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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068277
(43)【公開日】2024-05-20
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/506 20060101AFI20240513BHJP
   H01R 13/42 20060101ALI20240513BHJP
【FI】
H01R13/506
H01R13/42 E
H01R13/42 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178593
(22)【出願日】2022-11-08
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100117662
【弁理士】
【氏名又は名称】竹下 明男
(74)【代理人】
【識別番号】100103229
【弁理士】
【氏名又は名称】福市 朋弘
(72)【発明者】
【氏名】宮村 哲矢
(72)【発明者】
【氏名】松井 元
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 晶子
【テーマコード(参考)】
5E087
【Fターム(参考)】
5E087EE07
5E087FF06
5E087FF13
5E087GG26
5E087GG32
5E087JJ05
5E087MM05
5E087RR25
(57)【要約】
【課題】コネクタの組立途中における負荷発生を抑制することを目的とする。
【解決手段】端子10Aを収容するコネクタであって、一対の外側壁33aの間に、底板とは反対側に開口するキャビティが形成されたハウジング30と、キャビティの開口を覆うカバー本体62とカバー本体の両側部に立設された一対のカバー外側壁64とを有するカバー60と、を備え、一対の外側壁のそれぞれの外面に、キャビティの延在方向に沿って間隔をあけて複数の合体用突部50、52、54が形成され、一対のカバー外側壁のそれぞれの外面に、キャビティの延在方向に沿って間隔をあけて複数のカバー側合体用突部70、72、74が形成され、複数の合体用突部の間に複数のカバー側合体用突部のうちの少なくとも1つが通過可能な間隔が設けられ、複数のカバー側合体用突部の間に複数の合体用突部のうちの少なくとも1つが通過可能な間隔が設けられている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子を収容するコネクタであって、
底板と、前記底板の両側部に立設された一対の外側壁とを有し、前記一対の外側壁の間に、前記底板とは反対側に開口すると共に前記端子を収容するキャビティが形成されたハウジングと、
前記キャビティのうち前記底板とは反対側の開口を覆うカバー本体と、前記カバー本体の両側部に立設された一対のカバー外側壁とを有し、前記一対のカバー外側壁が前記一対の外側壁の外側に配置されるカバーと、
を備え、
前記一対の外側壁のそれぞれの外面に、前記キャビティの延在方向に沿って間隔をあけて複数の合体用突部が形成され、
前記一対のカバー外側壁のそれぞれの外面に、前記キャビティの延在方向に沿って間隔をあけて複数のカバー側合体用突部が形成され、
前記複数の合体用突部の間に前記複数のカバー側合体用突部のうちの少なくとも1つが通過可能な間隔が設けられ、
前記複数のカバー側合体用突部の間に前記複数の合体用突部のうちの少なくとも1つが通過可能な間隔が設けられ、
前記ハウジングと前記カバーとが前記キャビティの延在方向に交差する仮合体方向に近づいた状態で、前記ハウジングに対して前記カバーが前記キャビティの延在方向に沿って移動することで、前記複数の合体用突部と前記複数のカバー側合体用突部とが係止し合って、前記ハウジングと前記カバーとが合体する、コネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクタであって、
前記複数の合体用突部は、第1合体用対向突部と、第2合体用対向突部とを有する合体用対向突部を含み、
前記複数のカバー側合体用突部は、第1カバー側合体用対向突部と、第2カバー側合体用対向突部とを有するカバー側合体用対向突部を含み、
前記ハウジングに前記カバーが合体した状態で、前記第1カバー側合体用対向突部が前記カバー本体とは反対側から前記第1合体用対向突部に対向すると共に、前記第2カバー側合体用対向突部が前記カバー本体とは反対側から前記第2合体用対向突部に対向し、
前記第1合体用対向突部と前記第2合体用対向突部との間に、前記第1カバー側合体用対向突部が通過可能な隙間が設けられ、
前記第1カバー側合体用対向突部と前記第2カバー側合体用対向突部との間に、前記第2合体用対向突部が通過可能な隙間が設けられている、コネクタ。
【請求項3】
請求項1に記載のコネクタであって、
前記複数の合体用突部は、合体用対向突部と、合体用抜止突部とを有し、
前記複数のカバー側合体用突部は、カバー側合体用対向突部と、カバー側合体用抜止突部とを有し、
前記ハウジングに前記カバーが合体した状態で、前記カバー側合体用対向突部が前記カバー本体とは反対側から前記合体用対向突部に対向すると共に、前記カバー側合体用抜止突部が前記合体用抜止突部に対して前記キャビティの延在方向において少なくとも一方側から係止し、
前記合体用対向突部と前記合体用抜止突部との間に、前記カバー側合体用対向突部が通過可能な隙間が設けられ、
前記カバー側合体用対向突部と前記カバー側合体用抜止突部との間に、前記合体用抜止突部が通過可能な隙間が設けられている、コネクタ。
【請求項4】
請求項3に記載のコネクタであって、
前記複数のカバー側合体用突部は、前記カバー側合体用抜止突部よりも前記カバー側合体用対向突部とは反対側に延びるカバー側追加対向突部を有し、
前記カバー側合体用抜止突部が前記合体用抜止突部に係止した状態で、前記カバー側追加対向突部が前記カバー本体とは反対側から前記合体用抜止突部に対向する、コネクタ。
【請求項5】
請求項4に記載のコネクタであって、
前記ハウジングと前記カバーとの合体状態で、前記カバー側追加対向突部と前記合体用抜止突部との隙間は、前記カバー側合体用対向突部と前記合体用対向突部との隙間よりも大きい、コネクタ。
【請求項6】
請求項3から請求項5のいずれか1項に記載のコネクタであって、
前記ハウジングは、前記一対の外側壁から外側に突出する前壁を有し、
前記カバー外側壁が前記前壁に接触した状態で、前記カバー側合体用抜止突部が前記合体用抜止突部に対して前記前壁側から係止する、コネクタ。
【請求項7】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のコネクタであって、
前記一対の外側壁の外面のうち前記複数の合体用突部の間の部分と前記複数の合体用突部よりも基端側の部分は、前記カバー外側壁を初期姿勢に保った状態で、前記カバー側合体用突部を配置可能な面部分に形成されている、コネクタ。
【請求項8】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のコネクタであって、
前記合体用突部及び前記カバー側合体用突部の少なくとも一方は、前記キャビティの延在方向一方側に向うに連れて前記カバー本体から遠ざかる方向に向うガイド面と、前記ガイド面に対して前記キャビティの延在方向一方側に連なって前記キャビティの延在方向に沿って延びる対向面とを有する、コネクタ。
【請求項9】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のコネクタであって、
前記ハウジングは、前記底板に対して前記キャビティとは反対側で、リテーナ側端子を保持するリテーナ側キャビティを有し、
前記ハウジングに対して前記カバーとは反対側で合体して、前記リテーナ側キャビティ内で前記リテーナ側端子を保持するリテーナをさらに備える、コネクタ。
【請求項10】
請求項9に記載のコネクタであって、
前記リテーナは、前記ハウジングに対して仮装着位置から本装着位置に向けて移動することで、前記リテーナ側端子を保持し、
前記カバーは干渉部を有し、
前記干渉部は、前記カバーが前記ハウジングに対して前記仮合体方向に近づいた状態で、前記本装着位置に位置する前記リテーナに対しては干渉し、前記仮装着位置に位置する前記リテーナに対しては干渉を回避する位置に形成されている、コネクタ。
【請求項11】
請求項10に記載のコネクタであって、
前記干渉部は、前記ハウジングに対して前記カバーが前記キャビティの延在方向に沿って移動する経路の全体において、前記本装着位置に位置する前記リテーナに対して干渉し、前記複数の合体用突部と前記複数のカバー側合体用突部とが係止し合って前記ハウジングに対して前記カバーが合体した状態で、前記本装着位置に位置する前記リテーナに対する干渉が回避される位置に形成されている、コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、電線の前端部に固着された端子金具と、第1半割部材と第2半割部材を電線の軸線方向と交差する方向に合体して構成され、端子金具を収容可能な端子収容部材とを備える端子ユニットを開示している。特許文献1には、第1半割部材に前後方向に延びた第1ガイド部が形成されていることと、第1ガイド部が、第2半割部材が仮組付位置から正規組付位置へ前後方向に変位する過程で第1半割部材と第2半割部材を合体方向へ接近させる誘導部を備えていることとが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-147558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コネクタの組立を正確に行えるようにするため、組立工程の途中での負荷発生をなるべく抑制することが要請されている。
【0005】
そこで、本開示は、コネクタの組立途中における負荷発生を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のコネクタは、端子を収容するコネクタであって、底板と、前記底板の両側部に立設された一対の外側壁とを有し、前記一対の外側壁の間に、前記底板とは反対側に開口すると共に前記端子を収容するキャビティが形成されたハウジングと、前記キャビティのうち前記底板とは反対側の開口を覆うカバー本体と、前記カバー本体の両側部に立設された一対のカバー外側壁とを有し、前記一対のカバー外側壁が前記一対の外側壁の外側に配置されるカバーと、を備え、前記一対の外側壁のそれぞれの外面に、前記キャビティの延在方向に沿って間隔をあけて複数の合体用突部が形成され、前記一対のカバー外側壁のそれぞれの外面に、前記キャビティの延在方向に沿って間隔をあけて複数のカバー側合体用突部が形成され、前記複数の合体用突部の間に前記複数のカバー側合体用突部のうちの少なくとも1つが通過可能な間隔が設けられ、前記複数のカバー側合体用突部の間に前記複数の合体用突部のうちの少なくとも1つが通過可能な間隔が設けられ、前記ハウジングと前記カバーとが前記キャビティの延在方向に交差する仮合体方向に近づいた状態で、前記ハウジングに対して前記カバーが前記キャビティの延在方向に沿って移動することで、前記複数の合体用突部と前記複数のカバー側合体用突部とが係止し合って、前記ハウジングと前記カバーとが合体する、コネクタである。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、コネクタの組立途中における負荷発生が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は実施形態に係るコネクタを示す斜視図である。
図2図2はコネクタを示す分解斜視図である。
図3図3はコネクタを示す分解斜視図である。
図4図4図1のIV-IV線断面図である。
図5図5図1のV-V線部分断面図である。
図6図6はコネクタの組立途中状態を示す背面図である。
図7図7は不適切な組立例を示す説明図である。
図8図8は不適切な組立例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0010】
本開示のコネクタは、次の通りである。
【0011】
(1)端子を収容するコネクタであって、底板と、前記底板の両側部に立設された一対の外側壁とを有し、前記一対の外側壁の間に、前記底板とは反対側に開口すると共に前記端子を収容するキャビティが形成されたハウジングと、前記キャビティのうち前記底板とは反対側の開口を覆うカバー本体と、前記カバー本体の両側部に立設された一対のカバー外側壁とを有し、前記一対のカバー外側壁が前記一対の外側壁の外側に配置されるカバーと、を備え、前記一対の外側壁のそれぞれの外面に、前記キャビティの延在方向に沿って間隔をあけて複数の合体用突部が形成され、前記一対のカバー外側壁のそれぞれの外面に、前記キャビティの延在方向に沿って間隔をあけて複数のカバー側合体用突部が形成され、前記複数の合体用突部の間に前記複数のカバー側合体用突部のうちの少なくとも1つが通過可能な間隔が設けられ、前記複数のカバー側合体用突部の間に前記複数の合体用突部のうちの少なくとも1つが通過可能な間隔が設けられ、前記ハウジングと前記カバーとが前記キャビティの延在方向に交差する仮合体方向に近づいた状態で、前記ハウジングに対して前記カバーが前記キャビティの延在方向に沿って移動することで、前記複数の合体用突部と前記複数のカバー側合体用突部とが係止し合って、前記ハウジングと前記カバーとが合体する、コネクタである。
【0012】
このコネクタによると、複数のカバー側合体用突部のうちの少なくとも1つを、複数の合体用突部の間を通過させると共に、複数の合体用突部のうちの少なくとも1つを、複数のカバー側合体用突部の間を通過させるようにして、カバーをハウジングに仮合体させることができる。この後、ハウジングに対してカバーを、キャビティの延在方向に沿って移動させると、複数の合体用突部と複数のカバー側合体用突部とが係止し合って、ハウジングとカバーとを合体させることができる。このため、ハウジングに対するカバーの仮合体作業時に一対のカバー外側壁を開かなくてもよい。これにより、コネクタの組立途中における負荷発生が抑制される。
【0013】
(2)(1)のコネクタであって、前記複数の合体用突部は、第1合体用対向突部と、第2合体用対向突部とを有する合体用対向突部を含み、前記複数のカバー側合体用突部は、第1カバー側合体用対向突部と、第2カバー側合体用対向突部とを有するカバー側合体用対向突部を含み、前記ハウジングに前記カバーが合体した状態で、前記第1カバー側合体用対向突部が前記カバー本体とは反対側から前記第1合体用対向突部に対向すると共に、前記第2カバー側合体用対向突部が前記カバー本体とは反対側から前記第2合体用対向突部に対向し、前記第1合体用対向突部と前記第2合体用対向突部との間に、前記第1カバー側合体用対向突部が通過可能な隙間が設けられ、前記第1カバー側合体用対向突部と前記第2カバー側合体用対向突部との間に、前記第2合体用対向突部が通過可能な隙間が設けられていてもよい。
【0014】
この場合、第1カバー側合体用対向突部を、第1合体用対向突部と第2合体用対向突部との間を通過させると共に、第2合体用対向突部を、第1カバー側合体用対向突部と第2カバー側合体用対向突部との間を通過させるようにして、カバーをハウジングに仮合体させることができる。ハウジングにカバーが合体した状態では、第1カバー側合体用対向突部がカバー本体とは反対側から第1合体用対向突部に対向すると共に、第2カバー側合体用対向突部がカバー本体とは反対側から第2合体用対向突部に対向して、カバーがハウジングに対して底板から離れる方向に移動することが規制され、合体状態が保たれる。
【0015】
(3)(1)又は(2)のコネクタであって、前記複数の合体用突部は、合体用対向突部と、合体用抜止突部とを有し、前記複数のカバー側合体用突部は、カバー側合体用対向突部と、カバー側合体用抜止突部とを有し、前記ハウジングに前記カバーが合体した状態で、前記カバー側合体用対向突部が前記カバー本体とは反対側から前記合体用対向突部に対向すると共に、前記カバー側合体用抜止突部が前記合体用抜止突部に対して前記キャビティの延在方向において少なくとも一方側から係止し、前記合体用対向突部と前記合体用抜止突部との間に、前記カバー側合体用対向突部が通過可能な隙間が設けられ、前記カバー側合体用対向突部と前記カバー側合体用抜止突部との間に、前記合体用抜止突部が通過可能な隙間が設けられていてもよい。
【0016】
この場合、カバー側合体用対向突部を、合体用対向突部と合体用抜止突部との間を通過させると共に、合体用抜止突部を、カバー側合体用対向突部とカバー側合体用抜止突部との間を通過させるようにして、カバーをハウジングに仮合体させることができる。ハウジングにカバーが合体した状態では、カバー側合体用対向突部がカバー本体とは反対側から合体用対向突部に対向すると共に、カバー側合体用抜止突部が合体用抜止突部に対してキャビティの延在方向において少なくとも一方側から係止して、合体状態が保たれる。
【0017】
(4)(3)のコネクタであって、前記複数のカバー側合体用突部は、前記カバー側合体用抜止突部よりも前記カバー側合体用対向突部とは反対側に延びるカバー側追加対向突部を有し、前記カバー側合体用抜止突部が前記合体用抜止突部に係止した状態で、前記カバー側追加対向突部が前記カバー本体とは反対側から前記合体用抜止突部に対向してもよい。
【0018】
このように、カバー側追加対向突部がカバー本体とは反対側から前記合体用抜止突部に対向することによっても、カバーがハウジングから離れる方向に移動し難く、合体状態が保たれる。
【0019】
(5)(4)のコネクタであって、前記ハウジングと前記カバーとの合体状態で、前記カバー側追加対向突部と前記合体用抜止突部との隙間は、前記カバー側合体用対向突部と前記合体用対向突部との隙間よりも大きくてもよい。
【0020】
これにより、カバー側追加対向突部が合体用抜止突部に乗上げて、カバー外側壁が開いたままとなることが抑制される。
【0021】
(6)(3)から(5)のいずれか1つのコネクタであって、前記ハウジングは、前記一対の外側壁から外側に突出する前壁を有し、前記カバー外側壁が前記前壁に接触した状態で、前記カバー側合体用抜止突部が前記合体用抜止突部に対して前記前壁側から係止してもよい。
【0022】
このように、カバー外側壁が前壁に接触した状態で、カバー側合体用抜止突部が前記合体用抜止突部に対して前壁側から係止することで、キャビティの延在方向において、ハウジングに対してカバーが位置決めされる。
【0023】
(7)(1)から(5)のいずれか1つのコネクタであって、前記一対の外側壁の外面のうち前記複数の合体用突部の間の部分と前記複数の合体用突部よりも基端側の部分は、前記カバー外側壁を初期姿勢に保った状態で、前記カバー側合体用突部を配置可能な面部分に形成されていてもよい。
【0024】
これにより、カバー外側壁を開かずに初期形状に保った状態で、合体作業が実施される。
【0025】
(8)(1)から(7)のいずれか1つのコネクタであって、前記合体用突部及び前記カバー側合体用突部の少なくとも一方は、前記キャビティの延在方向一方側に向うに連れて前記カバー本体から遠ざかる方向に向うガイド面と、前記ガイド面に対して前記キャビティの延在方向一方側に連なって前記キャビティの延在方向に沿って延びる対向面とを有してもよい。
【0026】
この場合、カバー側合体用対向突部を合体用対向突部に対してカバー本体から離れた側に配置した状態で、ハウジングに対してカバーをキャビティの延在方向に沿って移動させると、ガイド面によってカバーがハウジングに対して近づくように移動できる。そして、対向面を、合体用対向突部又はカバー側合体用突部に対向させて、カバーとハウジングとをしっかりと合体できる。
【0027】
(9)(1)から(8)のいずれか1つのコネクタであって、前記ハウジングは、前記底板に対して前記キャビティとは反対側で、リテーナ側端子を保持するリテーナ側キャビティを有し、前記ハウジングに対して前記カバーとは反対側で合体して、前記リテーナ側キャビティ内で前記リテーナ側端子を保持するリテーナをさらに備えてもよい。
【0028】
これにより、底板の両側で端子とリテーナ側端子とを保持することができる。
【0029】
(10)(9)のコネクタであって、前記リテーナは、前記ハウジングに対して仮装着位置から本装着位置に向けて移動することで、前記リテーナ側端子を保持し、前記カバーは干渉部を有し、前記干渉部は、前記カバーが前記ハウジングに対して前記仮合体方向に近づいた状態で、前記本装着位置に位置する前記リテーナに対しては干渉し、前記仮装着位置に位置する前記リテーナに対しては干渉を回避する位置に形成されていてもよい。
【0030】
この場合、リテーナが本装着位置に位置する状態で、カバーをハウジングに仮合体させようとすると、カバーの干渉部がリテーナに干渉する。このため、カバーをハウジングに合体させてから、リテーナを本装着位置に移動させるように、組立手順が統一化される。
【0031】
(11)(10)のコネクタであって、前記干渉部は、前記ハウジングに対して前記カバーが前記キャビティの延在方向に沿って移動する経路の全体において、前記本装着位置に位置する前記リテーナに対して干渉し、前記複数の合体用突部と前記複数のカバー側合体用突部とが係止し合って前記ハウジングに対して前記カバーが合体した状態で、前記本装着位置に位置する前記リテーナに対する干渉が回避される位置に形成されていてもよい。
【0032】
この場合、ハウジングに対するカバーの合体が不完全であると、リテーナがカバーに干渉するので、不適切な組立状態が認識され易い。
【0033】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のコネクタの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0034】
[実施形態]
以下、実施形態に係るコネクタについて説明する。図1はコネクタ20を示す斜視図である。図2及び図3はコネクタ20を示す分解斜視図である。図4図1のIV-IV線断面図である。図2から図4において端子10A、10Bが示されており、図4において電線18が2点鎖線で示されている。
【0035】
<コネクタの全体構造>
コネクタの全体構造について説明する。コネクタ20は、第1端子10Aと、第2端子10Bとを保持する。第1端子10Aは、ハウジング30とカバー60との間で保持される端子の一例である。第2端子10Bは、ハウジング30とリテーナ80との間で保持されるリテーナ側端子の一例である。
【0036】
第1端子10A及び第2端子10Bは、金属板がプレス加工等されることによって形成される。第1端子10Aは、被覆圧着部11Aと、芯線圧着部12Aと、端子接続部13Aとを備える。被覆圧着部11Aは、電線18の端部の被覆部に圧着される部分である。芯線圧着部12Aは、電線18の端部に露出する芯線部に圧着される部分である。端子接続部13Aは、相手側の端子に接続される部分であり、例えば、筒状に形成されている。被覆圧着部11Aと芯線圧着部12Aと端子接続部13Aとは、この順で直線状に並んでいる。被覆圧着部11A及び端子接続部13Aの厚みは、芯線圧着部12Aの厚みよりも大きい。このため、第1端子10Aを側方から観察すると、芯線圧着部12A上であって被覆圧着部11Aと端子接続部13Aとの間に凹みが観察される。
【0037】
第2端子10Bも、第1端子10Aと同様に、被覆圧着部11Bと、芯線圧着部12Bと、端子接続部13Bとを備える。
【0038】
なお、第1端子10Aと第2端子10Bとは、サイズ及び素材等が同じ端子であってもよいし、サイズ又は素材が異なる端子であってもよい。
【0039】
本実施形態では、コネクタ20は、複数(ここでは2つ)の第1端子10Aと、複数(ここでは2つ)の第2端子10Bとを備える。複数の第1端子10Aは、並列状態で一列に並んでいる。複数の第2端子10Bも並列状態で一列に並んでいる。複数の第1端子10Aと複数の第2端子10Bとは、互いに隣合っている。つまり、コネクタ20は、複数の第1端子10Aと複数の第2端子10Bとを、第1段と第2段とに分けて保持している。なお、コネクタ20が保持する第1端子10A及び第2端子10Bの数は任意である。
【0040】
なお、コネクタは、端子としての第1端子10Aを保持するが、リテーナ側端子としての第2端子を保持しない場合もある。
【0041】
以下の説明において、第1端子10Aの延在方向において端子接続部13A側を前側、被覆圧着部11A側を後側ということがある。また、第1端子10A側を下側、第2端子10B側を上側という場合がある。さらに、第1端子10Aに立って前側を向いた状態を想定して左右方向を参照する場合がある。
【0042】
コネクタ20は、ハウジング30と、カバー60とを備える。
【0043】
ハウジング30は、樹脂等によって形成されており、底板31と、一対の外側壁33aとを有する。底板31は、板状、ここでは、方形板状に形成されている。底板31の両側部に一対の外側壁33aが立設されている。一対の外側壁33aの間に、キャビティ34が形成されている。キャビティ34は、底板31とは反対側に開口している。本実施形態では、複数、ここでは2つのキャビティ34が並列状態で形成されている。各キャビティ34に第1端子10Aが収容される。
【0044】
カバー60は、カバー本体62と、一対のカバー外側壁64とを備える。カバー本体62は、キャビティ34のうち底板31とは反対側の開口を覆う。一対のカバー外側壁64は、カバー本体62の両側部に立設されている。一対のカバー外側壁64が一対の外側壁33aの外側に配置された状態で、一対のカバー外側壁64がハウジング30の両側部に係止する。これにより、カバー60がハウジング30に合体する。カバー60がハウジング30に合体した状態で、キャビティ34内に第1端子10Aが保持される。
【0045】
また、コネクタ20は、リテーナ80をさらに備える。ハウジング30は、一対のリテーナ側外側壁43aを備える。底板31の両側部に、上記一対の外側壁33aとは逆側に延び出るように、一対のリテーナ側外側壁43aが立設されている。一対のリテーナ側外側壁43aの間に、リテーナ側キャビティ44が形成されている。リテーナ側キャビティ44は、底板31とは反対側に開口している。つまり、キャビティ34とリテーナ側キャビティ44とは、底板31に対して互いに反対側に開口している。本実施形態では、複数、ここでは2つのリテーナ側キャビティ44が並列状態で形成されている。各リテーナ側キャビティ44に、上記底板31に対してキャビティ34とは反対側で第2端子10Bが収容される。
【0046】
リテーナ80は、ハウジング30に対してカバー60とは反対側で合体する。ハウジング30にリテーナ80が合体した状態で、リテーナ側キャビティ44内で第2端子10Bが保持される。
【0047】
各部構成についてより具体的に説明する。
【0048】
<第1端子の保持構造について>
ハウジング30とカバー60との間で第1端子10Aを保持する構成中心により具体的に説明する。図5図1のV-V線部分断面図である。
【0049】
図1から図5に示すように、ハウジング30の底板31は、キャビティ34と、リテーナ側キャビティ44との間に位置している。底板31の幅方向中間部から中間仕切33bが延出している。一対の外側壁33a及び中間仕切33bは、底板31に対して同じ主面側に突出している。一対の外側壁33a及び中間仕切33bは、ハウジング30の幅方向において間隔をあけて並列状態に並んでいる。一対の外側壁33aと中間仕切33bとの各隙間にキャビティ34が形成される。
【0050】
ハウジング30は、一対の外側壁33aから外側に突出する前壁31Fを有している。より具体的には、ハウジング30の前縁に、前後方向に対して直交する方向に延在する前壁31Fが設けられている。前壁31Fは、キャビティ34の前端に位置している。キャビティ34内に配置された第1端子10Aは、前壁31Fに接することで、前方への移動が規制される。前壁31Fには、相手側端子(例えば、細長い板部又はピン状部分を有するオス端子)を挿入可能な接続孔31Faが形成されている。相手側端子は、当該接続孔31Faを通ってキャビティ34内の第1端子10Aに接続され得る。
【0051】
前壁31Fは、一対の外側壁33aから左右両外側に突出している。カバー60の一対のカバー外側壁64の前縁が外側壁33aの外側で前壁31Fに接して、前側への移動が規制される。
【0052】
キャビティ34は、底板31とは反対側に開口するスリット状の開口35を有する。スリット状の開口35は、第1端子10Aの延在方向に長いスリット状であり、第1端子10Aよりも長い。このため、第1端子10Aは、当該スリット状の開口35を通ってキャビティ34内にセットされ得る。具体的には、第1端子10Aは、ハウジング30の下側からスリット状の開口35を通ってキャビティ34内にセットされ得る。なお、実際の作業時には、スリット状の開口35を上向きにして、上方から第1端子10Aが当該開口35を通ってキャビティ34内にセットされることも想定される。第1端子10Aから延び出る電線18は、キャビティ34の後方開口を通って外側に延び出ることができる。
【0053】
キャビティ34の内周部のうち開口35とは反対側に第1端子位置決め凸部36が形成されている。キャビティ34の内周部のうち開口35とは反対側の部分とは、底板31側の部分である。第1端子位置決め凸部36は、キャビティ34の延在方向中間部、より具体的には、キャビティ34の延在方向において芯線圧着部12Aが位置する領域に形成されている。そして、キャビティ34内に第1端子10Aが配置された状態で、第1端子位置決め凸部36が第1端子10Aのうち被覆圧着部11Aと端子接続部13Aとの間の凹部に嵌り込むことができる。これにより、第1端子10Aがその延在方向において位置決めされ、後方への抜けが抑制される。
【0054】
カバー60は、開口35を塞ぐようにハウジング30に合体する。これにより、第1端子10Aがキャビティ34から脱することを抑制する。ここでは、カバー60は、開口35を塞いだ状態で、第1端子10Aが第1端子位置決め凸部36から離れる方向に移動することを規制する役割を果す。これにより、第1端子位置決め凸部36が第1端子10Aの凹部に嵌った状態が維持され、第1端子10Aがキャビティ34から脱することが抑制される。
【0055】
カバー60が開口35を塞ぐ位置が、カバー60がハウジング30に正常に合体した第1正規位置である(図1及び図4参照)。カバー60は、第1方向P1に沿って移動することで、合体位置に達することができる。第1方向P1は、キャビティ34の延在方向に沿った方向である。
【0056】
上記したように、カバー60は、カバー本体62と、一対のカバー外側壁64とを備える。
【0057】
カバー本体62は、複数のキャビティ34の開口35を一括して塞ぐことができる大きさに広がる板状、ここでは、方形板状に形成されている。一対のカバー外側壁64は、カバー本体62の両側から一対の外側壁33aの両外側面に向って延びる板状、ここでは、細長い板状に形成されている。
【0058】
カバー本体62が開口35を塞いだ状態で、一対のカバー外側壁64に形成されたカバー側合体用突部70、72、74が一対の外側壁33aに形成された合体用突部50、52、54に係止することで、カバー60にハウジング30に合体する。
【0059】
<カバーとハウジングとの合体構造について>
ハウジング30とカバー60との合体構造について説明する。
【0060】
一対の外側壁33aのそれぞれの外面に、キャビティ34の延在方向に沿って間隔をあけて複数の合体用突部50、52、54が形成されている。複数の合体用突部50、52、54は、前から後に向けてこの順で並んでいる。
【0061】
一対のカバー外側壁64のそれぞれの外面に、キャビティ34の延在方向に沿って間隔をあけて複数のカバー側合体用突部70、72、74が形成されている。複数のカバー側合体用突部70、72、74は、前から後に向けてこの順で並んでいる。
【0062】
ハウジング30とカバー60との合体状態で、合体用突部50とカバー側合体用突部70とが係止し合い、合体用突部52とカバー側合体用突部72とが係止し合い、合体用突部54とカバー側合体用突部74とが係止し合う。ここで、2つの部分が係止し合うとは、2つの部分が接触し合って少なくとも1つの向きへの移動が規制された状態になることをいう。
【0063】
複数の合体用突部50、52、54の間に、複数のカバー側合体用突部70、72、74のうちの少なくとも1つが通過可能な間隔が設けられている。また、複数のカバー側合体用突部70、72、74の間に複数の合体用突部50、52、54のうちの少なくとも1つが通過可能な間隔が設けられている。ここでは、合体用突部50、52の間に、カバー側合体用突部70が通過可能な間隔が設けられ、合体用突部52、54の間に、カバー側合体用突部72が通過可能な間隔が設けられている。また、カバー側合体用突部70、72の間に合体用突部52が通過可能な間隔が設けられ、カバー側合体用突部72、74の間に合体用突部54が通過可能な間隔が設けられている。
【0064】
カバー60をハウジング30の下側からハウジング30に向けて移動させると、一対のカバー外側壁64が下側から一対の外側壁33aの外側に移動する。この際、複数の合体用突部50、52、54と複数のカバー側合体用突部70、72、74とが、前後方向において交互に位置する状態で、前後方向にすれ違って、複数のカバー側合体用突部70、72、74が複数の合体用突部50、52、54に対してカバー本体62とは反対側の上側に移動することができる。この状態を仮合体状態という場合がある。
【0065】
そして、ハウジング30とカバー60とがキャビティ34の延在方向に交差する仮合体方向である第2方向P2において近づいた状態で、カバー60がキャビティ34の延在方向に沿ってハウジング30に対して移動する。すると、合体用突部50、52、54とカバー側合体用突部70、72、74とが係止し合って、カバー60がハウジング30に対して合体できる。本実施形態において、仮合体方向である第2方向P2は、上下方向である。
【0066】
より具体的には、複数の合体用突部50、52、54は、第1合体用対向突部50と、第2合体用対向突部52とを有する合体用対向突部50、52を含む。また、複数のカバー側合体用突部70、72、74は、第1カバー側合体用対向突部70と、第2カバー側合体用対向突部72とを有するカバー側合体用対向突部70、72を含む。
【0067】
第1合体用対向突部50は、外側壁33aにおいて前端寄りの位置、ここでは、前壁31Fの後側に連なる位置に形成されている。第2合体用対向突部52は、外側壁33aの延在方向中間位置に形成されている。
【0068】
第1カバー側合体用対向突部70は、カバー外側壁64において前端寄りの位置、ここでは、カバー外側壁64の前縁から方向に延びる位置に形成されている。第2カバー側合体用対向突部72は、カバー外側壁64の延在方向中間位置に形成されている。
【0069】
ハウジング30にカバー60が合体した状態で、第1カバー側合体用対向突部70が第1合体用対向突部50に対してカバー本体62とは反対側の上側から対向する位置に配置され、第2カバー側合体用対向突部72が第2合体用対向突部52に対してカバー本体62とは反対側の上側から対向する位置に配置される。これにより、ハウジング30にカバー60が合体した状態で、合体方向である上下方向において、カバー60がハウジング30から離れる方向に移動することが規制される。
【0070】
前後方向において、第1合体用対向突部50と第2合体用対向突部52との間に、第1カバー側合体用対向突部70が通過可能な隙間が設けられている。また、前後方向において、第1カバー側合体用対向突部70と第2カバー側合体用対向突部72との間に、第2合体用対向突部52が通過可能な隙間が設けられている。
【0071】
上下方向である仮合体方向に沿ってカバー60をハウジング30に近付けると、第1カバー側合体用対向突部70が第1合体用対向突部50と第2合体用対向突部52との間を通過し、かつ、第2合体用対向突部52が第1カバー側合体用対向突部70と第2カバー側合体用対向突部72との間を通過し、第1カバー側合体用対向突部70と第2カバー側合体用対向突部72とが、第1合体用対向突部50と第2合体用対向突部52とに対してカバー本体62から遠い側である上側に移動することができる。
【0072】
第1合体用対向突部50と第2合体用対向突部52とは、ガイド面50G、52Gと、対向面50F、52Fとを有している。ガイド面50G、52Gと、対向面50F、52Fとは、第1合体用対向突部50と第2合体用対向突部52とのうちカバー本体62とは反対側である上側に位置している。ガイド面50G、52Gは、キャビティ34の延在方向一方側である前側に向うに連れてカバー本体62から遠ざかる上側に向う面である。対向面50F、52Fは、ガイド面50G、52Gに対してキャビティ34の延在方向一方側である前側に連なって、キャビティ34の延在方向に沿って延びている。
【0073】
なお、上記対向面50F、52Fは、仮合体方向である上下方向において異なる位置に形成されてもよく、ガイド面50G、52Gも上下方向において異なる位置に形成されてもよい。本実施形態では、対向面50F及びガイド面50Gよりも、対向面52F及びガイド面52Gが下側に位置している。このため、後方から見てガイド面50G、52Gの両方が観察され得る。
【0074】
第1カバー側合体用対向突部70と第2カバー側合体用対向突部72とのうちカバー本体62側を向く面は、キャビティ34の延在方向に沿う対向面70F、72Fを有している。
【0075】
上記対向面50F、52Fと、対向面70F、72Fとは、ハウジング30に対するカバー本体62の仮合体方向である上下方向に直交する互いに平行な面である。
【0076】
そして、カバー60がハウジング30に対して仮合体した状態で、キャビティ34の延在方向に沿ってハウジング30に対してカバー60を移動させる。すると、対向面70F、72Fがガイド面50G、52Gに接触して、カバー60がハウジング30に対してより近づく方向に移動する。対向面70F、72Fの少なくとも一部がガイド面50G、52Gを越えて対向面50F、52Fに対向するまで、カバー60がハウジング30に対して移動する。対向面70F、72Fと対向面50F、52Fとが対向し合うことで、仮合体方向においてカバー60がハウジング30から離れる方向に移動することが抑制される。この状態で、例えば、一対の外側壁33aの先端縁がカバー本体62の内面に接触した状態となり、ハウジング30に対してカバー60が上下方向において一定位置に保たれることが好ましい。
【0077】
また、複数の合体用突部50、52、54は、合体用抜止突部54を有する。また、複数のカバー側合体用突部70、72、74は、カバー側合体用抜止突部74を有する。ハウジング30にカバー60が合体した状態で、カバー側合体用抜止突部74が、合体用抜止突部54に対してキャビティ34の延在方向において少なくとも一方側から係止する。ここでは、カバー側合体用抜止突部74が、合体用抜止突部54に対して前側から係止する。これにより、ハウジング30に対してカバー60が後方に移動しないように抜止めされる。カバー60は、上記前壁31Fに接して前方への移動が規制されている。このため、カバー60は、前後方向においても一定位置に位置規制される。
【0078】
また、前後方向において、第2合体用対向突部52と合体用抜止突部54との間に、第2カバー側合体用対向突部72が通過可能な隙間が設けられている。前後方向において、第2カバー側合体用対向突部72とカバー側合体用抜止突部74との間に、合体用抜止突部54が通過可能な隙間が設けられている。
【0079】
上下方向である仮合体方向に沿ってカバー60をハウジング30に近付けると、第2カバー側合体用対向突部72が第2合体用対向突部52と合体用抜止突部54との間を通過して、第2カバー側合体用対向突部72が第2合体用対向突部52に対してカバー本体62から遠い側である上側に移動することができる。また、合体用抜止突部54が第2カバー側合体用対向突部72とカバー側合体用抜止突部74との間に移動して、仮合体方向P1において合体用抜止突部54の少なくとも一部がカバー側合体用抜止突部74と同じ位置に配置される。
【0080】
合体用抜止突部54は、後方に向けて外側壁33aの外面に対する突出量を徐々に小さくする傾斜面54Gを有している。カバー側合体用抜止突部74は、前方に向けてカバー外側壁64の内面に対する突出量を徐々に小さくする傾斜面74Gを有している。
【0081】
仮合体した状態から、カバー60がハウジング30に対して前方に移動すると、傾斜面74Gが傾斜面54Gに接触し、カバー外側壁64が外向きに弾性変形する。カバー外側壁64が弾性変形する代りに又は加えて、外側壁33aが内側に弾性変形してもよい。
【0082】
そして、カバー側合体用抜止突部74が合体用抜止突部54を前側に越えると、カバー外側壁64が元の形状に弾性復帰し、カバー側合体用抜止突部74が、合体用抜止突部54に対して前側から係止する。
【0083】
また、複数のカバー側合体用突部は、カバー側合体用抜止突部74よりもカバー側合体用対向突部70、72とは反対側に延びるカバー側追加対向突部76を有する。本実施形態では、カバー側追加対向突部76は、カバー側合体用抜止突部74に対してカバー本体62から離れる側の位置から後方に向って延びる直方体状の凸形状である。そして、カバー側合体用抜止突部74が合体用抜止突部54に係止した状態で、カバー側追加対向突部76がカバー本体62とは反対側から合体用抜止突部54に対向する。
【0084】
カバー60の後部にハウジング30から下方へ離れる方向への大きい力が加わると、カバー側追加対向突部76が合体用抜止突部54に接することで、カバー60の下方への移動が規制される。これにより、カバー60がハウジング30から分離し難くなる。
【0085】
なお、ハウジング30とカバー60との合体状態で、カバー側追加対向突部76と合体用抜止突部54との上下方向の隙間は、カバー側合体用対向突部70、72と、合体用対向突部50、52との上下方向の隙間よりも大きいことが好ましい。カバー側追加対向突部76が合体用抜止突部54に近いと、カバー側合体用抜止突部74が合体用抜止突部54を前側に越えた後、カバー側追加対向突部76が合体用抜止突部54上に乗上げてしまい、カバー側合体用抜止突部74が、合体用抜止突部54に対して係止しなくなる可能性があるからである。
【0086】
なお、一対の外側壁33aのうち複数の合体用突部50、52、54の間の部分と、複数の合体用突部50、52、54よりも基端側であって上記カバー側合体用突部70、72、74が配置される部分は、カバー外側壁64を初期姿勢に保った状態で、当該カバー側合体用突部70、72、74を配置可能な面に形成されている。なお、一対のカバー外側壁64の初期姿勢は、一対のカバー外側壁64が平行である姿勢である。例えば、一対の外側壁33aの外面のうち複数の合体用突部50、52、54の間の部分と、複数の合体用突部50、52、54よりも基端側であって上記カバー側合体用突部70、72、74が配置される部分の左右方向の距離が、左右のカバー側合体用突部70、72、74の間隔と同じか小さくてもよい。
【0087】
<第2端子の保持構造について>
ハウジング30とリテーナ80との間で第2端子10Bを保持する構成中心により具体的に説明する。
【0088】
ハウジング30は、底板31の両側縁から一対のリテーナ側外側壁43aが延出している。底板31の幅方向中間部から中間仕切43bが延出している。一対のリテーナ側外側壁43a及び中間仕切43bは、底板31に対して、一対の外側壁33a及び中間仕切33bとは反対側の主面側に突出している。一対のリテーナ側外側壁43a及び中間仕切43bは、ハウジング30の幅方向において間隔をあけて並列状態に並んでいる。一対のリテーナ側外側壁43a及び中間仕切43bのうち底板31とは反対側の開口の少なくとも一部が天井板部43cによって閉じられている。一対のリテーナ側外側壁43aと中間仕切43bとの各隙間に複数(ここでは2つ)のリテーナ側キャビティ44が形成される。
【0089】
上記前壁31Fは、リテーナ側キャビティ44の前端にも位置している。リテーナ側キャビティ44内に配置された第2端子10Bは、前壁31Fに接することで、前方への移動が規制される。前壁31Fのうちリテーナ側キャビティ44に対応する位置にも接続孔31Faが形成されている。相手側端子は、当該接続孔31Faを通ってリテーナ側キャビティ44内の第2端子10Bに接続され得る。
【0090】
リテーナ側キャビティ44は、その延在方向一方側、ここでは、後方側に開口45を有している。開口45は、第2端子10Bを前後方向に投影した形状よりも大きく開口している。このため、第2端子10Bは、当該後方の開口45を通ってリテーナ側キャビティ44内にセットされ得る。
【0091】
なお、上記キャビティ34には当該キャビティ34内に突出する第1端子位置決め凸部36が形成されている。このため、キャビティ34の後方側開口から第1端子10Aを挿入すると、その途中で当該第1端子10Aが第1端子位置決め凸部36に引っ掛ることが考えられる。このため、キャビティ34については、上記開口35から第1端子10Aをセットすることが適切であると考えられる。リテーナ側キャビティ44には、第1端子位置決め凸部36のように抜け止を図るための凸部が無いため、第2端子10Bは、上記開口45を通って円滑にリテーナ側キャビティ44内にセットされる。
【0092】
リテーナ側キャビティ44は、キャビティ34とは反対側の位置決め用開口48で開口している。位置決め用開口48は、位置決めのためのリテーナ80を装着するための開口である。位置決め用開口48は、上記天井板部43cよりも後方に位置している。本実施形態では、位置決め用開口48は、リテーナ側キャビティ44の後方開口45に達している。位置決め用開口は、リテーナ側キャビティの延在方向の中間部において部分的に形成されることも想定される。
【0093】
リテーナ側キャビティ44内にセットされた第2端子10Bのうち被覆圧着部11Bと端子接続部13Bとの間の凹部は、位置決め用開口48を介して外部に露出する位置に配置される。
【0094】
リテーナ80は、位置決め用開口48に嵌め込まれるようにして、ハウジング30に合体する。この状態で、リテーナ80が第2端子10Bの凹部に嵌って、第2端子10Bがリテーナ側キャビティ44から開口45側に脱することが抑制される。
【0095】
上記のように、リテーナ80が位置決め用開口48に嵌って第2端子10Bの凹部に嵌った状態が、本装着位置である(図1及び図4参照)。リテーナ80は、第1方向P1に交差する第2方向P2に沿って移動することで、本装着位置に達することができる。本実施形態では、第2方向P2は、リテーナ側キャビティ44の延在方向と交差する方向であり、より具体的には、リテーナ側キャビティ44の延在方向と直交する方向、ここでは、上下方向である。当該構成を実現する構成例が以下に説明される。
【0096】
具体的には、一対のリテーナ側外側壁43aの外面に、一対の係止部46と、一対の仮係止部47とが形成されている。
【0097】
一対の係止部46は、一対のリテーナ側外側壁43aの外面から外方に突出している。一対の係止部46は、リテーナ側外側壁43aの先端、つまり、上方に向って徐々に突出寸法が小さくなる部分を含む形状に形成されている。
【0098】
一対の仮係止部47は、一対のリテーナ側外側壁43aの外面から外方に突出している。一対の仮係止部47は、リテーナ側外側壁43aの先端、つまり、上方に向って徐々に突出寸法が小さくなる部分を含む形状に形成されている。
【0099】
一対の仮係止部47は、一対の係止部46に対してハウジング30から遠ざかる側、即ち、上側に位置している。このため、リテーナ80は、一対の仮係止部47に仮係止した後、一対の係止部46に係止することができる。
【0100】
リテーナ80は、リテーナ本体82と、一対の係止壁部84とを備える。
【0101】
リテーナ本体82は、複数のリテーナ側キャビティ44に対応する位置決め用開口48を一括して塞ぐことができる大きさに広がる板状、ここでは、方形板状に形成されている。
【0102】
リテーナ本体82に第2端子位置決め凸部83が形成されている。ここでは、複数のリテーナ側キャビティ44に対応して複数の第2端子位置決め凸部83が並列状態で形成されている。第2端子位置決め凸部83は、リテーナ側キャビティ44の延在方向中間部、より具体的には、リテーナ側キャビティ44の延在方向において芯線圧着部12Bが位置する領域に形成されている。そして、リテーナ本体82が位置決め用開口48に装着された状態で、第2端子位置決め凸部83がリテーナ側キャビティ44内に突出することができる。この状態で、第2端子位置決め凸部83が、リテーナ側キャビティ44内の第2端子10Bのうち被覆圧着部11Bと端子接続部13Bとの間の凹部に嵌り込むことができる。これにより、第2端子10Bがその延在方向において位置決めされ、後方への抜けが抑制される。
【0103】
一対の係止壁部84は、リテーナ本体82の両側からハウジング30の両側、ここでは、一対のリテーナ側外側壁43aの外面に沿って延びる。一対の係止壁部84の内面のうち先端寄りの位置に抜け止凸部85が形成されている。抜け止凸部85は、係止壁部84の内面から突出する凸部である、抜け止凸部85は、係止壁部84の先端側に向って徐々に突出寸法が小さく部分を含む形状に形成されている。一対の係止壁部84は、一対の仮係止部47又は一対の係止部46に係止することができる。
【0104】
上記一対の係止壁部84の少なくとも一方が、ハウジング30側に突出し、第2方向P2(ここでは上下方向)に沿って延びるガイド凸部87を有している。本実施形態では、係止壁部84の内面のうちの前縁に沿ってガイド凸部87が形成されている。
【0105】
ハウジング30に、ガイド凸部87を案内する案内溝30gが形成されている。案内溝30gは、係止部46と仮係止部47の前端と、当該前端から前側に離れて位置する凸部との間に形成されている。
【0106】
第2方向P2に沿ってリテーナ80がハウジング30に装着される際に、ガイド凸部87が案内溝30gに沿って案内される。これにより、リテーナ80が第2方向P2に沿って円滑に移動することができる。また、リテーナ80がハウジング30に対して正常に合体して本装着位置に位置する状態で、ガイド凸部87が案内溝30gの側面、ここでは、係止部46と仮係止部47の前端に接する。これにより、リテーナ80がハウジング30に対して後方に脱することが抑制される。
【0107】
本実施形態では、リテーナ本体82の内面の中間部のうち前よりの位置に凸部が形成されており、当該凸部が中間仕切43bに形成された凹部に嵌ることによっても、リテーナ80が後方に脱することが抑制されている。
【0108】
リテーナ80の合体作業例が説明される。
【0109】
例えば、リテーナ80の一対の抜け止凸部85が一対の仮係止部47に係止した状態とされたものが準備される(図6参照)。この状態では、第2端子位置決め凸部83はリテーナ側キャビティ44内に突出していない。このため、第2端子10Bは、後方の開口45を通じて円滑にリテーナ側キャビティ44に挿入され得る。つまり、リテーナ80が第2端子10Bを位置決めする前の状態で、一対の仮係止部47が一対の係止壁部84の抜け止凸部85と係止している。このリテーナ80の位置を仮装着位置という場合がある。
【0110】
リテーナ側キャビティ44内に第2端子10Bが収容された状態で、リテーナ80がさらに押される。リテーナ80が押込まれる際、ガイド凸部87が案内溝30gによって案内されるので、リテーナ80は第2方向P2に沿って円滑に移動することができる。リテーナ80が押されると、一対の抜け止凸部85が一対の係止部46を乗越えて、当該一対の係止部46に抜け止係止することができる。これにより、リテーナ80は、第2方向P2に沿って移動して本装着位置に達し、ハウジング30に正常に合体した状態となる。つまり、リテーナ80が本装着位置に位置する状態で、一対の係止部46が一対の係止壁部84の抜け止凸部85に係止する。
【0111】
<干渉のための構成について>
コネクタ20の組立方法が不適切である場合、カバー60又はリテーナ80が干渉する。そのための構成例について説明する。
【0112】
上記カバー60は、干渉部67を有している。干渉部67は、カバー60がハウジング30に対して仮合体方向に近づいた状態で、本装着位置に位置するリテーナ80に対して干渉する位置に形成されている。また、干渉部67は、仮装着に位置するリテーナ80に対しては干渉を回避する位置に形成されている。
【0113】
よって、リテーナ80が仮装着位置に位置する状態では、カバー60をハウジング30に合体させることができる。リテーナ80が装着位置に位置する状態では、干渉部67がリテーナ80に干渉するので、カバー60をハウジング30に合体させることが妨げられる。よって、カバー60をハウジング30に合体させた後、リテーナ80を仮装着位置から本装着位置に移動させるように、コネクタ20が組立てられる。
【0114】
また、干渉部67は、ハウジング30に対してカバー60がキャビティ34の延在方向に沿って移動する経路の全体において、本装着位置に位置するリテーナ80に対して干渉する位置に形成されている。また、ハウジング30に対してカバー60が合体した状態では、干渉部67は、本装着位置に位置するリテーナ80に対する干渉が回避される位置に形成されている。
【0115】
よって、ハウジング30に対してカバー60が合体する前の状態、例えば、カバー側合体用抜止突部74が合体用抜止突部54に係止する直前の状態では、リテーナ80を仮装着位置から本装着位置に移動させようとすると、リテーナ80が干渉部67に干渉し、本装着位置に達することができない。
【0116】
より具体的には、カバー60の一対のカバー外側壁64の少なくとも一方の先端部が干渉部67を有している。本実施形態では、両方のカバー外側壁64が干渉部67を有している。干渉部67は、カバー外側壁64の先端からリテーナ側キャビティ44側に突出している。干渉部67は、カバー外側壁64の先端において前後方向において部分的に突出している。このため、カバー外側壁64のうち干渉部67が形成されていない部分は、当該干渉部67よりも部分的に凹んでいる。
【0117】
干渉部67は、カバー60が合体状態の位置に達する前の状態では、本装着位置に向うリテーナ80の係止壁部84と干渉する位置に形成されている。また、干渉部67は、カバー60が本装着位置に達した状態では、本装着位置に向うリテーナ80の係止壁部84の移動経路を避けた位置に形成されている。
【0118】
本実施形態では、ハウジング30の側面において、カバー60のカバー外側壁64と、リテーナ80の係止壁部84とが上下方向に対向し合う。前後方向において、リテーナ80の係止壁部84がカバー60のカバー外側壁64が部分的に重なり合う。前後方向において、カバー60のカバー外側壁64のうち係止壁部84が重なる部分には干渉部67は形成されていない。前後方向において、カバー60のカバー外側壁64のうち係止壁部84が重なる部分よりも前側に干渉部67が形成されている。
【0119】
例えば、図7に示すように、リテーナ80が本装着位置に位置する状態で、カバー60をハウジング30に合体させようとする。すると、干渉部67が本装着位置に位置するリテーナ80の係止壁部84に干渉する。このため、カバー60を合体方向に沿ってハウジング30に向けて移動させることができない。また、カバー側合体用突部70、72、74は、合体用突部50、52、54の上側に移動することができないので、カバー60をハウジング30に対して前後方向に移動させることもできない。よって、リテーナ80を先に本装着位置に移動させてしまうと、カバー60をハウジング30に対して正常に合体させることができない。
【0120】
よって、コネクタ20の組立時に、カバー60をハウジング30に合体させた後、リテーナ80を仮装着位置から本装着位置に移動させるようにすることが保証される。
【0121】
そして、カバー60を先にハウジング30に合体させる際に、例えば、カバー60が第1方向P1に沿って合体位置に達する手前に位置するとする(図8参照)。この状態では、干渉部67の後端部は、係止壁部84の前端部の下方に位置している。このため、上記状態で、リテーナ80を押すと、係止壁部84が干渉部67に干渉する。これにより、リテーナ80を押下げできず、リテーナ80がハウジング30の上面よりも突出した状態に保たれる。
【0122】
このため、リテーナ80の装着時に、当該リテーナ80を正常に合体できないことに気付くことによって、当該カバー60の合体が不正常である可能性に容易に気付くことができる。
【0123】
なお、係止壁部84のうちガイド凸部87が形成された部分が干渉部67に干渉するため、ガイド凸部87と干渉する係止壁部84が変形し難い。このため、例えば、リテーナ80を強い力で押下げても、干渉部67と干渉した係止壁部84が外向きに変形等し難く、係止壁部84と干渉部67との干渉状態が保たれ易い。
【0124】
また、第2端子10Bがリテーナ側キャビティ44内に奥まで十分に挿入されない場合、第2端子位置決め凸部83が被覆圧着部11Bに干渉する。このため、第2端子10Bがリテーナ側キャビティ44にセット不完全な状態でも、第2端子位置決め凸部83が第2端子10Bに干渉し、リテーナ80を押下げできない状態となる。この場合でも、リテーナ80の装着時に、当該リテーナ80を正常に合体できないことに気付くことによって、第2端子10Bのセットが不正常である可能性に容易に気付くことができる。
【0125】
つまり、リテーナ80を正常に合体できないことによって、カバー60の合体不正常又は第2端子10Bのセット不正常に気付くことができる。リテーナ80の合体が正常になされていないことは、上記のように、リテーナ80の一部がハウジング30の上面から突出していることを確認することによって、容易に気付くことができる。
【0126】
カバー60が正常に合体している場合、第2端子10Bが奥まで挿入されている場合には、一対の係止壁部84の抜け止凸部85は、係止部46に係止する。この状態では、リテーナ80の上面は、ハウジング30の上面と同一面上に配置されるか、当該上面よりも凹んでいてもよい。
【0127】
<効果等>
以上のように構成されたコネクタ20によると、複数のカバー側合体用突部70、72、74のうちの少なくとも1つを、複数の合体用突部50、52、54の間を通過させると共に、複数の合体用突部50、52、54のうちの少なくとも1つを、複数のカバー側合体用突部70、72、74の間を通過させるようにして、カバー60をハウジング30に仮合体させることができる。この後、ハウジング30に対してカバー60を、キャビティ34の延在方向に沿って移動させると、複数の合体用突部50、52、54と複数のカバー側合体用突部70、72、74とが係止し合って、ハウジング30とカバー60とを合体させることができる。このため、ハウジング30に対するカバー60の仮合体作業時に一対のカバー外側壁64を開かなくてもよい。これにより、コネクタ20の組立途中における負荷発生が抑制される。これにより、組立途中で正常な組立がなされているかどうか紛らわしい負荷発生が抑制され、コネクタ20を適切に組立てることができる。
【0128】
例えば、特許文献1に開示の技術によると、第2半割部材を第1半割部材に仮組付けする際に、第2半割部材の一対の側板部を左右に拡開するように弾性変形させることになる。第2半割部材の一対の側板部を開くために、組付工程の途中で負荷が発生する。端子ユニットの組付途中における負荷の発生は、正確な組付作業に影響を与える可能性がある。例えば、組立途中における負荷の発生は、部品を非正規位置に組付けることによって発生した負荷なのか判別し難い。組立途中において負荷の発生が抑制されることによって、組立途中で負荷が発生しなければ、正常に組立できていることを作業者が認識し易い。
【0129】
最終工程における負荷の発生は、ロックのための負荷である。カバー側合体用抜止突部74が合体用抜止突部54に係止するための最終段階での負荷発生によって、ロックがなされ、組立が終了したことを認識できる。よって、組立途中で負荷発生が抑制され、最終段階でカバー60をロックするための負荷が発生すれば、適切にコネクタ20の組立がなされてことが容易に把握され得る。
【0130】
また、カバー60は、ハウジング30の後方から当該ハウジング30に装着されるのではなく、ハウジング30の前後方向中間部に仮合体された後、ハウジング30に合体する。このため、前後方向においてカバー60の移動距離を少なくでき、組立作業が容易となる。
【0131】
また、第1カバー側合体用対向突部70を、第1合体用対向突部50と第2合体用対向突部52との間を通過させると共に、第2合体用対向突部52を、第1カバー側合体用対向突部70と第2カバー側合体用対向突部72との間を通過させるようにして、カバー60をハウジング30に仮合体させることができる。ハウジング30にカバー60が合体した状態では、第1カバー側合体用対向突部70がカバー本体62とは反対側から第1合体用対向突部50に対向すると共に、第2カバー側合体用対向突部72がカバー本体62とは反対側から第2合体用対向突部52に対向して、カバー60がハウジング30に対して離れる方向に移動することが規制され、合体状態が保たれる。これにより、第1合体用対向突部50及び第2合体用対向突部52の存在範囲をキャビティ34の延在方向において大きくしつつ、合体時におけるカバー60の移動距離を少なくできる。
【0132】
なお、第1合体用対向突部50と第2合体用対向突部52との一方が省略されてもよい。第1カバー側合体用対向突部70と第2カバー側合体用対向突部72との一方が省略されてもよい。
【0133】
また、第2カバー側合体用対向突部72を、第2合体用対向突部52と合体用抜止突部54との間を通過させると共に、合体用抜止突部54を、第2カバー側合体用対向突部72とカバー側合体用抜止突部74との間を通過させるようにして、カバー60をハウジング30に仮合体させることができる。ハウジング30にカバー60が合体した状態では、第2カバー側合体用対向突部72がカバー本体62とは反対側から合体用対向突部52に対向すると共に、カバー側合体用抜止突部74が合体用抜止突部54に対してキャビティ34の延在方向において少なくとも一方側から係止して、合体状態が保たれる。これにより、第1方向P1及び第2方向P2においてカバー60がハウジング30に対して位置決めされる。
【0134】
また、コネクタ20は、カバー側合体用抜止突部74よりも第2カバー側合体用対向突部72とは反対側に延びるカバー側追加対向突部76を有している。このカバー側追加対向突部76がカバー本体62とは反対側から合体用抜止突部54に対向することによっても、カバー60がハウジング30から離れる方向に移動し難く、合体状態が保たれ易い。
【0135】
また、ハウジング30とカバー60との合体状態で、カバー側追加対向突部76と合体用抜止突部54との隙間が、第2カバー側合体用対向突部72と、第2合体用対向突部52との隙間よりも大きければ、カバー側追加対向突部76が合体用抜止突部54に乗上げて、カバー外側壁64が開いたままとなることが抑制される。
【0136】
また、カバー外側壁64が前壁31Fに接触した状態で、カバー側合体用抜止突部74が合体用抜止突部54に対して前壁側から係止することで、キャビティ34の延在方向において、ハウジング30に対してカバー60が位置決めされる。
【0137】
また、外側壁33aの外面のうち合体用突部50、52、54の間の部分とそれらよりも基端側の部分が、カバー外側壁64を初期姿勢に保った状態で、カバー側合体用突部70、72、74を配置可能な面部分に形成されていれば、カバー外側壁64を開かずに初期状態を保った状態で合体作業が実施される。
【0138】
また、第1合体用対向突部50がガイド面50G及び対向面50Fを有し、第2合体用対向突部52がガイド面52G及び対向面52Fを有している。このため、ハウジング30に対してカバー60を第2方向P2に沿って移動させると、ガイド面50G、52Gによってカバー60がハウジング30に対して近づくように移動できる。そして、合体状態では対向面50F、52Fを、第1カバー側合体用対向突部70又は第2カバー側合体用対向突部72に対向させて、カバー60とハウジング30とをしっかりと合体できる。
【0139】
なお、上記ガイド面及び対向面は、第1合体用対向突部50又は第2合体用対向突部52のみに形成されてもよい。ガイド面及び対向面は、第1カバー側合体用対向突部70又は第2カバー側合体用対向突部72に形成されてもよい。
【0140】
また、ハウジング30がリテーナ側キャビティ44を有しており、ハウジング30に対してリテーナ80が合体することで、リテーナ側キャビティ44内で第2端子10Bが保持される。このため、底板31の両側で端子10Aと端子10Bとを別の段で保持できる。カバー60とリテーナ80とが別々の組付方法でハウジング30に組付けられるため、それぞれ別作業として明確に把握される。このため、各作業時に端子10A、10Bの組付間違いを抑制できる。
【0141】
また、リテーナ80が本装着位置に位置する状態で、カバー60をハウジング30に仮合体させようとすると、カバー60の干渉部67がリテーナ80に干渉する。このため、カバー60をハウジング30に合体させてから、リテーナ80を本装着位置に移動させるように、組立手順が統一化される。
【0142】
そして、ハウジング30に対するカバー60の合体が不完全であると、リテーナ80がカバー60の干渉部67に干渉するので、不適切な組立状態が認識され易い。これにより、コネクタ20をより適切に組立てることができる。
【0143】
なお、上記実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。
【符号の説明】
【0144】
10A 第1端子(端子)
10B 第2端子(リテーナ側端子)
11A、11B 被覆圧着部
12A、12B 芯線圧着部
13A、13B 端子接続部
18 電線
20 コネクタ
30 ハウジング
30g 案内溝
31 底板
31F 前壁
31Fa 接続孔
33a 外側壁
33b 中間仕切
34 キャビティ
35 開口
36 第1端子位置決め凸部
43a リテーナ側外側壁
43b 中間仕切
43c 天井板部
44 リテーナ側キャビティ
45 開口
46 係止部
47 仮係止部
48 位置決め用開口
50 合体用突部(合体用対向突部、第1合体用対向突部)
52 合体用突部(合体用対向突部、第2合体用対向突部)
50F、52F 対向面
50G、52G ガイド面
54 合体用突部(合体用抜止突部)
54G 傾斜面
60 カバー
62 カバー本体
64 カバー外側壁
67 干渉部
70 カバー側合体用突部(カバー側合体用対向突部、第1カバー側合体用対向突部)
72 カバー側合体用突部(カバー側合体用対向突部、第2カバー側合体用対向突部)
70F、52F 対向面
74 カバー側合体用突部(カバー側合体用抜止突部)
74G 傾斜面
76 カバー側追加対向突部
80 リテーナ
82 リテーナ本体
83 第2端子位置決め凸部
84 係止壁部
85 抜け止凸部
87 ガイド凸部
P1 第1方向(仮合体方向)
P2 第2方向(合体方向)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8