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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068298
(43)【公開日】2024-05-20
(54)【発明の名称】送受電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/90 20160101AFI20240513BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20240513BHJP
【FI】
H02J50/90
H02J50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178632
(22)【出願日】2022-11-08
(71)【出願人】
【識別番号】511294073
【氏名又は名称】株式会社発明ラボックス
(72)【発明者】
【氏名】川口 辰彦
(72)【発明者】
【氏名】松本 奈緒美
(57)【要約】
【課題】壁などに穴を開ける工事が不要で、取り外しや取り付けが簡単にでき、所望の給電をすることができる送受電システムを提供する。
【解決手段】コイルを有し、ソーラーパネルの電力を送信する送信器11と、コイルを有し、送信器から送信される電力を非接触により受信する受信器12と、送信器と受信器との位置合わせを行うための位置合わせ部20とを、備え、送信器と受信器は、位置合わせ部によって位置合わせが行われると、送信器と受信器のそれぞれのコイルが向かい合い、電磁力結合することで電力の送信及び受信を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルを有し、ソーラーパネルの電力を送信する送信器と、
コイルを有し、前記送信器から送信される電力を非接触により受信する受信器と、
前記送信器と前記受信器との位置合わせを行うための位置合わせ部とを、
備え、
前記送信器と前記受信器は、前記位置合わせ部によって位置合わせが行われると、前記送信器と前記受信器のそれぞれのコイルが向かい合い、電磁力結合することで電力の送信及び受信を行うことを特徴とする送受電システム。
【請求項2】
前記送信器と前記受信器は、三角錐形状となっていることを特徴とする請求項1に記載の送受電システム。
【請求項3】
前記送信器と前記受信器の少なくとも一部に着色が施されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の送受電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力を非接触で供給する送受電システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
戸建住宅や共同住宅のベランダやバルコニーにソーラーパネルを設置して蓄電池の充電やスマートホン(スマホ)の充電などに利用したいというニーズがある。
【0003】
また、車のルーフトップにソーラーパネルを載せて、キャンピングや車中泊の電気製品に使用する電力を蓄電池に貯めて活用したいというニーズがある。例えば、ソーラーパネルによる発電エネルギーを車両の駆動モーターや電装品の電力として使用したり、車両停止時に車外の電気製品の電源に用いたりすることを可能とする技術がある(特許文献1を参照)。
【0004】
また、コンビニエンスストア(コンビニ)、ショッピングモール、商業施設のテナントなどでは自然採光を取り入れた省電力型の照明が求められている。ぺロブスカイトと呼ばれる新しい薄膜の半透明型のソーラーパネルフィルムを店舗の窓に貼る次世代型ソーラーパネルシステムがこれから急速に普及するといわれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-131612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述したニーズを満たすには、ソーラーパネル発電を利用した充電をするための配線を部屋の中に引き込む必要があり、壁や窓に穴あけの工事をしなければならないという問題がある。賃貸やテナントなどを使用する者と物件のオーナーが別の場合は、そうした工事ができない契約になっているところがほとんどである。
【0007】
また、ルーフトップにソーラーパネルを載せても、車の中に配線を引き込むにはドアや窓を加工して配線を通す工事をしないと接続できないという問題がある。
【0008】
また、テナントやショップは、賃貸型の契約が多く、インテリアもエクステリアも後付けタイプが多く、さらに改装やイベントに合わせての照明変更などが多く、固定型のソーラーパネルシステムの導入が難しいという問題がある。
【0009】
本発明は、上記従来の課題を解決するためのものであって、壁などに穴を開ける工事が不要で、取り外しや取り付けが簡単にでき、所望の給電をすることができる送受電システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、請求項1記載の発明にあっては、コイルを有し、ソーラーパネルの電力を送信する送信器と、コイルを有し、前記送信器から送信される電力を非接触により受信する受信器と、前記送信器と前記受信器との位置合わせを行うための位置合わせ部とを、備え、前記送信器と前記受信器は、前記位置合わせ部によって位置合わせが行われると、前記送信器と前記受信器のそれぞれのコイルが向かい合い、電磁力結合することで電力の送信及び受信を行うことを特徴とする。
【0011】
請求項2記載の発明にあっては、前記送信器と前記受信器が三角錐形状となっていることは好ましい態様である。
【0012】
請求項3記載の発明にあっては、前記送信器と前記受信器の少なくとも一部に着色が施されていることは好ましい態様である。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の送受電システムにあっては、コイルを有し、ソーラーパネルの電力を送信する送信器と、コイルを有し、前記送信器から送信される電力を非接触により受信する受信器と、前記送信器と前記受信器との位置合わせを行うための位置合わせ部とを、備え、前記送信器と前記受信器は、前記位置合わせ部によって位置合わせが行われると、前記送信器と前記受信器のそれぞれのコイルが向かい合い、電磁力結合することで電力の送信及び受信を行うことにより、壁などに穴を開ける工事が不要で、取り外しや取り付けが簡単にでき、所望の給電をすることができる。
【0014】
請求項2記載の送受電システムにあっては、前記送信器と前記受信器が三角錐形状となっていることにより、風に対する剥がれ落ちが無くなり、強風下の外壁や窓ガラスに送信器を強固に貼り付けることができる。
【0015】
請求項3記載の送受電システムにあっては、前記送信器と前記受信器の少なくとも一部に着色が施されていることにより、送信器と受信器を接続する際、色合わせをすることで間違いなく送信器と受信器の最適な位置決めをすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る送受電システムの構成の一例を示す図である。
図2】本発明に係る送受電システムの送信器、受信器の構成の一例を示す図である。
図3】本発明に係る送受電システムの送信器、受信器の断面の一例を示す図である。
図4】本発明に係る送受電システムの送信器の内部を示す図である。
図5】本発明に係る送受電システムの送信器及び受信器の外観を示す図である。
図6】本発明に係る送受電システムの送信器と受信器をガラスの面を介して接続した際の図である。
図7】本発明に係る送受電システムの送信器と受信器の筐体の形状を三角錐形状にした図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る送受電システムの一実施形態に基づき、図面を参照して説明する。
【0018】
まず、一実施形態の送受電システムについて図1図7を用いて説明する。
【0019】
この一実施形態の送受電システム10は、図1に示すように、送信器11と、受信器12と、ソーラーパネル13と、蓄電装置14から構成されている。送信器11は、室外、例えばバルコニー側やベランダ側などに配置されるものであり、ガラス15の面に貼り付けて用いられる。送信器11は、ソーラーパネル13に接続されており、後述するようなコイルを有し、ソーラーパネル13によって得られる電力を受信器12へ送信する。ソーラーパネル13は太陽光16を不図示のパネルを介して受け、受けた太陽光16を電力に変換し、送信器11へ送信する。
【0020】
受信器12は、室内に配置されるものであり、送信器11と同様、ガラス15の面に貼り付けて用いられる。受信器12は、後述するようなコイルを有し、送信器11から送信される電力を非接触により受信し、受信した電力を蓄電装置14へ送信して蓄電させる。蓄電装置14は受信器12を通じて受信した電力を蓄電するものであり、蓄電された電力はスマートホンや家電製品などで使用することができる。
【0021】
このように、送受電システム10は、送電側(TX)をガラス15の外に貼り、受電側(RX)を部屋の内側のガラス15に貼り付けて使う無接点給電システムで、電磁誘導理論のコイルによる電力の送電、受電システムである。いわゆるコイルとコイルを向かい合わせにし、電磁誘導の磁界結合により、送電した電気エネルギーが給電側に伝わるというものである。
【0022】
また、送信器11と受信器12には、図2に示すように、それぞれの位置合わせを行うための位置合わせ部20(20a、20b、20c)を備える。位置合わせ部20は、例えば磁石であり、ガラス15を挟んで送信器11と受信器12とを接続させるためのものである。磁石は、例えば直径15mmφ、厚さ2mm程度の3000ガウス以上であれば、送信器11と受信器12の三角形の各頂点に3個貼りつけることにより強風でも剥がれないことは実証済みである。
【0023】
このように、送信器11と受信器12は、磁石などの位置合わせ部20によって位置合わせが行われると、送信器11と受信器12のそれぞれのコイルが向かい合い、電磁力結合することで電力の送信及び受信を行う。
【0024】
ここで、送信器11のコイルについて説明する。ここでは図2に示すものが送信器11として説明する。送信器11の筐体22内には磁石や複数のコイルが内蔵されており、図2に示すように、送信器11のコイル21(21a、21b、21c、21d)に電流を流すと、磁束が発生する。発生した磁束によって受信器12の不図示のコイルに電流が発生する。ここでは、コイルの数が4つであり、それぞれ円形のコイルとなっているが円形に限定されるものではなく、四角形などの他のコイル形状であってもよい。図3図2に示す送信器11の断面図を示すものである。
【0025】
図4図2に示す送信器11の内部を示す図である。送信器11の筐体22の内部には上述したコイル21以外に回路基板40が配置されている。回路基板40はコネクタ41を介してソーラーパネル13から電流を受け、送信器11の制御を行う。また、送信器11の内部には円形のコイル21が配置されているが、筐体22の形状に応じて角型のコイルを配置するようにしてもよい。
【0026】
例えば、円形のコイルは1つあたり10W(ワット)を発生させ、3つで30Wを発生させることができる。また、回路基板40はソーラーパネル13からの入力が解放電圧29V(ボルト)、最大電圧24Vである。
【0027】
図4では送信器11について説明したが、基本的な構造は受信器12も同様であり、3つの円形のコイル又は3つの角型のコイルが配置されている。受信器12にも回路基板が配置されており、入力電圧はDC5Vである。
【0028】
送受電システム10では、20~40Wクラスのソーラーパネル13を設置し、スマートホンなどの急速充電モードである2A、2.4Aをサポート可能になる。また、本格的な普及が進んでいるUSB-Type C PD規格の電流が必要である。受信器12側にはDC5Vの出力端子(USB X2port)とDC9V、12Vの2系統の出力端子を持つ。DC5Vの出力端子(USB X2port)ではスマートホンの充電(急速充電モード 2.4A)が可能で、USB機器のダイレクト駆動が可能である。DC12VではDC12V機器の駆動が可能で、例えばパソコンの充電、DC12Vのテレビや扇風機などの家電で駆動が可能になる。DC12Vで充電する、モバイル・バッテリーおよびポータブル・バッテリーが使えるソーラーシステムが完成する。また、ダイレクトモード19V USB Type C PDモードにより最近のパソコンの電源として使用できる。
【0029】
図5は送信器11及び受信器12の外観を示す図である。いずれも筐体22に覆われており、コネクタ41によって接続されている。
【0030】
図6は送信器11と受信器12とをガラス15の面を介して接続した際の図である。送信器11と受信器12に取り付けられたそれぞれの磁石20がガラス15の面を介して接続されることによって送信器11と受信器12の位置決めが最適となる。これにより、電磁誘導の磁界結合により、送電した電気エネルギーが給電側に効率よく供給される。
【0031】
図7は送信器11と受信器12の筐体の形状を三角錐形状にしたものである。ここでは筐体22の形状を三角錐形状にしている。これにより、風の応力を拡散させるため、強風でも剥がれにくいという効果を有する。
【0032】
また、送信器11と受信器12の少なくとも一部に着色が施されているようにしてもよい。例えば、三角形状の送信器11の1つの頂点部分と、同形状の受信器12の対応する1つの頂点部分とに同じ色を着色する。これにより、送信器11と受信器12を接続する際、色合わせをすることで間違いなく送信器11と受信器12の最適な位置決めをすることができる。
【0033】
本発明の送受電システムによれば、実現できる応用用途はこれまでにない幅広いものである。例えば、小水力発電の送電、小風力発電、マイクロバイオ発電、ソーラーホームシステム、SHS/miniSHS、パワーバンク、ポータブルパワーバンク、モバイルパワーバンク、ソーラーライティング、ソーラーLED、災害現場、避難住宅、仮設現場、車、アウトドア、キャンプ、ログハウス、キャンピングカー、車中泊、AC送電網からの電力を受けられない山間部など、初めて実用的なBCPの導入が可能になる。BCP導入の具体例として、これらの応用用途に利用されると、さらにソーラーパネルによる給電、そしてバッテリーによる蓄電システムが加速度的に生活の中で普及する。
【0034】
また、本発明の送受電システムによれば、TX(送信器側)とRX(受信器側)に埋め込んだ磁石によるガラス15(樹脂などの非磁性体も含む)を隔てた電力の伝送効率の一番高効率な位置に最適に貼り合わせる位置決めができ、素人や子供でも間違わない。また、透明なガラス以外の布や樹脂でも整合性を確保できるということは、TX、RXの位置精度を気にせずに目視確認も必要とせず最適な張り合わせができる。
【0035】
また、円、三角、四角、その他の多角形の面形状を三次元的に錐の形にして、面に当たる風の方向性を散逸させ、風による剥離が無いような形状にした。これにより、風に対する剥がれ落ちが無くなり、強風下の外壁や窓ガラス15にTXを強固に貼り付けることができる。接着などでは経年劣化による剥離が出る。
【0036】
また、TX、RXの送受信コイルを複数個レイアウトすることにより、単数のコイルでは得ることができない高い電圧、高い電流を得られる。結果的に必要とされる高いワット数の電力を得られる。また負荷機器のワット数に適合する必要な電力に応じたシステムを組むことができる。ソーラーパネル13のワット数のアップグレードや負荷機器のアップグレードにも柔軟に対応できるシステムのアップグレードが簡単になる。
【0037】
また、部屋の中に設置して使用する負荷機器に部屋の外に設置したソーラーパネル13からの電力を引き込むときは、一般的には外壁に穴を開ける工事をするか、エアコンのドレーンの穴を拡張して配線を通す必要がある。しかし、賃貸やテナントなどの不動産契約では、賃貸契約で借りている方が勝手に穴をあける工事ができないことや、穴をあけた物件は、契約解除で貸主に返す時に、復元するか修繕費を支払わなければならない義務が生じる。本発明の送受電システムのTX、RXの設置にはこうした工事の必要がない。これは、生活環境の中では、コストが発生しないワイヤレスのシステムであると同時に、こうした付加コストが発生しない、コストレスの設置方法でもある。普及とユーザーが得られる恩恵は大きなメリットである。
【0038】
また、TX、RXを貼り付ける位置は、施設設備のレイアウトや負荷機器のレイアウトの応じて自由に変えることができる。穴あけや端子盤、分電盤などの工事が伴う配線方法では、位置決めが固定されて自由度が少ない。
【0039】
また、磁石20による位置決めの張り合わせ方法は、高い精度で最適効率にTXとRXが合体できるので、結果的に電力の伝送ロスが一番少ない合体方法になる。
【0040】
また、磁力20の結合を確保できる非磁性体の厚さであれば外気と遮断された部屋にも導入できるという利点から外の環境と隔絶する必要のある内、外を結合する配線システムとして、例えばクリーンルームや無響室などへの導入も可能である。ソーラーパネル13以外の電力の送受信のシステム構築が可能となる。
【0041】
また、ソーラーパネル13(PV)のAPを拡張する。
【0042】
また、並列、直列の組み合わせが自由である。アプリケーションに応じた、電圧と電流値をフレキシブルに組み合わせできる。
【0043】
また、自然再生系のエネルギーであり、電力消費によるCO2がなくカーボンフリーを実現できる。
【0044】
また、後からソーラーパネル13を増設した時に、数台のシステムを連結して並列使用できるようにRXを並列結合できる構造と回路になっている。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明に係る送受電システムは、壁などに穴を開ける工事が不要で、取り外しや取り付けが簡単にでき、所望の給電をすることができるため、産業上の利用可能性を有している。
【符号の説明】
【0046】
10 送受電システム
11 送信器
12 受信器
13 ソーラーパネル
14 蓄電装置
15 ガラス
16 太陽光
20(20a、20b、20c) 磁石
21(21a、21b、21c、21d) コイル
22 筐体
40 回路基板
41 コネクタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7