(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068280
(43)【公開日】2024-05-20
(54)【発明の名称】計測装置
(51)【国際特許分類】
G01N 27/28 20060101AFI20240513BHJP
G01N 33/18 20060101ALI20240513BHJP
G01N 27/38 20060101ALI20240513BHJP
G01N 27/416 20060101ALN20240513BHJP
【FI】
G01N27/28 341A
G01N33/18 106E
G01N33/18 C
G01N27/38 301
G01N27/416 353
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178597
(22)【出願日】2022-11-08
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】518206479
【氏名又は名称】株式会社シンカグループ
(74)【代理人】
【識別番号】100167184
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 真一郎
(72)【発明者】
【氏名】中澤 英太
(57)【要約】
【課題】溶液の計測の自動化を図ること。
【解決手段】計測装置1は、支点を形成する頂部11aを備える土台11と、頂部11aにより支持される被支持部12aを備え、被支持部12aを挟んで一方にPHセンサ16が設けられ、他方に液体を貯留する貯留部13が設けられる棒状体12とを有し、貯留部13に液体が満たされているときに、棒状体12が水平を保ち、貯留部13に流体が満たされてないときに棒状体12がPHセンサ16側に傾きPHセンサ16が水槽17内の溶液に浸される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支点を形成する支持部を備える土台と、
前記支持部により支持される被支持部を備え、前記被支持部を挟んで一方に計測部が設けられ、他方に流体を貯留する貯留部が設けられる棒状体とを有し、
前記貯留部に流体が満たされているときに前記棒状体が水平を保ち、前記貯留部に流体が満たされてないときに前記棒状体が前記計測部側に傾き前記計測部が溶液に浸されることを特徴とする計測装置。
【請求項2】
前記棒状体が前記貯留部側に傾いたとき、前記貯留部に貯留されている流体が前記貯留部外に流出し、前記棒状体が計測部側に傾く請求項1に記載の計測装置。
【請求項3】
前記棒状体を前記貯留部側に傾ける動力部をさらに有する請求項1に記載の計測装置。
【請求項4】
前記動力部は、支点を形成する支持部を備える第2設置物と、前記支持部により支持される被支持部を備え、前記被支持部を挟んで一方に流体を貯留する第2貯留部が設けられる第2棒状体とを有し、前記第2貯留部に貯留されている流体が所定量以内の場合は前記第2棒状体が前記第2貯留部が設けられている側の反対側に傾き、前記第2貯留部に貯留されている流体が所定量より多くなると自重により前記棒状体の前記他方の端部に作用して前記棒状体を前記貯留部側に傾ける請求項3に記載の計測装置。
【請求項5】
前記棒状体の内部に洗浄液が通過する管が配置されており、前記棒状体が水平に保たれているときに前記洗浄液が前記管を通過して前記計測部に供給される請求項1に記載の計測装置。
【請求項6】
開口部を備え前記計測部を収容し、前記計測部に供給される洗浄液を貯留する収容体を有し、前記棒状体が前記計測部側に傾いたとき、前記開口部から前記洗浄液が流出する請求項5に記載の計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
物体に異物が付着しないようにする方法や、物体に付着した異物を除去する方法が知られている。例えば、ダストが存在する環境下で用いられるセンサの検出信号を発信または受信する面を覆うように設けられた保護レンズへの汚れ付着を防止する汚れ付着防止装置は、保護レンズを覆いガス流路が形成されるカバー部材と、カバー部材の内部にガスを供給するガス供給部とを備え、カバー部材は、保護レンズから離れた位置にガス供給部からガスが導入されるガス導入部と、導入されたガスを保護レンズの方向に拡散させるガス拡散部と、保護レンズに対応する位置で、ガス拡散部からのガスを保護レンズから離れる方向に吐出するガス吐出部とを有し、ガス拡散部は直方体状をなしているものが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、ガラス面検知センサと、ガラス面洗浄装置と、光触媒膜形成装置とを搭載した昇降体を建物のガラス面に沿って横移動及び昇降させて、ガラス面検知センサによって建物のガラス面の位置及び大きさを検知した後、ガラス面洗浄装置によってガラス面を洗浄するとともに、光触媒膜形成装置によってガラス面に光触媒膜を形成する方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-103174号公報
【特許文献2】特開2000-254043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年水耕栽培が盛んになっている。水耕栽培に用いる水溶液のPHを計測するPHセンサが知られている。例えば表面がガラス膜で覆われているPHセンサを水溶液に浸しっぱなしにすると、ガラス膜に汚れが付着する。このため、計測時に水溶液に浸し、非計測時には水溶液に浸さないようにするのが好ましい。この計測は、専ら人手により行われる。
しかしながら、人手による計測は面倒であるという問題がある。
1つの側面では、本発明は、水溶液のPHの計測の自動化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、開示の計測装置が提供される。この計測装置は、支点を形成する支持部を備える土台と、支持部により支持される被支持部を備え、被支持部を挟んで一方に計測部が設けられ、他方に流体を貯留する貯留部が設けられる棒状体とを有し、貯留部に流体が満たされているときに棒状体が水平を保ち、貯留部に流体が満たされてないときに棒状体が計測部側に傾き計測部が溶液に浸される。
【発明の効果】
【0006】
1態様では、溶液の計測の自動化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】実施の形態の第1機構部の動作を説明する図である。
【
図3】実施の形態の計測装置の動作を説明する図である。
【
図4】実施の形態の計測装置の動作を説明する図である。
【
図5】実施の形態の計測装置の動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態の計測装置を、図面を参照して詳細に説明する。
【0009】
以下の図面等において示す各構成の位置、大きさ、形状、範囲などは、発明の理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、形状、範囲などを表していない場合がある。このため、本発明は、必ずしも、図面等に開示された位置、大きさ、形状、範囲等に限定されない。
実施の形態において単数形で表される要素は、文面で明らかに示されている場合を除き、複数形を含むものとする。
<実施の形態>
図1は、実施の形態の計測装置を示す図である。
第1の実施の形態の計測装置100は、第1機構部1と第2機構部2とを有している。
<第1機構部>
第1機構部1は、土台11と、棒状体12とを有している。
【0010】
土台11の頂部11aは支持部(支点)を形成しており、その支持部上に棒状体12の被支持部12aが配置される。本実施の形態では、土台11と棒状体12を模式的に図示している。土台11と棒状体12の係合方法については特に限定されないが、例えばししおどしやシーソーのような係合方法になっていてもよい。
【0011】
被支持部12aを挟んで棒状体12の一方には貯留部13が配置されている。また、棒状体12の一方の端部には被係合部12bが配置されている。被支持部12aを挟んで棒状体12の他方の端部にはセンサ配置部14が設けられている。
【0012】
貯留部13は、開口部13aを有している。液体排出部15から排出される液体(例えば水)は、この開口部13aを介して貯留部13内に流入する。貯留部13は、流入した液体を貯留する。
【0013】
センサ配置部14にはPH(ペーハー)センサ(計測部)16が配置される。PHセンサ16は、例えば水槽17に貯留された液体のPHを検出する。本実施の形態のPHセンサ16は、表面がガラス膜で覆われている。PHセンサ16は近距離通信手段を有しており、検出したPHに関する情報を図示しないコンピュータに送信することができる。近距離通信手段としては、例えばWi-Fiや、Bluetooth(登録商標)等が挙げられる。
また、センサ配置部14には開口部(切り欠き)14aが形成されている。
【0014】
棒状体12の内部には供給管18が配置されている。供給管18には図示しない供給手段から洗浄液(例えば蒸留水)が供給される。供給管18に供給された洗浄液はセンサ配置部14に供給される。センサ配置部14内の点線はセンサ配置部14に供給された洗浄液の水位を示している。PHセンサ16の検出部分に洗浄液が供給されることでPHセンサ16の検出部分を洗浄することができる。
水槽17には溶液(養液)が満たされている。この水槽17内には、例えば水耕栽培の栽培物が配置される。
この第1機構部1の動作を簡単に説明する。
図2は、実施の形態の第1機構部の動作を説明する図である。
以下の説明では、頂部11aを挟んで左側の棒状体12の部分を「棒状体12の左側」と言い、右側の棒状体12の部分を「棒状体12の右側」と言う。
【0015】
貯留部13に液体が満たされていない場合は
図2に示すように棒状体12の右側が下降し、センサ配置部14の一部または全部が水槽17内に配置される。この状態において開口部14aから水槽17内の溶液がセンサ配置部14内に流入するため、PHセンサ16は溶液に浸され、水槽17内の溶液のPHの検出が可能となる。棒状体12やセンサ配置部14の浮力によりセンサ配置部14が水槽17の底面に接触しないようになっていてもよいし、水槽17内の溶液の抵抗により緩やかに水槽17の底面に接触するようになっていてもよい。
【0016】
液体排出部15から排出される液体により貯留部13内に液体が溜まってくると、少しずつ棒状体12の左側が下降し、棒状体12の右側が上昇する。なお、棒状体12の左側が下降するにつれて開口部13aの位置が少しずつ
図2中左側に移動していくが、液体排出部15から排出される液体を受け止められるよう、開口部13aは、十分に大きく形成されている。そして貯留部13に液体が満たされると
図1に示すように棒状体12が水平になり釣り合いを保つようになっている。液体排出部15から液体が排出され続けるが、貯留部13に入りきれなかった液体は貯留部13から溢れ出て棒状体12は釣り合いを保つ。
【0017】
液体排出部15から排出される液量を調整したり、貯留部13の容量を変更したりすることによりPHセンサ16が水槽17内に配置される時間を調整することができる。PHセンサ16の計測時間が例えば5分である場合は、5分で貯留部13に液体が満たされるように液体排出部15から排出される液量を調整することができる。
再び
図1に戻って説明する。
<第2機構部>
第2機構部2は、「ししおどし」の原理を利用している。
第2機構部2は、土台21と、棒状体22とを有している。
【0018】
土台21の頂部21aは支持部(支点)を形成しており、その支持部上に棒状体22の被支持部22aが配置される。本実施の形態では、土台21と棒状体22を模式的に図示している。土台21と棒状体22の係合方法については特に限定されないが、例えばししおどしやシーソーのような係合方法になっていてもよい。
頂部21aを挟んで棒状体22の一方には貯留部23が配置されている。また、棒状体22の一方の端部には係合部22bが配置されている。
【0019】
貯留部23は、開口部23aを有している。液体排出部24から排出される液体(例えば水)は、この開口部23aを介して貯留部23内に流入する。貯留部23は、流入した液体を貯留する。
以下の説明では、頂部21aを挟んで左側の棒状体22の部分を「棒状体22の左側」と言い、右側の棒状体22の部分を「棒状体22の右側」と言う。
【0020】
図1に示すように、第2機構部2は、貯留部23に貯留されている液体の量が所定量以下の場合、棒状体22の左側が下降し、棒状体22の右側が上昇している。
【0021】
液体排出部24から排出される液体により貯留部23内に液体が溜まってくると、少しずつ棒状体22の右側が下降し、棒状体22の左側が上昇する。なお、棒状体22の右側が下降するにつれて開口部23aの位置が少しずつ
図1中右側に移動していくが、液体排出部24から排出される液体を受け止められるよう、開口部23aは、十分に大きく形成されている。
次に、計測装置1の動作を説明する。
【0022】
前述したように、貯留部13に液体が満たされると
図1に示すように棒状体12が水平になり釣り合いを保つようになっている。液体排出部15から液体が排出され続けるが、貯留部13に入りきれなかった液体は貯留部13から溢れ出て棒状体12は釣り合いを保つ。このとき、供給管18には図示しない供給手段から洗浄液が供給される。供給管18に供給された洗浄液はセンサ配置部14に供給される。
【0023】
液体排出部24から排出される液体により貯留部23内に液体が溜まってくると、少しずつ勢いを増しながら棒状体22の右側が下降し、棒状体22の左側が上昇する。
図3~
図5は、実施の形態の計測装置の動作を説明する図である。
【0024】
図3に示すように、棒状体22の右側が下降すると係合部22bが被係合部12bに当接して被係合部12bを紙面下方に押圧する。すると、
図4に示すように棒状体12の左側が勢いよく下降して貯留部13に貯留されている液体が開口部13aから溢れ出る。これにより棒状体12の右側よりも棒状体12の左側が軽くなる。また、被係合部12bを押圧した後に棒状体22の右側も下降し貯留部23に貯留されている液体が開口部23aから溢れ出る。これにより棒状体22の左側よりも棒状体22の右側が軽くなる。このとき、センサ配置部14内に溜まっている液体は供給管18を介して外部に排出されるようになっていてもよい。
【0025】
その後、
図5に示すように棒状体12の左側が上昇し、棒状体12の右側が下降する。従って、PHセンサ16が水槽17内に配置され、PHセンサ16による水槽17内の液体のPHの計測が可能となる。また、棒状体22の右側も上昇し、棒状体22の左側が下降する。
【0026】
その後、貯留部13および貯留部23の双方に液体が溜まり始める。貯留部23が下降を始めるより先に、貯留部13の下降が始まるよう、液体排出部15、24の流量や、貯留部13および貯留部23の配置位置等を調整することにより、再び
図1に示す状態に戻る。
【0027】
以上述べたように、実施の形態の計測装置1は、支点を形成する頂部11aを備える土台11と、頂部11aにより支持される被支持部12aを備え、被支持部12aを挟んで一方にPHセンサ16が設けられ、他方に液体を貯留する貯留部13が設けられる棒状体12とを有し、貯留部13に液体が満たされているときに、棒状体12が水平を保ち、貯留部13に流体が満たされてないときに棒状体12がPHセンサ16側に傾きPHセンサ16が水槽17内の溶液に浸される。これにより、PHセンサ16により計測を行わないときには貯留部13に液体を満たすことで棒状体12が水平を保つので、PHセンサ16が水槽17に入りっぱなしになることにより、PHセンサ16のガラス膜に汚れが付着することを抑制することができる。
【0028】
また、棒状体12が貯留部13側に傾いたとき、貯留部13に貯留されている液体が貯留部13外に流出し、棒状体12がPHセンサ16側に傾く。これにより、PHセンサ16の位置を容易に管理することができる。
【0029】
また、棒状体12を貯留部13側に傾ける動力部(本実施の形態では第2機構部2)をさらに設けた。任意のタイミングで第2機構部2を動作させることにより、PHセンサ16の計測のタイミングを容易に管理することができる。
【0030】
また、棒状体12の内部に洗浄液が通過する供給管18が配置されており、棒状体12が水平に保たれているときに洗浄液が供給管18を通過してPHセンサ16に供給されるようにした。これにより、PHセンサ16を洗浄することができる。
【0031】
また、開口部14aを備えPHセンサ16を収容し、PHセンサ16に供給される洗浄液を貯留するセンサ配置部14を設けた。これにより、供給管18から供給された洗浄液を貯留することができるので、PHセンサ16のガラス膜をより確実に洗浄することができる。また、PHセンサ16による計測の際に洗浄液は水槽17内に排出されるため洗浄液の入れ替えも容易である。
なお、本実施の形態では貯留部13には液体を貯留したが、空気よりも重い気体(流体)を貯留するようにしてもよい。
【0032】
また、本実施の形態では棒状体12を貯留部13側に傾ける動力部として第2機構部2を使用したが、動力部はこれに限定されず、例えば頂部11a近傍にモータを配置し、このモータを回転させて棒状体12を貯留部13側に傾けてもよい。風力を利用して棒状体12を貯留部13側に傾けてもよい。
【0033】
また、本実施の形態では、水耕栽培の栽培物が配置される水槽17の溶液(養液)のPHを計測した。しかし、計測対象はこれに限らず例えば切削用の水溶性切削液(例えばソリュブル型、エマルション型、ケミカルソリューション型等)等であってもよい。
【0034】
以上、本発明の計測装置を、図示の実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物や工程が付加されていてもよい。
また、本発明は、前述した各実施の形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【符号の説明】
【0035】
1 第1機構部
2 第2機構部
11、21 土台
11a 頂部
12、22 棒状体
12a、22a 被支持部
13、23 貯留部
13a、23a 開口部
14 センサ配置部
15、24 液体排出部
16 PHセンサ
17 水槽
18 供給管
22b 係合部