IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ハシタスの特許一覧

特開2024-68360戦術シミュレーショントレーニングシステム
<>
  • 特開-戦術シミュレーショントレーニングシステム 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068360
(43)【公開日】2024-05-20
(54)【発明の名称】戦術シミュレーショントレーニングシステム
(51)【国際特許分類】
   A63B 69/00 20060101AFI20240513BHJP
   A63B 71/06 20060101ALI20240513BHJP
【FI】
A63B69/00 A
A63B71/06 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178746
(22)【出願日】2022-11-08
(71)【出願人】
【識別番号】522094439
【氏名又は名称】株式会社ハシタス
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】弁理士法人エスエス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大橋 弘伸
(57)【要約】      (修正有)
【課題】複数のプレイヤーを集める必要がなく、時間的制約や場所的制約を受けることもなく、また、怪我をするリスクを考えることなく、プレイヤーが、実際のフィールドにおける動きを繰り返し練習して習得することができる。
【解決手段】サーバーコンピュータ40が、指導者が指導者用端末30を用いて指導プランを登録し、仮想空間内に所定のスポーツを行うためのフィールドと、各ポジションのアバターを配置するとともに、各アバターを移動させるようにコンピュータアニメーションを生成し、コンピュータアニメーションを、指導プランと関連付けて記憶するとともに、プレイヤー端末20を用いて、サーバーコンピュータに登録されている指導プランを選択することによって、コンピュータアニメーションを、プレイヤー端末に表示するとともに、プレイヤーが、コンピュータアニメーションにおける所望のアバターを操作可能にする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバーコンピュータと、プレイヤーが利用するプレイヤー端末と、指導者が利用する指導者用端末と、がネットワークを介して通信可能に接続される戦術シミュレーショントレーニングシステムであって、
前記サーバーコンピュータが、
前記指導者が前記指導者用端末を用いて指導プランを登録し、
登録された前記指導プランに基づき、仮想空間内に所定のスポーツを行うためのフィールドと、各ポジションのアバターを配置するとともに、各アバターを移動させるようにコンピュータアニメーションを生成し、
生成された前記コンピュータアニメーションを、前記指導プランと関連付けて記憶するように構成されるとともに、
前記プレイヤーが前記プレイヤー端末を用いて、前記サーバーコンピュータに登録されている前記指導プランを選択することによって、前記指導プランに関連付けて記憶されている前記コンピュータアニメーションを、前記プレイヤー端末に表示するとともに、
前記プレイヤー端末の入力装置を用いて、前記プレイヤーが、前記コンピュータアニメーションにおける所望のアバターを操作可能に構成されていることを特徴とする戦術シミュレーショントレーニングシステム。
【請求項2】
前記サーバーコンピュータが、前記仮想空間内における前記プレイヤーが操作する前記アバターの動きと、前記指導プランに沿った前記アバターの動きとを比較し、前記プレイヤーが前記指導プランに沿ったプレーを行えているか否かを判定するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の戦術シミュレーショントレーニングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現実空間において複数人で行う必要があるスポーツの戦術シミュレーショントレーニングを、仮想空間において1人でも同じように実施することができる戦術シミュレーショントレーニングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、チームスポーツにおけるプレー(戦術)をプレイヤーに理解させるためには、試合映像を視聴させたり、ホワイトボードなどにプレイヤーの動きを書いて説明したりすることによって行われている。
【0003】
また、例えば、サッカーなどの球技では、プレイヤーの動きをわかりやすく説明するために、プレイヤーの代わりとなる駒を動かして、プレーの説明を行うことができる作戦ボード(例えば、特許文献1,2など)なども使われている。
【0004】
各プレイヤーはチームの監督やコーチから、上述するような方法でプレーの説明を受けた上で、実際のフィールドにおいて、チームのプレイヤーと一緒に、決められた動きを繰り返し練習することによって、チームプレーを習得している。
【0005】
一方で、仮想空間においてプレイヤーがアバターを操作してスポーツを行うことは、従来、コンピュータゲームなどで広く実施されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3178732号公報
【特許文献2】実用新案登録第3204399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述するようなプレーの説明では、ある程度の熟練者であれば自身のプレーを把握することもできるが、初心者などでは理解が困難なことも多い。
特に、ホワイトボードや作戦ボードなどを用いた説明の場合、俯瞰的な説明となってしまうため、プレイヤーが実際のフィールドに出た場合に、視野が異なるために、説明されたとおりの動きをすることが難しく、また、説明されたとおりの動きをすることができたかどうかを把握することも困難であった。
【0008】
また、ホワイトボードや作戦ボードなどを用いて、チームの監督やコーチが説明する場合、プレイヤーの習熟度によって、理解の早さも異なり、同じ説明を繰り返し行わなければならない場合もある。
【0009】
パーソナルコンピュータやスマートフォンにおいて作戦ボードの機能を提供するソフトウェアも多数提供されており、このようなソフトウェアでは、プレイヤーの動きがアニメーション化されており、繰り返し確認することで、プレーの理解を深めることもできるが、やはり、俯瞰的な説明であるがため、プレイヤー自身の理解と、実際のフィールドにおける動きとの間に齟齬が生じることがある。
【0010】
また、実際のフィールドにおいて繰り返し練習することによって、怪我をするリスクも生じる。
さらには、実際のフィールドにおける動きを確認するためには、複数のプレイヤーが実際のフィールドに集合して行う必要があるため、時間的制約や場所的制約が生じてしまう。
【0011】
また、コンピュータゲームによるスポーツは、あくまでも、ゲームとして楽しむために行われるものであり、コンピュータゲームとしての操作説明のための練習や、試合などは行えるものの、現実空間におけるプレーをプレイヤーに習得させるようなことは全く考慮されていない。
【0012】
本発明では、このような現状に鑑み、複数のプレイヤーを集める必要がなく、時間的制約や場所的制約を受けることもなく、また、怪我をするリスクを考えることなく、プレイヤーが、実際のフィールドにおける動きを繰り返し練習して習得することができる戦術シミュレーショントレーニングシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上述するような従来技術における課題を解決するために発明されたものであって、本発明の戦術シミュレーショントレーニングシステムは、以下のように構成されたものを含む。
【0014】
[1] サーバーコンピュータと、プレイヤーが利用するプレイヤー端末と、指導者が利用する指導者用端末と、がネットワークを介して通信可能に接続される戦術シミュレーショントレーニングシステムであって、
前記サーバーコンピュータが、
前記指導者が前記指導者用端末を用いて指導プランを登録し、
登録された前記指導プランに基づき、仮想空間内に所定のスポーツを行うためのフィールドと、各ポジションのアバターを配置するとともに、各アバターを移動させるようにコンピュータアニメーションを生成し、
生成された前記コンピュータアニメーションを、前記指導プランと関連付けて記憶するように構成されるとともに、
前記プレイヤーが前記プレイヤー端末を用いて、前記サーバーコンピュータに登録されている前記指導プランを選択することによって、前記指導プランに関連付けて記憶されている前記コンピュータアニメーションを、前記プレイヤー端末に表示するとともに、
前記プレイヤー端末の入力装置を用いて、前記プレイヤーが、前記コンピュータアニメーションにおける所望のアバターを操作可能に構成されていることを特徴とする戦術シミュレーショントレーニングシステム。
【0015】
[2] 前記サーバーコンピュータが、前記仮想空間内における前記プレイヤーが操作する前記アバターの動きと、前記指導プランに沿った前記アバターの動きとを比較し、前記プレイヤーが前記指導プランに沿ったプレーを行えているか否かを判定するように構成されていることを特徴とする[1]に記載の戦術シミュレーショントレーニングシステム。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、仮想空間においてプレイヤーが操作するプレイヤーアバター以外のノンプレイヤーアバターが、事前に設定された動きを再現する中で、プレイヤーアバターを操作することができるため、実際のフィールドにおける景色と近い状態でプレーを理解することができ、実際のフィールドに出た場合にも、説明されたとおりの動きをすることも容易となる。さらには、仮想空間における練習であるため、怪我をするリスクもない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の戦術シミュレーショントレーニングシステムの一実施形態を説明するためのシステム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態(実施例)を図面に基づいて、より詳細に説明する。
図1は、本発明の戦術シミュレーショントレーニングシステムの一実施形態を説明するためのシステム構成図である。
【0019】
図1に示すように、本実施形態の戦術シミュレーショントレーニングシステム10は、プレイヤーが操作するプレイヤー端末20と、チームの監督やコーチなどの指導者が操作する指導用端末30と、サーバーコンピュータ40とが、ネットワーク50を介して接続された構成を有する。
【0020】
プレイヤー端末20及び指導用端末30としては、特に限定されるものではなく、例えば、パーソナルコンピュータやタブレットコンピュータ、スマートフォンなどを用いることができる。
【0021】
プレイヤー端末20及び指導用端末30は、それぞれ、演算装置、記憶装置、表示装置、入力装置などを備えている。なお、表示装置としては、一般的なディスプレイであってもよいし、所謂VRゴーグルを用いることもできる。また、入力装置は、マウスやキーボードなどのハードウェアであってもよいし、例えば、プレイヤー端末20及び指導用端末30が、タブレットコンピュータやスマートフォンなどの場合、表示装置に表示されるソフトウェアキーボードなどのソフトウェアであってもよい。
【0022】
サーバーコンピュータ40は、後述する機能を、ネットワーク50を介して提供可能なコンピュータであれば、特に限定されるものではなく、例えば、単体のコンピュータ機器であってもよいし、また、クラウドコンピューティングを用いることも可能である。
【0023】
ネットワーク50としては、インターネットを用いることが好ましいが、これに限定されず、ローカルエリアネットワークやパーソナルエリアネットワークなどを用いることもできる。
【0024】
本実施形態の戦術シミュレーショントレーニングシステム10は、プレイヤー端末20、指導用端末30及びサーバーコンピュータ30を、以下のように動作させるプログラムによって実現される。なお、プレイヤー端末20、指導用端末30及びサーバーコンピュータ40には、それぞれ、以下のように動作するプログラムのうち、必要十分な機能が動作しうるプログラムのみを記憶し、実行するように構成することができる。なお、このようなプログラムは、パーソナルコンピュータやタブレットコンピュータ、スマートフォンなどで実行可能なアプリケーションとして提供することもできるし、また、Webブラウザ上で実行可能なように提供することもできる。
【0025】
チームの監督やコーチは、指導用端末30を用いて、サーバーコンピュータ40に指導プランを登録する。ここで、指導プランとは、プレー内容をまとめたものを言い、具体的には、仮想空間内における各プレイヤーのアバターの配置が段階毎に登録されている。チームの監督やコーチなどの指導者は、このような指導プランをサーバーコンピュータ40に1つ以上登録しておく。
【0026】
サーバーコンピュータ40は、仮想空間内に所定のスポーツを行うためのフィールドと、各ポジションのアバターを配置し、登録された指導プランに沿って、各アバターを移動させるようにコンピュータアニメーションを生成する。生成されたコンピュータアニメーションは、指導プランに関連付けてサーバーコンピュータ40に記憶される。なお、このように生成されたコンピュータアニメーションは、仮想空間内の任意の位置に配置した仮想カメラによって映像として切り出すことができる。
【0027】
一方で、プレイヤーは、プレイヤー端末20を用いて、サーバーコンピュータ40に登録されている指導プランを選択・再生する。これにより、プレイヤー端末20の表示装置22には、指導プランに関連付けて記憶されているコンピュータアニメーションに基づく映像が表示される。
【0028】
プレイヤー端末20の表示装置22に表示される映像としては、仮想空間内に配置された複数のアバターのうち、所望のアバターを中心とした映像とすることが好ましい。このような映像とすることで、プレイヤー自身が受け持つポジションのアバターを中心とした映像を確認することができるため、実際のフィールドに出た場合にも、違和感なくプレーを行うことができる。
【0029】
なお、表示装置22として所謂VRゴーグルを用いる場合には、表示させる映像を所望のアバターの目に相当する位置に配置した仮想カメラによって切り出された映像、すなわち、所望のアバターから見える景色とすることによって、プレイヤーにより没入感を与えることができる。
【0030】
また、プレイヤーは、プレイヤー端末20の入力装置24を用いて、コンピュータアニメーションにおける所望のアバターを操作することができる。プレイヤーは、指導プランに沿った操作をすることによって、仮想空間内においてプレーを繰り返し練習することができる。なお、上述するように、プレイヤーが操作するアバター(以下、「プレイヤーアバター」とも呼ぶ。)以外のアバター(以下、「ノンプレイヤーアバター」とも呼ぶ。)は、登録された指導プランに基づき、自動的に、段階毎に定められた位置に移動するため、プレイヤーはプレイヤーアバターを操作しながら、ノンプレイヤーアバターの動きを確認することができるため、プレイヤー自身の動きを把握しやすくなる。
【0031】
また、サーバーコンピュータ40は、仮想空間内におけるプレイヤーアバターの動き(プレイヤーによる操作)と、登録されている指導プランにおけるプレイヤーアバターの動きとを比較することにより、プレイヤーが指導プランに沿ったプレーを行えているか否かを判定する。これによって、プレイヤーは、指導プランに沿った正しい動きが出来ているか否かを把握することができる。
【0032】
なお、プレイヤーが指導プランに沿ったプレーを行えているか否かの判定は、例えば、プレイヤーによる操作により仮想空間内を移動するプレイヤーアバターの位置を所定時間毎にサンプリングし、サンプリングしたプレイヤーアバターの位置を指導プランにおけるプレイヤーアバターの位置と比較して、差が小さければ指導プランに沿った正しい動きが出来ていると判定し、差が大きければ正しい動きが出来ていないと判定するように行うことができる。
【0033】
なお、サーバーコンピュータ40には、試合映像や練習映像などの動画データを登録しておくこともできる。プレイヤーは、プレイヤー端末20を用いて、登録されている動画データを選択・再生することにより、いつでも、試合映像や練習映像を確認することができ、プレーの習熟に繋げることができる。
【0034】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、例えば、上記実施形態では、一人のプレイヤーがプレイヤーアバターを操作しているが、これに限らず、複数のプレイヤーが各アバターを操作することで、仮想空間内において複数のプレイヤーによる練習ができるように構成することもできるなど、本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0035】
10 戦術シミュレーショントレーニングシステム10
20 プレイヤー端末
22 表示装置
24 入力装置
30 指導者用端末
40 サーバーコンピュータ
50 ネットワーク
図1