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特開2024-68320パレット検出装置及びパレット検出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068320
(43)【公開日】2024-05-20
(54)【発明の名称】パレット検出装置及びパレット検出方法
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/70 20170101AFI20240513BHJP
   G01B 11/00 20060101ALI20240513BHJP
   G01B 11/26 20060101ALI20240513BHJP
【FI】
G06T7/70 Z
G01B11/00 H
G01B11/26 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178669
(22)【出願日】2022-11-08
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(72)【発明者】
【氏名】服部 晋悟
【テーマコード(参考)】
2F065
5L096
【Fターム(参考)】
2F065CC10
2F065FF04
2F065FF41
2F065GG04
2F065JJ03
2F065JJ26
2F065SS09
5L096AA06
5L096AA09
5L096CA02
5L096CA18
5L096DA02
5L096FA32
5L096FA33
5L096FA66
5L096FA67
5L096FA69
5L096GA51
(57)【要約】
【課題】荷物が包装体によって包装される場合であっても、パレットの位置及び姿勢を精度良く検出できるパレット検出装置及びパレット検出方法を提供する。
【解決手段】パレット検出装置12は、パレットに向けて照射された検査光の反射光を検出し、検出結果に対応するデータの点群を取得する取得部(レーザセンサ14)と、点群の配列状態と各点における反射光の強度とに基づく閾値を算出し、当該閾値から外れたデータを点群から除外する処理部17と、処理部17による処理後の点群に基づいて、パレットの位置及び姿勢を検出する検出部18と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パレットに向けて照射された検査光の反射光を検出し、検出結果に対応するデータの点群を取得する取得部と、
前記点群の配列状態と各点における前記反射光の強度とに基づく閾値を算出し、当該閾値から外れたデータを前記点群から除外する処理部と、
前記処理部による処理後の前記点群に基づいて、前記パレットの位置及び姿勢を検出する検出部と、を備えるパレット検出装置。
【請求項2】
前記処理部は、前記点群における一の点と当該一の点の近傍点との間の距離に前記反射光の強度を加算した指標値を各点において算出し、全点群で算出した前記指標値の平均値及び標準偏差に基づいて前記閾値を算出する請求項1記載のパレット検出装置。
【請求項3】
前記処理部は、前記点群における一の点に対する近傍点の点数に前記反射光の強度を加算した指標値を前記閾値として算出する請求項1記載のパレット検出装置。
【請求項4】
前記処理部は、前記閾値の算出にあたって、前記パレットにおける前記反射光の強度と、前記パレットに支持される荷物の包装体における前記反射光の強度との差に基づいて、前記配列状態と前記反射光の強度との間の重み付けを行う請求項1記載のパレット検出装置。
【請求項5】
前記パレット及び前記パレットに支持される荷物を撮像する撮像部と、
前記撮像部の撮像結果に基づいて前記荷物が包装体によって包装されているか否かを判断する判断部と、を更に備え、
前記処理部は、前記判断部によって前記荷物が前記包装体によって包装されていると判断された場合には、前記点群の配列状態と各点における前記反射光の強度とに基づく閾値を算出し、前記判断部によって前記荷物が前記包装体によって包装されていないと判断された場合には、前記点群の配列状態のみに基づく閾値を算出する請求項1~4のいずれか一項記載のパレット検出装置。
【請求項6】
パレットに向けて照射された検査光の反射光を検出し、検出結果に対応するデータの点群を取得する取得ステップと、
前記点群の配列状態と各点における前記反射光の強度とに基づく閾値を算出し、当該閾値から外れたデータを前記点群から除外する除外ステップと、
前記除外ステップ後の前記点群に基づいて、前記パレットの位置及び姿勢を検出する検出ステップと、を備えるパレット検出方法。
【請求項7】
前記除外ステップでは、前記点群における一の点と当該一の点の近傍点との間の距離に前記反射光の強度を加算した指標値を各点において算出し、全点群で算出した前記指標値の平均値及び標準偏差に基づいて前記閾値を算出する請求項6記載のパレット検出方法。
【請求項8】
前記除外ステップでは、前記点群における一の点に対する近傍点の点数に前記反射光の強度を加算した指標値を前記閾値として算出する請求項6記載のパレット検出方法。
【請求項9】
前記除外ステップでは、前記閾値の算出にあたって、前記パレットにおける前記反射光の強度と、前記パレットに支持される荷物の包装体における前記反射光の強度との差に基づいて、前記配列状態と前記反射光の強度との間の重み付けを行う請求項6記載のパレット検出方法。
【請求項10】
前記パレット及び前記パレットに支持される荷物を撮像する撮像ステップと、
前記撮像ステップにおける撮像結果に基づいて前記荷物が包装体によって包装されているか否かを判断する判断ステップと、を更に備え、
前記除外ステップでは、前記判断ステップにおいて前記荷物が前記包装体によって包装されていると判断された場合に、前記点群の配列状態と各点における前記反射光の強度とに基づく閾値を算出し、前記判断ステップにおいて前記荷物が前記包装体によって包装されていないと判断された場合に、前記点群の配列状態のみに基づく閾値を算出する請求項6~9のいずれか一項記載のパレット検出方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、パレット検出装置及びパレット検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フォークリフトに搭載されたセンサの検出結果から荷役対象となるパレットの点群を取得し、取得した点群に基づきパレットの位置及び姿勢を特定するパレット検出装置が知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載のパレット検出装置では、センサの第1の検出に対応する点群である第1点群に基づいて点群の近似線を検出し、当該近似線とセンサの第2の検出に対応する点群である第2点群とに基づいて、第2の検出におけるセンサからの光の目標物(パレット)への入射角を算出する。入射角に基づいて、目標物の位置及び姿勢を特定するための点群を第2点群のうちから選択する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-120729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
パレットに支持される荷物は、落下防止の観点から、包装体によって包装されている場合がある。この場合、包装体の一部がパレットのフォーク穴と重なると、フォーク穴に対しても点群が検出され、パレットの位置及び姿勢の検出精度が低下してしまうことが考えられる。
【0005】
本開示では、荷物が包装体によって包装される場合であっても、パレットの位置及び姿勢を精度良く検出できるパレット検出装置及びパレット検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係るパレット検出装置は、パレットに向けて照射された検査光の反射光を検出し、検出結果に対応するデータの点群を取得する取得部と、点群の配列状態と各点における反射光の強度とに基づく閾値を算出し、当該閾値から外れたデータを点群から除外する処理部と、処理部による処理後の点群に基づいて、パレットの位置及び姿勢を検出する検出部と、を備える。
【0007】
このパレット検出装置では、検査光の照射に対するパレットでの反射光の強度と包装体での反射光の強度とが異なることに着目し、反射光の検出に基づく点群の配列状態に反射光の強度を加味して閾値を算出する。これにより、算出した閾値に基づいて、パレットからの反射に基づく点群と包装体からの反射に基づく点群とを容易に区別することが可能となる。閾値から外れたデータを点群から除外することで、荷物が包装体によって包装される場合であっても、パレットの位置及び姿勢を精度良く検出できる。
【0008】
処理部は、点群における一の点と当該一の点の近傍点との間の距離に反射光の強度を加算した指標値を各点において算出し、全点群で算出した指標値の平均値及び標準偏差に基づいて閾値を算出してもよい。このような閾値を用いることで、パレットからの反射に基づく点群と包装体からの反射に基づく点群とを精度良く区別できる。したがって、荷物が包装体によって包装される場合であっても、パレットの位置及び姿勢を一層精度良く検出できる。
【0009】
処理部は、点群における一の点に対する近傍点の点数に反射光の強度を加算した指標値を閾値として算出してもよい。このような閾値を用いることで、パレットからの反射に基づく点群と包装体からの反射に基づく点群とを精度良く区別できる。したがって、荷物が包装体によって包装される場合であっても、パレットの位置及び姿勢を一層精度良く検出できる。
【0010】
処理部は、閾値の算出にあたって、パレットにおける反射光の強度と、パレットに支持される荷物の包装体における反射光の強度との差に基づいて、配列状態と反射光の強度との間の重み付けを行ってもよい。この場合、パレットの材質及び包装体の材質を加味した閾値を算出できる。したがって、パレットからの反射に基づく点群と包装体からの反射に基づく点群とを一層精度良く区別できる。
【0011】
パレット及びパレットに支持される荷物を撮像する撮像部と、撮像部の撮像結果に基づいて荷物が包装体によって包装されているか否かを判断する判断部と、を更に備え、処理部は、判断部によって荷物が包装体によって包装されていると判断された場合には、点群の配列状態と各点における反射光の強度とに基づく閾値を算出し、判断部によって荷物が包装体によって包装されていないと判断された場合には、点群の配列状態のみに基づく閾値を算出してもよい。荷物が包装体によって包装されていないと判断された場合に、閾値の算出に用いるパラメータから反射光の強度が除外されるため、閾値の演算負荷を低減できる。
【0012】
本開示の一側面に係るパレット検出方法は、パレットに向けて照射された検査光の反射光を検出し、検出結果に対応するデータの点群を取得する取得ステップと、点群の配列状態と各点における反射光の強度とに基づく閾値を算出し、当該閾値から外れたデータを点群から除外する除外ステップと、除外ステップ後の点群に基づいて、パレットの位置及び姿勢を検出する検出ステップと、を備える。
【0013】
このパレット検出方法では、検査光の照射に対するパレットでの反射光の強度と包装体での反射光の強度とが異なることに着目し、反射光の検出に基づく点群の配列状態に反射光の強度を加味して閾値を算出する。これにより、算出した閾値に基づいて、パレットからの反射に基づく点群と包装体からの反射に基づく点群とを容易に区別することが可能となる。閾値から外れたデータを点群から除外することで、荷物が包装体によって包装される場合であっても、パレットの位置及び姿勢を精度良く検出できる。
【0014】
除外ステップでは、点群における一の点と当該一の点の近傍点との間の距離に反射光の強度を加算した指標値を各点において算出し、全点群で算出した指標値の平均値及び標準偏差に基づいて閾値を算出してもよい。このような閾値を用いることで、パレットからの反射に基づく点群と包装体からの反射に基づく点群とを精度良く区別できる。したがって、荷物が包装体によって包装される場合であっても、パレットの位置及び姿勢を一層精度良く検出できる。
【0015】
除外ステップでは、点群における一の点に対する近傍点の点数に反射光の強度を加算した指標値を閾値として算出してもよい。このような閾値を用いることで、パレットからの反射に基づく点群と包装体からの反射に基づく点群とを精度良く区別できる。したがって、荷物が包装体によって包装される場合であっても、パレットの位置及び姿勢を一層精度良く検出できる。
【0016】
除外ステップでは、閾値の算出にあたって、パレットにおける反射光の強度と、パレットに支持される荷物の包装体における反射光の強度との差に基づいて、配列状態と反射光の強度との間の重み付けを行ってもよい。この場合、パレットの材質及び包装体の材質を加味した閾値を算出できる。したがって、パレットからの反射に基づく点群と包装体からの反射に基づく点群とを一層精度良く区別できる。
【0017】
パレット及びパレットに支持される荷物を撮像する撮像ステップと、撮像ステップにおける撮像結果に基づいて荷物が包装体によって包装されているか否かを判断する判断ステップと、を更に備え、除外ステップでは、判断ステップによって荷物が包装体によって包装されていると判断された場合に、点群の配列状態と各点における反射光の強度とに基づく閾値を算出し、判断ステップによって荷物が包装体によって包装されていないと判断された場合に、点群の配列状態のみに基づく閾値を算出してもよい。荷物が包装体によって包装されていないと判断された場合に、閾値の算出に用いるパラメータから反射光の強度が除外されるため、閾値の演算負荷を低減できる。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、荷物が包装体によって包装される場合であっても、パレットの位置及び姿勢を精度良く検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本開示の一実施形態に係るパレット検出装置が搭載されたフォークリフトを荷役対象のパレットと共に示す概略平面図である。
図2】本開示の一実施形態に係るパレット検出装置を備えた自動運転システムのブロック図である。
図3】パレットに支持された荷物が包装体に包装された一例を示す図である。
図4図2に示された自動運転システムにより実行される処理手順を示すフローチャートである。
図5】パレットの検出結果として取得した点群の一例を示す図である。
図6】配列状態及び反射強度に基づいたフィルタリング処理の詳細を示すフローチャートである。
図7図5に示された点群において該当点における距離の算出を説明するための図である。
図8】配列状態に基づいたフィルタリング処理の詳細を示すフローチャートである。
図9】変形例に係る配列状態及び反射強度に基づいたフィルタリング処理の詳細を示すフローチャートである。
図10】変形例に係る配列状態に基づいたフィルタリング処理の詳細を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本開示の一実施形態に係るパレット検出装置及びパレット検出方法の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0021】
図1は、本開示の一実施形態に係るパレット検出装置が搭載されたフォークリフト1を荷役対象のパレット5と共に示す概略平面図である。図1において、フォークリフト1は、車体2と、この車体2の前側に配置され、荷役を行う荷役装置3とを備えている。荷役装置3は、車体2の前端部に取り付けられたマスト4と、このマスト4に昇降可能に取り付けられ、パレット5を持ち上げる一対のフォーク6とを有している。
【0022】
パレット5は、荷物を載せるための荷役台である。パレット5は、荷役装置3により荷役を開始しようとする荷役対象であり、フォークリフト1の前方に位置している。パレット5は、例えば平パレットである。パレット5には、例えば、色及び材質が異なる様々なバリエーションがある。パレット5は、平面視で四角形状を呈している。パレット5は、前面5aと、この前面5aと対向する後面5bと、前面5a及び後面5bと直交する二つの側面5cとを有している。前面5aは、フォーク6によりパレット5を持ち上げる際に、フォークリフト1と向き合う面である。パレット5には、一対のフォーク6が差し込まれる二つのフォーク穴7が設けられている。フォーク穴7は、パレット5の前面5aから後面5bまで延びている。フォーク穴7の形状は、例えば正面視で矩形状である。
【0023】
図2は、本開示の一実施形態に係るパレット検出装置12を備えた自動運転システム11のブロック図である。図2において、自動運転システム11は、フォークリフト1の自動運転を実施するシステムである。自動運転システム11は、フォークリフト1に搭載されている。自動運転システム11は、パレット検出装置12と、駆動部20と、通知部21とを備えている。駆動部20は、特に図示はしないが、例えば駆動輪を回転させる走行モータと、操舵輪を転舵させる操舵モータとを有している。通知部21は、例えば表示器又は警報器等である。
【0024】
パレット検出装置12は、カメラ13と、レーザセンサ14と、制御部15とを有している。パレット検出装置12は、レーザセンサ14が取得したパレット5による点群に基づき、パレット5の位置及び姿勢を特定する。そして、パレット検出装置12は、特定されたパレット5の位置及び姿勢に基づいて、フォークリフト1の運転を制御する。
【0025】
図3は、パレット5に支持された荷物Lが包装体Wに包装された一例を示す図である。パレット5に支持された荷物Lは、落下防止の観点から、包装体Wによって包装されている場合がある。包装体Wは、例えば、業務用の梱包用ラップである。梱包用ラップは、例えば、無色透明の樹脂製のラップである。図3の例では、包装体Wが荷物Lの側面に巻き回されており、包装体の端部Waが荷物Lの側面から外れてパレット5のフォーク穴7と重なっている。この場合、フォーク穴7に対して包装体Wによる点群が検出され、パレット5の位置及び姿勢の検出精度が低下してしまうことが考えられる。このような問題に対し、本実施形態に係るパレット検出装置12では、パレット5と包装体Wとの間の反射光L2の強度に着目し、包装体Wによる点群を排除することで、パレット5の位置及び姿勢の検出精度の向上が図られている。以下、パレット検出装置12の各構成要素について詳述する。
【0026】
カメラ13は、パレット5及びパレット5に支持される荷物Lを撮像する撮像部である(図2では荷物Lを省略する)。カメラ13は、制御部15からの指示に基づき、パレット5及び荷物Lを撮像し、撮像画像データImを判断部16に出力する。カメラ13及びレーザセンサ14は、例えば、車体2の前方側に設置されている。
【0027】
レーザセンサ14は、パレット5に向けて照射された検査光L1の反射光L2を検出し、検出結果に対応するデータの点群を取得する取得部である。点群は、レーザ光の反射点の集まりを示すデータ点である。レーザセンサ14としては、例えば3D(三次元)のLiDAR(Light Detection And Ranging)が使用される。レーザセンサ14は、制御部15の指示に基づき、パレット5に向けてレーザ光である検査光L1を照射する。そして、レーザセンサ14は、パレット5にて反射した反射光L2を検出し、検出結果に対応するデータの点群を取得する。ここで、レーザセンサ14は、点群の各点の座標値を取得する。座標値については後述する。
【0028】
レーザセンサ14は、点群の各点の座標値と合わせて、点群の各点における反射光の強度(反射強度)を取得する。パレット5の反射強度は、包装体Wの材質にも依るが、一般には包装体Wの反射強度よりも相対的に大きい傾向がある。レーザセンサ14は、例えば、反射強度をデジタル値として取得する。レーザセンサ14は、例えば、0~255の10進数形式で反射強度を取得する。レーザセンサ14は、反射強度が大きいほど0に近いデータとして取得してもよく、反射強度が大きいほど255に近いデータとして取得してもよい。レーザセンサ14は、点群の各点の座標値及び反射強度を処理部17に出力する。
【0029】
制御部15は、物理的には、CPU、RAM、ROM及び入出力インターフェース等により構成されている。制御部15は、機能的には、判断部16と、処理部17と、検出部18と、駆動制御部19とを有している。
【0030】
判断部16は、カメラ13の撮像画像データImに基づいて、パレット5及び荷物Lを認識する。判断部16には、カメラ13から出力される撮像画像データImが入力される。判断部16は、撮像画像データImを解析し、荷物Lが包装体Wによって包装されているか否かを判断する。判断部16は、判断結果を処理部17に出力する。
【0031】
処理部17は、レーザセンサ14によって取得された点群に対してフィルタリング処理を施す。処理部17には、レーザセンサ14から出力される検出結果が入力される。検出結果には、点群の各点における座標値及び反射強度が含まれている。処理部17は、フィルタリング処理として、点群の配列状態と各点における反射強度とに基づく閾値を算出し、当該閾値から外れたデータを点群から除外する。それにより、処理部17は、検出結果に含まれる点群のうち、包装体Wによる点群を除外し、パレット5による点群のみを抽出する。処理部17は、フィルタリング処理後の検出結果を検出部18に出力する。
【0032】
処理部17は、判断部16から出力される判断結果に応じてフィルタリング処理の内容を切り替える。処理部17は、判断部16によって荷物Lが包装体Wによって包装されていると判断された場合には、点群の配列状態と各点における反射強度とに基づく閾値を算出する。処理部17は、判断部16によって荷物Lが包装体Wによって包装されていないと判断された場合には、点群の配列状態のみに基づく閾値を算出する。
【0033】
検出部18は、パレット5の位置及び姿勢を検出する。検出部18には、処理部17からのフィルタリング処理後の検出結果が入力される。検出部18は、フィルタリング処理後の検出結果に含まれる点群に基づいて、パレット5の前面5aの平面方程式を算出する。そして、検出部18は、算出されたパレット5の前面5aの平面方程式に基づいて、二つのフォーク穴7を検知する。続いて、検出部18は、パレット5の前面5aの平面方程式を用いて、パレット5の位置及び姿勢を推定する。このとき、検出部18は、パレット5の姿勢として、パレット5のヨー角、ピッチ角及びロール角を計算する。検出部18は、パレット5の前面5aの平面方程式に基づいて、パレット5のヨー角及びピッチ角を計算すると共に、二つのフォーク穴7の位置関係に基づいて、パレット5のロール角を計算する。最終的に、検出部18は、位置及び姿勢が推定されたパレット5の前面5aの寸法が予め定められた規定値と合致しているかどうかを最終的に判定する。そして、検出部18は、判定結果を駆動制御部19に出力する。
【0034】
駆動制御部19は、駆動部20及び通知部21を制御する。駆動制御部19には、検出部18からの判定結果が入力される。駆動制御部19は、検出部18によりパレット5の前面5aの寸法が予め定められた規定値と合致していると判断された場合には、検出部18により推定されたパレット5の位置及び姿勢に基づいて、フォークリフト1を荷役対象のパレット5の手前の近傍位置まで移動させるように駆動部20を制御する。また、駆動制御部19は、検出部18によりパレット5の前面5aの寸法が予め定められた規定値と合致していないと判断された場合には、異常がある旨を示す通知情報を通知部21に出力する。
【0035】
続いて、上述したパレット検出装置12の動作について説明する。ここでは、パレット検出装置12を含む自動運転システム11の動作を説明する。図4は、図2に示された自動運転システム11により実行される処理手順を示すフローチャートである。なお、本処理は、例えばフォークリフト1の自動運転の開始が指示に従って開始される。
【0036】
図4において、レーザセンサ14は、パレット5に対してレーザ光(検査光L1)を照射する(ステップS11)。そして、レーザセンサ14は、レーザ光の反射光L2を検出する(ステップS12)。続いて、レーザセンサ14は、検出結果に対応するデータの点群を取得する(取得ステップ;ステップS13)。
【0037】
図5は、レーザセンサ14がパレット5の検出結果として取得した点群C1の一例を示す図である。本実施形態においては、レーザセンサ14は、X軸と、X軸に垂直なY軸と、X軸及びY軸に垂直なZ軸とから構成される三次元座標において、三次元の点群として点群C1を取得する。点群C1を構成する各点Pには、三次元の座標値が設定される。点群C1は、パレット対応領域C11と、フォーク穴対応領域C12とを含んでいる。パレット対応領域C11は、パレット5に対応する点群である。図5の例では、パレット対応領域C11の前面(パレット5の前面5a)は、Y軸及びZ軸にて定義されるYZ平面と平行になる。
【0038】
フォーク穴対応領域C12は、二つのフォーク穴7に対応する。フォーク穴7は、無体物であるため、フォーク穴対応領域C12には、基本的には点群が存在しない。一方、図3に例示したように、包装体Wの端部Waがパレット5のフォーク穴7と重なっている場合では、点群C1には、包装体対応領域C13が出現する。包装体対応領域C13は、包装体Wに対応する点群である。図3の例では、包装体Wの端部Waがパレット5のフォーク穴7と重なっているため、図5の例では、包装体対応領域C13がフォーク穴対応領域C12に位置している。包装体対応領域C13の点密度は、パレット対応領域C11の点密度よりも高くなる傾向にある。
【0039】
カメラ13は、パレット5及びパレット5に支持される荷物Lを撮像し(撮像ステップ)、撮像画像データImを判断部16に出力する。判断部16は、カメラ13から撮像画像データImを取得する(ステップS14)。そして、判断部16は、撮像画像データImに基づいて、ディープラーニング(深層学習)を利用した画像処理技術によって、パレット5及び荷物Lを認識する(ステップS15)。更に荷物Lが包装体Wによって包装されている場合は、判断部16は、包装体Wを認識する(ステップS15)。この際に荷物Lが包装体Wによって包装されていない場合は、判断部16は、包装体Wを認識しない。ディープラーニングは、人工知能の要素技術の一つである。ディープラーニングとは、十分なデータ量があれば、人間の力なしに機械が自動的にデータから特徴を抽出してくれるディープニュートラルネットワークを用いた学習のことである。ディープラーニングは、入力層と出力層との間の中間層を多層にすることで情報伝達及び処理を増やし、特徴量の精度や汎用性を上げたり、予測精度を向上させたりすることが可能となる。
【0040】
具体的には、判断部16は、撮像画像データImにおいてパレット5、荷物L、及び包装体Wを取り囲むような枠線を指定する。枠線は、ディープラーニングを利用した物体検知において、bounding boxと称される矩形の枠である。そして、判断部16は、枠線が指定された撮像画像データImを学習データと比較することにより、パレット5、荷物L、及び包装体Wを認識する。
【0041】
ステップS11~ステップS13によって実施される点群C1の取得は、ステップS14及びステップS15によって実施されるパレット5、荷物L、及び包装体Wの認識と同時に行われてもよいし、ステップS14及びステップS15よりも後に行われてもよい。
【0042】
判断部16は、ステップS15の後に、包装体Wが認識されたか否かを判断する(判断ステップ;ステップS16)。包装体Wが認識された場合(ステップS16;YES)、判断部16は、荷物Lが包装体Wによって包装されていると判断し、処理部17は、配列状態及び反射強度に基づいたフィルタリング処理を行う(除外ステップ;ステップS17)。一方で、包装体Wが認識されなかった場合(ステップS16;NO)、判断部16は、荷物Lが包装体Wによって包装されていないと判断し、処理部17は、配列状態に基づいたフィルタリング処理を行う(除外ステップ;ステップS18)。
【0043】
図6は、配列状態及び反射強度に基づいたフィルタリング処理(ステップS17)の詳細を示すフローチャートである。ステップS17では、まず処理部17が、該当点と近傍点との距離を算出する(ステップS31)。図7は、図5に示された点群C1において該当点P1における距離の算出を説明するための図である。以降の説明においては、図6及び図7を参照しながら説明する。本実施形態では、点群C1の配列状態を、点群C1を構成する各点Pと複数の近傍点のそれぞれとの間の距離とする。図7では、説明の便宜上、点群C1における一の点(該当点P1)と複数の近傍点P2,P3との間の距離D1,D2として説明する。複数の近傍点P2,P3の個数は予め設定されてもよい。図7の例では、複数の近傍点の個数はP2及びP3の二つであるが、三つ以上でもよい。また、該当点P1とは点群C1から選択された一つの点である。該当点P1は、例えば点Pの座標値が原点に近い点から順に選択されてもよい。
【0044】
該当点P1と複数の近傍点P2,P3のそれぞれとの間の距離D(D1,D2)は、式1によって算出される。
【数1】

ここで、Δxは、該当点P1におけるx座標と近傍点P2,P3におけるx座標との差である。Δyは、該当点P1におけるy座標と近傍点P2,P3におけるy座標との差である。Δzは、該当点P1におけるz座標と近傍点P2,P3におけるz座標との差である。例として、該当点P1と近傍点P2との間の距離D1は式1に基づき式2のように算出される。
【数2】

なお、距離D2は、式2におけるx2,y2,z2をx3,y3,z3に置き換えて算出される。
【0045】
続いて、処理部17は、該当点P1と近傍点P2,P3との間の距離Dに反射強度を加算して指標値を算出する(ステップS32)。指標値IVは、式3によって算出される。
【数3】

ここで、Inは、レーザセンサ14が取得した該当点P1における反射強度である。また、A及びBは、重み付けのための係数である。係数A及び係数Bの値は、パレット5の反射強度Inと、包装体Wの反射強度Inとの差に基づいて予め決定される。言い換えれば、処理部17は、パレット5の反射強度Inと、包装体Wにおける反射強度Inとの差に基づいて、配列状態と反射強度Inとの間の重み付けを行う。パレット5の色及び材質によってパレット5の反射強度Inの値が変わる。それにより、パレット5の反射強度Inと包装体Wの反射強度Inとの差が変わる。
【0046】
例えば、差が相対的に大きい場合、反射強度Inの重みを表す係数Bの値が係数Aの値よりも大きくなるように係数A及び係数Bの値が決定されてもよい。それにより、パレット5と包装体Wとを判別する指標として反射強度Inの比重が上がる。一方で、例えば、差が相対的に小さい場合、距離Dの重みを表す係数Aの値が係数Bの値よりも大きくなるように係数A及び係数Bの値が決定されてもよい。それにより、パレット5と包装体Wとを判別する指標として距離Dの比重が上がる。係数A及び係数Bの値は、例えば両者を足して1になるように設定されてもよい。一例としては、係数Aの値が0.7、係数Bの値が0.3とされてもよい。また、係数A及び係数Bの値は、点群C1を構成する全ての点Pにおいて共通の値とされてもよいし、点P毎に異なる値とされてもよい。
【0047】
例として、該当点P1と近傍点P2との間の指標値IV1は、式3に基づき式4のように算出される。
【数4】

なお、該当点P1と近傍点P3との間の指標値IV2は、式4におけるx2,y2,z2をx3,y3,z3に置き換えて算出される。
【0048】
続いて、処理部17は、指標値IVを平均化して各点Pにおける平均距離DAを算出する(ステップS33)。平均距離DAは式5によって算出される。
【数5】

ここで、nは、複数の近傍点の点数を表す。IVnは、該当点P1とn番目の近傍点との指標値である。処理部17は、該当点P1に対する複数の近傍点のそれぞれとの指標値を合計し、近傍点数nで除算した値として、平均距離DAを導出する。図7の例では、該当点P1と近傍点P2との指標値IV1に、該当点P1と近傍点P3との指標値IV2を加算した値を、近傍点数である2で除算することによって、該当点P1の平均距離DAが算出される。ステップS31~ステップS33を点群C1の全ての点Pにおいて実施し、各点Pにおいてそれぞれ平均距離DAが算出される。
【0049】
続いて、処理部17は、全ての点Pの平均距離DAの平均値を算出する(ステップS34)。具体的には、全ての点Pの平均距離DAを合計した値を全ての点Pの総数にて除算することによって、平均値を算出する。その後、処理部17は、全ての点Pの平均距離DAの標準偏差を算出する(ステップS35)。具体的には、処理部17は、各点Pの平均距離DAと平均値との差の2乗を合計し、合計した値を全ての点Pの総数で除算し、除算した値の平方根を取ることによって標準偏差を算出する。
【0050】
続いて、処理部17は、閾値Thを算出する(ステップS36)。処理部17は、全ての点P(全点群)で算出した指標値IVの平均値及び標準偏差に基づいて閾値Thを算出する。閾値Thは、式6によって算出される。
【数6】

ここで、AVは、平均値である。σは、標準偏差である。また、Cは、閾値Thの値を調整するための係数である。全ての点Pの平均距離DAが正規分布に従うことを想定した場合、係数Cの値に応じて、全ての点Pのうち何%を閾値Thに含めるか統計的に算出することができる。例えば、係数Cの値を3にした場合、閾値Thは平均値+3σとなり、全ての点Pの49.85%が閾値Thに含まれることになる。係数Cの値は、パレット5の色及び材質に応じて予め設定されてもよい。
【0051】
続いて、処理部17は、該当点P1における平均距離DAが閾値Th以下であるか否かを判断する(ステップS37)。該当点P1における平均距離DAが閾値Th以下である場合(ステップS37;YES)、処理部17は、該当点P1がパレット5による点と判断し、該当点P1をパレット対応領域C11として利用する(ステップS38)。一方で、該当点P1における平均距離DAが閾値Th以下でない場合(ステップS37;NO)、処理部17は、該当点P1が包装体Wによる点と判断し、該当点P1を点群C1から除外する(ステップS39)。
【0052】
ステップS37~ステップS39の処理では、該当点P1における平均距離DAが閾値Th以下である場合(ステップS37;YES)、処理部17は、該当点P1が包装体Wによる点と判断し、該当点P1を点群C1から除外してもよい。一方で、該当点P1における平均距離DAが閾値Th以下でない場合(ステップS37;NO)、処理部17は、該当点P1がパレット5による点と判断し、該当点P1をパレット対応領域C11として利用してもよい。前述した様に、レーザセンサ14は、反射強度Inが大きいほど0に近いデータとして取得してもよいし、或いは、反射強度Inが大きいほど255に近いデータとして取得してもよい。よって、レーザセンサ14がいずれのデータ取得方法を採用するかに応じて、処理部17は、ステップS37~ステップS39の処理を変更してもよい。
【0053】
ステップS37~ステップS39の処理を以って、該当点P1に対する配列状態及び反射強度Inに基づいたフィルタリング処理(ステップS17)が終了する。処理部17は、点群C1を構成する全ての点Pに対してステップS17を実施する。それにより、処理部17は、点群C1のうち、パレット対応領域C11を抽出し、包装体対応領域C13を除外する。
【0054】
図8は、配列状態に基づいたフィルタリング処理(ステップS18)の詳細を示すフローチャートである。ステップS17と異なる点のみを説明する。ステップS18では、処理部17は、該当点P1と近傍点P2,P3との距離Dのみに基づいた式7を用いて指標値IVを算出する(ステップS41)。
【数7】

この場合、係数Aは、指標値IVを調整するための係数として、予め設定されてもよい。ステップS42~ステップS48は、ステップS33~ステップS39と同様である。
【0055】
再び図4を参照する。ステップS17又はステップS18の後、検出部18は、フィルタリング処理後の検出結果に含まれる点群C1に基づいて、パレット5の前面5aの平面方程式を算出する(ステップS19)。検出部18は、例えばRANSAC(Random Sample Consensus)等のロバスト推定法を用いて、点群C1における平面に相当する点群以外の点群を外れ値として除去することにより、パレット5の前面5aの平面方程式を求める。ロバスト推定は、計測値に含まれる外れ値の影響を抑えることを目的とした手法である。なお、ロバスト推定法の代わりに最小二乗法等を用いて、パレット5の前面5aの平面方程式を算出してもよい。
【0056】
続いて、検出部18は、ステップS19で算出されたパレット5の前面5aの平面方程式に基づいて、二つのフォーク穴7を検知する(ステップS20)。このとき、点群C1において、点密度が高い領域がパレット5の前面5aとして検知され、点密度が低い二つの領域がフォーク穴7として検知される。
【0057】
続いて、検出部18は、パレット5の前面5aの平面方程式に基づいて、パレット5の位置とパレット5のヨー角及びピッチ角とを計算する(ステップS21)。パレット5のヨー角は、パレット5の上下方向(高さ方向)を軸とした回転角度である。パレット5のピッチ角は、パレット5の左右方向(幅方向)を軸とした回転角度である。
【0058】
続いて、検出部18は、ステップS20で検知された二つのフォーク穴7の位置関係に基づいて、パレット5のロール角を計算する(ステップS22)。パレット5のロール角は、パレット5の前後方向(奥行方向)を軸とした回転角度である。具体的には、検出部18は、二つのフォーク穴7の中心位置を算出し、二つのフォーク穴7の中心位置の関係からパレット5のロール角を計算する。なお、パレット5の位置の推定演算も、二つのフォーク穴7の位置関係に基づいて行ってもよい。
【0059】
続いて、検出部18は、ステップS21、ステップS22で位置及び姿勢が推定されたパレット5の前面5aの各部の寸法が予め定められた規定値と合致しているか否かを判定する(ステップS23)。パレット5の前面5aの各部の寸法としては、パレット5の幅及び高さ、二つのフォーク穴7の寸法及び二つのフォーク穴7の中心間距離等がある。以上説明したステップS19~ステップS23によって、検出ステップが構成される。
【0060】
駆動制御部19は、パレット5の前面5aの各部の寸法が規定値と合致していると判定されたとき(ステップS23;YES)は、パレット5の位置及び姿勢に基づいて、フォークリフト1を荷役対象のパレット5の手前の近傍位置まで移動させるように駆動部20を制御する(ステップS24)。駆動制御部19は、パレット5の前面5aの各部の寸法が規定値と合致していないと判定されたとき(ステップS23;NO)は、異常がある旨を示す通知情報を通知部21に出力する(ステップS25)。ステップS24又はステップS25の処理を以って、自動運転システム11により実行される一連の処理が終了する。
【0061】
以上説明したように、本開示の実施形態に係るパレット検出装置12では、検査光L1の照射に対するパレット5での反射光L2の強度(反射強度In)と包装体Wでの反射強度Inとが異なることに着目し、反射光L2の検出に基づく点群C1の配列状態に反射強度Inを加味して閾値Thを算出する。これにより、算出した閾値Thに基づいて、パレット5からの反射に基づく点群C1(パレット対応領域C11)と包装体Wからの反射に基づく点群C1(包装体対応領域C13)とを容易に区別することが可能となる。閾値Thから外れたデータを点群C1から除外することで、荷物Lが包装体Wによって包装される場合であっても、パレット5の位置及び姿勢を精度良く検出できる。
【0062】
処理部17は、点群C1における一の点(該当点P1)と当該一の点の近傍点P2,P3との間の距離Dに反射強度Inを加算した指標値IVを各点Pにおいて算出し、全点群C1で算出した指標値IVの平均値及び標準偏差に基づいて閾値Thを算出する。このような閾値Thを用いることで、パレット対応領域C11と包装体対応領域C13とを精度良く区別できる。したがって、荷物Lが包装体Wによって包装される場合であっても、パレット5の位置及び姿勢を一層精度良く検出できる。
【0063】
処理部17は、閾値Thの算出にあたって、パレット5における反射強度Inと、パレット5に支持される荷物Lの包装体Wにおける反射強度Inとの差に基づいて、配列状態と反射強度Inとの間の重み付けを行う。この場合、パレット5の材質及び包装体Wの材質を加味した閾値Thを算出できる。したがって、パレット対応領域C11と包装体対応領域C13とを一層精度良く区別できる。
【0064】
パレット5及びパレット5に支持される荷物Lを撮像するカメラ13と、カメラ13の撮像結果に基づいて荷物Lが包装体Wによって包装されているか否かを判断する判断部16と、を更に備え、処理部17は、判断部16によって荷物Lが包装体Wによって包装されていると判断された場合には、点群C1の配列状態と各点Pにおける反射強度Inとに基づく閾値Thを算出し、判断部16によって荷物Lが包装体Wによって包装されていないと判断された場合には、点群C1の配列状態のみに基づく閾値Thを算出する。荷物Lが包装体Wによって包装されていないと判断された場合に、閾値Thの算出に用いるパラメータから反射強度Inが除外されるため、閾値Thの演算負荷を低減できる。
【0065】
本開示の実施形態に係るパレット検出装置12を用いたパレット検出方法では、検査光L1の照射に対するパレット5での反射強度Inと包装体Wでの反射強度Inとが異なることに着目し、反射光L2の検出に基づく点群C1の配列状態に反射強度Inを加味して閾値Thを算出する。これにより、算出した閾値Thに基づいて、パレット対応領域C11と包装体対応領域C13とを容易に区別することが可能となる。閾値Thから外れたデータを点群C1から除外することで、荷物Lが包装体Wによって包装される場合であっても、パレット5の位置及び姿勢を精度良く検出できる。
【0066】
除外ステップS17では、点群C1における一の点(該当点P1)と当該一の点の近傍点P2,P3との間の距離Dに反射強度Inを加算した指標値IVを各点Pにおいて算出し、全点群C1で算出した指標値IVの平均値及び標準偏差に基づいて閾値Thを算出する。このような閾値Thを用いることで、パレット対応領域C11と包装体対応領域C13とを精度良く区別できる。したがって、荷物Lが包装体Wによって包装される場合であっても、パレット5の位置及び姿勢を一層精度良く検出できる。
【0067】
除外ステップS17では、閾値Thの算出にあたって、パレット5における反射強度Inと、パレット5に支持される荷物Lの包装体Wにおける反射強度Inとの差に基づいて、配列状態と反射強度Inとの間の重み付けを行う。この場合、パレット5の材質及び包装体Wの材質を加味した閾値Thを算出できる。したがって、パレット対応領域C11と包装体対応領域C13とを一層精度良く区別できる。
【0068】
パレット5及びパレット5に支持される荷物Lを撮像する撮像ステップを含むステップS14と、撮像ステップにおける撮像結果に基づいて荷物Lが包装体Wによって包装されているか否かを判断する判断ステップS16と、を更に備え、除外ステップS17では、判断ステップS16によって荷物Lが包装体Wによって包装されていると判断された場合に、点群C1の配列状態と各点Pにおける反射強度Inとに基づく閾値を算出し、判断ステップS16によって荷物Lが包装体Wによって包装されていないと判断された場合に、点群C1の配列状態のみに基づく閾値Thを算出する。荷物Lが包装体Wによって包装されていないと判断された場合に、閾値Thの算出に用いるパラメータから反射強度Inが除外されるため、閾値Thの演算負荷を低減できる。
【0069】
以上、本開示の実施形態について説明してきたが、本開示は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0070】
図9は、変形例に係る配列状態及び反射強度に基づいたフィルタリング処理(除外ステップ;ステップS17A)の詳細を示すフローチャートである。図9は、判断部16によって包装体Wが認識された場合(図4におけるステップS16;YES)に行われるフィルタリング処理である。処理部17は、フィルタリング処理を行ううえで、ステップS17に代えてステップS17Aを採用してもよい。ステップS17Aでは、まず処理部17は、該当点P1に対する近傍点の点数をカウントする(ステップS51)。本変形例では、点群C1の配列状態を、点群C1を構成する各点Pに対する近傍点の点数とする。点数のカウントは、例えば、処理部17が保有している点数カウンタによって行われる。処理部17は、該当点P1と周囲の点との距離を算出し、算出した距離が予め設定した距離閾値以下であれば点数カウンタをカウントアップする。一方で、算出した距離が予め設定した距離閾値を上回る場合は、点数カウンタをカウントアップしない。
【0071】
続いて、処理部17は、カウントした近傍点の点数に反射強度を加算して点数閾値PThを算出する(ステップS52)。点数閾値PThは、式8によって算出される。
【数8】

ここで、Pnは、カウントした近傍点の点数である。Inは、実施形態と同様に、レーザセンサ14が取得した該当点P1における反射強度である。また、A及びBは、実施形態と同様に、重み付けのための係数である。係数A及び係数Bの値は、パレット5の反射強度Inと、包装体Wの反射強度Inとの差に基づいて予め決定される。
【0072】
続いて、処理部17は、該当点P1において、カウントした近傍点の点数Pnが点数閾値PTh以下であるか否かを判断する(ステップS53)。カウントした近傍点の点数Pnが点数閾値PTh以下である場合(ステップS53;YES)、処理部17は、該当点P1がパレット5による点と判断し、該当点P1をパレット対応領域C11として利用する(ステップS54)。一方で、カウントした近傍点の点数Pnが点数閾値PTh以下でない場合(ステップS53;NO)、処理部17は、該当点P1が包装体Wによる点と判断し、該当点P1を点群C1から除外する(ステップS55)。ステップS53~ステップS55の処理を以って、該当点P1に対するステップS17Aが終了する。処理部17は、点群C1を構成する全ての点Pに対してステップS17Aを実施する。それにより、処理部17は、点群C1のうち、パレット対応領域C11を抽出し、包装体対応領域C13を除外する。
【0073】
処理部17は、ステップS17Aを採用することで、点群C1における一の点(該当点P1)に対する近傍点の点数Pnに反射強度Inを加算した指標値を閾値(点数閾値PTh)として算出する。このような点数閾値PThを用いることで、パレット対応領域C11と包装体対応領域C13とを精度良く区別できる。したがって、荷物Lが包装体Wによって包装される場合であっても、パレット5の位置及び姿勢を一層精度良く検出できる。
【0074】
除外ステップS17Aでは、点群C1における一の点(該当点P1)に対する近傍点の点数Pnに反射強度Inを加算した指標値を閾値(点数閾値PTh)として算出する。このような点数閾値PThを用いることで、パレット対応領域C11と包装体対応領域C13とを精度良く区別できる。したがって、荷物Lが包装体Wによって包装される場合であっても、パレット5の位置及び姿勢を一層精度良く検出できる。
【0075】
判断部16によって包装体Wが認識されなかった場合(図4におけるステップS16;NO)、処理部17は、フィルタリング処理を行ううえで、ステップS18に代えてステップS18Aを採用してもよい。図10は、変形例に係る配列状態に基づいたフィルタリング処理(除外ステップ;ステップS18A)の詳細を示すフローチャートである。ステップS17Aと異なる点のみを説明する。ステップS18Aでは、処理部17は、カウントした近傍点の点数Pnのみに基づいた式9を用いて点数閾値PThを算出する(ステップS62)。
【数9】

この場合、係数Aは、点数閾値PThを調整するための係数として、予め設定されてもよい。ステップS63~ステップS65は、ステップS53~ステップS55と同様である。
【0076】
以上説明してきたフローチャートにおいて、処理部17が二つの数値の大小関係を比較する際には、「以上」及び「よりも大きい」という二つの基準のどちらを用いてもよく、「以下」及び「未満」の二つの基準のうちのどちらを用いてもよい。
【0077】
本開示の要旨は、以下の[1]~[10]のとおりである。
[1]パレットに向けて照射された検査光の反射光を検出し、検出結果に対応するデータの点群を取得する取得部と、前記点群の配列状態と各点における前記反射光の強度とに基づく閾値を算出し、当該閾値から外れたデータを前記点群から除外する処理部と、前記処理部による処理後の前記点群に基づいて、前記パレットの位置及び姿勢を検出する検出部と、を備えるパレット検出装置。
[2]前記処理部は、前記点群における一の点と当該一の点の近傍点との間の距離に前記反射光の強度を加算した指標値を各点において算出し、全点群で算出した前記指標値の平均値及び標準偏差に基づいて前記閾値を算出する[1]記載のパレット検出装置。
[3]前記処理部は、前記点群における一の点に対する近傍点の点数に前記反射光の強度を加算した指標値を前記閾値として算出する[1]又は[2]記載のパレット検出装置。
[4]前記処理部は、前記閾値の算出にあたって、前記パレットにおける前記反射光の強度と、前記パレットに支持される荷物の包装体における前記反射光の強度との差に基づいて、前記配列状態と前記反射光の強度との間の重み付けを行う[1]~[3]のいずれか記載のパレット検出装置。
[5]前記パレット及び前記パレットに支持される荷物を撮像する撮像部と、前記撮像部の撮像結果に基づいて前記荷物が包装体によって包装されているか否かを判断する判断部と、を更に備え、前記処理部は、前記判断部によって前記荷物が前記包装体によって包装されていると判断された場合には、前記点群の配列状態と各点における前記反射光の強度とに基づく閾値を算出し、前記判断部によって前記荷物が前記包装体によって包装されていないと判断された場合には、前記点群の配列状態のみに基づく閾値を算出する[1]~[4]のいずれか記載のパレット検出装置。
[6]パレットに向けて照射された検査光の反射光を検出し、検出結果に対応するデータの点群を取得する取得ステップと、前記点群の配列状態と各点における前記反射光の強度とに基づく閾値を算出し、当該閾値から外れたデータを前記点群から除外する除外ステップと、前記除外ステップ後の前記点群に基づいて、前記パレットの位置及び姿勢を検出する検出ステップと、を備えるパレット検出方法。
[7]前記除外ステップでは、前記点群における一の点と当該一の点の近傍点との間の距離に前記反射光の強度を加算した指標値を各点において算出し、全点群で算出した前記指標値の平均値及び標準偏差に基づいて前記閾値を算出する[6]記載のパレット検出方法。
[8]前記除外ステップでは、前記点群における一の点に対する近傍点の点数に前記反射光の強度を加算した指標値を前記閾値として算出する[6]又は[7]記載のパレット検出方法。
[9]前記除外ステップでは、前記閾値の算出にあたって、前記パレットにおける前記反射光の強度と、前記パレットに支持される荷物の包装体における前記反射光の強度との差に基づいて、前記配列状態と前記反射光の強度との間の重み付けを行う[6]~[8]のいずれか記載のパレット検出方法。
[10]前記パレット及び前記パレットに支持される荷物を撮像する撮像ステップと、前記撮像ステップにおける撮像結果に基づいて前記荷物が包装体によって包装されているか否かを判断する判断ステップと、を更に備え、前記除外ステップでは、前記判断ステップにおいて前記荷物が前記包装体によって包装されていると判断された場合に、前記点群の配列状態と各点における前記反射光の強度とに基づく閾値を算出し、前記判断ステップにおいて前記荷物が前記包装体によって包装されていないと判断された場合に、前記点群の配列状態のみに基づく閾値を算出する[6]~[9]のいずれか記載のパレット検出方法。
【符号の説明】
【0078】
5…パレット、12…パレット検出装置、13…撮像部(カメラ)、14…取得部(レーザセンサ)、16…判断部、17…処理部、18…検出部、C1…点群、D,D1,D2…距離、IV,IV1,IV2…指標値、L…荷物、L1…検査光、L2…反射光、P…点、P2,P3…近傍点、Pn…点数、S16…判断ステップ、S17,S17A…除外ステップ、Th…閾値、W…包装体。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10