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特開2024-68326線状体保持機構、照明装置、接続方法、および、保持方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068326
(43)【公開日】2024-05-20
(54)【発明の名称】線状体保持機構、照明装置、接続方法、および、保持方法
(51)【国際特許分類】
   F21V 25/02 20060101AFI20240513BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20240513BHJP
   F21S 8/04 20060101ALI20240513BHJP
【FI】
F21V25/02
F21S2/00 230
F21S8/04 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178680
(22)【出願日】2022-11-08
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】布施 純一
【テーマコード(参考)】
3K014
【Fターム(参考)】
3K014JA06
(57)【要約】
【課題】互いに分離可能な複数の装置を接続する線状体の損傷を抑えて、線状体に接続された装置の落下を防止する線状体保持機構を得る。
【解決手段】線状体保持機構は、線状の本体部と本体部の一部に設けられた係止部とを有し、互いに分離可能な複数の装置どうしを接続する線状体を保持する線状体保持機構であって、複数の装置の少なくとも一方に設けられ、係止部が収容される、保持部を備え、保持部は、係止部が内部に収容される有底筒状の収容部と、収容部の底部を第1方向に貫通して形成され、線状体の本体部を挿通させると共に、収容部に収容された係止部の挿通を阻止する、挿通孔と、を有し、線状体の係止部が収容部に収容された状態のとき、係止部は収容部の筒状の内面部を押圧し、挿通孔に挿通された線状体の本体部は係止部によって径方向の移動が制限されて第1方向に延び、挿通孔の周縁部に接触しない。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
線状の本体部と前記本体部の一部に設けられた係止部とを有し、互いに分離可能な複数の装置どうしを接続する線状体を保持する線状体保持機構であって、
前記複数の装置の少なくとも一方に設けられ、前記係止部が収容される、保持部
を備え、
前記保持部は、
前記係止部が内部に収容される有底筒状の収容部と、
前記収容部の底部を第1方向に貫通して形成され、前記線状体の前記本体部を挿通させると共に、前記収容部に収容された前記係止部の挿通を阻止する、挿通孔と、
を有し、
前記線状体の前記係止部が前記収容部に収容された状態のとき、前記係止部は前記収容部の筒状の内面部を押圧し、前記挿通孔に挿通された前記線状体の前記本体部は前記係止部によって径方向の移動が制限されて前記第1方向に延び、前記挿通孔の周縁部に接触しない、
線状体保持機構。
【請求項2】
前記挿通孔の最小開口径寸法は、前記本体部の最大断面径寸法よりも大きい、
請求項1に記載の線状体保持機構。
【請求項3】
前記収容部の最小断面径寸法は、前記収容部に収容された状態の前記係止部の最大断面径寸法と同じである、
請求項1に記載の線状体保持機構。
【請求項4】
前記保持部は、
前記収容部を間にして前記挿通孔の前記第1方向の反対側に形成された挿入孔
を有し、
前記挿入孔の最小開口径寸法は、前記本体部の最大断面径寸法よりも大きく、前記収容部に収容された状態の前記係止部の最大断面径寸法以下である、
請求項1に記載の線状体保持機構。
【請求項5】
前記係止部が前記収容部に収容されている状態で、前記本体部を前記挿通孔から前記収容部に向かって押し戻した場合に、前記係止部は前記収容部の前記内面部によって前記第1方向の移動が規制される、
請求項1に記載の線状体保持機構。
【請求項6】
前記係止部が前記収容部に収容されている状態で、
前記係止部と前記収容部の前記内面部との間の摩擦力は、前記本体部を前記挿通孔から前記収容部に向かって押し戻すことによって発生する押圧力よりも大きい、
請求項5に記載の線状体保持機構。
【請求項7】
前記挿入孔の最小開口径寸法は、前記収容部の最小断面径寸法よりも小さい、
請求項4に記載の線状体保持機構。
【請求項8】
前記収容部の筒状の前記内面部には、凹凸が形成されている、
請求項1に記載の線状体保持機構。
【請求項9】
前記保持部は、
前記収納部の前記挿入孔側に形成された括れ部
を有し、
前記括れ部の最小開口径寸法は、前記収容部に収容された状態のときの前記係止部の最大断面径寸法より小さい、
請求項1に記載の線状体保持機構。
【請求項10】
前記収容部の筒状の前記内面部は、前記収容部の前記底部から離れるにつれて内径寸法が漸減するようにテーパ状に傾斜している、
請求項1に記載の線状体保持機構。
【請求項11】
前記保持部は、
前記挿入孔から前記挿通孔まで前記第1方向に延設され、前記挿入孔と前記挿通孔とに連通するスリット状の割状孔
を有し、
前記挿入孔は、前記保持部が設けられた側の前記装置の第1外面から外部に向かって開口しており、
前記割状孔は、前記保持部が設けられた側の前記装置の第2外面から外部に向かって開口しており、
前記第1外面と前記第2外面とは隣接して配置され、互いに交差する方向に配置されており、前記保持部が設けられた側の前記装置の端縁部を構成している、
請求項1に記載の線状体保持機構。
【請求項12】
前記保持部は、
前記挿入孔から前記挿通孔まで前記第1方向に延設され、前記挿入孔と前記挿通孔とに連通するスリット状の割状孔
を有し、
前記挿入孔は、前記保持部が設けられた側の前記装置の第1外面から外部に向かって開口しており、
前記割状孔は、
前記保持部が設けられた側の前記装置の第1外面側に、前記係止部が通過自在に形成された通過部
を有している、
請求項1に記載の線状体保持機構。
【請求項13】
前記保持部が設けられた側の前記装置は、筐体を有し、
前記筐体と、前記保持部と、は、一体で構成されている、
請求項1に記載の線状体保持機構。
【請求項14】
前記保持部が設けられた側の前記装置は、筐体を有し、
前記筐体と、前記保持部と、は、別体で構成され、
前記筐体には、前記保持部の前記収容部が装着される設置孔が形成され、
前記保持部の前記収容部の外面部に形成された爪部と、前記筐体と、が係り合うことで、前記保持部は前記筐体に固定される、
請求項1に記載の線状体保持機構。
【請求項15】
互いに分離可能な複数の装置と、
前記複数の装置のうち、少なくとも2つを接続する線状体と、
請求項1に記載の線状体保持機構と、
を備えた、照明装置。
【請求項16】
線状体を用いて、互いに分離可能な複数の装置どうしを接続する接続方法であって、
第1端と第2端とを有する前記線状体の線状の本体部の一部に、前記本体部の最大断面径寸法より大きい最大断面径寸法を有する係止部を設ける工程と、
前記本体部の前記第1端を前記複数の装置のうちの1つに固定する工程と、
前記複数の装置のうちの他の1つに設けられた有底筒状の保持部の底部に形成され、最小開口径寸法が前記本体部の最大断面径寸法よりも大きい挿通孔に対して、前記本体部の前記第2端を挿通する工程と、
前記挿通孔に挿通された前記本体部の前記第2端を、前記挿通孔から離れる向きに引くことで、前記保持部に前記係止部を収容する工程と、
前記本体部の前記第2端を、前記複数の装置のうちの前記他の1つに固定する工程と、
を備えた、接続方法。
【請求項17】
互いに分離可能な複数の装置どうしを接続するための線状体を保持部に保持する保持方法であって、
前記線状体の線状の本体部の一部に、前記本体部の最大断面径寸法より大きい最大断面径寸法を有する係止部を設ける工程と、
前記複数の装置の少なくとも1つに設けられた有底筒状の前記保持部の底部に形成され、最小開口径寸法が前記本体部の最大断面径寸法よりも大きい挿通孔に対して、前記本体部の一端を挿通する工程と、
前記挿通孔に挿通された前記本体の前記一端を、前記挿通孔から離れる向きに引くことで、前記保持部に前記係止部を収容する工程と、
を備えた、保持方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、線状体保持機構、照明装置、接続方法、および、保持方法に関し、特に、照明装置を構成する部品の落下防止のための吊り紐等の線状体を保持する線状体保持機構およびそれを備えた照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紐から構成された索体が撓んだ状態になっても、簡単な構造によって、当該索体が索体支持孔から抜け落ちることを防止できる照明器具が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の照明器具は、下端部が開口した長尺箱型の器具本体と、器具本体の下端部の開口に取付手段を介して着脱自在に取り付けられた配向部材と、取付手段から取り外された状態の配向部材の落下を防止する索体と、を備えている。
【0004】
特許文献1に記載の照明器具においては、器具本体に、索体の先端部に設けられた引掛部を引っ掛けて支持する索体支持孔が設けられている。索体の引掛部は、索体の通常部位を結んで形成した塊状の結び目で構成されている。一方、索体支持孔は、だるま孔状に形成されている。具体的には、索体支持孔は、索体の引掛部が導入される太径の導入孔部と、導入孔部の内径より小さい内径を有する引掛孔部と、導入孔部と引掛孔部とを連通するスリット状の通孔部と、から構成されている。
【0005】
索体の先端に設けられた引掛部は、まず、索体支持孔の導入孔部に挿入される。その後、索体の通常部位をスリット状の通孔部に通して引掛孔部に至らせ、索体の引掛部が引掛孔部から逃れないように安定させる。
【0006】
しかしながら、引掛孔部における通孔部への開口縁が滑らかに連続する曲線状に形成されていると、索体が撓んだときに、索体が索体支持孔から抜け落ちる可能性がある。すなわち、例えば、照明器具のランプの取り替えの際などに、配向部材をユーザが手で持ち上げた場合、索体が撓むことが想定される。撓んだ索体は、引掛孔部から通孔部を経て導入孔部に至る。導入孔部の内径は、索体の引掛部の外径より大きいため、索体の引掛部は導入孔部から外れてしまう。
【0007】
そこで、特許文献1では、引掛孔部における通孔部への開口縁を、滑らかな曲線状に形成せずに、角形状に形成している。角形状に形成された開口縁は、ストッパとして機能する。索体の引掛部は、引掛孔部から通孔部へ移動しようとすると、ストッパに引っ掛かるため、それ以上の移動が阻止され、導入孔部へ至ることを防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第5179123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載された索体は、鉛直方向、すなわち、重力方向の下向き方向に引っ張られた場合に、引掛孔部の角形状に形成された開口縁に接触するため、索体が擦れて損傷するおそれがある。その結果、索体が剪断した場合には、配光部材が器具本体から落下する可能性があるという課題があった。
【0010】
本開示は、上記の課題を解決するためになされたものであり、互いに分離可能な複数の装置を接続する線状体の損傷を抑えて、線状体に接続された装置の落下を防止することが可能な、線状体保持機構、照明装置、接続方法、および、保持方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示に係る線状体保持機構は、線状の本体部と前記本体部の一部に設けられた係止部とを有し、互いに分離可能な複数の装置どうしを接続する線状体を保持する線状体保持機構であって、前記複数の装置の少なくとも一方に設けられ、前記係止部が収容される、保持部を備え、前記保持部は、前記係止部が内部に収容される有底筒状の収容部と、前記収容部の底部を第1方向に貫通して形成され、前記線状体の前記本体部を挿通させると共に、前記収容部に収容された前記係止部の挿通を阻止する、挿通孔と、を有し、前記線状体の前記係止部が前記収容部に収容された状態のとき、前記係止部は前記収容部の筒状の内面部を押圧し、前記挿通孔に挿通された前記線状体の前記本体部は前記係止部によって径方向の移動が制限されて前記第1方向に延び、前記挿通孔の周縁部に接触しないものである。
【0012】
本開示に係る照明装置は、互いに分離可能な複数の装置と、前記複数の装置のうち、少なくとも2つを接続する線状体と、上記線状体保持機構と、を備えたものである。
【0013】
本開示に係る接続方法は、線状体を用いて、互いに分離可能な複数の装置どうしを接続する接続方法であって、第1端と第2端とを有する前記線状体の線状の本体部の一部に、前記本体部の最大断面径寸法より大きい最大断面径寸法を有する係止部を設ける工程と、前記本体部の前記第1端を前記複数の装置のうちの1つに固定する工程と、前記複数の装置のうちの他の1つに設けられた有底筒状の保持部の底部に形成され、最小開口径寸法が前記本体部の最大断面径寸法よりも大きい挿通孔に対して、前記本体部の前記第2端を挿通する工程と、前記挿通孔に挿通された前記本体部の前記第2端を、前記挿通孔から離れる向きに引くことで、前記保持部に前記係止部を収容する工程と、前記本体部の前記第2端を、前記複数の装置のうちの前記他の1つに固定する工程と、を備えたものである。
【0014】
本開示に係る保持方法は、互いに分離可能な複数の装置どうしを接続するための線状体を保持部に保持する保持方法であって、前記線状体の線状の本体部の一部に、前記本体部の最大断面径寸法より大きい最大断面径寸法を有する係止部を設ける工程と、前記複数の装置の少なくとも1つに設けられた有底筒状の前記保持部の底部に形成され、最小開口径寸法が前記本体部の最大断面径寸法よりも大きい挿通孔に対して、前記本体部の一端を挿通する工程と、前記挿通孔に挿通された前記本体の前記一端を、前記挿通孔から離れる向きに引くことで、前記保持部に前記係止部を収容する工程と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0015】
本開示の線状体保持機構、照明装置、接続方法、および、保持方法においては、線状体の係止部が収容部に収容された状態のとき、係止部は収容部の筒状の内面部を押圧している。また、挿通孔に挿通された線状体の本体部は係止部によって径方向の移動が制限されて第1方向に延び、挿通孔の周縁部に接触しない。そのため、本開示の線状体保持機構、照明装置、接続方法、および、保持方法によれば、互いに分離可能な複数の装置を接続する線状体の損傷を抑えて、線状体に接続された装置の落下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施の形態1に係る線状体保持機構の構成を示す側面図である。
図2】実施の形態1に係る線状体保持機構の構成を示す側面図である。
図3】実施の形態1に係る線状体保持機構の構成を示す平面図である。
図4】実施の形態1に係る線状体保持機構の構成を示す平面図である。
図5】実施の形態1に係る線状体保持機構における第1の装置と第2の装置とを接続する接続方法の手順を示すフローチャートである。
図6】実施の形態2に係る線状体保持機構の構成を示す側面図である。
図7】実施の形態2に係る線状体保持機構の構成を示す側面図である。
図8】実施の形態3に係る線状体保持機構の構成を示す側面図である。
図9】実施の形態3に係る線状体保持機構の構成を示す側面図である。
図10】実施の形態4に係る線状体保持機構の構成を示す側面図である。
図11】実施の形態4に係る線状体保持機構の構成を示す側面図である。
図12】実施の形態4に係る線状体保持機構の構成を示す平面図である。
図13】実施の形態4に係る線状体保持機構の構成を示す平面図である。
図14】実施の形態5に係る線状体保持機構の構成を示す側面図である。
図15】実施の形態5に係る線状体保持機構の構成を示す側面図である。
図16】実施の形態6に係る線状体保持機構の構成を示す側面図である。
図17】実施の形態6に係る線状体保持機構の構成を示す側面図である。
図18】実施の形態1の実施例1に係る照明装置の構成を示す分解斜視図である。
図19】実施の形態1の実施例1に係る照明装置に設けられた灯具の構成を示す斜視図である。
図20】実施の形態1の実施例1に係る照明装置における線状体保持機構の固定方法を示す図である。
図21】実施の形態1の実施例2に係る照明装置の構成を示す分解斜視図である。
図22】実施の形態1の実施例2に係る照明装置における線状体保持機構の固定方法を示す図である。
図23】実施の形態1の実施例3に係る照明装置の構成を示す分解斜視図である。
図24】実施の形態1の実施例3に係る照明装置における線状体保持機構を示す図である。
図25】実施の形態1の実施例3に係る照明装置における蓄電池の交換作業手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本開示に係る線状体保持機構、照明装置、接続方法、および、保持方法の実施の形態について図面を参照して説明する。本開示は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本開示の主旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、本開示は、以下の実施の形態およびその変形例に示す構成のうち、組み合わせ可能な構成のあらゆる組み合わせを含むものである。また、各図において、同一の符号を付したものは、同一の又はこれに相当するものであり、これは明細書の全文において共通している。なお、各図面では、各構成部材の相対的な寸法関係または形状等が実際のものとは異なる場合がある。各図において、Z方向は、並んで配置された第1の装置100と第2の装置101との配置方向を示す。Z方向において、Z1側は、第1の装置100側であり、Z2側は、第2の装置101側である。つまり、Z1の向きは、第2の装置101から第1の装置100に向かう向きであり、Z2の向きは、第1の装置100から第2の装置101に向かう向きである。そして、Z方向は、線状体10の本体部11の延伸方向であり、第1の装置100と第2の装置101とが引き合う方向である。Z方向は、「第1方向」と呼ばれることがある。また、Z方向は、例えば上下方向であり、鉛直方向の場合もある。X方向およびY方向は、いずれも、Z方向に交差する方向である。X方向とY方向とは互いに交差している。X方向およびY方向は、例えば、水平方向である。
【0018】
実施の形態1.
図1図4を用いて、実施の形態1に係る線状体保持機構の構成について説明する。図1および図2は、実施の形態1に係る線状体保持機構の構成を示す側面図である。図1においては、線状体保持機構1において、線状体10の係止部12が保持部20に収容される前の状態を示している。図2においては、線状体保持機構1において、線状体10の係止部12が保持部20に収容されている状態を示している。図3および図4は、実施の形態1に係る線状体保持機構の構成を示す平面図である。図3においては、線状体保持機構1を、保持部20の挿入孔25側から見た状態、すなわち、Z2の向きに見た状態を示している。図4においては、線状体保持機構1を、保持部20の挿通孔26側から見た状態、すなわち、Z1の向きに見た状態を示している。
【0019】
図1に示すように、線状体保持機構1は、線状体10を保持する保持部20から構成される。
【0020】
線状体10は、互いに分離可能な複数の装置どうしを接続するための接続具であって、紐、ロープ、ワイヤ等から構成される。このため、線状体10は、紐、ロープ、ワイヤ等と呼ばれることがある。なお、ここでは、線状体10が、例えば、樹脂繊維から構成された紐の場合を例に挙げて説明する。
【0021】
実施の形態1では、「互いに分離可能な複数の装置」として、第1の装置100と、第2の装置101(図示は省略)と、を例に挙げて説明する。線状体10は、途中で分岐して、3以上の装置どうしを接続してもよいが、実施の形態1では、第1の装置100と第2の装置101との2つの装置どうしを接続する場合を例に挙げて説明する。第1の装置100と第2の装置101とはZ方向に並んで配置されている。線状体10の一端、すなわち、線状体10の第1端は、第1の装置100に接続される。線状体10の他端、すなわち、線状体10の第2端は、第2の装置101に接続される。線状体10の第1端は、第1の装置100に固定されていてもよいが、着脱可能に取り付けられていてもよい。同様に、線状体10の第2端は、第2の装置101に固定されていてもよいが、着脱可能に取り付けられていてもよい。線状体10は、例えば、第2の装置101が第1の装置100から脱落することを防止するために設けられている。そのため、線状体10は、第2の装置101の重量に耐えられる強度を有している。なお、第1の装置100と第2の装置101の例については、図18図25を用いて後述する。
【0022】
線状体10は、図1に示すように、線状の本体部11と、本体部11の一部に設けられた係止部12と、を有する。係止部12は、本体部11の第1端と第2端との間に形成される。実施の形態1において、係止部12は、紐、ロープ、ワイヤ等から構成された本体部11を結んで形成されるこぶ状の結び玉である。言い換えると、係止部12は、線状体10の本体部11を結んで形成した塊状の結び目である。
【0023】
保持部20は、図1に示すように、第1の装置100に配置される。保持部20は、例えば、第1の装置100の筐体53等に設けられる。筐体53は、例えば板材等を用いて形成される。なお、保持部20は、「互いに分離可能な複数の装置」の少なくともいずれか一方に設けられていればよいものとする。すなわち、実施の形態1では、保持部20は、第1の装置100側に設けられている場合を例に挙げているが、これに限定されない。保持部20は、第2の装置101側に設けられていてもよく、あるいは、第1の装置100と第2の装置101との両方に設けられていてもよい。
【0024】
保持部20は、有底筒状に形成された収容部21を有している。収容部21の内部には、図2に示すように、線状体10の係止部12が収容される。収容部21のZ1側の端部は、開口している。そのため、収容部21は、器状になっている。収容部21の当該開口には、後述する挿入孔25が形成されている。線状体10の係止部12は、挿入孔25から収容部21の内部に挿入される。
【0025】
収容部21には、係止部12を挿入可能な挿入孔25と、本体部11が挿通可能な挿通孔26と、が形成されている。挿通孔26の内径は挿入孔25の内径より小さく、係止部12は物理的に挿通孔26を通過することができない。従って、挿通孔26は、線状体10の本体部11を挿通させると共に、収容部21に収容された係止部12の挿通を阻止する。
【0026】
挿入孔25と挿通孔26とは、収容部21を間にして対向して配置されている。挿入孔25は、筐体53の第1面53aと同じ平面内に形成されている。挿入孔25は、収容部21のZ1側の端部に設けられている。収容部21は、第1の装置100の筐体53の第1面53aから、Z2側に向かって窪んでいる凹部である。言い換えると、収容部21は、第2の装置101に向かって、筐体53の第2面53bから突出している凸部である。従って、収容部21の底部に形成された挿通孔26は、第1の装置100の筐体53と第2の装置101との間の空間と連通している。収容部21の板厚は、筐体53の板厚と同じであっても、異なっていてもよい。挿入孔25は、図3に示すように、平面視で、収容部21の内面部22の中央部に配置している。挿入孔25は、平面視で、円形形状を有している。挿入孔25は、平面視で、有底筒状の保持部20の外周円に対して、同心円状に形成されている。収容部21は、筐体53と一体成型されてもよいが、筐体53と別体で構成されて筐体53に取り付けられてもよい。
【0027】
挿通孔26は、収容部21のZ2側の端部に設けられている。すなわち、挿通孔26は、収容部21の底部に設けられている。挿通孔26は、収容部21の底部を板厚方向に貫通する貫通孔である。線状体10の本体部11は挿通孔26を通過できるが、線状体10の係止部12は挿通孔26を通過できない。挿通孔26は、図4に示すように、平面視で、収容部21の外面部23の中央部に配置している。挿通孔26は、平面視で、円形形状を有している。挿通孔26は、平面視で、有底筒状の保持部20の外周円に対して、同心円状に形成されている。なお、ここでは、線状体10の本体部11の径方向の断面形状が円形の場合を例に挙げているため、挿通孔26も円形形状となっている。挿通孔26の形状は、この場合に限らず、線状体10の本体部11の断面形状に合わせて、適宜、変更してもよい。但し、その場合においても、線状体10の本体部11が、挿通孔26の周縁部に接触しないように、挿通孔26の大きさを線状体10の本体部11よりも大きくする必要がある。挿通孔26の形状は、平面視で、例えば、線状体10の本体部11の断面形状の相似形としてもよい。例えば、本体部11の断面形状が例えば矩形の場合、挿通孔26の形状を、相似形の矩形とし、その大きさを本体部11より大きくし、且つ、中心の位置が互いに一致するように形成する。また、線状体10の本体部11が、挿通孔26の周縁部に接触しなければ、挿通孔26の形状と線状体10の本体部11の断面形状とが、異なる形状であってもよい。
【0028】
図1図4に示すように、線状体10の本体部11の最大断面径寸法を、径寸法L1とする。また、図1に示すように、収容部21に挿入される前の線状体10の係止部12の最大断面径寸法を、径寸法L2とする。また、図2に示すように、収容部21に挿入された状態の線状体10の係止部12の最大断面径寸法を、径寸法L3とする。このように、係止部12は、収容部21に挿入される前と、収容部21に挿入された後と、で、最大断面径寸法が、径寸法L2から径寸法L3に若干変化する。係止部12は、収容部21に収容される際に、結び固められるため、径寸法L3は径寸法L2以下になる。
【0029】
また、図1に示すように、挿入孔25の最小開口径寸法を、径寸法L4とする。また、図2に示すように、挿通孔26の最小開口径寸法を、径寸法L5とする。さらに、図1に示すように、収容部21の最小断面径寸法を、径寸法L6とする。すなわち、径寸法L6は、収容部21の内面部22の最小内径寸法である。
【0030】
このとき、径寸法L1~L6の大小関係は、以下の通りとなる。
【0031】
挿入孔25の径寸法L4は、線状体10の本体部11の径寸法L1よりも大きい。また、挿入孔25の径寸法L4は、線状体10の係止部12の径寸法L2よりも大きい。そのため、線状体10の本体部11および係止部12は、挿入孔25から、収容部21へ挿入可能である。すなわち、本体部11および係止部12を有する線状体10は、挿入孔25から、収容部21へ挿入可能である。
【0032】
線状体10の係止部12の径寸法L2および径寸法L3は、線状体10の本体部11の径寸法L1よりも大きい。
【0033】
挿通孔26の径寸法L5は、線状体10の本体部11の径寸法L1よりも大きい。そのため、線状体10の本体部11の第2端は、Z2の向きに挿通孔26を通過して、収容部21の外部に突き出ることができる。挿通孔26の径寸法L5は、収容部21内に収容された状態の線状体10の係止部12の径寸法L3よりも小さい。そのため、線状体10の係止部12は、挿通孔26を通過できない。すなわち、係止部12は、Z2の向きに挿通孔26を通過して、収容部21の外部に突き出ることはない。また、挿通孔26の径寸法L5は、収容部21内に収容される前の線状体10の係止部12の径寸法L2よりも小さい。
【0034】
収容部21の径寸法L6は、収容部21に収容される前の係止部12の径寸法L2より小さい。また、収容部21の径寸法L6は、収容部21に収容された状態の線状体10の係止部12の径寸法L3の最大値と同じ寸法である。図2に示すように、線状体10の係止部12は、収容部21に収容された状態で、収容部21の内面部22に接触しており、収容部21の内面部22を収容部21の外側に向かって(矢印Cの向きに)押圧している。
【0035】
実施の形態1における、線状体10を用いて第1の装置100と第2の装置101とを接続する接続方法の手順を説明する。図5は、実施の形態1に係る線状体保持機構における第1の装置と第2の装置とを接続する接続方法の手順を示すフローチャートである。
【0036】
まず、ステップS1で、線状体10の本体部11の一部に係止部12である結び玉を設ける。次に、ステップS2で、図1に示すように、線状体10の本体部11の第2端を矢印Aの向き(Z2の向き)に挿通孔26に挿通させる。
【0037】
次に、ステップS3で、図1に示すように、係止部12が収容部21に収容されるように、線状体10の本体部11の第2端を矢印Aの向き(Z2の向き)に引っ張る。これにより、係止部12である結び玉は、ステップS3で、挿入孔25から収容部21の内部に引き込まれながら変形し、矢印Bで示すように、収容部21の内面部22の形状に倣って結び固められる。このようにして、ステップS4で、線状体10の本体部11の第1端は、第1の装置100に固定される。
【0038】
挿通孔26は、本体部11がZ2の向きに挿通するように形成されている。また、係止部12は、挿入孔25から収容部21の内部に引き込まれる際に、収容部21の内面部22の形状に倣って、固く結ばれる。そのため、係止部12は、いったん、収容部21に挿入されると、矢印Bの向きにさらに縮むことはできなくなる。そして、係止部12は、いったん、収容部21に収容された後は、収容部21の内面部22に密着しており、内面部22によって移動が規制される。そのため、係止部12は、収容部21に嵌合された状態では、移動および変形の自由度が殆どない。また、係止部12の下端部から突出する本体部11(以下、本体部11aと呼ぶ)は、図2に示すように、係止部12における平面視の中央部からZ2側に向かって突出している。そのため、図2に示すように、本体部11aは、係止部12の図2の紙面の左右の部分(以下、係止部12a、12bと呼ぶ)の間に配置される。係止部12は、上述したように、収容部21に嵌合されて移動および変形の自由度がない状態にあるため、これに伴い、本体部11aも殆ど移動ができない状態になっている。このとき、本体部11aは、図2に示すように、Z方向に延びている。すなわち、本体部11aは、平面視で、挿通孔26の中央部に配置されている。これにより、本体部11aは、係止部12によって移動が制限されて、収容部21の内面部22および挿通孔26の周縁部に直接接触しない位置に保持される。そのため、実施の形態1では、本体部11がZ2の向きに引っ張られた際にも、本体部11aは係止部12aおよび12bによって径方向の移動が制限され、挿通孔26の周縁部に本体部11aが接触することはない。
【0039】
最後に、ステップS5で、線状体10の本体部11の第2端を、第2の装置101に固定する。このようにして、線状体10により第1の装置100と第2の装置101とが接続される。
【0040】
なお、図5のフローチャートは一例であり、ステップS1~S5の順序は実施可能な範囲であれば適宜入れ替えてもよい。例えば、ステップS1とステップS2の順序が逆でもよいし、ステップS3とステップS5の順序が逆でもよい。また、ステップS4とステップS5の順序が逆でもよい。
【0041】
実施の形態1における、線状体10を保持部20に保持する保持方法の手順は、以下の通りである。
【0042】
当該保持方法は、図5のフローチャートから、ステップS4の工程とステップS5の工程とを省いた手順で行う。ステップS1、S2、S3については、上述した通りであるため、ここでは、その説明を省略する。また、当該保持方法において、ステップS1、S2、S3の順序は、実施可能な範囲であれば適宜入れ替えてもよい。
【0043】
図2に示すように、係止部12が収容部21に収容されている状態では、矢印Cで示すように、係止部12である結び玉が、収容部21の内面部22を収容部21の外側に向かって押圧することによる摩擦力が発生する。この摩擦力は、本体部11を挿通孔26から収容部21に向かって押し戻すことによって発生する押圧力よりも大きい。このため、係止部12が収容部21に収容されている状態では、本体部11を、矢印Dで示すように、挿通孔26から収容部21に向かって押し戻した場合に、係止部12は、Z1の向きに、挿入孔25を介して収容部21の外部に抜け出ることがない。
【0044】
線状体10に係止部12を形成するための本体部11の結び方は、線状体10の係止部12が収容部21に収容された状態で、収容部21の内面部22に接触し、収容部21の内面部22を押圧するものであれば、特に限定されない。
【0045】
係止部12は、本体部11を結んで形成する結び玉に限定されない。係止部12は、コードストッパ、コードロック、コードクリップ、コードクランプ、結束バント等と称される線状体10の本体部11とは別体の部材を、本体部11の一箇所に取り付けることによって形成されるものでもよい。
【0046】
収容部21の内面部22には、係止部12と内面部22との間の摩擦係数を大きくするために、凹凸が形成されていてもよい。なお、内面部22に形成される凹凸の凸部または凹部の形成方法は、例えば、絞り加工などでリブ状の凸部を形成し、他の平らな部分との比較で、凹凸としてもよい。あるいは、シボ加工などで皺状の凸部および凹部を形成してもよい。あるいは、エンボス加工などで円形の凸部を形成し、他の平らな部分との比較で、凹凸としてもよい。
【0047】
以上のように、実施の形態1に係る線状体保持機構1は、線状体10と、保持部20と、を備えている。保持部20は、線状体保持機構1によって接続される複数の装置の少なくとも一方に設けられている。保持部20は、線状体10の本体部11の一部に設けられた係止部12を収容する器状の収容部21を有している。収容部21の底部には、挿通孔26が形成されている。挿通孔26には、線状体10の本体部11が挿通される。挿通孔26の径寸法L5は、本体部11の径寸法L1より大きい。線状体10の係止部12が収容部21に収容された状態のとき、挿通孔26に挿通された線状体10の本体部11は、Z方向に延び、挿通孔26の周縁部に接触しない。また、本体部11がZ2の向きに引っ張られた際にも、収容部21内の係止部12によって本体部11の径方向の移動が規制され、挿通孔26の周縁部に本体部11が接触することはない。このように、線状体10の本体部11は、挿通孔26の周縁部に接触しないため、本体部11が摩耗により損傷することを抑制できる。そのため、本体部11が剪断されることを防止できるため、第2の装置101が第1の装置100から脱落することを防止することができる。
【0048】
実施の形態2.
図6および図7は、実施の形態2に係る線状体保持機構の構成を示す側面図である。図6においては、線状体保持機構1において、線状体10が保持部20に収容される前の状態を示している。図7においては、線状体保持機構1において、線状体10が保持部20に収容されている状態を示している。
【0049】
実施の形態2における保持部20は、図6および図7に示すように、収容部21の挿入孔25側に形成された括れ部27を有している。括れ部27は、ネック部と呼ばれることがある。括れ部27は、Z方向において、挿入孔25に近接して配置されている。Z方向が上下方向の場合、括れ部27は、挿入孔25の真下に配置されている。括れ部27は、収容部21の外面部23から、収容部21の径方向における内方に向かって凹んでいる。括れ部27の最小径寸法を、径寸法L7とする。このとき、径寸法L7は、収容部21に収容された状態の線状体10の係止部12の径寸法L3(図2参照)より小さい。また、括れ部27の径寸法L7は、収容部21の径寸法L6(図1参照)よりも小さい。
【0050】
他の構成は、実施の形態1と同じであるため、同一符号を付して示し、ここでは、その説明を省略する。
【0051】
実施の形態2においては、上記の実施の形態1と同様に、図7に示すように、係止部12が収容部21に収容されている状態では、矢印Cで示すように、係止部12である結び玉が、収容部21の内面部22を収容部21の外側に向かって押圧することによる摩擦力が発生する。この摩擦力は、本体部11を挿通孔26から収容部21に向かって押し戻すことによって発生する押圧力よりも大きい。そのため、係止部12が収容部21に収容されている状態では、本体部11を、矢印Dで示すように、挿通孔26から収容部21に向かって押し戻した場合に、係止部12は、Z1の向きに、挿入孔25を介して収容部21の外部に抜け出ることがない。
【0052】
さらに、実施の形態2では、保持部20が括れ部27を有している。括れ部27の径寸法L7は、収容部21に収容された状態の線状体10の係止部12の径寸法L3より小さい。そのため、本体部11を、矢印Dで示すように、挿通孔26から収容部21に向かって押し戻した場合に、係止部12は、括れ部27の周縁部に当接し、Z1の向きの移動が規制される。その結果、係止部12がZ1の向きに挿入孔25を介して収容部21の外部に抜け出ることを、さらに、防止することができる。
【0053】
なお、係止部12が収容部21に挿入される際には、図6に示すように、係止部12である結び玉は、挿入孔25から収容部21の内部に引き込まれながら、矢印Bで示されるように、収容部21の内面部22の形状に倣って結び固められる。そのため、係止部12が収容部21に挿入される前は、係止部12である結び玉は、緩やかに結ばれているため、矢印Bで示す向きに変形して縮むことができる。そのため、係止部12は、括れ部27を通過することができる。また、係止部12は、収容部21の内部に引き込まれる際に、収容部21の内面部22の形状に倣って固く結ばれるため、いったん、係止部12が収容部21に挿入されると、矢印Bの向きにさらに縮むことはできなくなる。そのため、括れ部27が設けられている場合においても、係止部12の収容部21への挿入はスムーズに行うことができる。一方、本体部11を、矢印Dで示すように、挿通孔26から収容部21に向かって押し戻した場合には、係止部12は、括れ部27の周縁部に当接するため、収容部21の外部に抜け出ることを防止することができる。
【0054】
実施の形態3.
図8および図9は、実施の形態3に係る線状体保持機構の構成を示す側面図である。図8においては、線状体保持機構1において、線状体10が保持部20に収容される前の状態を示している。図9においては、線状体保持機構1において、線状体10が保持部20に収容されている状態を示している。
【0055】
実施の形態3においては、図8および図9に示すように、収容部21の内面部22の内径寸法を、挿入孔25側に向かって徐々に小さくしている。すなわち、収容部21の内面部22はZ1側に向かってテーパ状に先細りになっている。そのため、収容部21の内面部22の断面径寸法は、挿入孔25側に向かって漸減している。挿入孔25は、収容部21の最も細くなった部分に配置されている。
【0056】
このように、実施の形態3では、収容部21の内面部22は、Z1側に向かうほど径寸法が小さくなるように、Z方向に対して傾斜している。なお、収容部21の内面部22の傾斜角度は、単一でもよいし、複数種類の傾斜角度を組み合わせてもよい。
【0057】
実施の形態3において、挿入孔25の最小開口径寸法を、径寸法L8とする。このとき、径寸法L8は、本体部11の径寸法L1(図1参照)よりも大きい。また、径寸法L8は、収容部21の最小断面径寸法である径寸法L6と同じである。実施の形態3の場合、径寸法L6は、収容部21のうち、挿入孔25に最も近い部分の径寸法となる。また、径寸法L8は、収容部21に収容された状態の線状体10の係止部12の径寸法L3よりも小さい。
【0058】
他の構成は、実施の形態1と同じであるため、同一符号を付して示し、ここでは、その説明を省略する。
【0059】
実施の形態3においては、上記の実施の形態1と同様に、図9に示すように、係止部12が収容部21に収容されている状態では、矢印Cで示すように、係止部12である結び玉が、収容部21の内面部22を収容部21の外側に向かって押圧することによる摩擦力が発生する。この摩擦力は、本体部11を挿通孔26から収容部21に向かって押し戻すことによって発生する押圧力よりも大きい。そのため、係止部12が収容部21に収容されている状態では、本体部11を、矢印Dで示すように、挿通孔26から収容部21に向かって押し戻した場合に、係止部12は、Z1の向きに、挿入孔25を介して収容部21の外部に抜け出ることがない。
【0060】
さらに、実施の形態3では、収容部21の内面部22の内径が、挿入孔25に向かって徐々に細くなっている。挿入孔25の径寸法L8は、収容部21に収容された状態のときの係止部12の径寸法L3より小さい。そのため、本体部11を、矢印Dで示すように、挿通孔26から収容部21に向かって押し戻した場合に、係止部12は、内面部22または挿入孔25の周縁部に当接し、Z1の向きの移動が規制される。その結果、係止部12は、Z1の向きに挿入孔25を介して収容部21の外部に抜け出ることを、さらに、防止することができる。
【0061】
なお、係止部12が収容部21に挿入される際には、図8に示すように、係止部12である結び玉は、挿入孔25から収容部21の内部に引き込まれながら、矢印Bで示されるように、収容部21の内面部22の形状に倣って結び固められる。そのため、係止部12が収容部21に挿入される前は、係止部12である結び玉は、緩やかに結ばれているため、矢印Bで示す向きに変形して縮むことができる。そのため、挿入孔25が狭くなっていても、係止部12は、挿入孔25をスムーズに通過することができる。また、係止部12は、収容部21の内部に引き込まれる際に、収容部21の内面部22の形状に倣って固く結ばれるため、いったん、係止部12が収容部21に挿入されると、矢印Bの向きにさらに縮むことはできなくなる。そのため、本体部11を、矢印Dで示すように、挿通孔26から収容部21に向かって押し戻した場合には、係止部12は、内面部22または挿入孔25の周縁部に当接するため、収容部21の外部に抜け出ることを防止することができる。
【0062】
実施の形態4.
図10図13を用いて、実施の形態4に係る線状体保持機構の構成について説明する。図10および図11は、実施の形態4に係る線状体保持機構の構成を示す側面図である。図10においては、線状体保持機構1において、線状体10が保持部20に収容される前の状態を示している。図11においては、線状体保持機構1において、線状体10が保持部20に収容されている状態を示している。図12および図13は、実施の形態4に係る線状体保持機構の構成を示す平面図である。図12においては、線状体保持機構1を、保持部20の挿入孔25側から見た状態を示している。図13においては、線状体保持機構1を、保持部20の挿通孔26側から見た状態を示している。
【0063】
図10図13に示すように、実施の形態4では、保持部20が、挿入孔25と挿通孔26とを繋ぐように形成されたスリット状の割状孔28を有している。
【0064】
他の構成は、実施の形態1と同じであるため、同一符号を付して示し、ここでは、その説明を省略する。
【0065】
実施の形態4においては、図12および図13に示すように、保持部20が、第2の装置101の筐体53の第2面53bの近傍に配置されている。第2面53bは、第1面53aに隣接して配置された筐体53の外面の1つである。第1面53aと第2面53bとは、互いに交差する方向に配置されている。第1面53aと第2面53bとは、例えば、L字型に直交している。第1面53aと第2面53bとは、板材等を用いて形成された第2の装置101の筐体53の端縁部53-1を構成している。
【0066】
スリット状の割状孔28は、図10および図11に示すように、Z方向に、挿入孔25から挿通孔26に至るまで延設されている。また、スリット状の割状孔28のZ方向のZ1側の内径寸法である最大幅寸法W1は、挿入孔25の径寸法L4(図1参照)より小さい。また、割状孔28の最大幅寸法W1は、線状体10の係止部12の径寸法L2より小さい。そのため、線状体10の係止部12は、割状孔28に挿入することはできない。スリット状の割状孔28のZ方向のZ2側の内径寸法である最小幅寸法L9は、本体部11の最大断面径寸法である径寸法L1(図1参照)よりも大きい。なお、最大幅寸法W1と最小幅寸法L9とが同じであってもよいが、実施の形態4では、最大幅寸法W1が最小幅寸法L9より大きい場合を示している。
【0067】
また、スリット状の割状孔28は、図12および図13に示すように、筐体53の第2面53bにおいて開口している。そのため、線状体10の本体部11は、矢印Eで示すように、割状孔28から収容部21に収容することができる。すなわち、線状体10の本体部11は、図10の紙面の手前側から奥側に向かって、収容部21に挿入し収容することができる。
【0068】
なお、割状孔28の幅寸法は、割状孔28のZ方向の全長にわたって一様でもよい。その場合、最大幅寸法W1と最小幅寸法L9とが同じである。しかしながら、実施の形態4では、最大幅寸法W1が最小幅寸法L9より大きい場合を示している。すなわち、図10に示すように、割状孔28のZ2側の一部分は幅寸法が一様であるが、割状孔28の残りの部分は、Z2側からZ1側に向かうにつれて、幅寸法が徐々に大きくなっている。そのため、最大幅寸法W1が最小幅寸法L9より大きい。Z1側の最大幅寸法W1が他の部分より大きくなっているため、線状体10の本体部11を図10の紙面の手前側から奥側に向かって収容部21に挿入し収容する際に、線状体10の本体部11を割状孔28に挿入する作業がしやすい。
【0069】
上述したように、割状孔28の最小幅寸法L9は、本体部11の径寸法L1よりも大きい。また、割状孔28の最小幅寸法L9は、収容部21に収容される前の係止部12の径寸法L2よりも小さい。割状孔28の最小幅寸法L9は、収容部21に収容された状態の係止部12の径寸法L3よりも小さい。
【0070】
よって、係止部12が収容部21に収容されている状態では、係止部12は割状孔28を介して収容部21の外部に抜け出ることがない。
【0071】
以上のように、実施の形態4の保持部20には、割状孔28が設けられている。このような保持部20を、第2の装置101の筐体53の端縁部53-1を構成する第2面53bに設けている。これにより、割状孔28は第2面53bから外部に開口し、線状体10の本体部11は、割状孔28から収容部21に収容することができる。その結果、線状体保持機構1において、線状体10を保持部20に保持する作業が容易になる。さらに、その後、本体部11をZ2の向きに引っ張ることで、図11に示すように、係止部12を収容部21内に容易に収容することができる。
【0072】
実施の形態5.
図14および図15は、実施の形態5に係る線状体保持機構の構成を示す側面図である。但し、図14図15とは、互いに90°異なる角度からそれぞれ見た状態を示している。
【0073】
図14および図15に示すように、実施の形態5では、割状孔28に、係止部12が通過自在に形成された通過部29を設けたものである。この点が実施の形態4と異なる。通過部29は、割状孔28における挿通孔26とは反対側の端部に設けられる。すなわち、通過部29は、割状孔28におけるZ方向のZ1側の端部に設けられている。通過部29は、挿入孔25と連通している。通過部29は、図15に示すように、割状孔28が開口している側と同じ側に向かって開口している。すなわち、通過部29および割状孔28は、図14に示すように、共に、Z方向のZ1側に開口すると共に、Y方向の一方の側(図14の紙面の右側)にも開口している。通過部29は、図15に示すように、側面視で、U字形状に形成されている。通過部29は、割状孔28の一部分であり、割状孔28の他の部分と連続するように形成されている。通過部29は、図14に示すように、第2の装置101の筐体53の内部空間に配置されている。
【0074】
他の構成は、実施の形態1および実施の形態4と同じであるため、同一符号を付して示し、ここでは、その説明を省略する。
【0075】
上記の実施の形態4においては、割状孔28の最大幅寸法W1が、線状体10の係止部12の径寸法L2より小さいため、線状体10の係止部12部分は割状孔28に挿入することはできない。
【0076】
一方、実施の形態5では、通過部29の最大幅寸法L10は、線状体10の係止部12の径寸法L2よりも大きい。そのため、係止部12を、割状孔28の通過部29に挿入することができる。
【0077】
実施の形態5の保持部20においては、割状孔28のZ1側の端部に、係止部12が通過可能な通過部29が設けられている。このような保持部20は、板材等を用いて形成された第2の装置101の筐体53のL字状の端縁部53-1(図12および図13参照)以外の場所に設けることが可能である。その場合、線状体10の本体部11および係止部12を、割状孔28の通過部29に挿入し、割状孔28から収容部21内に収容することができる。具体的には、図14の矢印Fで示すように、筐体53の内部空間側において、線状体10の本体部11の第2端を、割状孔28の通過部29に挿入していく。すなわち、図14の矢印Fで示すように、図14の紙面の右側から左側に向かって、また、図15の紙面の手前側から奥側に向かって、線状体10の本体部11を割状孔28に挿入していくと、線状体10の本体部11と共に係止部12も通過部29を通過する。そのまま、さらに線状体10を割状孔28に挿入していくと、係止部12を、通過部29から収容部21内に収容することができる。なお、線状体10は、収容部21に収容された状態においては、図15に示すように、本体部11全体がZ方向に延伸した状態となる。
【0078】
以上のように、実施の形態5では、割状孔28が、係止部12が通過可能な通過部29をZ1側の端部に有している。そのため、線状体10を、割状孔28の通過部29から収容部21内に収容することができ、作業性が向上する。
【0079】
実施の形態6.
図16および図17は、実施の形態6に係る線状体保持機構の構成を示す側面図である。
【0080】
実施の形態6においては、器状の保持部20が、第2の装置101の筐体53とは別体で構成されている。また、実施の形態6では、第2の装置101の筐体53に、保持部20が設置される設置孔55が設けられている。設置孔55は、Z方向のZ1側が開口されている。設置孔55の開口は、筐体53の第1面53aに形成されている。設置孔55は、第1面53aに形成された貫通孔である。設置孔55が貫通孔の場合、設置孔55は、第1面53aの板厚を貫通している。あるいは、設置孔55は、第1面53aからZ方向のZ2側に向かって凹んだ凹部である。設置孔55が凹部の場合、設置孔55の内面形状は、保持部20の相補形状になっている。すなわち、設置孔55が凹部の場合、設置孔55の内面形状は、保持部20の外形形状に倣って、円筒状になっている。保持部20は、図16の矢印Gで示すように、設置孔55の開口からZ2の向きに挿入され、設置孔55に装着される。
【0081】
保持部20の収容部21の外面部23には、図16および図17に示すように、爪部24が形成されている。爪部24は、設置孔55よりも径方向における外方に張り出すように形成されている。爪部24は、収容部21のZ1側の端部の近傍に配置されている。爪部24と収容部21のZ1側の端部との間には、高さh1の空隙が設けられている。この空隙の高さh1は、筐体53の第1面53aの板厚に相当する寸法である。
【0082】
爪部24は、側面視で三角形状を有し、例えば、くさび形状を有している。爪部24のZ2側の端部が最も細く、Z2側からZ1側に向かうにつれて、徐々に太くなっている。爪部24は、図16および図17に示すように、1対設けられており、互いに対向する位置に配置されている。爪部24は、収容部21と同じ材質で構成し、収容部21と一体成型されてもよい。あるいは、爪部24は、収容部21と異なる材質で構成し、収容部21に固定されていてもよい。爪部24は、バネから構成されていてもよい。
【0083】
また、器状の収容部21のZ1側の端部は、開口している。当該開口は、実施の形態1で示した挿入孔25を構成している。挿入孔25の外周縁部には、鍔部21aが設けられている。鍔部21aは、挿入孔25から径方向における外方に突出して設けられている。鍔部21aは、平面視で、例えばドーナツ形状を有している。
【0084】
保持部20を設置孔55に装着する際には、はじめに、図16に示すように、保持部20の爪部24の細くなっている端部が設置孔55に挿入される。その後、保持部20を設置孔55に押し込んでいくと、図17に示すように、鍔部21aが設置孔55の周縁部に当接する。このとき、爪部24は、筐体53の第1面53aの下側に入り込んでいる。こうして、爪部24が、第2の装置101の筐体53と係り合うことによって、保持部20は、筐体53に固定され、第2の装置101から外れないように保持される。
【0085】
他の構成は、実施の形態1と同じであるため、同一符号を付して示し、ここでは、その説明を省略する。
【0086】
なお、保持部20は、爪部24による係合以外の方法で、第2の装置101に取り付けられてもよい。すなわち、保持部20は、例えば、接着、溶着、螺着等の方法で、第2の装置101に取り付けられてもよい。その場合、鍔部21aが不要な場合には、鍔部21aは特に設けなくてもよい。
【0087】
また、実施の形態6では、保持部20を第2の装置101に設置する場合を例に挙げて説明したが、その場合に限定されない。すなわち、保持部20は、第1の装置100に設置してもよい。
【0088】
以上のように、実施の形態6では、保持部20を、被装着側の第1の装置100または第2の装置101とは別体で構成している。そのため、線状体10を保持部20に装着した状態で、保持部20を第2の装置101に装着することも可能である。そのため、作業の手順の自由度が増え、作業がやりやすい順序で、保持部20および線状体10を、第1の装置100および第2の装置101に取り付けることができ、作業性がさらに向上する。
【0089】
(実施例)
(照明装置)
以下、線状体保持機構1の好適な採用例について実施例1~3として説明する。線状体保持機構1の好適な採用例として、天井等の造営部9に固定された第1の装置100と、第1の装置100に対して着脱自在に取り付けられる第2の装置101と、を備える、照明装置1000がある。この場合、第1の装置100は、照明装置1000に設けられた照明器具本体であり、第2の装置101は、照明器具本体に着脱自在に取り付けられる灯具、あるいは、その他の部品などである。照明器具本体は、単に、器具と呼ばれることがある。また、灯具は、照明具と呼ばれることがある。
【0090】
(実施例1)
図18は、実施の形態1の実施例1に係る照明装置の構成を示す分解斜視図である。図19は、実施の形態1の実施例1に係る照明装置に設けられた灯具の構成を示す斜視図である。図20は、実施の形態1の実施例1に係る照明装置における線状体保持機構の固定方法を示す図である。
【0091】
実施例1に係る照明装置1000Aにおいては、第1の装置100Aが、天井等の造営部9に固定される器具である。すなわち、第1の装置100Aは、照明装置1000Aの器具本体である。また、第2の装置101Aが、第1の装置100Aに対して着脱自在に取り付けられる灯具である。第1の装置100Aと第2の装置101Aとは、「互いに分離可能な複数の装置」を構成している。
【0092】
図18に示すように、第1の装置100Aと第2の装置101Aとは、実施の形態1~6で示した線状体保持機構1のいずれかによって互いに接続されている。
【0093】
第1の装置100Aは、ボルトおよびナット等の取付金具102により、天井等の造営部9に固定される。また、第1の装置100Aには、電源端子台103が設けられている。電源端子台103は、造営部9に設置された電源線104を介して外部電源に接続されている。外部電源は、例えば、商用電源である。また、電源端子台103には、器具側コネクタ105が電気的に接続される。また、第1の装置100Aには、取付バネ106が設けられている。
【0094】
第2の装置101Aには、取付バネ106が取り付けられるバネ受け金具107が設けられている。取付バネ106がバネ受け金具107に取り付けられることで、第2の装置101Aは、第1の装置100Aに装着される。また、第2の装置101Aには、灯具側コネクタ108と、電源ユニット109と、が設けられている。灯具側コネクタ108は、器具側コネクタ105に挿入されて電気的に接続される。電源ユニット109は、灯具側コネクタ108に電気的に接続されている。電源ユニット109は、灯具側コネクタ108を介して、外部電源からの電力を受け取る。電源ユニット109は、当該電力により、光源(図示は省略)を点灯させる。
【0095】
第1の装置100Aと第2の装置101Aとは、線状体保持機構1によって接続されている。第1の装置100Aと第2の装置101Aとは、取付バネ106とバネ受け金具107とを用いて固定されている。しかしながら、第2の装置101Aの交換時、配線作業時、あるいは、バネ受け金具107に対する取付バネ106の取り付け不良などの際に、第2の装置101Aが第1の装置100Aから落下する可能性がある。そこで、第1の装置100Aと第2の装置101Aとを線状体保持機構1によって接続することで、第2の装置101Aの第1の装置100Aからの落下を防止することができる。
【0096】
また、第2の装置101Aである灯具と第1の装置100Aである器具とが線状体保持機構1によって接続された状態で、配線することができるので作業性が良い。そして、第2の装置101Aである灯具は、第1の装置100Aである器具に対して着脱する際にも線状体保持機構1によって接続されているので、落下によって損傷させてしまうおそれもない。
【0097】
なお、上記の実施の形態1~6においては、図5のフローで示すように、線状体保持機構1の本体部11の第1端を先に第1の装置100に取り付ける(ステップS2~S4参照)。その後、線状体保持機構1の本体部11の第2端を第2の装置101に取り付けている(ステップS5参照)。しかしながら、実施例1においては、逆に、図18に示すように、線状体保持機構1の本体部11の第2端を先に第2の装置101Aに取り付け、その後、線状体保持機構1の本体部11の第1端を第1の装置100Aに取り付けるようにしてもよい。
【0098】
図18および図19に示すように、第2の装置101Aには、線状体保持機構1の本体部11の第2端が固定されている。線状体保持機構1の本体部11の第2端には、取付金具30が設けられている。また、線状体保持機構1の本体部11の第1端には、係止部12が設けられている。取付金具30は、図18および図19に示すように、U字形状を有しており、一部が開口している。U字形状の取付金具30は、第2の装置101Aに引っ掛ける。第2の装置101Aには、例えば、取付金具30が引っ掛けられるブリッジが設けられている。図示は省略するが、ブリッジは、例えばU字形状をなしており、その両端は、第2の装置101Aと一体となっており、両端とも閉じている。取付金具30をブリッジに引っ掛けた後に、取付金具30の開口を工具等によりかしめる。これにより、線状体保持機構1の第2端が、第2の装置101Aに固定される。
【0099】
(実施例2)
図21は、実施の形態1の実施例2に係る照明装置の構成を示す分解斜視図である。図22は、実施の形態1の実施例2に係る照明装置における線状体保持機構の固定方法を示す図である。
【0100】
実施例2に係る照明装置1000Bにおいては、第1の装置100Bが、天井等の造営部9に固定される器具である。また、第2の装置101Bが、第1の装置100Bに対して着脱自在に取り付けられる灯具である。
【0101】
図21に示すように、第1の装置100Aと第2の装置101Aとは、実施の形態1~6で示した線状体保持機構1のいずれかによって互いに接続されている。
【0102】
第1の装置100Bは、ボルトおよびナット等の取付金具102により、天井等の造営部9に固定される。また、第1の装置100Bには、電源端子台(図示は省略)が設けられている。電源端子台は、造営部9に設置された電源線104を介して外部電源に接続されている。外部電源は、例えば、商用電源である。
【0103】
第2の装置101Bの長手方向の両端には、取付部110が設けられている。取付部110は、第1の装置100Bに設けられた被取付部111に、ネジなどの取付金具によって取り付けられる。
【0104】
第1の装置100Bと第2の装置101Bとは、線状体保持機構1によって接続されている。第1の装置100Bと第2の装置101Bとは、取付部110と被取付部111とを用いて固定されている。しかしながら、第2の装置101Bの交換時、配線作業時、あるいは、被取付部111に対する取付部110の取り付け不良などの際に、第2の装置101Bが第1の装置100Bから落下する可能性がある。そこで、第1の装置100Bと第2の装置101Bとを線状体保持機構1によって接続することで、第2の装置101Bの第1の装置100Bからの落下を防止することができる。
【0105】
また、第2の装置101Bである灯具と第1の装置100Bである器具とが線状体保持機構1によって接続された状態で、配線することができるので作業性が良い。そして、第2の装置101Bである灯具は、第1の装置100Bである器具に対して着脱する際にも線状体保持機構1によって接続されているので、落下によって損傷させてしまうおそれもない。
【0106】
図21および図22に示すように、第1の装置100Bには、線状体保持機構1の本体部11の第1端が固定されている。また、線状体保持機構1の本体部11の第2端には、取付金具30が設けられている。取付金具30は、図21および図22に示すように、U字形状を有しており、一部が開口している。第2の装置101Bには、図22に示すように、被取付金具33が設けられている。被取付金具33には、貫通孔33aが形成されている。U字形状の取付金具30を、第2の装置101Bに設けられた被取付金具33の貫通孔33aに引っ掛ける。取付金具30を貫通孔33aに引っ掛けた後に、図22の黒色太矢印で示すように、取付金具30の開口を工具等によりかしめる。これにより、線状体保持機構1の第2端が、第2の装置101Bに固定される。
【0107】
(実施例3)
図23は、実施の形態1の実施例3に係る照明装置の構成を示す分解斜視図である。図24は、実施の形態1の実施例3に係る照明装置における線状体保持機構を示す図である。図25は、実施の形態1の実施例3に係る照明装置における蓄電池の交換作業手順を示す図である。
【0108】
実施例3に係る照明装置1000Cは、停電等の非常時に点灯させることができる照明装置である。照明装置1000Cは、天井等の造営部9に固定される器具と、器具に対して着脱自在に取り付けられる常用点灯時の灯具と、非常時点灯用の非常用灯具を有している。実施例3では、第1の装置100Cが、天井等の造営部9に固定される器具である。また、第2の装置101Cが、第1の装置100Aに対して着脱自在に取り付けられるカバーである。
【0109】
図24に示すように、第1の装置100Cと第2の装置101Cとは、実施の形態1~6で示した線状体保持機構1のいずれかによって互いに接続されている。
【0110】
第1の装置100Cは、ボルトおよびナット等の取付金具102により、天井等の造営部9に固定される。また、第1の装置100Cには、電源端子台(図示は省略)が設けられている。電源端子台は、造営部9に設置された電源線104を介して外部電源に接続されている。外部電源は、例えば、商用電源である。
【0111】
第1の装置100Cには、非常時点灯用の非常用灯具が取り付けられており、非常用灯具の電源となる蓄電池113を交換する際に、第2の装置101Cであるカバーが着脱できるようになっている。
【0112】
第1の装置100Cと第2の装置101Cとは、線状体保持機構1によって接続されている。カバーから構成された第2の装置101Aは、ネジ115によって、第1の装置100Cに取り付けられている。しかしながら、蓄電池113の交換時、あるいは、ネジ115の取り付け不良などの際に、第2の装置101Cが第1の装置100Cから落下する可能性がある。そこで、第1の装置100Cと第2の装置101Cとを線状体保持機構1によって接続することで、第2の装置101Cの第1の装置100Cからの落下を防止することができる。
【0113】
また、第2の装置101Cであるカバーと第1の装置100Cである器具とが線状体保持機構1によって接続された状態で、蓄電池113を交換することができるので作業性が良い。そして、第2の装置101Cである外観意匠部品としてのカバーは、第1の装置100Cである器具に対して着脱する際にも線状体保持機構1によって接続されているので、落下によって損傷させてしまうおそれもない。
【0114】
実施例3において、蓄電池113を交換する際には、以下の手順を実行する。まず、図24に示すように、ネジ115を緩めて、カバーから構成された第2の装置101Cを、第1の装置100Cから取り外す。次に、図25に示すように、蓄電池113のコネクタ114を、器具側コネクタ116から外す。次に、蓄電池113を支持している押さえバネ117を広げ、下方に(白色矢印の向きに)蓄電池113を取り外す。
【0115】
そして、逆の手順で、新しい蓄電池113を取り付ける。すなわち、まず、押さえバネ117を広げた状態で、蓄電池113を支持する押さえバネ117に対して、下方から(黒色矢印の向きに)蓄電池113を配置し、その後、押さえバネ117を閉じる(図25参照)。次に、蓄電池113のコネクタ114を、器具側コネクタ116に挿入する(図25参照)。そして、ネジ115(図24参照)を締めて、第2の装置101Cを構成するカバーを、第1の装置100Cに取りつける。このように、実施例3では、カバーから構成された第2の装置101Cが、線状体保持機構1によって、第1の装置100Cに接続されている。そのため、蓄電池113の交換時に、カバーから構成された第2の装置101Cを取り外しても、当該カバーが第1の装置100cから脱離したり落下したりすることがないため、作業性が良く且つ安全に蓄電池113の交換作業を行うことができる。
【0116】
線状体保持機構1の採用例は、実施例1~3として例示したものに限定されない。実施例1~3では、実施の形態1~6で示した線状体保持機構1のいずれかを第1の装置に設けた例を示したが、実施の形態1~6で示した線状体保持機構1のいずれかを第2の装置に採用しても構わないし、第1の装置および第2の装置の両方に採用しても構わない。なお、線状体10の本体部11が引っ張られる方向は、鉛直方向(重力方向)に限定されるものではない。
【0117】
以上のように、実施の形態1~6で示した線状体保持機構1は、例えば、実施例1~3で示した照明装置1000に適用可能である。線状体保持機構1は、照明装置1000において使用された場合においても、当然に、実施の形態1~6で説明した効果が得られることは言うまでもない。
【0118】
(その他)
線状体10の保持作業は、照明装置1000を組立てる製造工程で実施してもよいし、照明装置1000が設置される施工現場等で、実施してもよい。つまり、線状体保持機構1は、照明装置1000の製造工程において構成されてもよいし、照明装置1000の設置工程で構成されてもよい。
【0119】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0120】
(付記1)
線状の本体部と前記本体部の一部に設けられた係止部とを有し、互いに分離可能な複数の装置どうしを接続する線状体を保持する線状体保持機構であって、
前記複数の装置の少なくとも一方に設けられ、前記係止部が収容される、保持部
を備え、
前記保持部は、
前記係止部が内部に収容される有底筒状の収容部と、
前記収容部の底部を第1方向に貫通して形成され、前記線状体の前記本体部を挿通させると共に、前記収容部に収容された前記係止部の挿通を阻止する、挿通孔と、
を有し、
前記線状体の前記係止部が前記収容部に収容された状態のとき、前記係止部は前記収容部の筒状の内面部を押圧し、前記挿通孔に挿通された前記線状体の前記本体部は前記係止部によって径方向の移動が制限されて前記第1方向に延び、前記挿通孔の周縁部に接触しない、
線状体保持機構。
(付記2)
前記挿通孔の最小開口径寸法は、前記本体部の最大断面径寸法よりも大きい、
付記1に記載の線状体保持機構。
(付記3)
前記収容部の最小断面径寸法は、前記収容部に収容された状態の前記係止部の最大断面径寸法と同じである、
付記1または2に記載の線状体保持機構。
(付記4)
前記保持部は、
前記収容部を間にして前記挿通孔の前記第1方向の反対側に形成された挿入孔
を有し、
前記挿入孔の最小開口径寸法は、前記本体部の最大断面径寸法よりも大きく、前記収容部に収容された状態の前記係止部の最大断面径寸法以下である、
付記1~3のいずれか1つに記載の線状体保持機構。
(付記5)
前記係止部が前記収容部に収容されている状態で、前記本体部を前記挿通孔から前記収容部に向かって押し戻した場合に、前記係止部は前記収容部の前記内面部によって前記第1方向の移動が規制される、
付記1~4のいずれか1つに記載の線状体保持機構。
(付記6)
前記係止部が前記収容部に収容されている状態で、
前記係止部と前記収容部の前記内面部との間の摩擦力は、前記本体部を前記挿通孔から前記収容部に向かって押し戻すことによって発生する押圧力よりも大きい、
付記5に記載の線状体保持機構。
(付記7)
前記挿入孔の最小開口径寸法は、前記収容部の最小断面径寸法よりも小さい、
付記4に記載の線状体保持機構。
(付記8)
前記収容部の筒状の前記内面部には、凹凸が形成されている、
付記1~7のいずれか1つに記載の線状体保持機構。
(付記9)
前記保持部は、
前記収納部の前記挿入孔側に形成された括れ部
を有し、
前記括れ部の最小開口径寸法は、前記収容部に収容された状態のときの前記係止部の最大断面径寸法より小さい、
付記1~8のいずれか1つに記載の線状体保持機構。
(付記10)
前記収容部の筒状の前記内面部は、前記収容部の前記底部から離れるにつれて内径寸法が漸減するようにテーパ状に傾斜している、
付記1~8のいずれか1つに記載の線状体保持機構。
(付記11)
前記保持部は、
前記挿入孔から前記挿通孔まで前記第1方向に延設され、前記挿入孔と前記挿通孔とに連通するスリット状の割状孔
を有し、
前記挿入孔は、前記保持部が設けられた側の前記装置の第1外面から外部に向かって開口しており、
前記割状孔は、前記保持部が設けられた側の前記装置の第2外面から外部に向かって開口しており、
前記第1外面と前記第2外面とは隣接して配置され、互いに交差する方向に配置されており、前記保持部が設けられた側の前記装置の端縁部を構成している、
付記1~9のいずれか1つに記載の線状体保持機構。
(付記12)
前記保持部は、
前記挿入孔から前記挿通孔まで前記第1方向に延設され、前記挿入孔と前記挿通孔とに連通するスリット状の割状孔
を有し、
前記挿入孔は、前記保持部が設けられた側の前記装置の第1外面から外部に向かって開口しており、
前記割状孔は、
前記保持部が設けられた側の前記装置の第1外面側に、前記係止部が通過自在に形成された通過部
を有している、
付記1~9のいずれか1つに記載の線状体保持機構。
(付記13)
前記保持部が設けられた側の前記装置は、筐体を有し、
前記筐体と、前記保持部と、は、一体で構成されている、
付記1~12のいずれか1つに記載の線状体保持機構。
(付記14)
前記保持部が設けられた側の前記装置は、筐体を有し、
前記筐体と、前記保持部と、は、別体で構成され、
前記筐体には、前記保持部の前記収容部が装着される設置孔が形成され、
前記保持部の前記収容部の外面部に形成された爪部と、前記筐体と、が係り合うことで、前記保持部は前記筐体に固定される、
付記1~12のいずれか1つに記載の線状体保持機構。
(付記15)
互いに分離可能な複数の装置と、
前記複数の装置のうち、少なくとも2つを接続する線状体と、
付記1~14のいずれか1つに記載の線状体保持機構と、
を備えた、照明装置。
(付記16)
線状体を用いて、互いに分離可能な複数の装置どうしを接続する接続方法であって、
第1端と第2端とを有する前記線状体の線状の本体部の一部に、前記本体部の最大断面径寸法より大きい最大断面径寸法を有する係止部を設ける工程と、
前記本体部の前記第1端を前記複数の装置のうちの1つに固定する工程と、
前記複数の装置のうちの他の1つに設けられた有底筒状の保持部の底部に形成され、最小開口径寸法が前記本体部の最大断面径寸法よりも大きい挿通孔に対して、前記本体部の前記第2端を挿通する工程と、
前記挿通孔に挿通された前記本体部の前記第2端を、前記挿通孔から離れる向きに引くことで、前記保持部に前記係止部を収容する工程と、
前記本体部の前記第2端を、前記複数の装置のうちの前記他の1つに固定する工程と、
を備えた、接続方法。
(付記17)
互いに分離可能な複数の装置どうしを接続するための線状体を保持部に保持する保持方法であって、
前記線状体の線状の本体部の一部に、前記本体部の最大断面径寸法より大きい最大断面径寸法を有する係止部を設ける工程と、
前記複数の装置の少なくとも1つに設けられた有底筒状の前記保持部の底部に形成され、最小開口径寸法が前記本体部の最大断面径寸法よりも大きい挿通孔に対して、前記本体部の一端を挿通する工程と、
前記挿通孔に挿通された前記本体の前記一端を、前記挿通孔から離れる向きに引くことで、前記保持部に前記係止部を収容する工程と、
を備えた、保持方法。
【符号の説明】
【0121】
1 線状体保持機構、9 造営部、10 線状体、11 本体部、11a 本体部、12 係止部、12a 係止部、12b 係止部、20 保持部、21 収容部、21a 鍔部、22 内面部、23 外面部、24 爪部、25 挿入孔、26 挿通孔、27 括れ部、28 割状孔、29 通過部、30 取付金具、33 被取付金具、33a 貫通孔、53 筐体、53-1 端縁部、53a 第1面、53b 第2面、55 設置孔、100 第1の装置、100A 第1の装置、100B 第1の装置、100C 第1の装置、101 第2の装置、101A 第2の装置、101B 第2の装置、101C 第2の装置、102 取付金具、103 電源端子台、104 電源線、105 器具側コネクタ、106 取付バネ、107 バネ受け金具、108 灯具側コネクタ、109 電源ユニット、110 取付部、111 被取付部、113 蓄電池、114 コネクタ、115 ネジ、116 器具側コネクタ、117 押さえバネ、1000 照明装置、1000A 照明装置、1000B 照明装置、1000C 照明装置。
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