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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068266
(43)【公開日】2024-05-20
(54)【発明の名称】電子機器の冷却装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20240513BHJP
   H01L 23/467 20060101ALI20240513BHJP
   G06F 1/20 20060101ALI20240513BHJP
【FI】
H05K7/20 G
H05K7/20 H
H01L23/46 C
G06F1/20 B
G06F1/20 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178570
(22)【出願日】2022-11-08
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】眞田 強
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322AB01
5E322AB04
5E322BA01
5E322BA03
5E322BA04
5E322BB03
5F136CA03
5F136CA11
(57)【要約】
【課題】ヒートシンクの風下に障害物がある場合でも、良好な放熱性能が得られる、電子機器の冷却装置を提供する。
【解決手段】ファンダクト(冷却装置)は、ファンによって空気を導入する吸気口と、吸気口から導入した空気を複数のフィンの間に通過させて、電子機器が発生した熱を放散させるヒートシンクと、空気の流れの下流側に、フィンの長手方向に直交して設置されて、フィンの間を通過した空気の流れを2方向に分岐させる、一方の分岐角が排気方向と45°以下の角度をなす分岐壁と、分岐角が45°を超える側にフィンに向けて、フィンと平行に設置される、先端側に頂部を有する板状部材であり、根元側が分岐壁と接続して、フィンの間を通過する空気の流れを、先端側において2方向に分岐させる複数のリブと、リブと分岐壁とによって分岐した空気を排気する排気口と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファンを備えて、空気を導入する吸気口と、
前記吸気口から導入した空気を複数のフィンの間に通過させることによって、電子機器から発生した熱を放散させるヒートシンクと、
前記ヒートシンクの複数のフィンに亘って、前記空気の流れの下流側に、前記フィンの長手方向に直交して設置されて、前記フィンの間を通過した空気の流れを2方向に分岐させる、一方の分岐角が、前記フィンの間を通過した空気の排気方向と45°以下の角度をなす分岐壁と、
前記分岐壁の分岐角が45°を超える側に前記フィンに向けて、当該フィンと平行に設置される、先端側に頂部を有する板状部材であり、根元側が前記分岐壁と接続して、前記フィンの間を通過する空気の流れを、前記先端側において2方向に分岐させる複数のリブと、
前記リブと前記分岐壁とによって分岐した空気を排気する排気口と、を備える
電子機器の冷却装置。
【請求項2】
前記リブの上縁部および下縁部は、いずれも、前記頂部から前記根元側に亘って、前記ヒートシンクのフィンの間を通過する空気の流れの方向と30°以下の角度をなすように形成される、
請求項1に記載の電子機器の冷却装置。
【請求項3】
前記リブを側面視した際に、前記リブの根元側と前記分岐壁との接続点における、前記リブの接線と前記分岐壁の接線とは一致する、
請求項2に記載の電子機器の冷却装置。
【請求項4】
前記リブの上縁部と下縁部との間隔は、当該リブの根元側ほど広く、前記上縁部および前記下縁部は、前記リブを側面視した際に、いずれも直線、曲線またはその組み合わせで形成される、
請求項3に記載の電子機器の冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電子機器の冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、PC(Personal Computer、パーソナルコンピュータ)などの電子機器は、CPU(Central Processing Unit)等の高温になる部品を含んでいる。そのような部品には、一般に、放熱のためにヒートシンクが取り付けられる。そして、ヒートシンクには、上流側に設置されたファンが吸い込んだ空気が流れて、ヒートシンクの下流側に排気されることによって、放熱が行われる。(例えば特許文献1)
【0003】
昨今、電子機器の小型化の要請により、電子機器の筐体の内部には、ヒートシンクの下流側に、CPUの入出力機器やコネクタ等の部品が配置される場合がある。このような部品は、ヒートシンクを通り抜けた空気の円滑な流れを妨げるため、放熱性能が低下してしまい、好ましくなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、ヒートシンクの風下に障害物がある場合でも、良好な放熱性能が得られる、電子機器の冷却装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の電子機器の冷却装置は、吸気口と、ヒートシンクと、分岐壁と、複数のリブと、排気口と、を備える。吸気口は、ファンを備えて、空気を導入する。ヒートシンクは、吸気口から導入した空気を複数のフィンの間に通過させることによって、電子機器から発生した熱を放散させる。分岐壁は、ヒートシンクの複数のフィンに亘って、空気の流れの下流側に、フィンの長手方向に直交して設置されて、フィンの間を通過した空気の流れを2方向に分岐させる、一方の分岐角が、フィンの間を通過した空気の排気方向と45°以下の角度をなす。複数のリブは、分岐壁の分岐角が45°を超える側にフィンに向けて、フィンと平行に設置される、先端側に頂部を有する板状部材であり、根元側が分岐壁と接続して、フィンの間を通過する空気の流れを、先端側において2方向に分岐させる。排気口は、リブと分岐壁とによって分岐した空気を排気する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、実施形態のファンダクトの一例を示す斜視図である。
図2図2は、ファンダクトが取り付けられる電子機器の概略構造の一例を示す斜視図である。
図3図3は、電子機器に設けられた通風孔の一例を示す斜視図である。
図4図4は、ファンダクトの形状の一例を示す平面図である。
図5図5は、ファンダクトの形状の一例を示す縦断側面図である。
図6図6は、ファンダクトと排気口付近の部品との位置関係を説明する縦断側面図である。
図7図7は、リブの形状の一例を示す第1の図である。
図8図8は、リブの形状の一例を示す第2の図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示の冷却装置を、ファンダクト1に適用した実施形態について、図面を参照して説明する。
【0008】
(ファンダクトの概略構造)
図1を用いて、本開示の冷却装置の一例であるファンダクト1の概略構造を説明する。図1は、実施形態のファンダクトの一例を示す斜視図である。なお、説明の便宜のため、図1における三次元座標系XYZを設定する。三次元座標系XYZは、ファンダクト1の幅方向(左右方向)をX軸方向、奥行方向(前後方向)をY軸方向、高さ方向(上下方向)をZ軸方向とする。
【0009】
図1に示すように、ファンダクト1は、略箱型の形状を有し、ヒートシンク2と当該ヒートシンク2に送風する吸い込みファン3とを覆うカバー部材である。ファンダクト1は、吸い込みファン3が吸気口11から吸い込んだ空気を、通風管(ダクト)の内部に設置したヒートシンク2のフィン22の間に通過させて、排気口12から排出させる、いわゆる吸気ダクトと排気ダクトとを兼ね備えた部材である。
【0010】
吸い込みファン3は、ファンダクト1の外部の空気を吸い込んで、吸い込んだ空気を、ファンダクト1の内部に導入して、Y軸の負方向に送風する。吸い込みファン3は、本開示におけるファンの一例である。ファンダクト1の、吸い込みファン3の送風方向上流側となる位置には吸気口11が設けられ、下流側となる位置には排気口12が設けられる。
【0011】
以降、単に上流側と記載したものは、吸い込みファン3の送風方向の上流側(或いは風上)を示す。同様に、単に下流側と記載したものは、吸い込みファン3の送風方向の下流側(或いは風下)を示す。
【0012】
ヒートシンク2は、発熱する電子部品、例えばCPU(Central Processing Unit)に取り付けられる。CPUが発する熱は、ヒートシンク2を伝導する。そして、ヒートシンク2を伝わった熱は、周囲の空気に放散される。これにより、CPUの過熱による誤作動等が防止される。
【0013】
ヒートシンク2は、台座部21と複数枚のフィン22とで構成される。フィン22は、台座部21の上に立設される。複数枚のフィン22は、互いに所定の間隔をあけて隣り合う。台座部21はCPUに接し、CPUの熱が伝導される。フィン22は、台座部21から伝導した熱を、空中に放散する。
【0014】
なお、ヒートシンク2は、所定間隔で層をなすフレーム41,42,43の上に、弦巻バネ44およびねじ45で固定される。フレーム41とフレーム42との間には、マザーボード101(図2参照)が挟まれる。
【0015】
吸い込みファン3は、例えば電動モータによって回転駆動される羽根で空気を連続的に一方向に送ることにより送風する。本実施形態においては、吸い込みファン3の送風方向上流側から下流側へ向かって、吸気口11、吸い込みファン3、ヒートシンク2、排気口12の順に配置される。
【0016】
上述したファンダクト1の効果を十分に発揮させるために、排気口12の風下側には、排気を妨げる部品(障害物)が存在しないことが望ましい。しかしながら、ファンダクト1を備える電子機器100(図2参照)の大きさや内蔵物の配置等によっては、排気口12の下流側に障害物が配置されることがある。
【0017】
このような、風下側の障害物を避けて排気を行うために、ファンダクト1は、図1に示す分岐壁13と複数のリブ14とを備える。分岐壁13は、ヒートシンク2のフィン22の間を通過した空気の流れを2方向に分岐する。リブ14は、分岐壁13の壁面に、ヒートシンク2のフィン22と平行に設置されて、ヒートシンク2のフィン22の間を通過した空気の流れを2方向に分岐する。なお、分岐壁13とリブ14について、詳しくは後述する(図4図5参照)。
【0018】
(電子機器の概略構造)
図2図3を用いて、ファンダクトが取り付けられる電子機器について説明する。図2は、ファンダクトが取り付けられる電子機器の概略構造の一例を示す斜視図である。図3は、電子機器に設けられた通風孔の一例を示す斜視図である。
【0019】
図2に示すように、電子機器100は、筐体110の内部に、マザーボード101、CPU102、メモリ103、SSD(Solid State Drive)104、ライザーカード105、I/Oボード106を備える。
【0020】
マザーボード101は、ヒートシンク2により放熱される電子部品(本実施形態ではCPU102)が実装された基板の一例である。また、メモリ103、SSD104も、動作に応じて発熱する。これらの熱も、吸い込みファン3の送風により作られる筐体110内の空気の流れで放散される。
【0021】
I/Oボード106は、ライザーカード105が備える差込口(スロット)介して、マザーボード101に接続される。I/Oボード106は、ライザーカード105が備える差込口に接続されることによって、マザーボード101と平行に配置されるため、筐体110の高さ寸法を抑えることが可能となる。
【0022】
しかしながら、上述のような配置により、I/Oボード106が、排気口12よりも下流側に位置する場合、I/Oボード106が排気を妨げる障害物になってしまう。本実施形態は、ファンダクト1からの排気がI/Oボード106を避けるように構成される。
【0023】
図3に示すように、ファンダクト1は、電子機器100の筐体110の内部に収容される。筐体110には、ファンダクト1の内部に導入される空気を取り込む通風孔161,162,163と、ファンダクト1を通過した空気を排気する通風孔164,165,166,167が設けられる。
【0024】
通風孔161,162,163は、筐体110の正面を構成する前カバー111に設けられる。通風孔164,165は、筐体110の背面を構成する後カバー112に設けられる。通風孔166,167は、筐体110の背面の一部を構成するI/Oパネル113に設けられる。なお、I/Oパネル113は、電子機器100に対する各種周辺機器の接続端子を備える。
【0025】
本実施形態の電子機器100にあっては、CPU102の後方にI/Oボード106が配置される。このため、ファンダクト1の排気口12は、排気がI/Oボード106を避けるように、上方に向かって開口する上側排気口121と、下方に向かって開口する下側排気口122とに分離される(図1参照)。具体的には、排気口12は、図1に示す分岐壁13およびリブ14によって、上側排気口121と下側排気口122とに分離される。リブ14は、分岐壁13からヒートシンク2側に向かって立設する。また、リブ14は、複数枚がX軸に沿って(左右方向に並んで)、一定の間隔で設けられる。詳しくは後述する(図4図5参照)。
【0026】
(分岐壁およびリブの構造)
図4図5を用いて、分岐壁13とリブ14の構造を説明する。図4は、ファンダクトの形状の一例を示す平面図である。図5は、ファンダクトの形状の一例を示す縦断側面図である。
【0027】
分岐壁13は、排気口12の縁の内側に配置されて、図5に示すように、側面視において断面が略V字型の形状を有し、屈曲部分はヒートシンク2に向けて突出している。分岐壁13によって、ヒートシンク2のフィン22の間を通過した空気の流れが二分される。
【0028】
分岐壁13は、ヒートシンク2の複数のフィン22に亘って、空気の流れの下流側に、フィン22の長手方向に直交して設置される。分岐壁13は、上壁部131と下壁部132とを有する。上壁部131と下壁部132は、吸い込みファン3の送風方向上流側において、X軸に沿う辺で接続する。また、上壁部131と下壁部132は、吸い込みファン3の送風方向下流側ほど、互いの距離が大きくなるように、吸い込みファン3の送風方向に対して傾斜している。上壁部131は、ヒートシンク2のフィン22の間を通過した空気の流れの方向を、斜め上向きに導く。下壁部132は、ヒートシンク2のフィン22の間を通過した空気の流れの方向を、斜め下向きに導く。このように、分岐壁13は、自身の下流側の一部範囲(I/Oボード106が設置されている範囲(図6参照))を避けるよう排気を導き、排気を分岐させる。
【0029】
分岐壁13は、排気口12を上側排気口121と下側排気口122とに二分する。上側排気口121は、上壁部131に沿って流れる排気を、通風孔164(図3参照)から筐体110の外部に排出する。下側排気口122は、下壁部132に沿って流れる排気を、通風孔165,166,167(図3参照)から筐体110の外部に排出する。分岐壁13は、図5に示すように、側面視において断面が略V字型の形状を有し、屈曲部分はヒートシンク2に向けて突出している。分岐壁13によって、ヒートシンク2のフィン22の間を通過した空気の流れが二分される。
【0030】
分岐壁13が有する上壁部131とヒートシンク2のフィン22を通過した空気の排気方向(Y軸の負方向)とがなす偏角θaは、45°以下に形成される。また、分岐壁13が有する下壁部132とヒートシンク2のフィン22を通過した空気の排気方向(Y軸の負方向)とがなす偏角θbは、45°を超えるように形成される。
【0031】
分岐壁13が有する下壁部132には、ヒートシンク2のフィン22に向けて、フィン22と平行な複数のリブ14が設けられる。リブ14は、例えば樹脂材料で成形されて、先端側に尖った頂部141を有する板状部材である。また、リブ14の根元側は、リブ上側後端Paとリブ下側後端Pbとで下壁部132と接続する。図4において、リブ14はフィン22の間に挿入されるが、リブ14はフィン22の間に挿入されなくてもよい。また、リブ14がフィン22の間に挿入された場合、フィン22の間に挿入された領域は、フィン22に接触してもよいし、フィン22に接触しなくてもよい。
【0032】
なお、図5において、上壁部131と下壁部132とは、上下逆に形成されてもよい。この場合、上壁部131の偏角θaが45°を超えて、下壁部132の偏角θbが45°以下になる。そして、リブ14は、上壁部131に設置される。
【0033】
リブ14の根元側は、図5に示すように、分岐壁13と滑らかに接続する。リブ14は、フィン22の間を通過する空気の流れを、先端側の頂部141において、図5に示す上縁部142に沿う流れと、下縁部143に沿う流れとに分岐させる。図5において、リブ14の頂部141から根元に至る上縁部142と下縁部143とは、いずれも直線で形成される。即ち、リブ14の板厚方向の領域(X軸に沿う領域)は、平面で形成される。なお、リブ14の上縁部142と下縁部143とは、曲線で形成されてもよい(図8参照)。即ち、リブ14の板厚方向の領域(X軸に沿う領域)は、曲面で形成されてもよい。また、上縁部142と下縁部143とのいずれか一方が直線で形成されて、他方が曲線で形成されてもよい。更に、上縁部142および下縁部143は、一部が直線で形成されて、残りの部分が曲線で形成されてもよい。即ち、リブ14の板厚方向の領域(X軸に沿う領域)は、平面と曲面との組み合わせで形成されてもよい。
【0034】
リブ14の上縁部142とヒートシンク2のフィン22の間を通過した空気の排気方向(Y軸の負方向)とがなす偏角θcは、30°以下の角度をなすように形成される。また、リブ14の下縁部143とヒートシンク2のフィン22の間を通過した空気の排気方向(Y軸の負方向)とがなす偏角θdは、30°以下の角度をなすように形成される。
【0035】
なお、偏角θc,θdが小さすぎると、リブ14の頂部141が鋭くなりすぎるため、リブ14の金型を成形する際に、原料の充填不良が起こりやすくなってしまい、好ましくない。更に、偏角θc,θdが小さすぎると、根元側において、上縁部142と下縁部143との間隔を十分にとるために、リブ14の長さが必要以上に長くなってしまい、排気口12に収まらなくなってしまう。したがって、偏角θc,θdは、30°を超えない範囲で、できるだけ30°に近い状態とするのが望ましい。
【0036】
なお、リブ14は、例えば樹脂材料を金型に流し込んで成形されるが、リブ14の厚さは、3mm以下であれば、成形時にヒケが起こりにくく、金型で肉盗みを施す必要がない。また、リブ14の上下には壁が無いので、通常のキャビコアで成形可能である。
【0037】
(ファンダクトの排気口と実装部品との位置関係)
図6を用いて、本実施形態のファンダクト1と排気口付近に実装される部品との位置関係について説明する。図6は、ファンダクトと排気口付近の部品との位置関係を説明する縦断側面図である。
【0038】
図6に示すように、排気口付近に実装されるI/Oボード106は、上側排気口121からの排気と、下側排気口122からの排気とに晒されない位置に設置される。したがって、ファンダクト1は、電子機器100(図2参照)におけるCPU102の冷却性能を妨げることなく、ファンダクト1の下流側への部品配置を可能とする。
【0039】
このような構成において、電子機器100に通電されると、CPU102やメモリ103、SSD104等は発熱して温度が上昇する。吸い込みファン3が稼働して送風を行うことにより、ファンダクト1の内部に空気が流れるため、ヒートシンク2が設置されたCPU102が冷却される。また、このとき、上側排気口121と下側排気口122からの排気のうち、筐体110(図2参照)の外部に排出されない空気は、筐体110の内部を、例えば吸気口11の側に移動する。したがって、ファンダクト1の外部でも空気の流れが発生するため、この空気の流れによって、ヒートシンク2が設置されていないメモリ103、SSD104等も冷却される。
【0040】
(リブの辺縁形状)
図7図8を用いて、リブ14の上縁部142と下縁部143の具体的な形状について説明する。図7は、リブの形状の一例を示す第1の図である。図8は、リブの形状の一例を示す第2の図である。
【0041】
図7に示すリブ14aにおいて、上縁部142と下縁部143とは、ともに直線形状をなす。そして、上縁部142は、上壁部131とリブ上側後端Paにおいて接続する。また、下縁部143は、下壁部132とリブ下側後端Pbにおいて接続する。
【0042】
このとき、リブ上側後端Paにおける上縁部142の接線と、リブ上側後端Paにおける上壁部131の接線とは一致する。即ち、上縁部142と上壁部131とはリブ上側後端Paにおいて滑らかに接続する。また、リブ下側後端Pbにおける下縁部143の接線と、リブ下側後端Pbにおける下壁部132の接線とは一致する。即ち、下縁部143と下壁部132とはリブ下側後端Pbにおいて滑らかに接続する。
【0043】
また、図8に示すリブ14bにおいて、上縁部142と下縁部143とは、ともに曲線形状をなす。曲線は例えば円弧のような2次曲線であってもよいし、高次曲線であってもよい。そして、上縁部142は、上壁部131とリブ上側後端Paにおいて接続する。また、下縁部143は、下壁部132とリブ下側後端Pbにおいて接続する。
【0044】
このとき、リブ上側後端Paにおける上縁部142の接線と、リブ上側後端Paにおける上壁部131の接線とは一致する。即ち、上縁部142と上壁部131とはリブ上側後端Paにおいて滑らかに接続する。また、リブ下側後端Pbにおける下縁部143の接線と、リブ下側後端Pbにおける下壁部132の接線とは一致する。即ち、下縁部143と下壁部132とはリブ下側後端Pbにおいて滑らかに接続する。
【0045】
なお、リブ14bの上縁部142と下縁部143を構成する曲線の具体的な形状は問わないが、リブ14bの上縁部142の偏角θcは、頂部141からリブ上側後端Paにかけて徐々に大きくなり、頂部141からリブ上側後端Paに亘って、30°以下になるように形成される。また、リブ14bの下縁部143の偏角θdは、頂部141からリブ下側後端Pbにかけて徐々に大きくなり、頂部141からリブ下側後端Pbに亘って、30°以下になるように形成される。なお、リブ14bの上縁部142と下縁部143とは、曲線と直線との組み合わせによって形成されてもよい。
【0046】
(実施形態の作用効果)
以上説明したように、本実施形態のファンダクト1(冷却装置)は、吸い込みファン3(ファン)を備えて、空気を導入する吸気口11と、吸気口11から導入した空気を複数のフィン22の間に通過させることによって、電子機器100から発生した熱を放散させるヒートシンク2と、ヒートシンク2の複数のフィン22に亘って、空気の流れの下流側に、フィン22の長手方向に直交して設置されて、フィン22の間を通過した空気の流れを2方向に分岐させる、一方の分岐角が、フィン22の間を通過した空気の排気方向と45°以下の角度をなす分岐壁13と、分岐壁13の分岐角が45°を超える側にフィン22に向けて、フィン22と平行に設置される、先端側に頂部141を有する板状部材であり、根元側が分岐壁13と接続して、フィン22の間を通過する空気の流れを、先端側において2方向に分岐させる複数のリブ14と、リブ14と分岐壁13とによって分岐した空気を排気する排気口12と、を備える。したがって、ヒートシンク2の風下に障害物がある場合でも、良好な冷却性能を得ることができる。また、リブ14をヒートシンク2のフィン22の間に挿入させることによって、限られたスペースの中でヒートシンク2のサイズをできるだけ大きくすることができるため、電子機器100の小型化と冷却性能の向上とを両立させることができる。
【0047】
また、本実施形態のファンダクト1(冷却装置)において、リブ14の頂部141と当該リブ14の根元側とを結ぶ上縁部142および下縁部143は、いずれも、頂部141から根元側に亘って、ヒートシンク2のフィン22の間を通過する空気の流れの方向と30°以下の角度をなすように形成される。したがって、ヒートシンク2のフィン22の間を流れた空気の流れを乱すことなく、リブ14の頂部141で分岐させて下流側へ流すことができる。
【0048】
また、本実施形態のファンダクト1(冷却装置)において、リブ14を側面視した際に、リブ14の根元側と分岐壁13との接続点(リブ上側後端Paおよびリブ下側後端Pb)における、リブ14の接線と分岐壁13の接線とは一致する。したがって、リブ14の頂部141で分岐させた空気を、上縁部142から上壁部131へ滑らかに流すことができる。また、リブ14の頂部141で分岐させた空気を、下縁部143から下壁部132へ滑らかに流すことができる。これによって、スムーズな排気を行うことができる。
【0049】
また、本実施形態のファンダクト1(冷却装置)において、リブ14の上縁部142と下縁部143との間隔は、リブ14の根元側ほど広く、上縁部142および下縁部143は、リブ14を側面視した際に、いずれも直線、曲線またはその組み合わせで形成される。したがって、リブ14の頂部141で分岐させた空気を、下流側に向けて滑らかに流すことができる。
【0050】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例示であり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0051】
1 ファンダクト(冷却装置)
2 ヒートシンク
3 吸い込みファン(ファン)
11 吸気口
12 排気口
13 分岐壁
14 リブ
22 フィン
100 電子機器
106 I/Oボード
110 筐体
121 上側排気口
122 下側排気口
131 上壁部
132 下壁部
141 頂部
142 上縁部
143 下縁部
161,162,163,164,165,166 通風孔
Pa リブ上側後端
Pb リブ下側後端
θa,θb,θc,θd 偏角
【先行技術文献】
【特許文献】
【0052】
【特許文献1】特開2003-283171号公報
図1
図2
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図4
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図6
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図8