(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068206
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】一体化された展開可能な保持スパイクを有する拡張可能な固定デバイス
(51)【国際特許分類】
A61F 2/44 20060101AFI20240510BHJP
【FI】
A61F2/44
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023189928
(22)【出願日】2023-11-07
(31)【優先権主張番号】18/053,171
(32)【優先日】2022-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】507400686
【氏名又は名称】グローバス メディカル インコーポレイティッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】キャサリン クラウィエク
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA10
4C097BB01
4C097CC01
4C097CC05
4C097CC18
4C097DD01
4C097DD10
4C097EE13
(57)【要約】 (修正有)
【課題】隣接する椎骨間に挿入することができ、デバイスの排出を防止するように構成された一体化された拡張可能な固定デバイス、システム、及び方法を提供する。
【解決手段】拡張可能な固定デバイス200は、椎間板腔に設置されたときにデバイスの排出に抵抗するように構成された1つ以上の一体化された展開可能な保持スパイク38、42を含む。インプラントは、上部及び下部主端板12、14と、上部及び下部主端板の高さの拡張を引き起こすように構成されたアクチュエータアセンブリと、サイドカーキャリア34と、上部スパイクと係合された上部キャリア端板と、下部スパイクと係合された下部キャリア端板とを含むサイドカーアセンブリであって、サイドカーキャリアの前方への並進が上部及び下部キャリア端板を押し付け、それによって上部及び下部スパイクを展開する、サイドカーアセンブリとを含み得る。
【選択図】
図19
【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接する椎骨に係合するように構成された上部主端板及び下部主端板であって、前記上部主端板及び下部主端板のうちの少なくとも1つが、湾曲チャネル及び直線チャネルを画定する、上部主端板及び下部主端板と、
前記上部及び下部主端板の高さの拡張を引き起こすように構成されたアクチュエータアセンブリと、
サイドカーキャリアと、スパイクと係合されるプッシャを伴うキャリア端板とを含む、サイドカーアセンブリであって、前記スパイクは、前記湾曲チャネルを通して位置付け可能であり、前記プッシャは、前記直線チャネル内に受容可能であり、前記サイドカーキャリアの前方並進は、前記スパイクを展開する、サイドカーアセンブリと、を備える、拡張可能なインプラント。
【請求項2】
前記湾曲チャネル及び前記直線チャネルは、前記湾曲チャネルが前記直線チャネルと交差するように重なり合う、請求項1に記載の拡張可能なインプラント。
【請求項3】
前記直線チャネルは、前記インプラントの長手方向軸に沿って延在するブラインドチャネルである、請求項1に記載の拡張可能なインプラント。
【請求項4】
前記湾曲チャネルは、前記上部又は下部主端板の外面に向かって外向きに弧を描く、請求項1に記載の拡張可能なインプラント。
【請求項5】
後退位置において、前記スパイクは、前記湾曲チャネルの内側に保持され、前記サイドカーキャリアが前方に並進すると、前記スパイクは、前記湾曲チャネルを通って移動し、前記湾曲チャネルから延在し、前記プッシャは、前記直線チャネルに従う、請求項1に記載の拡張可能なインプラント。
【請求項6】
前記スパイクは、近位端から自由端まで延在し、可動ジョイントが、前記スパイクの前記近位端を前記プッシャの遠位端に接続する、請求項1に記載の拡張可能なインプラント。
【請求項7】
前記スパイクの前記近位端が、前記プッシャ内の対応するポケット内に受容可能な凸状基部を含み、前記ポケットが、前記スパイクを展開するために前記凸状基部が垂直軸に沿って移動することを可能にするように、前記可動ジョイントが枢動可能ジョイントである、請求項6に記載の拡張可能なインプラント。
【請求項8】
前記可動ジョイントがボールソケットジョイントである、請求項6に記載の拡張可能なインプラント。
【請求項9】
隣接する椎骨に係合するように構成された上部主端板及び下部主端板と、
前記上部主端板及び前記下部主端板の高さの拡張を引き起こすように構成されたアクチュエータアセンブリと、
サイドカーキャリアと、スパイクと係合されるプッシャを有するキャリア端板とを含むサイドカーアセンブリであって、前記スパイクが、前記プッシャの自由端に画定されるポケット内に捕捉される凸状基部を含み、前記サイドカーキャリアの前方並進が、前記キャリア端板を並進させ、前記スパイクを展開させる、サイドカーアセンブリと、を備える、拡張可能なインプラント。
【請求項10】
前記ポケットは、前記凸状基部が垂直軸に沿って上下に移動することを可能にし、前記スパイクは、前方に押され、回転し、展開位置に並進する、請求項9に記載の拡張可能なインプラント。
【請求項11】
前記ポケットは、前記スパイクの曲率半径と一致する軸を中心として前記スパイクが回転することを可能にする、請求項10に記載の拡張可能なインプラント。
【請求項12】
前記凸状基部は、丸みを帯びているが非球形である、請求項9に記載の拡張可能なインプラント。
【請求項13】
前記スパイクの底面は、前記凸状基部に下向きフックを形成させるスロットを画定する、請求項9に記載の拡張可能なインプラント。
【請求項14】
前記ポケットは、前記プッシャの先端が上向きフックを形成するようにアンダーカットされる、請求項13に記載の拡張可能なインプラント。
【請求項15】
前記プッシャの前記上向きフックは、前記スパイクの前記スロット内に受容可能であり、前記凸状基部の前記下向きフックは、前記プッシャの前記ポケット内に受容可能である、請求項14に記載の拡張可能なインプラント。
【請求項16】
前記アクチュエータアセンブリは、一対の平行なダブテールスロットを有する後方傾斜部を含み、前記サイドカーキャリアは、前記後方傾斜部の前記ダブテールスロットと嵌合する対応するダブテールを含み、前記サイドカーキャリアが、前記インプラントの主長手方向軸に沿って前記後方傾斜部に対して並進することを可能にしながら、全ての他の並進又は回転を制限する、請求項9に記載の拡張可能なインプラント。
【請求項17】
隣接する椎骨間の椎間板腔内に拡張可能なインプラントを挿入することであって、前記インプラントは、上部及び下部主端板と、前記上部及び下部主端板から展開可能な一体化された保持スパイクと、前記一体化された保持スパイクを展開するための並進可能なサイドカーキャリアを有するサイドカーキャリアアセンブリとを有する、挿入することと、
前記拡張可能なインプラント内のアクチュエータアセンブリを移動させて、前記上部及び下部主端板の高さの拡張を引き起こすことと、
前記サイドカーキャリアを前方に並進させることによって、前記一体化された保持スパイクを展開し、それによって、前記保持スパイクを前記上部及び下部端板から延在させることと、を含む拡張可能なインプラントを設置する方法。
【請求項18】
前記保持スパイクは、ある程度の曲率を有し、前記スパイクは、前記スパイク自体の曲率中心の周りを回転する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記保持スパイクは、垂直軸のみに沿って上下に移動することが可能である、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記保持スパイクは、高さ又は前弯拡張にかかわらず、前記上部主端板及び前記下部主端板からの一定の貫通深さを維持する、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本特許出願は、2021年12月2日に出願された米国特許出願第17/540,381号の一部継続出願であり、これは、全ての目的のためにその全体が本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、外科用デバイスに関し、より詳細には、固定プロセスを容易にするために隣接する椎骨間に挿入することができ、デバイスの排出を防止するように構成された一体化された展開可能な保持スパイクを含む、拡張可能な固定デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
1つ以上の脊髄病変を伴う矢状面不均衡(sagittal imbalance)は、多くの場合、直接的及び間接的減圧の組み合わせによって治療される。間接的な減圧は、椎間ケージの配置によって達成することができる。後方要素の骨切り術、ケージ(複数可)の配置、及びその後の椎弓根スクリュー/ロッド構築物への圧縮の組み合わせを使用して、分節前弯を手術レベルに回復させ、したがってその領域の矢状面均衡(sagittal balance)を回復させることができる。
【0004】
正中線犠牲椎間板内骨切り術は、後方要素及び黄色靭帯の骨切り術と、下にある硬膜嚢及び椎間板腔への広い通路を開くこととを含む。骨刀は、後方骨棘及び椎間板を一括して除去するために使用することができる。前縦靭帯(Anterior Longitudinal Ligament、ALL)は、スプレッダ又は鈍的切開(blunt dissection)を介して解放され、両側拡張可能ケージが、後腰椎椎体間固定(Posterior Lumber Interbody Fusion、PLIF)軌道上に設置される。ロッドは、骨切り術の前に配置されたねじに縮小され、ねじは圧縮される。ねじが互いに近づけられると、椎体は、椎体間スペーサによって形成された支点を中心に揺動し、分節前弯が増大し、所望の矯正をもたらす。
【0005】
処置の矯正的性質により、高度の調節可能性を有する過前弯拡張可能ケージが必要とされる。高い前弯プロファイルのケージは、軸平面における力の増加に起因して、前方排出のリスクが増加する可能性がある。前縦靭帯の切除により、椎間板腔からの前方排出を防止する自然障壁が存在しなくなってしまう。したがって、1つ以上の排出防止特徴を含む拡張可能な固定デバイスが必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
この必要性及び他の必要性を満たすために、またその目的を考慮して、本出願は、椎体間インプラントを設置及び拡張し、一体化された保持スパイクを展開するためのデバイス、システム、及び方法を提供する。拡張可能なインプラントは、椎間板腔からのインプラントの排出に抵抗するためにインプラント本体から展開するように構成された1つ以上の一体化された保持スパイクを含んでもよい。加えて、拡張可能な椎体間インプラントは、ロボット及び/又はナビゲーションシステムとインプラント情報を通信するように構成されてもよい。例えば、インプラントの位置及び向きがシステムに通信されてもよい。インプラントは、インプラントの高さ/又は前弯を自動的に調節し、保持スパイクを展開するように構成される、内部電子構成要素を含んでもよい。これらの特徴のうちの1つ以上は、作業通路(working corridor)のサイズを最小限にし、インプラントを操作するために必要とされる器具の数を最小限にするのに役立ち得る。
【0007】
一実施形態によれば、拡張可能なインプラントは、上部及び下部主端板と、アクチュエータアセンブリと、サイドカーアセンブリとを含む。上部及び下部主端板は、隣接する椎骨に係合するように構成される。アクチュエータアセンブリは、上部及び下部主端板の高さの拡張を引き起こすように構成される。サイドカーアセンブリは、サイドカーキャリアと、上部スパイクに枢動可能に結合された上部キャリア端板と、下部スパイクに枢動可能に結合された下部キャリア端板とを含み得る。サイドカーキャリアの前方並進は、上部及び下部キャリア端板を押し、それによって、上部及び下部スパイクを展開する。
【0008】
拡張可能なインプラントは、以下の特徴のうちの1つ以上を含み得る。上部キャリア端板は、第1のタスク(tusk)を含んでもよく、下部キャリア端板は、第2のタスクを含んでもよい。第1及び第2のタスクは、インプラントの前部に向かって延在してもよい。第1及び第2のタスクは、上部及び下部主端板内のそれぞれの通路内に受容可能であり、それによって、上部及び下部キャリア端板の並進を誘導してもよい。第1及び第2のタスクは、それぞれの通路の形状及び寸法に対応する略多角形の断面を有してもよい。第1及び第2のタスクは、インプラントの主長手方向軸に沿った主端板に対する上部及び下部キャリア端板の並進を可能にし得るが、全ての他の並進及び回転を制限する。各スパイクは、それぞれのキャリア端板に結合された近位端から自由端まで延在してもよい。自由端は、鋭利又は尖っていてもよく、骨を貫通するように構成されてもよい。上部主端板及び下部主端板の各々は、サイドチャネルを画定する側方延長部分を含んでもよい。サイドチャネルは、上部スパイク及び下部スパイクをそれぞれ収容し、案内することができる。各スパイクは、ピンを用いてそれぞれのキャリア端板に接続されてもよく、それによって、キャリア端板とスパイクとの間にヒンジ結合を提供する。キャリア端板が前方に移動すると、スパイクは、チャネルの床に底をつけ、スパイクをキャリア端板に接続するピンの軸を中心に回転してもよく、スパイクは、主端板の上面及び底面から出現する。
【0009】
別の実施形態によれば、拡張可能なインプラントは、上部及び下部端板と、アクチュエータアセンブリと、複数の駆動傾斜部と、サイドカーアセンブリとを含む。上部及び下部主端板は、隣接する椎骨に係合するように構成される。アクチュエータアセンブリは、シャフトと回転可能なナットとを有する回転可能なアクチュエータを含む。複数の駆動傾斜部は、アクチュエータのシャフトに沿って配置された前方傾斜部、中間傾斜部、及び後方傾斜部を含む。上部及び下部主端板は、複数の駆動傾斜部と係合される。アクチュエータ及び/又はナットの回転は、1つ以上の駆動傾斜部の移動を引き起こし、それによって、上部及び下部主端板の高さの拡張を引き起こす。サイドカーアセンブリは、サイドカーキャリアと、上部スパイクに枢動可能に結合された上部キャリア端板と、下部スパイクに枢動可能に結合された下部キャリア端板とを含む。サイドカーキャリアの前方並進は、上部及び下部キャリア端板を押し、それによって、上部及び下部スパイクを展開する。
【0010】
拡張可能なインプラントは、以下の特徴のうちの1つ以上を含み得る。後方傾斜部は、アクチュエータアセンブリを受け入れるボアと、ボアの両側に配置された一対のアームとを含むことができる。後方傾斜部は、1つのアームの外面に沿ってダブテールスロットを含むことができる。サイドカーキャリアは、後方傾斜部のダブテールと嵌合する対応するダブテールを含むことができ、サイドカーキャリアがインプラントの主長手方向軸に沿って後方傾斜部に対して並進することを可能にする一方で、全ての他の並進又は回転を制限する。ダブテールスロットは、後方傾斜部の後部に向かって高さが減少してもよい。後方傾斜部は、サイドカーキャリアの移動を防止することによってスパイクの後退を防止するように構成された保持タブを含むことができる。保持タブは、保持タブが後方傾斜部の側面から外向きに突出するように、レリーフカットによって画定されてもよい。サイドカーキャリアが保持タブ上を通過するとき、保持タブは外側に起き上がり、サイドカーキャリアが後方に移動するのを防止する。上部主端板及び下部主端板の各々は、サイドチャネルを画定する側方延長部分を含んでもよい。サイドチャネルは、上部スパイク及び下部スパイクをそれぞれ収容し、案内することができる。サイドカーキャリアが前方に並進すると、キャリア端板は前方に移動し、スパイクはチャネルの床に底をつけ、スパイクを回転させ、主端板の上面及び底面から外向きに駆動する。
【0011】
別の実施形態によれば、拡張可能なインプラントは、上部及び下部主端板と、アクチュエータアセンブリと、一体化された保持スパイクとを含む。上部及び下部主端板は、隣接する椎骨に係合するように構成される。アクチュエータアセンブリは、回転可能なアクチュエータと、上部及び下部主端板の高さを拡張させるように構成されたアクチュエータに沿って配置された駆動傾斜部とを含む。一体化された保持スパイクは、上部及び下部主端板から展開可能である。一体化された保持スパイクは、サイドカーキャリアが前方に並進されるときに展開し、それぞれの保持スパイクに枢動可能に結合された上部及び下部キャリア端板を押す。インプラントの前方及び後方高さは、高さ及び前弯プロファイルの連続的調節のために独立して調節可能であってもよい。保持スパイクは、高さ又は前弯拡張にかかわらず、上部及び下部主端板からの一定の貫入深さを維持することができる。
【0012】
別の実施形態によれば、自律拡張可能なインプラントは、計算ユニットと、上部及び下部主端板と、複数の力センサと、作動アセンブリと、複数の駆動傾斜部と、電気モータと、電源とを含む。計算ユニットは、インプラント内に収容されたメモリを有するプロセッサを含む。上部及び下部主端板は、隣接する椎骨に係合するように構成される。複数の力センサは、上部及び下部主端板内に収容される。力センサは、荷重分布測定のために構成される。作動アセンブリは、シャフトと回転可能なナットとを有する回転可能なアクチュエータを含む。複数の駆動傾斜部は、アクチュエータのシャフトに沿って配置され、上部主端板及び下部主端板と係合される。電気モータは、アクチュエータ及び/又はナットを回転させて駆動傾斜部を移動させ、上部及び下部主端板を拡張させるように構成される。電源は、電気モータに電力を供給するように構成される。
【0013】
自律拡張可能なインプラントは、以下の特徴のうちの1つ以上を含み得る。インプラントは、サイドカーキャリアと、上部スパイクに枢動可能に結合された上部キャリア端板と、下部スパイクに枢動可能に結合された下部キャリア端板とを含むサイドカーアセンブリを更に含んでもよい。サイドカーキャリアの前方並進は、上部及び下部キャリア端板を押し、それによって、上部及び下部スパイクを展開する。インプラントは更に、サイドカーキャリアを並進させ、それによって、上部及び下部スパイクを展開するように構成される、リニアモータを含んでもよい。計算ユニットは、上部及び下部スパイクを展開するための駆動開始及び持続時間をリニアモータに自動的に通知することができる。複数の駆動傾斜部は、アクチュエータのシャフトに沿って配置された前方傾斜部、中間傾斜部、及び後方傾斜部を含むことができる。インプラントは更に、ロボットナビゲーションシステムにインプラントのリアルタイム位置情報を提供するように構成される、前方及び中間傾斜部内に位置する複数のホール効果センサを含んでもよい。計算ユニットは、力センサから得られた情報に基づいてインプラントの高さ及び前弯を調整するために、駆動量及び持続時間を電気モータに自動的に通知することができる。インプラントは、ロボットナビゲーションシステムに情報を送信及び受信するように構成された無線通信ユニットを更に含んでもよい。電源は、無線充電受信機を含んでもよく、挿入器具は、インプラントに電力を供給するために無線充電受信機とインターフェース接続するように構成された無線充電器を含んでもよい。
【0014】
別の実施形態によれば、自律拡張可能なインプラントは、筐体と、計算ユニットと、上部主端板及び下部主端板と、複数の力センサと、アクチュエータアセンブリと、複数の駆動傾斜部と、一対の電気モータと、サイドカーアセンブリと、リニアモータと、電源とを含む、前方ノーズ及び後方端部を含む。計算ユニットは、筐体内に配置されたメモリを有するプロセッサを含む。上部及び下部主端板は、隣接する椎骨に係合するように構成される。複数の力センサは、上部及び下部主端板内に収容される。力センサは、荷重分布測定のために構成される。アクチュエータアセンブリは、シャフトと回転可能なナットとを有する回転可能なアクチュエータを含む。複数の駆動傾斜部は、アクチュエータのシャフトに沿って配置され、上部主端板及び下部主端板と係合する前方傾斜部、中間傾斜部、及び後方傾斜部を含む。一対の電気モータは、アクチュエータ及びナットを独立して回転させて駆動傾斜部を移動させ、上部及び下部主端板を拡張させるように構成される。サイドカーアセンブリは、サイドカーキャリアと、上部スパイクに枢動可能に結合された上部キャリア端板と、下部スパイクに枢動可能に結合された下部キャリア端板とを含む。リニアモータは、サイドカーキャリアを並進させ、それによって、上部及び下部スパイクを展開するように構成される。電源は、インプラント内に配置されたモータに電力を供給するように構成される。
【0015】
自律拡張可能なインプラントは、以下の特徴のうちの1つ以上を含み得る。リニアモータは、筐体内のサイドカーキャリアの背後に配置されてもよい。インプラントは、インプラントのリアルタイム位置情報をロボットナビゲーションシステムに提供するように構成された複数のホール効果センサを更に含むことができる。ホール効果センサは、前方傾斜部及び中間傾斜部に配置されてもよい。計算ユニットは、後部傾斜部に配置されてもよい。インプラントは、筐体内に配置された無線通信ユニットを更に含むことができる。無線通信ユニットは、ロボットナビゲーションシステムに対して情報を送信及び受信するように構成されてもよい。
【0016】
更に別の実施形態によれば、拡張可能なインプラントを自律的に制御するシステムは、ロボットナビゲーションシステム及び挿入器を含む。拡張可能なインプラントは、計算ユニットと、上部及び下部主端板と、複数の力センサと、アクチュエータアセンブリと、複数の駆動傾斜部と、電気モータと、サイドカーアセンブリと、リニアモータと、電源とを含んでもよい。計算ユニットは、インプラント内に収容されたメモリを有するプロセッサを含む。上部及び下部主端板は、隣接する椎骨に係合するように構成される。複数の力センサは、上部及び下部主端板内に収容される。力センサは、荷重分布測定のために構成される。アクチュエータアセンブリは、シャフトと、上部及び下部主端板の高さの拡張を引き起こすように構成される回転可能なナットとを有する、回転可能なアクチュエータを含む。複数の駆動傾斜部は、アクチュエータのシャフトに沿って配置され、上部主端板及び下部主端板と係合される。電気モータは、アクチュエータ及び/又はナットを回転させて駆動傾斜部を移動させ、上部及び下部主端板を拡張させるように構成される。サイドカーアセンブリは、サイドカーキャリアと、上部スパイクに枢動可能に結合された上部キャリア端板と、下部スパイクに枢動可能に結合された下部キャリア端板とを含む。リニアモータは、サイドカーキャリアを移動させ、それによって、上部及び下部スパイクを展開するように構成される。電源は、モータに電力を供給するように構成される。ロボットナビゲーションシステムは、可動エンドエフェクタとディスプレイとを含む。挿入器は、エンドエフェクタ内に位置決め可能であり、拡張可能なインプラントを保持するように構成される。ロボットナビゲーションシステムは、インプラントの力及び位置情報を受信するための無線受信機と、ユーザ入力をインプラントに送信するための無線送信機とを含むことができる。挿入器は、電磁石及び無線充電器を含んでもよい。電源は、無線充電受信機を含んでもよく、挿入器の無線充電器は、インプラントに電力を供給するために無線充電受信機とインターフェース接続してもよい。挿入器上の電磁石は、ホール効果センサに駆動傾斜部の相対位置を検出させる電界を生成することができる。
【0017】
更に別の実施形態によると、拡張可能インプラントの高さ及び/又は前弯を調節し、一体化された保持スパイクを展開する方法は、任意の好適な順序で、以下のステップのうちの1つ以上を含んでもよい:(1)例えば、椎間板切除術を含む、椎間板腔を調製するステップと、(2)椎間板腔に内視鏡管を挿入するステップと、(3)拡張可能なインプラントを、管を通して椎間腔内に折り畳まれた構成で導入し、椎間腔内の適切な位置に着座させるステップと、(4)サイドカーキャリアをインプラントの前端に向かって並進させることによって保持スパイクを展開し、それによってスパイクを展開するステップと、(5)スパイクを展開する前又は後に、インプラントの高さ及び/又は前弯を拡張位置に拡張するステップ。自律インプラントの場合、本方法はまた:(6)端板内の力センサから荷重分布情報を取得するステップと、(7)端板及びインプラントの物理的位置を決定するために、例えば挿入器上の電磁石を用いて、中間及び前方傾斜部内のホール効果センサに磁場を印加するステップと、(8)例えば挿入器上の無線充電器を使用して、インプラント内の無線充電受信機に電力を供給するステップと、(9)インプラント内の内部アクチュエータを駆動するためにインプラント内のDCモータを動作させるために、インプラント内の計算ユニット及び/又はロボット/ナビゲーションシステムからの情報を使用して、インプラントの高さを拡張すること、及び/又は前弯を調節することと、(10)インプラント内のコンピューティングユニット及び/又はロボット/ナビゲーションシステムからの情報を使用して、インプラント内のリニアサーボモータを動作させてサイドカーキャリアを移動させ、スパイクを展開することによって、保持スパイクを展開するステップと、を含む。
【0018】
別の実施形態によれば、拡張可能インプラントは、隣接する椎骨に係合するように構成された上部及び下部主端板と、アクチュエータアセンブリと、サイドカーアセンブリとを含む。上部主端板及び下部主端板の少なくとも一方は、湾曲チャネル及び直線チャネルを画定する。アクチュエータアセンブリは、上部及び下部主端板の高さの拡張を引き起こすように構成される。サイドカーアセンブリは、サイドカーキャリアと、スパイクと係合されるプッシャを伴うキャリア端板とを含む。スパイクは、湾曲チャネルを通して位置決め可能であり、プッシャは、直線チャネル内に受容可能である。サイドカーキャリアの前方並進は、スパイクを展開するように構成される。
【0019】
拡張可能なインプラントは、以下の特徴のうちの1つ以上を含み得る。湾曲チャネル及び直線チャネルは、湾曲チャネルが直線チャネルと交差するように重複してもよい。直線チャネルは、インプラントの長手方向軸に沿って延在するブラインドチャネルであってもよく、湾曲チャネルは、上部又は下部主端板の外面に向かって外向きに弧を描いてもよい。後退位置では、スパイクは、湾曲チャネルの内側に保持されてもよく、サイドカーキャリアが前方に並進すると、スパイクは、湾曲チャネルを通して移動し、そこから延在し、プッシャは、直線チャネルに従う。スパイクは、近位端から自由端まで延在し、可動ジョイントは、スパイクの近位端をプッシャの遠位端に接続してもよい。可動ジョイントは、スパイクの近位端がプッシャ内の対応するポケット内に受容可能な凸状基部を含み、ポケットが、スパイクを展開するために凸状基部が垂直軸に沿って移動することを可能にするように、枢動可能ジョイントであってもよい。可動ジョイントは、ボール(例えば、部分球又は全球)ソケットジョイントであってもよい。
【0020】
更に別の実施形態によれば、拡張可能なインプラントは、隣接する椎骨に係合するように構成された上部及び下部主端板と、上部及び下部主端板の高さの拡張を引き起こすように構成されたアクチュエータアセンブリと、サイドカーキャリア及びスパイクと係合されたプッシャを有するキャリア端板を含むサイドカーアセンブリとを含む。スパイクは、プッシャの自由端に画定されたポケット内に捕捉される凸状基部を含む。サイドカーキャリアの前方並進は、キャリア端板を並進させ、スパイクを展開するように構成される。
【0021】
拡張可能なインプラントは、以下の特徴のうちの1つ以上を含み得る。ポケットは、スパイクが前方に押され、回転し、展開位置に並進するときに、凸状基部が垂直軸に沿って上下に移動することを可能にし得る。ポケットは、スパイクがスパイクの曲率半径と一致する軸を中心に回転することを可能にし得る。凸状基部は、丸みを帯びていてもよいが、非球形であってもよい。スパイクの底面は、スロットを画定してもよく、スロットは、凸状基部に下向きフックを形成させる。ポケットは、プッシャの先端が上向きフックを形成するように、アンダーカットされてもよい。プッシャの上向きフックは、スパイクのスロット内に受容可能であってもよく、凸状基部の下向きフックは、プッシャのポケット内に受容可能であってもよい。アクチュエータアセンブリは、一対の平行なダブテールスロットを有する後方傾斜部を含むことができ、サイドカーキャリアは、後方傾斜部のダブテールスロットと嵌合する対応するダブテールを含むことができ、サイドカーキャリアがインプラントの主長手方向軸に沿って後方傾斜部に対して並進することを可能にする一方で、す全ての他の並進又は回転を制限する。
【0022】
別の実施形態によると、拡張可能なインプラントを設置する方法は、任意の好適な順序で、以下のステップのうちの1つ以上を含んでもよい。(1)隣接する椎骨間の椎間板空間内に拡張可能なインプラントを挿入するステップであって、インプラントは、上部及び下部主端板と、上部及び下部主端板から展開可能な一体化された保持スパイクと、一体化された保持スパイクを展開するための並進可能なサイドカーキャリアを有するサイドカーキャリアアセンブリとを有する、ステップと(2)拡張可能なインプラント内のアクチュエータアセンブリを移動させて、上部主端板及び下部主端板の高さの拡張を引き起こすステップと、(3)サイドカーキャリアを並進させることによって、一体化された保持スパイクを展開し、それによって、上部端板及び下部端板から保持スパイクを延在させるステップと、を含む、方法。保持スパイクは、ある程度の曲率でそれらの長さに沿って湾曲してもよく、スパイクは、スパイク自体の曲率中心の周りを回転してもよい。保持スパイクは、垂直軸のみに沿って上下に移動することが可能であってもよい。保持スパイクは、高さ又は前弯拡張にかかわらず、上部及び下部主端板からの一定の貫入深さを維持することができる。
【0023】
また、様々なタイプ及びサイズの拡張可能な固定デバイス、ロッド、ファスナ又はアンカー、kワイヤ、拡張器及び他のツール及び器具、ロボット及び/又はナビゲーションシステム、並びに他の構成要素を含むキットも提供される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明のより完全な理解、及びその付随する利点及び特徴は、添付の図面と併せて考慮される場合、以下の詳細な説明を参照することによってより容易に理解されるであろう。
【
図1】一実施形態による、一体化された展開可能な保持スパイクが完全に展開された、拡張した前弯位置にある拡張可能な椎体間インプラントの斜視図である。
【
図2】拡張可能な椎体間インプラントの上面図であり、明確にするためにサイドカーキャリアアセンブリが省略されている。
【
図3】拡張可能な椎体間インプラントの背面図であり、明確にするためにサイドカーキャリアアセンブリが省略されている。
【
図4】拡張可能な椎体間インプラントの分解図である。
【
図5】一実施形態による、上部主端板の斜視図である。
【
図7】一実施形態による、保持スパイクを展開するためのサイドカーキャリア端板及びタスクの斜視図である。
【
図8】一実施形態による、ダブテール及び保持タブを有する後方傾斜部の斜視図である。
【
図9】一体化された保持スパイクがインプラントの本体内に収縮された、折り畳み位置にあるインプラントの断面図である。
【
図10】保持スパイクが展開された、折り畳み位置にあるインプラントの断面図である。
【
図11】保持スパイクがインプラントの本体内で収縮された状態の、折り畳み位置にあるインプラントの側面図を示す。
【
図12】保持スパイクが展開された、折り畳み位置にあるインプラントの側面図を示す。
【
図13】保持スパイクが展開された、平行配置で拡張されたインプラントの側面図を示す。
【
図14】前弯拡張及び展開された保持スパイクと共に高さが完全に拡張されたインプラントの側面図を示す。
【
図15】一実施形態による、展開された保持スパイク及び内部電気構成要素のための筐体と平行に拡張されたインプラントの斜視図を示す。
【
図16】一実施形態による、電子構成要素収容場所を図示する、インプラントの側面図を示す。
【
図17】一実施形態による、電子構成要素収容場所を図示する、インプラントの上面図を示す。
【
図18】一実施形態による、インプラント、ロボット/ナビゲーションシステムインターフェース、及び挿入器インターフェースの電気的及び機械的構成要素を示す、システムフローチャートである。
【
図19】一実施形態による、一体化された展開可能な保持スパイクを有する拡張可能な椎体間インプラントの分解図を示す。
【
図20】完全に折り畳まれた位置にあり、一体化された保持スパイクがインプラントの本体内に収縮された、
図19の拡張可能なインプラントの断面図を示す。
【
図21】保持スパイクが展開された、折り畳み位置にある
図19の拡張可能なインプラントの断面図を示す。
【
図22A】一実施形態による、プッシャの遠位端上のポケットを介してキャリア端板に保持される保持スパイクの上面図及び側面図をそれぞれ示す。
【
図22B】一実施形態による、プッシャの遠位端上のポケットを介してキャリア端板に保持される保持スパイクの上面図及び側面図をそれぞれ示す。
【
図23A】代替実施形態による、ポケット内に保持される全球を介してキャリア端板プッシャ内に保持される保持スパイクの上面図及び側面図をそれぞれ示す。
【
図23B】代替実施形態による、ポケット内に保持される全球を介してキャリア端板プッシャ内に保持される保持スパイクの上面図及び側面図をそれぞれ示す。
【
図24A】別の実施形態による、ポケット内に保持される部分球を介して、キャリア端板プッシャ内に保持される保持スパイクの上面図及び側面図をそれぞれ示す。
【
図24B】別の実施形態による、ポケット内に保持される部分球を介して、キャリア端板プッシャ内に保持される保持スパイクの上面図及び側面図をそれぞれ示す。
【
図25A】一実施形態による、後方傾斜部と摺動可能に係合されるサイドカーキャリアの正面斜視図及び背面斜視図をそれぞれ示す。
【
図25B】一実施形態による、後方傾斜部と摺動可能に係合されるサイドカーキャリアの正面斜視図及び背面斜視図をそれぞれ示す。
【
図26】一実施形態による、2つの重複チャネル、すなわち、保持スパイクを受容するための湾曲チャネルと、キャリア端板のプッシャを受容するための直線チャネルとを示す、主上部端板の断面図である。
【
図27】スパイクが湾曲チャネル内に完全に保持されている、後退位置にある保持スパイク及びキャリア端板プッシャの拡大断面図を示す。
【
図28】展開位置にある保持スパイク及びキャリア端板プッシャの拡大断面図を示し、スパイクは、湾曲チャネルから外向きに延在する。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本開示の実施形態は、概して、拡張可能な椎体間インプラント、システム、及び方法を対象とする。具体的には、実施形態は、椎間板腔からのインプラントの排出に抵抗するためにインプラント本体から展開するように構成された一体化された保持スパイクを有する拡張可能な椎体間インプラントに関する。拡張可能な椎体間インプラントは、ロボット及び/又はナビゲーションシステムとインプラント情報を通信するように構成されてもよい。例えば、インプラントの位置及び配向は、インプラントが拡張する際に通信されてもよい。加えて、インプラントは、その高さ及び前弯を自動的に調節し、内部電子構成要素を用いて保持スパイクを展開するように構成されてもよい。これらの特徴は、作業通路のサイズを最小限に抑え、インプラントを操作するのに必要な器具の数を最小限に抑えることができる。インプラント、椎体間、椎体間インプラント、固定デバイス、スペーサ、及び拡張可能デバイスという用語は、本明細書において互換的に使用され得る。
【0026】
ここで
図1~
図14を参照すると、一実施形態による拡張可能な椎体間インプラント10が示されている。拡張可能な椎体間インプラント10は、一体化された展開可能な保持スパイク16、18を有する拡張可能な椎体間スペーサを含む。拡張可能なインプラント10は、第1の主要又は上部端板12と、第2の主要又は下部端板14と、第1又は上部展開可能スパイク16と、第2又は下部展開可能スパイク18とを含んでもよい。上部及び下部スパイク16、18は、サイドカーアセンブリ32によって展開されるように構成され、サイドカーアセンブリ32は、上部アンカー又はスパイク38に結合された上部キャリア端板36及び下部アンカー又はスパイク42に結合された下部キャリア端板40を移動させるように構成されたサイドカーキャリア34を含むことができる。主上部及び下部端板12、14並びに上部及び下部キャリア端板36、40は、アクチュエータアセンブリ20によって拡張されるように構成され、アクチュエータアセンブリ20は、アクチュエータ又は中心駆動ねじ28及び外側駆動ねじ又はナット30を介して移動可能な前方傾斜部22と、中間傾斜部24と、後方傾斜部26とを含み得る。
【0027】
インプラント10の前方及び後方高さは、高さ及び前弯プロファイルの連続的調節のために独立して調節可能であってもよい。保持スパイク16、18は、高さ又は前弯拡張にかかわらず、インプラント端板12、14からの一定の貫入深さを維持する。保持スパイク16、18は、サイドカーキャリア34を前方に押し、主インプラント端板12、14内のチャネル110を通してスパイク16、18を駆動することによって、インプラント拡張の前に展開されてもよい。サイドカーキャリア34がその最終前方位置まで前進すると、保持タブ132が押し下げられなくなり、キャリア34を前方位置にロックする。キャリア端板36、40は、主端板12、14と係合し、高さ及び前弯拡張を通してそれらの移動に追従する。
【0028】
インプラント10は、隣接する椎体間の椎間板腔に最初に挿入されるように構成されたノーズ又は前端46と、アクチュエータアセンブリ20の挿入及び/又は作動のための器具に結合されるように構成された後方端部又は後端48とを有する。一実施形態では、拡張可能なインプラント10は、低侵襲手術(minimally invasive surgical、MIS)処置中に内視鏡チューブを下って椎間板腔内に配置されるように構成される。拡張可能なインプラント10は、折り畳み又は収縮位置で挿入され、その後、高さ及び/又は前弯において拡張されてもよい。アンカー又はスパイク38、42は、安定性を提供し、椎間板腔からの排出を防止するために、隣接する椎体内に展開されてもよい。
【0029】
拡張可能な固定デバイス10及びその構成要素は、チタン、ステンレス鋼、チタン合金、非チタン金属合金、ポリマー材料、プラスチック、プラスチック複合材、PEEK、セラミック、及び弾性材料など多数の生体適合性材料から製造することができるが、これらに限定されない。
【0030】
主上部及び下部端板12、14並びに上部及び下部キャリア端板36、40は、隣接する椎骨と係合するように構成される。
図1に最もよく見られるように、上部端板12及び上部キャリア端板36は、共に入れ子にされて、デバイス10の上部端板全体を形成する。同様に、下部端板14及び下部キャリア端板40は、共に入れ子にされて、デバイス10の下部端板全体を形成する。
図11に最もよく見られるように、上部端板12、36及び下部端板14、40はまた、折り畳み位置においてインプラントの全高が最小化されるように、折り畳み位置において共に入れ子になるか又は噛み合うように構成される。上部端板12及び上部キャリア端板36について更に詳細に説明するが、この説明は下部端板12及び下部キャリア端板40にも同様に当てはまることが理解されるであろう。
【0031】
上部端板12は、骨に接触するように構成された上面又は外面50と、外面50の反対側の下面又は内面52とを含むことができる。外面50は、隣接する椎体を把持するのを助けるために、複数の歯、隆起部、把持又は捕捉突起、キール、又は他のテクスチャリング若しくは摩擦増大要素を含むことができる。内面52は、前方傾斜部22、中間傾斜部24、及び/又は後方傾斜部26上の1つ以上の対応する傾斜部84、86、88と摺動可能に接合するように構成された1つ以上の傾斜部54を画定することができ、それによって端板12、14の高さの拡張を提供する。端板12は、外側表面50と内側表面52との間、又はその一部に延在する貫通開口56を画定してもよい。貫通開口56は、椎体間固定を更に促進及び容易にするために、骨移植片又は同様の骨成長誘導材料を受容するように構成されてもよい。
【0032】
明確にするためにサイドカーキャリアアセンブリ32を省略した
図2に最もよく見られるように、端板12は、端板12の前端46の近くに延長部分90を画定する。延長部分90は、端板12の一方の側で外向きに突出する側部突起であり、それによってデバイス10の設置面積を広げる。延長部分90は、後端48の近くのデバイス10の側部に凹部領域92を画定する。凹部領域92は、上部キャリア端板36の本体を受容するようなサイズ及び寸法にされる。上部キャリア端板36を収容するための右側延長部分90及び凹部92が示されているが、延長部分90及び凹部92は反対側に設けられてもよいことが理解されるであろう。
【0033】
図7に最もよく見られるように、上部キャリア端板36は、骨に接触するように構成された上面又は外面94と、外面94の反対側の下面又は内面96とを有する本体を含む。外面94は、隣接する椎体を把持するのを助けるために、1つ以上の歯、隆起部、把持又は捕捉突起、キール、あるいは他のテクスチャリング又は摩擦増大要素を含むことができる。内面96は、中間傾斜部24及び/又はサイドカーキャリア34上の1つ以上の対応する傾斜部86、100と摺動可能に接合するように構成された1つ以上の傾斜部98を画定することができ、それによって、上部及び下部主端板12、14と連携してキャリア端板36、40の高さの拡張を提供する。
【0034】
図4を更に重点的に説明すると、上部及び下部端板12、14並びに上部及び下部キャリア端板36、40は、アクチュエータアセンブリ20によって拡張されるように構成され、アクチュエータアセンブリ20は、複数の駆動傾斜部22、24、26を移動させて、端板12、14並びに上部及び下部キャリア端板36、40の高さを拡張するように構成される。アクチュエータアセンブリ20は、アクチュエータ又は中央駆動ねじ28及び外側駆動ねじ又はナット30を介して移動可能な前方傾斜部22、中間傾斜部24、及び後方傾斜部26を含むことができる。前方傾斜部22は、中央長手方向ボア58を含むことができ、中間傾斜部24は、中央長手方向ボア60を含むことができ、後方傾斜部26は、中央長手方向ボア62を含むことができる。複数の駆動傾斜部22、24、26は、アクチュエータ28の長さに沿って位置付けられてもよく、それぞれ、上部及び下部端板12、14に係合し、それらを駆動するように構成される。駆動傾斜部22、24、26のうちの1つ以上が移動させられると、それらは、上部及び下部端板12、14並びに/又は上部及び下部キャリア端板36、40に対して摺動し、それによって、高さの拡張を提供する。当該拡張は、端板12、14の前方及び/又は後方高さを個別に調節する能力を含んでもよい。
【0035】
インプラント10は、拡張アセンブリ20を含む。拡張プラットフォームは、2つの主端板12、14を含み、両方とも、後方、中間、及び前方傾斜部22、24、26と対称的に連動し、前方傾斜部22が前方ロックナット77及び前方ブッシング102を介して、中心駆動ねじ28の軸に沿って並進的に固定されるように、中心駆動ねじ28に沿って同軸に整列される。後部傾斜部24及び中間傾斜部26は、中央駆動ねじ28の軸に沿って自由に並進し、中間傾斜部24は、中央駆動ねじ28の回転によって駆動される。中心駆動ねじ28は、外側駆動ねじ30内に同心円状に配置され、外側駆動ねじ30の軸に沿って自由に並進し、外側駆動ねじ30によって駆動され得る。外側駆動ねじ30は、後方傾斜部26の軸方向孔62内に着座され、後方ロックナット104を介して後方傾斜部26に対して並進的に固定される。ブッシング106は、回転運動のための軸受面として機能し得る。前方傾斜部22及び中間傾斜部24の相対運動は、前方高さ及び後方高さが同じ割合で変化するように、主端板12、14を拡張及び収縮させ得る。前方傾斜部22及び後方傾斜部26の相対運動は、後方高さが減少し、前方高さが増加するように、主端板12、14を拡張させ得る。
【0036】
作動アセンブリ20は、端板12、14並びに関連する上部及び下部キャリア端板36、40のそれぞれの高さを独立して拡張するように構成される。作動アセンブリ20は、複数の内部傾斜部22、24、26を移動させるように構成された回転可能なアクチュエータ又は中央駆動ねじ28と、回転可能なナット又は外側駆動ねじ30とを含む。3つの駆動傾斜部、すなわち前方傾斜部22、中間傾斜部24、及び後方傾斜部26は、アクチュエータ28と相互作用する。アクチュエータ28は、近位端66から遠位端68まで延在するシャフト64を含んでもよい。シャフト64は、第1のねじ部70、第2のねじ部72、及び非ねじ部分74を含んでもよい。第2のねじ部72は、第1のねじ部70と非ねじ部74との間に配置されてもよい。ねじ部70、72は、外径、巻き方向、ねじ山形状、ねじ山角度、リード、ピッチなどを含む同じ又は異なる属性を有することができる。
【0037】
前方駆動傾斜部22は貫通孔58を含み、前方駆動傾斜部22はアクチュエータ28の非ねじ部74上に配置される。中間傾斜部24は、ねじ穴60を含み、中間傾斜部24は、アクチュエータ28の第2のねじ部72上に配置される。中間傾斜部24は、アクチュエータ28の第2のねじ部72の長さに沿ってねじ移動可能である。後方傾斜部26は、ナット30と係合され、ナット30は、アクチュエータ28の第1のねじ部70に沿って配置され、第1のねじ部70の長さに沿って移動可能である。中間駆動傾斜部24及び後方駆動傾斜部26はそれぞれ、上部端板12及び下部端板14並びに/又は上部キャリア端板36及び下部キャリア端板40を移動させ、それによってインプラント10の高さを拡張させるために、それぞれのねじ部分72、70に沿って移動可能である。ねじ部分70、72及び非ねじ部分74は、同じ又は異なる外径を有することができる。ねじ付き部分70、72は、同じ又は異なるねじ付き属性又は巻き方向を有することができる。アクチュエータシャフト64の近位端66は、例えばスロット付きヘッドを有する第1の器具保持凹部76を含むことができる。器具凹部76は、1つ以上の交互のフィンガ及びスロット、リブ、刻み付きグリップ、又は他の好適な係合面を含んでもよく、これらは、ドライバ器具と相互作用し、それによってアクチュエータシャフト28を回転させるように構成される。アクチュエータシャフト28の遠位端68は、前方傾斜部22をアクチュエータ28に固定するように構成された雌ねじ付きロックナット77を受けるように雄ねじが切られていてもよい。
【0038】
作動アセンブリ20は、回転可能なナット又は外側駆動ねじ30を含み得る。回転可能ナット30は、中間傾斜部24及び前方傾斜部22とは独立して後方傾斜部26を移動させるように構成されてもよい。ナット30は、近位端78から遠位端80まで延在してもよい。近位端78は、スロット付きヘッド82などの第2の器具保持機構を含むことができる。スロット付きヘッド82は、ドライバ器具と相互作用し、それによって、ナット30を回転させるように構成される、フィンガ及びスロット又は他の好適な係合面を含んでもよい。遠位端80は、雌ねじ付き後部ロックナット104と嵌合するように雄ねじが切られていてもよい。ナット30のみが回転されるとき、後方傾斜部26は、後方高さが増加するように、前方に並進されてもよい。ナット30が静止したままであり、アクチュエータ28のみが回転させられるとき、後方傾斜部26及び中間傾斜部24は両方とも、前方高さが増加するように後方に移動し得る。アクチュエータ28及びナット30の両方が同時に回転されると、中間傾斜部24は後方に移動し、それによって端板12、14を平行に移動させてもよい。駆動傾斜部22、24、26の移動及び結果として生じる拡張は、任意の好適な構成及び機構を有するアクチュエータ28及び/又はナット30によって操作され得ることが理解されるであろう。
【0039】
駆動傾斜部22、24、26は、上部及び下部端板12、14並びに関連付けられた上部及び下部キャリア端板36、40と係合し、それによって、上部及び下部端板12、14並びに上部及び下部キャリア端板36、40を高さ及び/又は前弯において外向きに移動させる。
【0040】
図5及び
図7に最もよく見られるように、上部端板12は、駆動傾斜部22、26と嵌合するように構成された内面52を含み、上部キャリア端板36は、駆動傾斜部24と嵌合するように構成された内面96を含む。内面52、96は、1つ以上の傾斜面54、98を含んでもよい。例えば、上部端板12は、デバイス10の前部46の近くの少なくとも1つの第1の傾斜面54と、デバイス10の後部48の近くの少なくとも1つの第2の傾斜面54と、第1の傾斜面54と第2の傾斜面54との間の少なくとも1つの第3の傾斜面54とを含んでもよい。例えば、端板12、14は、それぞれの傾斜部22、24、26に係合するように配向された一対の第1の傾斜面54と、一対の第2の傾斜面54と、一対の第3の傾斜面54とを含んでもよい。
【0041】
上部キャリア端板36は、デバイス10の前部46に面する少なくとも1つの第1の傾斜面98と、デバイス10の後部48に面する少なくとも1つの第2の傾斜面98とを含んでもよい。サイドカーキャリア34は、少なくとも1つの傾斜面100を含む。例えば、サイドカーキャリア34の外面は、インプラント10の前部46に向かって面する第1の上部傾斜面100及び第2の下部傾斜面を画定してもよい。サイドカーキャリア34は、後方傾斜部26の形状を模倣する傾斜部形状を含んでもよい。一実施形態では、デバイス10の前部46に面する上部キャリア端板36の第1の傾斜面98は、中間駆動傾斜部24の傾斜部86と摺動可能に接合するように構成されてもよい。デバイス10の後部48に面する第2の傾斜面98は、サイドカーキャリア34の傾斜部100と摺動可能に接合するように構成されてもよい。このようにして、上部端板12及び上部キャリア端板36は、拡張中に1つのユニットとして作用することができ、それによって隣接する椎体と係合する。
【0042】
傾斜面54、98は、所与の傾斜角度を有する角度付き連続面であってもよい。傾斜面54、98の傾斜は、互いに等しくてもよいし、異なっていてもよいと考えられる。傾斜面54,98は、略直線状の傾斜面であってもよいし、湾曲した傾斜面であってもよい。傾斜面54,98は、雄型摺動傾斜面又は突出傾斜面を含むことができる。傾斜面54、98は、傾斜面が互いに実質的に平行になるように、等しい距離で離間されてもよい。傾斜面の特定の配置が示されているが、傾斜面の数、場所、及び構成は、当業者によって変更又は選択され得ることが想定される。
【0043】
駆動傾斜部22、24、26は、1つ以上の傾斜面84、86、88を含んでもよい。駆動傾斜部22、24、26の傾斜面84、86、88は、それぞれ、上部及び下部端板12、14並びに上部及び下部キャリア端板36、40の対応する傾斜面54、98に係合するように構成及び寸法決めされてもよい。例えば、前方傾斜部22は1つ以上の傾斜面84を含むことができ、中間傾斜部24は1つ以上の傾斜面86を含むことができ、後方傾斜部26は1つ以上の傾斜面88を含むことができる。例えば、前方傾斜部22は、第1の対の上部傾斜面84と、第2の対の下部傾斜面84とを含むことができる。中間傾斜部24は、第1の対の上部傾斜面86と第2の対の下部傾斜面86とを含むことができる。後方傾斜部26は、第1の対の上部傾斜面88と、第2の対の下部傾斜面88とを含んでもよい。傾斜面84、86、88は、所与の傾斜角度を有する角度付き連続面であってもよい。傾斜面84、86、88の傾斜は、互いに等しくてもよいし、異なっていてもよいと考えられる。
【0044】
傾斜面84,86,88は、略直線状の傾斜面であってもよいし、湾曲した傾斜面であってもよい。傾斜面84、86、88は、それぞれ、上部及び下部端板12、14並びに上部及び下部キャリア端板36、40の雄型傾斜面54、98を受容するように構成される、雌型摺動傾斜面又は陥凹傾斜面を含んでもよい。安定性及び信頼性のために、傾斜面間にダブテール型接続を形成することができるが、他の嵌合及び摺動係合を使用することもできる。雄型傾斜面及び雌型傾斜面は、逆にされ得るか、又は傾斜面間の摺動可能な嵌合を提供するように別様に構成され得ることが理解されるであろう。
【0045】
端板12、14の前方傾斜面54は、前方駆動傾斜部22の傾斜面84と摺動可能に接合するように構成されてもよい。端板12、14の後方傾斜面54は、後方傾斜部26の傾斜面88と摺動可能に接合するように構成されてもよい。端面12、14の中間傾斜面54及び/又はキャリア端面36、40の傾斜面98は、中間傾斜部24の傾斜面86と摺動可能に接合するように構成されてもよい。駆動傾斜部22、24、26のうちの1つ以上が移動すると、1つ又は複数の傾斜面84、86、88は、上部及び下部端板12、14並びに上部及び下部キャリア端板36、40の対応する1つ又は複数の傾斜面54、98を押す。このようにして、個々の駆動傾斜部22、24、26は、上部及び下部端板12、14並びに上部及び下部キャリア端板36、40の拡張率を制御する。上部及び下部端板12、14並びに上部及び下部キャリア端板36、40は、拡張構成のうちの1つの中に外向きに押動される。
【0046】
図11~
図14を更に重点的に説明すると、インプラント10は、上部及び下部スパイクアセンブリ16、18を展開するように構成されたスパイク展開アセンブリ32を有する。上部スパイクアセンブリ16は、上部キャリア端板36にヒンジ連結された上部スパイク38を含み、下部スパイクアセンブリ18は、下部キャリア端板40にヒンジ連結された下部スパイク42を含む。スパイク展開アセンブリ32は、上部及び下部キャリア端板36、40と連結されたサイドカーキャリア34を含んでもよい。保持スパイク38、42の存在は、排出抵抗特徴を有さないスペーサよりも高い程度まで排出を防止する。保持スパイク38、42をインプラント10の内側に一体化することにより、スパイク38、42を展開するステップの数が減少し、スペーサ10を配置するために使用されるのと同じ挿入器を用いて展開することが可能になる。
【0047】
図5及び
図6を更に重点的に説明すると、スパイク38、42は、主端板12、14を通して展開されるように構成される。主端板12、14は、スパイク38、42を収容して案内する細長いサイドチャネル110を含む。各端板12、14は、インプラント10の主長手方向軸に沿って端板12、14の延長部分90を通るチャネル110を画定する。チャネル110は、それぞれのスパイク38、42を収容し、案内し、展開するようなサイズ及び寸法にされる。延長部分90は更に、キャリア端板36、40のタスク114を受容するための通路112を画定する。
【0048】
図7を更に重点的に説明すると、各キャリア端板36、40は、インプラント10の前部46に向かって延在する細長いタスク114を含む。タスク114は、多角形断面、例えば、通路112の形状及び寸法に対応する略正方形又は長方形形状を有してもよい。タスク114は、キャリア端板36、40と一体であってもよく、又は好適な様式でそれに連結されてもよい。上部及び底部キャリア端板34、40は、キャリア端板36、40の前縁から延在し主端板12、14内のそれぞれの通路112の中に挿入されるタスク114を介して、上部及び底部主端板12、14にそれぞれ拘束される。タスク114は、デバイス10の主長手方向軸に沿った主端板12、14に対するキャリア端板36、40の並進を可能にするが、全ての他の並進及び回転を制限する。
【0049】
図9及び
図10に示されるように、各スパイク38、42は、ピン116によってそれぞれのキャリア端板36、40に接続されてもよい。ピン116は、端板36、40とスパイク38、42との間の枢動可能な結合を提供するように、キャリア端板36、40内の開口118を通して受容可能であってもよい。アンカー又はスパイク38、42は、端板36、40に結合された近位端120から遠位端又は自由端122まで延在してもよい。スパイク38、42の自由端122は、骨を貫通するように構成された尖った又は鋭い端部122を有することができる。スパイク38、42は、スパイク38、42が展開されるにつれて更に外向きに移動するように、その本体に沿って湾曲又は輪郭形成されてもよい。湾曲したスパイクが例示されているが、スパイク38、42は、デバイス10の排出に抵抗するように構成された任意の適切なアンカー、シム、又はファスナを含むことができる。
【0050】
キャリア端板36、40が主端板12、14に向かって前方に進むと、タスク114は通路112を通って移動し、スパイク38、42は主端板12、14内の切欠きチャネル110を通って移動する。キャリア端板36、40が前方に移動するにつれて、スパイク38、42は、チャネル110のそれぞれのフロア上で底に達し、スパイク38、42をキャリア端板36、40に接続するそれぞれのピン116の軸を中心にスパイク38、42を回転させる。
図10に最もよく見られるように、スパイク38、42は、主端板12、14の上面及び底面から出現し、それによって、スパイク38、42を隣接する椎体内に外向きに展開する。
【0051】
ピン116が例示されているが、スパイク38、42の取り付け及び捕捉は、いくつかの方法で達成され得ることが理解されるであろう。本明細書で提示される実施形態では、スパイク38、42は、キャリア端板36、40内の壁によって捕捉され、ピン留めされる。この構成はまた、スパイク自体の側面から離れたピン状ポストを組み込むことによって達成されてもよく、これは、追加の構成要素の必要性を低減し得る。取り付けはまた、例えば、スパイクの端部上のねじ山付きボールが、雌ねじ付き球状ソケット内に螺入されることを可能にする、ねじ山付きボール及びソケットインターフェースによって達成されてもよい。
【0052】
図8を更に重点的に説明すると、後方傾斜部26は、サイドカーキャリア34の動きを方向付けてロックするために、ダブテール130及び保持タブ132を含んでもよい。後方傾斜部26は、ボア62の周りに一対のアーム134を含んでもよい。各アーム134の内面は、例えば器具と係合するように構成されたねじ部を画定してもよい。後方傾斜部26の1つのアーム134は、傾斜部26の外側面に沿ってダブテールスロット130を画定することができる。キャリア34は、後方傾斜部26のダブテールスロット130と嵌合する対応するダブテールを有し、キャリア34がデバイス10の主長手方向軸に沿って後方傾斜部26に対して並進することを可能にする一方で、全ての他の並進又は回転を制限する。ダブテール130は、キャリア34が捕捉され、傾斜部26から完全に後退することができないように、後方傾斜部26の後部に向かって高さが減少する経路に従うことができる。
【0053】
保持タブ132は、展開後にスパイク38、42の後退を防止するための自動ロックとして機能してもよい。保持タブ132は、正方形又は長方形タブ等の多角形タブを画定するレリーフカットから形成されてもよい。タブ132は、例えば、インプラント10の前端46に向かって外向きに突出するように構成されてもよい。このようにして、サイドカーキャリア34がタブ132の上を通過するとき、タブ132は外側に起き上がり、サイドカーキャリア34がインプラント10の後端48に向かって戻るのを防止する。
図11に最もよく見られるように、スパイク展開アセンブリ32が完全に後退させられると、サイドカーキャリア34は、後方傾斜部26上の保持タブ132をブロックする。
図12に最もよく見られるように、スパイク展開アセンブリ32が完全に前方に進められると、サイドカーキャリア34は、後方傾斜部26の保持タブ132を解放し、これにより、スパイク展開アセンブリ32が後方に並進することが阻止され、それにより、スパイク38,42が展開された状態に保たれる。自動ロック保持タブ132の存在により、スパイク38、42を保持するための追加のロックステップの必要性が低減する。
【0054】
例示的な実施形態では、キャリアアセンブリ32全体がスペーサ本体内に内蔵されている。このようにして、別個のスパイク又は他の反発防止要素は、デバイス10を固定するために必要とされない。ダブテール130及び保持タブ132が本明細書で例示されているが、スパイク38を展開構成にロックすることは、いくつかの方法で達成され得ることが理解されるであろう。例えば、同じ機能を達成する別の方法は、サイドカーキャリア34又はキャリア端板アセンブリ32を挿入器上に位置決めすることを含んでもよい。次いで、挿入器は、自動ロック機構を前方に押し、スパイク38、42を直接保持するように構成される。
【0055】
図11~
図14を更に重点的に説明すると、一実施形態に従って固定デバイス10を設置し、組み立てる方法を示している。固定デバイス10の挿入前に、椎間腔が準備される。椎間板内骨切り術は、後方要素及び黄色靭帯の骨切り術と、下にある硬膜嚢及び椎間板腔への広い通路を開くこととを含み得る。骨刀は、後方骨棘及び椎間板を除去するために使用され得る。1つの方法では、椎間板切除術が行われ、椎間板はその全体が除去されるか、又は一部が除去される。隣接する椎体の終板を掻爬して、椎間腔にわたる骨成長を容易にするために露出した端面を作り出し得る。前縦靭帯(ALL)は、スプレッダ又は鈍的切開を介して解放されてもよい。
【0056】
1つ以上の内視鏡管を椎間板腔に挿入し得る。
図11に最もよく見られるように、1つ以上の拡張可能な固定デバイス10は、折り畳まれた構成で椎間腔内に導入され、椎間板腔内の適切な位置に据え付けられ得る。拡張可能なインプラント10は、後腰椎椎体間固定(PLIF)軌道を介して設置されてもよい。
【0057】
固定デバイス10が椎間板空間内の適切な位置に挿入された後、サイドカーキャリア34をインプラント10の前端46に向かって並進させることによって、
図12に示すように保持スパイク38、42を展開することができる。サイドカーキャリア34が前方に並進すると、上部及び下部キャリア端板36、40は、タスク114によって案内されて前方に並進する。キャリア端板36、40に枢動可能に接続されたスパイク38、42は、前方に並進し、外向きに枢動して展開構成になる。
【0058】
固定デバイス10は、スパイク38、42を展開する前又は後に、高さが拡張位置に拡張されてもよい。
図13に示されるように、端板12、14、36、40は、平行に拡張されてもよい。
図14に示されるように、端板12、14、36、40は、前弯構成で拡張されてもよい。拡張可能スペーサ10は、独立して調節可能な高さ及び前弯を提供し、それは、ユーザが、患者の固有の解剖学的構造に合致するように最終外形を微調整することを可能にする。
【0059】
ロッドは、骨切り術の前に配置されたねじに縮径されてもよく、ねじは圧縮される。ねじが互いに近づけられると、椎体は、椎体間スペーサによって形成された支点を中心に揺動することができ、分節前弯が増大し、所望の矯正をもたらす。
【0060】
ここで
図15~18を参照すると、拡張可能な固定デバイス10が、インプラント10を操作するための、及び/又はロボットシステム138と通信するための1つ以上の電気構成要素136を有する一実施形態に従って示されている。ロボット支援及び/又はナビゲート支援を使用して、椎体間インプラントの配置及び固定の精度/効率を事前計画し、向上させることができる。最終的な埋め込み位置におけるインプラント10の向き及び位置は、ロボットシステム及び/又はナビゲーションシステムを利用した術前及び術中スキャンによって最適化することができる。一体化されたスパイク16、18の所望の拡張及び展開のために、インプラントを正確に配向し、インプラントを整列させるために、ロボット及び/又はナビゲーション誘導が使用されてもよい。
【0061】
ロボット技術は、初期位置合わせのために椎体間インプラントを配置する前に撮影された画像を使用することができる。この手順は、動きマーカーの直接的な可視化に依存して、器具及びデバイスのリアルタイム位置を中継することができ、これは、最初の画像化に重ねられる。結果として、椎体間が配置されると、拡張及び結果として生じる解剖学的位置の変化は、ナビゲーションディスプレイ上に反映されなくなる可能性がある。したがって、直接的な視覚化を必要としない方法で、その位置及び向きをコンピュータに中継することができるインプラントが必要とされている。加えて、又は代替として、多数の独立して調節可能な特徴及び小さい作業通路を用いて、インプラント10との直接機械的相互作用を必要とせずに、自律的に調節可能であるデバイスが必要とされている。
【0062】
一実施形態によれば、インプラント10は、インプラント10が拡張する前、拡張中、及び拡張した後に、インプラントの位置及び向きをロボット138に通信するように構成される。
図18は、埋め込み式電気構成要素136を有するインプラント10と、インプラント10を設置するように構成された電磁石152及び無線充電器154を有する挿入器150と、インプラント10との間で情報を送受信するように構成された無線受信機156及び無線送信機158を有するロボット/ナビゲーションシステム138と、駆動ねじ28、30と、スパイク38、42を展開するための保持スパイクキャリア34と、高さ及び前弯を調整するための駆動傾斜部22、24とを含むインプラント10の機械構成要素とを示すシステムフローチャートの一例を示す。インプラント10内の電気構成要素136は、構成要素間でエネルギー、電力、及び/又は情報を伝達するために、好適な様式で互いに電気的に結合又は接続されることが理解されるであろう。
【0063】
ロボット及び/又はナビゲーションシステム138は、可動ロボットアームに結合されたエンドエフェクタと、ロボットアーム及びエンドエフェクタを制御するための制御デバイス(例えば、プロセッサ及び当該プロセッサに結合されたメモリを有するコンピュータ)と、ユーザ入力を受信してユーザに情報を表示するためのディスプレイとを有する外科用ロボットシステムを含んでもよい。エンドエフェクタは、手術中に挿入器150を保持及び/又は案内するように構成されてもよい。ロボット/ナビゲーションシステム138は、インプラントの力及び位置情報などの情報をインプラント10から受信するための無線受信機156と、ユーザ入力をインプラント10に送信する無線送信機158とを含む。外科用ロボット及び/又はナビゲーションシステムの更なる例は、例えば、全ての目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第10,675,094号、米国特許第9,782,229号、及び米国特許出願公開第2017/0239007号に見出すことができる。
【0064】
一実施形態によれば、スペーサ10は、その位置をロボット及び/又はナビゲーションシステム138に中継することができ、これは、スペーサ10の配置後に位置合わせが失われたときの術前撮像に関連する重大な障害を克服する。加えて、スペーサの向き、位置、拡張、及び/又は展開をリアルタイムで追跡して、スペーサ配置後にナビゲートされる処置をより良く知らせることができる。
【0065】
インプラント10は、スペーサ10全体にわたって様々な構成要素に埋め込まれた、センサ140、146、メモリ/ストレージ/コンピューティングデバイス142、アクチュエータ144、162、電源164、及び無線通信システム160などの電気構成要素136を含むことができる。インプラント10は、例えば、コンピューティングユニット142、駆動ねじ28、30を作動させるためのモータ、無線通信ユニット160、サイドカーキャリア34を作動させるためのリニアサーボ162、及びデバイス10に電力を提供するための無線充電器164を受容するように構成される、外側筐体135を含んでもよい。
【0066】
電子構成要素136は、最大3つの主要動作に関与してもよい。(1)インプラント10にわたる力分布の測定、(2)インプラントの高さ及び前弯のその後の調整、及び/又は(3)インプラントの位置及び負荷の監視及び通信。ロボット138のエンドエフェクタ及び/又はユーザは、インプラント10を位置決めするための挿入器150を保持することができる。挿入器150内の無線充電器154は、インプラント10に電力を無線で提供するために使用されてもよく、電磁石152は、インプラント10による位置感知を補助するために使用されてもよい。
【0067】
図16~
図17に最もよく見られるように、1つ以上の力センサ140が、主端板12、14の中又は上に含まれてもよい。例えば、力センサ140は、上部主端板12及び下部主端板14の両方の前方部分及び後方部分に収容されてもよい。力センサ140は、荷重分布測定に関与し得る。
【0068】
計算ユニット142は、インプラント10内、例えば、後方傾斜部26内に含まれてもよい。計算ユニット142は、メモリ、ストレージ、及び/又はソフトウェアを有するプロセッサ又は処理ユニットを含んでもよい。計算ユニット142は、荷重分布を判断するために経時的に相対力を監視するように構成されてもよい。計算ユニット142は、適切な高さ/前弯の変化及び変化率を決定するために、アルゴリズムを介してこの負荷分布情報を供給する。
【0069】
決定が行われると、計算ユニット142は、インプラント10の高さを調整するように1つ以上の電気モータ144に通知する。例えば、一対のDCモータ144が、2つの駆動ねじ28、30の背後で筐体135内に設けられてもよい。計算ユニット142は、駆動量及び持続時間を含む情報をモータ144に提供してもよい。モータ144は、2つのねじ28、30を自動的に駆動又は回転させて、上部及び下部端板12、14に所望の量及びタイプの拡張を提供するように構成される。
【0070】
インプラント10は、1つ以上のホール効果センサ146を含んでもよい。例えば、ホール効果センサ146は、前方傾斜部22及び中間傾斜部24のそれぞれの上又は中に収容されてもよい。別個の電磁石152が、例えば、挿入器具150上に提供されてもよい。電磁石152が小さな磁場を生成すると、ホール効果センサ146は、挿入器150に堅固に拘束された後方傾斜部26からの前方傾斜部22及び中間傾斜部24の相対位置を検出する。前方傾斜部22、中間傾斜部24、及び後方傾斜部26の任意の所与の相対位置に対して、主端板12、14の単一の既知の位置及び向きが存在する。このようにして、ホール効果センサ146から読み取られた傾斜部22、24の相対位置は、リアルタイムインプラント位置状態を投影するのに十分な情報をもたらす。この情報は、センサ情報が計算ユニット142によって処理された後に、ロボット/ナビゲーションシステム138のディスプレイ上に投影することができる。情報は、システムフローチャート上で無線送信機及び無線受信機としても識別される無線通信ユニット160を介して無線で送信され得る。無線通信部160は、例えば、後方傾斜部26の本体に収容されてもよい。
【0071】
ユーザがインプラント10の最終的な配置を確認すると、コマンドがユーザによって発行され、展開を開始するために無線通信ユニット160によって受信される。計算ユニット142は、駆動開始及び持続時間を含む情報をリニアサーボモータ162に提供する。リニアサーボモータ162は、サイドカーキャリア34の後ろに収容されてもよく、キャリア34を前方に押し、それによって保持スパイク38、42を展開する。
【0072】
動作全体を通して、挿入器150は、受信充電器164とインターフェース接続する無線充電器154を端部に含むことができる。受信充電器164は、例えば、後方傾斜部26内に収容されてもよく、インプラント10の自動動作のための電源を提供する。このようにして、スペーサ10は、それ自体を自律的に駆動することができ、これにより、前方及び後方の高さ並びにアンカー展開を駆動するための複数のドライバの必要性が低減される。これにより、操作ワークフローが単純化され、スペーサ配置の効率が向上する。また、複数の器具が削減されることで、必要とされる作業通路、組織破壊が減少し、患者の回復時間を改善することができる。
【0073】
ここで
図19~
図27を参照すると、別の実施形態によるハイブリッドインプラント200が示されている。拡張可能なインプラント200は、インプラント10と同様に、スパイクの保持機構、チャネル形状、スパイク作動経路、及び/又はインプラント動作の順序に対するいくつかの修正を伴う、一体化された展開可能な保持スパイク16、18を含む。
【0074】
インプラント200は、拡張プラットフォーム及びサイドカースパイク展開アセンブリを含む。
図19に最もよく見られるように、拡張プラットフォームは、インプラント10と同様に、上部及び下部主端板12、14と、2つの同心駆動ねじ28、30と、2つの並進傾斜部構成要素22、24と、2つのロックナット77、104と、3つのPEEKワッシャ102、106とを含んでもよい。第3の後方傾斜部構成要素26は、拡張プラットフォームとスパイク展開プラットフォームとの間の接続部として機能することができる。
【0075】
スパイク展開プラットフォームは傾斜サイドカーキャリア34を含み、傾斜サイドカーキャリア34の傾斜部100が、2つのそれぞれのスパイク38、42を保持する2つのキャリア端板36、40に接続する。スパイク38、42及びキャリア端板36、40は、2つの主上部及び主下部端板12、14内のチャネル210、212の内外に並進し、2つの主上部及び主下部端板12、14は、傾斜ランプ54を用いて拡張プラットフォームに連結される。上部及び底部キャリア端板34、40は、キャリア端板36、40の前縁から延在し主端板12、14内のそれぞれの通路212の中に挿入されるタスク又はプッシャ214を介して、上部及び底部主端板12、14にそれぞれ拘束される。プッシャ214は、デバイス200の主長手方向軸に沿った主端板12、14に対するキャリア端板36、40の並進を可能にするが、全ての他の並進及び回転を制限する。
【0076】
拡張プラットフォームの移動は、高さの拡張を可能にし、スパイク展開プラットフォームは、スパイク16、18の展開を可能にする。
図20に最もよく見られるように、拡張可能なインプラント200は、折り畳み及び収縮位置で挿入され、その後、高さ及び/又は前弯において拡張されてもよい。キャリア端板36、40は、主端板12、14と係合し、高さ及び前弯拡張を通してそれらの移動に追従してもよい。
図21に最もよく見られるように、アンカー又はスパイク38、42は、安定性を提供し、椎間板腔からの排出を防止するために、隣接する椎体内に展開されてもよい。この実施形態では、ユーザは、インプラント200が高さ/前弯において拡張される前又は後のいずれかにスパイク38、42を展開する能力を有し、それにより、インプラント動作の順序及び手技のワークフローにおいて、より柔軟性が提供される。
【0077】
インプラント10について先に説明した実施形態では、保持スパイク38、42は、キャリア端板36、40にピン留めされる。ピン止めは、スパイク38、42がその展開作動経路を通って移動するときに、スパイク38、42をピン116の軸の周りで枢動させる。これは、スパイク38、42が展開されるときにインプラント自体を前方に引っ張ることができるフロントガラスワイパー作動経路をもたらすことができ、及び/又はスパイク38、42が椎骨終板内に弧状凹部を切削することができる。スパイク38、42のための保持及び展開機構としてピンを除去することにより、スパイク38、42が、ピンの周りを回転するのではなく、それ自体の曲率中心の周りを回転することが可能になる。これにより、展開中にフロントガラスワイパーが動くことがなく、スパイクの動きをそれ自体の形状に対して接線方向に保ち、骨内の保持が最適化され、展開中に空隙が形成される可能性が低減される。
【0078】
インプラント200に関するこの実施形態では、ピン(複数可)は、代替の可動ジョイントと置き換えられてもよい。例えば、
図22~
図24に示すように、ジョイントは、ピボットジョイント、ヒンジジョイント、サドルジョイント、ボールソケットジョイント、又はそれぞれのスパイク38、42を回転させ、枢動させ、かつ/又は延ばすための他の適切なジョイントを含むことができる。
図22~
図24の実施形態は、上部キャリア端板36及び上部スパイク38に関して図示及び説明されているが、この説明は、下部キャリア端板40及び下部スパイク42に等しく適用されることが理解されるだろう。
【0079】
図22A~22Bに示される一実施形態では、ジョイントは、キャリア端板プッシャ214の遠位端216上の対応するポケット218内に捕捉される、スパイク38、42の近位端120上の凸状基部202を伴うピボットジョイントを含んでもよい。このようにして、スパイク38、42は、凸状基部202とポケット218との境界面を介してキャリア端板プッシャ214内に保持される。ポケット218は、凸状基部202が垂直軸に沿って上下に移動することを可能にし、スパイク38、42は、前方に押され、回転し、その展開位置/配向に並進する。プッシャ214上のポケット218は、アンダーカットが凸状基部202の前面を引っ張り、展開後にスパイク38、42を後退させることができるように、アンダーカットされてもよい。
【0080】
アンカー又はスパイク38、42は、キャリア端板36、40と係合された近位端120から遠位端又は自由端122まで延在してもよい。スパイク38、42の近位端120は、例えば、概して凸状の外形を有する凸状基部202を含んでもよい。基部202の凸状外形は、丸みを帯びているが、非球形であってもよい。スパイク38、42の底面は、アンダーカット又はスロット204を画定してもよく、これにより、凸状基部202は、スパイク38、42の端部に張り出すか、又は下向きフックを形成する。スロット204は、滑らかな丸みを帯びた表面を有してもよい。スパイク38、42の反対側の自由端122は、骨を貫通するように構成された尖った又は鋭い端部122を有することができる。スパイク38、42の上面は、その長手方向長さに沿って1つ以上の溝又はスクープ206を画定することができる。例えば、一対のスクープ206は、それらの間の中央に延在するリブによって分岐されてもよい。スパイク38、42は、スパイク38、42が展開されるときに湾曲した経路を移動するように、所与の程度の湾曲で、その本体に沿って湾曲又は輪郭形成されてもよい。
【0081】
キャリア端板36、40は、隣接する椎骨(例えば、歯付き)と係合するための上面94と、中間傾斜部24及び/又はサイドカーキャリア34上の1つ以上の対応する傾斜部86、100と摺動可能に接合する傾斜部98を有する下面96とを含み、それによって、上部及び下部主端板12、14と連携してキャリア端板36、40の高さの拡張を提供する。タスク114と同様に、各キャリア端板36、40は、インプラント10の前部46に向かって延在する、延長部、ロッド、又はプッシャ214を含む。プッシャ214は、タスク114よりも断面が大きくてもよく、任意の好適な断面、例えば、主端板12、14を通る直線通路212の形状及び寸法に対応する円筒形又は多角形形状を有してもよい。プッシャ214は、キャリア端板36、40の前部から長手方向に延在してもよく、キャリア端板36、40と一体であってもよく、又は好適な様式でそれに連結されてもよい。
【0082】
図22Bに最もよく見られるように、プッシャ214は、先端又は自由端216で遠位に終端する。プッシャ214の上部は、スパイク38、42の対応する凸状基部202を受容するように構成されたポケット218を画定する。ポケット218は、先端216がプッシャ214の端部においてオーバーハング又は上方フックを画定するように、アンダーカットされてもよい。このようにして、先端216の上向きフックは、スパイク38、42のスロット204内に受容可能であり、基部202の下向きフックは、プッシャ214のポケット218内に受容可能である。ポケット218は、凸状基部202が垂直軸に沿って自由に上下に移動するが、依然としてその中に保持されるように成形される。これにより、スパイク38、42は、それら自体の曲率半径と一致する軸を中心に回転することができ、それにより、フロントガラスワイパーの動きがなくなる。
【0083】
ここで
図23A~23Bを参照すると、スパイク38、42をプッシャ214に接続するボールソケットジョイントの別の実施形態が示されている。この実施形態では、凸状基部202は、ボール222と置換され、プッシャ214内のポケット218は、ボール222を受容するように定寸及び構成されるソケット224と置換される。ボール222は、ソケット224内に受容可能な完全な球体であってもよい。球体222は、回転中の干渉を最小限に抑えるために、上部が部分的に切り取られていてもよい。ボール222は、ボール222に対して減少した直径を有するネック226を有するスパイク38、42の本体から分離されてもよい。ボールとソケットの組み合わせにより、スパイク38、42がジョイントの周りで枢動することが可能となり、それによって、スパイク38、42が枢動し、展開中に外向きに延びることが可能となる。
【0084】
ここで
図24A~24Bを参照すると、スパイク38、42をプッシャ214に接続する部分球及びソケットジョイントの別の実施形態が示されている。
図23A~23Bに示される実施形態と同様に、スパイク38、42の近位端120は、ボール222を含み、ボール222は、プッシャ214の遠位端216においてソケット224内に受容可能である。この実施形態では、ボール222は、部分球を画定することができ、ボール222を保持し、かつ/又はスパイク38、42の移動を案内するように構成された1つ以上のリブを含んでもよい。ネック226は、ボール222の切頭上面をスパイク38、42の本体に接続する平坦部を画定することができる。部分的なボール及びソケットの組み合わせにより、スパイク38、42がジョイントの周りで枢動することが可能となり、それによって、スパイク38、42が枢動し、展開中に外向きに延びることが可能となる。
【0085】
ここで
図25A~25Bを参照すると、サイドカーアセンブリは、後方駆動傾斜部26との摺動可能なインターフェースを介して移動可能である。インプラント10と同様に、後方傾斜部26は、サイドカーキャリア34の動きを方向付けてロックするために、1つ以上のダブテール230及び保持タブ232を含むことができる。この実施形態では、単一のダブテール130が、保持タブ232の両側に配置された一対の平行なダブテール230に置き換えられている。
図25Aに最もよく見られるように、摺動可能なダブテール230は、後方傾斜部26の本体内の凹部又はほぞ穴と、サイドカーキャリア34から延在する延長部又はほぞとを含むことができる。ほぞは、構成要素の分離に抵抗するように、自由端においてフレア形状にするか、又は拡大されてもよい。この構成は逆であってもよく、多少の摺動可能なダブテールが使用されてもよく、又はサイドカーキャリア34と後部傾斜部26との間の摺動可能な係合を可能にするために別のインターフェースが使用されてもよいことが理解されるであろう。後方傾斜部26の側面上の平行なダブテールスロット230は、サイドカーキャリア34上の対応するダブテールと係合し、サイドカーキャリア34が前方及び後方に摺動することを可能にする。キャリア端板36、40は、傾斜ランプ98を有し、傾斜ランプ98は、サイドカーキャリア34上の受容ランプ100と係合し、それにより、キャリア端板36、40は、サイドカーキャリア34と共に前後に牽引され、ランプ98、100に沿って上下に移動することも可能になる。後方傾斜部26及び/又はサイドカーキャリア34は、挿入器又は他の器具(図示せず)と接続するように構成された1つ以上のホルダ凹部234を含むことができる。
【0086】
図26~
図28を更に重点的に説明すると、上部及び下部端板12、14はそれぞれ、スパイク38、42を受容するためのチャネル210と、プッシャ214を受容するためのチャネル212とを画定する。インプラント10では、各端板12、14内に2つの別個のチャネル110、112があった:1つは、キャリア端板36、40からガイドタスク114を受容し、1つは、その展開経路を通して保持スパイク38、42を誘導した。インプラント200では、これらのチャネル210、212は互いに一致している。これにより、プッシャ214、保持スパイク38、42、及び関連付けられたチャネル210、212の両方を全て大きくすることが可能となり、これらの特徴の横方向入れ子の必要性が低減する。これらの変化は、インプラント200の製造性及び機械的強度に役立ち得る。
【0087】
図26に最もよく見られるように、スパイクチャネル210は、スパイク38、42の展開を保持及び案内するように構成された湾曲チャネルであり、プッシャチャネル212は、スパイク38、42が展開されるときにプッシャ214の遠位端216を受け入れるように構成された直線チャネルである。直線チャネル212は、端板12、14の前部と後部との間でインプラント200の主長手方向軸に概ね沿って延在するブラインドチャネルであってもよい。湾曲チャネル210は、各端板12、14の外面50に向かって外向きに弧を描いてもよい。スパイク38、42用の湾曲チャネル210及びプッシャ214用の直線チャネル212は、これらのチャネル210、212が互いに交差するように重なり合う。湾曲チャネル210及び直線チャネル212を、それらが重複するように配置することにより、両方のチャネル210、212が、端板12、14の所与のエンベロープ内でより大きくなることが可能となり、それによって、それらを通過する部材38、42、214のサイズ及び強度が増加される。
【0088】
図27に最もよく見られるように、後退位置では、スパイク38、42は、端板12、14を通る湾曲チャネル210の内側に保持される。プッシャ214は、スパイク38、42を保持すると共に、各キャリア端板36、40をその関連する主端板12、14上の直線チャネル212の内外に案内する。サイドカーキャリア34及びキャリア端板アセンブリが前方に押されると、各スパイク38、42は、主端板12、14内のそれぞれの湾曲チャネル210を通して展開される。プッシャ214は、前方に移動し、直線チャネル212に従う。
図28に最もよく見られるように、展開位置では、スパイク38、42は、湾曲チャネル210に従い、主端板12、14から外向きに延在する。スパイク38、42は、主端板12、14の上面及び底面から出現し、それによって、スパイク38、42を隣接する椎体内に外向きに展開する。
【0089】
更に、本発明の性質を説明するために記載し、図示した部品の詳細、材料、及び配置の様々な変更が、特許請求の範囲に表される本発明の範囲から逸脱することなく、当業者によって行われ得ることを理解されたい。当業者は、上記の実施形態が非限定的であることを理解できよう。一実施形態の1つ以上の特徴が、本明細書に記載の1つ以上の他の実施形態に部分的又は完全に組み込まれ得ることも理解されるであろう。
【外国語明細書】