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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068289
(43)【公開日】2024-05-20
(54)【発明の名称】EFEM
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20240513BHJP
【FI】
H01L21/68 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178617
(22)【出願日】2022-11-08
(71)【出願人】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】小倉 源五郎
(72)【発明者】
【氏名】河合 俊宏
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131CA47
5F131DA32
5F131DA36
5F131DA42
5F131DB02
5F131DB52
5F131GA14
5F131HA02
5F131HA12
5F131HA23
5F131HA28
5F131JA08
5F131JA14
5F131JA15
5F131JA27
(57)【要約】
【課題】EFEMの外側において接続モジュールの取付作業を行えない場合でも、接続モジュールをEFEM及び前室に容易に取り付ける。
【解決手段】EFEM1は、搬送室41が形成された筐体2と、搬送室41とロードロック室7とを密封しつつ接続するように構成された接続モジュール60と、を備える。筐体2は、開口34aが形成された背面壁34を有する。接続モジュール60は、フランジ61bと、後面部61dと、可撓パッキン63とを有する。可撓パッキン63は、少なくとも前後方向に伸縮可能な伸縮部63cと、接続プレート62に接触する後端部63bとを有する。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象品が搬送される搬送室が形成された筐体と、
前記搬送室と、前記処理対象品に所定の処理を施す処理装置に設けられた前室との間に設けられた接続モジュールと、を備えるEFEMであって、
前記筐体は、前記処理対象品が通過可能な筐体側開口が形成された背面部材、を有し、
前記接続モジュールは、
前記筐体側開口を前記搬送室側から見たときに、前記筐体側開口の周りに配置され、前記背面部材の前記搬送室側の面に押し当てられた第1枠部と、
前記筐体側開口を前記搬送室側から見たときに、前記前室に設けられ前記処理対象品が通過可能な前室側開口の周りに配置されており、且つ、前記第1枠部と接続された第2枠部と、
前記第2枠部よりも前記前室側に配置され、前記第2枠部に固定され、前記前室側開口を形成する前室側開口部に押し当てられることにより前記第2枠部と前記前室とを密封するように構成されたシール部と、を有し、
前記シール部は、
少なくとも、前記筐体と前記処理装置とが並べられた所定方向に伸縮可能な可撓部と、
前記可撓部と接続され、前記前室側開口を囲う囲い部と、を有することを特徴とするEFEM。
【請求項2】
前記前室側開口部は、
前記囲い部が取り付けられる第1取付部材と、
前記第1取付部材よりも前記前室側に配置され、前記第1取付部材が固定される第2取付部材と、を有し、
前記第1取付部材は前記接続モジュールに属し、前記第2取付部材は前記前室に属していることを特徴とする請求項1に記載のEFEM。
【請求項3】
前記可撓部は、前記シール部を前記所定方向に伸縮させるための蛇腹構造を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のEFEM。
【請求項4】
前記第2枠部は、前記第1枠部よりも前記前室側に配置され、
前記接続モジュールは、
前記第1枠部と前記第2枠部との間に配置され、且つ、前記背面部材よりも前記前室側に突出した中空の突出部、を有し、
前記突出部は、
前記筐体の外部の空間と前記突出部の内部の空間とを接続可能な開口と、前記開口を開閉可能なカバーと、を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のEFEM。
【請求項5】
前記接続モジュールは、
前記第1枠部を前記背面部材に固定するように構成された第1固定部と、
前記シール部を前記前室側開口部に固定するように構成された第2固定部と、を有し、
前記第1固定部は、
前記第1枠部よりも前記搬送室側に配置され、前記背面部材に前記第1固定部を固定する操作が行われることが可能に構成された第1操作部を有し、
前記第2固定部は、
前記囲い部よりも前記搬送室側に配置され、前記前室側開口部に前記シール部を固定する操作が行われることが可能に構成された第2操作部を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のEFEM。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、EFEMに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、機器フロントエンドモジュール(EFEM)と、電子デバイス処理システムに設けられたロードロックアセンブリ(以下、前室)とを接続するためのインターフェース(以下、接続モジュール)が開示されている。より具体的には、EFEMと前室は、所定方向に並べて配置されている。また、当該接続モジュールは、板状の取付部材と、蛇腹状の可撓性密封材とを含む。取付部材は、前室に連結されている。可撓性密封材は、取付部材に連結されており、取付部材の周りに配置されている。可撓性密封材は、EFEM内の開口部の周りを密封するように構成された密封フランジを含む。さらに詳細には、取付部材は、所定方向においてEFEM側から固定具によって前室に固定されている。密封フランジは、所定方向において前室側から固定具によってEFEMの壁に固定されている。
【0003】
上記の接続モジュールにおいては、可撓性密封材によって、取付部材と密封フランジとの所定方向における位置関係が容易に変更される。このため、設計誤差に起因してEFEMと前室との所定方向における位置ずれが大きい場合でも、当該位置ずれがある程度許容される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6882467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した接続モジュールを実際にEFEM及び前室に取り付けるためには、EFEMの内部及び外部の両方から接続モジュールにアクセスする必要がある。しかし、既に前室が設けられている場合に、EFEMの外側において十分な作業スペースが設けられていない状況も生じうる。このような場合、接続モジュールをEFEMに取り付けることができないという問題が発生する。
【0006】
本発明の目的は、EFEMの外側において接続モジュールの取付作業を行えない場合でも、接続モジュールをEFEM及び前室に容易に取り付けることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明のEFEMは、処理対象品が搬送される搬送室が形成された筐体と、前記搬送室と、前記処理対象品に所定の処理を施す処理装置に設けられた前室との間に設けられた接続モジュールと、を備えるEFEMであって、前記筐体は、前記処理対象品が通過可能な筐体側開口が形成された背面部材、を有し、前記接続モジュールは、前記筐体側開口を 前記搬送室側から見たときに、前記筐体側開口の周りに配置され、前記背面部材の前記搬送室側の面に押し当てられた第1枠部と、前記筐体側開口を 前記搬送室側から見たときに、前記前室に設けられ前記処理対象品が通過可能な前室側開口の周りに配置されており、且つ、前記第1枠部と接続された第2枠部と、前記第2枠部よりも前記前室側に配置され、前記第2枠部に固定され、前記前室側開口を形成する前室側開口部に押し当てられることにより前記第2枠部と前記前室とを密封するように構成されたシール部と、を有し、前記シール部は、少なくとも、前記筐体と前記処理装置とが並べられた所定方向に伸縮可能な可撓部と、前記可撓部と接続され、前記前室側開口を囲う囲い部と、を有することを特徴とする。
【0008】
本発明では、第1枠部を搬送室側から背面部材に押し当てることができる。また、シール部の囲い部を搬送室側から前室側開口部に押し当てることができる。これにより、EFEM及び処理装置の両方が設置された後に、搬送室側から(すなわち、筐体の内部において)接続モジュールを背面部材及び前室側開口部に押し当てることができる。また、第1枠部を背面部材に押し当てた後で、囲い部を所定方向に動かして位置調整することにより、囲い部と前室側開口部との所定方向における位置ずれの補償を容易に行うことができる。したがって、EFEMの外側において接続モジュールの取付作業を行えない場合でも、接続モジュールをEFEM及び前室に容易に取り付ける(押し当てる)ことができる。
【0009】
第2の発明のEFEMは、前記第1の発明において、前記前室側開口部は、前記囲い部が取り付けられる第1取付部材と、前記第1取付部材よりも前記前室側に配置され、前記第1取付部材が固定される第2取付部材と、を有し、前記第1取付部材は前記接続モジュールに属し、前記第2取付部材は前記前室に属していることを特徴とする。
【0010】
本発明では、前室に属する第2取付部材の仕様に応じた第1取付部材を準備することにより、あらゆる前室に接続モジュールを取り付けることができる。
【0011】
第3の発明のEFEMは、前記第1又は第2の発明において、前記可撓部は、前記シール部を前記所定方向に伸縮させるための蛇腹構造を有することを特徴とする。
【0012】
搬送室と前室との間の空間の密封性を十分に維持するためには、強度がそれなりに高い部材を可撓部として用いる必要がある。このため、可撓部に外力を作用させているときにのみ可撓部が伸びている(又は縮んでいる)状態が維持される構成では、囲い部と前室側開口部との位置合わせの際に、かなり強い力を可撓部に加える必要が生じうる。このような場合、接続モジュールをEFEM及び処理装置に取り付ける際に、可撓部に力を加え続ける必要が生じ、取付作業を行いにくくなる等のおそれがある。この点、本発明では、可撓部が蛇腹構造を有するため、可撓部が一度変形させられれば、再度力が加えられなくても、変形後の形状がある程度維持される。したがって、取付作業を容易に行うことができる。
【0013】
第4の発明のEFEMは、前記第1又は第2の発明において、前記第2枠部は、前記第1枠部よりも前記前室側に配置され、前記接続モジュールは、前記第1枠部と前記第2枠部との間に配置され、且つ、前記背面部材よりも前記前室側に突出した中空の突出部、を有し、前記突出部は、前記筐体の外部の空間と前記突出部の内部の空間とを接続可能な開口と、前記開口を開閉可能なカバーと、を有することを特徴とする。
【0014】
一般的に、EFEMが完成した状態では、処理対象品がEFEMと前室との間で搬送される様子を確認することは容易ではない。また搬送室内に立ち入って接続モジュールの点検及び/又はメンテナンスを行うことも容易ではない。この点、本発明では、カバーを突出部から外して開口を開けることにより、処理対象品が搬送されている様子を筐体の外側から視認できる。また、EFEMの稼働が停止された状態でカバーを突出部から外して開口を開けることにより、接続モジュール及びその周辺部の点検及び/又はメンテナンスを行うことができる。
【0015】
第5の発明のEFEMは、前記第1又は第2の発明において、前記接続モジュールは、前記第1枠部を前記背面部材に固定するように構成された第1固定部と、前記シール部を前記前室側開口部に固定するように構成された第2固定部と、を有し、前記第1固定部は、前記第1枠部よりも前記搬送室側に配置され、前記背面部材に前記第1固定部を固定する操作が行われることが可能に構成された第1操作部を有し、前記第2固定部は、前記囲い部よりも前記搬送室側に配置され、前記前室側開口部に前記シール部を固定する操作が行われることが可能に構成された第2操作部を有することを特徴とする。
【0016】
本発明では、取付作業を行いやすい環境を維持しつつ、搬送室と前室とを接続する空間の気密性をより高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施形態に係るEFEM及びその周辺の概略的な平面図である。
図2】EFEMの電気的構成を示す図である。
図3】筐体の正面図である。
図4図3のIV-IV断面図である。
図5図3のV-V断面図である。
図6】(a)、(b)は、ロードロック室の前端部を示す図である。
図7】(a)、(b)は、接続モジュールの斜視図である。
図8】接続モジュールの分解斜視図である。
図9】接続モジュールの、上下方向と直交する断面の模式図である。
図10】接続モジュールをEFEM及びロードロック室に取り付ける方法を示す説明図である。
図11】接続モジュールをEFEM及びロードロック室に取り付ける方法を示す説明図である。
図12】接続モジュールをEFEM及びロードロック室に取り付ける方法を示す説明図である。
図13】変形例に係る接続モジュールの、上下方向と直交する断面の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の実施の形態について説明する。説明の便宜上、図1に示す方向を前後左右方向と定義する。すなわち、EFEM(Equipment Front End Module)1と処理装置6とが並べられている方向を前後方向(本発明の所定方向)と定義する。前後方向において、EFEM1側を前側(本発明の搬送室側)と定義する。前側は、所定方向における他方側に相当する。前後方向において、処理装置6側を後側(本発明の前室側)と定義する。後側は、所定方向における一方側に相当する。前後方向と直交する、複数のロードポート4が並べられる方向を左右方向と定義する。また、前後方向及び左右方向の両方と直交する方向を上下方向と定義する。
【0019】
(EFEM及び周辺の概略構成)
EFEM1及びその周辺の概略構成について、図1及び図2を参照しつつ説明する。図1は、本実施形態に係るEFEM1及びその周辺の概略的な平面図である。図2は、EFEM1の電気的構成を示す図である。EFEM1は、筐体2と、搬送ロボット3と、複数のロードポート4と、制御装置5(図2参照)とを備える。EFEM1の後側には、処理装置6が配置されている。処理装置6は、半導体基板であるウェハW(本発明の処理対象品)に所定の処理を施す装置である。所定の処理とは、例えば真空チャンバー内で行われる処理(スパッタリング、ドライエッチングなど)であっても良く、或いは他の処理であっても良い。EFEM1は、筐体2内に配置された搬送ロボット3によって、ロードポート4に載置されているFOUP(Front-Opening Unified Pod)100と処理装置6との間でウェハWの受渡しを行う。FOUP100は、複数のウェハWを上下方向に並べて収容可能な容器である。FOUP100の後端部(前後方向における筐体2側の端部)には蓋101が取り付けられている。FOUP100は、不図示の搬送装置によって搬送される。搬送装置とロードポート4との間で、FOUP100の受渡しが行われる。
【0020】
筐体2は、複数のロードポート4と処理装置6とを接続するためのものである。図1に示すように、筐体2の内部には、ウェハWが搬送される搬送室41が形成されている。搬送室41は、筐体2の外側の空間(以下、外部空間9)に対して略密封されている。EFEM1が稼動しているとき、搬送室41は、不活性ガス(例えば窒素)で満たされている。筐体2は、搬送室41を含む内部空間40を不活性ガスが循環するように構成されている。搬送室41は、公知のゲートバルブ10及び後述の接続モジュール60を介して、処理装置6のロードロック室7(本発明の前室)と接続されている。ゲートバルブ10は、例えば、筐体2の後端部(後述する背面壁34の近傍)よりも後側に配置されている。ゲートバルブ10は、ロードロック室7に属する。本実施形態では、左右方向に2つのゲートバルブ10が配置されている。ウェハWは、いずれかのゲートバルブ10を通って搬送室41とロードロック室7との間で搬送される。なお、ゲートバルブ10の数はこれに限られない。
【0021】
搬送ロボット3は、搬送室41内においてウェハWの搬送を行うように構成されている。搬送ロボット3は、例えば、基台部3a(図3参照)と、アーム機構3b(図3参照)と、ロボット制御部11(図2参照)とを有する。基台部3aは、搬送室41内における位置が固定された部分である。アーム機構3bは、基台部3aに取り付けられ、ウェハWを保持して搬送するように構成されている。搬送ロボット3は、主に、FOUP100内のウェハWを取り出して処理装置6に渡す動作、及び処理装置6によって処理されたウェハWを受け取ってFOUP100に戻す動作を行う。
【0022】
複数のロードポート4の各々は、FOUP100が載置されるように構成されている(図5参照)。複数のロードポート4は、左右方向に並べて配置されている。各ロードポート4の後端部は、筐体2の前側の隔壁に沿うように配置されている。ロードポート4は、FOUP100内の雰囲気を不活性ガス(例えば窒素)に置換可能に構成されている。ロードポート4の後端部には、ドア4aが設けられている。ドア4aは、不図示のドア開閉機構によって開閉される。ドア4aは、FOUP100の蓋101のロックを解除可能、且つ、蓋101を保持可能に構成されている。ロックが解除された蓋101をドア4aが保持している状態で、ドア移動機構がドア4aを開けることで、蓋101が開けられる。これにより、FOUP100内のウェハWが、搬送ロボット3によって取り出されることが可能になる。
【0023】
図2に示すように、制御装置5は、搬送ロボット3のロボット制御部11、ロードポート4の制御部(不図示)、処理装置6の制御部(不図示)と電気的に接続されており、これらの制御部との通信を行う。制御装置5は、筐体2内に設置された酸素濃度計111、圧力計112、湿度計113等の計測機器と電気的に接続されている。制御装置5は、これらの計測機器の計測結果を受信して、筐体2内の雰囲気に関する情報を把握する。制御装置5は、供給バルブ114及び排出バルブ115と電気的に接続されている。制御装置5は、これらのバルブの開度を調節することにより、筐体2内の雰囲気を適宜調節する。
【0024】
処理装置6(図1参照)は、例えば、ロードロック室7と、処理室8とを有する。ロードロック室7は、ウェハWを一時的に待機させるための部屋である。ロードロック室7内の気圧は、例えば、真空に近い気圧(搬送室41の気圧よりも非常に低い気圧)に維持される。ロードロック室7は、例えばゲートバルブ10を介して搬送室41と接続されている。処理室8は、例えば不図示のドアを介してロードロック室7と接続されている。処理室8では、不図示の処理機構によって、ウェハWに対して所定の処理が施される。
【0025】
(筐体及びその内部の構成)
次に、筐体2及びその内部の構成について、図3図5を参照しつつ説明する。図3は、筐体2の正面図である。図4は、図3のIV-IV断面図である。図5は、図3のV-V断面図である。図3においては、後述する隔壁の図示を省略している。図5においては、搬送ロボット3等の図示を省略している。
【0026】
筐体2は、全体として直方体状である。図3図5に示すように、筐体2は、柱21~26と、複数の隔壁(底板31、天板32、前面壁33、背面壁34、左側面壁35及び右側面壁36)とを有する。上下方向に延びる柱21~26に複数の隔壁が取り付けられており、筐体2の内部空間40が外部空間9に対して略密封されている。
【0027】
より具体的には、図4に示すように、柱21~24は、筐体2の前端部の左端から右端にかけて、この順で並べて配置されている。柱22、23は、例えば柱21及び柱24よりも短い。柱25は、筐体2の後端部の左端に配置されている。柱26は、筐体2の後端部の右端に配置されている。
【0028】
底板31は、筐体2の底部に配置されている(図3参照)。天板32は、筐体2の天井部に配置されている(図3参照)。前面壁33は、筐体2の前端部に配置されている(図4参照)。背面壁34(本発明の背面部材)は、筐体2の後端部に配置されている(図4参照)。左側面壁35は、筐体2の左端部に配置されている(図4参照)。右側面壁36は、筐体2の右端部に配置されている(図4参照)。これらの部材は、例えば、一般的な板金(圧延された厚さ6mm以下の金属板)で形成されている。
【0029】
図3及び図5に示すように、筐体2内の上側部分(柱22、23の上方)には、水平方向に延びる支持板37が配置されている。これにより、筐体2の内部は、下側に形成された前述の搬送室41と、上側に形成されたFFU設置室42とに分かれている。FFU設置室42内には、後述するFFU(ファンフィルタユニット)44が配置されている。支持板37の前後方向における中央部には、搬送室41とFFU設置室42とを接続する開口37aが形成されている。
【0030】
次に、筐体2内で不活性ガスを循環させるための構成について、図3図5を参照しつつ説明する。図5に示すように、筐体2の内部空間40には、不活性ガスを循環させるための循環路が形成されている。循環路は、搬送室41と、FFU設置室42と、帰還路43とによって構成されている。内部空間40においては、FFU44によって清浄化された不活性ガスが、FFU設置室42から下方へ送り出され、搬送室41の下端部まで到達した後、帰還路43を通って上昇し、FFU設置室42に戻る(図5の矢印参照)。
【0031】
FFU設置室42は、搬送室41の上側に配置されている。FFU設置室42には、FFU44と、ケミカルフィルタ45とが設けられている。FFU44は、支持板37上に配置されている。FFU44は、FFU設置室42内の不活性ガスを下方に送出しつつ、不活性ガスに含まれるパーティクル(不図示)を除去するように構成されている。ケミカルフィルタ45は、例えば処理装置6から内部空間40に持ち込まれた活性ガス等を除去するように構成されている。FFU44及びケミカルフィルタ45によって清浄化された不活性ガスは、FFU設置室42から、支持板37に形成された開口37aを介して搬送室41に送り出される。搬送室41に送り出された不活性ガスは、層流を形成し、下方へ流れる。
【0032】
帰還路43は、筐体2の前端部に配置された柱21~24(図5においては柱23)及び支持板37に形成されている。すなわち、柱21~24は例えば中空になっており、不活性ガスが通れる空間21a~24aがそれぞれ形成されている(図4参照)。空間21a~24aが、それぞれ帰還路43を構成している。帰還路43は、支持板37の前端部に形成された開口37bによってFFU設置室42と接続されている(図5参照)。
【0033】
帰還路43について、図5を参照しつつ説明する。図5には柱23が示されているが、他の柱21、22、24についても同様である。柱23の下端部には、搬送室41内の不活性ガスを帰還路43(空間23a)に導く導入ダクト27が取り付けられている。搬送室41の下端部に到達した不活性ガスは、導入ダクト27の入口を通って導入ダクト27に流入する。導入ダクト27の内部には、ファン46が配置されている。ファン46は、不図示のモータによって回転駆動される。ファン46は、搬送室41の下端部に到達した不活性ガスを吸い込んで上方(帰還路43側)へ送り出す。これにより、不活性ガスは、帰還路43を通ってFFU設置室42に戻る。FFU設置室42に戻された不活性ガスは、FFU44やケミカルフィルタ45によって清浄化され、再び搬送室41へ送り出される。以上のようにして、不活性ガスが循環路内を循環する。
【0034】
図3に示すように、例えばFFU設置室42の側部には、内部空間40に不活性ガスを供給するための供給管47が接続されている。供給管47は、不活性ガス(例えば窒素)の供給源116に接続されている。供給管47の途中部には、不活性ガスの単位時間あたりの供給量を変更可能な供給バルブ114が設けられている。
【0035】
図5に示すように、搬送室41の前端部には、循環路内の気体を排出するための排出管48が接続されている。排出管48は、例えば不図示の排気ポートにつながっている。排出管48の途中部には、循環路内の気体の単位時間あたりの排出量を変更可能な排出バルブ115が設けられている。供給バルブ114及び排出バルブ115は、制御装置5と電気的に接続されている(図2参照)。これにより、内部空間40への不活性ガスの供給及び内部空間40からの気体の排出が可能となっている。
【0036】
EFEM1においては、ウェハWの品質低下を抑制するため、内部空間40内の酸素濃度が所定の目標濃度以下に維持される必要がある。また、EFEM1においては、同じくウェハWの品質低下を抑制するため、内部空間40の湿度が所定の目標値以下に維持される必要がある。制御装置5は、酸素濃度計111による検知結果及び/又は湿度計113による検知結果に基づき、供給バルブ114の開度を調節する。これにより、内部空間40への不活性ガスの供給流量が調節される。その結果として、内部空間40内の酸素濃度及び内部空間40の湿度が調節される。また、EFEM1においては、内部空間40の圧力が外部空間9の圧力よりもわずかに高く維持される必要がある。これは、内部空間40から外部空間9への不活性ガスの漏出を抑制しつつ、外部空間9から内部空間40への大気の侵入を防ぐためである。制御装置5は、圧力計112による検知結果に基づき、排出バルブ115の開度を調節する。これにより、内部空間40からの不活性ガスの排出流量が調節される。その結果として、内部空間40の圧力が調節される。以上のように、不活性ガスの供給流量及び排出流量が調節されることで、内部空間40内の雰囲気が制御される。
【0037】
(ロードロック室の前端部)
次に、ロードロック室7の前端部を構成する部材について、図6(a)及び図6(b)を参照しつつ説明する。図6(a)は、ロードロック室7の前端部の平面図である。図6(a)は、ロードロック室7の前端部の正面図である。より詳細には、図6(a)及び図6(b)の各々は、ゲートバルブ10及びその周辺構成を示す図である。
【0038】
ロードロック室7の前端部は、例えば、フレーム部材50によって形成されている。フレーム部材50は、例えば金属材料からなるブロックを切削加工して形成されている。図6(a)に示すように、フレーム部材50は、例えば、壁部51と、壁部52と、仕切部53とを有する。壁部51は、ロードロック室7を形成する部分である。壁部52は、接続空間SCを形成する部分である。接続空間SCは、ゲートバルブ10及び後述する接続モジュール60が配置される空間である。接続空間SCは、ロードロック室7と筐体2の搬送室41との間に配置されている。より詳細には、本実施形態では、接続空間SCは、前後方向において仕切部53と背面壁34との間に配置されている。仕切部53は、例えば左右方向に延びた、ロードロック室7と接続空間SCとを仕切る部分である。仕切部53には、例えば左右方向に延びた開口53a(図6(a)参照)が形成されている。開口53aは、アーム機構3bの先端部(すなわち、ウェハWを保持する部分)及びウェハWが前後方向に通過可能な大きさを有する。
【0039】
ゲートバルブ10は、開口53aを開閉可能に構成されている。ゲートバルブ10は、枠部54(本発明の第2取付部材。図6(a)、(b)参照)と、ゲート部55(図6(b)参照)とを有する。枠部54は、例えば略直方体状の部材である。枠部54は、前側が開放された開口54aを有する。枠部54は、前側から見たときに、ゲート部55の貫通孔55a(図6(b)参照)を囲むように配置されている。枠部54の前端には、接続モジュール60を取り付けるための取付面54b(図6(b)のハッチング部分を参照)が形成されている。取付面54bには、複数のねじ孔54c(図6(b)参照)が形成されている。ゲート部55は、前後方向に貫通した貫通孔55aを有する。貫通孔55aは、アーム機構3bの先端部及びウェハWが前後方向に通過可能な大きさを有する。貫通孔55aは、不図示の開閉機構によって開閉される。
【0040】
(接続モジュール)
さらに、EFEM1は、接続モジュール60(図7(a)~図9参照)を備える。接続モジュール60は、搬送室41及びロードロック室7の密封性を確保しつつ、搬送室41とロードロック室7とを接続するように構成されている。接続モジュール60は、接続空間SCに配置される。接続モジュール60は、EFEM1及びロードロック室7に容易に取り付けられるように、以下のように構成されている。
【0041】
接続モジュール60の構成について、図7(a)~図9を参照しつつ説明する。図7(a)は、接続モジュール60を斜め前から見た斜視図である。図7(b)は、接続モジュール60を斜め後ろから見た斜視図である。図8は、接続モジュール60の分解斜視図である。図9は、接続モジュール60の上下方向に直交する断面の模式図である。
【0042】
図7(a)~図9に示すように、接続モジュール60は、例えば、本体61と、接続プレート62(本発明の第1取付部材)と、可撓パッキン63(本発明のシール部)と、第1押え板64と、第2押え板65と、上板66(本発明のカバー)とを有する。これらの部材が組み合わされることにより、1つの接続モジュール60が組み立てられる。本体61は、背面壁34に固定される。接続プレート62は、ゲートバルブ10に固定される。可撓パッキン63は、前後方向において本体61と接続プレート62との間に配置される。第1押え板64は、可撓パッキン63の前端部63a(後述)を本体61に固定するための部材である。第2押え板65は、可撓パッキン63の後端部63b(後述)を接続プレート62に固定するための部材である。上板66は、例えば本体61の上面部61g(後述)に固定される。
【0043】
本体61は、概ね直方体の箱状の部材である。本体61は、例えば金属材料で形成されていると好ましい。また、本体61は、耐腐食性を有する材料で形成されていると好ましい。例えば、本体61の前面、後面及び上面は開口されている。本体61のその他の面(下面、左側面及び右側面)は塞がれている。本体61の前面部には、例えば略長方形状の開口61a(図7(a)参照)が形成されている。本体61の前面部には、枠状のフランジ61b(本発明の第1枠部。図7(a)~図9参照)が設けられている。言い換えると、本体61の箱状の部分(中空の突出部61c)が、フランジ61b及び背面壁34よりも後側へ突出するように設けられている、とも言える。フランジ61bは、開口61aに対して左右方向における外側及び上下方向における外側へ延びている。フランジ61bは、背面壁34よりも前側に配置されている。フランジ61bは、背面壁34の前側の面に取り付けられている。フランジ61bは、前後方向に貫通した複数の貫通孔61b1(図7(a)~図9参照)を有する。突出部61cの後面部61d(図8参照)。本発明の第2枠部)には、例えば略長方形状の開口61e(図8参照)が形成されている。後面部61dは、例えばフランジ61bよりも後側に配置されている。後面部61dは、例えばフランジ61bと一体的に形成されている(すなわち、フランジ61bと接続されている)。後面部61dは、前側から見たときに、接続プレート62の貫通孔62a(後述)を囲むように配置されている。後面部61dには、前後方向に貫通した複数の貫通孔61fが形成されている。複数の貫通孔61fの各々には、例えばボルト81が挿通される(図9参照)。突出部61cの上面部61gには、例えば略長方形状の開口61h(図8参照)が形成されている。開口61hは、外部空間9と本体61の内部の空間とを接続可能な開口である。上面部61gには、例えば複数のねじ孔61i(図8参照)が形成されている。
【0044】
ここで、背面壁34のより詳細について説明する。背面壁34は、前後方向から見たときに略長方形状の開口34a(本発明の筐体側開口。図9参照)を有する。背面壁34の前面には、前側に突出した複数の柱状部34b(図9参照)が形成されている。各柱状部34bは、例えば略円柱状の部分である。各柱状部34bには雄ねじが形成されている。複数の柱状部34bは、左右方向及び上下方向において、フランジ61bの貫通孔61b1が配置される位置と略同じ位置に配置されている。つまり、複数の柱状部34bの各々は、フランジ61bの貫通孔61b1に挿通されている。前後方向において、フランジ61bと背面壁34の間には、パッキン71が配置されている。パッキン71は、前後方向から見たときに開口61aよりもわずかに大きい貫通孔71aを有する。パッキン71は、複数の柱状部34bがそれぞれ挿通される複数の貫通孔71bを有する。各貫通孔71bの大きさは、貫通孔61b1の大きさと略同じである。フランジ61b及びパッキン71は、例えば、雌ねじがそれぞれ形成された複数のナット83(本発明の第1固定部及び第1操作部。図9参照)によって背面壁34に固定されている。複数のナット83は、背面壁34、フランジ61b及びパッキン71よりも前側に配置されている。複数のナット83は、複数の柱状部34bにそれぞれ螺合されている。
【0045】
接続プレート62は、ゲートバルブ10の枠部54の仕様によらず、接続モジュール60を枠部54に取り付けるための部材である。接続プレート62は、前後方向から見たときに略長方形の板状の部材である。接続プレート62は、例えば金属材料で形成されている。接続プレート62は、枠部54の前側に配置されている(図9参照)。接続プレート62は、前後方向に貫通した貫通孔62a(本発明の前室側開口)を有する。貫通孔62aは、左右方向及び上下方向の両方において、ゲート部55の貫通孔55a(図6(b)参照)よりも長い。接続プレート62は、前後方向に貫通した複数の貫通孔62b(図8参照)を有する。複数の貫通孔62bの各々は、複数のボルト(不図示)を挿通するための孔である。複数の貫通孔62bの大きさ及び位置は、枠部54の仕様(すなわち、複数のねじ孔54cの大きさ及び位置)に応じて設計されている。前後方向において、接続プレート62と枠部54との間には、例えば、前後方向から見たときに略長方形状のパッキン72が配置されている。パッキン72は、前後方向に貫通する貫通孔72aを有する。貫通孔72aの大きさは、枠部54の開口54aの大きさと略同じである(図9参照)。パッキン72は、複数の貫通孔72bを有する、各貫通孔72bの大きさは、貫通孔62bの大きさと略同じである。接続プレート62及びパッキン72は、例えば上述した複数のボルト(不図示)によって枠部54にねじ止めされている(固定されている)。また、接続プレート62の前面には、複数のねじ孔62c(図9参照)が形成されている。複数のねじ孔62cの各々には、後述のボルト82(本発明の第2固定部)が螺合される(図9参照)。枠部54と接続プレート62とを合わせたものが、本発明の前室側開口部に相当する。枠部54は、ロードロック室7に属する。接続プレート62は、接続モジュール60に属する。
【0046】
可撓パッキン63は、前後方向から見たときに略長方形状の部材である。可撓パッキンは、例えばEPDM(エチレンプロピレンゴム)などのゴム材料で形成されている。可撓パッキン63は、本体61の後側且つ接続プレート62の前側に配置される。可撓パッキン63は、可撓パッキン63が少なくとも前後方向に伸縮するための蛇腹構造を有する。より具体的には、可撓パッキン63は、前端部63aと、後端部63b(本発明の囲い部)と、伸縮部63c(本発明の可撓部)とを有する。
【0047】
前端部63aは、本体61の後面に固定される枠状の部分である。前端部63aは、例えば、前後方向から見たときに略長方形状の開口63dを有する。開口63dの大きさは、本体61の開口61e(図8参照)の大きさと略同じである。前端部63aの前面は、全周に亘って本体61の後面に接触する。前端部63aは、例えば前後方向に貫通した複数の貫通孔63eを有する。複数の貫通孔63eの左右方向及び上下方向における位置は、複数の貫通孔61fの左右方向及び上下方向における位置と略同じである。複数の貫通孔63eの各々には、例えばボルト81が挿通される(図9参照)。
【0048】
後端部63bは、接続プレート62の前面に固定される枠状の部分である。後端部63bの左右方向における長さは、例えば、前端部63aの開口63dの左右方向における長さと略同じ又はそれ未満である(図9参照)。同様に、後端部63bの上下方向における長さは、例えば、開口63dの上下方向における長さと略同じ又はそれ未満である。これにより、接続モジュール60のEFEM1及び処理装置6への取付作業が行われる際に、作業者が前側から後端部63bにアクセスすることが可能である。後端部63bは、例えば、前後方向から見たときに略長方形状の開口63fを有する。開口63fの大きさは、例えば接続プレート62の貫通孔62aの大きさと略同じである(図9参照)。後端部63bは、前後方向から見たときに貫通孔62aを囲うように配置されている。後端部63bの後面は、その全周に亘って、接続プレート62の前面に接触する。後端部63bは、例えば前後方向に貫通した複数の貫通孔63gを有する。複数の貫通孔63gの各々には、例えばボルト82が挿通される。
【0049】
伸縮部63cは、可撓パッキン63を前後方向に伸縮させるための蛇腹構造を有する部分である。伸縮部63cは、左右方向及び上下方向における全体が、前後方向に伸縮可能に構成されている。これにより、後端部63b全体が、接続プレート62に固定されていない状態で、接続プレート62に対して前後方向に平行移動させられることが可能である。つまり、後端部63b全体が、前後方向において位置調節されることが可能である。また、伸縮部63cは、左右方向及び/又は上下方向における一部のみが前後方向に伸縮されることも可能に構成されている。これにより、後端部63bの一部のみが、接続プレート62に対して前後方向に移動させられることも可能である。言い換えると、後端部63bの接続プレート62に対する傾き角度が調節されることも可能である。
【0050】
第1押え板64は、可撓パッキン63の前端部63aを本体61の後面部61dに固定するための部材である。第1押え板64は、前後方向から見たときに略長方形の枠状の部材である。前後方向から見たときに、第1押え板64の大きさは、後面部61dの大きさと略同じである。第1押え板64は、本体61の後面部61d及び可撓パッキン63の前端部63aよりも後側に配置されている。第1押え板64は、例えば、可撓パッキン63の後端部63bよりも前側に配置されている。第1押え板64は、前後方向に貫通する貫通孔64aを有する。貫通孔64aは、例えば本体61の開口61eよりもわずかに大きい(図9参照)。第1押え板64は、例えば前後方向に貫通した複数の貫通孔64bを有する。複数の貫通孔64bの左右方向及び上下方向における位置は、複数の貫通孔61fの左右方向及び上下方向における位置と略同じである。各貫通孔64bには、例えば雌ねじが形成されている。各貫通孔64bには、ボルト81が螺合される(図9参照)。
【0051】
第2押え板65は、可撓パッキン63の後端部63bを接続プレート62に固定するための部材である。第2押え板65は、前後方向から見たときに略長方形の枠状の部材である。前後方向から見たときに、第2押え板65の大きさは、可撓パッキン63の後端部63bの大きさと略同じである。第2押え板65は、接続プレート62の後側に配置されている。第2押え板65は、前後方向に貫通する貫通孔65aを有する。前後方向から見たときに、貫通孔65aの大きさは、例えば接続プレート62の貫通孔62aの大きさと略同じである。第2押え板65は、例えば前後方向に貫通した複数の貫通孔65bを有する。各貫通孔65bには、ボルト82が挿通される(図9参照)。
【0052】
上板66は、本体61の開口61h(図8参照)を塞ぐための板状の部材である。上板66は、上下方向から見たときに略長方形状である。上板66は、例えば複数のボルト84(図8参照)によって本体61の上面にねじ止めされている。言い換えれば、上板66は、本体61に脱着可能に(すなわち、開口61hを開閉可能に)取り付けられている。上下方向において、上板66と本体61の上面部61gとの間には、例えば略長方形状のパッキン73(図8参照)が配置されている。パッキン73は、開口61hと略同じ大きさの貫通孔73aを有する。パッキン73は、複数のねじ孔61iに対応して設けられた複数の貫通孔73bを有する。
【0053】
複数のボルト81は、本体61の後面部61dに可撓パッキン63を固定するための部材である。複数のボルト81は、頭部81aと軸部81bとを有する。複数のボルト81は、例えば不図示のスパナによって頭部81aを回されることが可能な六角ボルトであっても良い。或いは、複数のボルト81は、不図示の六角棒スパナによって頭部81aを回されることが可能な六角穴付きボルトであっても良い。複数のボルト81は、その他の種類のボルトであっても良い。頭部81aは、軸部81bよりも前側に配置されている。軸部81bは前後方向に延びている。軸部81bは頭部81aから後側に突出している。軸部81bには雄ねじが形成されている。軸部81bは、第1押え板64の貫通孔64bに螺合される。
【0054】
複数のボルト82は、接続プレート62に可撓パッキン63を固定する(押し当てる)ための部材である。複数のボルト82は、頭部82a(本発明の第2操作部)と軸部82bとを有する。複数のボルト82は、例えば不図示のスパナによって頭部82aを回されることが可能な六角ボルトであっても良い。或いは、複数のボルト82は、不図示の六角棒スパナによって頭部82aを回されることが可能な六角穴付きボルトであっても良い。複数のボルト82は、その他の種類のボルトであっても良い。頭部82aは、接続プレート62に可撓パッキン63を固定する操作が行われることが可能に構成されている。頭部82aは、軸部82bよりも前側に配置されている。頭部82aは、可撓パッキン63の後端部63bよりも前側に配置されている。軸部82bは前後方向に延びている。軸部82bは頭部82aから後側に突出している。軸部82bには雄ねじが形成されている。軸部82bは、接続プレート62のねじ孔62cに螺合される。
【0055】
複数のナット83は、本体61を背面壁34に固定する(押し当てる)ための部材である。ナット83は、背面壁34にフランジ61bを固定する操作が行われることが可能に構成されている。複数のナット83は、例えば不図示のスパナによって回されることが可能な六角ナットである。複数のナット83は、本体61のフランジ61bよりも前側に配置されている。各ナット83は、柱状部34bに螺合される。
【0056】
(接続モジュールの取付方法)
次に、上記接続モジュール60をEFEM1及び処理装置6に取り付ける取付方法について、図10図12を参照しつつ説明する。図10図12は、接続モジュール60をEFEM1及びロードロック室7に取り付ける方法を示す説明図である。説明の便宜上、図10図12に示す方向は、図9に示す方向と同じである。
【0057】
まず、接続モジュール60は、複数の部品群に分けられた状態で、処理装置6が設置される(又は、既に設置された)工場へ運ばれる。複数の部品群は、例えば、第1群G1と、第2群G2とを有する(図10参照)。第1群G1は、接続プレート62と、パッキン72とを有する。第1群G1を構成する部材は、後述の取付作業が行われる前に、予めゲートバルブ10の枠部54に固定される(図10参照)。第1群G1を構成する部材は、枠部54に固定された状態で、ゲートバルブ10と共に工場へ運ばれても良い。或いは、第1群G1を構成する部材は、工場に運ばれた後で、工場に既に設置された処理装置6に含まれるゲートバルブ10の枠部54に固定されても良い。
【0058】
第2群G2は、本体61と、可撓パッキン63と、第1押え板64と、上板66と、パッキン71と、パッキン73と、複数のボルト81とを有する。第2群G2を構成する部材は、取付作業が行われる前に、予め1つの部品として組み立てられる(図10参照)。その他に、第2押え板65、複数のボルト82及び複数のナット83が、例えば他の部材と分離された状態で工場へ運ばれる。また、EFEM1を構成する筐体2も工場へ運ばれる。
【0059】
その後、例えば工場内の所定のクリーンルームにおいて、処理装置6及び筐体2が設置される。処理装置6が設置された後で、筐体2が処理装置6に位置合わせされる。より具体的には、左右方向及び上下方向において、筐体2の背面壁34がゲートバルブ10(及び接続プレート62)に位置合わせされる。前後方向においては、EFEM1の設計誤差及び処理装置6の設計誤差の両方に起因して、背面壁34とゲートバルブ10(より厳密には、接続プレート62)との間に多少の位置ずれが生じていても良い。
【0060】
作業者は、例えば筐体2の内部空間40(より具体的には、搬送室41)に入って、背面壁34よりも前側の作業位置において、以下の取付作業を行う。まず、作業者は、第2群G2を構成する部材を筐体2の背面壁34に取り付ける。具体的には、図11に示すように、第2群G2を構成する部材を背面壁34よりも前側から後側へ移動させる。これにより、作業者は、複数の柱状部34bを、フランジ61bに形成された複数の貫通孔61b1及びパッキン71に形成された複数の貫通孔71bにそれぞれ挿通する(図11の矢印A1を参照)。その後、作業者は、例えば不図示のスパナを用いて複数のナット83を回転させて(操作して)、前側から複数の柱状部34bにそれぞれ螺合させる。これにより、作業者は、第2群G2を構成する部材を背面壁34に固定する(第1固定操作。図11の矢印A2参照)。言い換えると、作業者は、第2群G2を構成する部材を背面壁34に押し当てる(第1押当操作)。
【0061】
次に、作業者は、可撓パッキン63の前後方向における位置合わせを行う。より具体的には、作業者は、可撓パッキン63の後端部63bを前後方向に移動させ(図11の矢印A3参照)、且つ/又は後端部63bの接続プレート62に対する傾き角度を調節する。なお、後端部63bは伸縮部63cによって移動可能に構成されている。伸縮部63cは、上述したように蛇腹構造を有するため、変形した状態がある程度維持されることが可能である。つまり、後端部63bは、外力によって変位させられた後に当該外力が加えられなくなっても、変位後の配置位置をある程度維持できる。したがって、作業者は、後端部63bの位置を概ね調節した後、後端部63bから手を放すことができる。
【0062】
次に、作業者は、図12に示すように、第2押え板65を前側から後側へ移動させ、可撓パッキン63の後端部63bの前面に押し当てる(図12の矢印A4参照)。最後に、作業者は、例えば不図示のスパナを用いて複数のボルト82を回転させて(操作して)、第2押え板65及び後端部63bを接続プレート62にねじ止めする(第2固定操作。図12の矢印A5参照)。言い換えると、作業者は、第2押え板65及び後端部63bを接続プレート62に押し当てる(第2押当操作)。以上のようにして、接続モジュール60のEFEM1及びロードロック室7への取付作業が完了する。
【0063】
なお、接続モジュール60がEFEM1及びロードロック室7に取り付けられた状態において、上板66は、本体61に脱着されることが可能である。これにより、開口61hを開閉できる。開口61hが開いているとき、外部空間9から本体61の内部を視認できる。また、開口61hが開いているとき、外部空間9から本体61の内部にアクセスできる。開口61hが閉じられているとき、EFEM1を稼働させることができる。
【0064】
以上のように、フランジ61bを前側から背面壁34に取り付ける(押し当てる)ことができる。また、可撓パッキン63の後端部63bを前側から接続プレート62に取り付ける(押し当てる)ことができる。これにより、EFEM1及び処理装置6の両方が設置された後に、前側から(すなわち、筐体2の内部において)接続モジュール60を背面壁34及び接続プレート62に取り付ける(押し当てる)ことができる。また、フランジ61bを背面壁34に取り付けた(押し当てた)後で、後端部63bを前後方向に動かして位置調整することにより、後端部63bと接続プレート62との前後方向における位置ずれの補償を容易に行うことができる。したがって、EFEM1の外側において接続モジュール60の取付作業を行えない場合でも、接続モジュール60をEFEM1及びロードロック室7に容易に取り付ける(押し当てる)ことができる。
【0065】
また、接続プレート62は接続モジュール60に属し、枠部54はロードロック室7に属している。これにより、ロードロック室7に属する枠部54の仕様に応じた接続プレート62を準備することにより、あらゆるロードロック室7に接続モジュール60を取り付けることができる。
【0066】
また、伸縮部63cが蛇腹構造を有するため、伸縮部63cが一度変形させられれば、再度力が加えられなくても、変形後の形状がある程度維持される。したがって、取付作業を容易に行うことができる。
【0067】
また、上板66を本体61から外して開口61hを開けることにより、ウェハWが搬送されている様子を筐体2の外側から視認できる。また、EFEM1の稼働が停止された状態で上板66を本体61から外して開口61hを開けることにより、接続モジュール60及びその周辺部の点検及び/又はメンテナンスを行うことができる。
【0068】
また、複数のナット83は、背面壁34、フランジ61b及びパッキン71よりも前側に配置されている。また、複数のボルト82の頭部82aは、可撓パッキン63の後端部63bよりも前側に配置されている。したがって、取付作業を行いやすい環境を維持しつつ、搬送室と前室とを接続する空間の気密性をより高めることができる。
【0069】
次に、前記実施形態に変更を加えた変形例について説明する。但し、前記実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
【0070】
(1)前記実施形態において、可撓パッキン63の伸縮部63cが蛇腹構造を有するものとした。しかしながら、これには限られない。例えば、伸縮部63cは、単に前後方向に延びた筒状の(例えばゴム製の)弾性体を含んでいても良い。前端部63aが本体61に固定され且つ後端部63bが接続プレート62に固定されているので、可撓パッキン63は、伸縮部63cが少し弛んだ状態でEFEM1及び処理装置6に取り付けられていても良い(例えば図13参照)。或いは、可撓パッキン63は、伸縮部63cが少し伸びた状態でEFEM1及び処理装置6に取り付けられていても良い。
【0071】
(2)前記までの実施形態において、可撓パッキン63の後端部63bは接続プレート62に対して前後方向に平行移動であり、且つ、接続プレート62に対する傾き角度が調節されることが可能であるものとした。しかしながら、これには限られない。後端部63bは、例えば、前後方向における平行移動のみ可能であっても良い。
【0072】
(3)前記までの実施形態において、上板66が上面部61gに脱着されることにより開口61hが開閉されるものとした。しかしながら、これには限られない。上板66は、上面部61gに対して例えば左右方向にスライド可能に構成されていても良い。或いは、上板66は、不図示のヒンジを介して本体61に開閉可能に取り付けられていても良い。また、前記までの実施形態において、開口61hは本体61の上面部61gに形成されているものとした。しかしながら、これには限られない。開口61hの代わりに、例えば本体61の右側面部又は左側面部に開口(不図示)が形成され、当該開口を開閉可能なカバー(不図示)が設けられていても良い。或いは、開口61hに相当する開口は、形成されていなくても良い。
【0073】
(4)前記までの実施形態において、作業者は、第1固定操作(第1押当操作)の後に第2固定操作(第2押当操作)を行うものとした。しかしながら、これには限られない。作業者は、例えば、第2固定操作(第2押当操作)の後に第1固定操作(第1押当操作)を行っても良い。この場合、作業者は、可撓パッキン63を接続プレート62に固定した後で、フランジ61bを移動させてフランジ61bと背面壁34との前後方向における位置合わせを行っても良い。或いは、作業者は、第1固定操作及び第2固定操作を略同時に行っても良い。
【0074】
(5)前記までの実施形態において、枠部54と接続プレート62とを合わせたものが、本発明の前室側開口部に相当するものとした。また、枠部54がロードロック室7に属し、接続プレート62が接続モジュール60に属するものとした。すなわち、接続モジュール60の可撓パッキン63の後端部63bは、接続プレート62を介して枠部54に取り付けられているものとした。しかしながら、これには限られない。例えば、可撓パッキン63の後端部63bが接続プレート62を介さずに枠部54に直接固定されることが可能であれば、接続モジュール60が接続プレート62を備えていなくても良い。つまり、例えば、枠部54の仕様(すなわち、構造)が、後端部63bが直接取り付けられるのに適した仕様であれば、接続プレート62は不要である。この場合、枠部54が本発明の前室側開口部に相当し、開口54aが本発明の前室側開口に相当する。なお、前記までの実施形態では、開口54aが後端部63bよりも大きく、後端部63bを枠部54に直接ねじ止めすることが困難である。このため、可撓パッキン63が接続プレート62を介して枠部54に固定されている。
【0075】
(6)前記までの実施形態において、本体61がフランジ61b及び背面壁34よりも後側へ突出した突出部61cを有するものとした。しかしながら、これには限られない。本体61は、枠部54の形状及び配置位置に応じて、別の形状を有していても良い。例えば、本体61の代わりに、平らな枠状の部材が本体(不図示)として設けられていても良い。或いは、ゲートバルブ10の枠部54が背面壁34よりも前側(すなわち、筐体2の中)へ突出するように構成されている場合、突出部61cの代わりに、背面壁34及びフランジ61bよりも前側へ突出した突出部(不図示)が設けられていても良い。このような突出部においては、後面部61dに相当する枠状の部分が前端部に設けられていても良い。
【0076】
(7)前記までの実施形態において、ナット83によってフランジ61bが背面壁34に取り付けられるものとした。しかしながら、これには限られない。例えば、ナット83の代わりに不図示のボルトによってフランジ61bが背面壁34に取り付けられても良い。この場合、例えば、背面壁34には、柱状部34bの代わりに不図示のねじ孔が設けられていても良い。また、前記までの実施形態において、ボルト82によって可撓パッキン63の後端部63bが接続プレート62に取り付けられるものとした。しかしながら、これには限られない。例えば、ボルト82の代わりに不図示のナットによって可撓パッキン63の後端部63bが接続プレート62に取り付けられても良い。この場合、例えば、接続プレート62には、ねじ孔62cの代わりに、前側に突出し且つ雄ねじが形成された円柱状の部分が形成されていても良い。
【0077】
(8)フランジ61bを背面壁34に取り付ける(押し当てる)ための部材及び可撓パッキン63の後端部63bを接続プレート62に取り付ける(押し当てる)ための部材は、上述したものに限られない。例えば不図示のクランプが用いられても良い。この場合、クランプによって互いに固定される複数の部材は、クランプによって挟まれることが可能な部分をそれぞれ有することが求められる。
【0078】
或いは、EFEM1が不活性ガスを循環させるように構成されたものでない場合、フランジ61bは必ずしも背面壁34に固定されていなくても良い。また、この場合、可撓パッキン63の後端部63bは必ずしも接続プレート62に固定されていなくても良い。例えば、EFEM1の搬送室41が大気で満たされるように構成されており、前記までのEFEM1と比べて高い気密性を必要としない場合、フランジ61bを背面壁34に単に押し当てるための部材(不図示)が設けられていても良い。また、この場合、可撓パッキン63の後端部63bを接続プレート62に単に押し当てるための部材(不図示)が設けられていても良い。
【0079】
(9)前記までの実施形態において、真空に近い気圧に維持されるロードロック室7が本発明の前室に相当するものとした。しかしながら、これには限られない。接続モジュール60は、例えば搬送室41の気圧と略同じ気圧に維持される部屋(不図示)に接続されても良い。この場合、当該部屋が本発明の前室に相当する。
【0080】
(10)前記までの実施形態において、搬送室41内でウェハWが搬送されるものとした。しかしながら、これには限られない。ウェハW以外の物体(処理対象物)が搬送室41内で搬送されても良い。
【符号の説明】
【0081】
1 EFEM
2 筐体
6 処理装置
7 ロードロック室(前室)
34 背面壁(背面部材)
34a 開口(筐体側開口)
41 搬送室
54 枠部(第2取付部材、前室側開口部)
60 接続モジュール
61b フランジ(第1枠部)
61c 突出部
61d 後面部(第2枠部)
61h 開口
62 接続プレート(第1取付部材、前室側開口部)
63 可撓パッキン(シール部)
63b 後端部(囲い部)
63c 伸縮部(可撓部)
66 上板(カバー)
82 ボルト(第2固定部)
82a 頭部(第2操作部)
83 ナット(第1固定部、第1操作部)
W ウェハ(処理対象品)
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