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特開2024-68231跳ね上がり抑制ユニット及びソフトクローズ機能付き引戸
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068231
(43)【公開日】2024-05-20
(54)【発明の名称】跳ね上がり抑制ユニット及びソフトクローズ機能付き引戸
(51)【国際特許分類】
   E05F 7/04 20060101AFI20240513BHJP
   E05F 1/16 20060101ALI20240513BHJP
   E05F 5/02 20060101ALI20240513BHJP
【FI】
E05F7/04
E05F1/16 A
E05F5/02 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178510
(22)【出願日】2022-11-08
(71)【出願人】
【識別番号】000169329
【氏名又は名称】アトムリビンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081271
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 芳春
(72)【発明者】
【氏名】飯島 弘久
(72)【発明者】
【氏名】川島 翔
【テーマコード(参考)】
2E050
【Fターム(参考)】
2E050NA01
2E050PB05
2E050PC02
2E050PD03
(57)【要約】
【課題】引戸の戸先側及び/又は戸尻側のガイド本体とソフトクローズユニットとの間に後付け可能な跳ね上がり抑制ユニット及びソフトクローズ機能付き引戸を提供する。
【解決手段】跳ね上がり抑制ユニットは、水平方向の一端にガイド本体に接続可能な接続凹部を有し、他端にソフトクローズユニットに接続可能な接続凸部を有する本体部と、本体部の下部に配置され、衝撃を吸収するためのアブソーバと、アブソーバを保持すると共に、下端が引戸の上端に当接可能であり、上端が本体部に上下方向にスライド可能に連結されているアダプタとを備え、アブソーバは、アダプタを介して垂直方向に作用するように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物の開口部の上枠に固着したレールに沿って開閉可能なソフトクローズ機能付き引戸の跳ね上がり抑制ユニットであって、
水平方向の一端に前記引戸のガイド本体に接続可能な接続凹部を有し、他端にソフトクローズユニットに接続可能な接続凸部を有する本体部と、
前記本体部の下部に配置され、衝撃を吸収するためのアブソーバと、
前記アブソーバを保持すると共に、下端が前記引戸の上端に当接可能であり、上端が前記本体部に上下方向にスライド可能に連結されているアダプタとを備え、
前記アブソーバは、前記アダプタを介して垂直方向に作用するように構成されていることを特徴とする跳ね上がり抑制ユニット。
【請求項2】
前記アダプタの前記引戸の上端に当接する下面は、ソリ状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の跳ね上がり抑制ユニット。
【請求項3】
前記アブソーバは、シリンダーと、厚さ方向に貫通孔を有し、前記シリンダー内に自在に移動可能なピストンと、一端が前記ピストンの上面に固着され、他端が前記シリンダーの上端から突出して装着されたピストンロッドと、前記ピストンを上方に付勢する復帰バネと、前記シリンダー内に充填された流体とから構成されていることを特徴とする請求項1に記載の跳ね上がり抑制ユニット。
【請求項4】
前記アダプタと前記アブソーバとの間には挿脱且つ増減可能なスペーサを介挿することが可能であることを特徴とする請求項3に記載の跳ね上がり抑制ユニット。
【請求項5】
前記本体部の前記接続凸部と前記接続凹部が、互いに嵌合可能な形状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の跳ね上がり抑制ユニット。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の跳ね上がり抑制ユニットを備えたことを特徴とするソフトクローズ機能付き引戸。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造物の開口部の上枠に固着したレールに沿って開閉可能な引戸の跳ね上がり抑制ユニット及びソフトクローズ機能付き引戸に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の出入り口の上枠に設けたレールに沿って開閉する引戸には、引戸本体が戸枠や戸当たりに衝突することによる衝撃や騒音を緩和するためのソフトクローズ機構を備えたものがある。このような引戸用のソフトクローズ機構では、引戸本体の上端にトリガーカムを有するソフトクローズ機構部が設けられ、レール側の所定位置にトリガー部材が設けられている。開閉時に、引戸がトリガー部材に当接することによってソフトクローズ機構が動作することにより、引戸がその移動速度が低減され、所定の距離を走行した後に停止する。
【0003】
このようなソフトクローズ機能を搭載した引戸を閉める際に、過剰に力を印加すると、勢いを持った戸が上方に跳ね上がり、動作の高級感を損なうという問題が生じていた。
【0004】
このような引戸の跳ね上がりを抑止するために、引戸を構造物に備えられたレールに沿って案内するガイド本体と、引戸の開閉途中位置においてガイド本体に対して制動力を付与する受け部材と、ガイド本体に設けられた押圧ブロックと、ガイド本体の制動に伴いこのガイド本体から押圧ブロックを進出させて引戸に押圧させるブロック進出機構とを備え、吊り車近傍に装着される跳ね上がり抑制装置が提案されている(特許文献1)。
【0005】
しかし、特許文献1に開示された跳ね上がり抑制装置は、装着された吊り車が進む方向にのみ作動する機構であり、開閉双方向にソフトクローズ機構が動作するユニットに適用した場合、開ける方向には作動せず、引戸が上方に跳ね上がってしまう問題があった。これを解決するため、開ける方向に進む吊り車にアブソーバを垂直方向に作用するように配置し、跳ね上がりを抑える引戸の跳ね上がり抑制装置が提案されている(特許文献2、3及び4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第5650450号公報
【特許文献2】特許第6587885号公報
【特許文献3】特許第6815004号公報
【特許文献4】特開2022-88902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述したように特許文献1に記載の跳ね上がり抑制装置は、開閉双方向にソフトクローズ機構が動作するユニットに適用した場合、開ける方向には作動せず、引戸が上方に跳ね上がってしまう問題点があった。
【0008】
また、特許文献2、3及び4に記載されている引戸の跳ね上がり抑制装置は、吊り車自体をアブソーバが内蔵できるように従来の形状から変更する必要があり、多大な製造コストがかかったり、吊り車を取り付けるための引戸の加工部分の形状も変更しなくてはならなくなったりする問題点があった。
【0009】
従って、本発明は従来技術の上述した課題を解消するものであり、その目的は、引戸の戸先側及び/又は戸尻側のガイド本体とソフトクローズユニットとの間に後付け可能な跳ね上がり抑制ユニット及びソフトクローズ機能付き引戸を提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、複数個を繋げて跳ね上がり抑制力を向上させることができる跳ね上がり抑制ユニット及びソフトクローズ機能付き引戸を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、構造物の開口部の上枠に固着したレールに沿って開閉可能なソフトクローズ機能付き引戸の跳ね上がり抑制ユニットは、水平方向の一端に引戸のガイド本体に接続可能な接続凹部を有し、他端にソフトクローズユニットに接続可能な接続凸部を有する本体部と、本体部の下部に配置され、衝撃を吸収するためのアブソーバと、アブソーバを保持すると共に、下端が引戸の上端に当接可能であり、上端が本体部に上下方向にスライド可能に連結されているアダプタとを備えている。アブソーバは、アダプタを介して垂直方向に作用するように構成されている。
【0012】
本発明の跳ね上がり抑制ユニットにおいて、本体部は、水平方向の一端にガイド本体に接続可能な接続凹部を有し、他端にソフトクローズユニットに接続可能な接続凸部を有し、本体部の下部に衝撃を吸収するためのアブソーバが配置され、かつアブソーバを保持すると共に、下端が引戸の上端に当接可能であり、上端が本体部に上下方向にスライド可能に連結されているアダプタを備えている。アブソーバは、アダプタを介して垂直方向に作用するように構成されている。これにより、施工現場において、跳ね上がり抑制機能を搭載していない引戸のガイド本体とソフトクローズユニットとの間に後付けることができる。また、開閉双方向にソフトクローズが作動するユニットを使用した引戸において、戸先側及び戸尻側の両方に設けることができ、開ける方向にもの跳ね上がり抑制することができる。さらに、多大な製造コストをかけることなく、ガイド本体を取り付けるための引戸の加工を変更することなく、跳ね上がり抑制するソフトクローズ機能付き引戸を構成することができる。
【0013】
アダプタの引戸の上端に当接する下面は、ソリ状に形成されていることが好ましい。これにより、レール内に挿入されたガイド本体を引戸に具備された受けに長手方向から嵌合させる際、アダプタが引戸の上部角に引っ掛かることがなく装着することができる。また、そのまま、長手方向に滑らせることにより、アブソーバを上部レールと引戸上部との隙間に応じた適正位置まで縮めることができる。さらに、ガイド本体を受けから外す際、引戸の上面に隆起する箇所があってもアダプタが引っ掛かることがなくスムーズに装着することができる。
【0014】
アブソーバは、シリンダーと、厚さ方向に貫通孔を有し、シリンダー内に自在に移動可能なピストンと、一端がピストンの上面に固着され、他端がシリンダーの上端から突出して装着されたピストンロッドと、ピストンを上方に付勢する復帰バネと、シリンダー内に充填された流体とから構成されていることも好ましい。これにより、ピストンロッドを介して印加される衝撃を吸収すると共に、ピストンロッドを押し戻すことができる。
【0015】
アダプタとアブソーバとの間には挿脱且つ増減可能なスペーサを介挿することが可能であることも好ましい。これにより、ガイド本体の上下調整範囲広くてもその全域でアブソーバの抗力を利かせることができる。
【0016】
本体部の接続凸部と接続凹部が、互いに嵌合可能な形状に形成されていることがより好ましい。これにより、複数の跳ね上がり抑制ユニットが互いに連結することができ、跳ね上がり抑制ユニットの使用個数を増やすだけで跳ね上がり抑制力をアップさせることができる。
【0017】
本発明によれば、さらに、上述した跳ね上がり抑制ユニットを備えたソフトクローズ機能付き引戸が提供される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、跳ね上がり抑制ユニットは、本体部が水平方向の一端にガイド本体に接続可能な接続凹部を有し、他端にソフトクローズユニットに接続可能な接続凸部を有し、本体部の下部に衝撃を吸収するためのアブソーバが配置され、かつアブソーバを保持すると共に、下端が引戸の上端に当接可能であり、上端が本体部に上下方向にスライド可能に連結されているアダプタとを備えている。アブソーバは、アダプタを介して垂直方向に作用するように構成されている。これにより、施工現場において、跳ね上がり抑制機能を有しない引戸のガイド本体とソフトクローズユニットとの間に後付けることができる。また、開閉双方向にソフトクローズが作動するユニットを使用した引戸において、戸先側及び戸尻側の両方に設けることができ、開ける方向にも跳ね上がり抑制をすることができる。さらに、多大な製造コストをかけることなく、ガイド本体を取り付けるための引戸の加工を変更することなく、跳ね上がり抑制するソフトクローズ機能付き引戸を構成することができる。
【0019】
また、本体部の接続凸部と接続凹部が、互いに嵌合可能な形状に形成されていることで、複数の跳ね上がり抑制ユニットを互いに連結することができ、跳ね上がり抑制ユニットの使用個数を増やすだけで跳ね上がり抑制力をアップさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係るソフトクローズ機能付き引戸の跳ね上がり抑制ユニットの構成を概略的に示す斜視図である。
図2図1の跳ね上がり抑制ユニットの構成を概略的に示す分解斜視図である。
図3図1のアブソーバとアダプタを組み立てた状態を概略的に示す斜視図である。
図4図1の跳ね上がり抑制ユニットの構成を概略的に示す断面図及びA方向図である。
図5図1の跳ね上がり抑制ユニットのアブソーバの動作状態を示す断面図であり、(A)初期状態、(B)作動した状態である。
図6図1の跳ね上がり抑制ユニットの設置及び使用状態(その1)を示す斜視図である。
図7図1の跳ね上がり抑制ユニットの設置及び使用状態(その2)を示す図である。
図8図1の跳ね上がり抑制ユニットの設置及び使用状態(その3)を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係るソフトクローズ機能付き引戸の跳ね上がり抑制ユニットの実施形態を、図を参照して説明する。
【0022】
図1は本発明の一実施形態に係るソフトクローズ機能付き引戸の跳ね上がり抑制ユニット100の全体の構成を示しており、図2は跳ね上がり抑制ユニット100の全体を分解して示している。図3はアブソーバ20とアダプタ30を組み立てた状態を示している。図4は跳ね上がり抑制ユニット100の構成を示しており、(A)断面図であり、(B)A方向図である。また、図6は跳ね上がり抑制ユニットの設置及び使用状態の一例を示している。
【0023】
図6に示すように、本実施形態に係る跳ね上がり抑制ユニット100は、構造物の開口部の上枠に固着したレールRに沿って開閉可能な上吊式のソフトクローズ機能付き引戸Dにおいて、ガイド本体110とソフトクローズユニット120との間に配置される。
【0024】
図1図4及び図6に示すように、この跳ね上がり抑制ユニット100は、水平方向の一端にガイド本体110に接続可能な接続凹部11を有し、他端にソフトクローズユニット120に接続可能な接続凸部12を有する本体部10と、本体部10の下部に配置され、衝撃を吸収するためのアブソーバ20と、アブソーバ20を保持すると共に、下端が引戸の上端に当接し押圧可能であり、上端が本体部10に上下方向にスライド可能に連結されているアダプタ30と、アダプタ30とアブソーバ20との間には挿脱且つ増減可能なスペーサ40とを備えている。アブソーバ20は、アダプタ30を介して垂直方向に作用するように構成されている。
【0025】
本体部10は、上述したように、水平方向の一端にガイド本体110に接続可能な接続凹部11を有し、他端にソフトクローズユニット120に接続可能な接続凸部12を有する。この本体部10の中央部13には、下方が開口した凹部13a(図4)と、この凹部13aの上面から上方へ突出した前後1対の突起部13b(図1図4)とを有している。凹部13aにはアダプタ30の上端部が挿入可能である。アブソーバ20のピストンロッド23の先端(上端)が凹部13aの底面に当接するように配置されている(アブソーバ20を上下逆さに設置しても良い)。1対の突起部13bは、引戸の跳ね上がり時に、上レールの天壁部に当接するようになされている。また、本体部10の中央部13の下部にアダプタ30の上端と連結する連結部14(図4)を有している。連結部14は、凹部13aの接続凹部11側の隔壁11aと接続凸部12側の隔壁12aにそれぞれ切り込みスリット14aが設けられて構成されている。また、接続凹部11及び接続凸部12の各々には、上下方向に貫通する連結用穴11b及び12bが設けられている。また、接続凹部11と接続凸部12は、互いに嵌合可能な形状に形成されている。これにより、複数の引戸の跳ね上がり抑制ユニット100が互いに連結することができ、跳ね上がり抑制ユニット100の使用個数を増やすだけで跳ね上がり抑制力をアップさせることができる。
【0026】
アブソーバ20は、衝撃を吸収するためのものであり、シリンダー21と、貫通孔22aを有し、シリンダー21内に自在に移動可能なピストン22と、一端がピストン22の上面に固着され、他端がシリンダー21の上端から突出して装着されたピストンロッド23と、ピストン22を上方に付勢する復帰バネ24と、シリンダー21内に充填された流体25とから構成されている。シリンダー21の外表面は円柱面である。このような構成により、ピストンロッド23を介して印加される衝撃を吸収すると共に、ピストンロッド23を押し戻すことができる。流体25は、粘性流体(例えば、シリコンオイル)である。なお、ピストン22には、貫通孔22aの流路を開閉する弁機構(図視せず)を有している。ピストンロッド23を上方へ引っ張るようにすると、弁が開き、貫通孔22aから流体25が流れるようになり、抵抗がほぼなくなる。一方、ピストンロッド23を下方へ押すと、弁が閉じ、貫通孔22a塞がるので、流体25がピストン22の外周のわずかな隙間を通る必要があるため、抵抗が増すことで、衝撃を吸収することができる。
【0027】
図5は跳ね上がり抑制ユニット100のアブソーバ20の動作状態を示しており、同図(A)は初期状態であり、(B)は引戸Dの跳ね上がりによるアブソーバ20が作動した状態である。ここで、動作状態を説明するため、変位量を拡大して示しているが、実際の変位量はごくわずかである。図5(A)に示すように、初期状態では、アダプタ30の下部が引戸Dからの力を受けていないため、復帰バネ24によりシリンダー21を下方へ付勢することで、ピストン22をシリンダー21内の上部に位置するようになる。この場合、アダプタ30の下端が引戸Dの上端に当接又は僅かに隙間がある状態に設置されている。また、図5(B)に示すように、引戸Dの跳ね上がりによるアブソーバ20が作動した際に、アダプタ30の下端が引戸Dの上端により上方へ押上され、ピストンロッド23がアダプタ30の本体部10の中央部13の凹部13aの底面に当接しているため、ピストン22がシリンダー21に対して下方に移動するようになる。この場合、ピストン22の下方の流体25が貫通孔22aを通してピストン22上部へ流動するようになり、流動速度により抑制力をコントロールすることができる。即ち、ピストン22の径や流体25の粘度によって、流動速度が適宜に設定可能である。
【0028】
アダプタ30は、引戸Dの上端に当接し押圧可能な下端としての板状の押圧部31と、押圧部31の上面に立設され、アブソーバ20を保持する1対の側壁32と備えている。押圧部31の下面は、ソリ状に形成されている。1対の側壁32の対向する内面は、アブソーバ20の外表面に対応する円弧面に形成されている。また、1対の側壁32の外面の上端部に、本体部10の切り込みスリット14aに係合する連結突起33が設けられている。アダプタ30は、連結突起33を介して本体部10に連結されている。また、連結突起33は、切り込みスリット14aに沿ってスライド可能に構成されている。
【0029】
スペーサ40は、例えば、リング状の座金を用いることができる。本実施形態では、2枚のスペーサ40を用いている。これにより、ガイド本体の上下調整範囲が広くてもその全域でアブソーバ20の抗力を利かせることができる。
【0030】
以下、本実施形態の跳ね上がり抑制ユニット100の設置及び使用状態を図6図8を参照して説明する。
【0031】
図6は跳ね上がり抑制ユニット100の設置及び使用状態の一例を示している。図6に示すように、引戸Dの戸先側に跳ね上がり抑制ユニット100を設ける場合、この跳ね上がり抑制ユニット100は、ガイド本体110とソフトクローズユニット120との間に配置され、ガイド本体110が進む方向に作動するものである。この場合、例えば、戸先側において、跳ね上がり抑制ユニット100の本体部10の接続凹部11が戸先側のガイド本体110に接続されており、接続凸部12がソフトクローズユニット120に接続されている。なお、ソフトクローズユニット120は、単方向ソフトクローズ機能又は双方向ソフトクローズ機能のいずれかを有するものである。
【0032】
図7は跳ね上がり抑制ユニット100の設置及び使用状態の他の例を示している。図7に示すように、跳ね上がり抑制ユニット100は、開閉双方向にソフトクローズ機能が動作する双方向ソフトクローズユニット120Aに配置され、ガイド本体110が開閉双方向に進む方向に作動するものである。この場合、引戸Dの戸先側と戸尻側にそれぞれ跳ね上がり抑制ユニット100を設けている。即ち、戸先側において、跳ね上がり抑制ユニット100の本体部10の接続凹部11が戸先側のガイド本体110に接続されており、接続凸部12が双方向ソフトクローズユニット120Aの一端に接続されている。一方、戸尻側において、跳ね上がり抑制ユニット100の本体部10の接続凹部11が戸尻側のガイド本体110に接続されている。このように引戸Dの戸先側と戸尻側にそれぞれ跳ね上がり抑制ユニット100を設けると、引戸Dがいずれの方向への移動した場合にも引戸の跳ね上がりを抑制することができる。
【0033】
図8は跳ね上がり抑制ユニット100の設置及び使用状態のさらに他の例を示している。図8に示すように、複数個(2個)の跳ね上がり抑制ユニット100が互いに繋がって、ガイド本体110とソフトクローズユニット120との間に配置され、ガイド本体110が進む方向に作動するものである。この場合、第1の跳ね上がり抑制ユニット100の本体部10の接続凹部11がガイド本体110に接続されており、接続凸部12が第2の跳ね上がり抑制ユニット100の本体部10の接続凹部11に接続され、第2の跳ね上がり抑制ユニット100の接続凸部12がソフトクローズユニット120に接続されている。このように、複数の跳ね上がり抑制ユニットが互いに連結することで、跳ね上がり抑制ユニット100の使用個数を増やすだけで跳ね上がり抑制力をアップさせることができる。
【0034】
以上詳細に説明したように、本実施形態の跳ね上がり抑制ユニット100は、水平方向の一端にガイド本体110に接続可能な接続凹部11を有し、他端にソフトクローズユニット120に接続可能な接続凸部12を有する本体部10と、本体部10の下部に配置され、衝撃を吸収するためのアブソーバ20と、アブソーバ20を保持すると共に、下端が引戸Dの上端に当接可能であり、上端が本体部に上下方向にスライド可能に連結されているアダプタ30と、アダプタ30とアブソーバ20との間に配置されたスペーサ40とを備え、アブソーバ20は、アダプタ30を介して垂直方向に作用するように構成されている。
【0035】
これにより、施工現場において、跳ね上がり抑制機構を搭載していないソフトクローズ機能付き引戸のガイド本体110とソフトクローズユニット120との間に後付けることができる。また、開閉双方向にソフトクローズが作動するユニットを使用した引戸Dにおいて、戸先側及び戸尻側の両方に設けることができ、開ける方向にもの跳ね上がり抑制をすることができる。さらに、多大な製造コストをかけることなく、ガイド本体110を取り付けるための引戸Dの加工を変更することなく、跳ね上がり抑制機能を搭載したソフトクローズ機能付き引戸を構成することができる。
【0036】
また、引戸Dの上端に当接するアダプタ30の下面は、ソリ状に形成されていることで、レールR内に挿入されたガイド本体110を引戸Dに具備された受けに長手方向から嵌合させる際、アダプタ30が引戸Dの上部角に引っ掛かることがなく装着することができる。また、そのまま、長手方向に滑らせることにより、アブソーバ20を上部レールRと引戸D上部との隙間に応じた適正位置まで縮めることができる。さらに、ガイド本体110を受けから外す際、引戸Dの上面に隆起する箇所があってもアダプタ30が引っ掛かることがなくスムーズに装着することができる。
【0037】
また、アブソーバ20は、シリンダー21と、貫通孔22aを有し、シリンダー21内に自在に移動可能なピストン22と、一端がピストン22の上面に固着され、他端がシリンダー21の上端から突出して装着されたピストンロッド23と、ピストン22を上方に付勢する復帰バネ24と、シリンダー21内に充填された流体25とから構成されていることで、ピストンロッド23を介して印加される衝撃を吸収すると共に、ピストンロッド23を押し戻すことができる。
【0038】
また、アダプタ30とアブソーバ20との間にスペーサ40が設けられていることで、ガイド本体110の上下調整範囲が広くてもその全域でアブソーバ20の抗力を利かせることができる。
【0039】
さらに、本体部10の接続凸部12と接続凹部11が、互いに嵌合可能な形状に形成されていることで、複数の跳ね上がり抑制ユニット100が互いに連結することができ、跳ね上がり抑制ユニットの使用個数を増やすだけで跳ね上がり抑制力をアップさせることができる。
【0040】
なお、上述した実施形態の跳ね上がり抑制ユニット100においては、アダプタ30とアブソーバ20との間に2枚のスペーサ40は配置された例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。1枚又は3枚のスペーサ40を配置するようにしても良い。さらに、スペーサ40を配置しなくても良い。
【0041】
また、上述した実施形態の跳ね上がり抑制ユニット100において、アブソーバ20は、ピストン22と、ピストンロッド23と、復帰バネ24と、流体25とから構成されている例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。他の構成のアブソーバを用いても良い。
【0042】
本発明は、上記の実施形態に限定されるものでなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨を逸脱しない範囲内での種々、設計変更した形態を技術的範囲に含むものである。
【符号の説明】
【0043】
10 本体部
11 接続凹部
11a、12a 隔壁
11b、12b 連結用穴
12 接続凸部
13 中央部
13a 凹部
13b 突起部
14 連結部
14a 切り込みスリット
20 アブソーバ
21 シリンダー
22 ピストン
22a 貫通孔
23 ピストンロッド
24 復帰バネ
25 流体
30 アダプタ
31 押圧部
32 側壁
33 連結突起
40 スペーサ
100 跳ね上がり抑制ユニット
110 ガイド本体
120 ソフトクローズユニット
120A 双方向ソフトクローズユニット
D 引戸
R レール


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8