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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068209
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】駐車装置
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/06 20060101AFI20240510BHJP
   E04H 6/42 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
E04H6/06 W
E04H6/42 Z
E04H6/42 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023198520
(22)【出願日】2023-11-22
(62)【分割の表示】P 2022178283の分割
【原出願日】2022-11-07
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500521267
【氏名又は名称】株式会社ニッパツパーキングシステムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】長友 真也
(57)【要約】
【課題】給電ケーブルにかかる張力の変化を検知し、その結果に基づき駐車装置の動きを制御できる駐車装置を提供する。
【解決手段】一実施形態に係る駐車装置は、車両を載置可能なパレットと、パレットを移動させるパレット駆動部と、パレット上に設置され車両に充電を行うための充電装置と、充電装置に電力を供給するための給電ケーブルであって、パレットの昇降に連動する第1部分と、パレットが昇降するときにパレットに対する位置関係が変化し昇降しないときに位置関係が変化しない第2部分と、の間に接続された第1ケーブル領域を含む給電ケーブルと、昇降時のいずれか一方において第1ケーブル領域の少なくとも一部を巻き取るケーブルリールと、第1ケーブル領域に加わる張力の変化を検知する張力検知装置と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を載置可能なパレットと、
前記パレットを移動させるパレット駆動部と、
前記パレット上に設置され車両に充電を行うための充電装置と、
前記充電装置に電力を供給するための給電ケーブルであって、前記パレットの昇降に連動する第1部分と、前記パレットが昇降するときに前記パレットに対する位置関係が変化し昇降しないときに前記位置関係が変化しない第2部分と、の間に接続された第1ケーブル領域を含む給電ケーブルと、
前記昇降時のいずれか一方において前記第1ケーブル領域の少なくとも一部を巻き取るケーブルリールと、
前記第1ケーブル領域に加わる張力の変化を検知する張力検知装置と、
を備える、駐車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車に充電可能な駐車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の駐車装置として、パレット上に車両を載置して立体的に積み重ねて駐車させる、いわゆる多段式駐車装置が知られている。多段式駐車装置では、パレットを上下方向又は左右方向に移動させることにより、入出庫口に移動したパレットに車両を入出庫させることができる(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-111805号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、電気自動車が駐車装置に駐車している間に充電することが考えられる。多段式駐車場では、車に充電用ケーブルを接続した状態でパレットが移動することとなる。その際、ケーブルがパレット移動に巻き込まれないように、ケーブルの長さを適切に保つ装置及びその装置を安全に運用するシステムが求められている。
【0005】
本発明の一実施形態は、充電中にパレットが移動する駐車装置において、充電設備の異常を検知することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態にかかる駐車装置は、車両を載置可能なパレットと、前記パレットを移動させるパレット駆動部と、前記パレット上に設置され車両に充電を行うための充電装置と、前記充電装置に電力を供給するための給電ケーブルであって、前記パレットの昇降に連動する第1部分と、前記パレットが昇降するときに前記パレットに対する位置関係が変化し昇降しないときに前記位置関係が変化しない第2部分と、の間に接続された第1ケーブル領域を含む給電ケーブルと、前記昇降時のいずれか一方において前記第1ケーブル領域の少なくとも一部を巻き取るケーブルリールと、前記第1ケーブル領域に加わる張力の変化を検知する張力検知装置と、を備える。
【0007】
本発明の一実施形態にかかる駐車装置は、前記給電ケーブルが掛けられるガイド部材と、前記ガイド部材を支持し、前記第1ケーブル領域に加わる張力の変化により弾性変形する支持部材と、を含み、前記張力検知装置は前記支持部材の変形量に基づき張力の変化を検知する。
【0008】
本発明の一実施形態にかかる駐車装置は、前記給電ケーブルが掛けられるガイド部材と、前記ガイド部材を支持し、前記第1ケーブル領域に加わる張力の変化により弾性変形する支持部材と、を含み、前記張力検知装置は前記ガイド部材の変位に基づき張力の変化を検知する。
【0009】
本発明の一実施形態にかかる駐車装置は、前記支持部材が前記ケーブルリールとの位置関係が固定された部分に対して前記ガイド部材を支持する。
【0010】
本発明の一実施形態にかかる駐車装置は、前記ケーブルリールが前記第2部分に対し位
置関係が変動しない部分に設置される。
【0011】
本発明の一実施形態にかかる駐車装置は、前記パレットが前記駐車装置内において位置が変化しない構造体に吊り下げられ、前記ケーブルリールは前記構造体に設置される。
【0012】
本発明の一実施形態にかかる駐車装置は、前記パレットは前記駐車装置内における横方向に移動可能な横行台車に吊り下げられ、前記ケーブルリールは前記横行台車に設置される。
【0013】
本発明の一実施形態に係る駐車装置は、前記張力検知装置により検知される張力の変化が所定の基準に達すると所定の制御を実施する制御部を含む。
【0014】
本発明の一実施形態に係る駐車装置は、前記所定の制御が、前記パレットの移動を停止させることを含む、
【0015】
本発明の一実施形態に係る駐車装置は、前記所定の制御が、前記駐車装置の駆動を停止することを含む。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一実施形態は、上記問題に鑑み給電ケーブルにかかる張力の変化を検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る駐車装置の構成を示す模式的な正面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る駐車装置の構成を示す模式的な背面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る駐車装置の充電設備を示す模式図である。
図4】開示の一実施形態に係る駐車装置の構成を示す模式的なブロック図である。
図5】本発明の一実施態様に係る張力検知装置の構成を示す模式図である。
図6】本発明の一実施態様に係る張力検知の態様を示す模式図である。
図7】本発明の一実施態様に係る張力検知の態様を示す模式図である。
図8】本発明の一実施態様に係る駐車装置において、異常な張力変化を検知した場合の処理を示すフローチャートである。
図9】本発明の一実施態様に係る駐車装置において、異常な張力変化を検知した場合の処理を示すフローチャートである。
図10】本発明の他の実施態様に係る張力検知の態様を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を、図面等を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0019】
本明細書において、ある部材又は領域が他の部材又は領域の「上に(又は下に)」あるとする場合、特段の限定がない限りこれは他の部材又は領域の直上(又は直下)にある場合のみでなく他の部材又は領域の上方(又は下方)にある場合を含み、すなわち、他の部材又は領域の上方(又は下方)において間に別の構成要素が含まれている場合も含む。
【0020】
[駐車装置の構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る駐車装置100全体の構成を示す模式的な正面図で
ある。本明細書では、駐車装置100の入出庫口がある面を正面とし、その反対側を背面として説明する。駐車装置100の正面から背面に向かう方向、または駐車装置100の背面から正面に向かう方向(すなわち、車両Vが駐車装置100に入出庫する方向)を前後方向として説明する。
【0021】
本実施形態において、駐車装置100は、支柱102、支柱102間に架設される梁104などの静止構造体によって主に構成される骨格構造を有する。この骨格構造により車両Vが駐車する駐車領域を形成する。
【0022】
本実施形態において、駐車装置100は、一例として車両Vが積み重なる上下方向(昇降方向)に4段、車両Vが並置される左右方向(水平方向)に4連の駐車領域を有する。駐車装置100では、最右側の1階から3階に車両Vを昇降し又は横行するための予備的空間が設けられている。予備的空間を除くと、駐車装置100は最大13台の車両Vを駐車し、収容することができる。
【0023】
車両Vが載置される駐車領域には、パレット108が設置されている。
【0024】
1階の駐車領域にはパレット108が配置可能な駐車領域が左右方向に4つ設けられているが、車両Vが乗り込み可能なパレット108は、左右方向に3つ設けられている。空いた駐車領域を利用して、1階の各パレット108は左右方向に移動可能である。この移動は、パレット108下部に設けられた駆動輪112によって行われる。すなわち各駆動輪112は、下面が駐車装置100における床部114の上面に接しており、これが回転させられることでパレット108を左右方向に移動させることができる。
【0025】
2階と3階には、パレット108が配置可能な駐車領域が左右方向に4つ設けられているが、車両Vが積載可能なパレット108は、左右方向に3つ設けられる。2階の各パレット108は、1階と2階との間で昇降可能である。3階の各パレット108は、1階と3階との間で昇降可能である。2階と3階の各パレット108は、1階に位置している時に車両Vが乗り込み、その後の出庫までの間、2階又は3階へ上昇して待機することができる。2階及び3階の各パレット108は、2階および3階に設けられた横行台車110上に設置された歯車116を介し上下左右端がチェーン118で吊るされている。チェーン118は図示しない昇降装置に連結されることができる。
【0026】
横行台車110は、2階及び3階の駐車領域において、パレット108の上部であり車両Vの周辺部となる部分に設けられている。横行台車110上には歯車116が設けられている。横行台車110に設置された昇降装置(図示せず)とパレット108を接続するチェーン118を、この歯車116に掛けることにより、パレット108は横行台車110に昇降可能に吊り下げられている状態となる。そして図示しない昇降装置がチェーン118を巻き上げ又は巻き出しすることにより、パレット108が上昇又は下降することができる。
【0027】
また、横行台車110は駐車装置100の左右方向に設けられた梁104などの構造体の上面に接しながら回動可能な駆動輪112を有している。
【0028】
横行台車110の駆動輪112が梁104上で回動されることで、横行台車110は左右方向の空いている駐車部分を利用して、左右方向に移動することができる。その際、横行台車110にチェーン118で吊るされたパレット108もチェーン118に吊り下げられた状態で横行台車110とともに左右に移動することができる。
【0029】
最上階である4階は、パレット108を左右に移動させる必要がないため、パレット1
08が左右方向に並んで4箇所に設けられている。各パレット108は図示しない昇降装置とチェーン118を介して接続され、1階から4階の間で昇降可能である。即ち4階部分の駐車以域では、一端が接続され且つ他端が歯車116を介しパレット108と接続されているチェーン118を、図示しない昇降装置が巻き上げ又は巻き出しすることにより、パレット108が上昇又は下降することができる。
【0030】
駐車装置100の1階には、車両Vの入出庫口を有しゲート106が設置される。ゲート106は、操作盤214にて入出庫の対象となるパレット番号を指定すると、指定されたパレット108がゲート前に到達し、ゲート106が開放され、車両Vを出庫した後に操作盤214でゲート106を閉める指示がされることによって閉じられる。車両Vの入庫時には、駐車装置100に設置された操作盤214でゲート106を開ける操作がされることで開放され、車両Vを入庫した後に操作盤214を操作することによって閉じられる。ゲート106は、車両Vを入出庫するために開けた場合以外は閉じた状態となっており、パレット108が移動するときもゲート106は閉じた状態になっている。ゲート106を閉じることにより、通常は駐車装置100内への人の進入を防止することができる。
【0031】
本駐車装置100には、入庫または出庫の際の指示を入力する操作盤214、本駐車装置100全体の制御を行う制御装置(図示せず)を設置することができる。操作盤214及び制御装置は、必ずしも駐車装置に直接設置されなくともよい。
【0032】
[充電設備の構成]
本発明の一実施形態に係る駐車装置100における充電設備について説明する。
【0033】
図2は、本発明の一実施形態に係る駐車装置100全体の構成を示す模式的な背面図である。図3は本発明の一実施形態における駐車装置100の充電設備の概略図である。
【0034】
各パレット108上には充電装置202を設けることができる。この充電装置202を用いて、車両Vの運転者等が充電作業を行う。
【0035】
図3において、4階部分の駐車領域を例として充電装置を説明する。静止側電源装置302から伸びる電源側給電ケーブル304は、例えば支柱内或いは支柱に沿って4階まで延び、4階の梁104に設置されたケーブルリール204上の接続部306にて電気的に接続される。また、ケーブルリール204には充電装置202と連結する給電ケーブル206の一部が巻き取られており、電源側給電ケーブル304と前記ケーブルリール204上の接続部306と電気的に接続される。電流は電源装置302から電源側給電ケーブル304及び給電ケーブル206を通し、充電装置202に供給される。
【0036】
なお、2階及び3階の場合も、4階の場合と同様に静止側電源装置302から伸びる電源側給電ケーブル304は、例えば支柱102及び梁104内又はそれらに沿って2階及び3階まで延び、2階及び3階の横行台車110内を通り、横行台車110に設置されたケーブルリール204上の接続部306と電気的に接続される。
【0037】
また1階の場合、電源側給電ケーブル304は支柱102及び梁104内又はそれらに沿って1階駐車領域まで延び、充電装置202に直接接続される。1階の場合パレット108が上下方向に移動しないため、ケーブルリール204は設けなくともよい。
【0038】
充電装置202は、給電ケーブル206にガイド部材208を介して接続されている。ここで車両Vには車両V内の充電池に外部電力を供給するための接続部位である充電用接続部がある。充電装置202は、この充電用接続部と接続可能な車両充電用の給電ケーブ
ル(図示せず)を有し、車両Vの充電用接続部と当該給電ケーブルの一端を接続することで、車両Vに充電がなされる。
【0039】
充電装置202は給電ケーブルの収納機能のみ有するものでもよく、又は充電作業を統制する機能を有するものであってもよい。
【0040】
充電装置202、電源装置302と車両Vとが電気的に接続され充電している間に、各階のパレット108が移動することがある。その際、給電ケーブル206はパレット108の移動に追従できる十分な長さを有していなければならない。しかし、給電ケーブル206を延ばした状態のままパレット108が移動すると、給電ケーブル206が何らかの構造体に引っ掛かりパレット108が傾くなどの恐れがある。そのような事態を回避するため、梁104などに設置したケーブルリール204に余分なケーブルを巻き取らせることができる。
【0041】
駐車装置100の背面図である図2に戻り説明する。ケーブルリール204は駐車できる車両Vの台数と同じ数だけ、駐車領域周辺に設けられる。
【0042】
そして車両Vが駐車中に充電している時にパレット108が昇降する場合は、その昇降に連動して、ケーブルリール204が給電ケーブル206を巻き取り及び巻き出しを行う。その際、ケーブルを弛ませないために巻取り方向に一定の張力を常に掛け続けることができる。
【0043】
1階から3階の場合は、パレット108が左右方向に1つの駐車スペース分移動できなくてはならない。従って電源側給電ケーブル304は移動距離分だけ余裕をもった長さでケーブルリール204又は充電装置202と接続される。通常、ケーブルリール204の重量は非常に重く、また給電ケーブル206の出し入れ時の張力にも耐えつつ安定的に固定されることが必要であるため、駐車装置内の梁104や横行台車110など、安定した構造体に設置されることが好ましい。
【0044】
駐車装置内におけるケーブルリール204の設置箇所について、説明する。駐車装置100内において、パレット108の昇降の際にパレット108の動きに連動して移動する部分を第1部分とし、パレット108が昇降する際にパレット108に対する位置関係が変化し、昇降しないときにはパレット108に対する位置関係が変化しない部分を第2部分とした場合、その間で接続されている給電ケーブル206は、両部分の相対距離が変化する際に給電ケーブル206を弛ませないようにしなければならない。そこでケーブルリール204を設置し、少なくとも一部を巻き取ることで給電ケーブル206を弛まないように維持することができる。かかる場合、ケーブルリール204は第1部分と第2部分との間のケーブルで接続された領域(第1ケーブル領域と呼ぶ)で固定されることができる。
【0045】
ここで第1部分とは、パレット108の一部又はパレット108に固定設置された部材などであることができる。また第2部分は、2階及び3階においてパレット108が吊り下げられている横行台車110又は横行台車110に固定設置された部材、4階ではパレット108が吊り下げられている梁104又は梁104に固定設置された部材などが該当する。また4階においては、パレット108は左右方向には移動しないので、4階の梁104のみならず、1~3階の梁104、又は駐車装置100の床部114など他の水平方向に移動しない部分が第2部分に該当してもよい。
【0046】
ケーブルリール204は、第1ケーブル領域、例えば4階では梁104とパレット108との間の領域において給電ケーブル206を巻き取り可能な位置に設置され、第2部分
に対し位置関係が変化しない部分、例えば梁104自体に固定設置されることが好ましい。そして、梁104に固定されたケーブルリール204にて巻き取られる給電ケーブル206にかかる張力を検知することとなる。
【0047】
他方、2階及び3階においては、ケーブルリール204は、第1ケーブル領域、例えば横行台車110とパレット108との間の領域においてケーブルリール204を巻き取り可能な位置に設置され、第2部分に対し位置関係が変化しない部分、例えば横行台車110自体に固定設置されることが好ましい。そして、横行台車110に固定されたケーブルリール204にて巻き取られる給電ケーブル206にかかる張力を検知することとなる。
【0048】
図2において、1階から3階と4階とではケーブルリール204の向きが異なるように設置されている。ケーブルリール204の向きは特に限定されるものではないが、本実施形態における1階~3階のパレット108のように上下だけでなく左右にも移動する場合には、パレット108や横行台車110の動きを阻害しないような方向及び場所を選んで設置することができる。
【0049】
ケーブルリール204と充電装置202との間には、1以上のガイド部材208を設けることができる。ガイド部材208を設けることにより給電ケーブル206の方向を調節し、パレット108の移動時の給電ケーブル206の摩耗や、他の部材との干渉を防ぐことができる。
【0050】
[駐車装置に含まれる各部の構成]
図4は、本発明の一実施形態に係る駐車装置100内に含まれる各部の構成を示すブロック図である。駐車装置100は、制御装置400、操作盤214、パレット駆動装置410、ゲート駆動装置408、横行台車駆動装置416、パレット108、ゲート106、横行台車110、張力検知装置412、報知部414を備える。
【0051】
制御装置400は、記憶部404及び制御部402を備える。
【0052】
記憶部404は、論理記憶領域であり、CPU内部の記憶領域、主記憶装置、二次記憶装置などのメモリである。記憶部404は、RAM、ROMなどの記憶装置を含む。記憶部404は、各種機能を制御装置400において実現させるプログラム等を記憶する。さらに、記憶部404は駐車装置100が稼働している間の稼働状況について記憶し続けており、例えば停電や後述のように給電が遮断された場合でも、停止直前の各装置の稼働状況に復旧できるように、制御部402が記憶部404に少なくとも稼働中の最新の状況データを記録するよう制御する。
【0053】
制御部402は、CPU(Central Processing Unit)である。制御部402は、記憶部404に記憶されたプログラムをCPUにより実行して、各種機能を制御装置400において実現させる。
【0054】
制御部402は、パレット駆動装置410及びゲート駆動装置408に対し、パレット108及びゲート106の駆動に関する指示信号を送信する。制御部402は、利用者により操作盤214が操作されると、操作盤214から受信した情報に基づいてパレット108、横行台車110及びゲート106の駆動に関する指示信号をパレット駆動装置410、横行台車駆動装置416及びゲート駆動装置408に送信する。制御部402は、張力検知装置412から出力される検知信号を受信し、受信した検知信号に基づいて所定の制御を実行する。例えば、制御部402は、張力検知装置412からの信号に基づいて、パレット108の駆動に関する指示信号をパレット駆動装置410に送信し、報知部414に対し異常事態を知らせるための報知の指示信号を送信する。
【0055】
制御部402において実行されるプログラムは、磁気記録媒体、光記録媒体、光磁気記録媒体、半導体メモリなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶した状態で提供されてもよい。また各プログラムは、ネットワークNW経由でダウンロードされてもよい。
【0056】
操作盤214は、利用者が制御装置400に対して自動操作の指示(パレット108の番号指定やゲート106の開閉指示)を入力するユーザインターフェースである。操作盤214は、利用者からの自動操作の指示の入力を受けると、制御装置400に対して自動操作を行うパレット108に関する情報や操作内容に関する情報を送信する。
【0057】
また、操作盤214は後述するように、張力検知装置412から出力される検知信号に基づきパレット駆動装置410が停止した場合、異常発生原因の対策完了後、所定の駆動再開の指示の入力を行うための端末となることができる。
【0058】
パレット駆動装置410は、制御部402から受信したパレット108の駆動に関する指示信号に基づいてパレット108を駆動する。
【0059】
横行台車駆動装置416は、制御部402から受信した横行台車110の駆動に関する指示信号に基づいて横行台車110を駆動する。
【0060】
ゲート駆動装置408は、制御部402から受信したゲート106の駆動に関する指示信号に基づいてゲート106を開閉する。
【0061】
報知部414は、車両Vの利用者やゲート周辺にいる人に対し、安全のためゲート106の閉扉や開扉を報知する。この報知は制御部402の制御により行われる。報知部414は、例えば、スピーカ、ディスプレイ、発光体等が使用できる。
【0062】
張力検知装置412は、給電ケーブル206にかかる張力の変化を検知する。張力検知装置412における検知について、以下に説明する。
【0063】
[張力検知装置]
図5は、本発明の一実施形態に係る張力検知装置412の構成を示す模式図であり、図6におけるX方向の矢視図となる。
【0064】
張力検知装置412は、支持部材508、検知部材602、ボディ606、接続部604により構成され、検知部材602が支持部材508を挟み込む構造になっている。
【0065】
支持部材508は、外力により弾性変形する材料で構成されている。支持部材508によりガイド部材504を支え、ガイド部材504の受ける張力に連動して変形するように設置することができる。これにより、給電ケーブル206が巻き出され又は巻き取られる時に、ガイド部材の弾性変形の度合いを観察することで、給電ケーブル206にかかる張力の変化を検知することができる。
【0066】
支持部材508としては、例えば金属、プラスチックなどの弾性体からなるブラケット、又は引張巻バネ、圧縮巻バネのようなバネ部材などを使用することができる。支持部材の形状は、ガイド部材504を支持した際に、ガイド部材504に加わる張力の影響を反映して変形することが好ましく、例えば図6に表されるL字型やZ字型などが使用できる。
【0067】
ケーブルリール204に異常な張力の変化が加わり、その影響で支持部材508が変形や変位した場合、それらが検知部材602と接触し検知部材602を動かそうとする。検知部材602が支持部材508に触れた場合又は検知部材602が支持部材508に押されて所定の範囲以上に動かされた場合に、ボディ606に設置されたリミッタが作動し制御部402に対して、張力の変化が所定の範囲を超えた旨の信号を送る。
【0068】
接続部604は検知部材602とリミッタ機能を有するボディ606とを接続する部材である。検知部材602にA又はB方向の力が加わると、検知部材602が動くように接続させてもよい。
【0069】
図6図5の張力検知装置412を用いて給電ケーブル206に加わる張力の変化を検知する方法を表す。ここで図6では給電ケーブル206にかかる張力が正常な場合、図7では巻き出し方向(下方向)に異常な張力が掛かっている状態を表す。
【0070】
前述のように、ケーブルリール204は駐車装置100の梁104に固定されることができる。ケーブルリール204は静止側電源302と電源側給電ケーブル304により接続部306で接続されている。さらにケーブルリール204に巻き取られている給電ケーブル206の一端は、パレット108上に設置された充電装置202と電気的に接続される。
【0071】
ケーブルリール204と充電装置202の間にはガイド部材504が設けられる。このガイド部材504に給電ケーブル206を掛けることにより、パレット108の移動とともに給電ケーブルが巻き取られ又は巻き出された際、給電ケーブル206がパレット108の移動に巻き込まれることを防ぎ、給電ケーブル206の位置を適正に制御することができる。
【0072】
なお、図5及び図6において、給電ケーブル206はガイド部材504に掛けられる態様になっているが、ガイド部材中にケーブルを通す穴を設け、その穴に給電ケーブル206を通す態様としてもよい。
【0073】
ガイド部材504は、給電ケーブル206を摩耗させないように、給電ケーブル206との摩擦が小さい部材を使用することが好ましい。そのため、低摩擦材料で構成され又は滑車などを含む部材により構成されることができる。
【0074】
給電ケーブル206はガイド部材504に掛けられ、パレット108上の充電装置202に給電する際、常に一定の張力がかかる状態に調整することができる。給電ケーブル206に常に一定の張力を加えるようにすることにより、給電ケーブル206の張力が過大になった際のみならず、緩んだ際の異常も検知しやすくなる。
【0075】
ガイド部材504は支持部材508により支持される。支持部材508はケーブルリール204との位置関係が固定された部分に対してガイド部材504を支持する。例えば、ケーブルリール204が位置変動しない構造体、特に梁104や支柱102などに固定されている場合にはそれらの構造物、横行台車110に取り付けられている場合には横行台車110に設置することができる。後述するようにガイド部材504は給電ケーブル206にかかる張力の影響を受け、その位置を変化させる。その際にその位置が客観的に認識できるように、前述のように支持部材508はケーブルリールとの相対位置が変化しにくい構造体に設置されることが好ましい。
【0076】
張力検知装置412は、前述の第1ケーブル領域において給電ケーブル206に加わる張力の変化を検知する。
【0077】
張力検知装置412は支持部材508の変形を検知できるように設置される。図6では、支持部材508の周囲に張力検知装置412が取り付けされており、張力検知装置412内の破線で表される検知部材602が支持部材508を挟んでいる。検知部材602と支持部材508との間には所定の間隔で隙間が設けられており、支持部材508が一定の範囲で変位する場合は接触しない。
【0078】
図7では給電ケーブル206が過剰な張力でC方向に引っ張られ、ガイド部材504がB方向に変位し、検知部材602と接触し押している。この場合、張力検知装置412は異常な張力の変化が発生している旨の信号を、制御部402に送信する。
【0079】
なお、支持部材508がB方向に過度に変形する場合としては、給電ケーブル206がC方向に引っ張られる際に、ケーブルリール204がロックしたり、異物が挟まるなどして回りにくくなっている状態でパレット108が加工するような場合、車両Vの搭乗者等が過度に給電ケーブル206を引っ張り、給電ケーブル206の長さの余裕が無くなってもなお引っ張り続けている場合、運転者の運転操作ミスなどにより、車両Vが後方にオーバーランしケーブルを押しこんでしまう場合が考えられる。
【0080】
支持部材508がA方向に過度に変形する場合としては、ケーブルリール204の巻き取り力が弱くなっている場合が考えられ、例えばパレット108上昇時にケーブルリール204がロックした場合、給電ケーブル206がパレット108上の充電装置202から外れてしまった場合などが考えられる。
【0081】
[張力の変化検知に基づく処理]
図8は、本実施形態に係る駐車装置100において、給電ケーブル206にかかる張力の変化を検知した際の制御部402の処理を説明するためのフローチャートである。
【0082】
この処理は駐車装置100に電力が供給されており、パレット呼び出し(開扉)動作と閉扉動作により実行される。
【0083】
張力検知装置412から張力変化の異常信号を受信していない場合は、受信するまで待機する(ステップS101;No S106;No)。
【0084】
張力検知装置412から張力変化の異常信号を受信すると(ステップS101;Yes)、制御部402は直ちに駐車装置100全体の駆動を停止する旨の信号を駆動部406に出力する(ステップS102)とともに、操作盤214に対し駐車装置100の異常停止を知らせる信号を出力する(ステップS103)。駆動停止の信号を受信した駆動部406は直ちに駐車装置100の駆動を停止する。操作盤214においては異常が発生して装置が停止した旨を知らせる表示がされ、係員などが原因を確認する。
【0085】
係員などが張力変化の異常の原因を確認し、安全であるとの判断をした場合、操作盤214から駐車装置100の駆動再開を指示する信号を出力する。制御部402は、再駆動の指示がない場合は再駆動の信号を待ち続ける(ステップS104;No)。操作盤214からの再駆動指示を受けた場合(ステップS104;Yes)は駆動部406に対し駐車装置100の再駆動する旨の信号を送信する(ステップS105)。駐車装置100の駆動が完了(例えばゲート106が閉じる)した場合(ステップS106;Yes)は処理を終了する。
【0086】
上述した実施態様では、制御部402が張力検知装置412から張力変化の異常信号を受信すると、制御部402は直ちに駐車装置100全体の駆動を停止する旨の信号を駆動
部406に出力し、駐車装置100全体の駆動を停止していた。しかし、制御部402が例えば装置100のブレーカー(図示せず)を落とすことにより、駐車装置100への電流の供給を停止させる仕様としてもよい。
【0087】
図9は、上述のとおり張力変化の異常を検知した場合のフローチャートである。
張力検知装置412から張力変化の異常信号を受信していない場合は、受信するまで待機する(ステップS201;No S206;No)。
【0088】
制御部402は張力検知装置412から張力変化の異常信号を受信すると(ステップS201;Yes)、直ちに駐車装置100全体への給電を遮断する旨の信号をブレーカーに送信し(ステップS202)、ブレーカーを落とす(ステップS203)。その後、直ちに係員などが張力変化の異常の原因を確認し、安全な状態に戻した後に、ブレーカーを復旧させることで給電が再開され、駐車装置100全体が復旧する。係員がブレーカーを復旧させない限り駐車装置は給電がされず停止したままとなる(ステップS204;No)。係員がブレーカーを復旧させ給電が再開された場合は(ステップS204;Yes)は、制御部402は駆動部406に対し駐車装置100の再駆動する旨の信号を送信する(ステップS205)。駐車装置100の駆動が完了(例えばゲート106が閉じる)した場合(ステップS206;Yes)は処理を終了する。
【0089】
制御部400の記憶部404には停止直前の駆動状況が記憶されており、装置全体100への給電が遮断されても、再稼働時に停止直前の状態を読み出して、係員が操作盤214を操作することにより、あるいは自動で復旧することができる。
【0090】
<変形例>
以下、本発明の駐車装置の変形例を説明する。
【0091】
[変形例1]
上述した実施形態は4階建ての立体駐車場について説明しているが、駐車場は5階建て以上でも、3階建て以下でもよい。また給電ケーブルやケーブルリールを利用できる駐車装置であれば、例えば1階建ての駐車場にも適用することとできる。
【0092】
[変形例2]
上述した実施態様では、給電ケーブル206にかかる張力変化の異常を検知した場合、直ちに駐車装置100の駆動を止めることとしたが、駐車装置100の駆動を止めず、パレット108及び横行台車110の移動を止めるだけとすることもできる。又は警告音、音声ガイダンス、発光体点灯などによる報知のみとしてもよく、通信で管理者などへ連絡することのみとしてもよく、充電装置への電力供給を停止してもよく、又はこれらと駐車装置100の駆動停止を一緒に行ってもよい。
【0093】
[変形例3]
上述した実施態様では、張力検知装置412による張力変化の検知は、支持部材508の変形などから間接的に検知したが、ガイド部材504の変位を直接検知し、その程度から張力変化の程度を判断してもよい。
【0094】
[変形例4]
上述した実施態様では、張力検知装置412による張力変化の検知は、接触式の検知装置を使用したが、例えばガイド部材504の周囲に光センサや磁気センサを設置し、ガイド部材504の変位を非接触式で検知するものであってもよい。
【0095】
[変形例5]
上述した実施態様では、張力検知装置412はガイド部材504のA方向及びB方向のいずれの変形も検知できる構成としているが、A又はBのいずれかのみの方向を検知するものであってもよい。例えばガイド部材504及び支持部材508に対してケーブルリール204による巻取りがされていない場合でも一定の力が加わる構造である場合にはA又はB方向の変形を検知できるが、巻取がされていない場合にガイド部材504及び支持部材508に対して力が加わらない場合には、片側方向の変形だけ検知できればよい。
【0096】
変形例3~5の具体的態様として、例えば図10に示すような態様を使用しても良い。図10では、給電ケーブル206がガイド部材504に掛けられている点では図6及び図7と同じであるが、ガイド部材504が弦巻バネ状の支持体702により吊り下げられている点で相違する。図10では図5における張力検知装置412の別の態様として、ガイド部材504の下側にレーザ光が位置するようレーザ発振器704及び受光機706が設置される。ガイド部材504が給電ケーブル206に引っ張られてB方向に移動し、レーザ光を遮った場合に、受光機706が遮光を検知し、制御装置400へ張力の異常の信号を送信し、制御部402が力の異常を検知する仕組みになっている。
【符号の説明】
【0097】
100:駐車装置、 102:支柱、 104:梁、 106:ゲート、 108:パレット、 110:横行台車、 112:駆動輪、114:床部、 116:歯車、118:チェーン、 202:充電装置、 204:ケーブルリール、 206:給電ケーブル、 208:ガイド部材、302:電源装置、 304:電源側給電ケーブル、 306:接続部、 400:制御装置、 402:制御部、 404:記憶部、 406:駆動部、 408:ゲート駆動装置、 410:パレット駆動装置、 412:張力検知装置、 414:報知部、504:ガイド部材、 508:支持部材、 602:検知部材、 604:接続部 606:ボディ、704:レーザ発振器、706:受光機。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10