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特開2024-6823報酬提供型の学習方法および報酬提供型の学習システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006823
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】報酬提供型の学習方法および報酬提供型の学習システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/20 20120101AFI20240110BHJP
【FI】
G06Q50/20
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022113535
(22)【出願日】2022-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】522278693
【氏名又は名称】株式会社WoW SPACE
(72)【発明者】
【氏名】三浦 紘勇雅
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC34
(57)【要約】      (修正有)
【課題】知識や能力を向上したい学習者が、学費を負担することなく、希望分野に係わる学習活動を通じて自己の知識や能力を高めるだけで新たな報酬を獲得できる、報酬提供型の学習方法と学習システムを提供する。
【解決手段】報酬提供型のオンライン学習システム1において、学習システム上で提供される教育カリキュラムを受講するか、受講カリキュラムに係わる理解度または能力確認試験に合格するか、自らの知識や能力向上にもつながる学習分野に係わる関係者の広告を閲覧するか、学習分野に係わる関係者と学習に関する情報・意見交換を実施するか又は学習分野に係わる関係者の業界・求人情報を受信して検討して応答することのうち、いずれか1つ以上の学習関係活動を実施することにより、受講実績や受講成果及び学習関係活動に応じた報酬を得られるようにする。これにより学習者の学習意欲を高めて持続させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
知識や能力を向上させる学習方法のうち、
学習システム上で提供される教育カリキュラムを受講するか、教育カリキュラムに係わる理解度または能力確認試験に合格するか、学習システム上で、学習分野に係わる関係者と学習分野に関する情報・意見交換を通じて自身の知識や能力の向上につなげるか、学習分野に関係する職業・求人情報の入手と検討を通じて自身の職業分野に関する知識向上につなげる活動のうち、いずれか1つ以上の学習活動を実施することで、受講実績や受講成果および学習活動に応じて報酬を得られる権利を付与する一方、
学習分野に係わる関係者が学習システム上に掲載する広告に係わる広告掲載収入か、学習分野に係わる関係者との情報・意見交換を通じて学習者の情報や意見を収集できる関係者から得られる市場調査協力の収入か、学習分野に関係する職業・求人情報の提供と情報提供内容に対する評価応答情報の入手通じて学習者の情報や意見を収集したり、人材獲得できた場合の人材獲得協力の収入のうち、いずれか1つ以上を集金して基金化し、前記の基金を各学習者の学習活動から得られた報酬獲得権利に応じて分配提供することで、
学習希望者が学費を負担することなく、学習活動を実施するだけで報酬を得られるようにしたことを特徴とする、報酬提供型の学習方法
【請求項2】
請求項1に記載の学習方法において、学習システムを利用する学習者と、学習システム上で提供される教育カリキュラムの受講履歴と、教育カリキュラムに係わる理解度または能力確認試験の評価結果および改善課題と、学習分野に係わる情報・意見交換活動および活動成果と、学習分野に関係する職業・求人情報の評価応答活動および評価応答結果と、前記の学習活動に応じて付与される報酬分配権利の分配率情報と、学習分野の関係事業者から得られる広告掲載収入情報と市場調査協力収入情報および人材獲得協力収入情報と、前記収入情報の1つ以上を集約して基金化した基金情報と、前記の基金を各学習者の学習活動から得られた報酬獲得権利に応じて分配提供した履歴情報のうち、いずれか1つ以上の情報を、ブロックチェーン技術の活用による改ざん困難なデジタルデータとして管理し、学習の習熟度や知識能力レベルの管理と、学習活動に応じた報酬分配提供の管理に利用することを特徴とする、報酬提供型の学習方法
【請求項3】
請求項1および請求項2に記載の学習方法の一部または全部が、通信ネットワークに接続されたスマートフォンかコンピュータで稼働する、オンライン情報端末群で提供され、オンライン学習システムを構成することを特徴とする、報酬提供型の学習方法
【請求項4】
請求項3に記載の学習方法において、学習活動者に支払われる報酬か、学習活動者に支払われる報酬の原資となる広告掲載収入か市場調査協力収入または人材獲得協力収入のいずれか1つ以上が合算された基金のうち、いずれか1つ以上が暗号資産にて管理流通されることを特徴とする、報酬提供型の学習方法
【請求項5】
請求項1~請求項4に記載の学習方法のうち、いずれか1つ以上の方法を、半自動または全自動的に実施する、報酬提供型の学習方法実施用のプログラム
【請求項6】
請求項1~請求項5に記載の学習方法のうち、いずれか1つ以上の方法を半自動または全自動的に実施するネットワーク接続型のサーバと、前記サーバに請求項5に記載の報酬提供型の学習方法実施用プログラムを実装させて運用することを特徴とする、報酬提供型の学習システム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、学習の方法および学習システムに関するもので、特に学習者が学費を負担することなく、学習を実施して学習成果を得たり、学習に関連した活動を行うことで、学習行為や学習成果および学習活動に応じて報酬を得ることができる、学習者への報酬提供型の学習方法と、本方法を適用したネットワーク接続型サーバと報酬提供型の学習システム運用プログラムで構成される、報酬提供型の学習システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
社会のデジタル化が進展するなか、学習や教育の分野でもデジタル化が進展し、スマートフォンやコンピュータといった通信端末群を介したオンライン学習が普及し、広範囲で難解な学問分野も細分化して段階的に学習していくことで習熟度を高めるe-ラーニングが普及している。こうしたe-ラーニングでは、時間や国境等の制限なく、学習希望者が学費を負担すれば、容易に学習希望分野の知識と能力を高めることが可能となりつつある。
【0003】
こうした学習について、一般的にはオンラインに限らず学習者が教育者や教育システムに対して教材費や受講料などの学費を支出・負担し、学費を得た教育者や教育システムが学習者に対して教育カリキュラムを提供し、学習者の知識や能力の向上を支援するものであるが、こうした学習システムの場合、学費の負担が困難な学習希望者が学習できなかったり、生活貧困者が無償の学習機会を獲得できても、生活費を得るうえで収入が得られない学習活動に時間をかけることができず、学習の機会を公平化できないという課題がある。
【0004】
こうした課題に対して、学習者の学習活動や、理解度認定試験に合格するといった学習成果を得ることで、学習活動や学習成果に応じた報酬ポイントが提供される一方、学習者が集まるインターネットサイトに掲載される広告収入を原資として基金化し、一定期間ごとに報酬ポイントに応じてクジ引きを行って、クジに当選した学習者だけに一定期間で蓄積された基金の分配額に相当する電子ギフト券が提供される、報酬提供型の学習システム技術(非特許文献1)が知られている。
【0005】
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】英語を勉強するだけでお金がもらえる?話題の英語学習アプリ「Cash English」とは?実際に使ってみた!(2016年7月29日)https://kigyotv.jp/news/cashenglish/
【0007】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記の通り、非特許文献1の従来技術によれば、学費の負担が困難な学習者が、学費を負担することなく希望分野の学習を行いながら、クジ引きに当選した際には報酬が得られ、その報酬獲得確率は学習活動の積極性や学習成果の大きさによって高まるため、学習者の学習意欲を高めることが可能であるが、本技術には以下に示す4つの課題がある。
【0009】
まず従来技術の学習方法では、学習者全員が、学習活動の実績や成果に応じて必ず報酬を得られるわけではなく、クジ引きによって当選した場合にのみ報酬が与えられる方法となっているため、積極的に学習を行って学習成果を高めても、クジに当選しなければ報酬が得られず、こうした経験をした学習者の学習意欲が低下し、学習システムを継続して利用しなくなって、学習システムの継続的な稼働や利用者の拡大が困難となる課題がある。
【0010】
また、従来技術の学習方法における学習者への報酬原資が、学習分野に対応した関係事業者が掲載する広告収入に限定されているため、学習者に対して提供できる報酬の総額規模が限定され、広告収入が減少した場合には学習者に提供できる報酬の当選確率が低下したり、当選者に提供できる報酬の絶対額が減少することによって、学習者の学習意欲低下や学習者の離脱を誘発し、学習参加者が減少することで広告掲載者にとっても広告掲載することの便益が減少するため、広告掲載者や広告掲載収入が減少し、両者の悪循環によってサービスの持続拡大が困難になるという課題がある。
【0011】
さらに、本サービスの実施に係わる報酬原資の獲得や、当選者の選抜および当選者へのギフト券による報酬提供の各プロセスが、ブロックチェーン技術や暗号資産での流通提供となっていないため、学習に係わる報酬獲得権利や報酬原資と報酬提供の管理に時間と手間を要する一方、情報の逸失や改ざんによって、学習の進捗や学習成果に応じた適切な報酬提供が実施できなくなるリスクがあるという課題がある。
【0012】
加えて、本サービスに参加する学習者が増加する一方、多大な学習者に提供する報酬が少額となる場合には、報酬の管理や提供に係わる手間と手数料の負担が増大することに加え、増大した報酬提供費用を報酬提供原資から差し引いて学習者に提供する場合には、学習者に提供できる報酬額が減少し、前記の課題と同様に、学習者の意欲低下や離脱を招くことで、学習システムの継続的な稼働や利用者の拡大が困難になるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、学習者が学費を負担することなく、学習活動や学習成果に応じて報酬を得られる報酬提供型の学習方法と、本方法を適用した学習システムのうち、学習者の全員が学習活動や学習成果に応じて確実に報酬を得られるようにするだけでなく、学習活動や学習成果に応じて得られる報酬獲得権利の将来価値を増大させることで、学習者の学習意欲低下や学習システムへの離脱を防止し、学習参加者の増大と積極的な学習活動を促進することで、学習システムを継続拡大させるとともに、学習システムへの報酬原資提供者への報酬原資提供インセンティブを高めることで持続発展できる、新たな報酬提供型の学習方法と、本方法を適用した持続発展可能な報酬提供型の学習システムを提供することである。
【0014】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
知識や能力を向上させる学習方法のうち、
学習システム上で提供される教育カリキュラムを受講するか、教育カリキュラムに係わる理解度または能力確認試験に合格するか、学習システム上で、学習分野に係わる関係者と学習分野に関する情報・意見交換を通じて自身の知識や能力の向上につなげるか、学習分野に関係する職業・求人情報の入手と検討を通じて自身の職業分野に関する知識向上につなげる活動のうち、いずれか1つ以上の学習活動を実施することで、受講実績や受講成果および学習活動に応じて報酬を得られる権利を付与する一方、
学習分野に係わる関係者が学習システム上に掲載する広告に係わる広告掲載収入か、学習分野に係わる関係者との情報・意見交換を通じて学習者の情報や意見を収集できる関係者から得られる市場調査協力の収入か、学習分野に関係する職業・求人情報の提供と情報提供内容に対する評価応答情報の入手通じて学習者の情報や意見を収集したり、人材獲得できた場合の人材獲得協力の収入のうち、いずれか1つ以上を集金して基金化し、前記の基金を各学習者の学習活動から得られた報酬獲得権利に応じて分配提供することで、
学習希望者が学費を負担することなく、学習活動を実施するだけで報酬を得られるようにしたことを特徴とする。
【0015】
請求項2に記載の発明は、
請求項1に記載の学習方法において、学習システムを利用する学習者と、学習システム上で提供される教育カリキュラムの受講履歴と、教育カリキュラムに係わる理解度または能力確認試験の評価結果および改善課題と、学習分野に係わる情報・意見交換活動および活動成果と、学習分野に関係する職業・求人情報の評価応答活動および評価応答結果と、前記の学習活動に応じて付与される報酬分配権利の分配率情報と、学習分野の関係事業者から得られる広告掲載収入情報と市場調査協力収入情報および人材獲得協力収入情報と、前記収入情報の1つ以上を集約して基金化した基金情報と、前記の基金を各学習者の学習活動から得られた報酬獲得権利に応じて分配提供した履歴情報のうち、いずれか1つ以上の情報を、ブロックチェーン技術の活用による改ざん困難なデジタルデータとして管理し、学習の習熟度や知識能力レベルの管理と、学習活動に応じた報酬分配提供の管理に利用することを特徴とする。
【0016】
請求項3に記載の発明は、
請求項1および請求項2に記載の学習方法の一部または全部が、通信ネットワークに接続されたスマートフォンかコンピュータで稼働する、オンライン情報端末群で提供され、オンライン学習システムを構成することを特徴とする。
【0017】
請求項4に記載の発明は、
請求項3に記載の学習方法において、学習活動者に支払われる報酬か、学習活動者に支払われる報酬の原資となる広告掲載収入か市場調査協力収入または人材獲得協力収入のいずれか1つ以上が合算された基金のうち、いずれか1つ以上が暗号資産にて管理流通されることを特徴とする。
【0018】
請求項5に記載の発明は、
請求項1~請求項4に記載の学習方法のうち、いずれか1つ以上の方法を、半自動または全自動的に実施する、報酬提供型の学習方法実施用のプログラムであることを特徴とする。
【0019】
請求項6に記載の発明は、
請求項1~請求項5に記載の学習方法のうち、いずれか1つ以上の方法を半自動または全自動的に実施するネットワーク接続型のサーバと、前記サーバに請求項5に記載の報酬提供型の学習方法実施用プログラムを実装させて運用する、報酬提供型の学習システムであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、学費の支払いや学習時間の確保が困難な学習希望者も含め、本発明を適用した学習システムで学習活動に取り組む全員が、学費を負担することなく、学習活動や学習成果に応じて確実に新たな収入を得ることが可能になり、学習者の学習意欲低下や学習システムへの離脱を防止し、学習参加者の増加と学習参加者の学習活動を持続的に活性化させながら、学習システムを継続発展させることで、学習希望者の学習に係わる負担を大幅に軽減するとともに、学習機会を平等化し、学習意欲をもって努力する人材が自ら収入を増やしながら自身の知識や能力を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明に係る第1実施形態である、ブロックチェーン技術を適用した暗号資産流通による、報酬提供型のオンライン学習システムの構成図である。
図2】本発明に係る第1実施形態である、報酬提供型のオンライン学習システムにおいて、学習システム運用者が報酬原資を獲得して基金化してから、学習者の学習活動に応じた報酬を暗号資産として支払うまでのプロセスを示すフローチャートである。
図3】本発明に係る第1実施形態である、報酬提供型のオンライン学習システムにおいて、学習システムを積極的に利用して学習活動を行う学習者とその学習活動の積極化に伴って報酬分配を行う報酬獲得権利が増加していくプロセスと、このプロセスに伴って学習システム活用者のコミュニティが活性化することで報酬原資を集約した基金が増加することにより、時間経過とともに報酬獲得権利の経済価値が増大していく過程を示す状態変化図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。なお、本発明の範囲は特許請求の範囲記載のものであって、本実施形態に限定されるものではない。
【0023】
(第1実施形態)
【0024】
まず本発明の第1実施形態に係る、報酬提供型のオンライン学習システムの構成図について、図1に基づいて説明する。
【0025】
図1に示すように、この報酬提供型のオンライン学習システム1は、日本人学習者向けに英語学習をテーマとするオンライン学習カリキュラムを提供するもので、電気通信回線網2を介して接続された、英和辞典販売事業者が所有管理する通信端末C1と、英語通訳者を育成する専門学校事業者が所有管理する通信端末C2と、英語が堪能な日本人エンジニアを採用したい機械製造事業者が所有管理する通信端末C3を含む企業所有の端末群Cが接続されている。
【0026】
同時にこのシステムには、オンライン学習カリキュラムを受講する英語学習者のうち、英和辞典の必要性を感じている学習者が利用する通信端末L1と、英語通訳者を目指して学習している学習者が利用する通信端末L2と、外国の工場で活躍できることを目指して専門的な英会話能力の向上にむけた英語学習を行っている日本人エンジニアが利用する通信端末L3を含む学習者所有の端末群Lが接続されている。
【0027】
さらに本システムには、学習者に対して無料で提供されるオンライン学習カリキュラムに加え、学習者むけの広告コンテンツを掲載して広告収入を得られる機能と、学習者と企業群との情報・意見交換が行えるチャット機能と、学習者の中から企業が希望する人材を抽出して直接求人情報の提供と提供情報に対する応答情報の送受信を行える求人応答機能を運用するとともに、企業群から得られる収入を暗号資産に変換したうえで基金化して入出金管理を行うとともに、学習者ごとの報酬獲得権利の管理と、学習者が希望した際に、暗号資産基金から、報酬獲得権利に応じた分配報酬を暗号資産として送金処理したうえで記録管理を行う、報酬提供型学習システム運用プログラム3を実装させた、高機能サーバ4によって構成されている。
【0028】
このような構成とすることで、報酬提供型のオンライン学習システムに広告掲載や学習者との情報・意見交換によるマーケティング情報を得たい企業や、英会話力のあるエンジニアを効率よく採用したい企業から、学習者に対する報酬原資となる収入を集め、海外も含めた入出金処理を低コストかつ高効率に実施できる暗号資産に変換し、基金化して学習者が基金の蓄積状況を確認できるようにするとともに、本システムを利用する学習者が、学費負担なくオンライン学習を行いながら、学習の進捗や学習成果と、学習内容や学習方法に係わる情報・意見交換といった学習活動に応じて、報酬の分配権利を獲得し、報酬獲得権の蓄積状況を確認しながら、必要時に報酬獲得手続き(報酬相当の暗号資産分配出金手続き)を行い、学習活動を通じて獲得してきた報酬を、国内外含めて容易に入出金や利用が可能な暗号資産として入手することが可能となる。
【0029】
また、本システムの運用事業者にとっても、このような構成とすることで、学習者に対する報酬原資の獲得や暗号資産化と基金化蓄積管理をはじめ、学習者の学習進捗や学習成果と、学習活動に対する報酬獲得権利の蓄積管理や、学習者への報酬支払に係わる送金処理や記録管理を、効率よく速やかに、かつ自動的に行えるようになることで、システムの運用や入出金処理に係わる費用と手間を大幅に削減することが可能となり、削減コストを学習者への報酬に充当することで、学習者に対する学習システムへの参加意欲やシステム内での学習意欲を高め、学習コミュニティを活性化させることで、報酬原資をもたらす企業群のコミュニティ関与も強化され、サービスの持続的な拡大を実現することが可能となる。
【0030】
次に図1に示した、報酬提供型のオンライン学習システム1を用いて、広告掲載や学習者との情報・意見交換によるマーケティング情報を得たい企業や、英会話力のあるエンジニアを効率よく採用したい企業から、学習者に対する報酬原資となる収入を集めて暗号資産に変換された基金とするプロセスと、学習者が基金の増加状況を確認しながら学費負担なくオンライン学習を行い、学習途中で学習システム上に掲載紹介された和英辞典を購入して学習を継続し、理解度確認試験に合格する学習成果を得るとともに、学習内容や学習方法に係わる情報・意見交換といった学習活動を行って報酬の分配権利を獲得し、報酬獲得権の増加状況を確認したうえで報酬獲得手続き(報酬相当の暗号資産分配出金手続き)を行って、学習活動を通じて獲得してきた報酬を暗号資産として入手する一連のプロセスについて、図2に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0031】
図2に示すフローチャートには、図1に示すシステムでの報酬原資の入金と暗号資産への変換による基金化プロセスの代表例が示されている。すなわち、英和辞典販売事業者が所有管理する通信端末C1から学習システムのサイト上に自社の英和辞典に関する広告を掲載させる一方で、学習システム運用事業者に広告掲載料F1が支払われるプロセスと、英語通訳者を育成する専門学校事業者が所有管理する通信端末C2から、英語通訳者を目指す学習者との間で、英語通訳者になるための勉強方法や英語通訳者の実務イメージに対する情報・意見交換をチャット機能を利用して行う際に、ターゲット学習者とのチャット機能を利用する利用料F2が支払われるプロセスと、英会話力のある日本人エンジニアを採用したい機械製造事業者が所有管理する通信端末C3から、一定の英会話レベル達した日本人エンジニアに対して直接求人情報を送信して応答を得る際に、直接求人情報提供機能の利用料F3を支払うプロセスと、学習システム内で前記C1、C2およびC3から支払われて入金された収入F1、F2およびF3を、それぞれ共通通貨の暗号資産CPT1、CPT2およびCPT3に変換して合算し、基金T-CPTとして蓄積管理されるプロセスが記載されている。
【0032】
また、図2に示すフローチャートには、図1に示すシステムを利用して英語学習を行う学習者が利用する通信端末L1、L2およびL3から、それぞれの端末を所有利用する学習者の学習活動や学習成果に係わる情報が送受信され、それぞれの学習活動に応じた報酬獲得権利に関するブロックチェーン情報が送受信されて記録管理されるプロセスの代表例が示されている。すなわち、通信端末L1を所有利用する学習者がオンライン学習カリキュラムを3講座受講し、学習の途中で学習システム上に掲載紹介された和英辞典を購入して学習を継続し、理解度確認試験に合格する学習成果を得る過程で、継続的にカリキュラムを受講することで報酬獲得権Rを1トークンづつ3回受講によって計3トークン獲得するとともに、理解度確認試験に合格したことで特別報酬獲得権Rを3トークン獲得し、合計6トークンの分配報酬獲得権が蓄積され、記録管理されるプロセスが記載されている。
【0033】
加えて、通信端末L2を所有利用する学習者が、オンライン学習カリキュラムを受講する過程で、英語通訳者を育成する専門学校事業者が所有管理する通信端末C2との間で、英語通訳者になるための効率的な勉強方法に関する情報・意見交換をチャット機能を利用して行ったことで、オンライン学習カリキュラムを3講座受講したことによる3トークンの獲得に加え、関係企業との情報・意見交換チャットへの協力報酬として1トークンを獲得し、合計4トークンの分配報酬獲得権が蓄積され、記録管理されるプロセスも記載されている。
【0034】
さらに、通信端末L3を所有利用する学習者が、オンライン学習カリキュラムを受講する過程で、英語が堪能な日本人エンジニアを採用したい機械製造事業者から求人案内を受領して内容を精査し、検討結果を回答したことで、オンライン学習カリキュラムを3講座受講したことによる3トークンの獲得に加え、求人事業者からの求人情報の確認と検討結果の回答を行った協力報酬として2トークンを獲得し、合計5トークンの分配報酬獲得権が蓄積され、記録管理されるプロセスも記載されている。
【0035】
こうして、学習システムに関与する事業者端末群Cから支払われた各種利用料が入金された後に暗号資産基金T-CPTとして蓄積管理される一方、学習システムを通じて学習活動をしてきた学習者端末L1によって獲得された分配報酬獲得権6トークンと、学習者端末L2によって獲得された分配報酬獲得権4トークンと、学習者端末L3によって獲得された分配報酬獲得権5トークンの合計15トークンが合計報酬獲得権T-RRとして蓄積され、記録管理されている。
【0036】
このように、学習システムを利用する学習者は、それぞれが所有利用する学習者端末を通じて暗号資産基金T-CPTの蓄積状況と、合計報酬獲得権T-RRと、このうちの自身の報酬獲得権LRRから、自身の暗号資産報酬獲得額LCPTを、T-CPTにLRRをT-RRで除した自身の報酬獲得権分配率を乗じることで、いつでも自身の期待報酬獲得額を把握できるとともに、学習コミュニティの活性化に伴うT-CPTの増加状況と、自身の学習活動の積極化に伴うLRRの増加状況とを確認し、意識しながら意欲的に学習するようになるとともに、必要時には前記の計算方法に基づいて自己の報酬を暗号資産として出金する手続きを行うことで、学習活動を通じて得られた報酬を暗号資産で入手できる。
【0037】
一方、学習システムに関与する事業者端末群Cのうち、英和辞典販売事業者については、本システムを利用する学習者の一部が掲載広告を通じて自社の英和辞典を購入した実績と、本システムを利用する学習者の増加状況や、学習者群の学習活動の積極化をT-RRの増加状況から推認し、さらに広告掲載料F1を増額して売上増加を図ろうとすることで、システム運用者の入金が増え、学習者への報酬原資をさらに増加させることが可能となる。
【0038】
同様に、学習システムに関与する事業者端末群Cのうち、英語通訳者を育成する専門学校事業者については、本システムを利用する学習者の中から、英語通訳者を志望する候補人材を抽出し、チャット機能を通じた情報・意見交換を通じて自社の経営に有効な情報やアイディアを得られた実績と、本システムを利用する学習者の増加状況や、学習者群の学習活動の積極化状況をT-RRの増加状況から推認し、さらにチャット機能利用料F2を増額して市場調査の対象者数増加を図ろうとすることで、学習システム運用者への入金が増え、学習者への報酬原資をさらに増加させることが可能となる。
【0039】
また、学習システムに関与する事業者端末群Cのうち、英語が堪能な日本人エンジニアの求人需要があった機械製造事業者については、本システムを利用する学習者の中から、海外工場への赴任も可能で英会話も可能な日本人エンジニアを直接採用できた実績と、本システムを利用する学習者の増加状況や、学習者群の学習活動の積極化状況をT-RRの増加状況から推認し、直接求人機能の利用料F3をさらに増額して有望人材の獲得数増加を図ろうとすることで、学習システム運用者への入金が増え、学習者への報酬原資をさらに増加させることも可能となる。
【0040】
以上のように、本システムを利用する学習者の増加状況や、各学習者の学習活動の積極化状況をT-RRの増加状況から把握すると同時に、本システムを利用する企業数の増加状況や利用企業による報酬原資の入金増加状況をT-CPTの蓄積状況から把握し、T-CPTがT-RRよりも急速に増加し、T-CPTがT-RRの増加ペースを上回る割合で着実に増加すると、各学習者の報酬獲得額が、学習コミュニティの活性化によってもたらされる報酬原資の増大効果によって自然と増額されることとなる。図3は、こうした時間経過に伴う学習コミュニティの活性化による、報酬獲得権の将来資産価値の増大効果を示したものである。
【0041】
以上のような構成とフローチャートに基づく学習システムを構成することで、学費の支払いや学習時間の確保が困難な学習希望者であっても、学費を支払うことなく、学習しながら新たな収入を得られる機会を提供することが可能となり、学習希望者の学習に係わる負担を大幅に軽減するとともに、学習機会を平等化し、学習意欲をもって努力する人材が自ら収入を増やしながら知識や能力を高めることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
ただし本発明は、前記の形態に限定されるものではなく、図示した実施形態では通信回線網を介してブロックチェーンデータで情報管理と暗号資産での報酬授受を行うオンライン学習システムの例としているが、こうした方式に限定せず、通信網を介さず地域限定で提供される報酬提供型の学習方法や、暗号資産を活用しない現金授受の方式を適用しても良い。
【0043】
このように、前記の実施形態は例示であり、本発明の特許請求範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【0044】
1・・・報酬提供型のオンライン学習システム
2・・・電気通信回線網
3・・・報酬獲得型のオンライン学習システム運用プログラム
4・・・高機能サーバ
C1・・・学習システムへの広告AD掲載事業者1の情報通信端末
C2・・・学習システムでの学習者チャット機能CHAT利用事業者2の情報通信端末
C3・・・学習システムでの学習者への直接求人応答機能RECRUIT利用事業者3の情報通信端末
CPT1・・広告掲載事業者1の通信端末C1から入金された、広告AD掲載料相当の暗号資産
CPT2・・通訳専門事業者2の通信端末C2から入金された、チャット機能CHAT利用料相当の暗号資産
CPT3・・機械製造事業者3の通信端末C3から入金された、直接求人応答機能RECRUIT機能利用料に相当する暗号資産
T-CPT・・学習システム事業者に入金蓄積された資金に相当する報酬用の暗号資産基金
E1・・・学習者1の情報通信端末
E2・・・学習者2の情報通信端末
E3・・・学習者3の情報通信端末
F1・・・広告掲載事業者1から支払われた広告ADの掲載料
F2・・・通訳専門事業者2から支払われたチャット機能CHATの利用料
F3・・・機械製造事業者3から支払われた直接求人応答機能RECRUITの利用料
SRR1・・学習者1が学習システムでの学習活動を通じて蓄積した報酬獲得権
SRR2・・学習者2が学習システムでの学習活動を通じて蓄積した報酬獲得権
SRR3・・学習者3が学習システムでの学習活動を通じて蓄積した報酬獲得権
T-RR・・学習システムでの学習を行う学習者全員のSRRを合計した、合計報酬獲得権
L1CPT・・・学習者1が学習システムでの学習活動を通じて獲得できる暗号資産報酬
L2CPT・・・学習者2が学習システムでの学習活動を通じて獲得できる暗号資産報酬
L3CPT・・・学習者3が学習システムでの学習活動を通じて獲得できる暗号資産報酬
図1
図2
図3