IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社エイビットの特許一覧

<>
  • 特開-道路工事用監視カメラシステム 図1
  • 特開-道路工事用監視カメラシステム 図2
  • 特開-道路工事用監視カメラシステム 図3
  • 特開-道路工事用監視カメラシステム 図4
  • 特開-道路工事用監視カメラシステム 図5
  • 特開-道路工事用監視カメラシステム 図6
  • 特開-道路工事用監視カメラシステム 図7
  • 特開-道路工事用監視カメラシステム 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068225
(43)【公開日】2024-05-20
(54)【発明の名称】道路工事用監視カメラシステム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/07 20060101AFI20240513BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20240513BHJP
   G08G 1/04 20060101ALI20240513BHJP
   G08G 1/08 20060101ALI20240513BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20240513BHJP
【FI】
G08G1/07 P
G08G1/00 J
G08G1/04 C
G08G1/08 A
G08G1/16 D
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022172236
(22)【出願日】2022-10-27
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】593202025
【氏名又は名称】株式会社エイビット
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】檜山 竹生
(72)【発明者】
【氏名】小林 充生
(72)【発明者】
【氏名】上川 高太郎
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA02
5H181AA05
5H181AA06
5H181AA07
5H181BB04
5H181CC04
5H181DD02
5H181DD03
5H181FF13
5H181JJ06
5H181JJ23
5H181LL15
(57)【要約】      (修正有)
【課題】道路工事区間で、工事車線に停止している工事用車両が、走行車線に進入できるタイミングを、人手に依らない方法で連絡できる道路工事監視カメラシステム提供する。
【解決手段】工事区間に監視カメラを設置し、監視カメラが走行車線を走行する車両の車間距離を測定し、工事用車両に、走行車線に進入できるタイミングを連絡する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路工事のため、道路工事区間に設置された監視カメラと連絡装置が無線通信網に接続され、前記監視カメラは撮影方向として道路工事区間の前方を撮影し、工事区域車線に進入してくる走行車両を検出するとともに複数の走行車両の車間距離を測定することで、前記監視カメラは、道路工事区間で停止している工事用車両が、車両の走行車線へ進入できるタイミング情報を前記連絡装置に連絡することを特徴とする道路工事用監視カメラシステム。
【請求項2】
請求項1において、前記無線通信網と通信可能な交通監視センタがあり、工事区域車線を通過する車両を撮影する撮影方向で撮影した画像より走行車両からの落下物を落下物の大きさとともに検知し前記交通監視センタに連絡する機能を有すことを特徴とする道路工事用監視カメラシステム。
【請求項3】
請求項1において、前記連絡装置は、撮影方向の指示、運搬車両が工事車線から走行車線への進入終了の通知機能、無線通信機能、スピーカを具備することを特徴とする道路工事用監視カメラシステム。
【請求項4】
請求項2において、前記無線通信網に接続された警告装置が道路工事区間の前方に設置され、前記交通監視センタからの連絡を受け、警告装置は落下物の情報を表示することを特徴とする道路工事用監視カメラシステム。






【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路工事区間に設置され、運搬車両が走行車線に安全に車線変更できるとともに、工事中に走行する車両からの落下物を監視する道路工事監視カメラシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
道路工事の際に、工事のためのセメントや土などの工事資材を運搬するトラックなどの大型車両(運搬車両)が、運搬を終え、工事車線から走行車線に進入する際には、工事区間で、走行車線に進入してくる車両の走行状態を監視する監視員がいて、運搬車両が走行車線に進入できるタイミングを判断し、監視員が「今がその時」と判断した時は、運搬車両のそばにいる誘導員に合図し、誘導員が運搬車両の運転手にその事を合図し運搬車両は走行車線に進入できるようにしている。
【0003】
本発明は、工事区間で進入タイミングを判断することを監視カメラが行い、進入タイミングを監視・合図する人手による作業を不要にするものである。また、この監視カメラは、平時は、道路を走行する車両から落下する物体を検知している。特許文献1では、道路上の落下物を検知するため、道路の上方にカメラを設置し、落下物が、車両の走行の障害となる大きさを持っていることを検知している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011―90513
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
走行している車両の車両間隔を測定し、停止中の運搬車両が走行車線に進入できるタイミングを判断することと、走行中の車両から落下物がないかを監視判断する。
【発明の効果】
【0006】
停止中の運搬車両が走行車線へ進入できるタイミングをカメラ映像から判断できるので、監視員、誘導員のような人手を削減できる。また、走行車線に落下物があるとき、その連絡(警告表示)を、走行中の車両に対し迅速にできるので、走行車両が落下物と接触する危険を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、道路工事区間に監視カメラが走行車線の遠方を監視し、工事区域に進入してくる車両を検知する模様を示す。
図2図2は、道路工事区間に設置された監視カメラが、監視カメラの前方から広角に走行車両を監視している模様を示す。
図3図3は、監視カメラ、警告装置、連絡装置、交通監視センタが、公衆無線通信網に接続されている本発明システムのネットワーク構成を示す。
図4図4は、本発明による監視カメラの構成をブロック図で示す。
図5図5は本発明システムの警告装置の構成を示す。
図6図6図4で示す落下物検出部の動作をブロック図で示す。
図7図7図4で示すタイミング判定部の動作をブロック図で示す。
図8図8図3で示す連絡装置の構成を示すものである。
【発明を実施する形態】
【0008】
本発明の実施の形態について、以下説明する。図1は、道路には、道路工事車線と走行車線の2車線があり、工事車線には、工事区間とその前後に黒丸で示すコーンが載置され、工事区間の中央部に監視カメラが設置され、監視カメラは走行車線の前方に向け工事区間と隣接する走行車線(工事区域車線と呼ぶ)に進入してくる車両を撮影している。監視カメラの設置位置は、走行する車両の全貌と輪郭が監視でき、車両の輪郭が1台ずつ検知できるよう2メートルくらいの高さに置かれている。工事区間の終了地点では、工事のための運搬車両が役目を終え、工事車線から走行車線に進入しようとしている。運搬車両のそばには、運搬車両の運転手に交通誘導する誘導員が配置されることもある。
【0009】
図3は、本発明によるネットワーク構成を示すもので、監視カメラ2は公衆無線通信網5に接続され、さらに警告装置1、連絡装置4、交通監視センタ3が接続されている。図3において、交通監視センタ3以外は道路工事区間で使用されるものであるため、公衆無線通信網5は、公衆の無線通信網でなく、自営の無線通信網であってもよい。その時、交通監視センタ3は一般に工事現場と離れた個所に存在し、自営の無線通信網の通信可能エリア内にはないので、自営の無線通信網から公衆通信網(無線か有線かは問わない)を介して接続される。なお、自営の無線通信網としては、数キロメートルまで使用が可能で省電力化が可能なLPWA(Low Power Wide Area)無線方式が良いだろう。公衆無線通信網5は、自営無線通信網の場合を含めて本発明では無線通信網とも呼ぶ。
【0010】
運搬車両が工事車線から走行車線に進入するときの動作について説明する。運搬車両は、トラックなどの大型車両で、セメントや砂など工事に必要な資材を工事区間に運搬し、工事区間に資材を配るが、配り終えた後は、工事区間にいる必要はなく、別の工事区間に行くとか、帰路につく。このため走行車線に進入するが、運転手の目視だけで工事区間で停止状態から走行車線に進入することは大変危険であり、多くの工事現場では、工事区域に進入してくる車両を見ながら、進入タイミングを合図する監視人がいて、その監視人の合図を見て、運搬車両のそばにいる誘導員が、運搬車両の運転手に、「今だ」という合図をするのがこれまで行われていることである。
【0011】
本発明では、この監視人の仕事を監視カメラで行おうとするもので、監視カメラが撮影映像から進入タイミングを判断し、そのタイミングが無線通信網5を介して運搬車両の運転手あるいは助手席に座る運転助手、あるいは誘導員が所持する連絡装置に連絡される。
【0012】
図4は監視カメラの構成を示す。図において、6はカメラ部、7は落下物検出部、8はタイミング判定部、9は撮影方向指示部、10は無線通信部、11はズーム機構、15は撮影方向切替機構である。
【0013】
タイミング判定のためには、操作として、まず、監視カメラ2の撮影方向を、工事区域に進入してくる走行中の車両を撮影するための撮影方向(監視カメラ2から見ると20メートルくらい先)に切り替える指示を連絡装置4から監視カメラ2に伝え、撮影方向変更機構を駆動するとともに、ズーム機構11に20メートル先の映像が的確に撮影できるズーム比率を指示する。例えば、カメラ画像の撮影範囲が、左端から右端までの距離が20メートルという数値になるようズーム比率を設定する。
【0014】
図7は、図4のタイミング判定部の動作を示すもので、30は走行車両検出部、31は走行速度測定部、32は車間距離計算部、33は車両通行テーブル、34はタイミング通知部である。
【0015】
走行車両検出部30では、カメラ映像より走行中の車両の輪郭を1台ずつ検出する。輪郭の検出と同時に、車両の色や大きさ(大型車、普通車、自2輪車、バスなど)が判定される。このため、走行車両検出部30は、車両の大きさ(大型車、普通車、自2輪車、バスなど)や色のパターンが用意されていて、検出された車両の輪郭をパターンと対比する作業を行っている。
【0016】
また、車両の走行速度が走行速度測定部31で測定される。走行速度は、2枚の撮影画像に映されている同一車両の位置、撮影時刻をもとに測定する。車両の走行速度の最大値を150km/時(=41メートル/秒)とするとき、画像範囲が前記した20メートルのときでは、1/3枚秒ごとに画像を撮影すれば走行速度の測定は可能である。また,1台目の車両が検出された時刻と2台目の車両が検出された時刻をもとに、走行速度を勘案し、1台目と2台目の車両の車間距離が、車間距離計算部32で計算される。検出された車両の大きさ、色と走行速度、車間距離は車両通行テーブル33で表1のように管理される。
【0017】
【表1】
【0018】
表1において速度はkm/時、車間距離はメートル、進入は、運搬車両が走行車線に進入できるとき〇で示している。車間距離が50メートルあれば進入可能と判断している。
次に、車間距離を計算する例を示すが、ある時刻で、撮影画像の左端に速度80km/時(=22メートル/秒)の車両が検出されたとする。その2秒後に、撮影画像の中央に次の車両が検出されたとする。撮影画像の左端から右端までの距離が20メートルとするとき、左端に撮影された車両は、左端から2秒×22メートル=44メートル移動している。中央部に撮影された次の車両は左端より10メートルの距離にあるので、車間距離は10+44=54メートルと計算される。
【0019】
監視カメラ2が撮影している箇所は、例として、監視カメラ2より20メートル先、運搬車両が走行車線に進入しようとしている箇所が、例として監視カメラ2より60メートル後ろとすれば、表1の情報は、運搬車両からみると、20+60=80メートル先の地点での情報であり、走行中の車両の走行速度を80km/時とすれば、3.6(80/22)秒前の情報となる。
【0020】
表1で運搬車両の進入が可能と判断された〇印の情報にもとづき、タイミング通知部34では連絡装置4に伝える情報として、「黒のトラックの後で赤のバスが来る前に進入可能です」というような音声信号を合成するとともに、カメラ映像より、検出された車両を静止画として抜取り、〇印のタイミング以外では、静止画に赤い×を大きく書き込み、運搬車両が走行車線への進入は不可という事を画像でも表示を行うための画像を作成する。
【0021】
連絡装置4は、運搬車両の誘導を行う誘導員がいる場合は誘導員に持たせ、誘導員が運搬車両の運転手に合図する。誘導員がいないときは、運転助手に持たせ、運転助手がいないときは運転手でもよい。運搬車両が工事車線から無事、走行車線に進入した時は、連絡装置4に、進入できたことを連絡する。運搬車両が走行車線に入れば、監視カメラ2は、工事区域車線に進入してくる車両を監視する必要がなくなり、工事区間を走行する車両からの落下物検出の作業に入る。
【0022】
まず、連絡装置4からの上記した連絡を受け、監視カメラ2の撮影方向は撮影方向指示部9が、撮影方向切替機構15とズーム機構11を駆動し、落下物を的確に検知できるよう設定される。なお、撮影方向切替機構15を設けず、監視カメラを2つの撮影方向に応じ2台設置してもよい。落下物を検知する方向とは、図2のように監視カメラ2の左右の工事区域車線で、かつ道路面が撮影できるような方向である。監視カメラ2はできるだけ広角で、180度程度の広角機能を持ったカメラ、あるいは、180度弱程度に回転可能な機能を有していて、工事区域車線を走行する車両をできるだけ広範囲に撮影する。
【0023】
工事区域車線を走行する車両と道路を監視しながら落下物がないかをチェックしながら、落下物が検出されたら、警告装置1にそのこと連絡し、警告装置1は、「この先、落下物あり、走行注意」を表示したり、発声したりする。落下物検知は、車両から落下物が落下する瞬間を検出できるときもあるが、多くの場合は、道路上にすでに落下してしまった落下物であろう。
【0024】
図6は、図4の落下物検出部7の構成を示す。図6で、20は移動物体検出部、21は車両判定部、22は背景画像記憶部、23は差分検出部、24は大きさ・位置判定部、25はズーム指示部である。
【0025】
カメラ信号より、まず、物体の輪郭を検出し、移動する物体は、移動物体検出部20で検出され、車両判定部21で、移動物体が車両であることを検出すると同時に車両以外の移動物体は落下物とみなすことで、落下物が検出される。
【0026】
一方、カメラの撮影位置に応じた背景画像が、予め背景画像記憶部22に記憶されていて、撮影されたカメラ画像と比較され、背景画像記憶部22にない画像が差分として検出される。車両判定部21で判定された車両情報は、差分検出部23で差分としては差し引かれ、差分検出部23の出力は落下物だけの画像になる。
【0027】
車両判定部21と差分判定部23の出力は落下物であり、大きさ・位置判定部24で落下物の大きさが、特大、大、中、小と判定されるとともに、落下物の車線での位置が左端、中央、右端、と判定される。このとき、カメラのズーム比率を変更して撮影してみることが必要と判断されるなら、大きさ・位置判定部24からズーム指示部25へ指示を出す。なお、特大の大きさは、車線幅を3.5メートル、普通乗用車の車幅を1.7メートルとみて、車線の半分をふさぐ大きさ相当で、1.5メートル以上の大きさを特大とする。また、この大きさ・位置判定部24では、車両の停止を検出する機能も具備し、停止時間が1分を超えた時や停止車両が複数台になると、走行不能状態(車両通行止め状態)にあると判定する。
【0028】
落下物の大きさは、カメラ画像にある車両の大きさをもとに判定する。普通乗用車の大きさは、幅が1.7メートル程度であるので、カメラ画像に映った落下物の寸法は、これをもとに計算する。また落下物の位置は、カメラ画像から車線の左端側か右端側か中央かが分かれば、それを位置情報とするが、より詳しくは、車線の左端、あるいは右端からいくらかの計算を、普通車の幅が1.7メートル、車線の幅が3.5メートル程度であることを利用し求める。
【0029】
走行車線が図2に示すように1本しかないとき、落下物の大きさが特大であるとき、特大でなくても道路中央部に落下していて、車線幅が実効的に1.7メートルより少なくなったとき、車両通行止め状態になるので、「車両通行止め」の表示を行う必要がある。走行車線がもう1本あれば、走行車両は車線変更して落下物を避けて走行できるので、「車両通行止め」にする必要はない。もっとも、走行車線が1本しかないとき、落下物に最初に出会った車両が落下物のため通行できないとき、停止せざるを得ないので、表示がなくても車両通行止め状態になるだろう。監視カメラ2で、車両通行止め状態になったことが検知されたら、交通監視センタ3にそのことを連絡する。
【0030】
落下物の判定作業は、リアルタイムである必要性はなく、図6で示した判定作業を何度も何度も繰り返し、10秒とか1分とかの時間、をかけてもよい。特にカメラが広角撮影のために回転機構を設けている場合は、落下物を検出した回転角で回転を一時的に止めてズームしながら判定作業を行えばよい。
【0031】
落下物が検出されたら、図5に示すように、無線通信部10より警告装置1に、「大きさが大の落下物あり」と落下物の情報を連絡することで工事車線に設置されている警告装置1が、警告灯部12で赤い警告灯を回転させるとともに、「この先に大きな落下物あり」や「この先に小さな落下物あり」、「この先車両通行止め」を文字表示部13で表示したり、音声発生部14でスピーカより発声したりする。
【0032】
落下物ありと判定されたら監視カメラ2からは、そのことを同時に交通監視センタ3に連絡する。連絡を受けた交通監視センタは、落下物除去のための人員を現場に派遣させる指示を出す。落下物を除去できたら、警告装置1の警告を中止する。
【0033】
落下物除去作業は、交通監視センタ事業者と工事事業者との連携が取れていれば、工事している作業者に依頼することもでき、この場合、交通監視センタ3は現場に人員を派遣することは不要になる。特に、車両通行止めを生起するような特大の落下物の除去作業は、道路工事中の作業員に依頼できることが望ましい。
【0034】
落下物を除去できたことは、監視カメラ2の画像でわかるので、監視カメラ2から警告装置1に警告を中止する信号を送ることで警告を停止できる。別の方法としては、現場で除去作業を行う作業員が所有する連絡装置4から警告装置1に無線連絡する方法や、作業員が交通監視センタ3へ電話連絡し、交通監視センタ3から警告装置1に警告中止の指示を出す方法がある。なお、高速道路に設置されているような表示装置に「この先落下物あり」の表示を活用できれば、警告装置1の設置は必ずしも必要はない。
【0035】
図8は連絡装置のブロック図を示す。図8において、40は撮影方向指示ボタン、41は落下物除去通知ボタン、42はタイミング通知信号復原部、43は進入終了通知ボタン、44は無線通信回路、45はスピーカ、46は画像表示部であり、連絡装置は携帯電話に専用のソフトウエアを搭載することで構成できる。無線通信回路44は、工事現場での無線通信網として図3に示す公衆無線通信網が使用される時は携帯電話の無線通信回路が使用されるが、公衆無縁通信網の替わりに自営の無線通信網が使用される時は、自営の無線通信網に対応した専用の無線通信回路をモジュールとして用意し、携帯電話のUSB端子に接続して使用される。上記した専用のソフトウエアは、図8の各ボタン操作、タイミング通知信号としての音声や画像信号の復原機能を有すものである。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、カメラの撮影映像を分析する監視カメラシステムを提供しており、運搬車両が走行車線に進入するときの人手(監視員や誘導員)を不要にできるため、工事現場では必要なものとなり、産業上の利用可能性はきわめて大きい。
【符号の説明】
【0037】
1.警告装置
2.監視カメラ
3.交通監視センタ
4.連絡装置
5.公衆無線通信網
6.カメラ部
7.落下物検知部
8.タイミング判定部
9.撮影方向指示部
10.無線通信部
11.ズーム機構
12.警告灯部
13.文字表示部
14.音声発生部
15.撮影方向切替機構
20.移動物体検出部
21.車両判定部
22.背景画像記憶部
23.差分検出部
24.大きさ・位置判定部
25.ズーム指示部
30.走行車両検出部
31.走行速度測定部
32.車間距離計算部
33.車両通行テーブル
34.タイミング通知部
40.撮影方向指示ボタン
41.落下物除去通知ボタン
42.タイミング通知信号復原部
43.進入終了通知ボタン
44.無線通信回路
45.スピーカ
46.画像表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2023-01-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連絡装置と道路工事区間に設置された監視カメラとが無線通信網に接続され、前記監視カメラは撮影方向として工事区域車線の前方を撮影し、工事区域車線に進入してくる走行車両を検出するとともに複数の走行車両の車間距離を測定することで、前記監視カメラは、道路工事区間で停止している運搬車両が、車両の走行車線へ進入できるタイミング情報を前記連絡装置に連絡することを特徴とする道路工事用監視カメラシステム。
【請求項2】
交通監視センタと道路工事区間に設置された監視カメラとが無線通信網に接続され、前記監視カメラは、工事区域車線を通過する車両を撮影する撮影方向で撮影した画像より、走行車両からの落下物を落下物の大きさとともに検知し前記交通監視センタに連絡する機能を有すことを特徴とする道路工事用監視カメラシステム。
【請求項3】
請求項1において、前記連絡装置は、撮影方向の指示、運搬車両が工事車線から走行車線への進入終了の通知機能、無線通信機能、スピーカを具備することを特徴とする道路工事用監視カメラシステム。
【請求項4】
請求項2において、前記無線通信網に接続された警告装置が道路工事区間の前方に設置され、前記交通監視センタからの連絡を受け、警告装置は落下物の情報を表示することを特徴とする道路工事用監視カメラシステム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本発明の実施の形態について、以下説明する。
図1は、道路には、工事車線と走行車線の2車線があり、工事車線には、工事区間(工事が行なわれている区間)とその前後に黒丸で示すコーンが載置され、工事区間の中央部に監視カメラが設置され、監視カメラは走行車線の前方に向け工事区間と隣接する走行車線(工事区域を走行する車線であり、工事区域車線と呼ぶ)に進入してくる車両を撮影している。監視カメラの設置位置は、走行する車両の全貌と輪郭が監視でき、車両の輪郭が1台ずつ検知できるよう2メートルくらいの高さに置かれている。工事区間の終了地点では、工事のための運搬車両が役目を終え、工事車線から走行車線に進入しようとしている。運搬車両のそばには、運搬車両の運転手に交通誘導する誘導員が配置されることもある。また、道路工事区間の先頭付近には警告装置が設置されている。
なお、工事区間とその前後でコーンが置かれている区間を合わせたものを道路工事区間と呼ぶ。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
運搬車両が工事車線から走行車線に進入するときの動作について説明する。運搬車両は、トラックなどの大型車両で、セメントや砂など工事に必要な資材を工事区間に運搬し、工事区間に資材を配るが、配り終えた後は、工事区間にいる必要はなく、別の工事区間に行くとか、帰路につく。このため走行車線に進入するが、運転手の目視だけで工事区間で停止状態から走行車線に進入することは大変危険であり、多くの工事現場では、工事区域車線に進入してくる車両を見ながら、進入タイミングを合図する監視人がいて、その監視人の合図を見て、運搬車両のそばにいる誘導員が、運搬車両の運転手に、「今だ」という合図をするのがこれまで行われていることである。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
タイミング判定のためには、操作として、まず、監視カメラ2の撮影方向を、工事区域車線に進入してくる走行中の車両を撮影するための撮影方向(監視カメラ2から見ると20メートルくらい先)に切り替える指示を連絡装置4から監視カメラ2に伝え、撮影方向変更機構を駆動するとともに、ズーム機構11に20メートル先の映像が的確に撮影できるズーム比率を指示する。例えば、カメラ画像の撮影範囲が、左端から右端までの距離が20メートルという数値になるようズーム比率を設定する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
連絡装置4は、運搬車両の誘導を行う誘導員がいる場合は誘導員に持たせ、誘導員が運搬車両の運転手に合図する。誘導員がいないときは、運転助手に持たせ、運転助手がいないときは運転手でもよい。運搬車両が工事車線から無事、走行車線に進入した時は、連絡装置4に、進入できたことを連絡する。運搬車両が走行車線に入れば、監視カメラ2は、工事区域車線に進入してくる車両を監視する必要がなくなり、工事区域車線を走行する車両からの落下物検出の作業に入る。
【手続補正6】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正の内容】
図1
【手続補正7】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図6
【補正方法】変更
【補正の内容】
図6
【手続補正書】
【提出日】2024-01-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連絡装置と道路工事区間に設置された監視カメラとが無線通信網に接続され、前記監視カメラは、走行車線より工事区域車線に進入してくる車両を撮影し、該車両の輪郭を検出するとともに複数の車両の車間距離を測定することで、前記監視カメラは、前記道路工事区間で停止している運搬車両が、車両の走行車線へ進入できるタイミング情報を前記連絡装置に連絡することを特徴とする道路工事用監視カメラシステム。
【請求項2】
請求項1において、交通監視センタが前記無線通信網に接続され、前記監視カメラは、落下物検出部を有し、前記工事区域車線を走行する車両を撮影する撮影方向で撮影した画像より、前記走行する車両からの落下物を落下物の大きさとともに検知し前記交通監視センタに連絡することを特徴とする道路工事用監視カメラシステム。
【請求項3】
請求項において、前記連絡装置は、前記監視カメラの撮影方向を、前記工事区域車線に進入してくる車両を撮影する方向から、該工事区域車線を走行する車両を撮影する方向への切り替え指示を行うことを特徴とする道路工事用監視カメラシステム。
【請求項4】
請求項2において、前記無線通信網に警告装置が接続され、該警告装置は、前記落下物検出部により落下物が検出されたことの連絡を前記監視カメラより受けて警告情報を発するように構成され、前記道路工事区間の、前記工事区域車線に進入してくる車両の進入方向側に設置されたことを特徴とする道路工事用監視カメラシステム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0031】
落下物が検出されたら、図4に示すように、監視カメラの無線通信部10より警告装置1に、「大きさが大の落下物あり」と落下物の情報を連絡することで、工事車線に設置されている警告装置1が、警告灯部12で赤い警告灯を回転させるとともに、「この先に大きな落下物あり 」や「この先に小さな落下物あり」、「この先車両通行止め」を文字表示部13で表示したり、音声発生部14でスピーカより発声したりする。
警告装置1の構成は図5に示されているが、警告装置1の発する警告情報としては、上記警告灯の点灯や文字表示、さらに音声による警告があるが、これら3種の情報のすべてを同時に発しても、一つのみ(例:音声)にしても良い。なお、警告装置1の設置位置は、図1に示すように、前記道路工事区間の、前記工事区域車線に進入してくる車両の進入方向側で、走行車線から工事区域車線への境界線(「入口」ともいえる)付近である。