IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダイハツ工業株式会社の特許一覧 ▶ 住友電装株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-グロメット 図1
  • 特開-グロメット 図2
  • 特開-グロメット 図3
  • 特開-グロメット 図4
  • 特開-グロメット 図5
  • 特開-グロメット 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068265
(43)【公開日】2024-05-20
(54)【発明の名称】グロメット
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/22 20060101AFI20240513BHJP
   H01B 17/58 20060101ALI20240513BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20240513BHJP
   F16L 5/02 20060101ALI20240513BHJP
【FI】
H02G3/22
H01B17/58 C
B60R16/02 622
F16L5/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178568
(22)【出願日】2022-11-08
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105980
【弁理士】
【氏名又は名称】梁瀬 右司
(74)【代理人】
【識別番号】100121027
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 公一
(72)【発明者】
【氏名】江村 卓士
(72)【発明者】
【氏名】川地 康夫
(72)【発明者】
【氏名】池田 紀夫
【テーマコード(参考)】
5G333
5G363
【Fターム(参考)】
5G333AA09
5G333AA13
5G333AB16
5G333CC04
5G333DA03
5G333EA02
5G363AA01
5G363BA02
5G363CB08
5G363DC02
(57)【要約】
【課題】コストの増加を防止し、高水圧に耐えつつ高水圧を利用してグロメットの止水性を向上し、グロメットの車両の取付対象への組み付け作業を容易に行えるようにする。
【解決手段】本体部4と挿通部5とを備えるグロメット3であって、本体部4は、可撓性の環状壁部6と、第1シール部7と、第2シール部8と、肉薄部9と、嵌込み部10とを備える。第1シール部7は、環状壁部6の外周に周方向に膨出し、第2シール部8の突出方向と反対側に位置して環状壁部6の一部とともに他の部位よりも肉厚な部分を形成する膨出部7bと、膨出部7bの外周に形成され外部からの圧力を受けたときに第2シール部8に対して外向きに変形させる応力、及び、当接面7aを貫通孔Hの下面周縁部に押し付ける応力を生じさせる作用面7cとを備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付対象に形成された貫通孔に嵌合方向である一方向に嵌合して止水する本体部と、前記本体部の径方向内側に位置し内部に配索材が挿通される円筒状の挿通部とを備えるグロメットであって、
前記本体部は、
前記挿通部の中心軸線から周方向に延在し前記挿通部周りに環状に形成された可撓性の環状壁部と、
前記環状壁部の外周に形成され、当接面が前記貫通孔の前記一方向と反対面の周縁部に当接して前記貫通孔を止水する第1シール部と、
前記第1シール部の前記当接面の外周端から前記取付対象側に突出して環状に形成された第2シール部とを備え、
前記第1シール部は、
前記環状壁部の外周に周方向に膨出して形成され、前記第2シール部の突出方向と反対側に位置して前記環状壁部の一部とともに他の部位よりも肉厚な部分を形成する膨出部と、
前記膨出部の外周に形成され、外部からの圧力を受けたときに前記第2シール部に対して外向きに変形させる応力、及び、前記第1シール部の前記当接面を前記貫通孔の周縁部に押し付ける応力を生じさせる作用面とを備えるグロメット。
【請求項2】
請求項1に記載のグロメットにおいて、
前記本体部は、
両端が、前記挿通部の前記一方向側の端部と、前記環状壁部の前記一方向と反対側の端部とに連結された前記環状壁部よりも肉厚が薄い肉薄部と、
前記環状壁部の前記一方向側に、前記膨出部の前記中心軸線方向の厚みと同じかそれ以上の厚みに一体的に形成され前記貫通孔に前記一方向に嵌め込まれる嵌込み部とを更に備え、
前記肉薄部の前記挿通部の前記一方向側の端部との連結部分が、断面逆U字状に折れ曲がるとともに、前記第1シール部の前記当接面よりも前記一方向側に位置しているグロメット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配索材が挿通され、取付対象に形成された貫通孔に嵌合方向である一方向に嵌合するグロメットに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車室内に設けられる種々の電子機器のうち、例えば後部座席のシートベルトの装着検知センサに接続されたワイヤハーネスを、車両床面を貫通させて車室外において配索するものがある。
【0003】
このような車室内の電子機器に接続されたワイヤハーネスを車室外において配索する場合、従来、例えば特許文献1に記載のようなグロメットを車両床板に形成された貫通孔に嵌め込んで組み付け、グロメット内部にワイヤハーネスを挿通することによって車室内から車室外にワイヤハーネスを導出することで、ワイヤハーネスを車室外で配索している。
【0004】
このとき、車両床面の貫通孔にグロメットを組み付けることから、貫通孔とグロメットとの隙間から外部の水が浸入しないように止水対策を施す必要があるとともに、グロメットの貫通孔への組み付け作業を容易に行えるようにする必要がある。そこで、従来、グロメットをEPDMなどの可撓性を有する素材により形成し、グロメットの可撓性を利用して、貫通孔に組み付けた際にグロメットと貫通孔との間に隙間が生じないように密着させることが行われている。更にグロメットの貫通孔への嵌込み部の肉厚を薄くして、貫通孔への嵌め込み力の低減を図って取り付け作業の容易化を図ることが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-141471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、高圧洗浄機により車両全体の洗浄を行う場合に、上記したようにグロメットの嵌込み部の肉厚を薄くすると、肉厚の薄い嵌込み部が高圧洗浄などによる高水圧に耐えられず、高水圧によってグロメットと貫通孔との間に隙間が生じて外部から車室内に水が浸入するおそれがある。
【0007】
このような不都合を解消する対策として、グロメットの嵌込み部に樹脂製のインナーを追加装着し、高水圧によりグロメットの嵌込み部が変形してグロメットと貫通孔との間に隙間が生じても、インナーにより隙間を塞いで外部から車室内への水の浸入を防止できるようにすることが考えられる。しかし、別部品である樹脂インナーを準備する必要があり、部品コストが増加するという新たな問題が生じる。
【0008】
本発明は、コストの増加を防止し、高水圧に耐えつつ高水圧を利用してグロメットの止水性を向上すること、及び、グロメットの組み付け作業を容易に行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した目的を達成するために、本発明のグロメットは、取付対象に形成された貫通孔に嵌合方向である一方向に嵌合して止水する本体部と、前記本体部の径方向内側に位置し内部に配索材が挿通される円筒状の挿通部とを備えるグロメットであって、前記本体部は、前記挿通部の中心軸線から周方向に延在し前記挿通部周りに環状に形成された可撓性の環状壁部と、前記環状壁部の外周に形成され、当接面が前記貫通孔の前記一方向と反対面の周縁部に当接して前記貫通孔を止水する第1シール部と、前記第1シール部の前記当接面の外周端から前記取付対象側に突出して環状に形成された第2シール部とを備え、前記第1シール部は、前記環状壁部の外周に周方向に膨出して形成され、前記第2シール部の突出方向と反対側に位置して前記環状壁部の一部とともに他の部位よりも肉厚な部分を形成する膨出部と、前記膨出部の外周に形成され、外部からの圧力を受けたときに前記第2シール部に対して外向きに変形させる応力、及び、前記第1シール部の前記当接面を前記貫通孔の周縁部に押し付ける応力を生じさせる作用面とを備える。
【0010】
このような構成によれば、高圧洗浄機などによる高水圧を、肉厚部分を形成する第1シール部の膨出部の作用面が受けることにより、第1シール部の当接面の外周端から取付対象側に突出して環状に形成された第2シール部に対して外向きに変形させる応力、及び、第1シール部の当接面を取付対象の貫通孔の周縁部に押し付ける応力が生じる。このため、第1シール部の当接面を貫通孔の周縁部に密着性良く当接させることができると同時に、第2シール部を外向きに変形させて貫通孔の周縁部に密着させることができる。よって、第1シール部及び第2シール部によるいわば2段階の止水が可能になり、外部から内部に水が浸入するのを確実に防止することができる。
【0011】
また、本体部は、両端が、前記挿通部の前記一方向側の端部と、前記環状壁部の前記一方向と反対側の端部とに連結された前記環状壁部よりも肉厚が薄い肉薄部と、前記環状壁部の前記一方向側に、前記膨出部の前記中心軸線方向の厚みと同じかそれ以上の厚みに一体的に形成され前記貫通孔に前記一方向に嵌め込まれる嵌込み部とを更に備え、前記肉薄部の前記挿通部の前記一方向側の端部との連結部分が、断面逆U字状に折れ曲がるとともに、前記第1シール部の前記当接面よりも前記一方向側に位置しているとよい。
【0012】
このような構成によれば、高圧洗浄機などによる高水圧を、第1シール部の作用面が受けると、肉薄部が容易に変形し、この肉薄部の変形によって第2シール部も容易に外向きに変形するため、第2シール部の貫通孔の周縁部への密着による高い止水効果を得ることができる。加えて、環状壁部の嵌合方向である一方向側に形成された嵌込み部の厚みが、膨出部の前記中心軸線方向の厚みと同じかそれ以上の厚みに形成されているため、肉厚の嵌込み部による高い止水効果も得ることができる。
【0013】
さらに、肉薄部の挿通部の一方向側の端部との連結部分が、断面逆U字状に折れ曲がるとともに、第1シール部の当接面よりも一方向側に位置しているため、グロメットを貫通孔に組み付ける際に、環状壁部と同様に可撓性を有する嵌込み部が、嵌め込みの際に中心軸線方向に撓んで嵌め込み易くなり、グロメットの貫通孔への組み付け作業を非常に容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、従来のような樹脂インナーなどの別部品を必要とせず、コストの増加を防止することができ、高水圧に耐えつつ高水圧を利用してグロメットの止水性を向上することができるとともに、グロメットの組み付け作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係るグロメットが適用される車両の外観斜視図である。
図2図1の車両に適用されるグロメットの斜め上から見た斜視図である。
図3図2のグロメットの斜め下上から見た斜視図である。
図4図2のグロメットの切断正面図である。
図5図2のグロメットを車両に組み付けた状態の切断正面図である。
図6図5のグロメットの高圧洗浄時の切断正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係るグロメットについて図1ないし図6を参照して詳細に説明する。
【0017】
図1は本実施形態におけるグロメットが組み付けられる車両1を示し、床面がほぼ平坦な構造のワンボックスタイプの商用車であり、例えば後部座席のシートベルトの装着検知センサに接続されたワイヤハーネスを車室外において配索する場合にグロメットが使用される。なお、図1において、2は高圧洗浄機の洗浄ノズルである。
【0018】
そして、上記したワイヤハーネスを車室外において配索するのに使用されるグロメット3は、図2ないし図6に示すように構成され、車両1の取付対象である床板Bに形成された円形の貫通孔Hに嵌合方向である車室外から車室内に向かう一方向(以下、「上方向」という)に嵌合して止水する本体部4と、本体部4の内側に位置し内部に配索材であるワイヤハーネスWが挿通される円筒状の挿通部5とを備える。ここで、本体部4及び挿通部5はEPDMの成形加工により一体的に形成され、本体部4及び挿通部5はともに可撓性を有する。
【0019】
本体部4は、図2ないし図6に示すように、挿通部5の中心軸線から周方向に延在し挿通部5周りに環状に形成された可撓性の環状壁部6と、環状壁部6の外周に形成され、当接面7aが貫通孔Hの上方向と反対側である下面周縁部に当接して貫通孔Hを止水する第1シール部7と、第1シール部7の当接面7aの外周端から床板B側に環状に突出して形成された第2シール部8とを備える。
【0020】
第1シール部7は、図2ないし図6に示すように、環状壁部6の外周に周方向に膨出して形成され第2シール部8の突出方向である上方向と反対の下側に位置して環状壁部6の一部とともに他の部位よりも肉厚な部分を形成する膨出部7bと、膨出部7bの外周に形成され外部からの圧力を受けたときに第2シール部8に対して外向きに変形させる応力、及び、第1シール部7の当接面7aを貫通孔Hの周縁部に押し付ける応力を生じさせる傾斜した作用面7cとを備える。
【0021】
作用面7cは、縦断面において作用面7cに直交する方向と水平方向とのなす角度が30°~40°に傾斜しているとよく、最も好ましい傾斜角度は、34.5°である。また、膨出部7bが環状壁部6の一部とともに形成する肉厚部分は、図4中に両矢印で示すように、作用面7cに直交する方向における部分を意味し、この肉厚部分を、高圧洗浄機などによる例えば8Nの高水圧に耐え得る厚みに設定しておくのが望ましい。
【0022】
さらに、本体部4は、図2ないし図6に示すように、両端が挿通部5の上方向側の上端部と、環状壁部6の上方向と反対側の下端部とに連結され環状壁部6よりも肉厚が薄い肉薄部9と、環状壁部6車室外から車室内に向かう上方向側に、膨出部7bの中心軸線方向の厚みとほぼ同じの厚みに一体的に形成され貫通孔Hに上方向に嵌め込まれる嵌込み部10とを備える。この嵌込み部10と膨出部7bとの境には、中心軸線に向かう窪み11が形成され、この窪み11に床板Bの貫通孔Hの周縁が嵌まり込んでグロメット3が貫通孔Hに嵌合される。ここで、嵌込み部10の厚みは、膨出部7bの中心軸線方向の厚み以上であってもよい。
【0023】
そして、肉薄部9の挿通部5の上方向側の端部との連結部分12が、断面逆U字状に折れ曲がるとともに、第1シール部7の当接面7aよりも車室外から車室内に向かう上方向側に位置している。なお、図2ないし図6において、Tはグロメット3の組み付け時に、作業者がグロメット3の向きを知るために環状壁部6に設けられた突起である。
【0024】
このような構成のグロメット3を床板Bの貫通孔Hに嵌合して組み付ける場合、グロメット3の挿通部5にワイヤハーネスWを挿通した状態で、図5に示すように、嵌込み部10を車室外から車室内に向かう上向きに貫通孔Hに嵌め込むことによりグロメット3が組み付けられるが、このとき嵌込み部10が可撓性の環状壁部6と一体的に成形されていることから、嵌込み部10も環状壁部6と同様に可撓性を有しており、嵌込み部10を貫通孔Hに押し込んだ際に、グロメットの挿通部5の中心軸線に向かって嵌込み部10が変形し易くなっており、嵌込み部10を貫通孔Hに容易に嵌め込むことができる。
【0025】
そして、嵌込み部10をさらに押し込んでいくと、図5に示すように、嵌込み部10と膨出部7bとの境に位置する窪み11に貫通孔Hの周縁が嵌まり込むことにより、グロメット3が嵌合した状態で貫通孔Hに組み付けられる。このとき、第2シール部8が床板Bの下面周縁部に当接して、第1シール部7の当接面7aは床板Bの下面周縁部には完全に接触せずに浮いた状態に保持されている。
【0026】
さらに、貫通孔Hにグロメット3が嵌合してグロメット3が組み付けられることにより、挿通部5に挿通された配索材であるワイヤハーネスWが車室内から車室外に導出されて、車室外においてワイヤハーネスWが所定の配索状態に配索される。
【0027】
このように、グロメット3が組み付けられた状態で、例えば高圧洗浄機を用いて車両を洗車する場合に、図6に示すように高圧洗浄機のノズル2をグロメット3に近づけて高水圧をグロメット3に噴射されるが、グロメット3が作用面7cに直交する方向に図5中の細い実線矢印で示す高水圧P1(例えば、8N)を受けることにより、図5中の太い実線矢印で示すように作用面7cに直交する方向への応力P2が生じ、この応力P2が第2シール部8に対して図6に示すように外向きに変形させる応力、及び、第1シール部7の当接面7aを図6に示すように床板Bの貫通孔Hの下面周縁部に押し付ける応力として作用するため、第1シール部7の当接面7aを貫通孔Hの下面周縁部に密着性良く当接させることができると同時に、第2シール部8を外向きに変形させて貫通孔Hの下面周縁部に密着させることができ、第1シール部7及び第2シール部8による2段階で止水されることになる。
【0028】
一方、高圧洗浄を停止すると、グロメット3にかかる高水圧P1がなくなるため、高水圧によって生じる応力P2もなくなるため、応力によって変形していた第2シール部8は図5に示すように変形前の状態に戻り、第1シール部の当接面7aへの押し付け力もなくなって、図5に示すように当接面7aが床板Bの貫通孔Hの下面周縁部から離間して浮いた状態となる。
【0029】
したがって、上記した実施形態によれば、第1シール部7が、環状壁部6の外周に周方向に膨出して形成され、第2シール部8の突出方向と反対側に位置して環状壁部6の一部とともに他の部位よりも肉厚な部分を形成する膨出部7bと、膨出部7bの外周に形成され外部からの圧力を受けたときに第2シール部8に対して外向きに変形させる応力、及び、第1シール部7の当接面7aを貫通孔Hの下面周縁部に押し付ける応力を生じさせる傾斜した作用面7cとを備えるため、作用面7cが高圧洗浄機による高水圧を受けたときに、第1シール部7の当接面7aを床板Bの貫通孔Hの下面周縁部に密着性良く当接させることができると同時に、第2シール部8を外向きに変形させて貫通孔Hの下面周縁部に密着させることができ、第1シール部7及び第2シール部8による2段階での止水が可能になり、外部から車室内に水が浸入することを確実に防止することができ、しかも従来のような樹脂インナーを必要としないことからコストの増加を抑制することができる。
【0030】
また、第1シール部7の作用面7cが高水圧を受けると、肉薄部9が容易に変形し、これによって第2シール部8も容易に外向きに変形するため、第2シール部8の床板Bの貫通孔Hの下面周縁部への密着による高い止水効果を得ることができる。
【0031】
さらに、環状壁部6の嵌合方向である上方向側に形成された嵌込み部10の厚みが、膨出部7bの中心軸線方向の厚みとほぼ同じ(またはそれ以上)の厚みに形成されているため、肉厚の嵌込み部10による高い止水効果も期待できる。
【0032】
また、肉薄部9の挿通部5の上方向側の端部との連結部分12が、断面逆U字状に折れ曲がるとともに、第1シール部7の当接面7aよりも上方向側に位置しているため、グロメット3を貫通孔Hに組み付ける際に、環状壁部6と同様に可撓性を有する嵌込み部10が、嵌め込みの際に中心軸線方向に撓んで嵌め込み易くなり、グロメットの貫通孔への組み付け作業を極めて容易に行うことができる。
【0033】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行なうことが可能である。
【0034】
例えば上記した実施形態では、床面がほぼ平坦な構造のワンボックスタイプの商用車に本発明を適用した場合について説明したが、本発明を適用可能な車両はこのような商用車に限るものではない。
【0035】
また、上記した実施形態では、車両の床板Bに形成された貫通孔Hにグロメット3を組み付ける例を示したが、床板B以外の取付対象に取り付けるグロメットであっても、本発明の止水構造を適用して同等の効果を得ることができるのはいうまでもない。
【0036】
本発明は、配索材が挿通され、車両に限られず種々の取付対象に形成された貫通孔に嵌合方向である一方向に嵌合するグロメットに広く適用可能である。
【符号の説明】
【0037】
1 …車両
3 …グロメット
4 …本体部
5 …挿通部
6 …環状壁部
7 …第1シール部
7a …当接面
7b …膨出部
7c …作用面
8 …第2シール部
9 …肉薄部
10 …嵌込み部
12 …連結部分
B …床板(取付対象)
H …貫通孔
W …ワイヤハーネス(配索材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6