(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068205
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】中間的な大腿骨ネイル
(51)【国際特許分類】
A61B 17/76 20060101AFI20240510BHJP
A61B 17/90 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
A61B17/76
A61B17/90
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023189915
(22)【出願日】2023-11-07
(31)【優先権主張番号】63/423,187
(32)【優先日】2022-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519273267
【氏名又は名称】ストライカー・ユーロピアン・オペレーションズ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100101890
【弁理士】
【氏名又は名称】押野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100098268
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 豊
(72)【発明者】
【氏名】サビーネ・ビグデリ-イサツァデー
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL27
4C160LL44
(57)【要約】
【課題】大腿骨ネイルを提供すること。
【解決手段】大腿骨ネイルは、大腿骨ネイルを大腿骨に打ち込むための打ち込みツールに係合するように構成された近位部分と、近位部分から離れた遠位部分と、近位部分および遠位部分から、近位部分と遠位部分との間に延びる中間部分と、を含む。中間部分は、これを通って延びる円形ねじ穴および細長いねじ穴を有する。円形ねじ穴は中心軸を有し、細長いねじ穴は、ある距離だけ隔てられた第1の軸および第2の軸を有する。円形ねじ穴の中心軸は、大腿骨ネイルの全長の61~64%である、大腿骨ネイルの近位端部からの距離に位置し、細長いねじ穴の第1の軸は、大腿骨ネイルの全長の70~73%である、大腿骨ネイルの近位端部からの距離に位置する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大腿骨ネイルであって、
前記大腿骨ネイルを大腿骨に打ち込むための打ち込みツールに係合するように構成された近位部分と、
前記近位部分から離れた遠位部分と、
前記近位部分および前記遠位部分から、前記近位部分と前記遠位部分との間に延びる中間部分であって、前記中間部分は、これを通って延びる円形ねじ穴および細長いねじ穴を有し、前記円形ねじ穴は、中心軸を有し、前記細長いねじ穴は、ある距離だけ隔てられた第1の軸および第2の軸を有する、中間部分と、
を含み、
前記円形ねじ穴の前記中心軸は、前記大腿骨ネイルの全長の61~64%である、前記大腿骨ネイルの近位端部からの距離に位置し、前記細長いねじ穴の前記第1の軸は、前記大腿骨ネイルの前記全長の70~73%である、前記大腿骨ネイルの前記近位端部からの距離に位置する、大腿骨ネイル。
【請求項2】
前記近位部分は、その全長に沿って直線状である、請求項1に記載の大腿骨ネイル。
【請求項3】
前記中間部分は、第1の湾曲セグメントおよび第2の湾曲セグメントと、第1の直線セグメントおよび第2の直線セグメントと、を含み、前記第1の湾曲セグメントは、前記中間部分の近位側範囲を画定し、前記第2の直線セグメントは、前記中間部分の遠位側範囲を画定し、前記第2の湾曲セグメントは、前記第1の直線セグメントと前記第2の直線セグメントとの間に配置され、第1の平面における曲率半径を有し、前記直線セグメントは、これを通って延びる前記円形ねじ穴および前記細長いねじ穴を有する、請求項1に記載の大腿骨ネイル。
【請求項4】
前記遠位部分は、角度Θだけ前記中間部分の前記第2の直線セグメントに対して角度を付けられている、請求項3に記載の大腿骨ネイル。
【請求項5】
前記角度Θは、2~3°である、請求項4に記載の大腿骨ネイル。
【請求項6】
前記遠位部分は、遠位湾曲セグメントおよび遠位直線セグメントを含む、請求項4に記載の大腿骨ネイル。
【請求項7】
前記遠位湾曲セグメントの曲率半径が、120mmである、請求項6に記載の大腿骨ネイル。
【請求項8】
前記大腿骨ネイルは、240mmの全長を有する、請求項1に記載の大腿骨ネイル。
【請求項9】
前記遠位部分は、遠位湾曲セグメントおよび遠位直線セグメントを含み、前記遠位湾曲セグメントは、前記中間部分の前記第2の直線セグメントと接続し、そこから遠位に延び、前記遠位直線セグメントは、前記遠位湾曲セグメントから前記大腿骨ネイルの遠位先端部まで延びている、請求項3に記載の大腿骨ネイル。
【請求項10】
前記遠位部分は、前記中間部分の前記第2の直線セグメントと接続し、そこから前記大腿骨ネイルの遠位先端部まで遠位に延び、前記遠位部分は、その全長に沿って湾曲している、請求項3に記載の大腿骨ネイル。
【請求項11】
前記中間部分の前記第1の湾曲セグメントは、第1の平面、第2の平面、および第3の平面において湾曲している、請求項3に記載の大腿骨ネイル。
【請求項12】
前記第2の湾曲セグメントは、前記第1の平面において、前記第1の平面においてのみ、湾曲している、請求項10に記載の大腿骨ネイル。
【請求項13】
前記遠位湾曲セグメントは、前記第2の湾曲セグメントと同じ平面において湾曲している、請求項12に記載の大腿骨ネイル。
【請求項14】
前記大腿骨ネイルは、その全長にわたってカニューレ状になっている、請求項1に記載の大腿骨ネイル。
【請求項15】
前記近位部分は、大腿骨の大腿骨頸部に挿入するためのラグねじを受容するように構成された横断方向ボアホールを含む、請求項13に記載の大腿骨ネイル。
【請求項16】
大腿骨ネイルであって、
前記大腿骨ネイルを大腿骨に打ち込むための打ち込みツールに係合するように構成され、前記大腿骨ネイルの近位端部を画定する近位部分と、
前記近位部分から離れていて、前記大腿骨ネイルの遠位端部を画定する遠位部分と、
前記近位部分および前記遠位部分から、前記近位部分と前記遠位部分との間に延びる中間部分であって、前記中間部分は、湾曲セグメントと、前記湾曲セグメントから延びる直線セグメントと、を有し、前記直線セグメントは、近位側範囲と、遠位側範囲と、前記直線セグメントを通って延びる円形ねじ穴および細長いねじ穴と、を有する、中間部分と、
を含み、
前記直線セグメントの前記近位側範囲および前記遠位側範囲は、それぞれ、前記大腿骨ネイルの前記近位端部から、前記大腿骨ネイルの全長の57~60%および80~83%である、大腿骨ネイル。
【請求項17】
前記全長は、240mmである、請求項16に記載の大腿骨ネイル。
【請求項18】
前記近位部分は、その全長に沿って直線状である、請求項16に記載の大腿骨ネイル。
【請求項19】
前記遠位部分は、2~3°だけ前記中間部分の前記直線セグメントに対して角度を付けられている、請求項16に記載の大腿骨ネイル。
【請求項20】
前記湾曲セグメントの近位側範囲は、前記大腿骨ネイルの前記近位端部から、前記大腿骨ネイルの前記全長の38~41%であり、前記湾曲セグメントの遠位側範囲は、前記直線セグメントの前記近位側範囲である、請求項16に記載の大腿骨ネイル。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
骨格系には、大腿骨を含むいくつかの長骨が含まれる。大腿骨は、長骨の中で最も長く、概して近位大腿骨、遠位大腿骨、大腿骨骨幹部の3つの部位に分けられる。大腿骨骨折は、一般的には急性外傷によって引き起こされるが、これらの部位のいずれか1つにおいて、またはこれらの部位の間で起こり得る。このような骨折の修復は、多くの場合、大腿骨の髄内管に順行的に(すなわち、近位大腿骨を通して)、または逆行的に(すなわち、遠位大腿骨を通して)挿入される、大腿骨髄内ネイルの使用を伴う。このようなネイルは、多くの場合、一連の骨ファスナを介して骨に固定されるが、これには、骨折した骨を整復して固定する効果もあり、患者が外傷肢にかかる体重を支えることを可能にしつつ、治癒が起こり得る。
【0002】
近位大腿骨に発生した骨折、特に転子部骨折、転子間骨折、転子下骨折、および関節包内骨折は、通常、順行的に導入される、短いかまたは長い髄内ネイルで治療される。
図1は、近位大腿骨の断面図である。
図2Aのネイル20のようなショートネイルは、通常、近位大腿骨の髄内管内に留まり、一般的には、ネイルを曲げて遠位ねじ標的化をさらに困難にする可能性のある髄内管の峡部を突破しない。一方、
図2Bのネイル30のようなロングネイルは、通常、大腿骨峡部を通って延び、遠位大腿骨の骨幹または骨幹端の中に延びることさえできる。この点で、ショートネイルは、多くの場合、ロングネイルに比べて、処置が技術的にあまり過酷ではなく、手術時間がより短く、失血がより少ない。しかし、一般に、ショートネイルに比べロングネイルの方が頑丈であり、術後のプロテーゼ周囲骨折のリスクが低い。
【0003】
典型的なショートネイルおよびロングネイルの形状はまた、一般患者集団にとって最適ではない。大腿骨ショートネイルは、一般に、それぞれの長さの大部分にわたって直線的な形状を有し、これは、より単純でより迅速な植え込みを容易にするのに役立つ。これは、
図2Aに示されており、
図2Aでは、ショートネイル20は、概ね直線状であり、ショートネイル軸(「SNA」)と整列されている。しかし、このようなショートネイルは、その直線的な形状のために、典型的な患者の解剖学的構造に適合せず、その結果、望ましくない荷重分布が生じ得、プロテーゼ周囲骨折につながる可能性がある。逆に、ロングネイルは、一般的に、自然の大腿骨の非線形形状により適合している(conformal)が、そのようなロングネイルは、大腿骨の集団レベルの幾何学的特徴に関する仮定および理解が不十分なため、しばしば大腿骨前方皮質に衝突し、その結果、患者に不快感を与え、植え込みが困難になる可能性がある。このことは、ヒト大腿骨のある種の曲率が当初考えられていたよりも大きいことを見出した、最近の大腿骨のデータベース分析によって確認されている。
【0004】
さらに、前述したように、ロングネイルは、少なくとも峡部を突破するため、典型的には、植え込みと固定がより困難で、時間がかかる。このことは、ショートネイル20とロングネイル30との比較により例示される。図示のように、ロングネイル30のロックねじ穴31および33は、ネイル30の遠位端部における遠位部分36に沿って位置付けられている。このような遠位部分34は、湾曲した中間セクション34から延びており、湾曲した中間セクション34自体は、直線的な近位セクション32から延びている。典型的な処置では、この遠位部分は、典型的には、部分32および34に対して遠位部分36を曲げる傾向を有する大腿骨峡部内へと延ばされる。したがって、ロングネイル30の穴31および32へのねじ挿入のための遠位標的化は、ショートネイル20の穴21および23の場合よりも一般的に困難であり、それは、ショートネイル20の遠位端部が、峡部を突破しないので大腿管への挿入後にSNAと整列したままであるためである。したがって、ロングネイル30の遠位ねじ標的化は、患者を放射線被曝させるX線透視装置を用いて行われることが多く、標的化器具を適切に方向付けてねじ穴31および33と整列させるために器具の複数回の調整を必要とする場合があり、その結果、外科処置が長くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した問題のいくつかに対処するのを助けるために、各患者自身の固有の幾何学的形状に特化したカスタマイズされたネイルを開発することが望ましいかもしれないが、これは、少なくとも当分の間は、一般に実行不可能である。したがって、患者集団の大部分に普遍的に適用され、ショートネイルおよびロングネイルの両方に見られる利点を有する、大腿骨ネイルが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、普遍的な長さを有して構成された中間的な長さのネイルの実施例を説明する。そのような普遍的な長さは、指定された患者集団の第1、第2、または第3の標準偏差などの、患者集団の大部分に対して適切な支持を提供するために、峡部を突破することなく可能な限り長くなるように最適化されている。さらに、このような例示的なネイルはそれぞれ、植え込みおよびねじ標的化の容易さを助長するように最適に位置するねじ穴を含む直線的なセクションと共に、大腿骨の集団レベルに適合するように最適化された曲率を有する。この点に関して、このような中間的なネイルは、ロングネイルで一般的に見られる、より強固で適合性のある固定(conformal fixation)を得ながら、ショートネイルで一般的に見られる、より短い回復時間を伴う、植え込みやすさを提供する。
【0007】
本開示の一態様では、大腿骨ネイルは、大腿骨ネイルを大腿骨に打ち込むための打ち込みツールに係合するように構成された近位部分と、近位部分から離れた遠位部分と、近位部分および遠位部分から、かつ近位部分と遠位部分との間に延びる中間部分と、を含む。中間部分は、第1および第2の湾曲セグメントと、第1および第2の直線セグメントと、を有する。第1の湾曲セグメントは、中間部分の近位側範囲を画定し、第2の直線セグメントは、中間部分の遠位側範囲を画定する。第2の湾曲セグメントは、第1の直線セグメントと第2の直線セグメントとの間に配置され、第1の平面における曲率半径を有する。直線セグメントは、それを通って延びるねじ穴を有する。
【0008】
さらに、近位部分は、その全長に沿って直線状であってよい。遠位部分は、角度Θだけ中間部分の第2の直線セグメントに対して角度を付けられ得る。角度Θは、約2~約3°であってよい。遠位部分は、遠位湾曲セグメントおよび遠位直線セグメントを含み得る。大腿骨ネイルは、240mmの全長を有し得る。
【0009】
この態様を続けると、遠位部分は、遠位湾曲セグメントおよび遠位直線セグメントを含み得る。遠位湾曲セグメントは、中間部分の第2の直線セグメントと接続する(interface)ことができ、そこから遠位に延びることができる。遠位直線セグメントは、遠位湾曲セグメントから大腿骨ネイルの遠位先端部まで延び得る。遠位部分は、中間部分の第2の直線セグメントと接続することができ、そこから大腿骨ネイルの遠位先端部まで遠位に延びることができる。遠位部分は、その全長に沿って湾曲していてよい。中間部分の第1の湾曲セグメントは、第1、第2および第3の平面において湾曲していてよい。第2の湾曲セグメントは、第1の平面において、第1の平面においてのみ、湾曲していてよい。遠位部分は、その長さの少なくとも一部に沿って湾曲していてよく、第1の平面において湾曲している。大腿骨ネイルは、その全長にわたってカニューレ状であってよい。近位部分は、大腿骨の大腿骨頸部に挿入するためのラグねじを受容するように構成された横断方向ボアホールを含み得る。
【0010】
本開示の別の態様では、大腿骨ネイルは、大腿骨ネイルを大腿骨に打ち込むための打ち込みツールに係合するように構成された近位部分を含み、大腿骨ネイルの近位端部を画定し得る。遠位部分は、近位部分から離れ、大腿骨ネイルの遠位端部を画定する。中間部分は、近位部分および遠位部分から、近位部分と遠位部分との間に延びている。中間部分は、湾曲セグメントと、湾曲セグメントから延びる直線セグメントと、を有する。直線セグメントは、近位側範囲、遠位側範囲、および直線セグメントを通って延びる少なくとも1つのねじ穴を有する。直線セグメントの近位側範囲および遠位側範囲は、それぞれ、大腿骨ネイルの近位端部から、大腿骨ネイルの全長の約57~60%および80~83%である。
【0011】
さらに、全長は240mmとすることができる。近位部分は、その全長に沿って直線状であってよい。遠位部分は、角度Θだけ中間部分の直線セグメントに対して角度を付けられ得る。角度Θは、約2~約3°であってよい。湾曲セグメントの近位側範囲は、大腿骨ネイルの近位端部から、大腿骨ネイルの全長の約38~41%であってよく、湾曲セグメントの遠位側範囲は、直線セグメントの近位側範囲とすることができる。湾曲セグメントは、前後平面において湾曲していてよい。
【0012】
本開示のさらなる態様では、近位大腿骨骨折を修復する方法は、大腿骨ネイルの遠位端部が大腿骨の大腿骨峡部の近位に位置付けられるように、大腿骨ネイルを大腿骨の髄内管に、その近位端部から挿入することを含む。大腿骨ネイルは、近位部分、遠位部分、および中間部分を有する。近位部分は、横断方向ボアホールを有する。中間部分は、第1および第2の湾曲セグメントと、第1および第2の直線セグメントと、を有する。第1の湾曲セグメントは、中間部分の近位側範囲を画定し、第2の直線セグメントは、中間部分の遠位側範囲を画定する。第2の湾曲セグメントは、第1の直線セグメントと第2の直線セグメントとの間に配置され、第1の平面における曲率半径を有する。直線セグメントは、これを通って延びる静的ねじ穴および動的ねじ穴を有する。本方法はまた、ラグねじの遠位端部が大腿骨の大腿骨頭内に少なくとも部分的に配置されるように、近位大腿骨の少なくとも1つの骨折線を横切って横断方向ボアホールを通してラグねじを挿入することと、動的ねじ穴を通して骨内に骨ねじを挿入することと、を含む。
【0013】
さらに、動的ねじ穴は、近位端部と遠位端部とを有する長手方向ねじ穴であってよい。近位端部は第1の軸を画定し得、遠位端部は第2の軸を画定し得る。また、動的ねじ穴を通して骨ねじを挿入するステップは、動的ねじ穴の近位端部を通して骨ねじを挿入することを含み得る。本方法はまた、静的ねじ穴を通して骨内に別の骨ねじを挿入することを含み得る。静的ねじ穴の中心軸は、大腿骨ネイルの全長の61~64%の、大腿骨ネイルの近位端部からの距離に位置することができ、動的ねじ穴の第1の軸は、大腿骨ネイルの全長の70~73%の、大腿骨ネイルの近位端部からの距離に位置することができる。大腿骨ネイルの全長は、240mmとすることができる。
【0014】
さらに、動的ねじ穴を通して骨ねじを挿入するステップは、動的ねじ穴の遠位端部を通して骨ねじを挿入することを含み得る。また、本方法は、静的ねじ穴を通して骨内に別の骨ねじを挿入することを含み得る。静的ねじ穴の中心軸は、大腿骨ネイルの全長の61~64%の、大腿骨ネイルの近位端部からの距離に位置することができ、動的ねじ穴の第1の軸は、大腿骨ネイルの全長の71~74%の、大腿骨ネイルの近位端部からの距離に位置することができる。大腿骨の髄内管に大腿骨ネイルを挿入することは、大転子から小転子まで延びる骨折線を横切って大腿骨ネイルを挿入することを含み得る。大腿骨ネイルの遠位部分は、角度Θだけ中間直線部分に対して傾けられていてよい。角度Θは約2~4°とすることができる。
【0015】
別の態様によれば、本開示は、近位部分と、近位部分から離れた遠位部分と、中間部分と、を有する大腿骨ネイルに関する。近位部分は、大腿骨ネイルを大腿骨に打ち込むための打ち込みツールに係合するように構成され得る。中間部分は、近位部分および遠位部分から、近位部分と遠位部分との間に延びることができ、中間部分は、これを通って延びる円形ねじ穴および細長いねじ穴を有し得る。円形ねじ穴は中心軸を有し得、細長いねじ穴は、ある距離だけ隔てられた第1の軸および第2の軸を有し得る。円形ねじ穴の中心軸は、大腿骨ネイルの全長の61~64%である、大腿骨ネイルの近位端部からの距離に位置することができ、細長いねじ穴の第1の軸は、大腿骨ネイルの全長の70~73%である、大腿骨ネイルの近位端部からの距離に位置することができる。このような場合、近位部分はその全長に沿って直線状であってよい。中間部分は、第1および第2の湾曲セグメントと、第1および第2の直線セグメントと、を含むことができる。第1の湾曲セグメントは、中間部分の近位側範囲を画定することができ、第2の直線セグメントは、中間部分の遠位側範囲を画定することができる。第2の湾曲セグメントは、第1の直線セグメントと第2の直線セグメントとの間に配置され得、第1の平面における曲率半径を有し得る。直線セグメントは、これを通って延びる円形ねじ穴および細長いねじ穴を有し得る。
【0016】
そのような場合、遠位部分は、角度Θだけ中間部分の第2の直線セグメントに対して角度を付けられていてよく、角度Θは、2~3°とすることができる。遠位部分は、遠位湾曲セグメントおよび遠位直線セグメントを含み得る。遠位湾曲セグメントの曲率半径は、120mmとすることができる。大腿骨ネイルは240mmの全長を有し得る。遠位部分は、遠位湾曲セグメントおよび遠位直線セグメントを含み得る。遠位湾曲セグメントは、中間部分の第2の直線セグメントと接続していてよく、そこから遠位に延びることができる。さらに、遠位直線セグメントは、遠位湾曲セグメントから大腿骨ネイルの遠位先端部まで延びることができる。遠位部分は、中間部分の第2の直線セグメントと接続してよく、そこから大腿骨ネイルの遠位先端部まで遠位に延びることができる。遠位部分は、その全長に沿って湾曲していてよい。中間部分の第1の湾曲セグメントは、第1、第2および第3の平面において湾曲していてよい。第2の湾曲セグメントは、第1の平面において、第1の平面においてのみ、湾曲していてよい。遠位湾曲セグメントは、第2の湾曲セグメントと同じ平面において湾曲していてよい。大腿骨ネイルは、その全長にわたってカニューレ状であってよい。近位部分は、大腿骨の大腿骨頸部に挿入するためのラグねじを受容するように構成された横断方向ボアホールを含むことができる。
【0017】
別の態様によれば、本開示は、近位部分と、近位部分から離れた遠位部分と、中間部分と、を有する大腿骨ネイルに関する。近位部分は、大腿骨ネイルを大腿骨に打ち込むための打ち込みツールに係合するように構成され得、大腿骨ネイルの近位端部を画定し得る。近位部分から離れた、遠位部分は、大腿骨ネイルの遠位端部を画定することができる。近位部分および遠位部分から、近位部分と遠位部分との間に延びる、中間部分は、湾曲セグメントと、湾曲セグメントから延びる直線セグメントと、を有し得る。直線セグメントは、近位側範囲と、遠位側範囲と、直線セグメントを通って延びる円形ねじ穴および細長いねじ穴と、を有し得、直線セグメントの近位側範囲および遠位側範囲は、大腿骨ネイルの近位端部から、大腿骨ネイルの全長のそれぞれ57~60%および80~83%である。このような場合、全長は240mmとすることができる。近位部分は、その全長に沿って直線状であってよい。遠位部分は、2~3°だけ中間部分の直線セグメントに対して角度を付けられていてよい。湾曲セグメントの近位側範囲は、大腿骨ネイルの近位端部から、大腿骨ネイルの全長の38~41%であってよく、湾曲セグメントの遠位側範囲は、直線セグメントの近位側範囲とすることができる。
【0018】
別の態様によれば、本開示は、大腿骨ネイルと、標的化アームと、照準デバイスと、を有する骨修復システムに関する。大腿骨ネイルは、大腿骨ネイルを大腿骨に打ち込むための打ち込みツールに係合するように構成された近位部分と、近位部分から離れた遠位部分と、近位部分および遠位部分から、近位部分と遠位部分との間に延びる中間部分と、を含み得る。標的化アームは、大腿骨ネイルの近位部分に取り付けられるように適合され得る。照準デバイスは、ガイド開口部を画定し得るフランジを有し得る。照準デバイスは、ガイド開口部が大腿骨ネイルのねじ穴と整列されるように、標的化アームの端部に取り付けられるように適合され得る。
【0019】
照準デバイスは、スリーブと、ロック駆動部材と、トグルロック部材と、を有することができる。ロック駆動部材は、照準デバイスを標的化アームに固定するように適合され得る。トグルロック部材は、ガイド開口部内に配置されたカニューレを固定するように適合され得る。大腿骨ネイルの中間部分は、湾曲セグメントによって分離された第1の直線セグメントおよび第2の直線セグメントを有し得、第2の直線セグメントは、ねじ穴を画定することができる。ねじ穴は細長い開口部であってよい。ガイド開口部は、2つの交差する円の輪郭を有し得る。トグルロック部材は、ガイド開口部と連通していてよい。ロック駆動部材は、少なくとも部分的にフランジ内に配置され得る。スリーブは、第1の開口部および第2の開口部を有するチャネルを画定することができる。チャネルは、第1の開口部および/または第2の開口部において標的化アームを受容するように構成され得る。大腿骨ネイルは、複数のねじ穴を有し得る。照準デバイスは、複数のガイド開口部を有し得、複数のガイド開口部はそれぞれ、適切な整列を得るための調整なしに複数のねじ穴のうちの1つと整列するように構成され得る。複数のガイド開口部の各対の間の間隔は、複数のねじ穴の各対の間の間隔と等しくすることができる。照準デバイスおよび標的化アームの両方は、標的化アームに対する照準デバイスの適切な位置付けを示す印を含むことができる。骨修復システムは、カニューレ、メス、およびドリルビットをさらに含み得る。カニューレは、両端部が開口していてよく、照準デバイスのガイド開口部によって受容されるように構成され得る。メスは、カニューレを通して挿入されるように構成され得る。ドリルビットは、カニューレを通して挿入されるように構成され得る。
【0020】
さらに別の態様によれば、本発明は、近位大腿骨骨折を修復するプロセスに関する。このプロセスは、大腿骨ネイルの遠位端部が大腿骨の大腿骨峡部の近位に位置付けられるように、大腿骨の髄内管に、その近位端部から挿入される大腿骨ネイルを含み得る。大腿骨ネイルは、近位部分、遠位部分、および中間部分を有し得る。近位部分は、横断方向ボアホールを有し得、中間部分は、これを通って延びる第1のねじ穴および第2のねじ穴を有し得る。次に、標的化アームが、大腿骨ネイルの近位端部に取り付けられ得る。標的化アームが取り付けられると、ラグねじは、ラグねじの遠位端部が大腿骨の大腿骨頭内に少なくとも部分的に配置されるように、近位大腿骨の少なくとも1つの骨折線を横切って横断方向ボアホールを通して挿入され得る。次に、第1のガイド開口部とトグルロック部材とを有する照準デバイスは、第1のガイド開口部が第1のねじ穴と整列されるように標的化アームに取り付けられ得る。いったんこれが整列されると、トグルロック部材をロックすることによって、カニューレが第1のガイド開口部内に固定され得る。次に、骨ねじをカニューレ内に配置することによって、骨ねじが第1のねじ穴と整列され得る。この時点で、骨ねじは、カニューレを通って第1のねじ穴まで、そして骨内に前進され得る。
【0021】
そのような場合、標的化アームへの照準デバイスの取り付けは、触覚フィードバックが照準デバイスによってユーザーに提供されるまで、照準デバイスを標的化アーム上に位置付けることを含み得る。修復プロセスは、触覚フィードバックが提供された後に、照準デバイスの駆動部材がロックされることをさらに含み得る。照準デバイスを標的化アームに取り付けた後、カニューレは、第1のガイド開口部を通って、カニューレが大腿骨に接触するまで切開部を通って挿入され得る。カニューレは、トグルロック部材を押すことによって、第1のガイド開口部内から解放され得る。骨ねじの前進は、ドリルビットでカニューレを通して骨ねじを押すことによって行うことができる。さらに、別の骨ねじが、第2のガイド開口部および第2のねじ穴と整列され、第2のガイド開口部を通って第2のねじ穴に挿入され得る。
【0022】
本発明の特徴、態様、および利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲、および添付の図面に関してよりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図2A】先行技術による大腿骨ショートネイルの斜視図である。
【
図2B】先行技術による大腿骨ロングネイルの斜視図である。
【
図3】本開示の一実施形態による大腿骨ネイルの内側側面図である。
【
図6】
図4の線A5に沿った大腿骨ネイルの部分断面図である。
【
図8A】本開示の一実施形態によるモジュール式標的化デバイスの側面図である。
【
図8B】
図8Aのモジュール式標的化デバイスの正面図である。
【
図9A】
図3の大腿骨ネイルを大腿骨に植え込む方法を示している。
【
図9B】
図3の大腿骨ネイルを大腿骨に植え込む方法を示している。
【
図9C】植え込み後に達成され得る、
図3の大腿骨ネイルの第1の骨ねじ構成を示す。
【
図9D】植え込み後に達成され得る、
図3の大腿骨ネイルの第2の骨ねじ構成を示す。
【
図9E】植え込み後に達成され得る、
図3の大腿骨ネイルの第3の骨ねじ構成を示す。
【
図10】本開示の別の実施形態による大腿骨ネイルの内側図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本明細書で使用される、「近位」という用語は、外科用ツールもしくはデバイス、またはデバイスの構成要素に関連して使用される場合、デバイスが意図されたとおりに使用されているときにデバイスのユーザーに近い方のデバイスの端部を指す。一方、「遠位」という用語は、外科用ツールもしくはデバイス、またはデバイスの構成要素に関連して使用される場合、デバイスが意図されたとおりに使用されているときにユーザーから遠い方のデバイスの端部を指す。しかし、これらの用語が人体に関連して使用される場合、「近位」とは心臓に近いことを意味し、「遠位」という用語は心臓から遠いことを意味する。本明細書で使用される、「実質的に」、「一般的に」、「およそ」、および「約」という用語は、絶対値(absolute)より10%まで大きいかまたは小さいずれなど、絶対値からのわずかなずれが、そのように修飾された用語の範囲内に含まれることを意味することが意図される。
【0025】
図3~
図7は、本開示の一実施形態による大腿骨ネイル100を示している。大腿骨ネイル100は、中間的な髄内大腿骨ネイルである。この点に関し、大腿骨ネイル100は、一般に理解されているショートネイルとロングネイルとの中間の長さを有し、以下にさらに詳細に説明するように、指定された患者集団内の特定の患者の大腿骨の長さに関係なく、その集団に普遍的である。大腿骨ネイル100は、描かれているように、左脚の大腿骨用に構成されている。しかしながら、大腿骨ネイル100の特徴は、本明細書に記載された同じ特徴を、鏡像として含むように、右脚の大腿骨用に構成され得ることを理解されたい。大腿骨ネイル100は、本明細書で説明されるような骨ファスナなどの他のデバイスとともに、機能的に安定した骨接合、および癒合が起こるまでの骨の安定化を達成するために使用される。
【0026】
大腿骨ネイル100は一般に、近位部分110、中間部分120、および遠位部分130を含む。近位部分110は、ネイル100の中心軸CAに沿って直線状に延びている。近位部分110は、ネイル100の近位端部から延びる円筒形セグメント110aと、円筒形セグメント110aから中間部分120まで延びる円錐形セグメント110bと、を有する。円錐形セグメント110bは、ネイル100の直径が円筒形セグメント110aの直径より小さな直径まで縮小されるように、遠位方向にテーパー状になっている。
【0027】
近位部分110は、その近位端部からネイル100内に延びる軸方向ボアまたは近位チャンバ116を含む。横断方向ボアまたは側方ボア115が、中心軸CAに対して斜めの角度で中心軸CAに横断方向に近位部分110を通って延び、軸方向ボア116と交差する。横断方向ボア115は、骨ファスナ、特に、
図9Bに示されるラグねじ140などのラグねじを受容するように構成される。
図4および
図5に示すように、軸方向ボア116は、第1の開口116aおよび第2の開口116bを含み、これらは、その対向する端部においてボア116を画定する。第1の開口116aは、第2の開口116bよりもネイル100の近位端部111の近くに位置し、中心軸CAを中心に配置された3つの半径方向外向きに延びる小葉を有するという点で、三葉状の開口である。第2の開口116bは、円形で、軸方向ボア116の遠位端部に位置する。この点で、軸方向ボア116は、ラグねじ140に係合してこれを固定するようにその中で移動可能である、止めねじを受容するように構成される。軸方向ボア内に受容されるように構成された例示的な止めねじは、参照により全体として本明細書に組み込まれる、国際公開第WO2021/176274号で見ることができる。大腿骨ネイル100に含まれ得る他の軸方向ボアおよび止めねじの構成は、EP特許第0,257,118号;米国特許第5,176,681号、同第5,454,813号および同第11,253,298号;国際公開第WO2021/176272号で見ることができ、これらはすべて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0028】
近位部分110はまた、ネイルの近位端部からネイルの側壁内に延びる複数の整列ノッチを含む。整列ノッチ113は、
図4および
図5に描かれている様式で中心軸CAを中心に配置されている。特に、ネイル100は、第1の整列ノッチ113a、第2の整列ノッチ113b、および第3の整列ノッチ113cを有する。このようなノッチ113は、挿入ツールおよび/または
図9Aの標的化アーム70のような標的化ツールの対応する特徴に係合するように構成され得、ネイルの幾何学的特徴が大腿骨10の幾何学的特徴と適切に整列するように、操作者がネイル100を適切に方向付けるのを支援することができる。
図4に示すように、第1の整列ノッチ113aの中心軸は、横断方向ボア115の中心軸と同一平面上にある。このような平面および対応する軸は、患者の大腿骨10の前傾角度に一般に対応する前傾角度αだけ外側-内側平面に対して方向付けられる。角度αは、例えば10°であってよい。したがって、ネイル100が大腿骨10に植え込まれるとき、横断方向ボア115は、好ましくは、大腿骨10の大腿骨頸部14と整列し、一方、ネイル100の曲率は、前後平面において大腿骨10の前方湾曲(anterior bow)に適合する。
【0029】
中間部分120は、近位部分110から遠位に延びており、概して、第1の湾曲または屈曲セグメント122、第2の湾曲または屈曲セグメント126、第1の直線セグメント124、および第2の直線セグメント128を含む。第1の湾曲セグメント122は、近位部分110の円錐形セグメント110bと接続し、ネイル100が大腿骨10の前方皮質と衝突するのを防ぐのに役立つように、3つの平面で湾曲または屈曲されている。第1の直線セグメント124は、第1の湾曲セグメント122と接続し、その長さに沿って、かつ中心軸CAに沿って直線状になるように第1の湾曲セグメント122から延びる。第1の湾曲セグメント122および第1の直線セグメント124の形状は、近位部分110との関係を含めて、米国特許第11,013,540号にさらに詳細に記載されており、この特許は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。しかしながら、第1の湾曲セグメント122は、前後平面(第1の平面)において湾曲または屈曲された第1の曲率、内外平面(第2の平面)において湾曲または屈曲された第2の曲率、および合成/中間平面(第3の平面)において湾曲または屈曲された第3の曲率を有することに留意されたい。これらの平面はそれぞれ、頭蓋-尾側/近位-遠位軸とすることができる共通の原点で交差する。言い換えれば、第1の湾曲セグメント122は、第3の平面における非ゼロ曲率半径の第3の屈曲によって画定され、第3の屈曲は、第1の平面内の第1の屈曲と第2の平面内の第2の屈曲との合成(resultant)である。第1の平面と第2の平面は、第1の平面に直交する基準平面が第2の平面と第3の平面との間に延びるように、互いに対して斜めの角度で交差する。さらに、第3の平面における第3の曲率の角度の大きさは、それぞれの第1および第2の平面における第1および第2の曲率の屈曲角度の大きさの合成である。したがって、第3の屈曲角度は、第1および第2の屈曲角度よりも大きくてよい。
【0030】
第2の湾曲セグメント126は、第1の直線セグメント124から遠位に延び、前後平面を描いた
図6に最もよく示されているように、曲率半径R1を画定するように、前後平面内において、前後平面においてのみ、湾曲または屈曲している。半径R1は、例えば350mm~650mmであるが、好ましくは500mmである。
【0031】
第2の直線セグメント128は、第2の湾曲セグメント126から遠位に延び、複数のねじ穴121、123を含む。特に、第2の湾曲セグメント126は、第1のねじ穴121と、第2のねじ穴123と、を含む。描かれている実施形態では、第1のねじ穴121は静的ねじ穴であり、第2のねじ穴123は細長いねじ穴または動的圧縮ねじ穴である。この点で、第1のねじ穴121は、単一の穴軸121aおよび穴半径を有する円形ねじ穴である。一方、第2のねじ穴123は、
図6に示すように、距離Yだけ離れた2つの軸123a~123bを有する細長いねじ穴である。このような軸123a~123bのそれぞれの周りに延びる穴半径が、細長いねじ穴の少なくとも一部を形成する。ねじ穴121、123が直線セグメント128上に位置することにより、以下にさらに詳細に説明するように、ねじ穴121、123が湾曲セグメント126または遠位部分130上に位置する場合と比較して、ネイルが大腿骨内に植え込まれるときにねじ穴の標的化が容易になる。
【0032】
遠位部分130は、中間部分120が近位部分110と遠位部分130との間に延びるように、中間部分120から遠位に延びる。描かれている実施形態では、遠位部分130は、遠位湾曲または屈曲セグメント132および遠位直線セグメント134を含む。遠位湾曲セグメント132は、中間部分の第2の直線セグメント128に対して遠位直線セグメント134を角度Θで方向付ける効果を有するように湾曲または屈曲されている。このような屈曲または傾き角度Θは、例えば、約2°~約4°であり得るが、好ましくは、2.9°である。言い換えると、直線セグメント134は、角度Θだけ遠位部分130の軸に対して角度を付けられた軸を画定する。図示のように、遠位湾曲セグメント132は、前後平面において、前後平面においてのみ、曲率半径R2を有する。この点で、R1とR2は同一平面上にある。換言すれば、中間部分120の第2の湾曲セグメント126と遠位部分130の遠位湾曲セグメント132とは、同じ平面内で湾曲または屈曲している。R2は、例えば、120mmであってよい。
【0033】
軸方向チャネル102が、近位部分110、中間部分120、および遠位部分130を通って延びる。
図3に示すように、軸方向チャネル102は、近位チャンバ116の第2の開口116bから横断方向ボア115を横切って横断方向ボア115と交差している。このように、ネイル100は、その全長に沿ってカニューレ状であり、ネイル100は、その植え込み中に、Kワイヤなどのワイヤに沿って大腿骨10の髄内管18内にガイドされ得る。
【0034】
先に述べたように、ネイル100は中間的な長さのネイルである。この点に関して、ネイル100は、一般にショートネイルとロングネイルとして理解されるものの間である全長Ltotalを有する。より具体的には、中間的なネイル100の全長Ltotalは、指定された患者集団内の大腿骨の標準偏差の峡部を突破することなく可能な最長の長さとなるようになっている。言い換えると、Ltotalは、挿入場所と、患者の大腿骨の指定された集団の68%、95%、または99.7%(すなわち、第1、第2、または第3の標準偏差)の大腿骨峡部への開口部との間の長さ以下であってよい。例えば、図に描かれているネイル100のLtotalは240mmであり、これは、可能な全患者集団(すなわち、最も広い可能な患者集団)の第2の標準偏差(すなわち、95%)の峡部を突破しない。したがって、中間的なネイル100は、240mmの普遍的な全長Ltotalを有する。しかし、指定された患者集団は、より特異的であり、特定の患者の特定の特徴に基づいて選択され得る。よって、Ltotalは、一般に指定された集団に依存する。
【0035】
Ltotalは、例えばStryker(登録商標) CorporationによるStryker(登録商標) Orthopaedics Modeling and Analytics(SOMA)システムなどの骨データベースに保持されている骨の集団分析を通じて決定することができる。この点に関して、大腿骨の多様な集合は、上記の実施例で述べたように、患者集団全体を代表するか、または、体重、身長、年齢、性別、民族などの特定の特徴に基づくことができる患者集団全体の特定のサブセットを代表するように、データベースから選択され得る。例えば、指定された患者集団は「女性」とすることができる。したがって、女性集団のためのLtotalを決定するための分析には、特定の地理的領域内または世界中の女性集団全体を代表する骨を骨データベースから選択することが含まれる。次に、そのような骨を分析し、各骨の大腿骨の近位入口点からの大腿骨峡部の近位開口部の距離を決定する。このような入口点は、例えば、大転子16であってよい。次に、これらの測定された距離を統計的に分析し、平均距離と、それからの第1、第2および第3の標準偏差を決定する。ネイル100の全長Ltotalは、次に、所望に応じて、第1、第2、または第3の標準偏差と相関させることができる。中間的なネイル100の長さは選択された集団で一貫していてよいが、中間的なネイル100はその集団について異なる直径D1を有し得る。このような直径は約9mm~13mmとすることができる。
【0036】
ネイル100の特定の特徴の長さは、同様に、大腿骨の特定の解剖学的特徴を参照して決定され、ほとんどの患者について共形一致(conformal fit)を確保するのに役立つように、上述の同様の方法で骨データベースに基づいて最適化され得る。
図6および
図7に示すように、ネイルは、ネイル100の1つ以上の特徴をそれぞれが画定する長さL1、L2、L3、LA、LB1、およびLB2を含む。具体的には、L1およびL2はそれぞれ、ネイル100の近位端部111から測定した、中間部分120の第2の湾曲セグメント126の近位側および遠位側範囲を画定する。また、L2およびL3はそれぞれ、近位端部111から測定した、中間部分120の第2の直線セグメント128の近位側および遠位側範囲を画定する。さらに、L3は、近位端部111から測定した、遠位セグメント130および遠位湾曲セグメント132の近位側範囲を画定する。一例として、L1は95mmであってよく、L2は140mmであってよく、L3は195mmであってよい。しかし、L1はL
totalの約38~41%であってよく、L2はL
totalの57~60%であってよく、L3はL
totalの80~83%であってよい。
【0037】
長さLA、LB1、LB2はねじ穴の場所を画定する。これに関して、LAは近位端部からの第1の穴の中心軸121aの距離であり、LB1は近位端部からの穴123の第1の軸123aの距離であり、LB2は近位端部からの第2の軸123bの距離である。一例として、LAは150.5mmであってよく、LB1は170.45mmであってよく、LB2は175.58mmであってよい。しかしながら、LAはLtotalの61~64%であってよく、LB1はLtotalの70~73%であってよく、LB2はLtotalの71~74%であってよい。
【0038】
上述したように、ねじ穴121および123の場所は、
図2Bのロングネイル30のように、ねじ穴がネイルの長さに沿ってより遠位に位置付けられたロングネイルと比較して、より単純なねじの標的化を容易にする。
図8A~
図8Cは、ねじ穴121および123を標的化するために使用され得るモジュール式照準デバイス40を示している。照準デバイス40は一般に、スリーブ42、フランジ44、ロック駆動部材50、およびトグルロック部材60を含む。
【0039】
スリーブまたは接続部材42は、概して円筒形であり、これを通って延びるチャネルまたは軸方向開口部45を含み、これは、
図9Aのアーム70のような標的化アームを受容するように構成される。スリーブ42は、照準デバイス40が左脚の大腿骨および右脚の大腿骨の両方に使用され得るように、チャネル45のどちらの端部からも標的化アーム70を受容することができるようになっている。
【0040】
フランジまたはガイド本体44は、その対向する端部間がスリーブ42の側面に結合され、スリーブ42から半径方向外向きに延びている。フランジ44は、それぞれがフランジ44を通って延びている、第1のガイド開口部41および第2のガイド開口部43を含む。第1のガイド開口部41は、概ね円形の輪郭を有し、第2のガイド開口部43は、2つの交差する円の輪郭を有する。この点で、第1のガイド開口部41は、器具を第1のねじ穴121に向けてガイドするように適合されており、第2のガイド開口部43は、器具を第2のねじ穴123に向けてガイドするように適合されている。したがって、各ガイド開口部の中心軸は、ねじ穴の軸121aおよび123a~123bと同じ距離だけ互いからオフセットされている。このようにして、照準デバイス40が標的化アーム70に適切に取り付けられると、第1のガイド開口部41は第1のねじ穴121と整列し、第2のガイド開口部43は第2のねじ穴123と整列する。
【0041】
フランジ44はまた、第1のガイド開口部41および第2のガイド開口部43と交差するチャンバ48を含む。トグルロック部材60は、そのようなチャンバ48内に配置され、1つの位置では第1の開口部41および第2の開口部43が遮られず、別の位置ではトグルロック部材60が開口部41、43を部分的に遮るように、少なくとも2つの位置の間で切り替わるように構成される。これにより、
図9Aのカニューレ80のようなデバイスは、第2の位置にあるときにトグルロック部材60によってそれぞれの開口部41、43内に固定される。
【0042】
フランジ44はまた、一般的にノブ51、ねじ山付きシャフト52、ばね54、およびプランジャ55を含むロック駆動部材50を収容する。プランジャ55は、フランジ44からスリーブ42のチャネル45内に延び、チャネル45に対して横断方向に移動可能である。ねじ山付きシャフト52は、フランジ44にねじ係合されている。ねじ山付きシャフト52の遠位端部43は、プランジャ55から分離されており、プランジャ55に対して移動可能である。ばね54は、遠位端部53とプランジャ55との間の隙間に重なっている。ノブ51が第1の方向に回転されると、ばね54が圧縮され、遠位端部53がプランジャ55を圧迫し、プランジャ55をチャネル45内に延ばし、スリーブ42をその中に受容された標的化アーム70に固定させる。ノブ51が第2の方向に回転されると、遠位端部43とプランジャ55との間の隙間は再び形成され、スリーブ42が標的化アーム70から取り外されることができるようにプランジャ55からの圧力を緩和する。この配置は、ねじ山付きシャフト52がプランジャ55に対して回転することを可能にするので、プランジャ55は並進運動で移動されるのみであり、標的化アームに対する摩耗を防止するのに役立つ。
【0043】
図9Aおよび
図9Bに示すように、ネイル100を挿入すると、ネイル100は一般に大腿骨峡部の近位で大腿骨10の自然な曲率に沿う。挿入後、標的化アーム70がネイル100の近位端部111に接続される。整列ノッチ113a~113cは、標的化アーム70の回転配向を設定するのに役立つ。次いで、モジュール式照準デバイス40のスリーブ42が、標的化アーム70の遠位端部上にスライドされ、ロック駆動部材50を介してそれに固定され得る。いくつかの実施形態では、照準デバイス40は、ロック駆動部材50で固定する前に、照準デバイスが正しく位置付けられたことをユーザーに通知するために、標的化アーム70に対して適切に方向付けられたときに、触覚フィードバックを提供することができ、それは、例えば、クリック音または振動であるがこれらに限定されない。印および/または他の特徴は、標的化アーム70上の照準デバイス40の回転配向および深さを設定するのに役立ち得る。次に、カニューレ80をガイド開口部41、43に挿入することができる。いくつかの実施形態では、カニューレ80が皮膚に接して適切に位置付けられた後、メス器具がカニューレに挿入されて切開部を作ることができ、カニューレは、骨10と接触するまでこの切開部を通ることができる。次いで、ドリルビット90がカニューレ80によってガイドされて、骨10に穴をあけ、ねじ穴121、123のうちの1つに入ることができる。第2のガイド開口部43は2つの円形形状で形成されているため、カニューレ80は、後述するように、所望のロックねじ配置に応じていずれかの形状によってガイドされ得る。また、遠位部分130の近位にある中間部分120の第2の直線セグメント128に沿ったねじ穴121、123の場所により、このねじ穴標的化手順は、X線透視の助けなしに、適切な整列を達成するのに必要な最小限の調整で、実施することができる。さらに、ネイル100の共形曲率と、ショートネイルに比べて長くなった長さは、ショートネイルに比べてさらなる安定性を提供するのに役立つ。
【0044】
その後、大転子16、大腿骨頭12、および/または大腿骨頸部14を含む様々な骨折を固定するために、ラグねじ140が側方ボア115を通して挿入され得る。例えば、
図9Bに示すように、大腿骨10は、大転子18と小転子17との間に延びる少なくとも1本の骨折線19を有する転子貫通骨折を有する場合がある。このような骨折パターンでは、ネイル100が骨折線19を横切って挿入される。その後、ラグねじ140は、ラグねじ140の少なくとも一部が大腿骨頭12内に位置付けられるように、骨折線19を横切って側方ボア115を通して挿入される。
【0045】
さらに、
図9B~
図9Eに示すように、骨ねじ150などの他の骨ファスナが、一方または両方のねじ穴121および123を通して挿入される。特に、大腿骨ネイル100は、
図9Cに示すように、第1のねじ構成または静的ロック構成を有し得、この構成では、第1の骨ねじ150aが穴121を通して挿入され、第2の骨ねじ150bが中心軸123aと概ね同軸のねじ穴123の近位端部を通して挿入される。このような構成では、大腿骨ネイル100は骨10に静的に固定される。
図9Bおよび
図9Dに示すように、第2のねじ構成または二次的な動的化構成では、第1の骨ねじ150aは、穴121を通して挿入され、第2の骨ねじ150bは、第2の軸123bと概ね同軸のねじ穴123の遠位端部を通して挿入される。このような構成では、大腿骨ネイル100は、最初は骨10に静的に固定されている。しかし、第1の骨ねじ150aを取り外すと、
図9Eに示すように、第3の構成または動的ロック構成が形成され、動的化が可能になる。このような動的ロック構成では、第1の骨ねじ150aまたは第2の骨ねじ150bがねじ穴123の遠位端部を通って位置付けられ、それにより、ネイル100と骨10とが互いに対して動くことが可能になる。
【0046】
動的化特徴を含む上述の様々な骨ねじ構成は、ねじ穴121および123が中間部分130の第2の直線セグメント128内に位置することによって容易になる。換言すれば、直線セグメント128の直線形状は、ねじ穴121および123の標的化と、動的ロック構成を使用する際のネイル100の動的移動の容易さを助長する。第2の直線セグメント128は、遠位部分130と第2の湾曲セグメント126との間に位置付けられていることにも留意されたい。この配置により、直線セグメント128の両端部に共形形状が提供される。
【0047】
図10は、本開示の別の実施形態による大腿骨ネイル200を示している。検討を容易にするために、同様の要素には、大腿骨ネイル100のものと同様の参照数字が付されているが、200系列の数字の範囲内である。例えば、大腿骨ネイル200は、ネイル100の近位部分110および中間部分120のような近位部分210および中間部分220を含む。しかしながら、ネイル200は、大腿骨ネイル200の遠位部分230が、中間部分220の第2の直線セグメント228との界面から遠位先端部236まで、その全長に沿って湾曲している点で異なる。この点に関して、遠位部分230は前後平面において曲率半径R2’を有し、これは、2~4°であるが好ましくは3°の、直線セグメント228に対する遠位部分230の結果的な屈曲角度または傾き角度を形成する。
【0048】
本明細書に示され説明されたネイル100、200は、近位大腿骨骨折のためのラグねじを受容するように構成されているが、他の骨折プロファイルに対処するために、ネイル100の近位部分内の他の骨ファスナ構成が企図される。このような骨ファスナ構成の一例は、先に組み込まれた米国特許第11,013,540号で見ることができる。
【0049】
本明細書では、特定の実施形態を参照して本発明を説明したが、これらの実施形態は、本発明の原理および用途を単に例示するものであることを理解されたい。したがって、例示的な実施形態に多数の変更を行うことができ、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、他の配置を考案することができることを理解されたい。
【0050】
〔実施の態様〕
(1) 大腿骨ネイルであって、
前記大腿骨ネイルを大腿骨に打ち込むための打ち込みツールに係合するように構成された近位部分と、
前記近位部分から離れた遠位部分と、
前記近位部分および前記遠位部分から、前記近位部分と前記遠位部分との間に延びる中間部分であって、前記中間部分は、これを通って延びる円形ねじ穴および細長いねじ穴を有し、前記円形ねじ穴は、中心軸を有し、前記細長いねじ穴は、ある距離だけ隔てられた第1の軸および第2の軸を有する、中間部分と、
を含み、
前記円形ねじ穴の前記中心軸は、前記大腿骨ネイルの全長の61~64%である、前記大腿骨ネイルの近位端部からの距離に位置し、前記細長いねじ穴の前記第1の軸は、前記大腿骨ネイルの前記全長の70~73%である、前記大腿骨ネイルの前記近位端部からの距離に位置する、大腿骨ネイル。
(2) 前記近位部分は、その全長に沿って直線状である、実施態様1に記載の大腿骨ネイル。
(3) 前記中間部分は、第1の湾曲セグメントおよび第2の湾曲セグメントと、第1の直線セグメントおよび第2の直線セグメントと、を含み、前記第1の湾曲セグメントは、前記中間部分の近位側範囲を画定し、前記第2の直線セグメントは、前記中間部分の遠位側範囲を画定し、前記第2の湾曲セグメントは、前記第1の直線セグメントと前記第2の直線セグメントとの間に配置され、第1の平面における曲率半径を有し、前記直線セグメントは、これを通って延びる前記円形ねじ穴および前記細長いねじ穴を有する、実施態様1に記載の大腿骨ネイル。
(4) 前記遠位部分は、角度Θだけ前記中間部分の前記第2の直線セグメントに対して角度を付けられている、実施態様3に記載の大腿骨ネイル。
(5) 前記角度Θは、2~3°である、実施態様4に記載の大腿骨ネイル。
【0051】
(6) 前記遠位部分は、遠位湾曲セグメントおよび遠位直線セグメントを含む、実施態様4に記載の大腿骨ネイル。
(7) 前記遠位湾曲セグメントの曲率半径が、120mmである、実施態様6に記載の大腿骨ネイル。
(8) 前記大腿骨ネイルは、240mmの全長を有する、実施態様1に記載の大腿骨ネイル。
(9) 前記遠位部分は、遠位湾曲セグメントおよび遠位直線セグメントを含み、前記遠位湾曲セグメントは、前記中間部分の前記第2の直線セグメントと接続し、そこから遠位に延び、前記遠位直線セグメントは、前記遠位湾曲セグメントから前記大腿骨ネイルの遠位先端部まで延びている、実施態様3に記載の大腿骨ネイル。
(10) 前記遠位部分は、前記中間部分の前記第2の直線セグメントと接続し、そこから前記大腿骨ネイルの遠位先端部まで遠位に延び、前記遠位部分は、その全長に沿って湾曲している、実施態様3に記載の大腿骨ネイル。
【0052】
(11) 前記中間部分の前記第1の湾曲セグメントは、第1の平面、第2の平面、および第3の平面において湾曲している、実施態様3に記載の大腿骨ネイル。
(12) 前記第2の湾曲セグメントは、前記第1の平面において、前記第1の平面においてのみ、湾曲している、実施態様10に記載の大腿骨ネイル。
(13) 前記遠位湾曲セグメントは、前記第2の湾曲セグメントと同じ平面において湾曲している、実施態様12に記載の大腿骨ネイル。
(14) 前記大腿骨ネイルは、その全長にわたってカニューレ状になっている、実施態様1に記載の大腿骨ネイル。
(15) 前記近位部分は、大腿骨の大腿骨頸部に挿入するためのラグねじを受容するように構成された横断方向ボアホールを含む、実施態様13に記載の大腿骨ネイル。
【0053】
(16) 大腿骨ネイルであって、
前記大腿骨ネイルを大腿骨に打ち込むための打ち込みツールに係合するように構成され、前記大腿骨ネイルの近位端部を画定する近位部分と、
前記近位部分から離れていて、前記大腿骨ネイルの遠位端部を画定する遠位部分と、
前記近位部分および前記遠位部分から、前記近位部分と前記遠位部分との間に延びる中間部分であって、前記中間部分は、湾曲セグメントと、前記湾曲セグメントから延びる直線セグメントと、を有し、前記直線セグメントは、近位側範囲と、遠位側範囲と、前記直線セグメントを通って延びる円形ねじ穴および細長いねじ穴と、を有する、中間部分と、
を含み、
前記直線セグメントの前記近位側範囲および前記遠位側範囲は、それぞれ、前記大腿骨ネイルの前記近位端部から、前記大腿骨ネイルの全長の57~60%および80~83%である、大腿骨ネイル。
(17) 前記全長は、240mmである、実施態様16に記載の大腿骨ネイル。
(18) 前記近位部分は、その全長に沿って直線状である、実施態様16に記載の大腿骨ネイル。
(19) 前記遠位部分は、2~3°だけ前記中間部分の前記直線セグメントに対して角度を付けられている、実施態様16に記載の大腿骨ネイル。
(20) 前記湾曲セグメントの近位側範囲は、前記大腿骨ネイルの前記近位端部から、前記大腿骨ネイルの前記全長の38~41%であり、前記湾曲セグメントの遠位側範囲は、前記直線セグメントの前記近位側範囲である、実施態様16に記載の大腿骨ネイル。
【外国語明細書】