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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068365
(43)【公開日】2024-05-20
(54)【発明の名称】積層セラミック電子部品
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20240513BHJP
   H01G 4/224 20060101ALI20240513BHJP
【FI】
H01G4/30 201G
H01G4/30 201L
H01G4/30 201F
H01G4/224 100
H01G4/224
H01G4/30 515
H01G4/30 516
H01G4/30 513
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178752
(22)【出願日】2022-11-08
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100079577
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 全啓
(74)【代理人】
【識別番号】100167966
【弁理士】
【氏名又は名称】扇谷 一
(72)【発明者】
【氏名】三上 悠
(72)【発明者】
【氏名】和泉 達也
(72)【発明者】
【氏名】福地 功
(72)【発明者】
【氏名】田藤 正彦
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC09
5E001AE01
5E001AE02
5E001AE03
5E001AF06
5E001AG01
5E001AG03
5E001AH07
5E082AA01
5E082AB03
5E082BC32
5E082EE23
5E082FF05
5E082FG26
5E082GG10
5E082GG11
5E082GG28
5E082HH26
5E082JJ03
5E082JJ12
5E082JJ23
(57)【要約】
【課題】製造時における不良の発生を抑制しつつ、内部電極層と外部電極とのコンタクト性を向上させることが可能な積層セラミック電子部品を提供する。
【解決手段】積層された複数のセラミック層を含む積層体12と、第1の内部電極層16aと、第2の内部電極層16bと、第1の外部電極22aと、第2の外部電極22bとを、備え、複数のセラミック層は、CaおよびZrを主成分とするセラミック層であって、第1の外部電極22aは、第1の下地電極層24aと第1のめっき層26aを有し、第2の外部電極22bは、第2の下地電極層24bと第2のめっき層26bを有し、第1の下地電極層24aおよび第2の下地電極層24bは、共材およびCuを主成分とし、共材は、CaおよびZrを含み、共材の第1の下地電極層24aおよび第2の下地電極層24bに対する体積%は、20vol%以上60vol%以下である、積層セラミックコンデンサ10。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層された複数のセラミック層を含み、積層方向に相対する第1の主面および第2の主面と、前記積層方向に直交する幅方向に相対する第1の側面および第2の側面と、前記積層方向および前記幅方向に直交する長さ方向に相対する第1の端面および第2の端面と、を有し、
前記複数のセラミック層と交互に積層され、前記第1の端面に露出された第1の内部電極層と、
前記複数のセラミック層と交互に積層され、前記第2の端面に露出された第2の内部電極層と、
を有する積層体と、
前記第1の端面から延伸して少なくとも前記第1の主面および前記第2の主面の一部を覆うように設けられた第1の外部電極と、
前記第2の端面から延伸して少なくとも前記第1の主面および前記第2の主面の一部を覆うように設けられた第2の外部電極とを、備え、
前記複数のセラミック層は、CaおよびZrを主成分とするセラミック層であって、
前記第1の外部電極は、第1の下地電極層と前記第1の下地電極層の一部とを覆うように配置される第1のめっき層を有し、
前記第2の外部電極は、第2の下地電極層と前記第2の下地電極層の一部とを覆うように配置される第2のめっき層を有し、
前記第1の下地電極層および前記第2の下地電極層は、共材およびCuを主成分とし、
前記共材は、CaおよびZrを含み、
前記共材の前記第1の下地電極層および前記第2の下地電極層に対する体積%は、20vol%以上60vol%以下である、積層セラミック電子部品。
【請求項2】
前記積層体の稜線部における前記第1の下地電極層の厚みは、前記積層体の前記第1の端面の中央における厚みよりも薄く、
前記積層体の稜線部における前記第2の下地電極層の厚みは、前記積層体の前記第2の端面の中央における厚みよりも薄い、請求項1に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項3】
前記積層体の稜線部における前記第1の下地電極層の厚み、および前記第2の下地電極層の厚みは、3μm以上7μm以下である、請求項1または請求項2に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項4】
前記積層体の前記第1の端面の中央における前記第1の下地電極層の厚み、および前記積層体の前記第2の端面の中央における前記第2の下地電極層の厚みは、7μm以上30μm以下である、請求項1または請求項2に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項5】
前記Cuは、1.0μm以下の粒径を有する粉末である、請求項1に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項6】
前記Cuの粉末は球形である、請求項1または請求項5に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項7】
前記Cuの粉末の比表面積は4.0μm2以下である、請求項6に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項8】
前記積層体は、コーティング層によって覆われている、請求項1に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項9】
前記積層体と前記第1の下地電極層との間には、前記第1の内部電極層と接続された第1の下地層が配置され、
前記積層体と前記第2の下地電極層との間には、前記第2の内部電極層と接続された第2の下地層が配置され、
前記第1の下地層におけるSiの含有率は、前記第1の下地電極層のSiの含有率よりも多く、
前記第2の下地層におけるSiの含有率は、前記第2の下地電極層のSiの含有率よりも多い、請求項1に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項10】
前記第1の下地層と前記第1の下地電極層との間、および前記第2の下地層と前記第2の下地電極層との間には、有機膜が配置されている、請求項9に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項11】
前記有機膜は、多官能アルコキシシラン(Si-(Cn2n+13)である、請求項10に記載の積層セラミック電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層セラミック電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の小型化に従って、その電子機器の中に搭載されている積層セラミックコンデンサも小型化且つ高性能化の需要がある。また、積層セラミックコンデンサの周波数特性には、ESR(等価直列抵抗)やESL(等価直列インダクタンス)が大きな影響を及ぼすことが知られている。
【0003】
そこで、ESRを減少させる技術の一例として、製造時に、内部電極層およびセラミック層を含んだ素体である積層チップと外部電極とを一体化して同時に焼成し、内部電極層と外部電極とのコンタクト性を上げるようにすることが行われている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-32788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、積層チップと外部電極を同時に焼成すると、焼成時に並べられていた積層チップにおいて、外部電極の収縮に伴って積層チップ同士がくっついてしまう恐れがあった。外部電極の収縮を遅らせるには、外部電極の電極材料におけるセラミック含有量を増やすことができるが、その後、外部電極の外層となるめっきの付き性が悪くなってしまう。
【0006】
それゆえに、この発明の主たる目的は、製造時における不良の発生を抑制しつつ、内部電極層と外部電極とのコンタクト性を向上させることが可能な積層セラミック電子部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る積層セラミック電子部品は、積層された複数のセラミック層を含み、積層方向に相対する第1の主面および第2の主面と、積層方向に直交する幅方向に相対する第1の側面および第2の側面と、積層方向および幅方向に直交する長さ方向に相対する第1の端面および第2の端面と、を有し、複数のセラミック層と交互に積層され、第1の端面に露出された第1の内部電極層と、複数のセラミック層と交互に積層され、第2の端面に露出された第2の内部電極層と、を有する積層体と、第1の端面から延伸して少なくとも第1の主面および第2の主面の一部を覆うように設けられた第1の外部電極と、第2の端面から延伸して少なくとも第1の主面および第2の主面の一部を覆うように設けられた第2の外部電極とを、備え、複数のセラミック層は、CaおよびZrを主成分とするセラミック層であって、第1の外部電極は、第1の下地電極層と第1の下地電極層の一部とを覆うように配置される第1のめっき層を有し、第2の外部電極は、第2の下地電極層と第2の下地電極層の一部とを覆うように配置される第2のめっき層を有し、第1の下地電極層および第2の下地電極層は、共材およびCuを主成分とし、共材は、CaおよびZrを含み、共材の第1の下地電極層および第2の下地電極層に対する体積%は、20vol%以上60vol%以下である、積層セラミック電子部品である。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、製造時の不良の発生を抑制しつつ、内部電極層と外部電極とのコンタクト性を向上させることが可能な積層セラミック電子部品を提供することができる。
【0009】
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための形態の説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】この発明の第1の実施の形態に係る積層セラミックコンデンサを示す外観斜視図である。
図2図1の線II-IIにおける断面図である。
図3図1の線III-IIIにおける断面図である。
図4】この発明の第2の実施の形態に係る積層セラミックコンデンサの構成を示す断面図である。
図5】この発明の第3の実施の形態に係る積層セラミックコンデンサの構成を示す断面図である。
図6】この発明の第3の実施の形態に係る積層セラミックコンデンサの他の構成を示す断面図である。
図7】この発明の第4の実施の形態に係る積層セラミックコンデンサの構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.積層セラミックコンデンサ
(第1の実施の形態)
この発明の第1の実施の形態に係る積層セラミック電子部品の一例である積層セラミックコンデンサについて説明する。
【0012】
図1は、この発明の第1の実施の形態に係る積層セラミック電子部品の一例である積層セラミックコンデンサを示す外観斜視図である。図2は、図1の線II-IIにおける断面図である。図3は、図1の線III-IIIにおける断面図である。
【0013】
積層セラミックコンデンサ10は、たとえば図1ないし図3に示すように、たとえば直方体状の積層体12を備える。積層体12は、積層された複数のセラミック層14と複数の内部電極層16とを有する。さらに、積層体12は、積層方向xに相対する第1の主面12aおよび第2の主面12bと、積層方向xに直交する幅方向yに相対する第1の側面12cおよび第2の側面12dと、積層方向xおよび幅方向yに直交する長さ方向zに相対する第1の端面12eおよび第2の端面12fとを有する。この積層体12には、角部および稜線部に丸みがつけられていることが好ましい。角部とは、積層体の隣接する3面が交わる部分のことであり、稜線部とは、積層体の隣接する2面が交わる部分のことである。
【0014】
また、第1の主面12aおよび第2の主面12b、第1の側面12cおよび第2の側面12d、第1の端面12eおよび第2の端面12fの一部または全部に凹凸などが形成されていてもよい。
【0015】
セラミック層14の枚数は、たとえば、10枚以上2000枚以下であることが好ましい。
【0016】
積層体12のセラミック層14の誘電体材料としては、たとえば、BaTiO3、CaTiO3、SrTiO3、CaZrO3などの主成分を含む誘電体セラミックを用いることができる。また、これらの主成分に、副成分として、たとえば、Mn化合物、Fe化合物、Cr化合物、Co化合物、Ni化合物などの化合物を主成分より少ない含有量範囲で添加したものを用いてもよい。
【0017】
特に、積層体12のセラミック層14の誘電体材料としては、BaTiO3を基本的な構造とするペロブスカイト型化合物を含む複数の結晶粒を有することができる。
【0018】
セラミック層14は、その厚みが薄いほうが、コンデンサとしての容量は大きくなるため、結晶粒径は1μm以下であることが好ましい。一方で、セラミック層14の厚みが小さくなっていくにつれて、結晶粒は小さくなっていくが、結晶粒が小さくなりすぎると、サイズ効果によって比誘電率の低下を招く。そのため、結晶粒の大きさはセラミック層14の厚みに応じて適宜設計されることが好ましい。
【0019】
具体的には、セラミック層14の厚みは、2μm以上60μm以下であることが好ましい。
【0020】
なお、積層体12に、圧電体セラミックを用いた場合、積層セラミック電子部品は、セラミック圧電素子として機能する。圧電セラミック材料の具体例としては、たとえば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)系セラミック材料などが挙げられる。
【0021】
また、積層体12に、半導体セラミックを用いた場合、積層セラミック電子部品は、サーミスタ素子として機能する。半導体セラミック材料の具体例としては、たとえば、スピネル系セラミック材料などが挙げられる。
【0022】
また、積層体12に、磁性体セラミックを用いた場合、積層セラミック電子部品は、インダクタ素子として機能する。また、インダクタ素子として機能する場合は、内部電極層16は、コイル状の導体となる。磁性体セラミック材料の具体例としては、たとえば、フェライトセラミック材料などが挙げられる。
【0023】
積層体12は、第1の主面12aと第2の主面12bとを結ぶ積層方向xにおいて、内部電極層16同士が対向する有効層部15aと、最も第1の主面12aに近い内部電極層16と第1の主面12aとの間に位置する第1の外層部15bと、最も第2の主面12bに近い内部電極層16と第2の主面12bとの間に位置する第2の外層部15cと、を有する。
【0024】
第1の外層部15bは、積層体12の第1の主面12a側に位置し、第1の主面12aと最も第1の主面12aに近い内部電極層16との間に位置する複数枚のセラミック層14の集合体である。
【0025】
第2の外層部15cは、積層体12の第2の主面12b側に位置し、第2の主面12bと最も第2の主面12bに近い内部電極層16との間に位置する複数枚のセラミック層14の集合体である。
【0026】
第1の外層部15bと第2の外層部15cに挟まれた領域が有効層部15aである。
【0027】
積層体12は、たとえば図2および図3に示すように、複数の内部電極層16として、たとえば略矩形状の複数の第1の内部電極層16aおよび複数の第2の内部電極層16bを有する。複数の第1の内部電極層16aおよび複数の第2の内部電極層16bは、積層体12の積層方向xに沿って等間隔に交互に配置されるように埋設されている。
【0028】
第1の内部電極層16aの一端側には、積層体12の第1の端面12eに引き出された第1の引出電極部18aを有する。第2の内部電極層16bの一端側には、積層体12の第2の端面12fに引き出された第2の引出電極部18bを有する。具体的には、第1の内部電極層16aの一端側の第1の引出電極部18aは、積層体12の第1の端面12eに露出している。また、第2の内部電極層16bの一端側の第2の引出電極部18bは、積層体12の第2の端面12fに露出している。
【0029】
積層体12は、たとえば図2および図3に示すように、セラミック層14の有効層部15aにおいて、第1の内部電極層16aと第2の内部電極層16bとが対向する対向電極部20aを含む。また、積層体12は、対向電極部20aの幅方向yの一端と第1の側面12cとの間および対向電極部20aの幅方向yの他端と第2の側面12dとの間に形成される積層体12の側部(以下、「Wギャップ」という。)20bを含む。さらに、積層体12は、第1の内部電極層16aの第1の引出電極部18aとは反対側の端部と第2の端面12fとの間および第2の内部電極層16bの第2の引出電極部18bとは反対側の端部と第1の端面12eとの間に形成される積層体12の端部(以下、「Lギャップ」という。)20cを含む。
【0030】
第1の内部電極層16aの対向電極部20aの形状は、特に限定されないが平面視矩形状であることが好ましい。もっとも、平面視コーナー部を丸められていたり、コーナー部を平面視斜めに形成したりしてよい(テーパー状)。また、どちらかに向かうにつれて傾斜がついている平面視テーパー状であってもよい。
【0031】
第1の内部電極層16aの第1の引出電極部18aの形状は、特に限定されないが平面視矩形状であることが好ましい。もっとも、平面視コーナー部を丸められていたり、コーナー部を平面視斜めに形成したりしてよい(テーパー状)。また、どちらかに向かうにつれて傾斜がついている平面視テーパー状であってもよい。
【0032】
第1の内部電極層16aの対向電極部20aの幅と、第1の内部電極層16aの第1の引出電極部18aの幅は、同じ幅で形成されていてもよく、どちらか一方の幅が狭く形成されていてもよい。
【0033】
第1の内部電極層16aの第1の引出電極部18aは、積層体12の第1の端面12eの中央に向かって湾曲していてもよい。
【0034】
第2の内部電極層16bの対向電極部20aの形状は、特に限定されないが平面視矩形状であることが好ましい。もっとも、平面視コーナー部を丸められていたり、コーナー部を平面視斜めに形成したりしてよい(テーパー状)。また、どちらかに向かうにつれて傾斜がついている平面視テーパー状であってもよい。
【0035】
第2の内部電極層16bの第2の引出電極部18bの形状は、特に限定されないが平面視矩形状であることが好ましい。もっとも、平面視コーナー部を丸められていたり、コーナー部を平面視斜めに形成したりしてよい(テーパー状)。また、どちらかに向かうにつれて傾斜がついている平面視テーパー状であってもよい。
【0036】
第2の内部電極層16bの対向電極部20aの幅と、第2の内部電極層16bの第2の引出電極部18bの幅は、同じ幅で形成されていてもよく、どちらか一方の幅が狭く形成されていてもよい。
【0037】
第2の内部電極層16bの第2の引出電極部18bは、積層体12の第2の端面12fの中央に向かって湾曲していてもよい。
【0038】
内部電極層16は、厚みが一様になっていることが好ましいが、幅方向縁部の厚みが幅方向中央部の厚みに比べて厚くなっていてもよい。
【0039】
また、積層体12において、第1の端面12eまで引き出された第1の内部電極層16aまたは第2の端面12fまで引き出された第2の内部電極層16bのうち、最も第1の主面12a側に位置するものと最も第2の主面12b側に位置するものとの間の距離は、対向電極部20aのうち、最も第1の主面12a側に位置するものと最も第2の主面12b側に位置するものとの間の距離よりも短くなっていてもよい。
【0040】
第1の内部電極層16aおよび第2の内部電極層16bは、たとえば、Ni、Cu、Ag、Pd、Auなどの金属や、Ag-Pd合金等の、それらの金属の少なくとも一種を含む合金などの適宜の導電材料により構成することができるが、これに限定されない。
【0041】
内部電極層16、すなわち第1の内部電極層16aおよび第2の内部電極層16bのそれぞれの厚みは、たとえば、1.0μm以上4.0μm以下であることが好ましい。
【0042】
また、第1の内部電極層16aおよび第2の内部電極層16bの枚数は、合わせて100枚以下であることが好ましい。
【0043】
積層体12内においては、たとえば図2および図3に示すように、各対向電極部20aで第1の内部電極層16aと第2の内部電極層16bとがセラミック層14を介して対向することにより、静電容量が形成されている。そのため、第1の内部電極層16aが接続された第1の外部電極22aと第2の内部電極層16bが接続された第2の外部電極22bとの間に、静電容量を得ることができ、コンデンサの特性が発現する。
【0044】
積層セラミックコンデンサ10の容量を高容量にするためには、内部電極層16の面積を多くする必要があるため、内部電極層16のLW面カバレッジは90%以上であることが好ましい。LW面カバレッジとは、積層体12を、図1に示すL寸法およびW寸法がなすLW面から見た時の内部電極層16の縁部の内側の面積から空隙の面積を引いた割合で定義される。
【0045】
LW面カバレッジが高いほうが積層セラミックコンデンサ10の容量は高くなるが、LW面カバレッジが低くても、複数のセラミック層14同士が空隙を介して接合されるため、層間の接合強度が高くなり、層間剥離が起きづらくなる。
【0046】
なお、積層体12の第1の側面12c上および第2の側面12d上には、図示しないが、さらに絶縁層が配置されていてもよい。絶縁層が配置されると、内部電極層16とセラミック層14との界面が絶縁層によって被覆されることになり、水分の侵入を抑制することができる。また、絶縁層は、誘電体層と同様の成分であることが好ましいが、これに限定されない。
【0047】
また、絶縁層は、内部電極層16と接合されるように配置してもよい。この場合、内部電極層16にはWギャップ20bが存在していないことが好ましい。
【0048】
さらに、積層体12において、Lギャップ20cには、図示しないが、段差層が配置されていてもよい。
段差層は、その一部を内部電極層16が覆うように配置されていてもよいし、内部電極層16の一部を段差層が覆うように配置されていてもよい。
段差層は、内部電極層16と同様の厚みを有することが好ましい。
段差層は、セラミック層14と同様の成分であることが好ましいが、これに限定されない。
【0049】
さらに、積層体12において、Lギャップ20cには、図示しないが、第1のダミー電極層および第2のダミー電極層が配置されていてもよい。
第1のダミー電極層および第2のダミー電極層は、第1の外層部15bおよび第2の外層部15cに配置されていてもよい。この場合、第1のダミー電極層および第2のダミー電極層は、Lギャップ20cを積層方向に平行移動した場所に該当する部分上に配置されることが好ましい。
【0050】
第1のダミー電極層は、第1の内部電極層16aの厚みの総和と同様の厚みであることが好ましい。つまり、第1のダミー電極層は、(第1の内部電極層16aの厚み)×(第1の内部電極層16aの枚数)と同様の厚みであることが好ましい。
【0051】
第1のダミー電極層は、第1の内部電極層16aの厚みの総和と同様の厚みを有していれば、一枚であっても複数枚であってもよい。
【0052】
第2のダミー電極層は、第2の内部電極層16bの厚みの総和と同様の厚みであることが好ましい。つまり、第2のダミー電極層は、(第2の内部電極層16bの厚み)×(第2の内部電極層16bの枚数)と同様の厚みであることが好ましい。
【0053】
第2のダミー電極層は、第2の内部電極層16bの厚みの総和と同様の厚みを有していれば、一枚であっても複数枚であってもよい。
【0054】
積層体12の第1の端面12e側および第2の端面12f側には、外部電極22が形成される。外部電極22は、第1の外部電極22aおよび第2の外部電極22bを有する。
【0055】
積層体12の第1の端面12e側には、第1の外部電極22aが形成される。第1の外部電極22aは、積層体12の第1の端面12eを覆い、第1の端面12eから延伸して第1の主面12aおよび第2の主面12bの一部分を覆うように形成される。なお、第1の外部電極22aは、第1の側面12cおよび第2の側面12dの一部分に多少回り込んでいてもよい。この場合、第1の外部電極22aは、第1の内部電極層16aの第1の引出電極部18aと電気的に接続される。
【0056】
積層体12の第2の端面12f側には、第2の外部電極22bが形成される。第2の外部電極22bは、積層体12の第2の端面12fを覆い、第2の端面12fから延伸して第1の主面12aおよび第2の主面12bの一部分を覆うように形成される。なお、第2の外部電極22bは、第1の側面12cおよび第2の側面12dの一部分に多少回り込んでいてもよい。この場合、第2の外部電極22bは、第2の内部電極層16bの第2の引出電極部18bと電気的に接続される。
【0057】
第1の外部電極22aおよび第2の外部電極22bの厚みは、0.5μm以上60.0μm以下程度であることが好ましい。
【0058】
外部電極22は、図2に示すように、積層体12側の上に配置される導電性金属を含む下地電極層24と、下地電極層24の表面を覆うように配置されるめっき層26とを有する。
【0059】
下地電極層24は、第1の下地電極層24aおよび第2の下地電極層24bを有する。
【0060】
第1の下地電極層24aは、積層体12の第1の端面12eの表面に配置され、第1の端面12eから延伸して第1の主面12aおよび第2の主面12bのそれぞれの一部分を覆うように形成される。なお、第1の下地電極層24aは、第1の側面12cおよび第2の側面12dの一部分に多少回り込んでいてもよい。
【0061】
第2の下地電極層24bは、積層体12の第2の端面12fの表面に配置され、第2の端面12fから延伸して第1の主面12aおよび第2の主面12bのそれぞれの一部分を覆うように形成される。なお、第2の下地電極層24bは、第1の側面12cおよび第2の側面12dの一部分に多少回り込んでいてもよい。
【0062】
下地電極層24の第1の下地電極層24aおよび第2の下地電極層24bは、焼付け層として、CaおよびZrを含む共材並びにCuを主成分とする。焼付け層は、共材およびCuを含む導電性ペーストを積層体12に塗布して焼き付けたものである。
【0063】
第1の下地電極層24aおよび第2の下地電極層24bにおける共材の体積%は、20vol%以上60vol%以下であることが好ましい。体積%が20vol%より小さくなると、共材が少なくなり、素体である積層チップとの界面と接合できなくなるデメリットがある。具体的には、製造工程において焼成時に積層チップ同士がくっつく恐れがある。一方、体積%が60vol%より大きくなると、共材が多くなり、第1のめっき層26aおよび第2のめっき層26bとの接合が出来なくなるデメリットがある。
【0064】
第1の下地電極層24aおよび第2の下地電極層24bの主成分であるCuは、球形の粉末であることが好ましい。扁平粉のような形状である場合、比表面積が大きくなり、製造工程において、焼成時に焼結が促進されて積層チップ同士がくっつく恐れがある。
【0065】
Cuが球形の粉末である場合、その比表面積は、4.0μm2以下であることが好ましい。比表面積が4.0μm2より大きくなると、製造工程において、焼成時に焼結が促進されて積層チップ同士がくっつく恐れがある。また、Cuの粒径は、1.0μm以下であることが好ましい。粒径が1.0μmより大きくなると、接触面積が増加し、くっつきやすくなるデメリットがある。
【0066】
第1の下地電極層24aおよび第2の下地電極層24bの厚みは、積層体12の稜線部のほうが、第1の端面12eおよび第2の端面12fの中央における厚みよりも薄いことが好ましい。これにより、第1の下地電極層24aおよび第2の下地電極層24bの稜線部側の厚みと端面側の厚みの差による応力差を小さくできるため、稜線部におけるクラックの発生を抑制できる。
【0067】
積層体12の稜線部における第1の下地電極層24aおよび第2の下地電極層24bの厚みは、3μm以上7μm以下であることが好ましい。これにより、耐湿性の低下を抑えつつ、第1のめっき層26aおよび第2のめっき層26bとの接合を良好に保つことができる。一方、3μmより小さくなると、空隙により、耐湿性が悪くなるデメリットがある。また、7μmより大きくなると、共材が多くなり、第1のめっき層26aおよび第2のめっき層26bとの接合が出来なくなるデメリットがある。
【0068】
積層体12の第1の端面12eおよび第2の端面12fの中央における第1の下地電極層24aおよび第2の下地電極層24bの厚みは、7μm以上30μm以下であることが好ましい。これにより、耐湿性の低下を抑えつつ、第1のめっき層26aおよび第2のめっき層26bとの接合を良好に保つことができる。一方、7μmより小さくなると、空隙により、耐湿性が悪くなるデメリットがある。また、30μmより大きくなると、共材が多くなり、第1のめっき層26aおよび第2のめっき層26bとの接合が出来なくなるデメリットがある。
【0069】
めっき層26は、第1のめっき層26aおよび第2のめっき層26bを有する。
【0070】
第1のめっき層26aは、第1の下地電極層24aを覆うように配置される。具体的には、第1のめっき層26aは、第1の下地電極層24aの表面の第1の端面12eに配置され、第1の下地電極層24aの表面の第1の主面12aおよび第2の主面12bにも至るように設けられていることが好ましい。なお、第1のめっき層26aは、第1の側面12cおよび第2の側面12dの一部分に多少回り込んでいてもよい。
【0071】
めっき層26としては、たとえば、Cu、Ni、Sn、Ag、Pd、Ag-Pd合金、Au等から選ばれる少なくとも1種類が用いられる。
【0072】
めっき層26は、複数層によって形成されてもよい。この場合、めっき層26は、下地電極層24上に形成されるNiめっきによるめっき層と、Niめっきによるめっき層上に形成されるSnめっきによるめっき層の2層構造であることが好ましい。
【0073】
なお、めっき層26が3層構造である場合は、下地電極層24の表面に形成されるCuめっきによるCuめっき層と、Cuめっき層の表面に形成されるNiめっきによるNiめっき層と、Niめっき層の表面に形成されるSnめっきによるSnめっき層である場合が好ましい。
【0074】
積層セラミックコンデンサ10の長さ方向zの寸法をL寸法とし、積層セラミックコンデンサ10の積層方向xの寸法をT寸法とし、積層セラミックコンデンサ10の幅方向yの寸法をW寸法とする。
積層セラミックコンデンサ10の寸法は、長さ方向zのL寸法が0.20mm以上0.65mm以下、幅方向yのW寸法が0.10mm以上0.35mm以下、積層方向xのT寸法が0.10mm以上0.35mm以下である。
また、積層セラミックコンデンサ10の寸法は、マイクロスコープにより測定することができる。
【0075】
図1に示す積層セラミックコンデンサ10は、外部電極22の下地電極層24の第1の下地電極層24aおよび第2の下地電極層24bが、CaおよびZrを含む共材並びにCuを主成分とし、第1の下地電極層24aおよび第2の下地電極層24bにおける共材の体積%は、20vol%以上60vol%以下なので、製造工程において、焼成時に積層チップ同士がくっつく恐れを軽減しつつ第1のめっき層26aおよび第2のめっき層26bとの接合を良好にして、製造時の不良の発生を抑制しつつ、内部電極層16と外部電極22とのコンタクト性を向上させることが可能になる。
【0076】
また、図1に示す積層セラミックコンデンサ10は、第1の下地電極層24aおよび第2の下地電極層24bの主成分のCuは、1.0μm以下の粒径を有する粉末であると、接触面積の増加によるくっつきの発生を抑制することができる。
【0077】
また、図1に示す積層セラミックコンデンサ10は、第1の下地電極層24aおよび第2の下地電極層24bの主成分であるCuは、球形の粉末であると、比表面積の増大を抑えて、焼成時において積層チップ同士がくっつくような製造時の不良の発生を抑制しつつ、内部電極層16と外部電極22とのコンタクト性を向上させることが可能になる。
【0078】
また、図1に示す積層セラミックコンデンサ10は、第1の下地電極層24aおよび第2の下地電極層24bの主成分であるCuは、球形の粉末であって、比表面積は4.0μm2以下であると、比表面積の増大を抑えて、焼成時において積層チップ同士がくっつくような製造時の不良の発生を抑制しつつ、内部電極層16と外部電極22とのコンタクト性を向上させることが可能になる。
【0079】
(第2の実施の形態)
この発明の第2の実施の形態に係る積層セラミック電子部品の一例として、積層セラミックコンデンサについて説明する。
【0080】
第2の実施の形態に係る積層セラミックコンデンサ10Aは、積層体12がコーティング層40によって覆われている点、および外部電極22は、積層体12側の上に配置される導電性金属を含む下地電極層24と、下地電極層24の表面を覆うように配置される下層めっき層28および上層めっき層30とを有する点を除いて、積層セラミックコンデンサ10の構成と同様のものである。従って、積層セラミックコンデンサ10と同一の部分には、同一の符号を付してその説明は省略する。
【0081】
図4は、この発明の第2の実施の形態に係る積層セラミックコンデンサの一例である積層セラミックコンデンサ10Aを示す断面図であって、図2の断面図に対応する図である。
【0082】
積層セラミックコンデンサ10Aにおいて、外部電極22のめっき層は、図4に示すように、コーティング層40を間に挟んで下地電極層24の表面を覆うように配置される下層めっき層28と、下層めっき層28の表面を覆うように配置される上層めっき層30と、を有する。
【0083】
更に、上層めっき層30は、コーティング層40の表面を覆うように配置される下側めっき層32と、下側めっき層32の表面を覆うように配置される上側めっき層34を有する。
【0084】
なお、図示しないが、コーティング層40は、下地電極層24の表面を覆うように配置されてもよい。この場合、コーティング層40の表面を覆うようにめっき層が配置される。
【0085】
下層めっき層28は、第1の下層めっき層28aおよび第2の下層めっき層28bを有する。
【0086】
第1の下層めっき層28aは、第1の下地電極層24aを覆うように配置される。具体的には、第1の下層めっき層28aは、第1の下地電極層24aの表面の第1の端面12eに配置され、第1の下地電極層24aの表面の第1の主面12aおよび第2の主面12bにも至るように設けられていることが好ましい。なお、第1の下層めっき層28aは、第1の側面12cおよび第2の側面12dの一部分に多少回り込んでいてもよい。
【0087】
第2の下層めっき層28bは、第2の下地電極層24bを覆うように配置される。具体的には、第1の下層めっき層28aは、第2の下地電極層24bの表面の第2の端面12fに配置され、第2の下地電極層24bの表面の第1の主面12aおよび第2の主面12bにも至るように設けられていることが好ましい。なお、第2の下層めっき層28bは、第1の側面12cおよび第2の側面12dの一部分に多少回り込んでいてもよい。
【0088】
上層めっき層30は、第1の上層めっき層30aおよび第2の上層めっき層30bを有する。
【0089】
上層めっき層30の下側めっき層32は、第1の下側めっき層32aおよび第2の下側めっき層32bを有する。
【0090】
上層めっき層30の上側めっき層34は、第1の上側めっき層34aおよび第2の上側めっき層34bを有する。
【0091】
第1の上層めっき層30aは、コーティング層40を間に挟んで、第1の下層めっき層28aを覆うように配置される。具体的には、第1の上層めっき層30aは、第1の下層めっき層28aの表面の第1の端面12eに配置され、第1の下層めっき層28aの表面の第1の主面12aおよび第2の主面12bにも至るように設けられていることが好ましい。なお、第1の上層めっき層30aは、第1の側面12cおよび第2の側面12dの一部分に多少回り込んでいてもよい。
【0092】
第1の上層めっき層30aにおいて、第1の下側めっき層32aは、第1の下層めっき層28aを覆うように配置される。具体的には、第1の下側めっき層32aは、第1の下層めっき層28aの表面の第1の端面12eに配置され、第1の下層めっき層28aの表面の第1の主面12aおよび第2の主面12bにも至るように設けられていることが好ましい。なお、第1の下側めっき層32aは、第1の側面12cおよび第2の側面12dの一部分に多少回り込んでいてもよい。
【0093】
第1の上層めっき層30aにおいて、第1の上側めっき層34aは、第1の下側めっき層32aを覆うように配置される。具体的には、第1の上側めっき層34aは、第1の下側めっき層32aの表面の第1の端面12eに配置され、第1の下側めっき層32aの表面の第1の主面12aおよび第2の主面12bにも至るように設けられていることが好ましい。なお、第1の上側めっき層34aは、第1の側面12cおよび第2の側面12dの一部分に多少回り込んでいてもよい。
【0094】
第2の上層めっき層30bは、コーティング層40を間に挟んで、第2の下層めっき層28bを覆うように配置される。具体的には、第2の上層めっき層30bは、第2の下層めっき層28bの表面の第2の端面12fに配置され、第2の下層めっき層28bの表面の第1の主面12aおよび第2の主面12bにも至るように設けられていることが好ましい。なお、第2の上層めっき層30bは、第1の側面12cおよび第2の側面12dの一部分に多少回り込んでいてもよい。
【0095】
第2の上層めっき層30bにおいて、第2の下側めっき層32bは、第2の下層めっき層28bを覆うように配置される。具体的には、第2の下側めっき層32bは、第2の下層めっき層28bの表面の第2の端面12fに配置され、第2の下層めっき層28bの表面の第1の主面12aおよび第2の主面12bにも至るように設けられていることが好ましい。なお、第2の下側めっき層32bは、第1の側面12cおよび第2の側面12dの一部分に多少回り込んでいてもよい。
【0096】
第2の上層めっき層30bにおいて、第2の上側めっき層34bは、第2の下側めっき層32bを覆うように配置される。具体的には、第2の上側めっき層34bは、第2の下側めっき層32bの表面の第2の端面12fに配置され、第2の下側めっき層32bの表面の第1の主面12aおよび第2の主面12bにも至るように設けられていることが好ましい。なお、第2の上側めっき層34bは、第1の側面12cおよび第2の側面12dの一部分に多少回り込んでいてもよい。
【0097】
本実施の形態では、下層めっき層28は、Cuめっき層とし、上層めっき層30の下側めっき層32は、Niめっき層とし、上層めっき層30の上側めっき層34は、Snめっき層とされる。
【0098】
コーティング層40は、積層体12の表面のうち、実装面である第1の主面12aおよび実装面の対向面である第2の主面12bにおいて、第1の外部電極22aおよび第2の外部電極22bが配置されない領域の全部または一部を覆うことが好ましい。図4においては、第1の主面12aおよび第2の主面12bの両方の全部を覆うものとしたが、これに限定されない。
【0099】
具体的には、コーティング層40は、積層体12ならびに外部電極22の第1の下層めっき層28aおよび第2の下層めっき層28bの表面を覆うものとしたが、積層体12の表面のみを覆うとしてもよいし、第1の下地電極層24aおよび第2の下地電極層24bを覆うように配置されてもよい。
【0100】
コーティング層40は、第1の外部電極22aおよび第2の外部電極22bが配置される領域においては、第1の上層めっき層30aおよび第2の上層めっき層30bに覆われる。
【0101】
コーティング層40は、樹脂や、撥水処理剤などから形成されていてもよい。
【0102】
コーティング層40の材料として、樹脂を用いる場合、樹脂はエポキシ樹脂、フェノール樹脂など公知の樹脂から形成されることが好ましい。これにより、積層セラミックコンデンサ10Aの製造時、実装時、若しくは使用時において、積層体12にかかる応力を効果的に抑制できる。
【0103】
コーティング層40の材料として、撥水処理剤を用いる場合、撥水処理剤はフッ素などを含む化合物から形成されることが好ましい。これにより、積層セラミックコンデンサ10Aの耐湿性を向上させることができる。
【0104】
特に、フッ素を含む化合物の例としては、フッ素系シランカップリング剤を用いることが好ましい。積層体12の実装面である第1の主面12aにシランカップリング剤によるコーティング層40を設けることにより、外部から積層体12への水分やフラックスなどの浸入を防止することができる。したがって、フラックス実装時において、フラックスに含有される有機酸による腐食を抑制することができるため、耐湿信頼性の低下を抑制することができる。
【0105】
コーティング層40に含まれるフッ素系シランカップリング剤は、
CF3-(CF2n1-R-Si(O-R’)3
(ただし、n1は、0以上の整数であり、Rは、SiまたはOを含む置換基あるいはアルキレン基であり、R’は、アルキル基である)
で表されるシランカップリング剤であることが好ましい。例えば、n1は0以上7以下の整数であってよい。R’はメチル基あるいはエチル基であってよい。
【0106】
シランカップリング剤は、反応性基であるアルコキシ基を少なくとも1つ備える。また、上記シランカップリング剤は、パーフルオロアルキル基を1つ以上備える。
【0107】
フッ素系シランカップリング剤としては、例えば、
CF3(CF25(CH22Si(OCH33
CF3(CF23(CH22Si(OCH33
CF3(CF23(CH22Si(OC253
CF3(CF27(CH22Si(OCH33
CF3CH2O(CH215Si(OCH33
CF3(CH22Si(CH32(CH215Si(OCH33
CF3(CF23(CH22Si(CH32(CH29Si(OCH33
CF3COO(CH215Si(OCH33
CF3(CF25(CH22Si(OC253
CF3(CF27(CH22Si(CH32(CH29Si(OC253
CF3(CF27(CH22Si(CH32(CH26Si(OC253
CF3(CF27(CH22Si(OC253
CF3CH2O(CH215Si(OC253
CF3COO(CH215Si(OC253
CF3(CF24CONH(CH23Si(OCH33
CF3(CF27CONH(CH23Si(OCH33
CF3(CF25CONH(CH23Si(OC253、または、
CF3(CF27CONH(CH23Si(OC253
を用いることができる。
【0108】
図4に示す積層セラミックコンデンサ10Aは、コーティング層40が第1の外部電極22aおよび第2の外部電極22bが配置されない領域の全部または一部を覆うので、第1の実施の形態の積層セラミックコンデンサ10が奏する効果に加えて、積層体12にかかる応力を効果的に抑制すること、あるいは積層セラミックコンデンサ10Aの耐湿性を向上させることが可能になる。
【0109】
(第3の実施の形態)
この発明の第3の実施の形態に係る積層セラミック電子部品の一例として、積層セラミックコンデンサについて説明する。
【0110】
第3の実施の形態に係る積層セラミックコンデンサ10Bは、積層体12と第1の下地電極層24aおよび第2の下地電極層24bとの間には、第1の内部電極層16aと接続された第1の下地層50aおよび第2の内部電極層16bと接続された第2の下地層50bがそれぞれ配置される点を除いて、積層セラミックコンデンサ10の構成と同様のものである。従って、積層セラミックコンデンサ10と同一の部分には、同一の符号を付してその説明は省略する。
【0111】
図5は、この発明の第3の実施の形態に係る積層セラミックコンデンサの一例である積層セラミックコンデンサ10Bを示す断面図であって、図2の断面図に対応する図である。
【0112】
積層セラミックコンデンサ10Bは、図5に示すように、下地電極層24の表面を覆うように配置される下地層50を有する。
【0113】
下地層50は、第1の下地層50aおよび第2の下地層50bを有する。
【0114】
第1の下地層50aは、第1の端面12eを覆うように配置される。具体的には、第1の下地層50aは、積層体12の表面の第1の端面12eに配置され、積層体12の表面の第1の主面12aおよび第2の主面12bにも至るように設けられていることが好ましい。なお、図6の断面図に示すように、第1の下地層50aは、積層体12の表面の第1の端面12eにのみ設けられていてもよい。
【0115】
第2の下地層50bは、第2の端面12fを覆うように配置される。具体的には、第2の下地層50bは、積層体12の表面の第2の端面12fに配置され、積層体12の表面の第1の主面12aおよび第2の主面12bにも至るように設けられていることが好ましい。なお、図6の断面図に示すように、第2の下地層50bは、積層体12の表面の第2の端面12fにのみ設けられていてもよい。
【0116】
下地層50は、たとえば、Siを含むガラス成分と、金属成分としてのCuとを含むことが好ましい。この場合において、下地層50の第1の下地層50aおよび第2の下地層50bのSiの含有率は、第1の下地電極層24aおよび第2の下地電極層24bのSiの含有率よりも多いことが好ましい。
【0117】
図5および図6に示す積層セラミックコンデンサ10Bは、下地電極層24の表面を覆うように配置される下地層50であって、Siの含有率が下地電極層24よりも大きい、構成を有するので、第1の実施の形態の積層セラミックコンデンサ10が奏する効果に加えて、以下の効果を奏する。すなわち、積層体12と下地層50との固着力が下地層50と下地電極層24との固着力よりも強くなることから、実装時または使用時に積層セラミックコンデンサ10Bに応力が発生した時、その応力を、積層体12にクラックが発生させるよりも前に下地層50と下地電極層24とが剥がれるように作用させ、クラックが積層体12に到達することを抑制することが可能になる。
【0118】
(第4の実施の形態)
この発明の第4の実施の形態に係る積層セラミック電子部品の一例として、積層セラミックコンデンサについて説明する。
【0119】
第4の実施の形態に係る積層セラミックコンデンサ10Cは、第1の下地層50aと第1の下地電極層24aとの間および第2の下地層50bと第2の下地電極層24bとの間には、第1の有機膜60aおよび第2の有機膜60bがそれぞれ配置される点を除いて、積層セラミックコンデンサ10の構成と同様のものである。従って、積層セラミックコンデンサ10と同一の部分には、同一の符号を付してその説明は省略する。
【0120】
図7は、この発明の第4の実施の形態に係る積層セラミックコンデンサの一例である積層セラミックコンデンサ10Cを示す断面図であって、図2の断面図に対応する図である。
【0121】
積層セラミックコンデンサ10Cは、図7に示すように、下地層50の表面を覆うように配置される有機膜60を有する。
【0122】
有機膜60は、第1の有機膜60aおよび第2の有機膜60bを有する。
【0123】
第1の有機膜60aは、第1の端面12eを覆うように配置される。具体的には、第1の有機膜60aは、積層体12の表面の第1の端面12eに配置され、積層体12の表面の第1の主面12aおよび第2の主面12bにも至るように設けられていることが好ましい。
【0124】
第2の有機膜60bは、第2の端面12fを覆うように配置される。具体的には、第2の有機膜60bは、積層体12の表面の第2の端面12fに配置され、積層体12の表面の第1の主面12aおよび第2の主面12bにも至るように設けられていることが好ましい。
【0125】
有機膜60は、たとえば、有機ケイ素化合物を含む。有機ケイ素化合物としては、例えば、デシルトリメトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン等が用いられる。特に、第1の有機膜60aおよび第2の有機膜60bとして、多官能アルコキシシランSi-(Cn2n+13の構造を有する有機ケイ素化合物が用いられることが好ましい。これにより、信頼性などの不具合が生じることはなく、確実に付着させることができる。
【0126】
図7に示す積層セラミックコンデンサ10Cは、下地層50の表面を覆うように配置される有機膜60を有するので、第1の実施の形態の積層セラミックコンデンサ10が奏する効果に加えて、以下の効果を奏する。すなわち、積層セラミックコンデンサの実装状態において、仮に、熱衝撃等を原因として基板に撓みが生じた際において、この撓みに基づく応力により、有機膜60と下地電極層24との間を剥離しやすくさせることができる。そのため、応力を分散することができ、積層セラミックコンデンサの積層体12にまでクラックが進展したり、変形等が発生したりすることを抑制することが可能になる。
【0127】
2.積層セラミック電子部品の製造方法
次に、この積層セラミック電子部品の一例である積層セラミックコンデンサの製造方法の一例について、説明する。
【0128】
(1)最初に、誘電体シートおよび内部電極用の導電性ペーストが準備される。誘電体シートや内部電極用の導電性ペーストには、バインダおよび溶剤が含まれるが、公知の有機バインダや有機溶剤を用いることができる。
(2)次に、誘電体シート上に、たとえば、スクリーン印刷やグラビア印刷などにより、所定のパターンで内部電極用の導電性ペーストが印刷され、それにより内部電極パターンが形成される。
(3)さらに、内部電極パターンが形成されていない外層用の誘電体シートが所定枚数積層され、その上に内部電極が形成された誘電体シートが順次積層され、その上に外層用の誘電体シートが所定枚数積層されて、積層シートが作製される。
(4)得られた積層シートを静水圧プレスなどの手段により積層方向にプレスすることによって、積層ブロックが作製される。
(5)次に、積層ブロックが所定のサイズにカットされ、積層チップが切り出される。このとき、バレル研磨などにより、積層チップの角部および稜線部に丸みがつけられてもよい。
(6)得られた積層チップの両端面に外部電極(下地電極層)用の導電性ペーストが塗布され、積層チップと同時に焼付けられることによって、積層体12の作製と外部電極の下地電極層24としての焼付け層の形成とが同時になされる。
下地電極層用の導電性ペーストの組成は、以下の通りになる。
・成分:Cu粉末、共材、分散剤、樹脂、溶剤
・共材の比率:20vol%以上60vol%以下
・共材の粒径:0.2μm以下
・Cu粉末の粒径:0.3μm以上1μm以下
また、このときの焼成温度は、700℃以上1150℃以下であることが好ましい。
更に、下地電極層24の厚みは、積層体12の稜線部の方が、第1の端面12eおよび第2の端面12fの中央における厚みよりも薄くなるように形成される。具体的には、たとえば、積層体12の稜線部における第1の下地電極層24aおよび第2の下地電極層24bの厚みは、3μm以上7μm以下となるように、ディップ工法を用いるときの導電性ペーストの量、ディップする深さあるいはディップする時間を調整することで、主面、側面への回り込み量を操作することができる。
【0129】
(7)第1の実施の形態の積層セラミックコンデンサ10を作製する際には、下地電極層24の表面にめっき層26が形成される。めっき層26は、たとえば、下層としてNiめっき層および下層の表面に形成される上層としてのSnめっき層を含む複数のめっき層を有する。Niめっき層およびSnめっき層は、たとえばバレルめっき法により、順次形成される。
これにより、Niめっき層およびSnめっき層を含むめっき層26が形成される。その結果、下地電極層24およびめっき層26を含む、第1の外部電極22a、第2の外部電極22bが形成される。
【0130】
(8)第2の実施の形態の積層セラミックコンデンサ10Aを作製する際には、下地電極層24の表面に下層めっき層28が形成された状態の積層体12に、コーティング層40が形成される。なお、下層めっき層28は、たとえばCuめっき層として形成される。
コーティング層40の形成は、以下の通りである。
まず、シランカップリング剤溶液を準備する。シランカップリング剤溶液は、シランカップリング剤と、必要に応じて溶媒とを混合することにより準備することができる。
シランカップリング剤としては、例えば、上述したフッ素系シランカップリング剤または炭素系シランカップリング剤を用いる。
溶媒は、例えば、メタノール、エタノール、またはイソプロパノールであってよい。
シランカップリング剤溶液中のシランカップリング剤の濃度は、例えば0.1vol%以上5vol%以下であってよい。
そして、このように準備したシランカップリング剤溶液を、下層めっき層28までが形成された積層体12に付着させる。シランカップリング剤溶液を積層体12に付着させる方法は、積層体12を発泡剥離シート等の支持体へ固定した状態での浸漬や、塗布、スピンコーティングやスプレー法であってよい。この際、積層体12の支持体と反対側の面が実装面、支持体側の面が対向面となる。その後、シランカップリング剤溶液が付着した積層体12を加熱することにより、積層体12上にコーティング層40を形成することができる。加熱温度は、60℃以上150℃以下であってよい。加熱時間は60分以上120分以下であってよい。
コーティング層40を形成した後、上層めっき層30の下側めっき層32および上側めっき層34を形成する。具体的には、たとえば、下層めっき層28を介したコーティング層40の表面に下側めっき層32としてのNiめっき層を形成し、下側めっき層32の表面に上側めっき層34としてのSnめっき層を形成する。Niめっき層およびSnめっき層は、たとえばバレルめっき法により、順次形成される。
これにより、Cuめっき層である下層めっき層28、および、Niめっき層およびSnめっき層である上層めっき層30を含むめっき層26が形成される。その結果、下地電極層24およびめっき層26を含む、第1の外部電極22a、第2の外部電極22bが形成される。
なお、第2の実施の形態の積層セラミックコンデンサ10Aを作製する際に、コーティング層40は、積層体12に配置された下地電極層24の表面を覆うように形成されてもよい。その後、コーティング層40の表面を覆うように下層めっき層28が形成される。
【0131】
(9)第3の実施の形態の積層セラミックコンデンサ10Bを作製する際には、(6)の工程に代えて、先に積層チップを焼成して形成された積層体12の表面に下地層50が形成される。下地層50の形成は、後述する下地層用ペーストの塗布により行う。
塗布された下地層の表面に外部電極用の導電性ペーストが塗布され、積層チップと同時に焼付けられることによって、下地層50の形成と外部電極22の下地電極層24としての焼付け層の形成とが同時に実施される。
下地層ペーストの組成は、以下の通りになる。
・成分:Cu粉末、Si
・Si含有率(Si/Cu+Si):10vol%以上30vol%以下(下地層)
下地電極層用の導電性ペーストの組成は、(6)の工程と同様である。ただし、基本的にSiは含まない。
更に、下地電極層24の表面にめっき層26が形成される。めっき層26は、たとえば、下層としてNiめっき層および下層の表面に形成される上層としてのSnめっき層を有する。Niめっき層およびSnめっき層は、たとえばバレルめっき法により、順次形成される。
これにより、Niめっき層およびSnめっき層を含むめっき層26が形成される。その結果、下地層50、下地電極層24およびめっき層26を含む、第1の外部電極22a、第2の外部電極22bが形成される。
【0132】
(10)第4の実施の形態の積層セラミックコンデンサ10Cを作製する際には、(9)の工程において、下地層50の表面に有機膜60が形成される。有機膜60の形成は、下記の工程により行う。
第1の外部電極22aの第1の下地層50aおよび第2の外部電極22bの第2の下地層50bの所定の表面を覆うように、有機処理液が単数回または複数回塗布されて、第1の有機膜60aおよび第2の有機膜60bが形成される。第1の有機膜60aおよび第2の有機膜60bの被覆率は、有機処理液の塗布回数と有機処理液の濃度によってコントロールすることができる。
なお、有機処理液として、多官能アルコキシシランSi-(Cn2n+13の有機処理液を使用する。また、各々の塗布工程における有機処理液は、いずれも有機ケイ素化合物であることが好ましい。
有機膜60の表面にめっき層26が形成される。めっき層26は、たとえば、下層としてNiめっき層および下層の表面に形成される上層としてのSnめっき層を有する。Niめっき層およびSnめっき層は、たとえばバレルめっき法により、順次形成される。
これにより、Niめっき層およびSnめっき層を含むめっき層26が形成される。その結果、下地層50、有機膜60、下地電極層24、およびめっき層26を含む、第1の外部電極22a、第2の外部電極22bが形成される。
【0133】
以上のようにして、この発明の各実施の形態の積層セラミックコンデンサが得られる。
【0134】
なお、以上のように、本発明の実施の形態は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
【0135】
すなわち、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上説明した実施の形態に対し、機序、形状、材質、数量、位置又は配置等に関して、様々の変更を加えることができるものであり、それらは、本発明に含まれるものである。
【0136】
<1>
積層された複数のセラミック層を含み、積層方向に相対する第1の主面および第2の主面と、前記積層方向に直交する幅方向に相対する第1の側面および第2の側面と、前記積層方向および前記幅方向に直交する長さ方向に相対する第1の端面および第2の端面と、を有し、
前記複数のセラミック層と交互に積層され、前記第1の端面に露出された第1の内部電極層と、
前記複数のセラミック層と交互に積層され、前記第2の端面に露出された第2の内部電極層と、
を有する積層体と、
前記第1の端面から延伸して少なくとも前記第1の主面および前記第2の主面の一部を覆うように設けられた第1の外部電極と、
前記第2の端面から延伸して少なくとも前記第1の主面および前記第2の主面の一部を覆うように設けられた第2の外部電極とを、備え、
前記複数のセラミック層は、CaおよびZrを主成分とするセラミック層であって、
前記第1の外部電極は、第1の下地電極層と前記第1の下地電極層の一部とを覆うように配置される第1のめっき層を有し、
前記第2の外部電極は、第2の下地電極層と前記第2の下地電極層の一部とを覆うように配置される第2のめっき層を有し、
前記第1の下地電極層および前記第2の下地電極層は、共材およびCuを主成分とし、
前記共材は、CaおよびZrを含み、
前記共材の前記第1の下地電極層および前記第2の下地電極層に対する体積%は、20vol%以上60vol%以下である、積層セラミック電子部品。
【0137】
<2>
前記積層体の稜線部における前記第1の下地電極層の厚みは、前記積層体の前記第1の端面の中央における厚みよりも薄く、
前記積層体の稜線部における前記第2の下地電極層の厚みは、前記積層体の前記第2の端面の中央における厚みよりも薄い、<1>に記載の積層セラミック電子部品。
【0138】
<3>
前記積層体の稜線部における前記第1の下地電極層の厚み、および前記第2の下地電極層の厚みは、3μm以上7μm以下である、<1>または<2>に記載の積層セラミック電子部品。
【0139】
<4>
前記積層体の前記第1の端面の中央における前記第1の下地電極層の厚み、および前記積層体の前記第2の端面の中央における前記第2の下地電極層の厚みは、7μm以上30μm以下である、<1>ないし<3>のいずれかに記載の積層セラミック電子部品。
【0140】
<5>
前記Cuは、1.0μm以下の粒径を有する粉末である、<1>ないし<4>のいずれかに記載の積層セラミック電子部品。
【0141】
<6>
前記Cuの粉末は球形である、<1>ないし<7>のいずれかに記載の積層セラミック電子部品。
【0142】
<7>
前記Cuの粉末の比表面積は4.0μm2以下である、<1>ないし<6>のいずれかに記載の積層セラミック電子部品。
【0143】
<8>
前記積層体は、コーティング層によって覆われている、<1>ないし<7>のいずれかに記載の積層セラミック電子部品。
【0144】
<9>
前記積層体と前記第1の下地電極層との間には、前記第1の内部電極層と接続された第1の下地層が配置され、
前記積層体と前記第2の下地電極層との間には、前記第2の内部電極層と接続された第2の下地層が配置され、
前記第1の下地層におけるSiの含有率は、前記第1の下地電極層のSiの含有率よりも多く、
前記第2の下地層におけるSiの含有率は、前記第2の下地電極層のSiの含有率よりも多い、<1>ないし<8>のいずれかに記載の積層セラミック電子部品。
【0145】
<10>
前記第1の下地層と前記第1の下地電極層との間、および前記第2の下地層と前記第2の下地電極層との間には、有機膜が配置されている、<9>に記載の積層セラミック電子部品。
【0146】
<11>
前記有機膜は、多官能アルコキシシラン(Si-(Cn2n+13)である、<11>に記載の積層セラミック電子部品。
【符号の説明】
【0147】
10、10A、10B、10C 積層セラミックコンデンサ
12 積層体
12a 第1の主面
12b 第2の主面
12c 第1の側面
12d 第2の側面
12e 第1の端面
12f 第2の端面
14 セラミック層
15a 有効層部
15b 第1の外層部
15c 第2の外層部
16 内部電極層
16a 第1の内部電極層
16b 第2の内部電極層
18a 第1の引出電極部
18b 第2の引出電極部
20a 対向電極部
20b Wギャップ
20c Lギャップ
22 外部電極
22a 第1の外部電極
22b 第2の外部電極
24 下地電極層
24a 第1の下地電極層
24b 第2の下地電極層
26 めっき層
26a 第1のめっき層
26b 第2のめっき層
28 下層めっき層
28a 第1の下層めっき層
28b 第2の下層めっき層
30 上層めっき層
30a 第1の上層めっき層
30b 第2の上層めっき層
32 下側めっき層
32a 第1の下側めっき層
32b 第2の下側めっき層
34 上側めっき層
34a 第1の上側めっき層
34b 第2の上側めっき層
40 コーティング層
50 下地層
50a 第1の下地層
50b 第2の下地層
60 有機膜
60a 第1の有機膜
60b 第2の有機膜
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7