(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068242
(43)【公開日】2024-05-20
(54)【発明の名称】電気コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 4/64 20060101AFI20240513BHJP
H01R 24/50 20110101ALI20240513BHJP
【FI】
H01R4/64 A
H01R24/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178539
(22)【出願日】2022-11-08
(71)【出願人】
【識別番号】390005049
【氏名又は名称】ヒロセ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】横山 亮
(72)【発明者】
【氏名】二宮 直樹
【テーマコード(参考)】
5E223
【Fターム(参考)】
5E223AA01
5E223AB59
5E223AB65
5E223AB67
5E223BA12
5E223BA17
5E223BB01
5E223BB12
5E223CA13
5E223CA21
5E223CD01
5E223DA05
5E223DB08
5E223GA08
5E223GA14
5E223GA52
(57)【要約】
【課題】回路基板に取り付けられる電気コネクタのグランド電位の改善を図ることが可能な電気コネクタを提供する。
【解決手段】導電性のカバー70によって覆われる回路基板1上に配置される電気コネクタ10であって、回路基板1に実装され、相手方の電気コネクタ20,40との嵌合方向Zに沿って軸方向に延びる導電性の筒状の外部導体11と、外部導体11に設けられ嵌合方向Z上方に接続部を有する導電性の支持部14と、を備え、回路基板1がカバー70によって覆われたとき、支持部14の接続部とカバー70とが直接的又は間接的に接触することにより、電気コネクタ10とカバー70とを電気的に接続する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性のカバーによって覆われる回路基板1上に配置される電気コネクタであって、
前記回路基板1に実装され、相手方の電気コネクタとの嵌合方向に沿って軸方向に延びる導電性の筒状の外部導体と、
前記外部導体に設けられ前記嵌合方向上方に接続部を有する導電性の支持部と、を備え、
前記回路基板が前記カバーによって覆われたとき、前記支持部の接続部と前記カバーとが直接的又は間接的に接触することにより、前記電気コネクタと前記カバーとを電気的に接続することを特徴とする電気コネクタ。
【請求項2】
外力を受けて弾性的に圧縮可能な導電性の弾性部材を更に備え、前記弾性部材は、前記支持部の接続部と前記カバーとの間で弾性的に圧縮して、前記支持部と前記カバーとを導通させる、請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項3】
前記弾性部材は、ウェーブワッシャー、皿ばね、コイルスプリング、スプリングワッシャー、板ばね、導電性樹脂、導電性ゴム、又は導電フォームを含む、請求項2に記載の電気コネクタ。
【請求項4】
前記支持部は、前記外部導体から径方向外側に拡がるフランジ、又は、前記外部導体の径方向外側の側面に形成された段部である、請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項5】
前記外部導体は、前記回路基板が前記カバーによって覆われたとき、前記カバーに形成された貫通孔を通して、外部に露出可能に構成されている、請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項6】
前記外部導体は、前記回路基板のグランド導体に接続されるように、前記回路基板1に取り付け可能に構成され、前記カバーも前記回路基板1のグランド導体に接続されるように構成されている、請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項7】
前記弾性部材は、前記外部導体に一体に取り付けられている、請求項1に記載の電気コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気コネクタに関し、特に接地される電気コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、高周波信号を処理する回路基板を電磁的に遮蔽するため、回路基板を導電性の筐体で覆う技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の装置では、筐体内に回路基板を収容した状態で筐体と回路基板のグランド導体とが電気的に接続されるようになっている。
【0003】
さらに、特許文献1の装置では、回路基板上に電気コネクタが取り付けられている。電気コネクタは、円筒形状の外部導体と、これと同軸状の中心導体とを備える。筐体の蓋体には、電気コネクタの外部導体の外径よりもわずかに大きな内径を有する円形の貫通孔が設けられている。回路基板が筐体内に収容されると、電気コネクタは貫通孔を介して外部に露出するようになっている。具体的には、電気コネクタの外部導体及び中心導体が筐体の貫通孔内に挿入された状態となり、外部導体の先端部が筐体の蓋体と略面一となる。ユーザは、この貫通孔を通して、電気コネクタに相手方の電気コネクタを接続することができる。この構造により、特許文献1の装置では、回路基板から発生する電磁ノイズが筐体外に漏洩することを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の装置では、回路基板上に取り付けられた電気コネクタの外部導体は、回路基板のグランド導体に接続されてグランド電位に維持される。また、筐体も回路基板のグランド導体に接続されてグランド電位に位置される。しかしながら、本願の発明者は、このような高周波信号用の回路基板を備える装置では、電気コネクタ周辺における局所的なグランド電位の相違により、回路基板上の部品に不具合が生じ得るという課題を見出した。
【0006】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、回路基板に取り付けられる電気コネクタのグランド電位の改善を図ることが可能な電気コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの実施形態に係る電気コネクタは、導電性のカバーによって覆われる回路基板上に配置される電気コネクタであって、回路基板に実装され、相手方の電気コネクタとの嵌合方向に沿って軸方向に延びる導電性の筒状の外部導体と、外部導体に設けられ嵌合方向上方に接続部を有する導電性の支持部と、を備え、回路基板がカバーによって覆われたとき、支持部の接続部とカバーとが直接的又は間接的に接触することにより、電気コネクタとカバーとを電気的に接続することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、回路基板に取り付けられる電気コネクタのグランド電位の改善を図ることが可能な電気コネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る電子モジュールの分解斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る電子モジュールの部分拡大断面斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る電子モジュールの部分拡大断面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る電気コネクタの部分断面図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る電気コネクタ組立体の側面図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る別の電気コネクタ組立体の側面図である。
【
図9】本発明の実施形態の改変例に係る電気コネクタの側面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、実施形態を説明するための全ての図において、同一部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、各実施形態は、独立して説明されているが、互いの構成要素を組み合わせて、電気コネクタを構成することを排除するものではない。
【0011】
まず、
図1~
図8を参照して、本発明の一実施形態に係る電子モジュールの構成について説明する。
図1は電子モジュールの分解斜視図、
図2は電子モジュールの部分拡大断面斜視図、
図3は電子モジュールの部分拡大断面図である。
図4は電気コネクタの部分断面図、
図5は電気コネクタ組立体の側面図、
図6は
図5の断面説明図、
図7は別の電気コネクタ組立体の側面図、
図8は
図7の断面説明図である。
【0012】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る電子モジュール100は、例えば、5G基地局設備等に含まれるアンテナ装置である。電子モジュール100は、高周波信号を処理する集積回路等を搭載する回路基板1と、回路基板1の周囲を遮蔽し覆うカバー70とを備えている。回路基板1には、複数(
図1では4個)の電気コネクタ10が半田等により実装されている。各電気コネクタ10は、アンテナ素子に接続される相手方の電気コネクタ(例えば、電気コネクタ40)と嵌合されるように構成されている。
【0013】
カバー70は、導電性材料(金属材料、導電性樹脂材料等)で形成されており、回路基板1の表面を覆う上カバー71と、裏面を覆う下カバー75とを備えている。上カバー71と下カバー75は、図示しないネジ等により回路基板1を挟んだ状態で固定される。また、上カバー71及び下カバー75は、回路基板1を覆った状態で回路基板1のグランド導体(図示せず)と接触するように構成されており、これにより、カバー70はグランド電位に接地される。グランド導体は、例えば、回路基板1を構成する複数層の内のグランド層や裏面、実装面等に設けられる。上カバー71,下カバー75は、直接的に又は導電線を介して間接的にグランド導体に接続される。
【0014】
図2は、電子モジュール100の一部を切り出して表示している。
図2に示すように、電気コネクタ10は、外形略円筒形状であり、その中心軸Cの沿う軸方向が回路基板1の実装平面(XY平面)と垂直な上下方向Zと平行になるように回路基板1上に実装されている。具体的には、電気コネクタ10は、回路基板1のパッド上に配置されて半田によりパッドに取り付けられている。なお、本明細書では、理解の容易のため、電気コネクタ10が相手方の電気コネクタと連結する際の嵌合方向を上下方向Z(又は嵌合方向Z)と定義しているが、上下方向Z及び嵌合方向Zは必ずしも地面に対する垂直方向に限らない。
【0015】
上カバー71には、各電気コネクタ10に対して、略円柱形状の収容空間74と、取付孔71aが設けられている。上カバー71が回路基板1に対して取り付けられると、各電気コネクタ10は、対応する収容空間74内に収容され、取付孔71aから電気コネクタ10の上部が露出する。
図3の例では、電気コネクタ10の先端部と上カバー71の表面とが面一である。
【0016】
図3に示すように、上カバー71は、回路基板1の上方で平行に延びる上板部72と、収容空間74を形成するように上板部72から下方に向けて延びる壁部73とを有している。上板部72と壁部73は、一体に形成された構造であってもよいし、別体の部材であってもよい。本実施形態では、収容空間74の周囲の壁部73から収容空間74の上方で水平方向(XY方向)に上板部72が延出することによって、収容空間74の上部が塞がれている。また、上板部72のうち、収容空間74の上部を塞ぐ部分に、貫通孔である取付孔71aが形成されることにより、外部と収容空間74とが連通するように構成されている。
【0017】
図4に示すように、電気コネクタ10は、略円筒形状の外部導体11と、外部導体11内の凹部11aに同軸状に配置された中心導体15と、中心導体15を外部導体11に対して電気的に絶縁した状態で固定する円盤形状の固定部17と、環状の弾性部材18とを備えている。外部導体11,中心導体15及び弾性部材18は、導電体材料(例えば、金属)で形成されており、固定部17は、電気絶縁材料で形成されている。電気コネクタ10は、回路基板1のパッド上に実装されると、外部導体11がパッドを介して回路基板1のグランド導体に接続され、中心導体15がパッドを介して回路基板1の信号ラインに接続される。
【0018】
外部導体11は、回路基板1に取り付けられる基端側から、相手方の電気コネクタが挿入される先端側に向けて、中心軸Cに沿って軸方向に延びている。外部導体11の先端側及び基端側には、それぞれ外径略円筒形状の先端部12及び基端部13が設けられている。先端部12は、基端部13よりも外径が小さく形成されている。また、先端部12と基端部13の間には、外部導体11(又は基端部13)の径方向外側の側面から、先端部12及び基端部13よりも径方向外側に拡がって延びる支持部14が設けられている。本実施形態では、支持部14はフランジである。
【0019】
弾性部材18は、導電性材料からなる薄板状の環状部材であり、先端部12が挿通される貫通孔18aを有する。したがって、弾性部材18は、貫通孔18aを通して先端部12を貫通させた状態で、支持部14の上面又は支持面である接続部14a上に配置することができる。接続部14aは、嵌合方向Zの外力を支持するように構成されている。本実施形態において弾性部材18は、ウェーブワッシャーであり、側面視で導電性の弾性材料が波のように上下方向に撓むように環状に連続しており、自然状態において高さ寸法dを有する。したがって、弾性部材18を厚さ方向(
図4において上下方向Z)に押しつぶすように外力Fが加わると、弾性部材18は自然状態から圧縮状態へ弾性的に圧縮されて高さがdよりも小さくなる。弾性部材18は、圧縮状態では上下方向Zの弾性力を反力として生じる。
【0020】
なお、本実施形態では、弾性部材18がウェーブワッシャーであるが、これに限らず、弾性部材18は、ウェーブワッシャー、皿ばね、コイルスプリング、スプリングワッシャー、板ばね、導電性樹脂、導電性ゴム、又は導電フォーム、又はこれらの組み合わせから構成されてもよい。これらはいずれも導電性を有し且つ上下方向Zに弾性的に撓むことが可能であるので、電気コネクタ10の接続部14a及び上カバー71の上板部72の下面72aの間でこれらと弾性的に当接すると共に、これらを電気的に接続することができる。
【0021】
また、弾性部材18は、接続部14aと上板部72の下面72aとを弾性的に当接した状態を維持可能な形状であれば、外形略環状でなくてもよく、また複数部品から構成されてもよい。また、弾性部材18は、電気コネクタ10の外部導体11に対して、溶接や別途の保持構造等により一体に又は外れないように取り付けられていてもよいし、別体であってもよい。さらに、弾性部材18は、カバー70に一体に配置されていてもよい。
【0022】
図3に示すように、電子モジュール100では、回路基板1上に電気コネクタ10が実装された状態で、回路基板1を覆うようにカバー70が取り付けられる。弾性部材18の自然状態における高さ寸法dは、実装面1aから上板部72の下面72aまでの長さLから、回路基板1の実装面1aから電気コネクタ10の接続部14aまでの高さHを差し引いた長さ(L-H)よりも大きく設定されている。
【0023】
したがって、
図3に示す取り付け状態では、支持部14の接続部14aと上カバー71の上板部72の下面72aとの間で、弾性部材18は圧縮状態となり、上下の面14a,72aに対して弾性的に当接する。このように、本実施形態の電子モジュール100では、電気コネクタ10とカバー70とが、弾性部材18を介して電気的に直接接続されるように構成されている。
【0024】
図5及び
図6は、電気コネクタ10が相手方の電気コネクタ20とアダプタ30を介して接続された状態を示している。なお、
図6では、カバー70等の図示が省略されている。相手方の電気コネクタ20は、別の回路基板2の実装面に実装されている。
図6に示すように、電気コネクタ20は、電気コネクタ10と同様の形状を有する。電気コネクタ20は、略円筒形状の外部導体21と、外部導体21の凹部21a内に外部導体21と同軸状に配置された中心導体25と、中心導体25を外部導体21に対して電気的に絶縁した状態で固定する固定部27とを備えている。外部導体21は、先端側(
図6では下側)が先端ほど拡径する拡径部21Aと、回路基板2に実装される基端側の円筒部21Bとを備える。外部導体21及び中心導体25は、導電体材料(例えば、金属)で形成されており、固定部27は、電気絶縁材料で形成されている。
【0025】
アダプタ30は、外形略円筒形状を有し、中央部の外部円筒部31と、外部円筒部31内の内部空間31aに外部円筒部31と同軸状に配置された中心導体部35と、中心導体部35を外部円筒部31に対して電気的に絶縁した状態で固定する固定部37とを備えている。外部円筒部31及び中心導体部35は、導電体材料(例えば、金属)で形成されており、固定部37は、電気絶縁材料で形成されている。外部円筒部31は、上下方向の中央に位置する略円筒形状の支持部32と、支持部32から上下方向にそれぞれ延びる複数の弾性係合部33とを備える。弾性係合部33は、周方向に複数形成されており(本例では、4つ)、隣接する弾性係合部33はスリットによって分離されている。この構成により、弾性係合部33は、径方向に弾性的に撓むことができる。
【0026】
図6に示すように、電気コネクタ10には、アダプタ30の弾性係合部33の先端部分をロックするための拡張凹部11bが凹部11aの底部に形成されているが、電気コネクタ20には、拡張凹部が形成されていない。また、電気コネクタ20には、アダプタ30の弾性係合部33を誘導するために拡径部21Aが先端ほど拡径する誘導面22を有するが、電気コネクタ10には、誘導面が形成されていない。
【0027】
図5に示すように、電気コネクタ10がアダプタ30を介して相手方の電気コネクタ20と連結されると、電気コネクタ10は、カバー70に覆われてほとんど外部から視認できない状態となる。また、電気コネクタ20と連結された状態で、電気コネクタ10は、カバー70と弾性部材18を介して電気的に接続される。
【0028】
また、
図7及び
図8は、電気コネクタ10が相手方の電気コネクタ40と接続された状態を示している。なお、
図8では、カバー70等の図示が省略されている。相手方の電気コネクタ40は、同軸ケーブル9に接続されている。
図8に示すように、電気コネクタ40は、略円筒形状の外部導体部41と、外部導体部41内の凹部41a内に外部導体部41と同軸状に配置された中心導体45と、中心導体45を外部導体部41に対して電気的に絶縁した状態で固定する固定部47と、同軸ケーブル9を支持して外部導体部41に固定する固定部材49とを備えている。外部導体部41,中心導体45及び固定部材49は、導電体材料(例えば、金属)で形成されており、固定部47は、電気絶縁材料で形成されている。
【0029】
外部導体部41の下部は、アダプタ30と同様な構造を有している。すなわち、外部導体部41は、アダプタ30の弾性係合部33と同様のスリットで分離された複数の弾性係合部43を有しており、これにより電気コネクタ10と嵌合することが可能である。
【0030】
同軸ケーブル9の中心導体9aは、中心導体45の上側の端部に半田等によって接続されている。一方、同軸ケーブル9の外部導体9bは、固定部材49に半田等によって接続されている。
【0031】
図7に示すように、電気コネクタ10が相手方の電気コネクタ40と連結されると、電気コネクタ10は、カバー70に覆われてほとんど外部から視認できない状態となる。また、電気コネクタ40と連結された状態で、電気コネクタ10は、カバー70と弾性部材18を介して電気的に接続される。
【0032】
次に、本実施形態の改変例について説明する。
図9(A)に示す電気コネクタ10には、フランジ状の支持部14が設けられていない。しかしながら、基端部13の外径が先端部12の外径よりも大きく設定され、これにより段部14Bが形成されている。これにより、
図9(A)の電気コネクタ10では、基端部13の上面が接続部14aとして機能し、この接続部14aに弾性部材18を配置することができる。また、
図9(B)に示す電気コネクタ10では、先端部12の外径と基端部13の外径が同一に形成されている。このように形成してもフランジ状の支持部14により、弾性部材18を配置することができる。
【0033】
また、上記実施形態では、電気コネクタ10は、支持部14の接続部14aがカバー70の上板部72と弾性部材18を介して間接的に接触する構成を有しているが、これに限らず、電気コネクタ10は、接続部14aが上板部72と直接的に接触する構成を有していてもよい。この場合、接続部14aが、例えば、支持部14の上面に構成された上方に突出する1又は複数の突起又は突条を備えると好適である。なお、上記とは逆に、上板部72に下方に突出する1又は複数の突起又は突条を設けてもよい。そして、突起や突条の高さを適宜に設定することにより、上板部72又は接続部14aとの間に生じる接圧又は弾性力を調節することができる。例えば、
図3を参照すると、突起又は突条の高さを(L-H)以上の寸法に設定することができる。
【0034】
また、突起や突条を備えない場合は、接続部14aの上面の高さHを、高さL以上(H>L)に設定することができる。いずれの場合において、カバー70の装着時に、接続部14aと上板部72とを圧接させることができる。さらに、上部材72をある程度の弾性変位を許容する導電性部材で形成すると好適である。この場合、カバー70の装着状態において、電気コネクタ10は、接続部14aが上部板72と当接して上部板72を弾性変形させることにより、上板部72が接続部14aを所定の接圧で弾性的に押圧した状態にすることができる。
【0035】
また、上記実施形態では、ロック機能付きの電気コネクタ10を例にとって説明したが、電気コネクタ10に代えて、ロック機能を有しない電気コネクタ20(
図5,
図6参照)に本発明を適用してもよい。すなわち、電気コネクタ20が接続部を有する構成であってもよい。この場合においても、電気コネクタ20を実装した回路基板2にカバーを設けることにより、カバーと電気コネクタ20とを直接的又は弾性部材18を介して間接的に電気的に接続することができる。
【0036】
また、上記実施形態では、回路基板1のグランド電位に維持される外部導体11が外形略円筒形状を有するが、これに限らず、筒状であれば、断面略矩形、断面多角形等の形状を有していてもよい。
【0037】
次に、上述した本実施形態に係る電気コネクタ10の作用及び効果について説明する。本実施形態に係る電気コネクタ10は、導電性のカバー70によって覆われる回路基板1上に配置される電気コネクタ10であって、回路基板1に実装され、相手方の電気コネクタ20,40との嵌合方向Zに沿って軸方向に延びる導電性の筒状の外部導体11と、外部導体11に設けられ嵌合方向Z上方に接続部14aを有する導電性の支持部14と、を備え、回路基板1がカバー70によって覆われたとき、支持部14の接続部14aとカバー70とが直接的又は間接的に接触することにより、電気コネクタ10とカバー70とを電気的に接続する。
【0038】
このように構成された本実施形態によれば、電気コネクタ10は、カバー70が回路基板1を覆った状態において、支持部14の接続部14aとカバー70とが電気的に接触するので、電気コネクタ10とカバー70とを同じグランド電位に維持することが可能となり、電気コネクタ10のグランド電位の改善を図ることができる。また、これによりカバー70も局所的に電気コネクタ10のグランド電位に接続されるので、カバー70のグランド電位の均一化を図ることができる。
【0039】
本実施形態に係る電気コネクタ10では、外力Fを受けて弾性的に圧縮可能な導電性の弾性部材18を更に備え、弾性部材18は、支持部14の接続部14aとカバー70との間で弾性的に圧縮して、支持部14とカバー70とを導通させる。このように構成された本実施形態によれば、電気コネクタ10は、外部導体11に設けられた支持部14に弾性部材18を係合させた状態で、弾性部材18に嵌合方向Zの外力Fが掛かったとき、支持部14が弾性部材18を介して外力Fを支持することができる。したがって、電気コネクタ10は、カバー70が回路基板1を覆った状態において、カバー70から外力Fを受けると、支持部14とカバー70との間で弾性部材18を弾性的に圧縮した状態に維持することができる。これにより、電気コネクタ10は、支持部14とカバー70と弾性的に当接して、電気コネクタ10とカバー70とを電気的に接続することが可能である。
【0040】
本実施形態に係る電気コネクタ10では、弾性部材18は、ウェーブワッシャー、皿ばね、コイルスプリング、スプリングワッシャー、板ばね、導電性樹脂、導電性ゴム、又は導電フォームを含む。このように構成された本実施形態によれば、弾性部材18は、支持部14とカバー70との間で圧縮状態を維持することが可能であり、外部導体11とカバー70との間の良好な導通状態を確保することができる。
【0041】
本実施形態に係る電気コネクタ10では、支持部14は、外部導体11から径方向外側に拡がるフランジ(
図4,
図9(B))、又は、外部導体11の径方向外側の側面に形成された段部14B(
図9(A))である。このように構成された本実施形態によれば、簡易な構成により、弾性部材18を強固に支持することが可能である。
【0042】
本実施形態に係る電気コネクタ10では、外部導体11は、回路基板1がカバー70によって覆われたとき、カバー70に形成された取付孔71aを通して、外部に露出可能に構成されている。このように構成された本実施形態によれば、回路基板1がカバー70で覆われた状態では、取付孔71aから外部導体11が露出するので、弾性部材18に邪魔されることなく、電気コネクタ10に取付孔71aを通して相手方の電気コネクタ(20,40)を連結することができる。
【0043】
本実施形態に係る電気コネクタ10では、外部導体11は、回路基板1のグランド導体に接続されるように、回路基板1に取り付け可能に構成され、カバー70も回路基板1のグランド導体に接続されるように構成されている。このように構成された本実施形態によれば、電気コネクタ10は、外部導体11の基端部側の実装部分から回路基板1のグランド導体に直接接続されると共に、外部導体11の先端部側からもカバー70を介して共通のグランド導体に接続することができる。
【0044】
本実施形態に係る電気コネクタ10では、弾性部材18は、外部導体11に一体に取り付けられている。このように構成された本実施形態によれば、カバー70の着脱の際に、弾性部材18が外部導体11から外れることがないので好適である。
【0045】
なお、本発明の個々の実施形態は、独立したものではなく、それぞれ組み合わせて適宜実施することができる。また、上述した実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、種々の形態で実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明に係る電気コネクタは、高周波信号の伝送を行うための電子基板や同軸ケーブルを接続する等の用途に利用することができる。
【符号の説明】
【0047】
1,2:回路基板
1a:実装面
9:同軸ケーブル、9a:中心導体、9b:外部導体
10:電気コネクタ
11:外部導体、12:先端部、13:基端部、14:支持部、14B:段部
14a:接続部、18:弾性部材
20,40:電気コネクタ
70:カバー、71:上カバー、75:下カバー
71a:取付孔、72:上板部、72a:下面、73:壁部、74:収容空間
100:電子モジュール
C:中心軸