(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068319
(43)【公開日】2024-05-20
(54)【発明の名称】ロボット
(51)【国際特許分類】
B25J 19/00 20060101AFI20240513BHJP
B25J 9/06 20060101ALI20240513BHJP
【FI】
B25J19/00 M
B25J9/06 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178668
(22)【出願日】2022-11-08
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】中西 大介
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707BS10
3C707BS15
3C707CT07
3C707CY34
(57)【要約】
【課題】放熱に必要な部材を設置する箇所の自由度が高く、かつ、放熱に伴うエネルギー消費を増大させることなく、放熱を行うことができるロボットを提供すること。
【解決手段】基台と、第1軸に沿って前記基台と接続され、前記第1軸まわりに回動するロボットアームと、発熱部材と、前記ロボットアームの先端側に配置されている第1開口部と、前記ロボットアームの前記第1開口部よりも前記第1軸側、または、前記基台に配置されている第2開口部と、前記第1開口部と前記第2開口部とを連通し、前記ロボットアームの動作によって前記第2開口部から前記第1開口部に向かって外気が流れる流路と、を備え、前記流路の途中に前記発熱部材が配置されていることを特徴とするロボット。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台と、
第1軸に沿って前記基台と接続され、前記第1軸まわりに回動するロボットアームと、
発熱部材と、
前記ロボットアームの先端側に配置されている第1開口部と、
前記ロボットアームの前記第1開口部よりも前記第1軸側、または、前記基台に配置されている第2開口部と、
前記第1開口部と前記第2開口部とを連通し、前記ロボットアームの動作によって前記第2開口部から前記第1開口部に向かって外気が流れる流路と、
を備え、
前記流路の途中に前記発熱部材が配置されていることを特徴とするロボット。
【請求項2】
前記ロボットアームは、
前記第1軸まわりに回動する第1アームと、
前記第1アームの先端部と第2軸に沿って接続され、前記第2軸まわりに回動する第2アームと、
を備える請求項1に記載のロボット。
【請求項3】
前記基台に設けられ、前記第1アームを駆動し、第1中空部を有する第1モーターを前記発熱部材として備え、
前記第2開口部は、前記基台に配置され、
前記流路は、前記第1中空部を含む請求項2に記載のロボット。
【請求項4】
前記第1開口部は、前記第1アームの先端側に配置されている請求項3に記載のロボット。
【請求項5】
前記第2アームに設けられ、前記第2アームを駆動し、第2中空部を有する第2モーターを前記発熱部材として備え、
前記流路は、前記第2中空部を含む請求項3に記載のロボット。
【請求項6】
前記第1開口部は、前記第2アームの先端側に配置されている請求項5に記載のロボット。
【請求項7】
前記第2アームに設けられ、前記第2アームを駆動する第2モーターを前記発熱部材として備え、
前記流路の途中に前記第2モーターが配置され、
前記第1開口部は、前記第2アームの先端側に配置され、
前記第2開口部は、前記第2アームの前記第1軸側または前記第1アームに配置されている請求項2に記載のロボット。
【請求項8】
前記基台と前記第2アームとをつなぐ配管を備え、
前記流路は、前記配管の内部を含み、
前記第1開口部は、前記第2アームに配置され、
前記第2開口部は、前記基台に配置されている請求項2に記載のロボット。
【請求項9】
前記第1開口部は、前記第2開口部よりも鉛直上方に位置している請求項1または2に記載のロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ロボットアームやそれを支持する基体には、発熱を伴う機器が内蔵されている。このような機器としては、例えば、モーター、制御基板等が挙げられる。これらの機器の性能が低下するのを避けるため、冷却する手段が求められる。
【0003】
例えば、特許文献1には、ロボットアームを支持する基体が開示されている。この基体は、発熱部品からの熱を放散する第1熱伝導経路を形成するブラケットと、発熱部品からの熱を放散する第2熱伝導経路を形成するサーマルパッドと、を備えるロボットシステムが開示されている。このようなブラケットおよびサーマルパッドによれば、複数の熱伝導経路が構成されるため、熱放散を有利に向上させることができる。
【0004】
また、基体は、第1ヒートシンクを備える後部と、第2ヒートシンクを備える前部と、を有する。前述した第1熱伝導経路は、発熱部品からブラケットを介して第1ヒートシンクまで形成されている。前述した第2熱伝導経路は、発熱部品からブラケットおよびサーマルパッドを介して第2ヒートシンクまで形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の基体では、ヒートシンクによる放熱が必要となる。放熱性を高めるためには、ヒートシンクを大きくする必要があるものの、その場合、ヒートシンクの設置箇所に制約が伴う。また、ロボットアームは可動部であり、軽量化が必要になる。このため、ロボットアームへのヒートシンクの設置は困難である。一方、放熱を促進するファン等の能動部品は、ロボットのエネルギー消費の増大を招く。
【0007】
このため、放熱に必要な部材の設置箇所に制約を伴うことなく、かつ、エネルギー消費を増大させることなく、発熱する機器の放熱を行うことが課題となっている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の適用例に係るロボットは、
基台と、
第1軸に沿って前記基台と接続され、前記第1軸まわりに回動するロボットアームと、
発熱部材と、
前記ロボットアームの先端側に配置されている第1開口部と、
前記ロボットアームの前記第1開口部よりも前記第1軸側、または、前記基台に配置されている第2開口部と、
前記第1開口部と前記第2開口部とを連通し、前記ロボットアームの動作によって前記第2開口部から前記第1開口部に向かって外気が流れる流路と、
を備え、
前記流路の途中に前記発熱部材が配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係るロボットを備えるロボットシステムを示す側面図である。
【
図3】第1実施形態の変形例に係るロボットが備える駆動部を示す模式図である。
【
図4】第2実施形態に係るロボットを示す模式図である。
【
図5】第2実施形態の第1変形例に係るロボットを示す模式図である。
【
図6】
図5に示す第2アームの別の変形例であって、その変形例に係る第2アームを上方、側方および下方から見たときの、第1開口部、第2開口部および流路を簡略化して示す図である。
【
図7】
図5に示す第2アームのさらに別の変形例であって、その変形例に係る第2アームを上方、側方および下方から見たときの、第1開口部、第2開口部および流路を簡略化して示す図である。
【
図8】第2実施形態の第2変形例に係るロボットを示す模式図である。
【
図9】第3実施形態に係るロボットを示す模式図である。
【
図10】第4実施形態に係るロボットを示す模式図である。
【
図11】第5実施形態に係るロボットを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明のロボットの好適な実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
1.第1実施形態
まず、第1実施形態に係るロボットを備えるロボットシステムについて説明する。
【0011】
図1は、第1実施形態に係るロボット1を備えるロボットシステム100を示す側面図である。なお、本願の各図では、説明の便宜上、互いに直交する3つの軸として、x軸、y軸およびz軸を設定し、それぞれ矢印で示している。以下の説明では、x軸と平行な方向を「x軸方向」といい、y軸と平行な方向を「y軸方向」といい、z軸と平行な方向を「z軸方向」という。また、以下の説明では、図示された各矢印の先端側を「+(プラス)」、基端側を「-(マイナス)」という。さらに、以下の説明では、一例として、z軸が鉛直軸と平行であるものとし、+z軸方向を「上」、-z軸方向を「下」という。
【0012】
図1に示すロボットシステム100は、ロボット1と、ロボット1の動作を制御する制御装置3と、を備えている。ロボットシステム100の用途は、特に限定されないが、例えば、ワークの保持、搬送、組立、検査等の各作業が挙げられる。
【0013】
本実施形態では、ロボット1は、水平多関節ロボット(スカラロボット)である。ロボット1は、基台21と、ロボットアーム20と、を備える。本実施形態では、ロボットアーム20が、後述する第1アーム22、第2アーム23、シャフト24、および、エンドエフェクター取付部29を有する。
【0014】
ロボット1は、後述するように、モーター、減速機、制御基板、電源等の発熱部材を有している。これらの発熱部材は、例えば通電や摩擦等に伴って発熱する。
【0015】
そこで、ロボット1は、発熱部材から発生した熱を速やかに外部に排出する手段として、後述する第1開口部51、第2開口部52および流路6を備える。第1開口部51は、第1アーム22の外装に設けられ、第2開口部52は、基台21の外装に設けられている。また、流路6は、第1開口部51と第2開口部52とをつないでいる。
【0016】
ロボット1では、ロボットアーム20が動作するとき、第1開口部51と第2開口部52との間に速度差が生じる。速度差が生じると、流路6に外気が流れる。これにより、発熱部材と外気(空気)との間で熱交換を行わせることができ、発熱部材を冷却することができる。
【0017】
以下、ロボット1の各部について説明する。
1.1.基台
基台21は、図示しない設置面にボルト等で固定されている。設置面としては、例えば、床面、壁面、天井面、テーブルや架台等の上面等が挙げられる。
図1に示す基台21の外形は、略直方体の形状をなしている。なお、基台21の外形は、
図1に示す形状に限定されず、いかなる形状であってもよい。
【0018】
基台21は、ベース211と、カバー212と、を備える。ベース211は、基台21の骨格をなす部材である。カバー212は、ベース211を覆うように設けられた外装である。
【0019】
また、ロボット1は、駆動部261を有する。駆動部261は、基台21に対して第1アーム22を第1軸AX1まわりに回動させる駆動力を発生する。駆動部261は、基台21に設けられた第1モーター261aと、第1アーム22に設けられた第1減速機261bと、を備える。第1モーター261aの回転出力は、第1減速機261bによって減速され、基台21に対して第1アーム22を回動させる。
【0020】
なお、本実施形態では、第1軸AX1がz軸と平行であるが、第1軸AX1はz軸と非平行であってもよい。また、第1モーター261aおよび第1減速機261bの配置は、図示した配置に限定されず、例えば、第1減速機261bが基台21に設けられていてもよいし、第1モーター261aおよび第1減速機261bの双方が第1アーム22に設けられていてもよい。
【0021】
また、駆動部261は、その回転量を検出する図示しないエンコーダーを有する。このエンコーダーからの出力によって基台21に対する第1アーム22の回動角を検出することができる。
【0022】
1.2.ロボットアーム
ロボットアーム20は、基台21と接続されている。
図1に示すロボットアーム20では、第1アーム22、第2アーム23、シャフト24、および、エンドエフェクター取付部29が、この順で連結されている。
【0023】
1.2.1.アーム等
第1アーム22は、その基端部228が、第1軸AX1に沿って基台21と接続されている。第1アーム22は、基台21に対し、第1軸AX1まわりに回動可能になっている。
【0024】
第1アーム22は、ベース221と、カバー222と、を備える。ベース221は、第1アーム22の骨格をなす部材である。カバー222は、ベース221を覆うように設けられた外装である。
【0025】
第2アーム23は、その基端部238が、第1アーム22の先端部229と第2軸AX2に沿って接続されている。第2アーム23は、第1アーム22に対し、第1軸AX1と平行な第2軸AX2まわりに回動可能になっている。
【0026】
第2アーム23は、ベース231と、カバー232と、を備える。ベース231は、第2アーム23の骨格をなす部材である。カバー232は、ベース231を覆うように設けられた外装である。
【0027】
シャフト24は、第2アーム23の先端部239と接続されている。シャフト24は、第2軸AX2と平行な第3軸AX3まわりに回動可能であり、かつ、第3軸AX3に沿って並進可能になっている。
【0028】
シャフト24は、円筒形状の軸体である。シャフト24の長手方向の途中には、ボールネジナット241と、スプラインナット242と、が設置されており、シャフト24は、これらによって支持されている。シャフト24は、第2アーム23の先端部239と接続された第3アームとみなすことができる。
【0029】
なお、本明細書では、各アームが回動する軸から遠方の端を「先端」という。例えば、第1アーム22の先端部229とは、第1アーム22の長手方向における両端のうち、第1軸AX1から遠方の端部を指す。したがって、
図1では、第1アーム22の左端またはその近傍が「先端部229」である。本明細書では、先端とは反対の端を「基端」という。したがって、例えば、
図1では、第1アーム22の右端またはその近傍が「基端部228」である。
【0030】
1.2.2.駆動部
また、ロボット1は、駆動部262、263、264を有する。
【0031】
駆動部262は、第2アーム23の基端部238に位置し、第1アーム22に対して第2アーム23を第2軸AX2まわりに回動させる駆動力を発生する。駆動部262は、第2アーム23のベース231に設けられた第2モーター262aと、第1アーム22のベース221に設けられた第2減速機262bと、を備える。第2モーター262aの回転出力は、第2減速機262bによって減速され、第1アーム22に対して第2アーム23を回動させる。
【0032】
なお、本実施形態では、第2軸AX2が第1軸AX1と平行であるが、第2軸AX2は第1軸AX1と非平行であってもよい。また、第2モーター262aおよび第2減速機262bの配置は、図示した配置に限定されず、例えば、第2減速機262bが第2アーム23に設けられていてもよいし、第2モーター262aおよび第2減速機262bの双方が第1アーム22に設けられていてもよい。
【0033】
また、駆動部262は、その回転量を検出する図示しないエンコーダーを有する。このエンコーダーからの出力によって第1アーム22に対する第2アーム23の回動角を検出することができる。
【0034】
駆動部263は、第2アーム23の基端部238と先端部239との間に位置し、ボールネジナット241を回転させてシャフト24を第3軸AX3に沿った方向に並進させる駆動力を発生する。駆動部263は、それぞれ図示しないモーター、減速機、プーリー、ベルト、エンコーダー等を備える。駆動部263は、ベース231に設けられている。減速機、プーリーおよびベルトは、モーターの回転出力をボールネジナット241に伝達する。エンコーダーは、第2アーム23に対するシャフト24の並進量を検出する。
【0035】
駆動部264は、第2アーム23の基端部238と先端部239との間に位置し、スプラインナット242を回転させてシャフト24を第3軸AX3まわりに回転させる駆動力を発生する。駆動部264は、それぞれ図示しないモーター、減速機、プーリー、ベルト、エンコーダー等を備える。駆動部264は、ベース231に設けられている。減速機、プーリーおよびベルトは、モーターの回転出力をスプラインナット242に伝達する。エンコーダーは、第2アーム23に対するシャフト24の回転量を検出する。
【0036】
シャフト24の先端部には、エンドエフェクターを装着するためのエンドエフェクター取付部29が設けられている。エンドエフェクター取付部29に装着するエンドエフェクターとしては、特に限定されないが、例えば、対象物を保持するハンド、対象物を加工するツール、対象物を検査する検査装置等が挙げられる。なお、エンドエフェクターを含んだ構成をロボットアーム20としてもよい。
【0037】
駆動部261~264が発生させる駆動力は、後述する制御装置3によって制御される。これにより、ロボットアーム20の姿勢を任意に制御することができ、エンドエフェクターに目的とする作業を行わせることができる。
【0038】
なお、駆動部261~264は、モーターへの通電や減速機内部の摩擦等によって発熱する。このため、駆動部261~264は、それぞれ発熱部材である。なお、基台21およびロボットアーム20には、駆動部261~264以外の発熱部材、例えば制御基板、電源装置、通信装置、ポンプ等が設けられていてもよい。
【0039】
1.3.制御装置
ロボット1の動作は、制御装置3によって制御される。制御装置3は、
図1に示すように基台21の外部に配置されていてもよいが、基台21に内蔵されていてもよい。制御装置3は、あらかじめ記憶された動作プログラムに応じて、駆動部261、262、263、264の駆動を制御する。これにより、制御装置3は、ロボットアーム20の動作を制御する。
【0040】
1.4.第1開口部および第2開口部
図1に示す第1開口部51は、第1アーム22のカバー222に開口している孔である。より具体的には、第1開口部51は、第1アーム22の先端部229に配置されている。第1開口部51は、流路6内の空気を外部に排出する排気口となる。
図1に示す第2開口部52は、基台21のカバー212に開口している孔である。第2開口部52は、流路6内に外気を取り込む吸気口となる。なお、第1開口部51の配置は、第1アーム22の先端部229に限定されず、第1アーム22の先端側、つまり、第1アーム22の長手方向の中間よりも先端に近い範囲であってもよい。
【0041】
第1開口部51および第2開口部52をそれぞれ上記の位置に配置することで、ロボットアーム20が回動(動作)するとき、両者の間には速度差が発生する。例えばロボットアーム20が第1軸AX1まわりに回動するとき、第1開口部51の移動速度は、第2開口部52の移動速度よりも大きくなる。例えばロボットアーム20が姿勢を変えずに第1軸AX1まわりに回動するとき、第1開口部51の移動速度は、第1開口部51の回動半径と第1軸AX1まわりの角速度との積で求められる。一方、第2開口部52は、基台21に設けられているため、その移動速度はゼロである。このような移動速度の差は、第1開口部51と第2開口部52との間に圧力差(気圧の差)を生じさせる。その結果、流路6内には、第2開口部52から第1開口部51に向かう空気の流れが形成される。この空気の流れによって、流路6内の空気を入れ替えることができる。そして、これにより、流路6内の空気が熱交換によって受け取った発熱部材の熱を、外部に放出することができ、発熱部材を冷却することができる。
【0042】
また、このような空気の流れは、ロボットアーム20の回動に伴って自然に発生する。このため、ヒートシンク等の放熱部材を用いたり、熱伝導経路を長く敷設したりする必要がなく、流路6の設置箇所における制約を少なくできる。さらに、ファン等を用いた強制吸気、強制排気を行うことなく、空気の流れを形成することができる。これにより、放熱に伴うロボット1のエネルギー消費を増大させることなく、発熱部材の冷却を行うことができる。
【0043】
なお、第2開口部52は、基台21ではなく、第1アーム22の基端部228(第1軸AX1側)に配置されていてもよい。つまり、第1開口部51が、第2開口部52よりもロボットアーム20の先端側に配置され、第2開口部52が、ロボットアーム20の第1開口部51よりも第1軸AX1側に配置されていてもよい。この場合、第2開口部52と第1軸AX1との距離は、第1開口部51と第1軸AX1との距離よりも小さければよい。この場合であっても、上記と同様、第1軸AX1まわりにロボットアーム20が回動するとき、第1開口部51の移動速度は、第2開口部52の移動速度よりも大きくなるため、速度差に伴う圧力差を生じさせることができる。
【0044】
第1開口部51および第2開口部52の各形状は、特に限定されない。
図1に示す第1開口部51および第2開口部52は、それぞれ一例としてz軸方向に長軸を持つ長方形(スリット状)をなす孔で構成されているが、この孔は、いかなる形状であってもよい。また、第1開口部51および第2開口部52は、それぞれ複数の孔で構成されていてもよい。
【0045】
なお、ロボットアーム20全体で見た場合、第1開口部51は、ロボットアーム20の先端側に配置され、第2開口部52は、ロボットアーム20の第1開口部51よりも第1軸AX1側、または、基台52に配置されている、と言い換えることができる。第1開口部51がロボットアーム20の先端側に配置されているとは、ロボットアーム20を最も遠方まで到達し得る姿勢にしたとき、つまり、エンドエフェクター取付部29と第1軸AX1とのx-y面における距離が最大になる姿勢にしたとき、第1開口部51の位置が、第2開口部52よりも、第1軸AX1から遠いことを指す。
【0046】
このような配置であれば、ロボットアーム20が少なくとも第1軸AX1まわりに回動するとき、第1開口部51の周方向の速度は、第2開口部52の周方向の速度より大きくなる。なお、ロボットアーム20の姿勢によって、第1開口部51が第2開口部52よりも第1軸AX1側に近づくことも想定される。しかし、そのような姿勢をとる時間帯は、ロボットアーム20の稼働時間全体のうち、わずかであると考えられる。このため、上記のような配置をとることで、速度差に基づく冷却効果が得られる。
【0047】
1.5.流路
流路6は、第1開口部51と第2開口部52とを連通する管路のことをいう。なお、本願の各図では、図示の便宜上、流路6を示す符号を、空気の流れに対して付している。流路6は、気密性がなくてもよいが、好ましくは全長にわたって気密性を有している。これにより、第2開口部52においてより多くの外気を取り込むことができる。その結果、流路6においてより多量の熱を吸収し、外部に放出することができるので、発熱部材の冷却効率を高めることができる。
【0048】
流路6は、全体が1本のダクトで構成されていてもよいし、複数のダクトで構成されていてもよい。また、流路6の内壁の少なくとも一部は、例えば
図1に示すベース221の外面やカバー222の内面、発熱部材の外面によって構成されていてもよい。特に、発熱部材の外面が流路6の内壁を構成している場合、流路6内の空気と発熱部材との熱交換の効率を高めやすい。このため、特に冷却効率が高めることができる。また、流路6の内壁の全体が、ベース221の外面やカバー222の内面、発熱部材の外面等で構成できる場合には、ダクトを用いなくてもよい。
【0049】
図2は、
図1に示す流路6の模式図である。
図2に示す第1モーター261aは、中空部261cを有している。中空部261cは、第1軸AX1に沿って延在する柱状の空間である。そして、この中空部261cは、流路6の一部を構成している。流路6が中空部261cを含むことにより、発熱部材である第1モーター261aと空気との熱交換をより効率よく行わせることができる。
【0050】
このような中空部261cを有する第1モーター261aとしては、例えば、回転軸に中空軸を用いたサーボモーターが挙げられる。
【0051】
図2に示す第1減速機261bは、中空部261dを有している。中空部261dは、第1軸AX1に沿って延在する柱状の空間である。そして、この中空部261dは、流路6の一部を構成している。流路6が中空部261dを含むことにより、発熱部材である第1減速機261bと空気との熱交換をより効率よく行わせることができる。
【0052】
このような中空部261dを有する第1減速機261bとしては、例えば、回転軸に中空軸を用いた歯車装置が挙げられる。
【0053】
また、
図2に示す流路6は、第2開口部52と中空部261cとをつなぐダクト61、および、中空部261dと第1開口部51とをつなぐダクト62を含んでいる。
【0054】
ダクト61、62の構成材料としては、例えば、樹脂材料、金属材料等が挙げられる。このうち、発熱部材の近傍では、構成材料として金属材料が好ましく用いられる。金属材料は、一般に熱伝導性に優れるため、熱交換を特に効率よく行わせることができる。例えば、
図2に示すダクト62は、駆動部262の近傍を通過するように配設されている。この場合、駆動部262の近傍では、ダクト62の構成材料として金属材料を用いることにより、ダクト62を介した熱交換の効率を高めることができる。一方、その他の部分では、ダクト62の軽量化および取り込んだ外気の温度上昇を避けるため、比重が小さく、かつ金属よりも熱伝導性が低い樹脂材料が好ましく用いられる。
【0055】
2.変形例
次に、第1実施形態の変形例に係るロボットについて説明する。
【0056】
図3は、第1実施形態の変形例に係るロボット1が備える駆動部261を示す模式図である。なお、
図3では、駆動部261の一部を分解して示している。
【0057】
以下、第1実施形態の変形例について説明するが、以下の説明では、第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、
図3において、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付している。
【0058】
本変形例は、基台21における流路6の構成が異なる以外、第1実施形態と同様である。
【0059】
前述した第1実施形態では、第1モーター261aが中空部261cを有している。これに対し、本変形例では、
図3に示すように、第1モーター261aには中空部261cが存在しない。その一方、本変形例では、駆動部261が、第1モーター261aと第1減速機261bとの間に設けられた接続部265を有する。接続部265は、円環状をなす2つのフランジ部265a、265aと、これらをつなぐ柱部265bと、を備える。接続部265は、第1モーター261aの出力軸と第1減速機261bの入力軸とを接続し、回転出力を伝達する。
【0060】
また、
図3に示す接続部265では、一例として3本の柱部265bが、フランジ部265aの周方向に沿って等間隔に並んでいる。これにより、接続部265には、フランジ部265aの内部と外部とをつなぐ窓部265cが形成されている。その結果、接続部265は、窓部265cを介して、第1減速機261bの中空部261dと外部とを接続する。
【0061】
また、接続部265は、ダクト63で覆われている。ダクト63は、ダクト61に接続されている。これにより、本変形例では、ダクト61、ダクト63、窓部265cおよび中空部261dの順に空気が流れる流路6が形成されている。
【0062】
このような変形例では、第1モーター261aが中空部261cを有さない場合でも、基台21から第1アーム22に至る流路6を形成することができる。これにより、第1モーター261aの選択自由度を高めつつ、冷却効率の高い流路6を実現することができる。その結果、第1モーター261aの小型化および低コスト化を図ることができる。
【0063】
また、第1モーター261a、第1減速機261bおよび接続部265の接続順序は、上記の順序に限定されず、例えば、接続部265、第1減速機261b、第1モーター261aの順序であってもよい。
なお、以上のような変形例においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0064】
3.第2実施形態
次に、第2実施形態に係るロボットについて説明する。
図4は、第2実施形態に係るロボット1を示す模式図である。
【0065】
以下、第2実施形態について説明するが、以下の説明では、第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、
図4において、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付している。
【0066】
第2実施形態は、第1開口部51および第2開口部52の各配置および流路6の配置が異なる以外、第1実施形態と同様である。
【0067】
第2実施形態では、
図4に示すように、第1開口部51が第2アーム23の先端部239に配置されている。また、
図4では、第2開口部52が第2アーム23の基端部238に配置されている。この場合、流路6を基台21や第1アーム22まで敷設する必要がなくなるので、駆動部262~264を冷却しつつ、流路6の敷設作業を容易にでき、かつ、流路6の構造を簡単にできるという利点がある。なお、第1開口部51の配置は、第2アーム23の先端部239に限定されず、第2アーム23の先端側、つまり、第2アーム23の長手方向の中間よりも先端に近い範囲であってもよい。
【0068】
第2実施形態においても、ロボットアーム20が第1軸AX1まわりに回動するとき、第1開口部51の移動速度は、第2開口部52の移動速度よりも大きくなる。なお、ロボットアーム20の姿勢によっては、この大小関係が成り立たない瞬間があったとしても、ほとんどの姿勢で、この大小関係が成り立つ確率が高くなる。また、それに加え、第2アーム23が第2軸AX2まわりに回動するときも、第1開口部51の移動速度は、第2開口部52の移動速度よりも大きくなる。この速度差によって、流路6内には、第2開口部52から第1開口部51に向かう空気の流れが形成される。
【0069】
第2実施形態では、流路6がダクト64を有している。ダクト64は、発熱部材である駆動部262、263、264の近傍を通過するように配設されている。これにより、発熱部材を冷却することができる。また、
図4に示すように、駆動部262等がz軸方向に長い形状をなしている場合には、流路6についてもその形状に沿ってz軸に延在する部分を含んでいてもよい。これにより、駆動部262等をより効率よく冷却することができる。また、ダクト64の一部は、前述したように金属材料で構成されていてもよいし、発熱部材の外面で構成されていてもよい。
【0070】
以上のような第2実施形態においても、ロボットアーム20全体で見た場合、
図4に示す第1開口部51は、ロボットアーム20の先端側に配置され、第2開口部52は、ロボットアーム20の第1開口部51よりも第1軸AX1側に配置されている、と言い換えることができる。
【0071】
このような配置であれば、ロボットアーム20が少なくとも第1軸AX1まわりに回動するとき、第1開口部51の周方向の速度は、第2開口部52の周方向の速度より大きくなる確率が高くなる。それに加え、本実施形態では、第2アーム23が第2軸AX2まわりに回動するときも、第1開口部51の周方向の速度は、第2開口部52の周方向の速度より大きくなる。
以上のような第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0072】
4.変形例
次に、第2実施形態の変形例に係るロボットについて説明する。
図5は、第2実施形態の第1変形例に係るロボット1を示す模式図である。
【0073】
以下、第2実施形態の第1変形例について説明するが、以下の説明では、第2実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、
図5において、第1、第2実施形態と同様の構成については、同一の符号を付している。
本第1変形例は、流路6の形状が異なる以外、第2実施形態と同様である。
【0074】
図5に示す第1開口部51は、第2開口部52よりも鉛直上方に位置している。そして、流路6は、第1開口部51と第2開口部52とをつなぐように直線的に延びるダクト64を有している。このような形状の流路6によれば、前述した圧力差に伴う空気の流れだけでなく、煙突効果による空気の流れを生じさせることができる。これにより、発熱部材の冷却効率を高めることができる。なお、煙突効果とは、流路6内の空気が熱を吸収することにより、低密度になって浮力を受けることをいう。
【0075】
また、煙突効果を考慮する場合、流路6の延在方向だけでなく、第1開口部51の配置を最適化することが望ましい。
【0076】
図6は、
図5に示す第2アーム23の別の変形例であって、その変形例に係る第2アーム23を上方、側方および下方から見たときの、第1開口部51、第2開口部52および流路6を簡略化して示す図である。なお、上方とは、
図5の+z軸方向の位置にある視点のことをいい、側方とは、
図5の+x軸方向の位置にある視点のことをいい、下方とは、
図5の-z軸方向の位置にある視点のことをいう。
【0077】
前述した
図5に示す第1開口部51は、y軸に沿ってカバー232を貫通する孔、または、y軸をx軸側に傾けた軸に沿ってカバー232を貫通する孔で構成されている。これに対し、
図6に示す第1開口部51は、上面図に示すように、z軸に沿ってカバー232を貫通する孔で構成されている。つまり、
図6に示す第1開口部51は、上方に開口している。このため、煙突効果によって流路6内を上昇した空気は、第1開口部51からよりスムーズに排出される。このため、発熱部材の冷却効率を特に高めることができる。
【0078】
図7は、
図5に示す第2アーム23のさらに別の変形例であって、その変形例に係る第2アーム23を上方、側方および下方から見たときの、第1開口部51、第2開口部52および流路6を簡略化して示す図である。
【0079】
図7に示す流路6は、上面図および側面図に示すように、y軸に沿って延在するダクト64と、ダクト64の先端に接続され、上面図に示すように、x軸に沿って延在するダクト65と、を含む。つまり、
図7に示す流路6は、
図5と同様のダクト64と、その先端が分岐してなるダクト65と、を含む。そして、第1開口部51は、ダクト65の両端に配置されている。つまり、第1開口部51は、2か所に分かれて配置されている。
【0080】
図7に示す第2アーム23が、例えば第2軸AX2まわりに回動すると、それに伴って一方の第1開口部51から他方の第1開口部51に向かって、ダクト65内を空気が流れる。これにより、ダクト64の先端の圧力が低下し、ダクト64内の空気の排出が促される。第2アーム23は、第2軸AX2まわりにx-y面内を回動するため、どのような条件で回動しても、ダクト65内を空気が流れることになる。このため、
図7に示す流路6は、第2アーム23の回動を考慮した場合に有用である。
【0081】
なお、図示しないが、第2開口部52には、斜めに傾けたフィンを設けるようにしてもよい。このようなフィンは、スワール流れ(旋回流)を発生させる。このような流れを形成することにより、空気の流れを整えることができる。その結果、吸気効率を高め、発熱部材の冷却効率を高めることができる。
【0082】
図8は、第2実施形態の第2変形例に係るロボット1を示す模式図である。
以下、第2実施形態の第2変形例について説明するが、以下の説明では、第2実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、
図8において、第1、第2実施形態と同様の構成については、同一の符号を付している。
【0083】
本第2変形例は、ロボットアーム20の形状および流路6の形状が異なる以外、第2実施形態と同様である。
【0084】
図8に示すロボット1は、垂直多関節ロボットである。
図8に示すロボットアーム20は、第1アーム22、第2アーム23、第3アーム25、第4アーム26、第5アーム27および第6アーム28を有する。したがって、
図8に示すロボット1は、6軸ロボットである。なお、ロボット1の軸数は、6つに限定されず、5つ以下であっても、7つ以上であってもよい。
【0085】
本第2変形例では、
図8に示すように、第1開口部51が第2アーム23の先端側に配置されている。一方、第2開口部52は、第1アーム22に配置されている。このような第2変形例においても、ロボットアーム20が第1軸AX1まわりに回動するとき、流路6内には、第2開口部52から第1開口部51に向かう空気の流れが形成される。
【0086】
本第2変形例でも、流路6がダクト64を有している。このダクト64は、発熱部材である駆動部262の近傍を通過するように配設されている。これにより、発熱部材を冷却することができる。
以上のような変形例においても、第1、第2実施形態と同様の効果が得られる。
【0087】
5.第3実施形態
次に、第3実施形態に係るロボットについて説明する。
図9は、第3実施形態に係るロボット1を示す模式図である。
【0088】
以下、第3実施形態について説明するが、以下の説明では、第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、
図9において、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付している。
【0089】
第3実施形態は、第1実施形態と第2実施形態とを組み合わせた形態であること以外、第1、第2実施形態と同様である。
【0090】
第3実施形態は、
図9に示すように、第1実施形態と同様、第1アーム22に配置されている第1開口部51、基台21に配置されている第2開口部52、および基台21から第1アーム22にかけて配設されている流路6を備えている。また、第3実施形態は、
図9に示すように、第2実施形態と同様、第2アーム23に配置されている第1開口部51、第2開口部52および流路6を備えている。
【0091】
以上のような第3実施形態においても、第1、第2実施形態と同様の効果が得られる。また、特に第3実施形態によれば、2本の流路6によって、駆動部261~264の全てを冷却することができるので、発熱に伴う駆動部261~264の性能低下を特に抑制できる。
【0092】
6.第4実施形態
次に、第4実施形態に係るロボットについて説明する。
図10は、第4実施形態に係るロボット1を示す模式図である。
【0093】
以下、第4実施形態について説明するが、以下の説明では、第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、
図10において、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付している。
【0094】
第4実施形態は、流路6が基台21から第2アーム23にかけて配設されていること以外、第1実施形態と同様である。
【0095】
図10に示す第2モーター262aは、中空部262cを有している。中空部262cは、第2軸AX2に沿って延在する柱状の空間である。そして、この中空部262cは、流路6の一部を構成している。流路6が中空部262cを含むことにより、発熱部材である第2モーター262aと空気との熱交換をより効率よく行わせることができる。
【0096】
図10に示す第2減速機262bは、中空部262dを有している。中空部262dは、第2軸AX2に沿って延在する柱状の空間である。そして、この中空部262dは、流路6の一部を構成している。流路6が中空部262dを含むことにより、発熱部材である第2減速機262bと空気との熱交換をより効率よく行わせることができる。
【0097】
また、
図10に示す第1開口部51は、第2アーム23の先端側に配置され、第2開口部52は、基台21に配置されている。
【0098】
さらに、
図10に示す流路6は、第2開口部52と第1モーター261aの中空部261cとをつなぐダクト61、第1減速機261bの中空部261dと第2減速機262bの中空部262dとをつなぐダクト62、および、第2モーター262aの中空部262cと第1開口部51とをつなぐダクト64を含んでいる。このような流路6では、駆動部261~264の全てを冷却することができ、かつ、駆動部261、262については中空部261c、261d、262c、262dを介してより効率よく冷却することができる。しかも、第1開口部51と第2開口部52との速度差を最大化しやすい。このため、
図10に示すロボット1によれば、発熱部材の冷却効率を特に高めることができる。
以上のような第4実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0099】
7.第5実施形態
次に、第5実施形態に係るロボットについて説明する。
図11は、第5実施形態に係るロボット1を示す模式図である。
【0100】
以下、第5実施形態について説明するが、以下の説明では、第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、
図11において、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付している。
【0101】
第5実施形態は、流路6が基台21から配管30を介して第2アーム23まで配設されていること以外、第1実施形態と同様である。
【0102】
図11に示すロボット1は、配管30を備える。配管30は、基台21と第2アーム23とをつないでいる。配管30の内部は空洞になっており、電力線や通信線等が敷設されている。
【0103】
図11に示す第1開口部51は、第2アーム23の基端部238に配置され、第2開口部52は、基台21に配置されている。つまり、第1開口部51は、相対的にロボットアーム20の先端側に配置され、第2開口部52は、基台21に配置されている。このため、ロボットアーム20が第1軸AX1まわりに回動するとき、第1開口部51と第2開口部52との間に速度差が生じる。
【0104】
また、
図11に示す流路6は、基台21に敷設されたダクト61、配管30の内部、および、第2アーム23に敷設されたダクト64を含んでいる。ダクト61は、駆動部261の近傍に敷設され、ダクト64は、駆動部262の近傍に敷設されている。このような流路6によれば、ダクト61、64の延長を短くしながら、既存の配管30を有効に利用することにより、発熱量の大きい駆動部261、262を効率よく冷却することができる。
以上のような第5実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0105】
8.各実施形態が奏する効果
以上のように、ロボット1は、基台21と、ロボットアーム20と、発熱部材と、第1開口部51と、第2開口部52と、流路6と、を備える。ロボットアーム20は、第1軸AX1に沿って基台21と接続され、第1軸AX1まわりに回動する。第1開口部51は、ロボットアーム20の先端側に配置されている。第2開口部52は、ロボットアーム20の第1開口部51よりも第1軸AX1側、または、基台21に配置されている。流路6は、第1開口部51と第2開口部52とを連通し、ロボットアーム20の動作によって第2開口部52から第1開口部51に向かって外気が流れる管路である。そして、ロボット1では、流路6の途中に発熱部材が配置されている。
【0106】
このような構成によれば、流路6を設置する箇所の自由度が高く、かつ、放熱に伴うエネルギー消費を増大させることなく、発熱部材の冷却(放熱)を行うことができるロボット1を実現することができる。
【0107】
また、ロボットアーム20は、第1アーム22と、第2アーム23と、を備えていてもよい。第1アーム22は、第1軸AX1まわりに回動する。第2アーム23は、第1アーム22の先端部229と第2軸AX2に沿って接続され、第2軸AX2まわりに回動する。
【0108】
このような構成によれば、例えば第1開口部51を第2アーム23に配置した場合、第1アーム22が第1軸AX1まわりに回動するときだけでなく、第2アーム23が第2軸AX2まわりに回動するときにも、流路6内に空気の流れを形成することができる。
【0109】
また、ロボット1は、発熱部材として、中空部261c(第1中空部)を有する第1モーター261aを備えていてもよい。第1モーター261aは、基台21に設けられ、第1アーム22を駆動する。また、このとき、第2開口部52は、基台21に配置され、流路6は、中空部261cを含んでいてもよい。
【0110】
このような構成によれば、発熱部材である第1モーター261aと空気との熱交換をより効率よく行わせることができる。
【0111】
また、第1開口部51は、第1アーム22の先端側に配置されていてもよい。これにより、基台21や第1アーム22に内蔵されている発熱部材から吸収した熱を、ロボットアーム20の回動に伴って第1開口部51から効率よく排出することができる。
【0112】
また、ロボット1は、発熱部材として、中空部262c(第2中空部)を有する第2モーター262aを備えていてもよい。第2モーター262aは、第2アーム23に設けられ、第2アーム23を駆動する。また、このとき、流路6は、中空部262cを含んでいてもよい。
【0113】
このような構成によれば、発熱部材である第2モーター262aと空気との熱交換をより効率よく行わせることができる。
【0114】
また、第1開口部51は、第2アーム23の先端側に配置されていてもよい。これにより、第1開口部51と第2開口部52との速度差をより大きくすることができる。また、基台21、第1アーム22および第2アーム23に内蔵されている発熱部材から吸収した熱を、ロボットアーム20の回動に伴って第1開口部51から効率よく排出することができる。
【0115】
また、第1開口部51が第2アーム23の先端側に配置され、第2開口部52が第2アーム23の第1軸AX1側または第1アーム22に配置されていてもよい。この場合、ロボット1は、発熱部材として、第2アーム23に設けられ、第2アーム23を駆動する第2モーター262aを備えていてもよい。また、流路6の途中に第2モーター262aが配置されているのが好ましい。
【0116】
このような構成によれば、第1開口部51と第2開口部52との速度差をより大きくすることができる。また、流路6を基台21まで敷設する必要がないので、流路6の敷設作業が容易になるとともに、流路6の構造を簡単にできる。
【0117】
また、第1開口部51が第2アーム23に配置され、第2開口部52が基台21に配置されていてもよい。この場合、ロボット1は、配管30を備えていてもよい。配管30は、基台21と第2アーム23とをつないでいる。また、流路6は、配管30の内部を含んでいるのが好ましい。
【0118】
このような構成によれば、電力線や通信線等の敷設のために設けられている配管30の内部を、流路6の一部として有効に利用できる。これにより、流路6が含むダクトの長さを短くしながらも、基台21や第2アーム23に設けられる、発熱量の大きい駆動部261、262を効率よく冷却することができる。
【0119】
また、第1開口部51は、第2開口部52よりも鉛直上方に位置していてもよい。これにより、流路6では、速度差に伴って生じる空気の流れだけでなく、煙突効果による空気の流れを生じさせることができる。その結果、発熱部材の冷却効率を高めることができる。
【0120】
以上、本発明のロボットを図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明のロボットは、前記実施形態に限定されるものではない。例えば、本発明のロボットは、前記実施形態の各部が同様の機能を有する任意の構成のものに置換されたものであってもよく、前記実施形態に任意の構成物が付加されたものであってもよく、複数の前記実施形態が組み合わされたものであってもよい。また、本発明のロボットは、前述した水平多関節ロボット、垂直多関節ロボットの他、例えば複数のロボットアームを有する多腕ロボットにも適用可能である。
【符号の説明】
【0121】
1…ロボット、3…制御装置、6…流路、20…ロボットアーム、21…基台、22…第1アーム、23…第2アーム、24…シャフト、25…第3アーム、26…第4アーム、27…第5アーム、28…第6アーム、29…エンドエフェクター取付部、30…配管、51…第1開口部、52…第2開口部、61…ダクト、62…ダクト、63…ダクト、64…ダクト、65…ダクト、100…ロボットシステム、211…ベース、212…カバー、221…ベース、222…カバー、228…基端部、229…先端部、231…ベース、232…カバー、238…基端部、239…先端部、241…ボールネジナット、242…スプラインナット、261…駆動部、261a…第1モーター、261b…第1減速機、261c…中空部、261d…中空部、262…駆動部、262a…第2モーター、262b…第2減速機、262c…中空部、262d…中空部、263…駆動部、264…駆動部、265…接続部、265a…フランジ部、265b…柱部、265c…窓部、AX1…第1軸、AX2…第2軸、AX3…第3軸