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特開2024-6824成果報酬獲得型の学習方法および成果報酬獲得型の学習システム
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  • 特開-成果報酬獲得型の学習方法および成果報酬獲得型の学習システム 図1
  • 特開-成果報酬獲得型の学習方法および成果報酬獲得型の学習システム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006824
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】成果報酬獲得型の学習方法および成果報酬獲得型の学習システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0601 20230101AFI20240110BHJP
   G06Q 50/20 20120101ALI20240110BHJP
【FI】
G06Q30/06 300
G06Q50/20
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022113536
(22)【出願日】2022-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】522278693
【氏名又は名称】株式会社WoW SPACE
(72)【発明者】
【氏名】三浦 紘勇雅
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB23
5L049CC34
(57)【要約】      (修正有)
【課題】学習者が学費を負担することなく、学習を希望する分野に関連した業務を通じて新たな収入を獲得しながら、学習希望分野に関する知識や能力を向上する。
【解決手段】業務管理責任学習者は、学習希望分野に係わる成果報酬型の業務を、業務依頼者から請け負い、請け負った業務を分割して成果報酬を分配させたうえで業務実施学習者に実施させ、業務実施学習者から得られた業務成果物の品質を評価し、改善を加えて統合したうえで、業務依頼者に完成品として納品を行い、成果報酬を得、業務実施学習者に対して成果報酬を分配して業務実施学習者に支払いながら、得られた業務成果物の品質評価結果と改善課題や改善内容を報告することで、業務実施学習者の知識と能力を高めるとともに、自らも業務管理責任者としての報酬を獲得しながら、学習希望分野に係わる専門知識や能力と、業務実施学習者との連携による業務遂行能力の両方を高める。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
知識や能力を向上させる学習方法のうち、
学習分野に係わる業務とその成果報酬を提供する業務依頼者と、業務依頼者から提供された業務を、成果物の作成業務と品質評価管理業務に分割するとともに、
前記の成果報酬を、分割した各業務の作業負担や全体成果物に対する貢献度に応じて分配したうえで、分割した業務の推進管理や学習分野に係わる専門知識を学習しながら成果物の品質管理と納期の責任を担う業務管理責任学習者と、
分割された業務の実施を通じた学習機会や学習課題を得ながら、業務の成果貢献度に応じて分配報酬を得る業務実施学習者とで構成され、
業務実施学習者が、業務管理責任学習者から依頼された分割業務の成果物を、学習や能力の向上を図りながら作成して業務管理責任学習者に納品し、分割業務の貢献度に応じて分配された成果報酬を得られるようにしたことを特徴とする、成果報酬獲得型の学習方法
【請求項2】
請求項1に記載の業務管理責任学習者が、業務実施学習者から提供された成果物の品質を評価して改善を行ったうえで成果物を完成させて業務依頼者に納品し、成果報酬を得て自身と業務実施学習者に分配するとともに、評価結果と改善内容の一方または両方を業務実施学習者に報告することによって、前記の業務実施学習者が、自己の業務評価と改善すべき課題および改善内容を学習することで、さらに知識と能力を向上させることを特徴とする、 成果報酬獲得型の学習方法
【請求項3】
請求項1の業務管理責任学習者が、業務依頼者から提供成果の品質と提供報酬の妥当性に対する評価結果と改善要望の一方または両方の報告を受けることによって、前記の業務管理責任学習者が、自己の業務評価と改善すべき課題および改善内容を学習することで、さらに知識と能力を向上させることを特徴とする、成果報酬獲得型の学習方法
【請求項4】
請求項1の業務管理責任学習者が、業務実施学習者から分割提供された業務の難易度と、得られた分配報酬および提供成果物への評価結果と改善助言に関する評価結果と改善要望の1つ以上に関する報告を受けることによって、前記の業務管理責任学習者が、自己の提供した成果物の品質妥当性と、当該成果物を得るための業務分担や進捗管理の方法、および成果物の品質管理と報酬の配分方法に係わる業務管理の最適化手法を学習することで、自己の学習分野に係わる専門性と、分業による業務管理の最適化手法の一方または両方に係わる知識と能力を高めることを特徴とする、成果報酬獲得型の学習方法
【請求項5】
請求項1に記載の学習方法において、成果物の作成業務と成果物の品質管理業務のいずれか一方または両方が、複数の細分化された成果物の作成業務と成果物の品質管理業務に分割され、それぞれの細分化された業務の成果貢献度に応じて報酬も細分化されて分配されることを特徴とする、成果報酬獲得型の学習方法
【請求項6】
請求項1~請求項5に記載の学習方法において、成果物の作成業務と品質管理業務の1つ以上の業務を担う人材が不足している場合に、当該人材不足業務を、請求項2~請求項4に記載の評価結果と改善要望をデジタルデータとして保存し、保存されたデータの参照を繰り返しながら機械学習を行わせることで、人材が不足する業務の一部を機械作業によって解消しながら、当該業務を実施する機械の知識や能力を向上させることを特徴とする、成果報酬獲得型の学習方法
【請求項7】
請求項1~請求項6に記載の学習方法の一部または全部が、通信ネットワークに接続されたスマートフォンやコンピュータで稼働する、オンライン情報端末群で提供され、オンライン学習システムを構成することを特徴とする、成果報酬獲得型の学習方法
【請求項8】
請求項7に記載の学習方法において、業務依頼者および前記業務依頼者から提供された業務の内容と業務に応じた成果報酬と、
請け負った業務を分割して報酬を分配するとともに、成果物の品質管理を行いながら学習を行う業務管理責任学習者と、前記の業務管理責任学習者が行った業務の分割方法と報酬分配方法、および業務管理責任学習者が成果物の品質向上にむけて行った成果物の改善内容と改善履歴および業務管理習熟度に関する情報と、
分割された業務を請け負って報酬を得ながら学習する業務実施学習者と、前記業務実施学習者が行った業務成果の品質と改善課題および学習履歴と習熟度に関する情報のうち、いずれか1つ以上の情報が、ブロックチェーン技術の活用による改ざん困難なデジタルデータとして記録管理され、学習の習熟度や能力レベル、および業務遂行力や成果報酬の分配管理のうち、いずれか1つ以上に利用されることを特徴とする、成果報酬獲得型の学習方法
【請求項9】
請求項1~請求項8に記載の学習方法のうち、いずれか1つ以上の方法を、半自動または全自動的に実施する、成果報酬獲得型の学習方法実施用のプログラム
【請求項10】
請求項1~請求項8に記載の学習方法のうち、いずれか1つ以上の方法を、半自動または全自動的に実施するネットワーク接続型のサーバと、前記サーバに実装された、請求項9に記載の成果報酬獲得型の学習方法実施用のプログラムで構成される、成果報酬獲得型の学習システム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、学習の方法および学習システムに関するもので、特に成果報酬とともに提供される業務の実施を通じて、報酬を得ながら実践的な学習を実現できる、成果報酬獲得型の学習方法と、本方法を適用したネットワーク接続型サーバと、成果報酬獲得型の学習システム方法の実施プログラムで構成される、成果報酬獲得型の学習システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
社会のデジタル化が進展するなか、学習や教育、ビジネスの様々な分野で、デジタル化と分割化が拡大している。このうち学習や教育の分野では、スマートフォンやコンピュータ端末を介したオンライン学習が普及し、広範囲で難解な学問分野を分割して段階的に学習していくことで習熟度を高めるe-ラーニングが普及し、時間や国境等の制限なく、学習希望者が学費を負担すれば、学習したい分野の知識と能力を高めることが容易に実現できる環境が整いつつある。
【0003】
また、ビジネスの分野でもデジタル化と分業化が進展しており、多大な工数から構成される業務を分割し、時間や国境等の制限なく並行分業させることで、分割された業務成果を統合して効率よく早期に成果物を創出し、成果報酬を得るオンライン成功報酬型の業務実施方法も普及しつつある。
【0004】
こうした学習方法のうち、細分化されたカリキュラムによるオンライン学習については、学費を負担していない学習者等が成りすましによってオンライン教育を受講することを防止する技術(特許文献1)や、オンライン学習で提供される講義を、本人が最初から最後まで受講したことを保証できるオンライン学習技術(特許文献2)のほか、オンライン学習に参加する学習者の顔表情が含まれた顔面イメージを取得して分析し、学習者の受講集中度を人工知能により分析しながら教育を行うオンライン学習技術(特許文献3)が知られており、成果報酬型のオンライン分業システムについては、コンピュータに入力する業務内容を分解し、必要とする業務能力を有する人材を、コンピュータネットワークが利用できる世界各国に求めて分業実施し、得られた分業成果を統合して目的とする作業成果として提供する技術(特許文献4)が知られている。
【0005】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第7063508号公報
【特許文献2】特開2022-27460号公報
【特許文献3】特開2022-53433号公報
【特許文献4】特開2003-44638号公報
【0007】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記の通り、特許文献1の従来技術によれば、学費を負担していない学習者等が成りすましによってオンライン教育を受講することを防止することが可能となり、特許文献2の技術によれば、オンライン教育の本人受講を担保できるようになるほか、特許文献3の技術によれば、オンライン教育の受講者の学習集中度を人工知能により分析しながら適切に教育を行うことが可能となることに加え、特許文献4の従来技術によれば、多大な工数を要する業務であっても国際的なネットワーク上で分業を行えるようにすることで、効率的に業務を完了することが可能となるが、これらの技術には以下に示す4つの課題がある。
【0009】
まず従来技術の学習方法は、いずれも知識や能力を高めたい学習者が、教材を提供して教授を行う教育者に教育対価としての学費を支払って学習するものであることから、学習意欲があっても学費を支払えない学習希望者が、学習機会を得て自身の知識や能力を高めることができないという課題がある。
【0010】
また、学費を支払えない学習希望者が生活貧困者である場合には、自身の知識や能力を高められる学習機会を無償で得ることができても、学習時間から収入を得ることができないため、学習よりも生活収入を得られる労働が優先され、学習時間の確保が困難になって自身の知識や能力を高めることが困難となる、という課題もある。
【0011】
さらに、ネットワーク上での分業システムによって、多大な工数を要する業務を分業によって効率的に成果提供し、報酬を分配して得られるようにはなっても、こうした業務の実施過程で、業務実施者が学習意欲や興味関心を持つ分野を選択して業務を実施しながら習熟度の高い分業者から自身の業務評価結果や改善課題とその改善方法および改善内容に関する報告を得て、自身の知識や能力の向上に繋げることはできないという課題がある。
【0012】
また、ネットワーク上での分業によって得られる分業成果を統合して改善し、品質の高い成果物を提供する業務管理責任者については、分業成果の統合と改善の過程で自身がもつ学習分野の知識や能力を分業実施者に教授することを通じて、自己の学習分野に関する専門性をさらに高めたり、業務依頼者からの成果物に対する評価や改善点の報告を得ながら、ネットワーク上における分業の進捗管理や成果物の品質向上に資する自己の業務遂行能力を高めることが実現できなかったという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、学費の支払いや学習時間の確保が困難な学習希望者であっても、学費を支払うことなく、学習分野に係わる業務を実施しながら新たな収入を得られる成果報酬獲得型の学習方法と、この学習方法を適用した、成果報酬獲得型の学習システムを提供することである。
【0014】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
知識や能力を向上させる学習方法のうち、
学習分野に係わる業務とその成果報酬を提供する業務依頼者と、業務依頼者から提供された業務を、成果物の作成業務と品質評価管理業務に分割するとともに、
前記の成果報酬を、分割した各業務の作業負担や全体成果物に対する貢献度に応じて分配したうえで、分割した業務の推進管理や学習分野に係わる専門知識を学習しながら成果物の品質管理と納期の責任を担う業務管理責任学習者と、
分割された業務の実施を通じた学習機会や学習課題を得ながら、業務の成果貢献度に応じて分配報酬を得る業務実施学習者とで構成され、
業務実施学習者が、業務管理責任学習者から依頼された分割業務の成果物を、学習や能力の向上を図りながら作成して業務管理責任学習者に納品し、分割業務の貢献度に応じて分配された成果報酬を得られるようにしたことを特徴とする。
【0015】
請求項2に記載の発明は、
請求項1に記載の業務管理責任学習者が、業務実施学習者から提供された成果物の品質を評価して改善を行ったうえで成果物を完成させて業務依頼者に納品し、成果報酬を得て自身と業務実施学習者に分配するとともに、評価結果と改善内容の一方または両方を業務実施学習者に報告することによって、前記の業務実施学習者が、自己の業務評価と改善すべき課題および改善内容を学習することで、さらに知識と能力を向上させることを特徴とする。
【0016】
請求項3に記載の発明は、
請求項1の業務管理責任学習者が、業務依頼者から提供成果の品質と提供報酬の妥当性に対する評価結果と改善要望の一方または両方の報告を受けることによって、前記の業務管理責任学習者が、自己の業務評価と改善すべき課題および改善内容を学習することで、さらに知識と能力を向上させることを特徴とする。
【0017】
請求項4に記載の発明は、
請求項1の業務管理責任学習者が、業務実施学習者から分割提供された業務の難易度と、得られた分配報酬および提供成果物への評価結果と改善助言に関する評価結果と改善要望の1つ以上に関する報告を受けることによって、前記の業務管理責任学習者が、自己の提供した成果物の品質妥当性と、当該成果物を得るための業務分担や進捗管理の方法、および成果物の品質管理と報酬の配分方法に係わる業務管理の最適化手法を学習することで、自己の学習分野に係わる専門性と、分業による業務管理の最適化手法の一方または両方に係わる知識と能力を高めることを特徴とする。
【0018】
請求項5に記載の発明は、
請求項1に記載の学習方法において、成果物の作成業務と成果物の品質管理業務のいずれか一方または両方が、複数の細分化された成果物の作成業務と成果物の品質管理業務に分割され、それぞれの細分化された業務の成果貢献度に応じて報酬も細分化されて分配されることを特徴とする。
【0019】
請求項6に記載の発明は、
請求項1~請求項5に記載の学習方法において、成果物の作成業務と品質管理業務の1つ以上の業務を担う人材が不足している場合に、当該人材不足業務を、請求項2~請求項4に記載の評価結果と改善要望をデジタルデータとして保存し、保存されたデータの参照を繰り返しながら機械学習を行わせることで、人材が不足する業務の一部を機械作業によって解消しながら、当該業務を実施する機械の知識や能力を向上させることを特徴とする。
【0020】
請求項7に記載の発明は、
請求項1~請求項6に記載の学習方法の一部または全部が、通信ネットワークに接続されたスマートフォンやコンピュータで稼働する、オンライン情報端末群で提供され、オンライン学習システムを構成することを特徴とする。
【0021】
請求項8に記載の発明は、
請求項7に記載の学習方法において、業務依頼者および前記業務依頼者から提供された業務の内容と業務に応じた成果報酬と、
請け負った業務を分割して報酬を分配するとともに、成果物の品質管理を行いながら学習を行う業務管理責任学習者と、前記の業務管理責任学習者が行った業務の分割方法と報酬分配方法、および業務管理責任学習者が成果物の品質向上にむけて行った成果物の改善内容と改善履歴および業務管理習熟度に関する情報と、
分割された業務を請け負って報酬を得ながら学習する業務実施学習者と、前記業務実施学習者が行った業務成果の品質と改善課題および学習履歴と習熟度に関する情報のうち、いずれか1つ以上の情報が、ブロックチェーン技術の活用による改ざん困難なデジタルデータとして記録管理され、学習の習熟度や能力レベル、および業務遂行力や成果報酬の分配管理のうち、いずれか1つ以上に利用されることを特徴とする、成果報酬獲得型の学習方法
【0022】
請求項9に記載の発明は、
請求項1~請求項8に記載の学習方法のうち、いずれか1つ以上の方法を、半自動または全自動的に実施する、成果報酬獲得型の学習方法実施用のプログラムであることを特徴とする。
【0023】
請求項10に記載の発明は、
請求項1~請求項8に記載の学習方法のうち、いずれか1つ以上の方法を、半自動または全自動的に実施するネットワーク接続型のサーバと、前記サーバに実装された、請求項9に記載の成果報酬獲得型の学習方法実施用のプログラムで構成される、成果報酬獲得型の学習システムであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、学費の支払いや学習時間の確保が困難な学習希望者であっても、学費を支払うことなく、学習分野に係わる業務を通じて、学習しながら新たな収入を獲得することが可能となり、学習希望者の学習に係わる負担を大幅に軽減するとともに、学習機会を平等化し、学習意欲をもって努力する人材が、自ら収入を増やしながら自身の知識や能力を高めることが可能となるほか、ネットワーク上で分業によって成果報酬を得ようとする人材にあっては、自身が管理遂行するネットワーク分業を通じて収入を得ながら、業務遂行に係わる知識や能力と、学習分野に関する専門性の両方を、実践的に高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明に係る第1実施形態である、ネットワーク分業による成果報酬獲得型のオンライン学習システムの構成図である。
図2】本発明に係る第1実施形態である、オンライン学習システムにおける、分業の遂行と、分業遂行を通じた業務実施者の学習プロセスを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。なお、本発明の範囲は特許請求の範囲記載のものであって、本実施形態に限定されるものではない。
【0027】
(第1実施形態)
【0028】
まず本発明の第1実施形態に係る、ネットワーク分業による成果報酬獲得型のオンライン学習システムについて、図1に基づいて説明する。
【0029】
図1に示すように、このネットワーク分業による成果報酬獲得型のオンライン学習システム1は、電気通信回線網2を介して接続された、複数の業務依頼者C群と、複数の業務管理責任学習者M-L&E群と、複数の業務実施学習者L&E群の各者が保有する情報通信端末群と、本システムの運用に係わる情報の送受信と処理および記録管理を行うプログラム3と、業務実施人材が不足している場合に機械学習を行いながら不足人材の業務を代行実施する業務代行実施プログラム4を実装させたサーバ5によって構成されている。
【0030】
このような構成とすることで、成果報酬獲得型のオンライン学習システムを活用して、学習者の学びと収入獲得の機会を提供する業務依頼者から、成功報酬Rが付与された依頼業務Jが提供され、提供された業務の内容と報酬額の情報がサーバ5に登録されるとともに、業務管理責任学習者と業務実施者にむけて発信提示され、業務実施を通じた学習と報酬の獲得に意欲のある人材が参加登録するとともに、分割された業務の一部を担務する人材が不足する場合には、サーバ5に実装された機械学習式の業務代行実施プログラム4によって業務を代行保管して不足成果を補充することで、業務依頼者から発信された依頼業務を完遂させながら、業務を実施する各者が学習を行えるようになっている。
【0031】
ここで、依頼された業務の分割化と報酬分配の設定については、業務依頼者が予め設定して発信できるほか、サーバ5において自動的に設定して周知したり、業務依頼情報を受信して、自身も学習しながら管理責任を請け負う業務管理責任学習者が、自身の裁量で設定を行い、学習しながら分割された業務を実施する業務実施学習者を募集して応募者に業務を割り当てて完遂させるなど、業務の内容や納期、依頼者の意向などに応じて業務の実施方法や報酬の分配設定、業務実施体制の構築は、柔軟に行えるようになっていることが好ましい。
【0032】
次に図1に示した、ネットワーク分業による成果報酬獲得型のオンライン学習システム1を用いて依頼者が成果報酬つきの業務を依頼した際に、本システムを介して業務の遂行を通じて学習者が知識や能力の向上を実現しながら分配された成果報酬を獲得する一連のプロセスについて、図2に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0033】
図2に示すフローチャートは、図1に示すシステムでの業務プロセスの代表例として、情報通信端末C1を所有する業務依頼者が成果報酬R1つきの業務J1をシステムに提供した場合について説明したものであり、依頼業務J1は、「Learn & Earnのカタカナ表記と意味を日本語で提示して欲しい」というもので、この業務に対する成果報酬R1は、「100USD」と設定されている。
【0034】
この情報は、AI業務代行機能も内蔵された業務管理システムサーバ5で受信した際に、依頼業務の内容と、これに付随した成果報酬がトークン化され、改ざん防止機能を有するブロックチェーンデータに変換されてデータベースに保存されるとともに、その情報がシステム運用サイト上に公開され、複数の業務管理責任学習者に提示される。
【0035】
ここで、サイト上で提示された依頼業務と成果報酬の情報を確認した業務管理責任学習者M-L&E1は、業務J1を、自らの分割業務実施成果の集約統合と改善および改善結果報告業務J1-1と、この業務に対応した分配報酬R1-1を設定するとともに、業務実施学習者に対する依頼業務をJ1-2~J1-5に分割し、それぞれの分割業務内容に応じた成果報酬R1-2~J1-5を設定してサイト上に公開し、複数の業務実施学習者に対して、依頼者への納期も考慮のうえで一定期間提示して、業務実施学習者の求人を行う。
【0036】
ここで、サイト上で提示された分割業務と分配報酬の情報を確認した業務実施学習者L&E2は、分配報酬R1-2つきの学習業務J1-2を担務し、L&E3は、分配報酬R1-3つきの学習業務J1-3を担務し、L&E4は、分配報酬R1-4つきの学習業務J1-4を担務する応募がなされ、それぞれの担務者が日本語のカタカナ表記方法を学びながら、担務した業務の成果物を納期内に業務管理責任学習者M-L&E1に提出する。
【0037】
なお本ケースにおいては、業務実施学習者の求人期間内に、分配報酬R1-5を受けて分割業務J1-5を担う人材の応募がなかったことから、業務管理責任学習者M-L&E1は、この分割業務の実施を機械学習式の作業代行プログラム4を内蔵するサーバ5に委託する設定を行うことで、すべての分割業務に対する成果物を納期前に入手している。
【0038】
このようにして、依頼された業務全体を分割した際の分割業務に対する分割成果物が、業務管理責任学習者M-L&E1のもとに集約され、M-L&E1は、得られた分割成果物の評価と改善を行った後に、成果物の統合によって受託業務成果物を完成させて、業務依頼者にむけて納品することで、受託業務成果物の情報と納期がサーバに登録されるとともに、業務依頼者にむけて納品通知されることで、業務を納期内に完遂させることが可能となる。
【0039】
すなわち本ケースにおいて、J1-2は正確な成果物を納期内に納品されたため、その結果と当初提示通りの成果報酬トークンが設定されているが、J1-3については「&」のカタカナ表記が「アンド」ではなく「ナンド」と一部不正確な低品質成果物として納品されており、J1-4については「Earn」のカタカナ表記が「アーン」ではなく「カーン」と納品されたことから、それぞれの分割成果物を改善するとともに、それぞれの分割業務に応じた成果報酬トークンの一部を控除し、控除された分を業務管理責任学習者M-L&E1が評価改善作業と課題抽出と改善助言に係わる作業報酬として受け取ることとしている。
【0040】
また、機械学習式サーバ5に担務させた分割業務J1-5については、2通りの分割成果物が推奨度とともに提示されているが、業務管理責任学習者M1がその内容を評価し、当初の推奨度を逆転させて提案する改善を行ったうえで受託業務成果物として提出している。
【0041】
このようにして、依頼された業務全体を分割した際の分割業務に対する分割成果物が、業務管理責任学習者M-L&E1のもとに集約され、業務管理責任学習者M-L&E1は、得られた分割成果物の評価と改善を行った後に、成果物の統合によって受託業務成果物を完成させて、業務依頼者にむけて納品提出を行うことで、受託業務成果物の情報と納期がサーバに登録されるとともに、業務依頼者にむけて納品発信されることで、依頼された業務を納期内に完遂させることが可能となる。
【0042】
ここで、受託業務成果物を受領した業務依頼者は、受領した成果物の品質や納期に対する評価を行って結果を報告するとともに、成果物の品質評価結果予め設定した成果報酬に応じた業務依頼金「100USD」を暗号資産化したうえでサーバ5に対して支払う。
【0043】
次に、業務依頼者からの評価結果と暗号資産化された成果報酬を受信したサーバ5は、受信した評価結果を業務管理責任学習者と業務実施学習者に報告して学びの課題や改善助言を周知するとともに、それぞれの業務成果に応じて分配されたトークンが暗号資産に換金され、報酬として支払われることで、業務管理責任学習者は、依頼業務の実施を通じて分配報酬を得るとともに、学習分野に対する専門性を高め、さらにネットワーク上での分割業務に係わる業務の管理責任者としての能力向上に資する学びの機会を得ることができる。
【0044】
同様に、分業内容を実施した業務実施学習者は、それぞれの分業成果に応じた分配報酬を得るとともに、業務管理責任学習者から報告された評価結果や改善助言から、自己の学習分野に対する知識や能力を高め、学習レベルを向上させることが可能となる。
【0045】
さらに、機械学習式の人材不足業務代行サーバ5についても、業務依頼者や業務管理責任学習者からの業務成果に対する品質評価の報告データを蓄積して機械学習することで、サーバ5の業務精度を高め、短納期で高品質な業務代行成果を創出することが可能となる。
【0046】
以上のような構成とフローチャートに基づく学習システムを構成することで、学費の支払いや学習時間の確保が困難な学習希望者であっても、学費を支払うことなく、学習しながら新たな収入を得られる機会を獲得することが可能となり、学習希望者の学習に係わる負担を大幅に軽減するとともに、学習機会を平等化し、学習意欲をもって努力する人材が自ら収入を増やしながら知識や能力を高めることが可能となるほか、ネットワーク上で分業管理を通じて報酬を得ようとする人材にあっては、管理遂行するネットワーク分業を通じて収入を得ながら、業務遂行に係わる知識や能力を実践的に高めることが可能となる。
【0047】
なお、本システムの運用における業務と成果物や依頼者と担務者の情報と、成果物の内容や評価結果や改善点に関する情報、および成果報酬と分配に係わる情報等は、改ざん困難なブロックチェーンデータとして流通管理するとともに、報酬の支払いにおいても、ブロックチェーン技術を用いた暗号資産の入出金処理を行うことで、時差や国境の制限を受けない、国際的な分業ネットワークと学びの機会提供を行えるようにすることが望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
ただし本発明は、前記の形態に限定されるものではなく、図示した実施形態では通信回線網を介してブロックチェーンデータで情報管理と暗号資産での報酬授受を行うオンライン学習システムの例としているが、このような方式に限らず、通信網を介さず地域限定で提供される成果報酬型OJT(現任訓練)や、学習塾等の教育機関において、職業体験型の教育手法として適用しても良い。
【0049】
このように、前記の実施形態は例示であり、本発明の特許請求範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【0050】
1・・・ネットワーク分業による成果報酬獲得型のオンライン学習システム
2・・・電気通信回線網
3・・・ネットワーク分業による成果報酬獲得型のオンライン学習システム運用プログラ ム
4・・・機械学習式の不足人材業務代行プログラム
5・・・サーバ
C1・・・業務依頼者1の情報通信端末
C2・・・業務依頼者2の情報通信端末
C3・・・業務依頼者3の情報通信端末
M-L&E1・・・業務管理責任学習者1の情報通信端末
M-L&E2・・・業務管理責任学習者2の情報通信端末
M-L&E3・・・業務管理責任学習者3の情報通信端末
L&E1・・・業務実施学習者1の情報通信端末
L&E2・・・業務実施学習者2の情報通信端末
L&E3・・・業務実施学習者3の情報通信端末
L&E4・・・業務実施学習者4の情報通信端末
L&E5・・・サーバ5に内蔵された、機械学習式業務代行機能
J1・・・・・業務依頼者1からの依頼業務
J1-1・・・業務依頼者1からの依頼業務のうち、M1の所有者が担務する分割業務
J1-2・・・業務依頼者1からの依頼業務のうち、L&E2の所有者が担務する分割業 務
J1-3・・・業務依頼者1からの依頼業務のうち、L&E3の所有者が担務する分割業 務
J1-4・・・業務依頼者1からの依頼業務のうち、L&E4の所有者が担務する分割業 務
J1-5・・・業務依頼者1からの依頼業務のうち、サーバ5に内蔵された、機械学習式 業務代行機能が担務する分割業務
R1・・・業務依頼者1からの依頼業務J1に対する成果報酬
R1-1・・・J1の分割業務J1-1に対する成果報酬
R1-2・・・J1の分割業務J1-2に対する成果報酬
R1-3・・・J1の分割業務J1-3に対する成果報酬
R1-4・・・J1の分割業務J1-4に対する成果報酬
R1-5・・・J1の分割業務J1-5に対する成果報酬
図1
図2