実施例及び比較例で製造された二次電池パウチフィルムを金型(3cm×4cmの大きさ)を用いて深さ6mmで成形した。成形深さが6mm未満(または6mm以下)である場合には最大成形深さで成形した。成形された試片に電解液2mLを注入し、リードタブ(Lead Tab)を挿入して3側面をシールした。シールされた試片を常温で24時間放置後、500Vの電圧を印加して絶縁性を測定した。
評価結果は次のとおりである。
a:100GΩ以上
b:50GΩ以上100GΩ未満
c:25GΩ以上50GΩ未満
d:10GΩ以上25GΩ未満
e:10GΩ未満
【0041】
<曲げ性の評価>
絶縁性評価用の試片と同様に作製された試片を準備した。
すなわち、実施例及び比較例で製造された二次電池パウチフィルムを金型(3cm×4cmの大きさ)を用いて深さ6mmで成形した。成形深さが6mm未満(または6mm以下)である場合には最大成形深さで成形した。成形された試片に電解液2mLを注入し、リードタブ(Lead Tab)を挿入して3側面をシールした。シールされた試片を常温で24時間放置後、500Vの電圧を印加して絶縁性が1GΩ以上の試片を選別した。熱接着された面のうちリードタブのない1面を繰り返し折り曲げに付した(または繰り返し折り曲げた)。絶縁性が1GΩ以下になるまでの1面を繰り返し折り曲げた回数を測定した。評価結果は次のとおりである。
a:50回以上
b:30回以上50回未満
c:10回以上30回未満
d:5回以上10回未満
e:5回未満
【0042】
<評価結果>
下の表に実施例(表1)及び比較例(表2)の厚さパラメータ、剥離強度、カーリング性、成形性、絶縁性、曲げ性テストの結果を表した。
【表1】
【表2】
【0043】
前記実験結果から分かるように、A+B<1.354であり、且つ0.6≦Cであるとき、剥離強度、成形性、絶縁性、曲げ性に優れている(実施例1、2、3、4、5、6、7、11)。特に、A+B<1.354であり、且つ0.6≦C≦1.0であるとき(実施例1、2、4、5)、剥離強度、成形性、絶縁性、曲げ性に優れているだけでなく、カーリング性にも優れている。A+B<1.354であり、且つC>1.0であるときは、カーリング性が低下する傾向を示す(実施例3、6、7、11)。
一方、A+B>1.354、且つC<0.6であるとき、剥離強度、成形性が低下する(比較例1、2、3)。また、A+B<1.354であり、且つC<0.6であるとき、曲げ性が低下し、C<0.33(C=0であるときを含む)であるとき、剥離強度も低下する(比較例4、5、6、8、9、10)。
【0044】
以上、本発明の非制限的且つ例示的な具現例を説明したが、本発明の技術思想は添付の図面や前記説明内容に限定されない。本発明の技術思想を逸脱しない範囲内で種々の形態の変形が可能であることはこの分野の通常の知識を有する者には自明であり、また、かかる形態の変形は本発明の特許請求の範囲に属すると言えよう。
図1
図2
図3