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  • 特開-梅酢漬魚介とその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068257
(43)【公開日】2024-05-20
(54)【発明の名称】梅酢漬魚介とその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 17/00 20160101AFI20240513BHJP
【FI】
A23L17/00 A
A23L17/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178558
(22)【出願日】2022-11-08
(71)【出願人】
【識別番号】512228211
【氏名又は名称】東海 勝久
(74)【代理人】
【識別番号】100083127
【弁理士】
【氏名又は名称】恒田 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100194179
【弁理士】
【氏名又は名称】中澤 泰宏
(74)【代理人】
【識別番号】100173462
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 一浩
(72)【発明者】
【氏名】東海 勝久
【テーマコード(参考)】
4B042
【Fターム(参考)】
4B042AC03
4B042AD08
4B042AD39
4B042AG12
4B042AH01
4B042AK01
4B042AK08
4B042AK17
4B042AP07
4B042AP30
(57)【要約】
【課題】梅酢の利用拡大と魚介の利用拡大を図る。
【解決手段】梅酢(白梅酢が望ましい)に重量で1/5の砂糖(白砂糖がのぞましい)と、塩(オーストラリア産の岩塩が望ましい)を加えて梅酢調味液を調整する。魚介(川魚、海魚の青魚、白身魚、が望ましい)を開き、適当なサイズに調整する。なお、小形の川魚にあってはまるごとでもよい。梅酢調味液に調整した魚介を漬け、冷蔵する。この際、梅酢調味液と魚を真空パックすることが望ましい。その後、梅酢調味液で魚介を加熱煮沸調理し、これを食する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
梅酢調味液に漬けられた魚介から構成される梅酢漬魚介。
【請求項2】
梅酢に調味料を添加して梅酢調味液を調整し、
前記梅酢調味液に魚介を漬ける、
ことを特徴とする梅酢漬魚介の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、梅酢調味液に漬けられた魚介(梅酢漬魚介)とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
梅の実を塩漬けして得られる梅酢は、古くから梅干しや野菜の酢漬けなど漬物用の調味液として、あるいは、胃腸に良いとして薬用に用いられてきた。また、梅酢には、疲労回復や食欲増進等の健康効果が期待されるクエン酸などが含まれており、リンゴ、レモンなどの果汁や黒酢、りんご酢などの食酢と混ぜた飲料としても用いられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、調味液や飲料として利用されている梅酢はごく一部であり、その多くは廃棄されているのが現状である。
【0004】
また、上述のように、梅酢には健康効果もあるが、高濃度の食塩が含まれているため、実用には減塩する必要がある。しかし、減塩には複雑な技術・操作、装置等が必要となり、現状ではほとんど行われていない状況である。このため、脱塩などの処理を要しない梅酢の有効利用が求められている。
【0005】
また、魚介類は広く食されているが、その臭みや味、食感から、好まない人も多い。このため、より多くの人が、美味しく食すことができる魚介の提供が望まれる。
【0006】
本発明は、上記のような実情に鑑みてなされるもので、梅酢の利用促進を図るとともに、魚介類の臭みや味、食感を改善することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の梅酢漬魚介は、梅酢を主成分とする梅酢調味液に漬けられた魚介である。
また、本発明の梅酢漬魚介の製造方法は、
梅酢に調味料を添加して梅酢調味液を調整し、
前記梅酢調味液に魚介を漬ける、
ことを含む。
【0008】
梅酢は、白梅酢が望ましく、また、脱塩していないものが望ましい。
前記梅酢調味液は、梅酢の重量でおおよそ1/5の砂糖を含むことが望ましい。砂糖は白砂糖が望ましい。また、前記梅酢調味液は塩を含むことが望ましい。塩は、岩塩が望ましい。
魚介は、川魚、海魚のうち白身魚または青魚が望ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、梅酢に魚介を漬けることにより、梅酢の利用が促進される。また、梅酢により魚介の肉質が改質され、梅酢の風味により、魚介に特有の臭みが薄れ、梅酢の風味が移ることにより、従来の魚介嫌いの人にも食し易くできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施例に係る白梅酢に漬けられた状態で真空包装された白身魚の切り身を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態に係る梅酢漬魚介とその製造方法を説明する。
(実施の形態1)
本実施の形態に係る製造方法においては梅酢調味液を使用する。梅酢は梅の実を塩漬けするときに梅から出る汁である。梅の実の塩漬けに使用する塩は、オーストラリア産岩塩が好ましい。梅酢は脱塩されていないものが望ましい。また、風味から、白梅酢が好ましいが、赤梅酢も利用可能である。
【0012】
梅酢には、砂糖、岩塩、スパイス等のその他の調味料を加えてもよい。砂糖は、白砂糖が望ましい。岩塩は、特に、オーストラリア産の岩塩が望ましい。砂糖の量は、梅酢の重量5に対し砂糖の重量が1程度が望ましい。なお、5:1は厳格な数値ではなく、3:1~7:1程度に調整可能な比率を意味する。
また、砂糖と岩塩を加えた梅酢を煮沸加熱して冷やしておくことが望ましい。
これにより、漬け込み用の梅酢調味液が作られる。
【0013】
別途、漬ける対象の魚介を用意する。鮮魚でもよく、冷凍保存の状態から取り出したものでもよい。魚としては、川魚、海魚では青魚か白身魚が適切である。ただし、赤身魚、貝類、甲殻類なども利用可能である。
続いて、用意した魚介を適当な大きさに調理(又は身開き)する。この際、臭みを取るために内臓、血合い、エラを洗い、水分を拭き取り、厚み部分に切り込みを入れることが望ましい。
なお、小形の魚については、1尾まるごとであってもよい。
【0014】
次に、魚介を上述の漬け込み用の梅酢調味液に漬け込んだ状態で、冷蔵保存する。この際、魚介に圧力をかけてもよい。この漬け込みにより、梅酢により、魚介の肉質が改質されて食感が改善され、また、梅酢の風味により魚介特有の臭みが薄められ、魚介に梅酢の香りが移る。肉質と風味については、梅酢の濃度、漬ける際の温度、期間、圧力などにより変化するため、嗜好に応じて適当な条件を設定すればよい。
【0015】
その後、冷蔵しておいた漬け込み状態の魚介を取り出し、梅酢調味液で漬けてあった魚介を煮てから食す。
【0016】
本実施の形態によれば、梅酢の成分が魚に作用することにより、魚介の肉質が改質されて食感が改善され、また、梅酢の風味により、魚介特有の臭み薄くなると共に梅酢の移り香が感じられるようになる。これにより、従来の魚介が苦手な人も、美味しく食することできる。
【0017】
(実施の形態2)
上記実施の形態では、梅酢に重量で1/5の砂糖、岩塩を加えて、漬け込み用の梅酢調味液を作成したが、これに限定されない。例えば、梅酢に、砂糖を加えることなく、岩塩等の調味料を加えて漬け込み用の梅酢調味液を作成し、魚介を漬け込んで冷蔵してもよい。
【0018】
この場合、漬け込み用の梅酢調味液に重量で1/5の砂糖、その他の調味料を加えて調整した調味液で、漬け込んでおいた魚介を煮て、食してもよい。
【0019】
(実施の形態3)
魚介を梅酢調味液に漬け込んで冷蔵する際に、調味液と魚介とを気密性のパックに収容し、真空パック状態で冷蔵保存することが望ましい。
この場合、実施形態1又は2で用意した漬け込み用の梅酢調味液と魚介とを気密性パック容器に収容し、真空状態で封止し、真空パックの状態で冷蔵保存する。
その後、食す際に、気密性パック容器を開き、漬け込み用の梅酢調味液と魚介と取り出し、気密性パック容器に収容されていた梅酢調味液で、取り出した魚介を煮ればよい。なお、実施の形態2の漬け込み用梅酢調味液については、魚介を煮る前に、1/5程度の砂糖を添加することが望ましい。
【0020】
(実施の形態4)
実施形態3では、煮る前の魚介を漬け込み用の梅酢調味液と共に真空パック容器に収容したが、梅酢調味液で煮た後の魚介と煮汁とを気密性のパックに収容してもよい。
この場合、煮た魚介と煮汁とを冷ました後、気密性パック容器に収容し、真空状態で封止し、真空パックの状態で冷蔵又は冷蔵保存する。
その後、食す際に、魚介及び煮汁を温め、美味しく食すことができる。
【0021】
以上説明したように、本発明の実施の形態によれば、梅酢の利用範囲が拡大し、魚介の臭み・食感が改善される。これにより、梅酢の活用範囲及び魚介の活用範囲が広がる。
【実施例0022】
図1に示す通り、白梅酢に対し、重量で1/5の白砂糖を加え、煮沸してから冷まして、漬け込み用の白梅酢調味液2を調整した。一方、調味しようとする海魚の白身の切り身1を用意した。次に、気密性の包装袋3に白梅酢調味液2をほゞ満杯状態にし、その中に白魚の切り身1を漬け込み状態とした。続いて、真空状態で、包装袋3のシール部4をシールし、切り身1を白梅酢調味液2に漬けた状態で真空パックし、冷蔵保存した。その後、包装袋3の封をとき、切り身1と白梅酢2を取り出し、白梅酢2で切り身1を煮て、その後、冷ました。この切り身1を美味しく食することが出来た。
【産業上の利用可能性】
【0023】
梅酢を有効利用し、また、魚の利用場面に広げることができる。
【符号の説明】
【0024】
1 白魚(又は白魚の切り身)
2 白梅酢
3 包装袋
4 シール部
図1