(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068256
(43)【公開日】2024-05-20
(54)【発明の名称】光通信装置、光通信システム及び光通信方法
(51)【国際特許分類】
H04B 10/29 20130101AFI20240513BHJP
H04J 14/02 20060101ALI20240513BHJP
H04B 10/61 20130101ALI20240513BHJP
【FI】
H04B10/29
H04J14/02
H04B10/61
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178557
(22)【出願日】2022-11-08
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】大宮 達則
【テーマコード(参考)】
5K102
【Fターム(参考)】
5K102AA01
5K102AD01
5K102AD15
5K102AH14
5K102AH17
5K102KA12
5K102KA42
5K102MA02
5K102MB03
5K102MC03
5K102MD01
5K102MD03
5K102MH03
5K102MH14
5K102MH22
5K102MH24
5K102NA04
5K102PB13
5K102PH02
5K102RB04
(57)【要約】
【課題】出力信号の品質劣化を抑えることが可能な光通信装置、光通信システム及び光通信方法を提供する。
【解決手段】光中継装置2は、入力される入力光信号を局発光に基づいてコヒーレント検波するコヒーレント受信フロントエンド部110と、コヒーレント検波された信号をコヒーレント変調し出力するコヒーレント送信フロントエンド部120と、入力光信号の特性をモニタする波長計210aと、モニタされた特性に基づいて、局発光の特性を制御する波長変換制御部220と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力される入力光信号を局発光に基づいてコヒーレント検波するコヒーレント検波部と、
前記コヒーレント検波された信号をコヒーレント変調し出力するコヒーレント変調部と、
前記入力光信号の特性をモニタする第1のモニタ部と、
前記モニタされた特性に基づいて、前記局発光の特性を制御する制御部と、
を備える、光通信装置。
【請求項2】
前記第1のモニタ部は、前記入力光信号の波長をモニタし、
前記制御部は、前記モニタされた波長に基づいて、前記局発光の波長を制御する、
請求項1に記載の光通信装置。
【請求項3】
前記局発光の周波数をシフトさせる周波数シフタを備え、
前記制御部は、前記モニタされた波長に基づいて、前記周波数シフタのシフト量を制御する、
請求項2に記載の光通信装置。
【請求項4】
前記第1のモニタ部は、前記入力光信号のパワーをモニタし、
前記制御部は、前記モニタされたパワーに基づいて、前記局発光または前記入力光信号のパワーを制御する、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光通信装置。
【請求項5】
前記局発光を出力する局発光源を備え、
前記制御部は、前記モニタされたパワーに基づいて、前記局発光源の出力パワーを制御する、
請求項4に記載の光通信装置。
【請求項6】
前記入力光信号のパワーを減衰させる減衰器を備え、
前記制御部は、前記モニタされたパワーに基づいて、前記減衰器の減衰量を制御する、
請求項4に記載の光通信装置。
【請求項7】
波長多重信号から前記入力光信号を選択し出力する波長選択スイッチを備え、
前記波長選択スイッチは、前記減衰器を含む、
請求項6に記載の光通信装置。
【請求項8】
前記制御された局発光の特性をモニタする第2のモニタ部を備え、
前記制御部は、前記第2のモニタ部のモニタ結果に基づいて、前記局発光の制御が完了したか否か判定する、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光通信装置。
【請求項9】
複数の光通信装置を備えた光通信システムであって、
前記複数の光通信装置は、
入力される入力光信号を局発光に基づいてコヒーレント検波するコヒーレント検波部と、
前記コヒーレント検波された信号をコヒーレント変調し出力するコヒーレント変調部と、
前記入力光信号の特性をモニタする第1のモニタ部と、
前記モニタされた特性に基づいて、前記局発光の特性を制御する制御部と、
を備える、光通信システム。
【請求項10】
入力される入力光信号を局発光に基づいてコヒーレント検波し、
前記コヒーレント検波された信号をコヒーレント変調して出力し、
前記入力光信号の特性をモニタし、
前記モニタされた特性に基づいて、前記局発光の特性を制御する、
光通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光通信装置、光通信システム及び光通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ポスト5G時代に向けて無線通信のみならず光通信に対しても多様な通信サービスへの活用が期待されている。中でもROADM(Reconfigurable Optical Add / Drop Multiplexer)ネットワークの高機能化に向けて研究が進められており、特に経路変更時に必要な波長変換技術について注目が高まっている。
【0003】
関連する技術として、例えば、特許文献1には、コヒーレント方式を用いた受信端と送信端とにより光信号の波長を変換する波長変換器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、波長変換器において、コヒーレント検出フロントエンドモジュールを含む受信端が、受信光信号をアナログ電気信号に変換し、光変調モジュールを含む送信端が、アナログ電気信号を送信光信号に変換している。しかしながら、特許文献1では、入力される光信号の波長やパワーなどの特性の変動が考慮されていないため、出力される信号の品質が劣化する場合があるという問題がある。
【0006】
本開示は、このような課題に鑑み、出力信号の品質劣化を抑えることが可能な光通信装置、光通信システム及び光通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る光通信装置は、入力される入力光信号を局発光に基づいてコヒーレント検波するコヒーレント検波部と、前記コヒーレント検波された信号をコヒーレント変調し出力するコヒーレント変調部と、前記入力光信号の特性をモニタする第1のモニタ部と、前記モニタされた特性に基づいて、前記局発光の特性を制御する制御部と、を備えるものである。
【0008】
本開示に係る光通信システムは、複数の光通信装置を備えた光通信システムであって、前記複数の光通信装置は、入力される入力光信号を局発光に基づいてコヒーレント検波するコヒーレント検波部と、前記コヒーレント検波された信号をコヒーレント変調し出力するコヒーレント変調部と、前記入力光信号の特性をモニタする第1のモニタ部と、前記モニタされた特性に基づいて、前記局発光の特性を制御する制御部と、を備えるものである。
【0009】
本開示に係る光通信方法は、入力される入力光信号を局発光に基づいてコヒーレント検波し、前記コヒーレント検波された信号をコヒーレント変調して出力し、前記入力光信号の特性をモニタし、前記モニタされた特性に基づいて、前記局発光の特性を制御するものである。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、出力信号の品質劣化を抑えることが可能な光通信装置、光通信システム及び光通信方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1の実施の形態に係る光通信システムの構成例を示す構成図である。
【
図2】関連する光中継装置の構成例を示す構成図である。
【
図3】関連する光中継装置の課題を説明するための特性図である。
【
図4】関連する光中継装置の課題を説明するための特性図である。
【
図5】第1の実施の形態に係る光中継装置の概要構成を示す構成図である。
【
図6】第1の実施の形態に係る光中継装置の具体的な構成例を示す構成図である。
【
図7】第1の実施の形態に係る光周波数シフタの構成例を示す構成図である。
【
図8】第1の実施の形態に係るコヒーレント受信フロントエンド部の構成例を示す構成図である。
【
図9】第1の実施の形態に係るコヒーレント送信フロントエンド部の構成例を示す構成図である。
【
図10】第1の実施の形態に係る光中継装置における立ち上げ時の動作例を示すシーケンス図である。
【
図11】第1の実施の形態に係る光中継装置における立ち下げ時の動作例を示すシーケンス図である。
【
図12】第1の実施の形態に係る光中継装置における光信号の波長がドリフトした場合の動作例を示すシーケンス図である。
【
図13】第1の実施の形態に係る光中継装置における光信号のパワーが低下した場合の動作例を示すシーケンス図である。
【
図14】第1の実施の形態に係る光中継装置における光信号のパワーが上昇した場合の動作例を示すシーケンス図である。
【
図15】第2の実施の形態に係る光中継装置の具体的な構成例を示す構成図である。
【
図16】第2の実施の形態に係る光中継装置における立ち上げ時の動作例を示すシーケンス図である。
【
図17】第2の実施の形態に係る光中継装置における立ち下げ時の動作例を示すシーケンス図である。
【
図18】第2の実施の形態に係る光中継装置における光信号の波長が異常となった場合の動作例を示すシーケンス図である。
【
図19】第2の実施の形態に係る光中継装置における光信号のパワーが異常となった場合の動作例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。各図面において、同一または対応する要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明を省略する。なお、各図面において示された矢印は説明のための例示であり、信号の種類や方向を限定するものではない。
【0013】
[第1の実施の形態]
以下、図面を参照して第1の実施の形態について説明する。
【0014】
<構成の説明>
図1は、本実施の形態に係る光通信システムの構成例を示している。本実施の形態に係る光通信システム1は、例えば、基幹系波長多重光伝送システムであり、波長多重を行うとともに、各波長の光信号でデジタルコヒーレント伝送を行うことにより、100Gbps超、あるいは1Tbps級の大容量通信を行う。波長多重により、光の周波数利用効率の向上が可能であり、モバイルトラフィックや波長デフラグに対応できる。また、波長多重により、光信号のまま伝送経路、あるいは波長パスを柔軟に切り替えることができるため、伝送輻輳時や障害時に伝送経路を切り替えて迂回させることで、インフラを維持することができる。さらに、本実施の形態では、ビヨンド5G時代に向けて、リアルタイム性を向上し、超低レイテンシへの対応を可能とする。
【0015】
図1に示すように、光通信システム1は、光ファイバ伝送路4を介して光通信可能に接続された複数の光中継装置2(例えば2-1~2-6)を備えている。光中継装置2は、波長多重された光信号を中継可能なフォトニックノード、すなわち光通信装置である。この例では、光中継装置2-1~2-6は、3つのリングを含むリング型ネットワークを構成するが、その他のトポロジのネットワークを構成してもよい。
【0016】
例えば、光中継装置2-1はユーザAのネットワークを収容し、光中継装置2-2はユーザBのネットワークを収容し、光中継装置2-6はデータセンタのネットワークを収容する。このとき、ユーザAがデータセンタにアクセスするために波長λ1にてSig1の経路が設定されたとする。Sig1の経路は、光中継装置2-1、2-3、2-4、2-6を含んでいる。また、同時にユーザBもデータセンタにアクセスするために波長λ1にてSig2の経路が設定されたとする。Sig2の経路は、光中継装置2-2、2-3、2-4、2-6を含む。そうすると、光中継装置2-3でSig1の波長λ1とSig2の波長λ1の衝突が発生する。この場合Sig2の経路を別の経路に切り替えることで衝突を回避する方法も考えられるが、別の経路の波長スロットが空いているとは限らない。
【0017】
そこで、発明者は、
図1に示すように、光中継装置2-3内の波長変換器で空波長スロット(λ2)へと光信号を変換する方法について検討した。波長変換方法の一例として、トランスポンダを介して一度デジタルの信号に復調した後に新たな波長で光再変調を行う方法が考えられる。しかし、この方法の場合、DSP(Digital Signal Processor)を介した複雑なデジタル信号処理やエラー訂正処理などが必要なため信号に遅延が生じる。
【0018】
一方、
図2に示す構成により波長変換を行う方法が考えられる。
図2は、関連する光中継装置3における波長変換器900の構成例を示している。この例では、光信号の波長の変換時に生じるレイテンシ増大を抑える波長変換方式として、コヒーレント受信フロントエンド部が検波した光信号を、コヒーレント送信フロントエンド部が別波長で再び光変調することで実現する。
【0019】
図2に示すように、関連する波長変換器900は、コヒーレント受信フロントエンド部110、コヒーレント送信フロントエンド部120を備えている。コヒーレント受信フロントエンド部110は、前段の光中継装置から受信した入力光信号SO1を所定の波長の局発光(局部発振光)LOによりコヒーレント検波し、検波したアナログ電気信号SAをコヒーレント送信フロントエンド部120へ出力する。コヒーレント送信フロントエンド部120は、コヒーレント受信フロントエンド部110によりコヒーレント検波されたアナログ電気信号SAを所定の波長の送信光POで光変調(コヒーレント変調)し、生成した出力光信号SO2を次段の光中継装置へ送信する。関連する波長変換器900は、デジタル処理を行わないアナログな回路で構成されるため、低遅延かつ安価に波長変換を実現できる。一方、関連する波長変換器900では、デジタルによる信号処理を行わないため、入力される光信号のパワーや品質情報を管理し制御することが困難である。
【0020】
発明者は、
図2の構成について検討し、次のような課題を見出した。
図3及び
図4は、
図2の関連する波長変換器900において、入力光信号SO1の波長である入力波長がドリフトした場合の課題を示している。この例では、波長変換器900は、入力波長λ1を出力波長λ2に変換する。例えば、
図3に示すように、入力光信号SO1の波長がλ1から+Δλドリフトしたとする。そうすると、
図4に示すように、出力光信号SO2の波長がλ2から+Δλドリフトし、スペクトルの高帯域側が削れてしまう。すなわち、波長変換器を構成するアナログ回路(例えばコヒーレント受信フロントエンド部に含まれるアナログデバイス)を、所定の帯域の入出力特性を有しているため、所定の帯域から外れた周波数成分がフィルタリングされてしまう。例えば、入力波長が負側にドリフトした場合にも、同様に出力光信号のスペクトルの低帯域側が削れてしまう。また、入力光信号のパワーが変動した場合にも同様に出力光信号の品質が劣化する。例えば、入力光信号のパワーが入力デバイスに入力可能な範囲外の場合、信号の劣化や入力デバイスの破壊の可能性もある。
【0021】
このように、
図2のような関連する技術では、入力される光信号のパワーと波長が設定値と正確に一致しなければ、出力される光信号の品質が劣化するため、正常な波長変換動作が行われないという課題がある。これは、関連する波長変換器が入力される光信号のパワーや波長を検出する機構を有していないため、入力される光信号のパワーや波長が想定されたものと異なっていた場合に、波長変換器内部の局発光の波長やパワーを入力光に合わせることが困難なためである。また、この場合、正常に変換が行われなかった信号、すなわち品質が劣化した信号が波長変換器から出力されるため、後段に接続される光ネットワークに影響を及ぼす可能性も課題となる。
【0022】
そこで、本実施の形態では、波長変換器へ入力される光信号の波長やパワーが設定値からずれた場合でも、出力される光信号の品質劣化を抑え、波長変換動作が正常に動作するように波長変換器内部の制御を行うことを可能とする。
【0023】
図5は、本実施の形態に係る光中継装置2の構成の概要を示している。
図5に示すように、本実施の形態に係る光中継装置2は、コヒーレント受信フロントエンド部110、コヒーレント送信フロントエンド部120、波長計210a、波長変換制御部220を備えている。
【0024】
コヒーレント受信フロントエンド部110及びコヒーレント送信フロントエンド部120は、
図2と同様の構成であり、例えば、波長変換部100を構成する。すなわち、コヒーレント受信フロントエンド部110は、光信号を電気信号に変換する光/電変換部であり、コヒーレント検波を行うコヒーレント検波部である。コヒーレント受信フロントエンド部110は、入力される入力光信号SO1を局発光LOに基づいてコヒーレント検波し、生成されたアナログ電気信号SAを出力する。
【0025】
コヒーレント送信フロントエンド部120は、電気信号を光信号に変換する電/光変換部であり、コヒーレント変調を行うコヒーレント変調部である。コヒーレント送信フロントエンド部120は、コヒーレント受信フロントエンド部110が生成したアナログ電気信号SAを送信光POに基づいてコヒーレント変調し、生成された出力光信号SO2を出力する。なお、コヒーレント受信フロントエンド部110が生成したアナログ電気信号SAに基づいた信号を、コヒーレント送信フロントエンド部120に入力してもよい。例えば、アナログ電気信号SAに対し、アナログ回路により所定の補償処理などアナログ信号処理を行った信号を、コヒーレント送信フロントエンド部120に入力してもよい。
【0026】
局発光LOの周波数(波長)は、受信する入力光信号SO1の周波数(波長)であり、送信光POの周波数は、送信する出力光信号SO2の周波数である。なお、信号の「周波数」、または、信号の「波長」として説明するが、「周波数」と「波長」は互いに読み替え可能である。例えば、局発光LOと送信光POとは、異なる周波数であるが、同じ周波数としてもよい。局発光LOと送信光POの周波数を変えることで、光信号の波長を切り替えることができる。すなわち、入力光信号SO1を異なる波長の出力光信号SO2に変換できる。
【0027】
波長計210aは、コヒーレント受信フロントエンド部110に入力される入力光信号SO1の特性をモニタするモニタ部である。例えば、波長計210aは、特性の一例として、入力光信号SO1の波長とパワー(光パワーとも称する)のいずれか、または両方をモニタしてもよい。
【0028】
波長変換制御部220は、波長計210aによりモニタされた特性に基づいて、コヒーレント受信フロントエンド部110に入力される局発光LOの特性を制御する制御部である。例えば、波長変換制御部220は、波長計210aがモニタした入力光信号SO1の波長に応じて、局発光LOの波長を制御してもよい。また、波長変換制御部220は、波長計210aがモニタした入力光信号SO1のパワーに応じて、局発光LOまたは入力光信号SO1のパワーを制御してもよい。また、波長変換制御部220は、コヒーレント送信フロントエンド部120に入力される送信光POの波長を制御してもよい。
【0029】
図6は、本実施の形態に係る光中継装置2の具体的な構成例を示している。
図6の例では、本実施の形態に係る光中継装置2は、波長変換部100と、波長計210a及び210bと、波長変換制御部220と、波長選択スイッチ230と、ユーザインタフェース部300と、を備える。例えば、波長変換部100、波長計210a及び210b、波長変換制御部220、波長選択スイッチ230は、所定の波長の変換及び中継を行う光信号中継部5を構成する。光中継装置2は、複数の光信号中継部5を備えていてもよい。
【0030】
この例では、光信号中継部5には、前段の光中継装置2から光ファイバ伝送路4を介して波長多重信号WOが入力される。例えば、波長多重信号WOは、光ファイバ伝送路4からカプラ(分波器)や他の波長選択スイッチを介して波長分離された後に、光信号中継部5に入力されてもよい。
【0031】
波長選択スイッチ230は、入力される光信号から所定の波長の光信号を選択し出力するスイッチである。波長選択スイッチ230は、波長変換制御部220から設定された波長の光信号を選択する。例えば、波長選択スイッチ230は、入力される波長多重信号WOから所定の一波長を選択して抜き出し、抜き出した単一チャネルの光信号を入力光信号SO1として出力する。また、波長選択スイッチ230は、光信号を減衰させる減衰器の機能を含む。例えば、波長選択スイッチ230は、波長変換制御部220から設定された減衰量で、選択した光信号の光パワーを減衰させ、減衰後の光信号を出力する。
【0032】
波長変換部100は、波長選択スイッチ230から入力される入力光信号SO1の波長を変換し、波長変換後の出力光信号SO2を、光ファイバ伝送路4を介して後段の光中継装置2へ出力する。例えば、出力光信号SO2は、カプラ(合波器)や他の波長選択スイッチを介して波長多重された後に、光ファイバ伝送路4へ出力されてもよい。
【0033】
波長変換部100は、コヒーレント受信フロントエンド部110と、コヒーレント送信フロントエンド部120と、局発光源130と、光周波数シフタ140と、送信光源150と、を備える。
【0034】
局発光源130は、波長変換制御部220より設定された波長と光パワーの光連続波である局発光LOを生成し、生成した局発光LOを光周波数シフタ140へ出力する。送信光源150は、波長変換制御部220より設定された波長と光パワーの光連続波である送信光POを生成し、生成した送信光POをコヒーレント送信フロントエンド部120へ出力する。
【0035】
光周波数シフタ140は、入力される光信号の周波数をシフトさせる周波数シフト部である。光周波数シフタ140は、局発光源130から出力された局発光LOの周波数を、波長変換制御部220より設定されたシフト量Δf分シフトし、周波数シフト後の局発光LOsをコヒーレント受信フロントエンド部110へ出力する。光周波数シフタ140は、局発光源130から出力された局発光LOの周波数を微調整する周波数調整部でもある。
【0036】
図5で説明したように、コヒーレント受信フロントエンド部110は、入力される入力光信号SO1を、光周波数シフタ140からの局発光LOsでコヒーレント検波し、アナログ電気信号SAに変換して出力する。なお、光周波数シフタ140が周波数シフトを行った場合、局発光LOsの周波数は局発光LOに対し周波数シフト後の周波数であり、光周波数シフタ140が周波数シフトを行わない場合、局発光LOsの周波数は局発光LOと同じ周波数である。また、コヒーレント送信フロントエンド部120は、コヒーレント受信フロントエンド部110が変換したアナログ電気信号SAを、送信光源150からの送信光POでコヒーレント変調し、出力光信号SO2に変換して出力する。
【0037】
例えば、入力光信号SO1及び出力光信号SO2は、位相変調及び偏波多重された光信号である。また、アナログ電気信号SAは、X偏波のI成分(同相成分)であるXI信号、X偏波のQ成分(直交成分)であるXQ信号、Y偏波のI成分のであるI信号、Y偏波のQ成分であるYQ信号を含む4レーン(4ch)の信号である。
【0038】
波長計210a及び210bは、光信号の波長及び光パワーをモニタする。波長計210a(第1のモニタ部)は、波長選択スイッチ230から出力される入力光信号SO1を分岐した分岐信号を入力する光入力端子を備える。波長計210aは、光入力端子を介して入力される入力光信号SO1の分岐信号の波長と光パワーをそれぞれ測定する。波長計210aは、波長及び光パワーの測定結果を示す測定データを、波長変換制御部220との間の内部インタフェース(光信号中継部5の内部用のインタフェース)を介して、波長変換制御部220へ送信する。なお、波長計210aは、入力光信号SO1の波長をモニタするモニタ部と、入力光信号SO1の光パワーをモニタするモニタ部とを含むとも言える。
【0039】
波長計210b(第2のモニタ部)は、光周波数シフタ140から出力される光連続波である局発光LOsを分岐した分岐波を入力する光入力端子を備える。波長計210bは、光入力端子を介して入力される局発光LOsの分岐波の波長と光パワーを測定し、測定結果を示す測定データを、波長変換制御部220との間の内部インタフェースを介して、波長変換制御部220へ出力する。なお、波長計210bは、局発光LOsの波長をモニタするモニタ部と、局発光LOsの光パワーをモニタするモニタ部とも言える。
【0040】
波長変換制御部220は、光信号中継部5を構成する各部をとりまとめて制御を行う制御部である。波長変換制御部220は、ユーザインタフェース部300との間の外部インタフェース(光信号中継部5の外部用のインタフェース)を介して、ユーザインタフェース部300から設定情報を取得する設定情報取得部を含む。また、波長変換制御部220は、波長計210a及び210bとの間の内部インタフェースを介して、波長計210a及び210bから測定結果を取得する測定結果取得部を含む。さらに、波長変換制御部220は、取得した設定情報や測定結果に応じて、内部インタフェースを介して、波長選択スイッチ230、局発光源130、光周波数シフタ140、送信光源150に対し、それぞれ設定を行う設定部を含む。
【0041】
例えば、波長選択スイッチ230に対する制御では、波長変換制御部220は、ユーザインタフェース部300から取得する設定情報に基づいて、波長選択スイッチ230が選択する光信号の波長及び減衰量を設定する。波長変換制御部220は、ユーザインタフェース部300から取得する設定情報に限らず、予め光信号中継部5に登録された設定情報に基づいて、選択する光信号の波長及び減衰量を設定してもよい。また、波長変換制御部220は、波長計210aによる入力光信号SO1の光パワーの測定結果に応じて、波長選択スイッチ230の減衰量を設定する。例えば、波長変換制御部220は、入力光信号SO1の光パワーが所定値よりも大きい場合、入力光信号SO1の光パワーが所定値以下に下がるように、波長選択スイッチ230の減衰量を設定する。なお、波長選択スイッチ230とコヒーレント受信フロントエンド部110の間に減衰器を接続し、入力光信号SO1のパワーの測定結果に応じて、減衰器の減衰量を制御してもよい。
【0042】
局発光源130に対する制御では、波長変換制御部220は、ユーザインタフェース部300から取得する設定情報に基づいて、局発光源130が出力する局発光LOの波長と光パワーを設定する。波長変換制御部220は、ユーザインタフェース部300から取得する設定情報に限らず、予め光信号中継部5に登録された設定情報に基づいて、局発光LOの波長及び光パワーを設定してもよい。また、波長変換制御部220は、波長計210aによる入力光信号SO1の光パワーの測定結果に応じて、局発光源130の出力光パワーを制御する。例えば、波長変換制御部220は、入力光信号SO1の光パワーが所定値よりも小さい場合、コヒーレント受信フロントエンド部110から出力するアナログ電気信号SAのパワーが所定値以上に上がるように、局発光源130の出力光パワーを設定する。
【0043】
光周波数シフタ140に対する制御では、波長変換制御部220は、波長計210aによる入力光信号SO1の波長の測定結果に応じて、光周波数シフタ140の周波数シフト量を制御する。例えば、波長変換制御部220は、入力光信号SO1の波長の測定結果が所定値または所定の範囲外の場合、入力光信号SO1の波長が所定値または所定の範囲内となるように、光周波数シフタ140の周波数シフト量を設定をする。
【0044】
また、波長変換制御部220は、波長計210aまたは波長計210bによる測定結果に応じて、入力光信号に対する光パワーの制御や局発光に対する光パワーまたは周波数の制御が完了したか否か判定する。例えば、波長変換制御部220は、波長選択スイッチ230に対し、入力光信号SO1の光パワーが下がるよう減衰量を制御した後、入力光信号SO1の光パワーが目標値となった場合、波長選択スイッチ230の減衰量の制御を終了する。波長変換制御部220は、入力光信号SO1の光パワーが目標値まで下がらない場合、さらに入力光信号SO1の光パワーが下がるように波長選択スイッチ230の減衰量を設定してもよい。
【0045】
また、波長変換制御部220は、局発光源130に対し、局発光LOの光パワーが上がるように制御した後、局発光LOsの光パワーが目標値(コヒーレント受信フロントエンド部110からの出力を一定とするためのパワー)となった場合、局発光源130の出力光パワーの制御を終了する。波長変換制御部220は、局発光LOsの光パワーが目標値まで上がらない場合、さらに局発光LOの光パワーが上がるように局発光源130の出力光パワーを設定してもよい。なお、局発光源130から出力される局発光LOの光パワーを直接測定し、測定結果に応じて局発光源130の出力光パワーの制御完了を判定してもよいし、局発光LOの光パワーの測定結果に応じて、局発光源130の出力光パワーを制御してもよい。さらに、波長変換制御部220は、光周波数シフタ140に対し、局発光LOの周波数をシフトするよう制御した後、局発光LOsの波長が目標値となった場合、光周波数シフタの周波数シフトの制御を終了する。波長変換制御部220は、局発光LOsの波長が目標値までシフトしない場合、さらに局発光LOの周波数をシフトするように光周波数シフタ140の周波数シフト量を設定してもよい。
【0046】
送信光源150に対する制御では、波長変換制御部220は、ユーザインタフェース部300から取得する設定情報に基づいて、送信光源150が出力する送信光POの波長と光パワーを設定する。波長変換制御部220は、ユーザインタフェース部300から取得する設定情報に限らず、予め光信号中継部5に登録された設定情報に基づいて、送信光POの波長及び光パワーを設定してもよい。
【0047】
ユーザインタフェース部300は、光中継装置2及び光信号中継部5の設定や管理を行うユーザ(オペレータ)のためのインタフェースである。ユーザインタフェース部300は、必要に応じて、ユーザが操作する操作部やユーザに情報を表示する表示部等を含んでもよい。例えば、ユーザインタフェース部300は、波長変換制御部220との間の外部インタフェースを介して、波長変換制御部220へ光信号中継部5の各部に対する設定情報を送信する。ユーザインタフェース部300は、ユーザからの入力に応じて設定情報を送信してもよいし、予めデータベース等に格納された設定情報を送信してもよい。
【0048】
なお、ユーザインタフェース部300は、光中継装置2の内部に配置されてもよいし、光中継装置2の外部に配置されてもよい。ユーザインタフェース部300は、例えば、光中継装置2を含む光通信システム1の全体を制御するネットワーク制御装置の一機能として実現することも可能である。ネットワーク制御装置の一例として、光通信システム1のパスや波長を制御及び管理するNMS(Network Management System)でもよい。
【0049】
図7は、本実施の形態に係る光周波数シフタ140の構成例を示している。
図7に示すように、例えば、光周波数シフタ140は、音響光学変調器141と周波数ドライバ142を備えている。なお、
図7の構成は一例であり、前述のように、局発光LOの周波数を、設定された周波数シフト量でシフトすることができれば、その他の任意の手段により構成してもよい。
【0050】
周波数ドライバ142は、所定の周波数の周波数信号(正弦波など)を生成する周波数信号発生器である。周波数ドライバ142は、波長変換制御部220から設定された周波数シフト量Δfの周波数の周波数信号を生成する。音響光学変調器141は、周波数信号に応じて音響光学効果を発生させることで、入力される光信号の周波数をシフトする。音響光学変調器141は、周波数ドライバ142が生成した周波数信号に応じて、局発光源130からの光連続波である局発光LOの周波数をシフトし、周波数シフト量Δfでシフトした局発光LOsをコヒーレント受信フロントエンド部110へ出力する。
【0051】
図8は、本実施の形態に係るコヒーレント受信フロントエンド部110の構成例を示している。
図8に示すように、コヒーレント受信フロントエンド部110は、偏波分離部111と、90度ハイブリッド回路112-1~112-2と、O/E変換部113-1~113-4と、増幅器114-1~114-4と、を備えている。
【0052】
偏波分離部111は、波長選択スイッチ230から入力される偏波合波信号である入力光信号SO1をX偏波及びY偏波に偏波分離する。90度ハイブリッド回路(コヒーレント光検波器)112-1~112-2は、偏波分離部111により偏波分離された光信号と光周波数シフタ140により周波数シフトされた局発光LOsとを干渉させてコヒーレント検波を行う。Photo Diodeなどで構成されるO/E変換部113-1~113-4は、コヒーレント検波された信号を4レーンのアナログの電気信号に変換する。90度ハイブリッド回路112-1は、入力光信号SO1のX偏波をI成分及びQ成分に分離した後、O/E変換部113-1~113-2によって光電変換し、XI信号、XQ信号を生成する。90度ハイブリッド回路112-2は、入力光信号SO1のY偏波をI成分及びQ成分に分離した後、O/E変換部113-3~113-4によって光電変換し、YI信号、YQ信号を生成する。増幅器114-1~114-4は、生成されたXI信号、XQ信号、YI信号、YQ信号をそれぞれ増幅し、4レーンのアナログ電気信号SAとしてコヒーレント送信フロントエンド部120へ出力する。
【0053】
図9は、本実施の形態に係るコヒーレント送信フロントエンド部120の構成例を示している。
図9に示すように、コヒーレント送信フロントエンド部120は、増幅器121-1~121-4と、MZ変調器(MZM:Mach-Zehnder Modulator)122-1~122-4と、偏波合波部123と、を備えている。
【0054】
増幅器121-1~121-4は、コヒーレント受信フロントエンド部110から出力されたアナログ電気信号SAのXI信号、XQ信号、YI信号、YQ信号をそれぞれ増幅し、MZ変調器122-1~122-4を駆動する。MZ変調器(IQ光変調器)122-1~122-4は、それぞれ印加されるXI信号、XQ信号、YI信号、YQ信号に応じて、送信光源150からの送信光POに対しIQ変調をかける。MZ変調器122-1~122-2は、増幅器121-1~121-2を介したXI信号及びXQ信号に基づいて、X偏波のIQ変調光信号を生成する。MZ変調器122-3~122-4は、増幅器121-3~121-4を介したYI信号及びYQ信号に基づいて、Y偏波のIQ変調光信号を生成する。偏波合波部123は、生成されたX偏波のIQ変調光信号とY偏波のIQ変調光信号を偏波合波し、合波した光信号を出力光信号SO2として出力する。
【0055】
<動作の説明>
次に、
図10及び
図11を用いて、本実施の形態に係る光中継装置2の正常時の動作例について説明する。
【0056】
図10のシーケンスは、本実施の形態に係る光中継装置2の立ち上げ時の動作例を示している。
図10に示すように、光中継装置2の立ち上げ時、初めに、ユーザインタフェース部300は、波長変換制御部220へ変換前と変換後のそれぞれの波長情報の設定・登録を指示する(ステップS1)。ユーザインタフェース部300から指示を受けた波長変換制御部220は、波長計210a~210bに対し、ポーリング測定の開始を指示する(ステップS2)。波長計210a~210bは、波長変換制御部220からの指示を受け、入力光信号SO1及び局発光LOsに対するポーリング測定を開始する(ステップS3~S4)。ポーリング測定では、波長計210a及び210bは、開始から停止の指示があるまで、入力光信号SO1及び局発光LOsの波長と光パワーを測定し、測定した波長及び光パワーの値を波長変換制御部220へ定期的に送信する。
【0057】
続いて、波長変換制御部220は、波長選択スイッチ230へ、ユーザインタフェース部300から設定された変換前波長の周波数情報である選択波長情報と減衰量を示す減衰値の初期値0の情報を設定し、光出力ONを指示する(ステップS5)。波長選択スイッチ230は、波長変換制御部220から指示を受けると、選択波長情報により設定された周波数の波長を波長多重信号WOから選択し、減衰値により設定された初期値0の減衰量で選択波長を透過し、単一チャネルの光信号である入力光信号SO1を出力する(ステップS6)。
【0058】
続いて、波長変換制御部220は、局発光源130へ、ユーザインタフェース部300から設定された変換前波長の周波数情報である出力波長情報と光出力パワーの初期値PL0の情報を設定し、光出力ONを指示する(ステップS7)。局発光源130は、波長変換制御部220から指示を受けると、出力波長情報により設定された波長及び光出力パワーにより設定された初期値PL0の光パワーの光連続波である局発光LOを出力する(ステップS8)。このとき、光周波数シフタ140の周波数シフト量は初期値0であり、光周波数シフタ140から局発光LOと同じ周波数の局発光LOsが出力される。これにより、コヒーレント受信フロントエンド部110は、波長選択スイッチ230から出力された入力光信号SO1を、光周波数シフタ140から出力された局発光LOsを用いてアナログ電気信号SAに変換し、変換したアナログ電気信号SAの出力を開始する。
【0059】
ステップS3及びS4の後、定期的に、波長計210a~210bは、それぞれ波長選択スイッチ230からの入力光信号SO1と光周波数シフタ140からの局発光LOsの分岐光を測定し、測定した波長及び光パワーを波長変換制御部220へ送信する(ステップS9~S10)。
【0060】
この例では、波長変換制御部220は、波長計210a~210bそれぞれから受信した波長と光パワーの測定値が正常値であることを判定する(ステップS11)。例えば、波長変換制御部220は、波長計210aから取得した入力光信号SO1の波長の測定結果と、ユーザインタフェース部300から設定された変換前波長とを比較し、測定結果と設定値とが同じ、または、測定結果と設定値の差が所定の範囲内の場合、入力光信号SO1の波長が正常であると判断する。波長変換制御部220は、波長計210aから取得した入力光信号SO1の光パワーの測定結果と、予め設定された入力光パワーとを比較し、測定結果と設定値とが同じ、または、測定結果と設定値の差が所定の範囲内の場合、入力光信号SO1の光パワーが正常であると判断する。
【0061】
また、波長変換制御部220は、波長計210bから取得した局発光LOsの波長の測定結果と、ユーザインタフェース部300から設定された変換前波長とを比較し、測定結果と設定値とが同じ、または、測定結果と設定値の差が所定の範囲内の場合、局発光源130が出力する局発光LOの波長が正常であると判断する。波長変換制御部220は、波長計210bから取得した局発光LOsの光パワーの測定結果と、設定した局発光パワーの初期値PL0とを比較し、測定結果と設定値とが同じ、または、測定結果と設定値の差が所定の範囲内の場合、局発光源130が出力する局発光LOの光パワーが正常であると判断する。
【0062】
波長変換制御部220は、波長計210a~210bの測定値が正常値であると判定された場合、送信光源150に対し、ユーザインタフェース部300から設定された変換後波長の周波数情報である出力波長情報と光出力パワーの初期値PS0の情報を設定し、光出力ONを指示する(ステップS12)。送信光源150は、波長変換制御部220から指示を受けると、出力波長情報により設定された波長及び光出力パワーにより設定された初期値PS0の光パワーの光連続波である送信光POを出力する(ステップS13)。これにより、コヒーレント送信フロントエンド部120は、コヒーレント受信フロントエンド部110により変換されたアナログ電気信号SAを、送信光源150から出力された送信光POを用いて出力光信号SO2に変換し、変換した出力光信号SO2の出力を開始する。
【0063】
図11のシーケンスは、本実施の形態に係る光中継装置2の立ち下げ時の動作例を示している。
図11に示すように、光中継装置2の立ち下げ時、ユーザインタフェース部300は、波長変換制御部220へ変換前と変換後のそれぞれの波長情報の削除を指示する(ステップS20)。波長変換制御部220は、ユーザインタフェース部300から指示を受けると、送信光源150に光出力OFFを指示する(ステップS21)。送信光源150は、波長変換制御部220から指示を受けて送信光POの出力を停止する(ステップS22)。これにより、コヒーレント送信フロントエンド部120による出力光信号SO2の出力が停止する。
【0064】
続いて、波長変換制御部220は、波長選択スイッチ230へ、選択波長情報の削除を指示する(ステップS23)。波長選択スイッチ230は、波長変換制御部220からの指示を受けて、選択波長情報を削除する。すなわち、波長選択スイッチ230は、設定されていた波長の選択を停止して光出力を非透過状態とし、入力光信号SO1の出力を停止する(ステップS24)。
【0065】
続いて、波長変換制御部220は、局発光源130へ、光出力OFFを指示する(ステップS25)。局発光源130は、波長変換制御部220から指示を受けて局発光LOの出力を停止する(ステップS26)。これにより、光周波数シフタ140からの局発光LOsの出力が停止し、コヒーレント受信フロントエンド部110によるアナログ電気信号SAの出力が停止する。
【0066】
続いて、波長変換制御部220は、波長計210a~210bに対し、ポーリング測定の停止を指示する(ステップS27)。波長計210a~210bは、波長変換制御部220からの指示を受け、入力光信号SO1及び局発光LOsに対するポーリング測定を停止する(ステップS28~S29)。
【0067】
このように、本実施の形態に係る光中継装置2の光信号中継部5では、立ち上げ時、ユーザインタフェース部300からの波長変換前と変換後の周波数を設定の指示に応じて、光波長多重信号から1波長選択して波長変換部100に入力し、波長変換部100内で変換後周波数に変換することで、後段ネットワークへ変換後の光信号を出力することができる。また、立ち下げ時、光信号中継部5は、ユーザインタフェース部300からの波長変換前と変換後の周波数の削除の指示に応じて、送信光源150の光出力を停止し、光波長多重信号からの波長選択を停止し、局発光源130の光出力を停止することで、後段ネットワークへの光信号の出力を停止することができる。
【0068】
次に、
図12~
図14を用いて、本実施の形態に係る光中継装置2において、入力される光信号の特性が変化した場合の動作例について説明する。
【0069】
図12は、本実施の形態に係る光中継装置2において、立ち上げ後の波長変換動作中に入力される光信号の波長がドリフトした場合の動作例を示している。
図10で示した立ち上げ動作の後、
図12に示すように、波長変換前の光信号である入力光信号SO1の波長(変換前波長)が周波数Δf
1だけドリフトしたとする(ステップS30)。そうすると、波長計210aは、波長選択スイッチ230の出力光である入力光信号SO1の分岐光をモニタし、変換前波長の設定値からΔf
1だけドリフトした波長を測定し、測定した結果を波長変換制御部220へ送信する(ステップS31)。
【0070】
続いて、波長変換制御部220は、波長計210aからの測定結果を受け、波長変換前の入力光信号SO1の波長に波長ドリフトが発生したと判定する(ステップS32)。例えば、波長変換制御部220は、波長計210aから取得した入力光信号SO1の波長の測定結果と、立ち上げ時にユーザインタフェース部300から設定された変換前波長とを比較し、測定結果と設定値の差から、入力光信号SO1の波長がΔf1ドリフトしていると判定する。
【0071】
続いて、波長変換制御部220は、光周波数シフタ140に対し、判定したドリフト量Δf1を周波数シフト量として設定する(ステップS33)。光周波数シフタ140は、波長変換制御部220からの指示を受けて、局発光源130から出力された光連続波である局発光LOの周波数をΔf1シフトし、周波数シフト後の局発光LOs出力する(ステップS34)。これにより、コヒーレント受信フロントエンド部110は、周波数シフト後の局発光LOsを用いて、入力光信号SO1に対しコヒーレント検波を行う。
【0072】
続いて、波長計210bは、光周波数シフタ140から出力された局発光LOsの分岐光をモニタし、変換前波長の設定値から周波数Δf1だけずれた波長を測定し、測定した結果を波長変換制御部220に通知する(ステップS35)。
【0073】
続いて、波長変換制御部220は、波長計210bから、光周波数シフタ140から出力された局発光LOsがΔf1だけずれた測定結果を受け、波長ドリフトへの対処を完了とする(ステップS36)。例えば、波長変換制御部220は、波長計210bから取得した局発光LOsの波長の測定結果と、立ち上げ時にユーザインタフェース部300から設定された変換前波長とを比較し、測定結果と設定値の差から、光周波数シフタ140からの局発光LOsがΔf1ずれたと判定する。
【0074】
以降、変換前波長のドリフト量Δf1が変化した場合、ステップS31~S36のシーケンスを繰り返し、波長変換部100に入力される波長変換前の入力光信号SO1の入力波長と、局発光源130から出力され光周波数シフタ140を通りコヒーレント受信フロントエンド部110へ入力される局発光LOsの波長が一致するように、引き続き制御する。
【0075】
このように、本実施の形態に係る光中継装置2の光信号中継部5では、立ち上げ後の波長変換動作の途中に、入力される波長多重光信号から選択された波長の光信号に波長ドリフトが発生した場合に、局発光源130の波長周波数を、光周波数シフタ140を用いて追随させ、波長変換前の光信号の波長と局発光の波長を一致させることができる。
【0076】
図13は、本実施の形態に係る光中継装置2において、立ち上げ後の波長変換動作中に入力される光信号の光パワーが低下した場合の動作例を示している。
図10で示した立ち上げ動作の後、
図13に示すように、波長変換前の光信号である入力光信号SO1の光パワーが波長変換部100の既定の光入力パワーよりもΔP
1だけ低下したとする(ステップS40)。そうすると、波長計210aは、波長選択スイッチ230の出力光である入力光信号SO1の分岐光をモニタし、波長変換部100の規定入力パワーよりΔP
1低下した光パワーを測定し、測定した結果を波長変換制御部220へ送信する(ステップS41)。
【0077】
続いて、波長変換制御部220は、波長計210aからの測定結果を受け、波長変換前の入力光信号SO1の光パワーが低下したと判定する(ステップS42)。例えば、波長変換制御部220は、波長計210aから取得した入力光信号SO1の光パワーの測定結果と、予め設定された波長変換部100の規定入力パワーとを比較し、測定結果と設定値の差から、入力光信号SO1の光パワーが規定入力パワーからΔP1低下したと判定する。
【0078】
続いて、波長変換制御部220は、局発光源130に対し、局発光LOの光パワーをΔP1だけUPするよう設定する(ステップS43)。具体的には、局発光源130の光出力パワーを初期値PL0+ΔP1に設定する。局発光源130は、波長変換制御部220からの指示を受けて、局発光LOの出力パワーを、初期値PL0+ΔP1に変更し、ΔP1だけUPする(ステップS44)。これにより、光周波数シフタ140を介した局発光LOsの光パワーも同様にUPし、コヒーレント受信フロントエンド部110は、光パワーがUPした局発光LOsを用いて、入力光信号SO1に対しコヒーレント検波を行う。
【0079】
続いて、波長計210bは、光周波数シフタ140から出力された局発光LOsの分岐光をモニタし、初期値PL0からΔP1だけUPした光パワーを測定し、測定した結果を波長変換制御部220に通知する(ステップS45)。
【0080】
続いて、波長変換制御部220は、波長計210bから、光周波数シフタ140から出力された局発光LOsの光パワーがΔP1だけUPした測定結果を受信し、光入力パワー低下への対処を完了とする(ステップS46)。例えば、波長変換制御部220は、波長計210bから取得した局発光LOsの光パワーの測定結果と立ち上げ時に局発光源130へ設定した初期値PL0とを比較し、測定結果と設定値の差から、局発光源130が出力する局発光LOsの光パワーがΔP1だけUPしたと判定する。
【0081】
このように、本実施の形態に係る光中継装置2の光信号中継部5では、立ち上げ後の波長変換動作の途中に、入力される波長多重光信号から選択された波長の光信号に光パワーの低下が発生した場合に、局発光源130から出力される光連続波の光パワーをUPすることで、コヒーレント受信フロントエンド部110から出力するアナログ電気信号の振幅を一定に制御することができる。
【0082】
図14は、本実施の形態に係る光中継装置2において、立ち上げ後の波長変換動作中に入力される光信号の光パワーが上昇した場合の動作例を示している。
図10で示した立ち上げ動作の後、
図14に示すように、波長変換前の光信号である入力光信号SO1の光パワーが波長変換部100の既定の光入力パワーよりもΔP
2だけ上昇したとする(ステップS50)。そうすると、波長計210aは、波長選択スイッチ230の出力光である入力光信号SO1の分岐光をモニタし、波長変換部100の規定入力パワーよりΔP
2上昇した光パワーを測定し、測定した結果を波長変換制御部220へ送信する(ステップS51)。
【0083】
続いて、波長変換制御部220は、波長計210aからの測定結果を受け、波長変換前の入力光信号SO1の光パワーが上昇したと判定する(ステップS52)。例えば、波長変換制御部220は、波長計210aから取得した入力光信号SO1の光パワーの測定結果と、予め設定された波長変換部100の規定入力パワーとを比較し、測定結果と設定値の差から、入力光信号SO1の光パワーが規定入力パワーからΔP2上昇したと判定する。
【0084】
続いて、波長変換制御部220は、波長選択スイッチ230に対し、減衰値をΔP2に設定する(ステップS53)。波長選択スイッチ230は、波長変換制御部220からの指示を受けて、波長選択し出力する入力光信号SO1の光パワーをΔP2減衰させる(ステップS54)。これにより、コヒーレント受信フロントエンド部110は、光パワーが低下した入力光信号SO1に対してコヒーレント検波を行う。
【0085】
続いて、波長計210aは、波長選択スイッチ230から出力された入力光信号SO1の分岐光をモニタし、ΔP2低下した光パワー、すなわち、波長変換部100の規定入力パワーとなった入力光信号SO1の光パワーを測定し、測定した結果を波長変換制御部220へ送信する(ステップS55)。
【0086】
続いて、波長変換制御部220は、波長計210aから、入力光信号SO1の光パワーが波長変換部100の規定入力パワーとなった測定結果を受け、光入力パワー上昇への対処を完了とする(ステップS56)。例えば、波長変換制御部220は、波長計210aから取得した入力光信号SO1の光パワーの測定結果と、予め設定された波長変換部100の規定入力パワーとを比較し、測定結果と設計値の差から、入力光信号SO1の光パワーが規定入力パワーまで低下したと判定する。
【0087】
このように、本実施の形態に係る光中継装置2の光信号中継部5では、立ち上げ後の波長変換動作の途中に、入力される波長多重信号から選択された波長の光信号に光パワーの上昇が発生した場合に、波長選択スイッチ230の減衰値を制御することで、コヒーレント受信フロントエンド部110から出力するアナログ電気信号の振幅を一定に制御することができる。
【0088】
<効果の説明>
以上説明したように、本実施の形態に係る光中継装置2によれば、波長多重信号から1波長選択されて入力される光信号に波長ドリフトが発生した際に、装置内の局発光源の波長を光入力信号の波長に追随させることができる。これにより、光中継装置2より出力される光信号の品質劣化を防ぐことができ、後段に接続される光ネットワークへの回線劣化を防ぐことができる。
【0089】
また、波長多重信号から1波長選択されて入力される光信号に光パワーの低下が発生した際に、装置内の局発光源から出力される光連続波の光パワーをUPさせることができる。これにより、光中継装置2より出力される光信号の品質劣化を防ぐことができ、後段に接続される光ネットワークへの回線劣化を防ぐことができる。
【0090】
さらに、波長多重信号から1波長選択されて入力される光信号に光パワーの上昇が発生した際に、波長選択スイッチの減衰値を制御することで、光中継装置2より出力される光信号の品質劣化を防ぐことができ、後段に接続される光ネットワークへの回線劣化を防ぐことができる。
【0091】
[第2の実施の形態]
次に、図面を参照して第2の実施の形態について説明する。本実施の形態では、波長変換部へ入力される光信号の波長や光パワーが異常となった場合に、後段に接続される光ネットワークへ異常を通知し影響を最小限に留めることを可能とする。なお、第2の実施の形態は、第1の実施の形態と組み合わせて実施することができるが、第2の実施の形態のみを実施してもよい。
【0092】
<構成の説明>
図15は、本実施の形態に係る光中継装置2の具体的な構成例を示している。
図15に示すように、本実施の形態に係る光中継装置2は、第1の実施の形態の
図6の構成に加えて、後段ネットワーク制御部400を備えている。
【0093】
後段ネットワーク制御部400は、光中継装置2及び光信号中継部5の光信号や状態等に応じて、後段ネットワークを制御する制御装置である。後段ネットワークは、光中継装置2の後段に接続されるネットワークであり、少なくとも光ファイバ伝送路4を介して光中継装置2の後段(光中継装置2の出力端)に接続される光中継装置2を含む。
【0094】
後段ネットワーク制御部400は、波長変換制御部220との間の外部インタフェースを介して、波長変換制御部220から入力光信号の異常を示す警報を受信し、後段ネットワークとの間の制御ネットワーク等を介して、必要な情報の通知や制御を行う。例えば、後段ネットワーク制御部400は、波長変換制御部220から警報を受けた場合、後段ネットワークを保護するための保護措置(保護処理)を実行する保護部を含む。後段ネットワークの保護とは、後段ネットワークの光中継装置2が異常な光信号を受信した場合に故障や誤動作から保護することである。例えば、後段の光中継装置2が受信する光信号を増幅する光アンプを有する場合、光アンプに入力する光信号の光パワーが急激に変化すると、光アンプが故障する可能性がある、このため、光アンプのOFFやゲインを下げることで、光アンプを故障から保護できる。後段ネットワーク制御部400は、後段ネットワークの保護措置として、後段ネットワークへ警報を通知してもよいし、後段ネットワークへ保護に必要な処理を実行するよう要求してもよい。後段ネットワーク制御部400は、保護措置が完了した場合、波長変換制御部220へ信号停止を許可する。
【0095】
また、後段ネットワーク制御部400は、光中継装置2の立ち上げ時、後段ネットワークの受信開始準備が完了した場合に、波長変換制御部220へ送信開始を許可する。後段ネットワーク制御部400は、光中継装置2の立ち下げ時、後段ネットワークの受信停止準備が完了した場合に、波長変換制御部220へ送信停止を許可する。
【0096】
なお、後段ネットワーク制御部400は、光中継装置2の内部に配置されてもよいし、光中継装置2の外部に配置されてもよい。後段ネットワーク制御部400は、ユーザインタフェース部300と同様に、例えば、光中継装置2を含む光通信システム1の全体を制御するネットワーク制御装置の一機能として実現することも可能である。後段ネットワーク制御部400は、ユーザインタフェース部300と同じ制御装置でもよい。
【0097】
本実施の形態では、波長変換制御部220は、入力光信号SO1の異常を示す警報を、外部インタフェースを介して、後段ネットワーク制御部400やユーザインタフェース部300へ通知する通知部を含む。例えば、波長変換制御部220は、波長計210aによる入力光信号SO1の波長や光パワーの測定結果により、入力光信号SO1の異常が検出された場合に、警報を通知する。
【0098】
また、波長変換制御部220は、後段ネットワークと連動して波長変換部100から出力光信号SO2の出力の開始及び停止タイミングを制御する。例えば、波長変換制御部220は、光中継装置2の立ち上げ時、後段ネットワークの受信開始準備が完了した場合に、コヒーレント送信フロントエンド部120から出力光信号SO2の出力を開始するよう制御する。すなわち、波長変換制御部220は、光中継装置2の立ち上げ時、光信号中継部5の送信準備完了を後段ネットワーク制御部400へ送信し、さらに後段ネットワーク制御部400から送信開始許可を受信した場合に、送信光源150からの送信光POの出力を開始するよう制御する。また、波長変換制御部220は、光中継装置2の立ち下げ時、後段ネットワークの受信停止準備が完了した場合に、コヒーレント送信フロントエンド部120から出力光信号SO2の出力を停止するよう制御する。すなわち、波長変換制御部220は、光中継装置2の立ち下げ時、光信号中継部5の送信停止準備を後段ネットワーク制御部400へ送信し、さらに後段ネットワーク制御部400から送信停止許可を受信した場合に、送信光源150からの送信光POの出力を停止するよう制御する。なお、その他の構成は、第1の実施の形態と同様である。
【0099】
<動作の説明>
次に、
図16及び
図17を用いて、本実施の形態に係る光中継装置2の正常時の動作例について説明する。
【0100】
図16のシーケンスは、本実施の形態に係る光中継装置2の立ち上げ時の動作例を示している。なお、
図16におけるステップS1~S13については、第1の実施の形態の
図10と同様であるため、主に
図10と異なる動作について説明する。
【0101】
図16に示すように、ユーザインタフェース部300は、変換前及び変換後の波長情報を設定し(ステップS1)、波長計210a及び210bは、波長変換制御部220からの指示に応じて測定を開始し(ステップS2~S4)、波長選択スイッチ230は、波長変換制御部220からの指示に応じて、選択した波長の入力光信号SO1を出力し(ステップS5~S6)、局発光源130は、波長変換制御部220の指示に応じて局発光LOを出力する(ステップS7~S8)。
【0102】
続いて、波長変換制御部220は、後段ネットワーク制御部400へ送信準備完了を通知する(ステップS14)。後段ネットワーク制御部400は、波長変換制御部220から送信準備完了通知を受けると、後段ネットワークの受信開始準備完了後、波長変換制御部220へ、光信号の送信許可を通知する(ステップS15)。例えば、後段ネットワーク制御部400は、後段の光中継装置2へ受信開始を要求し、後段の光中継装置2から受信開始準備完了を受信した場合に、後段ネットワークの準備が完了したと判断してもよい。後段の光中継装置2の受信開始準備動作には、一例として、受信する光信号を増幅する光アンプのONなどが含まれる。
【0103】
その後、波長計210a~210bは、波長及び光パワーの測定結果を通知し(ステップS9~S10)、波長変換制御部220は、測定結果が正常値であると判定する(ステップS11)。
【0104】
本実施の形態では、波長変換制御部220は、波長計210a~210bそれぞれの波長と光パワーの測定値が正常値であること、かつ、後段ネットワーク制御部400から光信号の送信許可通知を受信した後に、送信光源150に対し、変換後波長の周波数情報と光出力パワーを設定し、光出力ONを指示する(ステップS12)。送信光源150は、波長変換制御部220の指示に応じて送信光POを出力する(ステップS13)。
【0105】
図17のシーケンスは、本実施の形態に係る光中継装置2の立ち下げ時の動作例を示している。なお、
図17におけるステップS20~S29については、第1の実施の形態の
図11と同様であるため、主に
図11と異なる動作について説明する。
【0106】
図17に示すように、ユーザインタフェース部300は、波長変換制御部220へ変換前及び変換後の波長情報の削除を指示する(ステップS20)。波長変換制御部220は、ユーザインタフェース部300から指示を受けると、後段ネットワーク制御部400へ送信停止準備通知を送信する(ステップS60)。後段ネットワーク制御部400は、波長変換制御部220から送信停止準備通知を受信すると、後段ネットワークの受信停止準備完了後、波長変換制御部220へ光信号の送信停止許可を通知する(ステップS61)。例えば、後段ネットワーク制御部400は、後段の光中継装置2へ受信停止を要求し、後段の光中継装置2から受信停止準備完了を受信した場合に、後段ネットワークの準備が完了したと判断してもよい。後段の光中継装置2の受信停止準備動作には、一例として、受信する光信号を増幅する光アンプのOFFなどが含まれる。
【0107】
本実施の形態では、波長変換制御部220は、後段ネットワーク制御部400から送信停止許可通知を受信した後に、各部の動作を停止する。すなわち、波長変換制御部220は、送信光源150をOFFし(ステップS21~S22)、波長選択スイッチ230の選択波長情報を削除し(ステップS23~S24)、局発光源130をOFFし(ステップS25~S26)、波長計210a~210bの測定を停止する(ステップS27~S29)。
【0108】
次に、
図18~
図19を用いて、本実施の形態に係る光中継装置2において、入力される光信号の特性が異常となった場合の動作例について説明する。
【0109】
図18は、本実施の形態に係る光中継装置2において、立ち上げ後の波長変換動作中に入力される光信号の波長がドリフトし、異常状態となる場合の動作例を示している。本実施の形態では、第1の実施の形態の
図12と同様、波長変換前の光信号である入力光信号SO1の波長(変換前波長)がドリフトした場合、ドリフト量に応じて光周波数シフタ140の周波数シフト量を制御する。
【0110】
図18では、変換前波長がさらにドリフトし、隣接チャネルに影響する周波数Δf
2までずれたとする(ステップS70)。この隣接チャネルに影響する周波数ずれの基準は、波長多重信号の各波長間隔に依存し、接続される光ネットワークごとに異なり、工場出荷時または光中継装置2の設置時に予め設定される。
【0111】
そうすると、波長計210aは、波長選択スイッチ230の出力光である入力光信号SO1の分岐光をモニタし、変換前波長の設定値からΔf2だけドリフトした波長を測定し、測定した結果を波長変換制御部220へ送信する(ステップS71)。
【0112】
続いて、波長変換制御部220は、波長計210aからの測定結果を受け、波長変換前の入力光信号SO1の波長が異常状態であると判定する(ステップS72)。例えば、波長変換制御部220は、波長計210aから取得した入力光信号SO1の波長の測定結果と、立ち上げ時にユーザインタフェース部300から設定された変換前波長とを比較し、測定結果と設定値の差から、入力光信号SO1の波長が隣接チャネルに影響する周波数Δf2までドリフトしているため異常状態であると判定する。
【0113】
続いて、波長変換制御部220は、入力光信号SO1の波長が異常状態であるため、ユーザインタフェース部300と後段ネットワーク制御部400に対し、入力光信号の異常を示す警報を送信する(ステップS73)。波長変換制御部220は、異常の要因を警報に含めて送信してもよい。例えば、異常の要因は、異常状態となった波長の情報やドリフト量などを含んでもよい。
【0114】
ユーザインタフェース部300は、波長変換制御部220から警報を受信し、ユーザに対し警報状態である旨を通知する(ステップS74)。ユーザインタフェース部300は、異常の要因に応じて異なるように警報状態を表示してもよい。例えば、ドリフト量が大きくなるにしたがって警報状態であることを強調表示してもよい。
【0115】
また、後段ネットワーク制御部400は、波長変換制御部220から警報を受信し、光信号中継部5から光出力が停止しても影響が出ないように、後段ネットワークを保護するための措置を開始する(ステップS75)。後段ネットワーク制御部400は、後段ネットワークの保護措置の完了後、波長変換制御部220へ信号停止許可を通知する(ステップS76)。例えば、後段ネットワーク制御部400は、後段の光中継装置2へ保護措置を要求し、後段の光中継装置2から保護措置完了を受信した場合に、後段ネットワークの保護措置完了と判断してもよい。後段の光中継装置2の保護措置完了動作には、一例として、受信する光信号を増幅する光アンプのOFFやゲインを下げることなどが含まれる。後段ネットワーク制御部400から後段ネットワークへ異常の要因を含む警報を通知し、後段ネットワークは異常の要因に応じて異なる保護措置を行ってもよい。例えば、ドリフト量が大きくなるにしたがって光アンプのゲインを下げてもよい。
【0116】
続いて、波長変換制御部220は、後段ネットワーク制御部400から信号停止許可の通知を受信した後、
図17の立ち下げ時と同様に、各部の動作を停止する。すなわち、波長変換制御部220は、送信光源150をOFFし(ステップS77~S78)、波長選択スイッチ230の選択波長情報を削除し(ステップS79~S80)、局発光源130をOFFし(ステップS81~S82)、波長計210a~210bの測定を停止する(ステップS83~S85)。
【0117】
このように、本実施の形態に係る光中継装置2の光信号中継部5では、変換前波長がドリフトし、隣接チャネルに影響するまでずれた場合に、ユーザインタフェース部300と後段ネットワーク制御部400に警報を通知し、後段ネットワークを安全に保護した後に、光出力を停止することができる。
【0118】
図19は、本実施の形態に係る光中継装置2において、立ち上げ後の波長変換動作中に入力される光信号の光パワーが低下し、異常状態となる場合の動作について説明する。本実施の形態では、第1の実施の形態の
図13と同様、波長変換前の光信号である入力光信号SO1の光パワーが規定入力パワーより低下した場合、低下量に応じて局発光源130が出力する局発光LOの光パワーを制御する。
【0119】
図19では、波長変換前の入力光信号SO1の光パワーが、さらに低下し、波長変換部100の最小入力パワー未満まで低下したとする(ステップS90)。この波長変換部100の最小入力パワーはコヒーレント受信フロントエンド部110の光入力パワーの範囲と出力電気信号の振幅レンジ、およびコヒーレント送信フロントエンド部120の入力電気信号の振幅レンジに依存する。波長変換部100への光入力パワーが低くなるほど波長変換後の光信号の品質は低下する傾向となるが、劣化が許容される最小の光入力パワーとして工場出荷時また光中継装置2の設置時に予め設定される。
【0120】
そうすると、波長計210aは、波長選択スイッチ230の出力光である入力光信号SO1の分岐光をモニタし、波長変換部100の最小入力パワー未満となった光パワーを測定し、測定した結果を波長変換制御部220へ送信する(ステップS91)。
【0121】
続いて、波長変換制御部220は、波長計210aからの測定結果を受け、波長変換前の入力光信号SO1の光パワーが、異常状態であると判定する(ステップS92)。例えば、波長変換制御部220は、波長計210aから取得した入力光信号SO1の光パワーの測定結果と、予め設定された波長変換部100の最小入力パワーとを比較し、測定結果と設定値の差から、入力光信号SO1の光パワーが最小入力パワーよりも低下しているため異常状態であると判定する。
【0122】
以降の動作は、
図18と同様である。すなわち、波長変換制御部220は、ユーザインタフェース部300と後段ネットワーク制御部400に対し、警報を送信する(ステップS73)。波長変換制御部220は、異常状態となった波長の情報や光パワーの情報などの異常の要因を警報に含めて送信してもよい。ユーザインタフェース部300は、警報の受信に応じて、ユーザに対し警報状態である旨を通知する(ステップS74)。ユーザインタフェース部300は、例えば、光パワーの低下量が大きくなるにしたがって警報状態であることを強調表示してもよい。後段ネットワーク制御部400は、警報を受信に応じて、後段ネットワークの保護措置を開始し(ステップS75)、波長変換制御部220へ信号停止許可を通知する(ステップS76)。例えば、後段ネットワークの保護措置では、光パワーの低下量が大きくなるにしたがって光アンプのゲインを下げてもよい。その後、波長変換制御部220は、送信光源150をOFFし(ステップS77~S78)、波長選択スイッチ230の選択波長情報を削除し(ステップS79~S80)、局発光源130をOFFし(ステップS81~S82)、波長計210a~210bの測定を停止する(ステップS83~S85)。
【0123】
このように、本実施の形態に係る光中継装置2の光信号中継部5では、波長変換前の入力光信号の光パワーが波長変換部100の最小入力パワー未満となった場合に、ユーザインタフェース部300と後段ネットワーク制御部400に警報を通知し、後段ネットワークを安全に保護した後に、光出力を停止することができる。
【0124】
<効果の説明>
以上説明したように、本実施の形態に係る光中継装置2によれば、入力される光信号の波長が隣接チャネルに影響するほどずれた場合、後段に接続される光ネットワークへ異常状態を通知し光ネットワーク保護を行い、後段ネットワークへの影響が及ぶのを防いだ後に、光中継装置2の光出力を安全に停止することができる。
【0125】
また、入力される光信号の光パワーが波長変換部の最小入力パワー未満まで低下した場合は、後段ネットワークへの影響が及ぶのを防いだ後に、光中継装置2の光出力を安全に停止することができる。
【0126】
なお、本開示は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、上記実施の形態の波長変換部では、単一波長(単一チャネル)を入力し、1波長を別の1波長に変換する例について説明したが、複数の波長を入力し、複数の波長をまとめて別の複数の波長に変換してもよい。
【0127】
上述の実施の形態における各構成は、ハードウェア又はソフトウェア、もしくはその両方によって構成され、1つのハードウェア又はソフトウェアから構成してもよいし、複数のハードウェア又はソフトウェアから構成してもよい。例えば、波長変換制御部220、ユーザインタフェース部300、後段ネットワーク制御部400等の機能(処理)を、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ及び記憶装置であるメモリを有するコンピュータにより実現してもよい。例えば、メモリに実施の形態における方法(通信方法や制御方法)を行うためのプログラムを格納し、各機能を、メモリに格納されたプログラムをプロセッサで実行することにより実現してもよい。
【0128】
これらのプログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、random-access memory(RAM)、read-only memory(ROM)、フラッシュメモリ、solid-state drive(SSD)又はその他のメモリ技術、CD-ROM、digital versatile disc(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、またはその他の形式の伝搬信号を含む。
【0129】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
入力される入力光信号を局発光に基づいてコヒーレント検波するコヒーレント検波部と、
前記コヒーレント検波された信号をコヒーレント変調し出力するコヒーレント変調部と、
前記入力光信号の特性をモニタする第1のモニタ部と、
前記モニタされた特性に基づいて、前記局発光の特性を制御する制御部と、
を備える、光通信装置。
(付記2)
前記第1のモニタ部は、前記入力光信号の波長をモニタし、
前記制御部は、前記モニタされた波長に基づいて、前記局発光の波長を制御する、
付記1に記載の光通信装置。
(付記3)
前記局発光の周波数をシフトさせる周波数シフタを備え、
前記制御部は、前記モニタされた波長に基づいて、前記周波数シフタのシフト量を制御する、
付記2に記載の光通信装置。
(付記4)
前記第1のモニタ部は、前記入力光信号のパワーをモニタし、
前記制御部は、前記モニタされたパワーに基づいて、前記局発光または前記入力光信号のパワーを制御する、
付記1乃至3のいずれか一項に記載の光通信装置。
(付記5)
前記局発光を出力する局発光源を備え、
前記制御部は、前記モニタされたパワーに基づいて、前記局発光源の出力パワーを制御する、
付記4に記載の光通信装置。
(付記6)
前記入力光信号のパワーを減衰させる減衰器を備え、
前記制御部は、前記モニタされたパワーに基づいて、前記減衰器の減衰量を制御する、
付記4または5に記載の光通信装置。
(付記7)
波長多重信号から前記入力光信号を選択し出力する波長選択スイッチを備え、
前記波長選択スイッチは、前記減衰器を含む、
付記6に記載の光通信装置。
(付記8)
前記制御された局発光の特性をモニタする第2のモニタ部を備え、
前記制御部は、前記第2のモニタ部のモニタ結果に基づいて、前記局発光の制御が完了したか否か判定する、
付記1乃至7のいずれか一項に記載の光通信装置。
(付記9)
前記第1のモニタ部のモニタ結果に応じて、前記光通信装置の後段のネットワークを保護するための保護措置を実行する保護部を備える、
付記1乃至8のいずれか一項に記載の光通信装置。
(付記10)
前記制御部は、前記後段のネットワークの保護措置が完了した場合、前記コヒーレント変調部からの光出力を停止する、
付記9に記載の光通信装置。
(付記11)
前記制御部は、前記光通信装置の立ち上げ時、前記後段のネットワークの受信開始準備が完了した場合、前記コヒーレント変調部からの光出力を開始する、
付記9または10に記載の光通信装置。
(付記12)
前記制御部は、前記光通信装置の立ち下げ時、前記後段のネットワークの受信停止準備が完了した場合、前記コヒーレント変調部からの光出力を停止する、
付記9乃至11のいずれか一項に記載の光通信装置。
(付記13)
前記入力光信号の波長と、前記コヒーレント変調部から出力される光信号の波長とが、異なる、
付記1乃至12のいずれか一項に記載の光通信装置。
(付記14)
複数の光通信装置を備えた光通信システムであって、
前記複数の光通信装置は、
入力される入力光信号を局発光に基づいてコヒーレント検波するコヒーレント検波部と、
前記コヒーレント検波された信号をコヒーレント変調し出力するコヒーレント変調部と、
前記入力光信号の特性をモニタする第1のモニタ部と、
前記モニタされた特性に基づいて、前記局発光の特性を制御する制御部と、
を備える、光通信システム。
(付記15)
前記第1のモニタ部は、前記入力光信号の波長をモニタし、
前記制御部は、前記モニタされた波長に基づいて、前記局発光の波長を制御する、
付記14に記載の光通信システム。
(付記16)
入力される入力光信号を局発光に基づいてコヒーレント検波し、
前記コヒーレント検波された信号をコヒーレント変調して出力し、
前記入力光信号の特性をモニタし、
前記モニタされた特性に基づいて、前記局発光の特性を制御する、
光通信方法。
(付記17)
前記入力光信号の特性のモニタでは、前記入力光信号の波長をモニタし、
前記局発光の特性を制御では、前記モニタされた波長に基づいて、前記局発光の波長を制御する、
付記16に記載の光通信方法。
【符号の説明】
【0130】
1 光通信システム
2、2-1~2-6、3 光中継装置
4 光ファイバ伝送路
5 光信号中継部
100 波長変換部
110 コヒーレント受信フロントエンド部
111 偏波分離部
112-1~112-2 90度ハイブリッド回路
113-1~113-4 O/E変換部
114-1~114-4 増幅器
120 コヒーレント送信フロントエンド部
121-1~121-4 増幅器
122-1~122-4 MZ変調器
123 偏波合波部
130 局発光源
140 光周波数シフタ
141 音響光学変調器
142 周波数ドライバ
150 送信光源
210a、210b 波長計
220 波長変換制御部
230 波長選択スイッチ
300 ユーザインタフェース部
400 後段ネットワーク制御部