(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068295
(43)【公開日】2024-05-20
(54)【発明の名称】段鼻被覆部材と床仕上げ材の接合方法および段差用床仕上げ材
(51)【国際特許分類】
E04F 11/16 20060101AFI20240513BHJP
【FI】
E04F11/16 502R
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178626
(22)【出願日】2022-11-08
(71)【出願人】
【識別番号】000217365
【氏名又は名称】田島ルーフィング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂口 友有子
(72)【発明者】
【氏名】諏訪 勝信
(72)【発明者】
【氏名】小林 基夫
【テーマコード(参考)】
2E301
【Fターム(参考)】
2E301DD13
2E301DD42
(57)【要約】
【課題】施工現場でも実施できる段鼻被覆部材と床仕上げ材の接合方法と、段鼻被覆部材と床仕上げ材を接合した段差用床仕上げ材を提供すること。
【解決手段】段差用床仕上げ材は段鼻被覆部材の表面側の端部と床仕上げ材の表面側の端部とを突き付け、裏面側に形成された溝部に接合材料を充填して段鼻被覆部材と床仕上げ材とを接合する。段差用床仕上げ材の表面側では段鼻被覆部材の端部と床仕上げ材の端部とが突き付けられているので、溝部に充填された接合材料が露出することがない。また、大型の接合装置を必要としないので、施工現場でも段差用床仕上げ材を作製することが可能であり、施工現場で床仕上げ材の色柄やサイズを自由に選択することができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
段鼻被覆部材と床仕上げ材の接合方法であって、
段鼻被覆部材の表面側の端部と床仕上げ材の表面側の端部を突き付けた裏面側に溝部を形成し、
前記溝部に接合材料を充填して前記段鼻被覆部材と前記床仕上げ材を接合する接合方法。
【請求項2】
前記接合材料は紫外線硬化樹脂であり、前記溝部に前記紫外線硬化樹脂を充填した後、前記紫外線硬化樹脂に紫外線を照射し硬化することを特徴とする請求項1記載の接合方法。
【請求項3】
前記段鼻被覆部材の表面側の端部と前記床仕上げ材の表面側の端部は、前記段鼻被覆部材の表面と床仕上げ材の表面が面一になるように突き付けられることを特徴とする請求項1又は2記載の接合方法。
【請求項4】
段鼻被覆部材と床仕上げ材が接合された段差用床仕上げ材であって、
前記段鼻被覆部材の表面側の端部と前記床仕上げ材の表面側の端部を突き付けた裏面側に形成された溝部に、接合材料が充填されていることを特徴とする段差用床仕上げ材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は段差部の段鼻部を覆う段鼻被覆部材と踏み面を覆う床仕上げ材を接合する方法、および段鼻被覆部材と床仕上げ材を接合し一体化した段差用床仕上げ材に関する。
【背景技術】
【0002】
階段などの段差部の仕上げ工事では、コンクリートなどで形成された下地の上に、段差部の段鼻部を覆う段鼻被覆部材と踏み面を覆う床仕上げ材が施工される。このような施工では、特許文献1に提案されているような、段鼻被覆部材と床仕上げ材を接合し一体化した段差用床仕上げ材が用いられることがある。
【0003】
段鼻被覆部材と床仕上げ材を接合し一体化した段差用床仕上げ材の製造には、特許文献1に記載されているように、樹脂製の段鼻被覆部材の端部と床仕上げ材の端部を重ね合わせ、重ね合わせ部分を加熱しながら圧着して接合する方法が用いられている。加熱しながら圧着するには大型の接合設備を導入する必要があるため、従来このような段差用床仕上げ材は規格品として工場で大量生産されており、施主や設計者個々の要望に応じて、段鼻被覆材と床仕上げ材の色柄やサイズを自由に組み合わせることは難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、大型の接合設備を必要とせず、工場での大量生産だけでなく、施工現場でも実施可能な段鼻被覆部材と床仕上げ材の接合方法と段差用床仕上げ材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の段鼻被覆部材と床仕上げ材の接合方法は、段鼻被覆部材の表面側の端部と床仕上げ材の表面側の端部を突き付けた裏面側に溝部を形成し、前記溝部に接合材料を充填して前記段鼻被覆部材と前記床仕上げ材を接合することを特徴とする。
【0007】
本発明の段差用床仕上げ材は、段鼻被覆部材と床仕上げ材が接合された段差用床仕上げ材であって、前記段鼻被覆部材の表面側の端部と前記床仕上げ材の表面側の端部を突き付けた裏面側に形成された溝部に、接合材料が充填されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、大型の接合設備を必要とせず、工場での大量生産だけでなく、施工現場でも実施可能な段鼻被覆部材と床仕上げ材の接合方法と段差用床仕上げ材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】段差用床仕上げ材の表面と裏面の斜視図である。
【
図2】段差用床仕上げ材の断面を模式的に示す図である。
【
図3】段差用床仕上げ材を階段の下地に取り付ける様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明の実施形態について詳細に説明するが、これらは例示の目的で掲げたものでこれらにより本発明を限定するものではない。
【0011】
本発明の実施形態である、段差用床仕上げ材1の斜視図を
図1に示す。段差用床仕上げ材1は、段差部の下地に接着される裏面と、化粧面として段差の外観を決める表面を有する。
図1(a)は段差用床仕上げ材1を表面側から見たときの図であり、
図1(b)は段差用床仕上げ材1を裏面側から見たときの図である。段差用床仕上げ材1は断面が略L字形状をした段鼻被覆部材2と床仕上げ材3が、裏面側に形成された溝部8に充填された接合材料6により接合され一体化されている。裏面側では
図1(b)のように接合材料6が露出するが、表面側からは
図1(a)のように接合材料6は隠れて見えない。
【0012】
図2は段差用床仕上げ材1の、段鼻被覆部材2と床仕上げ材3の接合部の断面を模式的に示す図である。床仕上げ材3の端部は床仕上げ材の表面31と床仕上げ材の裏面32に対して略垂直に切断されている。一方、床仕上げ材3の端部に対向する段鼻被覆部材2の端部は、段鼻被覆部材の表面21が段鼻被覆部材の裏面22に対して突出するよう斜めに形成されている。このような段鼻被覆部材2の表面側の端部と床仕上げ材3の表面側の端部を、段鼻被覆部材の表面21と床仕上げ材の表面31が面一になるように突き付けると、段鼻被覆部材2と床仕上げ材3の境目の裏面側には溝部8が形成される。
【0013】
この溝部8に充填された接合材料6により、段鼻被覆部材2と床仕上げ材3は接合されている。溝部8は段差用床仕上げ材1の裏面側に接合材料6を充填できる開口を有するが、段差用床仕上げ材1の表面側では端部が突き付けられることにより閉じており、溝部8に充填された接合材料6は段差用床仕上げ材1の表面側にはほとんど露出しない。
【0014】
段差用床仕上げ材1の表面側では、段鼻被覆部材の表面21と床仕上げ材の表面31とが面一になるように突き付けられているので、段鼻被覆部材2と床仕上げ材3の境目に段差が生じることがない。なお、段鼻被覆部材2の表面側の端部と床仕上げ材3の表面側の端部の突き付けは厳密なものではなく、表面側から見て接合材料6が目立たなければ、突き付けた端部の間に多少の隙間が空いていてもよい。
【0015】
段鼻被覆部材2は段差部の段鼻部を覆う樹脂製の部材であり、断面が略L字状に成形されている。段鼻被覆部材2は公知の成形方法で作成でき、例えばシート状の樹脂に曲げ加工を施して略L字状に成形したり、押出成形や射出成形で略L字状に成形したりできる。段鼻被覆部材2としては、例えば塩化ビニル系樹脂を略L字状に成形したものを用いることができる。防滑性や耐久性を加味すると、樹脂の硬度はJIS K6253で定められるデュロメーター硬さ75度~95度のものが好ましい。
【0016】
段鼻被覆部材2は意匠性を高めるために着色してもよく、段差の視認性を上げるために2色成形にしてもよい。また、段鼻被覆部材の表面21は端部に床仕上げ材の表面31と面一になる平坦部が形成されていれば、防滑性のために表面の他の部分に凸部や凹部を設けてもよい。
【0017】
床仕上げ材3は段差部の踏み面、又は踏み面と蹴上を覆う樹脂製の部材である。床仕上げ材3には、仕上げのために下地に貼り付ける公知の内装用の床材を利用でき、例えば塩化ビニル系樹脂製シートや塩化ビニル系樹脂製タイル、ナイロン繊維やポリプロピレン繊維で構成されるタフテッドカーペットを塩化ビニル系樹脂製の基材に固定したタイルカーペットなどを用いることができる。床仕上げ材3は表面に保護層や装飾層などが設けられていてもよい。
【0018】
段差用床仕上げ材1は公知の方法で段差部に施工することができる。その一例として、段差用床仕上げ材1を階段の下地4に取り付ける様子を
図3に示す。取り付けは下地4の踏み面とそこから立ち上がる蹴上部分に接着剤を塗布し、段差用床仕上げ材1の段鼻被覆部材2の入隅と下地4の出隅を合わせ、裏面を踏み面側から蹴上方向に圧着して貼付していく。段差用床仕上げ材1の溝部8に充填した接合材料6は、施工後の階段の表面には現れず外観を損なうことはない。
【0019】
段鼻被覆部材2の表面側の端部と、床仕上げ材3の表面側の端部を突き付けた裏面側に形成される溝部8の断面構造を
図4に示す。
図2に示した実施形態では断面が
図4(a)に示すように、段鼻被覆部材の表面21に対して直線的な傾斜を設けて成形された端部と、床仕上げ材の表面31に対して略垂直に切断された端部を突き付けて溝部8を形成している。しかし、溝部8はこれに限定されるものではなく、少なくとも段鼻被覆部材2の端部に、段鼻被覆部材の表面21が段鼻被覆部材の裏面22に対して突出する構造、又は床仕上げ材3の端部に、床仕上げ材の表面31が床仕上げ材の裏面32に対して突出する構造を設けることにより、表面側の端部を突き付けた裏面側に溝部8を形成することができる。
【0020】
溝部8の他の例を
図4(b)~(e)に示す。
図4(b)は段鼻被覆部材の表面21に対して、略垂直に切断された端部の表面側に突出部を設けている。段鼻被覆部材2の表面21と床仕上げ材の表面31が面一になるように突き付けると、この突出部が床仕上げ材の表面31に対して略垂直に切断された端部に当接し裏面側に溝部8が形成される。
【0021】
図4(c)は
図4(a)とは逆に、段床仕上げ材の表面31が床仕上げ材の裏面32に対して突出するよう斜めに成形した端部と、段鼻被覆部材の表面21に対して略垂直に切断された端部を、段鼻被覆部材の表面21と床仕上げ材の表面31が面一になるように突き付け裏面側に溝部8を形成している。
【0022】
図4(d)、(e)は、段鼻被覆部材2と前記床仕上げ材3の両方の端部の表面が裏面に対して突出するように加工した例であり、突き付けた裏面側に溝部8が形成される。
図4(d)、(e)では、表面に対して略垂直な段鼻被覆部材2と前記床仕上げ材3の両方の端部を突き付けた後、境目に溝切刃を充てて段鼻被覆部材2の裏面22と床仕上げ材の裏面32を切り取り、溝8を形成することもできる。溝部8の断面は
図4(d)のように円弧上でも良く、
図4(e)のように直線状でもよい。
【0023】
溝部8の幅や深さは、充填する接合材6の種類や量により調整すればよい。端部を付き合わせた段鼻被覆部材2と床仕上げ材3は、少なくとも接合材料6による接合が完了するまで、位置ズレ防止のためにテープや治具などを用いて仮固定して作業するのが好ましい。
【0024】
本発明では接合のために段鼻被覆部材2の端部と床仕上げ材3の端部を重ね合わせて接合するのではなく、段鼻被覆部材2の表面側の端部と床仕上げ材3の表面側の端部を突き付けた裏面側に溝部8を形成し、溝部8に接合材料6を充填して接合する。このため、端部の重ね合わせ部を加熱や加圧する設備は必要としない。
【0025】
溝部8に充填される接合材料6は十分な接着力を発揮するものであれば特に限定されない。例えば、溶剤系接着剤、1液硬化型接着剤、2液硬化型接着剤、湿気硬化型接着剤、熱可塑性樹脂、ホットメルト樹脂、紫外線硬化樹脂などを用いることができる。また、透明な接合材料6を用いれば、突き付けた段鼻被覆材の表面21と床仕上げ材の表面31に多少の隙間が空いて表面側に接合材料6が露出することがあっても、接合材料6は透明なので目立ち難い。
【0026】
接着剤としては、例えば、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系などの樹脂系接着剤を用いることができる。ホットメルト樹脂としては、オレフィン系樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂などの樹脂を用いることができる。紫外線硬化樹脂としては、例えば1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、ジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリルレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート等のアクリレートの他に、エポキシ系、ウレタン系の紫外線硬化樹脂を用いることができる。
【0027】
溝部8に充填した接合材料6の量が多すぎると、硬化後に接合材料6が凸部として裏面側に残るので、余分な接合材料6は硬化前にヘラなどで均して平坦にしたり、硬化後にナイフで削り取ったりするのが好ましい。
【0028】
実施例1~3として、以下に段鼻被覆部材2と床仕上げ材3を異なる接合材料6を用いて接合し、段差用床仕上げ材1を作製する工程を示す。
[実施例1]
実施例1は下記の段鼻被覆部材2と床仕上げ材3を接合材料6で接合し、段差用床仕上げ材1を作製した。
・段鼻被覆部材2:塩化ビニル樹脂の押出成形品、厚み2mm、硬度85度
・床仕上げ材3:塩化ビニル系樹脂製シート(田島ルーフィング株式会社製パーマリュームマーブルEM2)、厚み2mm
・接合材料6:アクリル系紫外線硬化樹脂
【0029】
図5(a)~(d)は段鼻被覆部材2と床仕上げ材3を接合する工程を説明する図である。まず、第1工程では
図4(a)の例ように、端部が段鼻被覆部材の裏面22より段鼻被覆部材の表面21が突出するように斜めに成形加工された段鼻被覆部材2と、床仕上げ材の表面31に対して略垂直に切断された床仕上げ材3を準備する。準備した段鼻被覆部材2と床仕上げ材3を、段鼻被覆部材の表面21と床仕上げ材の表面31が面一となるように端部を突き付けた状態で作業台上に配置し、位置ズレ防止のため段鼻被覆部材の表面21と床仕上げ材の表面31を第1のテープ5で仮固定する(
図5(a))。このとき、裏面側には段鼻被覆部材2と床仕上げ材3との境目に溝部8が形成される。
【0030】
第1のテープ5は空気を遮断可能かつ、紫外線透過率が6.1%以上で段鼻被覆部材2と床仕上げ材3の表面に貼りつき固定でき、最終的に容易に除去可能なものとしてPカットテープ4140透明(株式会社寺岡製作所製)を用いた。
【0031】
第2工程では第1のテープ5で仮固定した段鼻被覆部材2と床仕上げ材3を、裏面側が上になるように裏返し平坦な面上に載置し、裏面側から溝部8に接合材料6である紫外線硬化樹脂7を充填する(
図5(b))。充填する紫外線硬化樹脂7の量が少ないと、段鼻被覆部材2と床仕上げ材3との接合強度が低下するので、紫外線硬化樹脂7は溝部8から盛り上がる程度に充填させた。
【0032】
第3工程では充填した紫外線硬化樹脂7の上から第2のテープ9を貼り、充填した紫外線硬化樹脂7を空気から遮断する(
図5(c))。空気から遮断することで紫外線硬化樹脂7が空気中の酸素と接触して、硬化反応の進行が阻害されることを防ぐ。また、第2のテープ9の上から力を加え、盛り上がるように充填された紫外線硬化樹脂7を平坦化させた。このとき、紫外線硬化樹脂7が溝部8の周囲にも広がるが、段差用床仕上げ材1の裏面は下地4に接着されて露出しないので、段差の仕上がり外観には影響を与えない。第2のテープ9は第1のテープ5と同様の理由により、同じPカットテープ4140透明(株式会社寺岡製作所製)を用いた。
【0033】
第4工程では
図5(c)のように、段鼻被覆部材2と床仕上げ材3との表面と裏面が第1のテープ5と第2のテープ9で仮固定された状態で、紫外線硬化樹脂7に紫外線を照射して硬化させ、裏面側からの照射後に、表面側から第1のテープ5を介して紫外線を照射させた。
【0034】
第4工程ではピーク照度700mW/cm2以上の紫外線を照射可能な照射器を用い、同一箇所に0.3秒以上照射できる様に、紫外線光源を溝部8に沿って移動させながら照射し、幅広の段鼻被覆部材2と床仕上げ材3を接合させた。
【0035】
第5工程では硬化した紫外線硬化樹脂7により接合された段鼻被覆部材2と床仕上げ材3から、第1のテープ5と第2のテープ9を剥がして除去し段差用床仕上げ材1を得た(
図5(d))。
【0036】
作製した段差用床仕上げ材1について、引張試験機で接合強度(引張強度)を測定した結果、25mm当たり200N以上の接合強度が得られた。また、破断は段鼻被覆部材2と床仕上げ材3の接合部ではなく床仕上げ材3の材料破壊であり、本発明の段鼻被覆部材と床仕上げ材の接合方法により、段差用床仕上げ材として実用上問題のない接合強度が得られている。
【0037】
[実施例2]
実施例2は下記の段鼻被覆部材2と床仕上げ材3を接合材料6で接合し、段差用床仕上げ材1を作製した。
・段鼻被覆部材2:塩化ビニル樹脂の押出成形品、厚み2mm、硬度85度
・床仕上げ材3:塩化ビニル系樹脂製シート(田島ルーフィング株式会社製パーマリュームマーブルEM2)、厚み2mm
・接合材料6:溶接棒(田島ルーフィング株式会社製パーマリュームマーブルEM2溶接棒、Φ4mmひも状、ポリ塩化ビニル樹脂製)
【0038】
実施例2では段鼻被覆部材2の端部と床仕上げ材3の端部を突き付けた後に、裏面側から溝切刃で円弧状の溝部8を形成する。具体的には表面と裏面に対して略垂直に形成されている段鼻被覆部材2の端部と床仕上げ材3の端部を突き付け、表面側をテープで仮固定する。仮固定した段鼻被覆部材2と床仕上げ材3を、裏面側が上になるように作業台の上に載置し、段鼻被覆部材2と床仕上げ材3の境目に溝切刃をあてて段鼻被覆部材の裏面22と床仕上げ材の裏面32を切り取り、突き付けた裏面に
図4(d)の例のような断面が円弧状の溝8を形成する。
【0039】
次に、溶接棒を溶接用加熱工具(ライスター溶接機)で加熱溶融させながら溝8に樹脂を充填し、樹脂が冷却硬化した後に凸になった部分を、ナイフで平滑にカットして段差用床仕上げ材1を得た。
【0040】
[実施例3]
実施例3は下記の段鼻被覆部材2と床仕上げ材3を接合材料6で接合し、段差用床仕上げ材1を作製した。
・段鼻被覆部材2:塩化ビニル樹脂の押出成形品、厚み2mm、硬度85度
・床仕上げ材3:塩化ビニル系樹脂製シート(田島ルーフィング株式会社製パーマリュームマーブルEM2)、厚み2mm
・接合材料6:ウレタン系1液硬化型接着剤(田島ルーフィング株式会社製セメントVG)
【0041】
図4(a)の例ように、段鼻被覆部材の裏面22より段鼻被覆部材の表面21が突出するように斜めに成形加工された段鼻被覆部材2と、床仕上げ材の表面31に対して略垂直に切断された床仕上げ材3を準備する。準備した段鼻被覆部材2と床仕上げ材3を、裏面側が上になるように平坦な作業台上に配置し端部を突き付ける。突き付けた後に、段鼻被覆部材2と床仕上げ材3を押さえ治具で仮固定し、裏面側に形成された溝部8に、ウレタン系1液硬化型接着剤を盛り上がるように注入する。溝部8から盛り上がったウレタン系1液硬化型接着剤をヘラを用いて表面を均し、硬化させて段差用床仕上げ材1を得た。
【0042】
本発明の段鼻被覆部材2と床仕上げ材3の接合方法によれば、小型の紫外線光源や溶接機、一般的な工具を用いるだけで段鼻被覆部材2と床仕上げ材3を接合し、段差用床仕上げ材1を作製することができる。このため、工業的な製造のみならず施工現場での作業が可能となり、施主や設計者が自由に色柄やサイズを選択することが可能になる。
【0043】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 段差用床仕上げ材
2 段鼻被覆部材
21 段鼻被覆部材の表面
22 段鼻被覆部材の裏面
3 床仕上げ材
31 床仕上げ材の表面
32 床仕上げ材の裏面
4 下地
5 第1のテープ
6 接合材料
7 紫外線硬化樹脂
8 溝部
9 第2のテープ