(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068207
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】リアルタイムのトラクター・トレーラー質量測定のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
B60W 40/13 20120101AFI20240510BHJP
【FI】
B60W40/13
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023190162
(22)【出願日】2023-11-07
(31)【優先権主張番号】17/982,051
(32)【優先日】2022-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】523360544
【氏名又は名称】エンバーク トラックス インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ソロモン ジェニーン グデタ
(72)【発明者】
【氏名】サミ ラジャラ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン スカンロン
【テーマコード(参考)】
3D241
【Fターム(参考)】
3D241BA50
3D241CA15
3D241CC01
3D241CC08
3D241CC17
3D241CE04
3D241DB01Z
3D241DB46Z
3D241DB47Z
(57)【要約】 (修正有)
【課題】トレーラーの質量及びペイロードを測定するために必要な異なるセンサをトレーラーに装備することがしばしば非効率的でありかつ高価であるという問題を解決する、車両及びトレーラーの現在の質量を推定するためのシステム、方法及びコンピュータプログラムコードを提供する。
【解決手段】トレーラーが車両に取り付けられているかどうかを判定することと、車両及びトレーラーの静止質量の推定値をコンピューティングすることと、加速度測定値及び現在の正味力測定値のうちの少なくとも1つに基づいて、ゲーティング条件が満たされているかどうかを判定することと、ゲーティング条件が満たされている場合、車両及びトレーラーの推定動質量をコンピューティングすることと、(i)コンピューティングされた推定動質量、又は(ii)静止質量のうちの1つを車両及びトレーラーの現在の推定質量として使用すると判定することと、を含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の現在の質量を推定するためのシステムであって、
複数の車両システムからデータを受信する通信ポートと、
プロセッサと、を含み、前記プロセッサは、
トレーラーが前記車両に取り付けられているかどうかを判定することと、前記車両及び前記トレーラーの静止質量の推定値をコンピューティングすることと、
加速度測定値及び現在の正味力測定値のうちの少なくとも1つに基づいて、ゲーティング条件が満たされているかどうかを判定することと、
前記ゲーティング条件が満たされている場合、前記車両及び前記トレーラーのコンピューティングされた動質量をコンピューティングすることと、
(i)前記コンピューティングされた動質量、又は(ii)前記静止質量のうちの1つを前記車両及び前記トレーラーの現在の推定質量として使用すると判定することと、を行うように構成されている、システム。
【請求項2】
前記プロセッサは、
少なくとも第1の車両パラメータをコンピューティングすることを行うようにさらに構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記少なくとも第1の車両パラメータは、(i)前記トレーラーの推定水平重心、(ii)前記トレーラーの推定質量、及び(iii)前記トレーラーの推定車軸当たり荷重分布のうちの少なくとも1つである、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記少なくとも第1の車両パラメータと前記車両及び前記トレーラーの前記現在の推定質量を前記車両の制御システムに送信して、前記車両の動作を調整することを行うようにさらに構成されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記ゲーティング条件は、(i)前記車両の最小長手方向速度であること、及び(ii)ブレーキ力がほぼ0ニュートンに等しいことのうちの少なくとも1つをさらに必要とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記プロセッサは、
前記車両及び前記トレーラーの前記現在の推定質量の少なくとも一部に基づいて、少なくとも第1のトレーラーパラメータをコンピューティングすること行うようにさらに構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
トレーラーが前記車両に取り付けられていることを判定することは、
サスペンション圧力値を受信することと、
前記サスペンション圧力値をフィルタリングすることと、
前記フィルタリングされたサスペンション圧力値を所定のトレーラー検出限界と比較することと、を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記所定のトレーラー検出限界を確立することは、
トレーラーが前記車両に取り付けられていないときに、第1のサスペンション圧力値を受信することと、
トレーラーが前記車両に取り付けられているときに、第2のサスペンション圧力値を受信することと、
前記第1のサスペンション圧力値及び前記第2のサスペンション圧力値の平均として前記所定のトレーラー検出限界を確立することと、をさらに含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記フィルタリングされたサスペンション圧力値を所定のトレーラー検出限界と比較することは、
前記第1のサスペンション圧力値から前記所定のトレーラー検出限界を引いて、2で割ることによってヒステリシス値を確立することをさらに含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記コンピューティングされた動質量を前記車両及び前記トレーラーの現在の推定質量として使用すると判定することは、前記プロセッサが、
適格な推定カウンタが閾値を超えていると判定することをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記静止質量を前記車両及び前記トレーラーの現在の推定質量として使用すると判定することは、前記プロセッサが、
適格な推定カウンタが閾値未満であると判定することをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記車両及び前記トレーラーのコンピューティングされた動質量をコンピューティングすることは、カルマンフィルタを使用して動質量及び静止質量の推定値の融合を実行することをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記静止質量を前記車両及び前記トレーラーの前記現在の推定質量として使用すると判定することは、
トレーラーが前記車両に取り付けられていないと判定することをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
セミトラック及びトレーラーの現在の質量を推定するための方法であって、
トレーラーが車両に取り付けられているかどうかを判定することと、
前記車両及び前記トレーラーの静止質量の推定値をコンピューティングすることと、
加速度測定値及び現在の正味力測定値のうちの少なくとも1つに基づいて、ゲーティング条件が満たされているかどうかを判定することと、
前記ゲーティング条件が満たされている場合、前記車両及び前記トレーラーの動質量をコンピューティングすることと、
(i)前記コンピューティングされた動質量、又は(ii)前記静止質量のうちの1つを前記車両及び前記トレーラーの現在の推定質量として使用すると判定することと、を含む、方法。
【請求項15】
少なくとも第1のトレーラーパラメータをコンピューティングすることと、
前記少なくとも第1のトレーラーパラメータと前記車両及び前記トレーラーの前記現在の推定質量とを車両制御システムに送信して、前記車両の動作を制御することと、をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも第1のトレーラーパラメータは、(i)トレーラーの水平重心、(ii)トレーラー質量、及び(iii)前記トレーラーの車軸当たり荷重分布のうちの少なくとも1つである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
トレーラーが前記車両に取り付けられていることを判定することは、
サスペンション圧力値を受信することと、
前記サスペンション圧力値をフィルタリングすることと、
前記フィルタリングされたサスペンション圧力値を所定のトレーラー検出限界と比較することと、を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記所定のトレーラー検出限界を確立することは、
トレーラーが前記車両に取り付けられていないときに、第1のサスペンション圧力値を受信することと、
トレーラーが前記車両に取り付けられているときに、第2のサスペンション圧力値を受信することと、
前記第1のサスペンション圧力値及び前記第2のサスペンション圧力値の平均として前記所定のトレーラー検出限界を確立することと、を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記コンピューティングされた推定動質量を前記車両及び前記トレーラーの前記現在の推定質量として使用すると判定することは、
適格な推定カウンタが閾値未満を超えていると判定することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記車両及び前記トレーラーの推定された動質量をコンピューティングすることは、カルマンフィルタを使用して動質量及び静止質量の推定値の融合を実行することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
自律又は半自律車両は、加速、ステアリング、ギアシフト、ブレーキなどの制御を可能にするために、車両の状態に関するかなりの量の情報に依拠している。例えば、自動運転トラック、バス、自動車などの自律又は半自律車両、あるいは自動変速機を利用する車両は、加速及びステアリング制御のための正確な質量推定、様々な条件のための自動ギアシフト、及び燃料消費量の最適化に依存する。
【0002】
例えば、車両の加速制御における推進トルク及びブレーキ圧力は、車両の所望の加速度及び質量からコンピューティングされる。また、トレーラーに積荷がないトラックは、燃費を改善するためにギアをより高い値にシフトし得る。さらに、トレーラーのペイロード推定を使用して、トラックの性能及び安定性を改善することができる。
【0003】
多くの自律又は半自律車両は、質量のオンライン推定を可能にする多数のセンサを車両内に有する。しかし、トレーラーを引っ張るセミトラック又は他の車両は、トレーラーの質量及びペイロードを測定するために必要な異なるセンサをトレーラーに装備することがしばしば非効率的でありかつ高価であるという点で、特に困難な問題を提起する。
【発明の概要】
【0004】
セミトラック及びトレーラーの現在の質量を推定するためのシステム、方法、及びコンピュータプログラムコードであって、トレーラーが車両に取り付けられているかどうかを判定することと、車両及びトレーラーの静止質量の推定値をコンピューティングすることと、加速度測定値及び現在の正味力測定値のうちの少なくとも1つに基づいて、ゲーティング条件が満たされているかどうかを判定することと、ゲーティング条件が満たされている場合、車両及びトレーラーの推定動質量をコンピューティングすることと、(i)コンピューティングされた推定動質量、又は(ii)静止質量のうちの1つを車両及びトレーラーの現在の推定質量として使用すると判定することと、を含むものが提供される。
【0005】
いくつかの実施形態に従って、車両の推定質量をコンピューティングすることは、トラックとトレーラーの推定結合質量をコンピューティングすることと、少なくとも第1のトレーラーパラメータの値をコンピューティングすることと、トラックとトレーラーの推定結合質量と少なくとも第1のトレーラーパラメータを使用してトレーラーの推定質量をコンピューティングすることと、を含む。いくつかの実施形態によれば、トラックとトレーラーの推定結合質量と少なくとも第1のトレーラーパラメータとは、車両の動作を制御するために車両制御システムに提供される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
例示的な実施形態の特徴及び利点、並びにそれらが達成される方式は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明を参照することによって、より容易に明らかになるであろう。
【0007】
【
図1A】いくつかの実施形態に従う、セミトラック及びトレーラーの図である。
【
図1B】いくつかの実施形態に従う、セミトラック及びトレーラーの図である。
【
図1C】いくつかの実施形態に従う、セミトラック及びトレーラーの図である。
【
図1D】いくつかの実施形態に従う、セミトラック及びトレーラーの図である。
【0008】
【
図2】例示的な実施形態による、
図5A~
図5Cに示されるセミトラックなどの車両内に配備され得る制御システムを例示する図である。
【0009】
【
図3】いくつかの実施形態に従う、トラクター・トレーラー質量推定システムを例示する図である。
【0010】
【
図4】いくつかの実施形態に従う、トラクター・トレーラー質量推定プロセスを例示する流れ図である。
【0011】
【
図5A】例示的な実施形態により使用され得るセミトラックの外観図を例示する図である。
【
図5B】例示的な実施形態により使用され得るセミトラックの外観図を例示する図である。
【
図5C】例示的な実施形態により使用され得るセミトラックの外観図を例示する図である。
【0012】
図面及び詳細な説明を通して、特に説明しない限り、同じ図面参照番号は、同じ要素、特徴、及び構造を指すものと理解される。これらの要素の相対的な大きさ及び描写は、明瞭さ、図示、及び/又は便宜のために誇張されるか、又は調整され得る。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の説明では、様々な例示的な実施形態の完全な理解を提供するために、特定の詳細が記載される。実施形態に対する様々な修正は、当業者には容易に明らかであり、本明細書で定義される一般的な原理は、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、他の実施形態及び用途に適用され得ると理解されたい。さらに、以下の説明では、説明を目的として多くの詳細が記載される。しかし、当業者は、これらの特定の詳細を使用せずに実施形態が実施され得ると理解すべきである。他の例では、不要な詳細で説明を不明瞭にしないように、周知の構造及びプロセスは示されないか、又は説明されない。したがって、本開示は、示された実施形態に限定されることを意図しないが、本明細書に開示された原理及び特徴と一致する最も広い範囲が与えられるべきである。
【0014】
いくつかの実施形態によれば、トラック及びトラックシステムは、モデルフリーカルマンフィルタを利用する推定融合を使用して、トラクター・トレーラーの結合質量推定を示す出力を生成するように構成された推定器が提供される。モデルフリーカルマンフィルタは、ゲーティングされた長手方向合力及び加速度データからコンピューティングされた生の質量に基づくシステム、エアバッグサスペンション圧力データ、及びトラックの予測質量に基づくシステム出力を含む。いくつかの実施形態によれば、長手方向合力は、正味の推進力、ブレーキ、空気抵抗、転がり摩擦、及びトラックに作用する重力を結合することによって見出される合力である。長手方向合力は、コントローラエリアネットワーク(「CAN」)バス及び位置特定モジュールからの情報に基づいて、トラック推定パッケージによって提供される。長手方向加速度は、GPS、IMU及びCANデータからの測定値を融合する推定パッケージによって提供される。いくつかの実施形態では、長手方向加速度オフセットは、道路勾配、転がり摩擦、及び回転慣性の効果による質量係数のうちの少なくとも1つに基づく。
【0015】
便宜上かつ提示の分かりやすさのために、多くの用語が本明細書で使用される。例えば、「セミトラック」という用語は、例示的な実施形態のシステムが使用され得る車両を指すために使用される。本明細書における「車両」という用語は、トラックとトレーラーの組み合わせを指すために使用されてもよい。さらに、本開示を読んだ後に当業者に明らかになるように、本発明の実施形態は、他のタイプの車両と併せて使用され得る。一般に、実施形態は、トレーラーを牽引する任意の車両と併せて、望ましい結果を伴って使用され得る。本明細書で使用される場合、「ボブテイル」という用語は、トレーラーが取り付けられていないときのセミトラックを指すために使用される。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態の特徴を、添付の図面を参照しながら説明する。一般に、
図1A~
図1Dは、本発明の実施形態を使用して、そのような車両の質量推定が生成され得るかを説明するために使用されるセミトラック及びトレーラーの寸法及び属性を紹介する。
図2は、セミトラックのような車両に配備され、セミトラックの動作に関連付けられた情報を収集及び処理する制御システムを示す。
図3は、いくつかの実施形態に従う質量推定を生成するために
図2の制御システムを使用して動作される推定システムを示す。
図4は、本発明を使用して質量推定を実行するために使用され得るプロセスを示す。
図5は、本発明のシステム及び方法が配備され得るセミトラック及びトレーラー(並びに関連付けられたセンサ及びコンポーネント)を示す。本開示を読むと、当業者は、実施形態が、望ましい結果と共に他のタイプの車両の質量を推定するために使用され得ることを理解するであろう。
【0017】
最初に、トレーラー120を引っ張るセミトラック102の図、及びいくつかの実施形態の特徴を説明するために本明細書で参照されるいくつかの角度及び測定値を示す
図1A~
図1Dを参照する。一般に、トレーラー120の質量を理解することは、セミトラック102の動作に関連付けられた重要な性能の示唆を有する。実施形態は、トレーラー120上又はその中に装着される追加のセンサ又は機器を必要とすることなく、トレーラー120の質量(及びセミトラック102とトレーラー120の結合質量)の推定を可能にする。最初に
図1Aを参照すると、l
2(トレーラーの長さ)及びl
w2(キングピン112とトレーラー車軸との間の距離)を含む、トレーラー120に関連付けられたいくつかの関心がある寸法が示されている。セミトラック102の高さ(h
1)、前車軸から後車軸までのセミトラック102の長さ(l
b)、及びトラックのホイールベース(l
w3)を含む、セミトラック102に関連付けられたいくつかの寸法も関心がある。
図1に示すように、キャビンピッチ角(θ
R)及び路面勾配(θ
C)を含むいくつかの配向角も関心がある。
図1はまた、キングピン120から距離a
2に位置付けられたトレーラー120の重心126を示す。本明細書で使用される場合、トレーラー120は、m
trailer又はm
2で表される質量を有し、F
kpと呼ばれるキングピン112における力及びW
atと呼ばれるトレーラー112の後車軸における力を有する。言い換えると、トレーラーの荷重は、そのキングピンと車軸を介して反応する。F
kpは、キングピン112によって反応される荷重であり、W
atは、トレーラーの車軸によって反応される荷重である。
【0018】
トラクター又はセミトラック102に結合されると、セミトラックの第5車輪(セミトラック102とトレーラー120との間の接続点)が駆動車軸のほぼ中心にあるため、キングピン112の荷重のほぼ全てがセミトラック102の駆動車軸を介して反応する。さらに、第5車輪は、セミトラック102のフレーム(ばね上質量)に取り付けられ、したがって、キングピン荷重が増加すると、駆動車軸のサスペンションを通る荷重も増加する。サスペンションを通る荷重のこの増加は、一定のばね率が与えられた場合に静的な乗車高さの変化をもたらすので、ほとんどのクラス8セミトラックは、静的キングピン荷重の変化を補償して一定の静的乗車高さを維持する可変空気ばねサスペンションシステムを用いる。
【0019】
出願人は、キングピン荷重と空気ばね圧力との間には、可能な荷重の全範囲にわたって直線関係があることを判定した。実施形態は、この関係を使用して、空気サスペンション圧力からキングピン112における荷重を推定する。空気サスペンションシステム及び監視の更なる詳細は、
図1Dと併せて以下に更に説明される。
【0020】
図1Aはまた、トレーラー120の2つの寸法特性を示す。L
w2は、キングピン112からトレーラー車軸中心線(
図1Bの項目121に示す)までの距離であり、a
2は、長手方向におけるトレーラー120のキングピン112とトレーラー120の重心126との間の距離である。
図1Aはまた、トレーラー車輪124、並びにセミトラック102の前輪126及び後輪125を示す。当業者は、
図1(及び開示全体を通して)に示す構成が例示的であり、本発明の実施形態がトラック及びトレーラーの構成で使用され得ることを理解するであろう。
【0021】
セミトラック102とトレーラー120の底面図が
図1Bに示されており、セミトラック102のフロントタイヤ間の距離(W
fb)、セミトラック102の後部左タイヤと後部右タイヤとの間の距離(W
rb)、及びトレーラー120の左タイヤと右タイヤとの間の距離(W
t)を含む、いくつかの他の関心のある寸法を示している。
図1Bはまた、トラック操舵車軸127及び駆動車軸128(キングピン112は、一般に、後車軸128の上に位置付けられる)、並びにトレーラー車軸121を示す。当業者は、本開示を読むと、実施形態が、他のタイプのトレーラー(
図1又は本明細書の他の箇所に示されたものとは異なる車輪、車軸、又は他の構成を有するものを含む)のトレーラー質量を推定する際に使用するように適合され得ることを理解するであろう。
【0022】
ここで、
図1Cを参照すると、これは、セミトラック102及びトレーラー120の軌道の関節式単一軌道モデル及び対応する関心のある測定値を示す。例えば、
図1Cは、トラクター前タイヤにおける操舵角(δ)、長手方向速度(v
x)、横方向速度(v
y)、トラクターヨー(ψ
1)、トレーラーヨー(ψ
2)、トラクター質量(m
1)、トレーラー質量(m
2)、トラクター慣性モーメント(I
1)、トレーラー慣性モーメント(J
1)、及び関節角度(φ)を示す。
図1Cはまた、前車軸からトラクター重心までの距離(a
1)、キングピンからトレーラー重心までの距離(a
2)、トラクター後車軸からトラクター重心までの距離(b
1)、及びトラクター車軸からトレーラー重心までの距離(b
2)を含むいくつかの距離を示す。
図1A~
図1Cに示す測定値及び寸法は、いくつかの実施形態の特徴の説明を補助するために、以下の開示において参照される。
【0023】
ここで、
図1Dを参照すると、トレーラー120の後輪124の部分上面図が示されている。一般に、
図1Dは、いくつかの実施形態と併せて使用され得るエアライド圧力システム130のレイアウトを示す。エアバッグ圧力システム130は、空気供給源132、1つ以上のレベリング弁134、1つ以上のT字型フィッティング138、及び1つ以上の圧力変換器140を使用して、トレーラー120のレベリングを提供するためにトレーラー120の車輪124を接続する車軸(
図1Dには示されていないが、
図1Bには部分的に示されている)上に配向された多数のエアバッグ136(又は「空気ばね」)を含む。エアバッグ圧力管理システム130は、(空気供給源132、レベリング弁134、及びエアバッグ136からなる)相手先ブランド名製造(OEM)エアバッグシステムに基づき得る。いくつかの実施形態によれば、T字型フィッティング138は、エアバッグ136及び圧力変換器140(例えば、150psi圧力変換器であってもよい)と一直線に配管される。圧力変換器140は、車両電源から無調整の励磁及び接地を受け、内部で調整され得る。圧力変換器140は、車両制御システム240(例えば、
図2のシステム240など)にデジタル信号として提供するために、12ビットのアナログ-デジタルコントローラを使用して変換されるアナログ出力(例えば、1~5ボルトのアナログ出力信号など)を提供する。圧力信号は、以下にさらに説明するように、本発明の推定処理で使用するためにサスペンション圧力データを提供するために使用される。
【0024】
本発明の実施形態は、運転者動作式、半自律、及び完全自律車両を含む、多くの異なるタイプの車両と併せて使用され得る。本発明の特徴を例示するために、自律又は半自律セミトラックと併せて使用され得る実施形態が説明される。いくつかの実施形態では、これらの車両は、
図2に示す制御システム200などの制御システムと共に配備され得る。
図2は、例示的な実施形態による、
図5A~
図5Cに示されるセミトラック500などの車両内に配備され得る制御システム200を例示する。いくつかの実施形態によれば、制御システム200は、セミトラック102及びトレーラー120の質量推定値(個別に、並びに結合システム質量)を生成するために使用され得る。制御システム200は、例えば、ゲートウェイ280を介して車両のコンポーネントを制御する制御動作を含む動作を実行するために、中央コンピュータシステム240に提供されるデータ及び情報を収集するセンサ210を含み得る。いくつかの実施形態によれば、ゲートウェイ280は、コンピュータシステム240が異なる製造業者からの異なるコンポーネントを制御することを可能にするように構成されている。
【0025】
中央コンピュータシステム240は、1つ以上のプログラム又はルーチンを動作又は実行するために使用され得る。例えば、以下にさらに説明されるように、いくつかの実施形態に従って、中央コンピュータシステム240は、以下、
図3及び
図4と併せてさらに説明される推定処理などの推定処理を実行してもよい。
【0026】
中央コンピュータシステム240には、本明細書において他の箇所で説明されるような本発明の実施形態の特徴を実装する処理を実行すると共に、車両のシステムに関連付けられた1つ以上のアクチュエータ又は他のコントローラ(例えば、スロットル284、ステアリングシステム286、ブレーキ288などのアクチュエータ又はコントローラを含む)を制御するための制御信号を生成する際に使用するためにセンサ210からセンサデータを受信するために、1つ以上の中央処理ユニット(CPU)242が構成され得る。一般に、制御システム200は、自律(又は半自律)動作モードでセミトラック500を動作させるように構成され得る。
【0027】
例えば、制御システム200は、セミトラック500の様々な位置に装着された1つ以上のカメラ212から画像を捕捉し、これらの画像に処理(画像処理など)を実行して、セミトラック500の経路に近接する又はその経路内の物体を識別するように動作され得る。さらに、1つ以上のライダー214及びレーダ216センサが車両上に位置付けられて、セミトラック500の経路に近接する又はその経路内の物体の存在及び体積を感知又は検出し得る。
【0028】
他のセンサも、位置データなどの他の情報を捕捉するために、セミトラック500の様々な位置に位置付け又は装着され得る。例えば、センサは、1つ以上の衛星測位センサ、及び/又はGNSS/IMU218のような慣性航法システムを含み得る。全地球航法衛星システム(GNSS)は、GNSS受信機と呼ばれるデバイスに、地球上又は地球近傍のあらゆる気象条件における位置情報(経度、緯度、高度)及び時間情報を提供する宇宙ベースの衛星システムである。慣性計測ユニット(「IMU」)は、慣性航法システムである。一般に、慣性航法システム(「INS」)は、移動物体の方位、位置、速度、及び加速度を測定し、統合する。INSは測定データを統合し、GNSSは、INS方位計算の統合誤差に対する補正として使用される。本発明の特徴と併せて、任意の数の異なるタイプのGNSS/IMU218センサが使用され得る。これらのセンサの各々によって収集されたデータは、コンピュータシステム240によって処理されて、セミトラック500の動作を制御する制御信号を生成し得る。
【0029】
いくつかのセンサデータは、コントローラ及びデバイスがホストコンピュータなしで互いに通信することを可能にするコントローラエリアネットワーク(「CANバス」)メッセージベースのプロトコルを介して、コンピュータシステム240に渡され得る。例えば、実施形態は、CANバスプロトコルを使用して、(例えば、本明細書にさらに説明されるように質量推定を実行する際に使用するために)車両のエンジン及びトランスミッション情報を取得し得る。
【0030】
例えば、
図3~
図4と併せて説明されるように制御システム200によって計算された推定質量データは、制御システム200によって処理及び使用されて、制御信号を生成して、必要に応じてスロットル284、ステアリング286、又はブレーキ288を調整して、セミトラック500を安全に動作させ得る。例えば、いくつかの実施形態は、車両質量並びにトレーラーパラメータ(荷重重心及びトレーラー質量の推定値など)の推定を可能にし、これらの推定値は、セミトラック500の動作をより正確に制御するために(例えば、推定質量に基づくスロットル284の微調整を可能にするために)使用され得る。
【0031】
コンピュータシステム240は、
図4のプロセス400のようなプロセスを実行して質量推定値を生成するように動作するコンピュータコードを含み得る。コンピュータシステム240はまた、トレーラーの向きに関連付けられた情報を(例えば、I/Oデバイス248を介して)オペレータに表示させ得る。
図2には、例示的なセンサ及びアクチュエータ、又は車両システムが示されているが、当業者は、本開示を読むと、他のセンサ、アクチュエータ、又はシステムも使用され得ると理解するであろう。
【0032】
制御システム200は、1つ以上のソフトウェア、又は制御アプリケーション(アイテム260~282など)が実行されて、本明細書に説明される処理を実行し得るコンピューティング環境を提供するように構成されたコンピュータシステム240(例えば、コンピュータサーバ)を含み得る。いくつかの実施形態では、コンピュータシステム240は、セミトラック500に配備される(例えば、
図5Cに示すように、スリーパ室512内に位置付けられたシステムラック540に配備され得る)コンポーネントを含む。コンピュータシステム240は、セミトラック500からリモートであり得る他のコンピュータシステム(図示せず)と通信し得る(例えば、コンピュータシステムは、ネットワーク接続を介して通信し得る)。
【0033】
本明細書に説明される様々な実施形態によれば、コンピュータシステム240は、サーバとして実装され得る。いくつかの実施形態では、 コンピュータシステム240は、パーソナルコンピュータシステム、クラウドプラットフォーム、サーバコンピュータシステム、シンクライアント、シッククライアント、ハンドヘルド又はラップトップデバイス、タブレット、スマートフォン、データベース、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサベースのシステム、セットトップボックス、プログラマブル消費者電子機器、ネットワークPC、ミニコンピュータシステム、メインフレームコンピュータシステム、分散クラウドコンピューティング環境などであるが、これらに限定されない多数の周知のコンピューティングシステム、環境、及び/又は構成のいずれかを使用して構成され得、これらは、上記のシステム又はデバイスなどのいずれかを含み得る。コンピュータシステム240は、車両上に配備されるものとして示されているが、いくつかの実施形態では、コンピュータシステム240のコンポーネントのうちのいくつかは、車両からリモートで配備され得る。
【0034】
コンピュータシステム240及び制御システム200によって、多数の異なるソフトウェアアプリケーション又はコンポーネントが実行され得る。例えば、図示のように、1つ以上のカメラ212によって捕捉された画像及びライダー214によって得られた情報を処理するために、能動的学習機械処理(能動的学習コンポーネント260)を実行するアプリケーションが提供され得る。例えば、画像データは、これらの画像内の関心がある物体(例えば、他の車両、建設標識など)を識別する深層学習セグメンテーションモデル262を使用して処理され得る。以下、
図3及び
図4に併せてさらに説明されるように、コンピュータシステム240はまた、位置特定データを受信し、トラック質量推定を実行し、エゴ及びトラック状態推定を実行し、トラック測定データを受信又は識別し、トレーラー状態情報を受信又は識別し、車両パラメータ推定を実行するなどの処理を実行し得る。
【0035】
これらのアプリケーション又はコンポーネント(並びに本明細書に説明された他のコンポーネント又はフロー)は、ハードウェア、プロセッサによって実行されるコンピュータプログラム、ファームウェア、又は上記の組み合わせで実装され得る。コンピュータプログラムは、記憶媒体又は記憶デバイスなどのコンピュータ可読媒体上で具現化され得る。例えば、コンピュータプログラムは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、リードオンリーメモリ(ROM)、消去可能なプログラマブルリードオンリーメモリ(EPROM)、電気的消去可能なプログラマブルリードオンリーメモリ(EEPROM)、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、コンパクトディスクリードオンリーメモリ(CD-ROM)、又は当技術分野で知られている他の任意の形態の記憶媒体に存在し得る。
【0036】
記憶媒体は、プロセッサが記憶媒体から情報を読み出し、記憶媒体に情報を書き込んでもよいように、プロセッサに結合され得る。代替的に、記憶媒体は、プロセッサに統合され得る。プロセッサ及び記憶媒体は、特定用途向け集積回路(ASIC)に存在してもよい。代替的に、プロセッサ及び記憶媒体は、別個のコンポーネントとして存在してもよい。例えば、
図2は、上述のコンポーネントなどのいずれかを表すか、又はそれらに統合され得る例示的なコンピュータシステム240を例示する。
図2は、本明細書に説明される出願の実施形態の使用又は機能性の範囲に関するいかなる制限も示唆することを意図しない。コンピュータシステム240は、本明細書において上記に記載された機能性のいずれかを実装及び/又は実行することができる。
【0037】
コンピュータシステム240は、コンピュータシステムによって実行されるプログラムモジュールなどのコンピュータシステム実行可能な命令の一般的なコンテキストに説明され得る。一般に、プログラムモジュールは、特定のタスクを実行するか、又は特定の抽象データ型を実装するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、ロジック、データ構造などを含み得る。コンピュータシステム240は、タスクが通信ネットワークを介してリンクされたリモート処理デバイスによって実行される分散クラウドコンピューティング環境で実施されてもよい。分散クラウドコンピューティング環境では、プログラムモジュールは、メモリ記憶デバイスを含むローカル及びリモートの両方のコンピュータシステム記憶媒体に位置し得る。
【0038】
図2に示すように、コンピュータシステム240は、汎用コンピューティングデバイスの形態で示されている。コンピュータシステム240のコンポーネントは、1つ以上のプロセッサ(CPU242及びGPU244など)、通信インターフェース246、1つ以上の入出力インターフェース248、及び1つ以上の記憶デバイス250を含んでもよいが、これらに限定されない。図示されていないが、コンピュータシステム240は、システムメモリを含む様々なシステムコンポーネントをCPU142に結合するシステムバスも含み得る。いくつかの実施形態では、入出力インターフェース248は、ネットワークインターフェースも含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、制御システム200のコンポーネントの一部又は全部が、コントローラエリアネットワーク(「CAN」)バスなどを介して通信し得る。
【0039】
記憶デバイス250は、様々なタイプ及び形態の非一時的なコンピュータ可読媒体を含み得る。このような媒体は、コンピュータシステム/サーバによってアクセス可能な任意の利用可能な媒体であり得、揮発性媒体と不揮発性媒体の両方、リムーバブル媒体と非リムーバブル媒体を含み得る。システムメモリは、一実施形態では、他の図の流れ図を実装する。システムメモリは、ランダムアクセスメモリ(RAM)及び/又はキャッシュメモリなどの揮発性メモリの形態のコンピュータシステム可読媒体を含むことができる。別の例として、記憶デバイス250は、取り外し不可能な不揮発性磁気媒体(図示せず、典型的には「ハードドライブ」と呼ばれる)に対して読み書きすることができる。示されていないが、記憶デバイス250は、磁気、テープ、又は光ディスクドライブなどの1つ以上の取り外し可能な不揮発性ディスクドライブを含み得る。このような場合、各々は、1つ以上のデータ媒体インターフェースによってバスに接続され得る。記憶デバイス250は、アプリケーションの様々な実施形態の機能を実行するように構成されているプログラムモジュールのセット(例えば、少なくとも1つ)を有する少なくとも1つのプログラム製品を含み得る。
【0040】
ここで、
図3を参照すると、セミトラック102及びトレーラー120(又はその組み合わせ)の質量を推定するためのシステム300を示すブロック図が示されている。
図3に示すように、システム300は、セミトラック102に関連付けられ、かつ本発明のいくつかの実施形態により質量推定を実行するために使用されるいくつかのデバイス、コンポーネント、及びセンサを含み得る。システム300は、セミトラック102及び/又はトレーラー120の質量推定を実行するように動作し得る。システム300は、
図5A~
図5Cと併せて説明されるセミトラック500に示されるものなどの他の車両センサ及びシステム、並びに
図2の制御システム200と併せて作用してもよい。すなわち、1つの実際的な用途では、
図3に示す質量推定システム300は、他の車両センサ及びシステムと併せて車両に配備される。いくつかの実施形態では、システム300のコンポーネント又はモジュールのうちのいくつか(又は全て)が、車両からリモートで配備され得る。
【0041】
質量推定システム300は、例えば
図2の中央コンピュータシステム240によって実行され得る1つ以上のソフトウェアモジュール又はコンポーネントを含む多数のコンポーネントを含み得る。例えば、モジュール又はコンポーネントは、トラック測定モジュール318、位置特定モジュール304、トラック推定モジュール306、エゴ推定モジュール312、エゴパラメータ推定モジュール322、及びトレーラー状態モジュール320を含む。これらのモジュールの各々は、1つ以上のセンサ、コンポーネント、又はモジュールからデータを受信し、出力データ(例えば、道路勾配データ、圧力データ、CANデータなどを含む)を生成する。さらに、モジュール(例えば、エゴ推定モジュール312、トラック推定モジュール306、及びエゴパラメータ推定モジュール322)は、本明細書に説明されるように、セミトラック500を制御するために中央コンピュータシステム240によって使用されるデータ又は他の信号を出力し得る。
【0042】
位置特定モジュール304は、例えば、車両の地理的位置に関連付けられたデータを(例えば、位置特定モジュール304が、例えば、車両が経験している現在の道路勾配に関連付けられたパラメータ(θR)を計算するための情報を含む道路勾配情報を推定することを可能にする情報を提供する3dマップモジュール302などから)受信する。位置特定モジュール304は、3dマップモジュール302からのデータ又は他の情報(例えば、セミトラックに取り付けられた他のセンサからの情報など)を使用して、道路勾配データを計算し得る。
【0043】
トラック測定モジュール318は、車両上の他のコンポーネント又はシステム、例えばコントローラエリアネットワーク(「CAN」)バスからデータを受信する。トラック測定モジュール318は、トラック測定データを、エゴ推定モジュール312、トラック推定モジュール306、エゴパラメータ推定モジュール322、及びトレーラー状態モジュール320などの他のモジュールに出力し得る。例えば、トラック測定モジュール334は、車両のエアバッグサスペンション圧力データに関する情報を、質量計算を実行する際に使用するために、エゴパラメータ推定モジュール322に提供するように構成され得る。推定質量データは、例えば、トラック測定モジュール318にアクセス可能なパラメータとして記憶され得る。
【0044】
トラック測定モジュール318はまた、トレーラーの存在を自動的に判定する際に使用するために、エアバッグサスペンション圧力読み取り値をトレーラー状態モジュール320に提供し得る。いくつかの実施形態では、出願人は、(例えば、
図1Dに示すコンポーネントから受信される)エアバッグサスペンション圧力の読み取り値が、特に走行の開始時に、トレーラー120の存在を判定するための信頼できる方法であることを見出した。サスペンション圧力読み取り値は、トレーラー120がセミトラック102に取り付けられた直後に増加する。いくつかの実施形態によれば、トレーラー存在検出限界として使用できるサスペンション圧力値は、トレーラーが取り付けられていないときに、フィルタリングされたサスペンション圧力読み取り値を最初に記録することによって測定することができる。出願人は、平坦でない道路を運転することによって引き起こされる可能性のある読み取り値のスパイクを除去するためにフィルタリングを使用すべきであることを見出した。大きな時定数(例えば、約3分)を有するローパスフィルタは、トレーラー状態及び重量が急速に変化しないため望ましい。空のトレーラーを取り付けたときに測定が繰り返される。次いで、例えば、これらの圧力(トレーラーなしの圧力と空のトレーラーが取り付けた状態の圧力)の平均値を計算することによって、トレーラー存在限界値が確立され得る。ヒステリシス限界も(空のトレーラー圧力値からトレーラー存在限界を引いて2で割ることによって)計算され得る。限界値及びヒステリシス値は、制御システム200内に定数として記憶され得る。
【0045】
動作中、限界値及びヒステリシス値は、以下のように、トレーラー120の存在を判定するためにトレーラー状態モジュール320によって使用され得る。最初に、(
図1Dに示すように)サスペンション圧力が読み取られる。サスペンション圧力値は、(例えば)CANバス314を介して提供され、サスペンション圧力値と限界値及びヒステリシス値とをトレーラー状態モジュール320に提供し得るトラック測定モジュール318に提供され得る。サスペンション圧力をフィルタリングし、ヒステリシス値を加えてトレーラー検出限界と比較して、読み取り値が状態を更新するための限界と十分に異なるかどうかを判定してもよい。サスペンション圧力値が、トレーラー検出限界にヒステリシス値を加えた値よりも大きい場合、トレーラー120が存在する。そうでない場合、トレーラー120は存在しない。このトレーラー検出プロセスは、定期的に又は走行開始時に繰り返されてもよい。後述するように、トレーラーの存在は、
図4の質量推定処理の前提条件となってもよい。
【0046】
他のセンサデータもまた(又は代替的に)、トレーラー120の存在を判定するために使用されてもよい。例えば、後面センサ(ライダー、カメラなど)を使用して、トレーラー120の存在及び寸法を検出してもよい。エンジントルク及びブレーキ力もまた、トレーラー120の存在を検出するために測定され得るが、これらの技術は、車両が移動することを必要とし、これは、走行の開始時にトレーラー120の存在を検出することを困難にする。
【0047】
トラック推定モジュール306は、トラック測定モジュール318からトラック測定データを、位置特定モジュール304から道路勾配データを、エゴ推定モジュール312からエゴ状態データを、エゴパラメータ推定モジュール322の車両パラメータ推定モジュール330から車両パラメータデータを受信する。トラック推定モジュール342は、この情報を推定質量データと共に使用して、本明細書にさらに説明されるように、推定正味力を計算する。
【0048】
エゴ推定モジュール312は、ナビゲーションシステムなどのシステム、並びに、例えばGPS308及びIMU310などのセンサ又はコンポーネントから、車両の位置及び移動に関連付けられたデータを受信する。エゴ推定モジュール312は、この位置及び移動情報並びに(トラック測定モジュール318からの)CANデータを使用して、トラック推定モジュール306に提供するためのエゴ状態データを生成する。例えば、エゴ推定モジュール312は、トラック推定モジュール306に提供するために加速度測定値をコンピューティングする。
【0049】
トラック推定モジュール306は、エゴパラメータ推定モジュール312、トラック測定モジュール318、及びトラックパラメータ推定モジュール322から提供された情報を使用して、本明細書にさらに説明されるように、質量推定値を生成する。例えば、静止質量推定モジュール324は、車両の静止質量の推定値を生成するように動作し得る。例えば、
図1A及び
図1Dを参照すると、静止質量は、以下のように推定され得る。最初に、燃料及び乗員の荷重、並びにセミトラック102の操舵車軸127への荷重伝達を無視するために、いくつかの仮定を行い得る。全てのトレーラー120は、同様の特性を有すると仮定され得、キングピン112の調整は無視され得る(また、キングピン112は、駆動車軸128の上に中心があると仮定され得る)。駆動車軸128によって支持される荷重に対するトレーラー車軸121によって支持される荷重の近似比は、R
at=a
2/(l
w2-a
2)として計算され得る。
【0050】
いくつかの実施形態によれば、静止質量推定モジュール324への入力として使用され得る較正パラメータが確立される。これらの較正パラメータには、P
ad,btと呼ばれる(ボブテイルにおける)駆動車軸サスペンション圧力、及びP
ad,calと呼ばれる(較正荷重を伴う)駆動車軸サスペンション圧力が含み得る。本明細書で使用される場合、「較正荷重」という用語は、一般に既知の質量特性を有するトレーラーを使用して、トラクターの第5車輪に加えられる既知の荷重を指す。これらの較正パラメータ(
図1Dに示すシステムコンポーネントを用いて測定され得る)に基づいて、キングピンゲイン(C
1)及びオフセット(C
0)値は、以下のようにコンピューティングされ得る(ボブテイルにおいてゼロキングピン荷重があると仮定して)。キングピンゲインC
1=F
kp,cal/(P
ad,cal-P
ad,bt)であり、オフセット値C
0=-C
1*P
ad,btである。
【0051】
キングピン荷重(Fkp)とサスペンション圧力(Pad)の関係は、Fkp=(Fkp,cal(Pad-Pad,bt)/(Pad,cal-Pad,bt)によって判定できる。静止質量推定モジュール324は、空のトレーラーのキングピン荷重の値(Fkp,e)及び空のトレーラーのトレーラー車軸重量の値(Wat,e)を含む、トレーラー120のモデルに基づく追加パラメータも受信し得る。次いで、静止質量推定モジュール324は、以下のようにトレーラーの推定質量(m2)を生成することができる。すなわち、m2=(1+Rat)*(Fkp,cal/(Pad,cal-Pad,bt))*(Pad-Pad,bt)+Wat,e-Rat*Fkp,eである。
【0052】
いくつかの実施形態によれば、較正プロセスは、各セミトラック102に対して実行され得る。較正プロセスは、特定のセミトラック102のゲイン係数(C1)の生成をもたらし得る(これは、次いで、本発明の質量推定処理において使用するために定数パラメータとして記憶され得る)。出願人は、キングピン荷重に対する駆動サスペンション圧力のゲイン係数(C1)が、同じモデルの異なるセミトラック102に対して比較的一貫していることを見出した。ただし、オフセットは同じモデルのトラック間でいくらか可変である。いくつかの実施形態は、セミトラック102の各モデルに対して同じゲイン係数(C1)及び質量を使用して、各トラックに対して「ゼロ」を本質的に設定する較正プロセスを実行する。
【0053】
特定のセミトラック102及びトレーラー120モデルの較正プロセスを実行するための1つの可能なアプローチは、セミトラック102の電源を入れ、圧力変換器からのデータのデータ収集を開始し(
図1Dの項目140)、25mphなどの一定速度まで加速し、滑らかな道路を一定速度で運転することである。次いで、制御ユニット200が一定速度(P
ad,bt)での平均サスペンション圧力をコンピューティングするように動作する。次いで、既知のキングピン荷重(F
kp,cal)のトレーラー120がセミトラック102に結合され、データ収集が再び開始されて圧力変換器からデータを収集する。車両を一定速度まで加速し(例えば、滑らかな道路で25mph)、トレーラーを伴った一定速度での平均サスペンション圧力(P
ad,cal)がコンピューティングされる。次いで、車両のゲイン係数が、C
1=(F
kp,cal)/(P
ad,cal-P
ad,bt)としてコンピューティングされ得る。
【0054】
特定のセミトラック102の較正プロセスを実行するための1つの可能なアプローチは、セミトラック102の電源を入れ、圧力変換器からのデータ収集を開始し、滑らかな道路で一定速度(例えば、25mph)まで加速し、一定速度での平均サスペンション圧力(Pad,bt)をコンピューティングすることである。
【0055】
セミトラック102及びトレーラー120が較正されると、トレーラー質量(m2)は、以下のように、上述のように、かつコンピューティングされたゲイン係数(C1)を考慮に入れて、コンピューティングされてもよい。すなわち、m2=(1+Rat)*(C1)*(Pad-Pad,bt)+Wat,e-Rat*Fkp,eである。
【0056】
動質量推定モジュール326は、車両が運動中に計算を実行し得る。一般に、車両質量は、荷重が車両に追加されたとき、又は車両から除去されたときにのみ変化する。このような変化は、通常、車両が停止しているときにのみ生じる。車両の質量は、以下の3つのコンテキスト、すなわち、(1)車両が静止しているとき、(2)車両が移動していてトランスミッションが締結されているとき、及び(3)車両が移動していてトランスミッションが締結されていないときから研究され得る。車両の質量を含む車両の総質量(m)は、以下のような3つのコンテキスト、すなわち、(1)m=m
v(静止している車両)、(2)
【数1】
(トランスミッションが接続されているとき)、及び(3)
【数2】
(トランスミッションが接続されていないとき)の各々に要約することができる。
【0057】
上記では、mvは、ペイロードを伴うトラックの静止質量、Jwは、車輪の慣性モーメント、Jpは、車輪におけるエンジンの慣性モーメント、Rwは、車輪半径、rpは、集中トルク伝達効率、mは、推定される質量である。Jp、rp、npは、トランスミッション比に応じて変動する。
【0058】
車両の支配的な長手方向運動を捉える車両動的方程式を用いて、移動中のトラック質量を推定する。したがって、トラックの長手方向のダイナミクスは、mu=Fp-Fb-Fa-Fu-Fgによって与えられ、uは、車両速度の導関数、Fp1は、パワートレインの出力における推進力、Fbは、ブレーキ力、Fa1は、空気抵抗力、Fuは、摩擦による力、Fgは、路面勾配による力である。
【0059】
長手方向タイヤ力F
pは、
【数3】
として与えられ、式中、T
eng,wheelは、車輪におけるエンジントルクであり、T
engは、エンジントルクである。r
pe及びn
peは、エンジンの集中トルク伝達比及び効率パラメータである。車輪に作用する長手方向ブレーキ力F
bは、F
b=k
hP
bであり、k
bは、所与のブレーキ圧力が与えられたときにブレーキパッドにどれだけの摩擦ブレーキトルクを実現できるかを判定する摩擦ブレーキ効力係数である。P
bは、ホイールアッセンブリ(全ホイールに対するものを含む)におけるホイールブレーキチャンバー内の有効ブレーキライン圧である。
【0060】
転がり抵抗と空気抵抗を含む抗力F
a及びF
uは、
【数4】
及び
【数5】
として計算され得、式中、ρ、C
dは、一定空気力学パラメータ、A
dは、車両断面積、μは、転がり抵抗係数である。
【0061】
路面勾配による力は、
【数6】
として計算され、式中、θは、路面勾配である。慣性項の影響を考慮し、上記の長手方向のダイナミクスを使用して、オンライン質量推定に使用するために、正味加速a
xは、
【数7】
及び
【数8】
として計算され、式中、a
dは、加速外乱道路勾配及び道路摩擦変動であり、M
fは、慣性項の影響を捕捉する質量係数である。同様に、wvは、横方向及びヨー方向のダイナミクスからの外乱(disturbance)と考えることができる。
【0062】
同様に、長手方向のダイナミクスを再配置することによって、オンラインの質量推定に使用するために、正味力F
netは、
【数9】
から計算される。次いで、適格な長手方向の運動に対して、車両の生の総質量を
【数10】
として計算することができる。
【0063】
いくつかの実施形態によれば、エゴパラメータ推定モジュール322は、質量推定プロセスのための適格データを判定するために、1つ又以上のゲーティング条件を適用する。例えば、いくつかの実施形態によれば、トラクターとトレーラーの結合質量推定器は、トラックの長手方向運動モードに基づく。その結果、推定プロセスは、車両の運動が長手方向の運動モードによって著しく支配されているときにのみ起動される。実施形態は、推定プロセスを進めるべきかどうかを判定するためにゲーティング条件を使用する。いくつかの実施形態では、以下のゲーティング条件、すなわち(1)車両の長手方向速度が、ある量(例えば、4m/sなど)より大きくなければならないこと、(2)ブレーキ力がない(例えば、0Nなど)こと、(3)ある程度の正味加速度(ax)でなければならないが、大きくない(例えば、axは、0.2m/s2~1m/s2であるべき)こと、(4)ヨーレートの大きさは、小さくなければならない(例えば、0.17rad/秒未満)こと、(5)トランスミッションギアは、ハイギア(例えば、5速ギアより大きい)であるべきこと、及び(6)推進力の勾配の大きさは、小さくなければならない(例えば、1000未満)ことが使用される。他のパラメータを使用してもよいが、出願人は、これらのゲーティング条件が望ましい結果を提供することを見出した。
【0064】
エゴパラメータ推定モジュール322は、モジュール324からの静止質量推定及びモジュール326からの動質量推定に推定融合を適用する推定融合モジュール328も含む。この融合を適用して、より良い正確性と精度で質量の推定値を得た。いくつかの実施形態による推定融合は、以下の推定モデルを使用する。力測定値及び加速度測定値からの適格な推定データが利用可能であるときに、
【数11】
(式中、v
kは、ガウス型測定値ノイズ)、及び
【数12】
である。それ以外の場合、エアバッグサスペンション圧力センサからのデータが利用可能であるときに、
【数13】
である。ここで、m
2は、静止質量推定に由来し、m
1は、トラクターの質量である。トラクターの質量は既知であると仮定する。
【0065】
【数14】
が予測状態推定値であり、
【数15】
が事後状態推定値であり、P
k,k-1が、予測推定値共分散であり、P
k,kが、事後推定値共分散であり、x
kが、状態(質量)であり、y
kが、出力(測定値)であり、v
kが、時間(k)における測定値ノイズ、x
k+1が、時間k+1における質量である再帰的推定アルゴリズムを開発した。再帰的推定は、
【数16】
、
【数17】
を含み、式中、Qは、プロセス共分散、P
kは、推定誤差共分散である。再帰的推定は、さらに、
【数18】
、
【数19】
、
【数20】
、及び
【数21】
を含み、式中、Rは、測定値共分散、K
kは、推定器ゲインである。推定されるパラメータは本質的に一定であるため、P
0,0=Rを初期化する。
【0066】
モジュール328によってコンピューティングされた推定融合の結果(y
k)は、車両パラメータ推定モジュール330に提供され、このモジュールは、車両パラメータの1つ以上の推定値(トレーラー120の重心の推定値を含む)を生成する。車両の総質量(mは、車両結合質量推定によって判定される)及びセミトラック質量(m
1)は、車両パラメータ推定モジュール330に提供される。これに基づいて、トレーラー120の質量は、m
2=m-m
1としてコンピューティングすることができる。サスペンションエアバッグ圧力信号から、駆動車軸荷重は、
【数22】
として計算され、C
1は、圧力-質量変換ゲインであり、C
0は、圧力-質量変換オフセットである。
【0067】
ここで、長手方向及び横方向の荷重伝達を無視し、各車軸の垂直力からモーメント方程式を使用して、操舵車軸荷重
【数23】
、駆動車軸荷重
【数24】
、及びトレーラー車軸荷重
【数25】
を得る。
【0068】
次いで、
【数26】
を計算することができる。次いで、
【数27】
の知識があるため、以下のように車軸荷重分布を計算することができる。操舵車軸荷重は、
【数28】
である。駆動車軸荷重は、
【数29】
である。トレーラー車軸荷重は、
【数30】
である。この情報を使用して、トレーラー120の重心126を、
【数31】
及び
【数32】
として計算することができ、トレーラーのホイールベース(l
w2)が(上記
図1に示すように)既知であると仮定される。
【0069】
エゴパラメータ推定モジュール330及び車両パラメータ推定モジュール330は、推定トラック質量データ、トレーラー質量データ(及び結合車両質量データ)、並びにトレーラーパラメータを、
図2に示されるような車両制御システムに提供し得る。例えば、推定質量及び車両パラメータデータは、推定質量及びパラメータに基づいて車両を安全に動作させるために必要に応じてスロットル284、ステアリング286、ブレーキ288を調整するために制御システム200によって使用され得る。車両パラメータ推定モジュール322によって推定された重心は、車両を動作させる際に使用するために制御システム200に提供され得る。
【0070】
ここで、
図4を参照すると、
図3の質量推定システム300(及び
図2の制御システム)によって実行され得る質量推定プロセス400の実施形態が示されている。より具体的には、質量推定プロセス400は、
図3のエゴパラメータ推定モジュール322によって実行され得る。いくつかの実施形態では、セミトラック102とトレーラー120の結合質量推定器及び車両パラメータ推定は、ロボットオペレーティングシステム(「ROS」)ノードを使用して実装される。質量推定プロセス400は、正味力、空気抵抗力、長手方向加速度、道路勾配、及びサスペンション圧力データに基づく。正味力、長手方向加速度、及び道路勾配の値は、CANデータ、GPS信号データ、IMU信号データ、及び地図情報から(例えば、システム300のモジュールによって)推定される。
【0071】
プロセス400は、例えば、トレーラー120の存在の検出時に(例えば、上述のトレーラー検出プロセスを使用して)トリガされ得る。トレーラー120が存在する場合、プロセス400は402で開始し、
図3の推定器は、推定を実行するためにそれらを準備するようにリセットされる。例えば、402での処理は、エゴ推定312、トラック推定306、及びエゴパラメータ推定322モジュールをリセットすることを含み得る。402での処理は、トラックパラメータ、推定器ゲーティングパラメータをロードすること、並びに質量及び推定誤差共分散の初期推測を提供することも含み得る。
【0072】
処理は404で続き、推定処理を実行する際に使用するパラメータ及び測定値が受信される。例えば、最近の測定値及び推定値は、システム300の他のモジュールから受信され得る。これらの測定値及び値は、加入ベースで提供され得る(例えば、エゴパラメータ推定モジュール322は、更新されたデータがトラック推定モジュール306、トラック測定モジュール318、及びトレーラー状態モジュール320などの他のモジュールから生成されるときに、更新されたデータを受信するために「加入」し得る)。
【0073】
いくつかの実施形態によれば、処理は、420と並列して続いてもよく、静止質量推定モジュール324は、(
図1Dと併せて上述したように)エアバッグサスペンション圧力信号から車両の静止質量の推定値をコンピューティングするように動作される。処理は、406での静止質量推定と並列して続き、ゲーティング条件が満たされているかどうかの判定が行われる。例えば、ゲーティング条件は、車両が有意な長手方向運動を有するかどうか(例えば、ある速度範囲内で走行しているか、ブレーキ圧力が加えられていないかなど)の判定が行われるときに、上述のようにされ得る。真である場合、処理は410で続き、生の質量が、上述のように、正味力及び加速度の測定値からコンピューティングされる。そうでない場合、処理は408で続き、生の質量が、前の質量推定値(例えば、プロセス400の前の反復から判定された質量推定値)に等しくセットされる。
【0074】
処理は412で続き、推定共分散誤差カウンタをリセットすべきかどうかの判定が行われる。共分散誤差カウンタがゼロに近づくときに、新たに到着するデータの影響は最小になる。共分散誤差カウンタのリセットは、推定プロセスが新しいデータに反応できることを保証するために使用される。カウンタをリセットする必要がない場合、418で推定共分散誤差カウンタが1だけ増分され、422で生の質量がカルマンフィルタに渡され、動質量推定処理が(上述のように)実行される。412での処理が、カウンタをリセットする必要があることを示す場合、処理は414で続き、カウンタがリセットされ、416で他の推定器がリセットされる。処理は422で続き、動質量推定処理が実行されて推定質量がコンピューティングされる。処理は424で続き、420での静止質量推定からの予測と422での動質量推定とが(例えば、
図3の推定融合モジュール328を使用して)融合される。
【0075】
処理は428で続き、適格推定カウンタが増分される。処理は430で続き、適格推定カウンタが閾値を超えているかどうかの判定が行われる。そうである場合(融合処理が正確な推定をもたらした可能性が高いことを示す)、処理は432で続き、推定質量は質量推定融合推定値に等しくセットされる(推定質量は、車両制御で使用するために制御システム200に提供され得る)。適格推定カウンタが閾値未満である場合(質量推定融合推定値が不正確である可能性があることを示す)、処理は434で続き、推定質量は、(420からの)静止質量推定からの値に等しくなるようにセットされる(推定質量は、車両制御で使用するために制御システム200に提供され得る)。
【0076】
406での処理が、ゲートが起動されていない(すなわち、有意な長手方向運動が存在しない)ことを示す場合、適格推定カウンタは閾値未満であり、推定質量は420からの静止質量に等しい。プロセス400から返された推定質量は、例えば、
図3のモジュール330による車両パラメータ推定処理を実行することを含むさらなる動作のために、制御システム200に提供され得る。例えば、車両パラメータ推定モジュール330は、上述のように、車軸当たり荷重分布、トレーラー質量、及びトレーラーの水平重心の計算を判定し得る。これらのパラメータの全ては、車両の動作を制御するために、制御システム200の他のコンポーネントに提供され得る。プロセス400によってコンピューティングされた推定質量(並びにトレーラーの重心などの推定車両パラメータ)は、多くの制御アプリケーションで使用するために制御システム200に提供され得る。例えば、推定質量は、所望の速度に達するためのスロットル制御の量、所与の距離で車両を減速又は停止させるために必要なブレーキ力の量を判定するために車両の長手方向制御に使用され得るか、又は高曲率操縦中のステアリング制御の量を判定するために車両の横方向制御に使用され得る。
図4のプロセス400は、
図4の項目(1)に示すように繰り返される。
【0077】
図5A~
図5Cは、例示的な実施形態により使用され得るセミトラック500の外観図を例示する図である。
図5A~
図5Cを参照すると、セミトラック500は、例示の目的のためにのみ示されており、当業者は、本開示を読むことにより、実施形態が多数の異なるタイプの車両と併せて使用され得ることを理解するであろう。
図5A~
図5Cに示す例示的なセミトラック500は、キャブ502の前方にあるエンジン506、ステアリング車軸514、及び2つの駆動車軸516を有する一般的な北米スタイルで構成されたものである。トレーラー(図示せず)は、駆動車軸516の上に位置付けられたフレーム518上に設けられた第5の車輪トレーラー結合を介してセミトラック500に取り付けられる。スリーパ室512は、キャブ502の後方に位置付けられる。多数のセンサが、セミトラック500の異なる位置に位置付けられる。例えば、センサが、センサラック520上のキャブ502の屋根に装着され得る。センサは、サイドミラー510、及び他の位置にも装着され得る。後述するように、センサは、バンパー504上、並びにキャブ502の側面上又は他の位置に装着され得る。実施形態は、トラック又は他の車両の他の構成(例えば、キャブオーバー又はキャブフォワード構成などを有するセミトラックなど)と共に使用され得る。例えば、実施形態は、トレーラーの向きに関する情報を改善することを可能にするために、トレーラーを牽引する他のタイプの車両と併せて使用され得る。一般に、本発明の実施形態を限定することなく、本発明の特徴は、長期的なセミトラック経路のような長距離にわたって貨物を運搬する車両における所望の結果を伴って使用され得る。
【0078】
図5Bは、セミトラック500の正面図であり、多数のセンサ及びセンサ位置を示す。センサラック520は、長距離ライダー522、長距離カメラ524、GPSアンテナ534、及び中距離前面カメラ526を含むいくつかのセンサを固定及び配置し得る。サイドミラー510は、後面カメラ528及び中距離ライダー530のための装着位置を提供し得る。フロントレーダ532は、バンパー504上に装着され得る。センサは、他の位置に装着又は取り付けられてもよく、また、
図5A~
図5Cに示される位置、センサタイプ、及びマウントは、例示的な目的のためだけのものであるため、様々な位置におけるセンサのタイプは、そこの例示的な実施形態に限定されないことが、当業者には理解されるだろう。ここで、
図5Cを参照すると、キャブ502の内部及びスリーパ室512を示すセミトラック500の部分図が示されている。いくつかの実施形態では、
図2の制御システム200の一部分は、スリーパ室512内のシステムラック540内に配備され、メンテナンス及び動作のために制御システム200のコンポーネントに容易なアクセスを可能にする。
【0079】
前述の明細書に基づいて理解されるように、本開示の上述の例は、コンピュータソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、又はそれらの任意の組み合わせ若しくはサブセットを含む、コンピュータプログラミング又はエンジニアリング技術を使用して実装され得る。コンピュータ可読コードを有する、そのような結果として生じるプログラムは、1つ以上の非一時的なコンピュータ可読媒体内で具現化又は提供されてもよく、それにより、本開示の議論された例に従って、コンピュータプログラム製品、すなわち、製造物品を作製する。例えば、非一時的なコンピュータ可読媒体は、固定ドライブ、ディスケット、光ディスク、磁気テープ、フラッシュメモリ、外部ドライブ、リードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)などの半導体メモリ、及び/又はインターネット、クラウドストレージ、モノのインターネット(IoT)、又は他の通信ネットワーク又はリンクなどの任意の他の非一時的な送信及び/又は受信媒体であり得るが、これらに限定されない。コンピュータコードを含む製造物品は、1つの媒体から直接コードを実行することによって、1つの媒体から別の媒体にコードをコピーすることによって、又はネットワークを介してコードを送信することによって、作製及び/又は使用され得る。
【0080】
コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、「app」、又はコードとも呼ばれる)は、プログラマブルプロセッサのための機械命令を含んでもよく、高水準手続き型及び/又はオブジェクト指向型プログラミング言語、及び/又はアセンブリ/機械語で実装され得る。本明細書で使用される場合、「機械可読媒体」及び「コンピュータ可読媒体」という用語は、機械命令及び/又はデータをプログラマブルプロセッサに提供するために使用される、任意のコンピュータプログラム製品、装置、クラウドストレージ、モノのインターネット、及び/又はデバイス(例えば、磁気ディスク、光ディスク、メモリ、プログラマブルロジックデバイス(PLD))を指し、機械命令を機械可読信号として受信する機械可読媒体を含む。しかし、「機械可読媒体」及び「コンピュータ可読媒体」は、一時的な信号を含まない。「機械可読信号」という用語は、機械命令及び/又は任意の他の種類のデータをプログラマブルプロセッサに提供するために使用され得る任意の信号を指す。
【0081】
本明細書におけるプロセスの上記の説明及び例示は、プロセスステップを実行するための固定された順序を意味すると考えるべきではない。むしろ、プロセスステップは、少なくともいくつかのステップの同時実行を含め、実施可能な任意の順序で実行され得る。本開示は、特定の例に関連して説明されているが、当業者には明らかな様々な変更、置換、及び改変が、添付の特許請求の範囲に記載されている本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、開示された実施形態に対してなされ得ることが理解されるべきである。
【外国語明細書】