(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068328
(43)【公開日】2024-05-20
(54)【発明の名称】無停電電源システム
(51)【国際特許分類】
H02J 9/06 20060101AFI20240513BHJP
【FI】
H02J9/06 120
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178686
(22)【出願日】2022-11-08
(71)【出願人】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(72)【発明者】
【氏名】宮下 充
(72)【発明者】
【氏名】中西 良太
(72)【発明者】
【氏名】末廣 豊
【テーマコード(参考)】
5G015
【Fターム(参考)】
5G015FA05
5G015FA10
5G015GA06
5G015GA10
5G015HA02
5G015HA04
5G015HA13
5G015JA11
5G015JA52
5G015KA08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】汎用性の高い無停電電源システムを提供する。
【解決手段】無停電電源システム100は、交流電源から入力される交流電圧(交流電流AC)を負荷Lに供給する共通バイパス線30と、前記交流電圧が入力される入力端子11、前記交流電圧から変換された直流電圧が供給される直流電力線DC、前記直流電圧を交流電圧に変換するインバータ13および前記交流電圧を出力する出力端子16をそれぞれが有して共通バイパス線30に並列に接続される複数のユニット10a、10bと、それぞれのユニットの直流電力線DCに接続される蓄電装置101と、前記交流電源の停電時に、共通バイパス線30から負荷Lへの給電を、蓄電装置101からインバータ13を介した負荷Lへの給電へと切り替える切替器20と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源から入力される交流電圧を負荷に供給する共通バイパス線と、
入力端子、前記交流電圧から変換された直流電圧が供給される直流電力線、前記直流電圧を交流電圧に変換するインバータ、および、前記交流電圧を出力する出力端子、をそれぞれが有して前記共通バイパス線に並列に接続される複数のユニットと、
それぞれの前記ユニットの前記直流電力線に接続される蓄電装置と、
前記交流電源の停電時に、前記共通バイパス線から前記負荷への給電を、前記蓄電装置から前記インバータを介した前記負荷への給電へと切り替える切替器と、を備える無停電電源システム。
【請求項2】
それぞれの前記ユニットに信号を送信するマスター制御基板と、
前記切替器とそれぞれの前記ユニットの前記インバータとの間の交流電力線に設けられ、前記マスター制御基板からの信号に応じてオンする複数の出力側スイッチと、を更に備える、請求項1に記載の無停電電源システム。
【請求項3】
前記共通バイパス線とそれぞれの前記ユニットの前記入力端子との間の交流電力線に設けられ、停電時に前記マスター制御基板からの信号に応じてオフする複数の入力側スイッチを更に備える、請求項2に記載の無停電電源システム。
【請求項4】
前記ユニットは、前記インバータを介さずに前記入力端子と前記出力端子とを接続する個別バイパス線を有する、請求項1または請求項2に記載の無停電電源システム。
【請求項5】
前記切替器とそれぞれの前記ユニットの前記出力端子との間の交流電力線に一端が接続されて他端に接続された前記マスター制御基板に直流電圧を出力する複数の整流回路を更に備える、請求項2に記載の無停電電源システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、無停電電源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、複数の無停電電源装置を直列接続することで高電圧を出力できる無停電電源装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
瞬断(瞬時停電)が許容される負荷に対し、常時商用方式の無停電電源装置が従来用いられている。
【0005】
近年、自然災害の増加などを理由に、CCTV(Closed-Circuit Television)カメラや監視カメラといった、屋外設置される機器に対する長時間の電力バックアップが求められる傾向にある。そのようなニーズに対し、常時商用方式の無停電電源システムを適用または提案することが考えられる。
【0006】
無停電電源システムは、様々な出力容量、様々なバックアップ時間に柔軟に対応できることが望ましい。
【0007】
本発明の一態様は、汎用性の高い無停電電源システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る無停電電源システムは、交流電源から入力される交流電圧を負荷に供給する共通バイパス線と、入力端子、前記交流電圧から変換された直流電圧が供給される直流電力線、前記直流電圧を交流電圧に変換するインバータ、および、前記交流電圧を出力する出力端子、をそれぞれが有して前記共通バイパス線に並列に接続される複数のユニットと、それぞれの前記ユニットの前記直流電力線に接続される蓄電装置と、前記交流電源の停電時に、前記共通バイパス線から前記負荷への給電を、前記蓄電装置から前記インバータを介した前記負荷への給電へと切り替える切替器と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
上記態様によれば、様々な出力容量に対応可能な、汎用性の高い無停電電源システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】無停電電源システムの概要を示すブロック図である。
【
図3】一部のユニットが故障した場合を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
先ず、本発明の実施形態に係る無停電電源システムの、概要を説明する。
【0012】
(1)無停電電源システムは、交流電源から入力される交流電圧を負荷に供給する共通バイパス線と、入力端子、前記交流電圧から変換された直流電圧が供給される直流電力線、前記直流電圧を交流電圧に変換するインバータ、および、前記交流電圧を出力する出力端子、をそれぞれが有して前記共通バイパス線に並列に接続される複数のユニットと、それぞれの前記ユニットの前記直流電力線に接続される蓄電装置と、前記交流電源の停電時に、前記共通バイパス線から前記負荷への給電を、前記蓄電装置から前記インバータを介した前記負荷への給電へと切り替える切替器と、を備える。
【0013】
同じ構成の、または実質的に同じ構成の複数のユニットを接続する設計(いわゆる、モジュラーデザイン)により、汎用性の高い無停電電源システムを提供できる。並列接続するユニットの数を変えることで、様々な出力容量に柔軟に対応できる。同じ構成の複数のユニットの採用により、部品調達性の向上、生産コスト低減といった量産効果が得られる。
【0014】
(2)上記(1)の無停電電源システムは、それぞれの前記ユニットに信号を送信するマスター制御基板と、前記切替器とそれぞれの前記ユニットの前記インバータとの間の交流電力線に設けられ、前記マスター制御基板からの信号に応じてオンする(クローズする)複数の出力側スイッチと、を更に備えてもよい。
出力側スイッチは、切替器とそれぞれのユニットの出力端子との間の交流電力線(それぞれのユニットの外部に延びる交流電力線)に設けられてもよい。
【0015】
上記構成により、マスター制御基板からの信号に応じて複数の出力側スイッチを一斉にオンし、複数のユニットから負荷への給電を行うことができる。無停電電源システムを非常用電源として用いて、事業継続計画(BCP)に対応することも可能となる。
【0016】
(3)上記(2)の無停電電源システムは、前記共通バイパス線とそれぞれの前記ユニットの前記入力端子との間の交流電力線に設けられ、停電時に前記マスター制御基板からの信号に応じてオフする(オープンする)複数の入力側スイッチを更に備えてもよい。
【0017】
上記構成により、停電時にいずれかのユニットが故障した場合に、入力側スイッチおよび出力側スイッチをオフして、故障したユニットを共通バイパス線および負荷から切り離し、故障していないユニットによって負荷への給電を継続できる。このような故障対策により、屋外設置や災害にも耐えうる強靭性を有する無停電電源システムを提供できる。また、入力側スイッチをオフすることで、停電時の電力バックアップ中に無停電電源システムの入力端(例えば、端子台またはインレット)に電圧が発生したり、ユニットが破損したり、複数のユニット間に循環電流(横流)が流れたりすることを防止できる。
【0018】
(4)上記(1)から(3)のいずれかの無停電電源システムにおいて、前記ユニットは、前記インバータを介さずに前記入力端子と前記出力端子とを接続する個別バイパス線を有してもよい。
個別バイパス線は、各ユニットの内部に設けられてもよい。
【0019】
単独でも常時商用方式の無停電電源装置(UPS)として動作する上記構成のユニットを、複数のユニットが並列接続される無停電電源システムに適用することで、出力容量に対するより幅広いニーズに応えつつ、量産効果を向上できる。
【0020】
(5)上記(1)から(4)のいずれかの無停電電源システムにおいて、前記切替器とそれぞれの前記ユニットの前記出力端子との間の交流電力線に一端が接続されて他端に接続された前記マスター制御基板に直流電圧を出力する複数の整流回路を更に備えてもよい。
【0021】
上記構成によれば、停電時に一部のユニットが故障しても、故障していないユニットからマスター制御基板に電源を供給できる。このような故障対策により、屋外設置や災害にも耐えうる強靭性を有する無停電電源システムを提供できる。
【0022】
以下、図面を参照しながら実施形態を詳細に説明する。
図1は、無停電電源システム(以下、UPSシステムとも称する)100の前面を示す斜視図である。
【0023】
UPSシステム100は、複数のユニット10a、10bと、停電時にバックアップ電力を供給する蓄電池箱(蓄電装置の一例)101と、を備える。
図1に示すUPSシステム100は一例であり、この形態に限定はされない。本実施形態では、蓄電池箱101を用いているが、蓄電装置はそれに限定はされず、フライホイールまたはキャパシタを用いて構成されてもよい。
【0024】
蓄電池箱101は、筐体内に、複数の電池セルを直列および/または並列に接続した組電池を収納している。本実施形態では、複数のリチウムイオン電池セルを接続した組電池と、それら複数の電池セルを管理する電池管理システム(BMS)とを有する電池パックが、筐体内に収納されている。蓄電池の種類は、リチウムイオン電池に限定はされず、鉛蓄電池等の他の二次電池であってもよい。
【0025】
リチウムイオン電池は、エネルギー密度が高いため、電池による占有スペースを小さくでき、屋外設置される、または可搬型の、UPSシステムに適している。
リチウムイオン電池は、蓄電池箱101に収納されることに代えて、各ユニット10a、10bに内蔵されてもよい。
【0026】
図1の例では、複数のユニット10a、10b、および、蓄電池箱101は、それぞれ金属製の筐体を備えて、屋外設置が可能な防水性・対候性を有する。複数のユニット10a、10b(後述の
図3における10a)は、それぞれが単独でも常時商用方式のUPSとして動作してもよい。複数のユニット10a、10bを並列に接続することで、UPSシステム100の出力容量を増加している。複数の蓄電池箱101を並列に接続することで、UPSシステム100の蓄電容量(バックアップ可能時間)を増加している。
【0027】
図1の例では、2台のユニット10a、10b、および、2台の蓄電池箱101は、上下方向に間隔をあけて配置されてそれぞれ水平方向に延びる第一金具102および第二金具103に、それらの筐体の背面が取り付けられている。
【0028】
ユニット10a、10bの台数、蓄電池箱101の台数は、2台に限定はされない。求められる出力容量に応じて、ユニット10a、10bの台数を増減し、求められるバックアップ時間に応じて、蓄電池箱101の台数を増減する。例えば、第一金具102および第二金具103の長さを延ばして、より多くの複数のユニットまたは複数の蓄電池箱101をそれら金具に取り付けることができる。こうすることで、コンパクトで組立性が良好、かつ統一感(バランス感)のある外観をもつUPSシステム100を提供できる。
【0029】
ユニット10a、10bおよび蓄電池箱101は、金属製の筐体に代えて合成樹脂等の絶縁材料からなる筐体を備えてもよい。ユニット10a、10bは、筐体を備えずに、回路基板が露呈する構成であってもよい。
図1の例のように、ユニット10a、10bおよび蓄電池箱101それぞれが金属製の筐体を備えることにより、工場での取扱いや保管(在庫)が容易である、設置現場への運送が容易である、屋外設置がしやすい、破損しにくい、組立作業が容易である、といった利点が得られる。
【0030】
ユニット10a、10b、および、蓄電池箱(蓄電装置)は、屋外で水平方向に延びる金具に取り付けることに代えて、図示しないUPS盤、および、電池盤にそれぞれ収納されてもよいし、屋内に設置されてもよい。蓄電装置を電池盤に収納する場合、蓄電池箱101の金属製筐体は用いずに、電池パックを電池盤に収納してもよい。
【0031】
図1の例では、複数のユニット10a、10bは、筐体の底壁に複数の防水コネクタが設けられている。後述する、入力端子11、出力端子16、バッテリ接続端子Battは、筐体底壁のこれら防水コネクタにより構成されてもよい。
図示しないが、蓄電池箱101も、筐体の底壁に複数の防水コネクタを有する。
【0032】
図2に示すように、UPSシステム100は、共通バイパス線30を有する。共通バイパス線30は、交流電源(図示せず)からUPSシステム100の入力端である、端子台またはインレット(図示せず)を介して入力される交流電圧(交流電流AC)を、開閉器38、切替器20のバイパススイッチ20a、およびUPSシステム100の出力端である端子台またはアウトレット(図示せず)を介して負荷Lに供給する。
【0033】
共通バイパス線30は、停電時にオフしてUPSシステム100の端子台またはインレットに電圧が発生することを防止する、開閉器38をその上流側に有する。開閉器38は、
図3に示すような機械式スイッチ(例えば、リレー)であってもよい。
【0034】
共通バイパス線30の上流側(開閉器38の上流側)に、整流回路23の一端が接続されている。整流回路23の他端はマスター制御基板21に接続されている。整流回路23は、非停電時に、一端から入力される交流電圧を半波整流して、マスター制御基板21に整流された直流電圧(制御電源)を供給する。
【0035】
共通バイパス線30から(切替器38の下流側から)、分岐線31が分岐し、分岐線31に、複数のユニット10a、10bが並列に接続されている。各ユニットは、入力端子11、交流電圧から変換された直流電圧が供給される直流電力線DC、直流電圧を交流電圧に変換するインバータ13、および、交流電圧を出力する出力端子16、を有する。
【0036】
本実施形態では、各ユニットに、入力端子11から入力された交流電圧を直流電圧に変換する充電器(整流器)CHG、充電器CHGの下流側に直流電力線DCを介して接続された絶縁型DC-DCコンバータ12、ユニットの各部を制御する制御基板14、制御基板14に制御電源を供給する電源15が設けられている。
充電器CHGは、各ユニットに設けることに代えて、蓄電池箱101や電池盤やUPS盤に備えられてもよい。
【0037】
各ユニットに、蓄電池箱101を接続するためのバッテリ接続端子Battが設けられている。バッテリ接続端子Battは、各ユニット内で図示しない配線を介して直流電力線DCに接続されている。
【0038】
各ユニットの、入力端子11の下流側、および、出力端子16の上流側にそれぞれ、ノイズフィルタNFが設けられている。
【0039】
ユニット10aは、インバータ13を介さずに入力端子11と出力端子16とを接続する個別バイパス線32を内蔵している(筐体内に有している)。ユニット10aは、個別バイパス線32からの給電を、蓄電池箱101からインバータ13を介した給電へと切り替える第一切替器17aを有している。そのためユニット10aは、単独でも常時商用方式のUPSとして動作可能である。
【0040】
図2の例では、ユニット10bは、個別バイパス線を有していない。ユニット10bは、出力端子16とインバータ13との間の交流電力線に、開閉器17bが設けられている。個別バイパス線を有しないユニット10bは、開閉器17bを備えずに、出力端子16とインバータ13とが常に接続されていてもよい。
【0041】
代替的に、
図3に示すように、複数のユニット10a、10aの全てが個別バイパス線32を有してもよい。
図3の例のように同じ構成のユニット10a、10aを採用してUPSシステム100を構築することで、部品調達性の向上、生産コスト低減といった量産効果を更に高めることができる。
更に代替的に、
図2に示す、個別バイパス線を有しないユニット10bを複数並列に接続してUPSシステム100を構築してもよい。この場合、複数のユニット10b、10bの全てが個別バイパス線を有しない。
【0042】
図2における各ユニット10a、10bの出力端子16と、共通バイパス線30との間の交流電力線に、切替器20のインバータスイッチ20bが設けられている。インバータスイッチ20bと、それぞれのユニット10a、10bの出力端子16との間の交流電力線に、複数の出力側スイッチ22a、22bが設けられている。出力側スイッチ22a、22bは、機械式スイッチ(例えば、リレー)であってもよい。
【0043】
UPSシステム100は、非停電時(平常時)は、商用電源などの交流電源からの交流電圧(交流電流AC)を、共通バイパス線30、オンしている開閉器38、および、オンしているバイパススイッチ20aを介して負荷Lに供給する。
【0044】
UPSシステム100の起動シーケンスの最中に、各ユニット10a、10bの制御基板14は、第一切替器17aまたは開閉器17bを切り替えて、インバータ13と出力端子16とを接続する(ユニット10bが開閉器17bを備えない場合、このステップは不要である)。停電が検出される前に、インバータ13と出力端子16とを接続しておくことで、後述するバイパス給電からインバータ給電への切替時間を短縮できる。また、UPSシステム100の起動シーケンスの最中に、マスター制御基板21は、複数の出力側スイッチ22a、22bをオンさせる。マスター制御基板21は、停電を検出すると、インバータ起動信号と位相情報とを各ユニット10a、10bの制御基板14に送信する。各ユニット10a、10bの制御基板14は、インバータ13を起動する。
【0045】
マスター制御基板21は、開閉器38とバイパススイッチ20aをオフし、インバータスイッチ20bをオンする。この切替えを高速で行うため、バイパススイッチ20aおよびインバータスイッチ20bはそれぞれ、機械式スイッチと並列に半導体スイッチを備えてもよい。バイパススイッチ20aおよびインバータスイッチ20bは、ユニット10a、10bの外部に設けられる。こうして、共通バイパス線30から負荷Lへの給電(バイパス給電)が、蓄電池箱101からインバータ13を介した負荷Lへの給電(インバータ給電)へと切り替えられる。
【0046】
整流回路23a、23bは、インバータスイッチ20bとそれぞれのユニット10a、10bの出力端子16との間の交流電力線に一端が接続され、他端がマスター制御基板21に接続されている。整流回路23a、23bは、停電時(非常時)に、一端から入力される交流電圧を半波整流して、マスター制御基板21に直流電圧(制御電源)を供給する。
【0047】
共通バイパス線30と、それぞれのユニット10a、10bの入力端子11との間の交流電力線に、複数の入力側スイッチ24a、24bが設けられている。入力側スイッチ24a、24bは、機械式スイッチ(例えば、リレー)であってもよい。
【0048】
マスター制御基板21は、停電を検出すると、オフ信号を複数の入力側スイッチ24a、24bに一斉に送る。
【0049】
次に、
図3に基づき、停電時の電力バックアップ中に一部のユニット(
図3における下側のユニット10a)が故障した場合について説明する。ユニット10aの故障を検出すると、そのユニット10aの制御基板14は第一切替器17aを切り替えて、出力端子16と個別バイパス線32とを接続する。仮に、そのユニット10aの上流側に入力側スイッチ24bが設けられていないと、
図3に一点鎖線で示す経路で、UPSシステム100の端子台またはインレットに電圧が発生する。また、電流が逆流したユニット10aにおいて、回路部品の破損が生じる(インバータ13が過電流で破損する)可能性がある。
【0050】
図3のように、ユニット10aの上流側に入力側スイッチ24bが設けられ、停電時にはその入力側スイッチ24bがオフしているため、端子台またはインレットに電圧が発生したり、回路部品が破損したりすることを防止できる。
【0051】
制御基板14から、故障信号を受信したマスター制御基板は、故障したユニット10aの下流側の出力側スイッチ22bをオフするための信号を送信する。このように、一部のユニット10aが故障した場合、入力側スイッチ24bおよび出力側スイッチ22bをオフして、故障したユニットを共通バイパス線30および負荷Lから切り離し、故障していないユニットによって負荷への給電を継続する。
【0052】
次に、
図4に基づき、停電時の電力バックアップ中のユニット間の循環電流について説明する。仮にユニット10a、10bの上流側に入力側スイッチ24a、24bが設けられていないと、
図4に一点鎖線で示す経路(負荷Lを通る経路)で、ユニット10a、10b間に循環電流が生じる場合がある。このような循環電流が生じると、ユニット10a、10b間にノイズが循環し、装置としての安定動作に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0053】
図4のように、ユニット10a、10bの上流側に入力側スイッチ24a、24bが設けられ、停電時にはそれら入力側スイッチ24a、24bがオフしているため、循環電流が生じたり、回路部品が破損したりすることを防止できる。
【0054】
図4の例では、制御電源15と入力端子11とを接続する交流電力線に第二切替器18が設けられている。この第二切替器18を切り替える(オープンする)ことで、循環電流を防止することもできる。
【0055】
上述した実施形態によれば、様々な出力容量に対応可能な、汎用性の高いUPSシステム100を提供できる。3キロワット[kW]から5kWの容量帯であったり、それ以外の容量帯であったり、UPSシステム100の適用範囲は広い。特に、適当な代替手段が存在しない容量帯(例えば、3kW未満の容量帯、5kW超の容量帯)へのニーズに対応できる。リチウムイオン電池の採用により、屋外での長時間バックアップへのニーズに対応できる。
【0056】
本発明は、上述した実施形態に限定されない。
図3に示すユニット10a、10aのそれぞれが、停電時に、図示しない外部入力端子(例えば、物理的スイッチ)からの入力により制御電源15を起動でき、蓄電装置101からの電圧で制御電源を作って、制御基板14に供給できてもよい。各ユニット10aの制御基板は、インバータ13を起動する。全てのユニット10a、10aのインバータ13、13が起動した状態で、マスター制御基板21が、出力側スイッチ22a、22bをオンするための信号を一斉に送る。このような構成のUPSシステム100を、非常用電源として用いて、BCPに対応することが可能となる。
【0057】
図3に、複数のユニット10a、10aそれぞれが、単独で常時商用方式のUPSとして動作可能な例を示したが、その例に限定はされない。それぞれのユニットは、入力端子11、直流電力線DC、インバータ13、出力端子16を備えていればよい。
【0058】
複数の蓄電装置101が、複数のユニット10a、10a(または10b)それぞれに設けられてもよいし、蓄電装置101がいずれかのユニットに設けられてもよい。
【符号の説明】
【0059】
10a、10b ユニット
11 入力端子
13 インバータ
16 出力端子
20 切替器
30 共通バイパス線
DC 直流電力線
L 負荷
100 UPSシステム(無停電電源システム)
101 蓄電池箱(蓄電装置)