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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068275
(43)【公開日】2024-05-20
(54)【発明の名称】疑似餌
(51)【国際特許分類】
   A01K 85/18 20060101AFI20240513BHJP
【FI】
A01K85/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178590
(22)【出願日】2022-11-08
(71)【出願人】
【識別番号】516136206
【氏名又は名称】INFINITE SEEDS MAKERS 株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】杉山 貞圭
(72)【発明者】
【氏名】山木 一人
【テーマコード(参考)】
2B307
【Fターム(参考)】
2B307BA42
2B307BA46
2B307BA70
(57)【要約】
【課題】疑似餌の動きの自由度を高め、特に尾部側の揺れが大きくなり、尾部側が頭部側から立ち上がり自発的に揺れるようになる疑似餌を提供する。
【解決手段】釣り糸が接続されるラインアイを備えるルアー頭部と、釣り針が接続される釣り針アイを備えるルアー尾部と、ルアー頭部とルアー尾部との間にルアー胴部が介在され、ルアー頭部と、ルアー胴部と、ルアー尾部とが複数の揺動軸部により連結され、さらに、ルアー頭部とルアー胴部との間の揺動軸部として第1揺動軸部が備えられ、ルアー胴部とルアー尾部との間の揺動軸部として第2揺動軸部が備えられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
釣り糸が接続されるラインアイを備えるルアー頭部と、
釣り針が接続される釣り針アイを備えるルアー尾部と、
前記ルアー頭部と前記ルアー尾部との間にルアー胴部が介在され、
前記ルアー頭部と、前記ルアー胴部と、前記ルアー尾部とが複数の揺動軸部により連結される
ことを特徴とする疑似餌。
【請求項2】
前記ルアー頭部と前記ルアー胴部の間の前記揺動軸部として第1揺動軸部が備えられ、
前記ルアー胴部と前記ルアー尾部の間の前記揺動軸部として第2揺動軸部が備えられる請求項1に記載の疑似餌。
【請求項3】
前記第1揺動軸部と前記第2揺動軸部の軸動の軸の向きが異なる請求項2に記載の疑似餌。
【請求項4】
前記第1揺動軸部と前記第2揺動軸部の軸動の軸の向きが直交している請求項2に記載の疑似餌。
【請求項5】
前記ルアー頭部に頭部円弧面部が形成され、前記ルアー胴部に前記頭部円弧面部と対向する第1凹面部が形成され、かつ、
前記ルアー尾部に尾部円弧面部が形成され、前記ルアー胴部に前記尾部円弧面部と対向する第2凹面部が形成される請求項2ないし4のいずれか1項に記載の疑似餌。
【請求項6】
前記揺動軸部の揺動角度は少なくとも0度から90度の範囲である請求項1ないし5のいずれか1項に記載の疑似餌。
【請求項7】
前記ルアー頭部に錘が備えられている請求項1ないし6のいずれか1項に記載の疑似餌。
【請求項8】
前記釣り針アイは前記ルアー尾部に複数備えられる請求項1ないし7のいずれか1項に記載の疑似餌。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は疑似餌(ルアー)に関し、特に可動箇所を多用した疑似餌に関する。
【背景技術】
【0002】
疑似餌(ルアー)を用いたフィッシングでは、主に疑似餌の大きさ程度の小魚を補食する大型の魚が釣りの対象となる。通常、釣り糸に疑似餌が装着されフィッシングの対象となる大型の魚の生育する場所へ疑似餌は投下される。着水して沈降後、対象となる大型の魚に適した水深において疑似餌は釣り糸を通じて揺らされる。そこで、疑似餌はあたかも実際の小魚が泳いでいるように見せかける。この疑似餌に近づいて捕食使用とする大型の魚が疑似餌に付属する釣り針に引っ掛かる。
【0003】
従前の疑似餌は小魚を模した樹脂製の棒状の形状であり、投下、着水後の河川、湖水内での釣り糸を通じての疑似餌の動きは単調である。このため、十分に小魚の動きを模しているとは言いがたかった。
【0004】
疑似餌を用いた釣りには、水中での疑似餌の操作等に釣り者の技量が求められる。これが疑似餌を用いた釣りの醍醐味となり得る。そのため、釣り者の海洋、河川、湖水内の水の動きの把握と、その把握に応じた釣り竿、釣り糸の操作をよりよく反映させるために疑似餌の可動性に改良が重ねられてきた(例えば、特許文献1、2、3等参照)。しかしながら、前出の特許文献等に開示されている疑似餌では、疑似餌における可動が依然として単調であり、捕食対象の小魚の動きの再現には不十分であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-19641号公報
【特許文献2】特開2019-97526号公報
【特許文献3】特開2020-18202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は前記の点に鑑みなされたものであり、疑似餌の動きの自由度を高め、特に尾部側の揺れが大きくなり、尾部側が頭部側から立ち上がり自発的に揺れるようになる疑似餌を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、実施形態の疑似餌は、釣り糸が接続されるラインアイを備えるルアー頭部と、釣り針が接続される釣り針アイを備えるルアー尾部と、ルアー頭部とルアー尾部との間にルアー胴部が介在され、ルアー頭部と、ルアー胴部と、ルアー尾部とが複数の揺動軸部により連結されることを特徴とする。
【0008】
さらに、ルアー頭部とルアー胴部の間の揺動軸部として第1揺動軸部が備えられ、ルアー胴部とルアー尾部の間の揺動軸部として第2揺動軸部が備えられることとしても良い。
【0009】
さらに、第1揺動軸部と第2揺動軸部の軸動の軸の向きが異なることとしても良く、また、第1揺動軸部と第2揺動軸部の軸動の軸の向きが直交していることとしても良い。
【0010】
さらに、ルアー頭部に頭部円弧面部が形成され、ルアー胴部に頭部円弧面部と対向する第1凹面部が形成され、かつ、ルアー尾部に尾部円弧面部が形成され、ルアー胴部に尾部円弧面部と対向する第2凹面部が形成されることとしても良い。
【0011】
さらに、揺動軸部の揺動角度は少なくとも0度から90度の範囲であることとしても良い。
【0012】
さらに、ルアー頭部に錘が備えられていることとしても良い。
【0013】
さらに、釣り針アイはルアー尾部に複数備えられることとしても良い。
【発明の効果】
【0014】
本発明の疑似餌によると、釣り糸が接続されるラインアイを備えるルアー頭部と、釣り針が接続される釣り針アイを備えるルアー尾部と、ルアー頭部とルアー尾部との間にルアー胴部が介在され、ルアー頭部と、ルアー胴部と、ルアー尾部とが複数の揺動軸部により連結されるため、疑似餌の動きの自由度が高められ、特にルアー尾部側の揺れが大きくなり、尾部側が頭部側から立ち上がり自発的に揺れるようになる疑似餌を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態の疑似餌の全体側面図である。
図2】実施形態の疑似餌の全体平面図である。
図3】(A)部分拡大平面図、(B)部分拡大側面図である。
図4】(A)ルアー胴部の側面図、(B)ルアー胴部の平面図である。
図5】(A)第1揺動軸部によりルアー尾部側が上がった側面図、(B)第1揺動軸部によりルアー尾部側が下がった側面図である。
図6】(A)第2揺動軸部によりルアー尾部側が右に振れた平面図、(B)第2揺動軸部によりルアー尾部側が左に振れた平面図である。
図7】第1揺動軸部と第2揺動軸部の動きを組み合わせた状態の斜視図である。
図8】尾ヒレ部を備えたルアー尾部の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施形態の疑似餌1(ルアーとも称される)は、全体に稚鮎(アユ)、公魚(ワカサギ)等の小魚を模した形状であり、疑似餌1は釣り糸に結びつけられ、釣りの対象となる魚(タイ、バス等)の生息する水域の近くの水面に投下される。そして、疑似餌1は釣りの対象となる魚の捕食対象の小魚を模して動き、釣りの対象となる魚が疑似餌1に接続された釣り針45に食いつく。
【0017】
そこで、疑似餌1には捕食対象の小魚の動きに似せるべく軸動の関節部分が多用される。軸動の関節は、ユニバーサルジョイント(自在継手)等と称される。図1の側面図、図2の平面図から理解されるように、疑似餌1は、紙面左側から右側にかけてルアー頭部10、ルアー胴部20、ルアー尾部30の3箇所の部位から構成される。そして、ルアー胴部20を介してルアー頭部10とルアー尾部30は複数の揺動軸部50により連結される。実施形態の疑似餌1では2箇所の揺動軸部50により軸動可能としている。実施形態の疑似餌1は、小魚の形態を模してルアー頭部10、ルアー胴部20、ルアー尾部30の3箇所の部位から成る構成としている。なお、これらの各部の形態は必ずしも小魚に似せる必要はなく、複数の揺動軸部50により軸動可能である限り自由である。
【0018】
ルアー頭部10はジグヘッド等と称され、環状の金具からなるラインアイ41が備えられ、同ラインアイ41に釣り糸44が接続される。ラインアイ41は小魚を模した疑似餌1の目に相当する位置に備えられる。また、ルアー頭部10の内部には錘19が備えられ、疑似餌1においてルアー頭部10側に重さの重心が調整される。後述するように、ルアー頭部10側が重くなり、相対的にルアー尾部30側が軽くなり、ルアー尾部30側が自発的に振れるようにしやすくしている。
【0019】
ルアー尾部30には複数の環状の金具からなる釣り針アイ42,43が備えられる。実施形態の疑似餌1では釣り針アイは2箇所である。釣り針アイ42,43は小魚を模した疑似餌1の腹部と尾ビレに相当する位置に備えられる。釣り針アイ42,43のそれぞれに釣り針45,45が接続される。
【0020】
小魚を模した疑似餌1の腹部と尾ヒレに相当する位置に釣り針アイ42,43が備えられることにより、疑似餌1を捕食対象と認識した魚は、水深の深い側から上方の疑似餌1の腹部に目がけて食い付く。または、疑似餌1を捕食対象と認識した魚は、疑似餌1を追いかけて尾ビレから食い付く。そのため、釣り針アイ42,43は釣りの対象となる魚の捕食行動に相応した疑似餌1の部位に設けられる。なお、釣り針アイは、ルアー頭部10またはルアー胴部20に設けられていても良い。
【0021】
実施形態の疑似餌1にあっては、ルアー頭部10とルアー尾部30との間にルアー胴部20が介在される。ルアー胴部20は、小魚を模した疑似餌1の鰓(エラ)付近の胴体に相当する。疑似餌1のルアー頭部10、ルアー胴部20、ルアー尾部30は樹脂により形成される。樹脂としては、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル等の熱可塑性樹脂が用いられる。ラインアイ41、釣り針アイ42,43、錘19の埋入、揺動軸部50を形成する際の加工性の良さから熱可塑性樹脂による成形が好ましい。図示しないものの、疑似餌1にはさらに捕食対象の小魚に似せるため、樹脂製のヒレ、ラバースカート等が装着されても良い。
【0022】
図3(A)はルアー頭部10とルアー胴部20との間の揺動軸部50の部分拡大平面図である。また、図4(A)はルアー胴部20の側面図である。ルアー頭部10とルアー胴部20の間に揺動軸部50(図1図2参照)として第1揺動軸部51が備えられる。
【0023】
ルアー胴部20にはルアー頭部10側に突出する第1軸設部21が突設される。第1揺動軸部51は板状の第1軸設部21に備えられる。第1軸設部21の突出に対応してルアー頭部10側では頭部切欠き部11が形成される。そして、ルアー頭部10の頭部切欠き部11に頭部軸受部12が形成され、第1揺動軸部51は頭部軸受部12に回動可能に軸支される。
【0024】
図3(A)とともに図1の側面図、図4(A)が参照されるように、ルアー頭部10がルアー胴部20と対向するルアー頭部10側の面部分には頭部円弧面部13が形成される。また、ルアー胴部20側の面部分には頭部円弧面部13と対向する第1凹面部25が形成される。第1揺動軸部51の頭部軸受部12における軸動(回動)を円滑にするため、ルアー頭部10とルアー胴部20との揺動と抵抗を極力減らす必要がある。そこで、ルアー頭部10の頭部円弧面部13の膨らみに対応させてルアー胴部20では第1凹面部25として凹ませている。
【0025】
図3(B)はルアー胴部20とルアー尾部30の間の揺動軸部50の部分拡大側面図である。また、図4(B)はルアー胴部20の平面図である。ルアー胴部20とルアー尾部30の間に揺動軸部50(図1図2参照)として第2揺動軸部52が備えられる。
【0026】
ルアー胴部20にはルアー尾部30側に突出する第2軸設部22が突設される。第2揺動軸部52は板状の第2軸設部22に備えられる。第2軸設部22の突出に対応してルアー尾部30側では尾部切欠き部31が形成される。そして、ルアー尾部30の尾部切欠き部31に尾部軸受部32が形成され、第2揺動軸部53は尾部軸受部32に回動可能に軸支される。
【0027】
図3(B)とともに図2の平面図、図4(B)が参照されるように、ルアー胴部20がルアー尾部30と対向するルアー胴部20側の面部分には第2凹面部26が形成される。また、ルアー尾部30側の面部分には第2凹面部26と対向する尾部円弧面部33が形成される。ルアー胴部20とルアー尾部30との接続においても、第2揺動軸部52の尾部軸受部32における軸動(回動)を円滑にするため、ルアー胴部20とルアー尾部30との揺動と抵抗を極力減らす必要がある。そこで、ルアー尾部30の尾部円弧面部33の膨らみに対応させてルアー胴部20では第2凹面部26として凹ませている。
【0028】
図3(A)及び(B)、図4(A)及び(B)の図示からわかるように、揺動軸部50を構成する第1揺動軸部51と第2揺動軸部52の軸動の軸の向きは互いに異なりユニバーサルジョイント(自在継手)を構成する。そして、図示の実施形態では、第1揺動軸部51と第2揺動軸部52の軸動の軸の向きは直交している。このように、疑似餌1では、ルアー頭部10とルアー尾部30とは左右方向の振れとともに、上下方向にも振れて3次元の動きが可能としている。なお、実施形態の疑似餌1では、揺動軸部50を第1揺動軸部51と第2揺動軸部52の2個としている。さらに揺動軸部50はその個数を3個、4個等と増やしても良い。
【0029】
実施形態の疑似餌1の説明及び図示のとおり、疑似餌1のルアー頭部10とルアー胴部20とを接続する第1揺動軸部51の近傍に頭部円弧面部13と第1凹面部25が形成される。そして、ルアー胴部20とルアー尾部30とを接続する第2揺動軸部52の近傍に尾部円弧面部33と第2凹面部26が形成される。第1揺動軸部51及び第2揺動軸部52のそれぞれの軸の回動(揺動)が考慮されて曲面が形成される。
【0030】
第1揺動軸部51及び第2揺動軸部52のそれぞれの軸の回動(揺動)範囲を確保する場合、ルアー頭部10、ルアー胴部20、ルアー尾部30のそれぞれが連結する部位を大きく切り落として回動(揺動)の範囲を確保することができる。しかしながら、疑似餌1における切り欠き部分が大きくなると単に3個のブロックが並んだような形態となり見栄えが悪くなる。そのため、疑似餌を小魚の形態及び動きに似せる意図が達し得ない。
【0031】
そこで、頭部円弧面部13と第1凹面部25が形成されることによって、第1揺動軸部51の回動を確保しつつ、ルアー頭部10とルアー胴部20は相互に近接する。同様に、第2凹面部26と尾部円弧面部33が形成されることによって、第2揺動軸部52の回動を確保しつつ、ルアー胴部20とルアー尾部30は相互に近接する。そのため、疑似餌1のルアー頭部10からルアー胴部20とルアー尾部30にかけての軸動のための切り落とし部分は少なくなり、疑似餌1は小魚に似た形態となる。特に、ルアー尾部30側はルアー頭部10側よりも相対的に軽くなり、ルアー尾部30側が自発的に振れやすくなっている。
【0032】
次に、ルアー頭部とルアー尾部との接続について、双方の接続がボールジョイント(球状軸受け)の形態であることを仮定する。ボールジョイントによる接続の場合であっても、ルアー頭部に対してルアー尾部は3次元の動きが可能となる。
【0033】
しかしながら、ボールジョイントでは、球の支軸部分に負荷が加わるため、強度確保の観点から球の部分、球と摺動する部分を含め全体は金属により形成されることとなる。そうすると疑似餌としての重量は増加し、水中における疑似餌の浮力の変化から疑似餌は釣り者にとって扱いにくくなる。
【0034】
また、ボールジョイントの接続部位を樹脂により形成する場合、重量増加の問題は解消されるものの、球の支軸部分に加わる負荷により球の支軸部分が破損するおそれがある。さらに、疑似餌の使用態様から考えられるように、釣り糸に接続された疑似餌は遠心力を伴って水面に叩き付けられ、水流に流される。そうすると、ボールジョイントの球の部分が球と摺動する部分から外れて疑似餌が分解するおそれもある。加えて、摺動抵抗の少ない摺動面の精度を樹脂加工により達成しようとすると、製造原価が高くなる。
【0035】
このように考えると、ボールジョイントの構成は可動範囲の広さから好ましいようにも考えられるものの耐久性、材料選択の点から好ましいとは言えない。また、疑似餌の可動性を高めるため、疑似餌の各部位がフックとアイ等の鎖状の接続形態となることも考えられる。しかしながら、鎖状の接続形態の場合、疑似餌の各部位がばらついて一体性が乏しく見た目が好ましくない。また、鎖状の接続部位の腐食、破断も懸念され疑似餌としての耐久性から好ましいとは言えない。
【0036】
疑似餌1の本体部分の可動性を高める一連の改良を鑑みると、実施形態の疑似餌1のとおり、ルアー頭部10、ルアー胴部20、及びルアー尾部30の3分割が好ましい。さらに、ルアー頭部10とルアー胴部20との連結に揺動軸部50として第1揺動軸部51が備えられ、ルアー胴部20とルアー尾部30との連結に揺動軸部50として第2揺動軸部52が備えられる。このように、揺動軸部は1箇所ずつの配置となるため、互いの連結部位の構造は簡易となり、強度確保は容易となる。さらに、第1揺動軸部51と第2揺動軸部52の双方の軸動の軸の向きが直交するため、疑似餌1としての全体での各部の可動性は確保される。また、錘19はルアー頭部10に備えられることから、相対的にルアー尾部30側が軽くなる。そのため、水流の抵抗を受けてルアー尾部30は立ち上がりより多くかつ自発的に振れるようになる(揺動しやすくなる)。
【0037】
図5は第1揺動軸部51(図2参照)を可動させたときの疑似餌1の側面図である。図5(A)はルアー頭部10を起点として第1揺動軸部51によりルアー胴部20とルアー尾部30側が上方に上がった側面図であり、図5(B)はルアー頭部10を起点として第1揺動軸部51によりルアー胴部20とルアー尾部30側が下方に下がった側面図である。図4から理解されるように、揺動軸部50として第1揺動軸部51の揺動角度は少なくとも0度から90度の範囲である。
【0038】
図6は第2揺動軸部52(図2参照)を可動させたときの疑似餌1の平面図である。疑似餌1を小魚に見立てた際の背ビレの見える側が平面図としている。図6(A)はルアー胴部20を起点として第2揺動軸部52によりルアー尾部30側が右方に振れた平面図であり、図6(B)はルアー胴部20を起点として第2揺動軸部52によりルアー尾部30側が左方に振れた平面図である。図6からも理解されるように、揺動軸部50として第2揺動軸部52の揺動角度も少なくとも0度から90度の範囲である。
【0039】
さらに、図7の斜視図は、疑似餌1において、第1揺動軸部51と第2揺動軸部52の両方を同時に回動させた状態の一例を示す。第1揺動軸部51と第2揺動軸部52の同時の回動により、疑似餌1に捩れを作ることができる。特に、水中では表面積の大きなルアー尾部30が水の流れの抵抗を最も受ける。また、ルアー頭部10は釣り糸44にラインアイ41が接続され錘19も備えられている。このことから、疑似餌1ではルアー尾部30が立ち上がり、より多くかつ自発的に各方向に揺動する。
【0040】
図8の側面図は、尾ヒレ部35を装着した疑似餌1のルアー尾部30を表している。尾ヒレ部35は小魚の尾ヒレに似せた形態であり、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル等の樹脂素材により形成される。図8の側面図に示されるように、ルアー尾部30に尾ヒレ部35が装着されている都合から、釣り針アイ43の位置はずれされている。ルアー尾部30に尾ヒレ部35が備えられていることにより、尾ヒレ部35は水流の抵抗を受けやすくなる。そのため、立ち上がってるルアー尾部30はより大きく左右等に振れやすく。よって、疑似餌1自体の動きが大きくなり、他の魚から疑似餌が目立ち食い付きを良くすることができる。
【0041】
図5ないし図8のとおり、疑似餌1は揺動軸部50の単純な軸動の構造を採用しながらも、疑似餌1の胴体から尾ヒレに相当する部位(ルアー尾部)側が頭部から容易に立ち上がり、自発的に揺れ動くようになる。特に、尾ヒレ部により動きは強調される。そうすると、実施形態の疑似餌1は、従前の固定された疑似餌または動きの向きが制限された疑似餌等と比較して、実際の生きている捕食対象の小魚の動きに近づく。そのため、釣りの対象となる大型の魚からは、捕食対象の小魚と誤認されやすくなり食い付きの良さの向上が見込まれる。また、実施形態の疑似餌1では胴体部分の軸動に複雑な動きが生じるため、疑似餌により釣りの対象となる大型の魚を釣ろうとする釣り者にとっても、釣り竿、釣り糸の巻き取り等の動かし方に工夫の余地が生じ釣りの面白さが増す。
【符号の説明】
【0042】
1 疑似餌
10 ルアー頭部
11 頭部切欠き部
12 頭部軸受部
13 頭部円弧面部
19 錘
20 ルアー胴部
21 第1軸設部
22 第2軸設部
25 第1凹面部
26 第2凹面部
30 ルアー尾部
31 尾部切欠き部
32 尾部軸受部
33 尾部円弧面部
35 尾ヒレ部
41 ラインアイ
42,43 釣り針アイ
44 釣り糸
45 釣り針
50 揺動軸部
51 第1揺動軸部
52 第2揺動軸部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8