(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068367
(43)【公開日】2024-05-20
(54)【発明の名称】搬送車
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20240513BHJP
B65G 49/07 20060101ALI20240513BHJP
【FI】
H01L21/68 A
B65G49/07 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178754
(22)【出願日】2022-11-08
(71)【出願人】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】和田 吉成
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA10
5F131BA00
5F131CA32
5F131DA05
5F131DA23
5F131DA24
5F131DC05
5F131DC06
5F131GA13
5F131GA14
(57)【要約】
【課題】複数種類の容器それぞれについて種類を判別可能であると共に当該複数種類の容器を把持可能な搬送車を実現する。
【解決手段】第1容器81は、一対の被把持部801としての一対の第1被把持部811を備え、第2容器は、一対の被把持部801としての一対の第2被把持部を備えている。一対の第1被把持部811の第1間隔L1は、一対の第2被把持部の第2間隔よりも小さい。第1検出器141は、把持装置12が把持基準位置Pに配置された状態で、第1被把持部811の被検出部Tを検出すると共に第2被把持部の被検出部を検出しないように構成され、第2検出器142は、把持装置12が把持基準位置Pに配置された状態で、第2被把持部の被検出部を検出すると共に第1被把持部811の被検出部Tを検出しないように構成されている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行経路に沿って走行して、第1容器と第2容器とを含む複数種類の容器を搬送する搬送車であって、
前記容器を把持する把持装置と、
前記把持装置を昇降させる昇降装置と、
前記把持装置により把持する前記容器の種類を判別する判別装置と、を備え、
前記容器は、容器本体と、前記容器本体の上面から上側に突出するように設けられて前記把持装置により把持される一対の被把持部と、を備え、
前記第1容器は、前記容器本体としての第1容器本体と、一対の前記被把持部としての一対の第1被把持部と、を備え、
前記第2容器は、前記容器本体としての第2容器本体と、一対の前記被把持部としての一対の第2被把持部と、を備え、
前記第1被把持部と前記第2被把持部とのそれぞれには、被検出部が設けられており、
前記第1容器本体の上面に沿う方向の一対の前記第1被把持部の間隔である第1間隔は、前記第2容器本体の上面に沿う方向の一対の前記第2被把持部の間隔である第2間隔よりも小さく、
前記判別装置は、第1検出器及び第2検出器を備え、
把持対象の前記容器である対象容器に対して前記把持装置が把持動作を開始する基準となる、前記対象容器を基準とした前記把持装置の相対位置を把持基準位置として、
前記第1検出器は、前記把持装置に取り付けられ、前記把持装置が前記把持基準位置に配置された状態で、前記第1被把持部の前記被検出部を検出すると共に前記第2被把持部の前記被検出部を検出しないように構成され、
前記第2検出器は、前記把持装置に取り付けられ、前記把持装置が前記把持基準位置に配置された状態で、前記第2被把持部の前記被検出部を検出すると共に前記第1被把持部の前記被検出部を検出しないように構成されている、搬送車。
【請求項2】
前記把持装置及び前記昇降装置を制御する制御装置を更に備え、
前記把持装置は、一対の把持体と、一対の前記把持体を水平方向に沿う把持動作方向に互いに接近及び離間させる把持駆動機構と、を備え、
前記対象容器の前記被把持部を対象被把持部とし、一対の前記対象被把持部が並ぶ方向を配列方向として、
前記制御装置は、前記走行経路よりも下側に配置された支持部に支持された前記対象容器を前記把持装置により把持する場合に、一対の前記把持体が一対の前記対象被把持部の間に配置され、且つ、前記把持動作方向が前記配列方向に沿う方向となるように、前記把持装置を前記把持基準位置まで下降させて、前記判別装置により前記対象容器の種類を判別し、
前記制御装置は、前記対象容器が前記第1容器であると判別した場合には、前記把持駆動機構により一対の前記把持体を前記第1間隔に応じた間隔となるまで離間させ、前記対象容器が前記第2容器であると判別した場合には、前記把持駆動機構により一対の前記把持体を前記第2間隔に応じた間隔となるまで離間させ、
前記制御装置は、一対の前記把持体を前記第1間隔に応じた間隔又は前記第2間隔に応じた間隔となるまで離間させた後は、前記昇降装置により前記把持装置を上昇させる、請求項1に記載の搬送車。
【請求項3】
前記把持装置が前記第1容器の一対の前記第1被把持部を把持している状態で、前記第1検出器は前記第1被把持部の前記被検出部を検出し、前記第2検出器は前記第1被把持部の前記被検出部を検出せず、
前記把持装置が前記第2容器の一対の前記第2被把持部を把持している状態で、前記第1検出器は前記第2被把持部の前記被検出部を検出せず、前記第2検出器は前記第2被把持部の前記被検出部を検出する、請求項1又は2に記載の搬送車。
【請求項4】
前記被検出部は、前記第1被把持部及び前記第2被把持部のそれぞれの上面に設けられた位置決め用凹部であり、
前記第1検出器は、前記把持装置に対して上下動自在に支持された第1検出体と、前記第1検出体の上下動を検出する第1センサと、を備え、
前記第2検出器は、前記把持装置に対して上下動自在に支持された第2検出体と、前記第2検出体の上下動を検出する第2センサと、を備え、
前記第1検出体は、前記把持装置が前記把持基準位置に配置された状態で、前記第1被把持部の前記位置決め用凹部に対して上側から嵌合し、前記第2被把持部には接触しない位置に配置され、
前記第2検出体は、前記把持装置が前記把持基準位置に配置された状態で、前記第2被把持部の前記位置決め用凹部に対して上側から嵌合し、前記第1被把持部には接触しない位置に配置され、
前記第1検出体が、前記位置決め用凹部に嵌合することにより、前記第1被把持部に対する前記把持装置の位置決めが行われ、
前記第2検出体が、前記位置決め用凹部に嵌合することにより、前記第2被把持部に対する前記把持装置の位置決めが行われ、
前記第1センサは、前記第1検出体の上下動に基づいて前記第1検出体が前記位置決め用凹部に嵌合しているか否かを検出し、
前記第1検出器は、前記第1検出体が前記位置決め用凹部に嵌合していることを前記第1センサにより検出した場合に、前記第1被把持部の前記被検出部を検出したものとし、
前記第2センサは、前記第2検出体の上下動に基づいて前記第2検出体が前記位置決め用凹部に嵌合しているか否かを検出し、
前記第2検出器は、前記第2検出体が前記位置決め用凹部に嵌合していることを前記第2センサにより検出した場合に、前記第2被把持部の前記被検出部を検出したものとする、請求項1又は2に記載の搬送車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行経路に沿って走行して、第1容器と第2容器とを含む複数種類の容器を搬送する搬送車に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特開2005-064130号公報(特許文献1)には、容器を収容する収容部と、容器を把持する把持装置と、把持装置を移載対象箇所に対して昇降させる昇降装置と、を備えた搬送車が開示されている。以下、背景技術の説明において括弧内に示された符号は、特許文献1のものである。
【0003】
特許文献1に開示された搬送車(1)は、収納容器(51)におけるフランジ部材(53)を把持機構(32)によって把持することで、収納容器(51)の移載を行っている。把持機構(32)は、互いに逆方向に移動することによって開閉する一対の爪部材(33)を備えている。一対の爪部材(33)は、閉状態になることによって、フランジ部材(53)を両側から挟みつつ下方から支持するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に開示された搬送車(1)が移載対象としている収納容器(51)は、フランジ部材(53)を1つのみ有しており、この1つのフランジ部材(53)が、搬送車(1)の把持装置によって把持される被把持部とされている。この種の分野では、一対の被把持部を有する容器を取り扱う場合がある。さらには、一対の被把持部の配置位置が異なるなどの構造の異なる複数種類の容器が、同一の設備で取り扱われる場合がある。この場合には、複数種類の容器を同一の把持動作によって把持することは難しい。そのため、容器の種類ごとに専用の搬送車を用いることが考えられるが、この場合、搬送車1台が対応可能な容器の種類が限られるため、設備全体として容器の搬送効率が低下し得る。
【0006】
上記実情に鑑みて、複数種類の容器それぞれについて種類を判別可能であると共に当該複数種類の容器を把持可能な搬送車を実現することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
走行経路に沿って走行して、第1容器と第2容器とを含む複数種類の容器を搬送する搬送車であって、
前記容器を把持する把持装置と、
前記把持装置を昇降させる昇降装置と、
前記把持装置により把持する前記容器の種類を判別する判別装置と、を備え、
前記容器は、容器本体と、前記容器本体の上面から上側に突出するように設けられて前記把持装置により把持される一対の被把持部と、を備え、
前記第1容器は、前記容器本体としての第1容器本体と、一対の前記被把持部としての一対の第1被把持部と、を備え、
前記第2容器は、前記容器本体としての第2容器本体と、一対の前記被把持部としての一対の第2被把持部と、を備え、
前記第1被把持部と前記第2被把持部とのそれぞれには、被検出部が設けられており、
前記第1容器本体の上面に沿う方向の一対の前記第1被把持部の間隔である第1間隔は、前記第2容器本体の上面に沿う方向の一対の前記第2被把持部の間隔である第2間隔よりも小さく、
前記判別装置は、第1検出器及び第2検出器を備え、
把持対象の前記容器である対象容器に対して前記把持装置が把持動作を開始する基準となる、前記対象容器を基準とした前記把持装置の相対位置を把持基準位置として、
前記第1検出器は、前記把持装置に取り付けられ、前記把持装置が前記把持基準位置に配置された状態で、前記第1被把持部の前記被検出部を検出すると共に前記第2被把持部の前記被検出部を検出しないように構成され、
前記第2検出器は、前記把持装置に取り付けられ、前記把持装置が前記把持基準位置に配置された状態で、前記第2被把持部の前記被検出部を検出すると共に前記第1被把持部の前記被検出部を検出しないように構成されている。
【0008】
本構成によれば、把持装置が把持基準位置に配置された状態において、第1検出器によって第1被把持部の被検出部が検出された場合には、対象容器が第1容器であると判別できる。また、把持装置が把持基準位置に配置された状態において、第2検出器によって第2被把持部の被検出部が検出された場合には、対象容器が第2容器であると判別できる。そして、搬送車は、対象容器が第1容器であると判別した場合には、一対の第1被把持部の間隔である第1間隔に応じた把持動作を行うことにより第1容器を適切に把持できる。また、搬送車は、対象容器が第2容器であると判別した場合には、一対の第2被把持部の間隔である第2間隔に応じた把持動作を行うことにより第2容器を適切に把持できる。以上のように、本構成によれば、複数種類の容器それぞれについて種類を判別可能であると共に当該複数種類の容器を把持可能な搬送車を実現することができる。
【0009】
本開示に係る技術のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図6】判別装置によって第1容器を判別している様子を示す図
【
図7】判別装置によって第2容器を判別している様子を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
搬送車は、走行経路に沿って走行して、第1容器と第2容器とを含む複数種類の容器を搬送するように構成されている。以下、搬送車が搬送設備に適用される場合を例示して、搬送車の実施形態について説明する。
【0012】
図1及び
図2に示すように、搬送設備100は、規定の走行経路Rと、走行経路Rを走行して容器80を搬送する搬送車1と、走行経路Rに沿って設けられた複数の移載対象箇所9と、を備えている。
【0013】
走行経路Rは、床面から上方に離間した位置に設定されている。本例では、走行経路Rは、天井付近に設けられたレールRaを用いて構成されている。搬送車1は、いわゆる天井搬送車として構成されており、レールRaに沿って走行する。移載対象箇所9は、走行経路Rよりも下方に配置されている。搬送車1は、容器80を昇降させることにより、移載対象箇所9との間で容器80を移載するように構成されている。
【0014】
本実施形態では、搬送設備100は、搬送車1を複数備えている。複数の搬送車1のそれぞれは、設備を統括管理する上位制御装置(不図示)から搬送指令を受けて、当該搬送指令に応じたタスクを実行するように構成されている。例えば搬送指令には、容器80の搬送元と搬送先との情報が含まれる。搬送指令を受けた搬送車1は、搬送元から搬送先まで容器80を搬送する。搬送元や搬送先には、移載対象箇所9が含まれる。
【0015】
搬送設備100で取り扱われる容器80としては、様々なものがある。本例では、搬送設備100は、半導体製造工場に用いられる。そのため、基板(ウェハやパネル等)を収容する基板収容容器(いわゆるFOUP:Front Opening Unified Pod)や、レチクルを収容するレチクル収容容器(いわゆるレチクルポッド)などが、容器80とされる。この場合、搬送車1は、基板収容容器やレチクル収容容器などの容器80を、走行経路Rに沿って各工程間に亘って搬送する。
【0016】
本実施形態では、移載対象箇所9は、容器80に対する処理を行う処理装置90と、処理装置90に隣接して配置された支持部91と、を備えている。本明細書において「容器80に対する処理」とは、容器80に収容された被収容物(基板やレチクル)に対する処理を意味する。搬送車1は、処理装置90による処理を終えた容器80を支持部91から受け取り、又は、処理装置90による処理が済んでいない容器80を支持部91に引き渡す。なお、処理装置90は、例えば、薄膜形成、フォトリソグラフィー、エッチングなどの種々の処理を行う。
【0017】
図2に示すように、搬送車1は、レールRaを走行する走行装置11と、容器80を収容する収容部Sと、を備えている。搬送車1は、収容部Sに容器80を収容した状態で、走行装置11によってレールRaを走行する。これにより搬送車1は、搬送指令によって指定された搬送先へ容器80を搬送する。
【0018】
また、搬送車1は、容器80を把持する把持装置12と、把持装置12を昇降させる昇降装置13と、を備えている。把持装置12は、容器80が備える被把持部801を把持する。昇降装置13は、把持装置12を収容部Sと走行経路Rよりも下側に配置された移載対象箇所9との間で昇降させる。本実施形態では、搬送車1は、把持装置12及び昇降装置13を制御する制御装置C(
図5参照)を更に備えている。なお、制御装置Cは、走行装置11も制御するように構成されている。
【0019】
本実施形態では、走行装置11は、レールRaを転動する複数の走行輪11aと、複数の走行輪11aのうち少なくとも一部を駆動する走行駆動部(例えば電動モータ等)と、を備えている。
【0020】
本実施形態では、収容部Sは、走行装置11に吊下げ支持されており、レールRaよりも下方に配置されている。収容部Sは、把持装置12に把持された容器80を収容可能に構成されている。搬送車1が走行経路Rに沿って容器80を搬送する場合には、容器80は収容部Sに収容される。
【0021】
本実施形態では、把持装置12は、複数の把持体121と、複数の把持体121を駆動する把持駆動機構12m(
図6及び
図7参照)と、を備えている。例えば、把持駆動機構12mは、複数の把持体121に把持動作を行わせるための機構と、複数の把持体121に駆動力を付与するための駆動源(例えば電動モータ等)と、を含む。把持装置12の詳細については後述する。
【0022】
本実施形態では、昇降装置13は、把持装置12に連結された昇降ベルト13aと、昇降ベルト13aを駆動する昇降駆動部と、を備えている。詳細な図示は省略するが、昇降駆動部は、昇降ベルト13aが巻回される回転体と、当該回転体を回転させる駆動源(例えば電動モータ等)と、を備えている。回転体が、正転方向または逆転方向に回転することで、昇降ベルト13aが巻き取られ、又は繰り出される。これにより、昇降ベルト13aに連結された把持装置12が昇降する。
【0023】
次に、容器80について説明する。上述したように、容器80は、被収容物を収容するためのものである。
【0024】
図3に示すように、容器80は、容器本体800と、容器本体800の上面から上側に突出するように設けられて把持装置12により把持される一対の被把持部801と、を備えている。容器本体800は、被収容物が収容される部分であり、箱状に形成されている。一対の被把持部801は、互いに配列方向Dxに離間して配置されている。
【0025】
なお、本明細書では、把持対象の容器80(対象容器80)が備える一対の被把持部801のそれぞれを対象被把持部801とした場合に、一対の対象被把持部801が並ぶ方向を配列方向Dxとしている。そして、上下方向視で配列方向Dxに直交する方向を直交方向Dyとしている。
【0026】
本実施形態では、一対の被把持部801のそれぞれは、容器本体800の上面から延びる複数の支柱801aと、複数の支柱801aそれぞれの上端を連結する板状部801bと、を備えている。
【0027】
1つの被把持部801を構成する複数の支柱801aは、直交方向Dyに沿って互いに間隔を空けて配置されている。図示の例では、3つの支柱801aが等間隔に配置されている。詳細は後述するが、複数の支柱801a同士の間隔は、把持装置12の把持体121が通ることが可能な間隔となっている。
【0028】
板状部801bは、複数の支柱801aが並ぶ方向(直交方向Dy)に沿う長尺状に形成されている。板状部801bには、当該板状部801bの上面から下方に凹む位置決め用凹部801cが形成されている。複数(図示の例では2つ)の位置決め用凹部801cが、板状部801bに形成されている。詳細は後述するが、把持装置12が被把持部801を把持する場合に、位置決め用凹部801cには、把持装置12の位置決め部122が嵌め込まれる。
【0029】
図6及び
図7に示すように、搬送設備100では、複数種類の容器80が取り扱われる。複数種類の容器80には、第1容器81と第2容器82とが含まれる。
【0030】
第1容器81と第2容器82とは、同等の主要構成を備えている。すなわち、第1容器81は、容器本体800としての第1容器本体810と、一対の被把持部801としての一対の第1被把持部811と、を備えている。第2容器82は、容器本体800としての第2容器本体820と、一対の被把持部801としての一対の第2被把持部821と、を備えている。
【0031】
第1容器81と第2容器82とは、詳細な構成が異なる。具体的には、容器本体800に設けられた一対の被把持部801の相対位置が異なる。すなわち、第1容器本体810の上面に沿う方向の一対の第1被把持部811の間隔である第1間隔L1(
図6参照)は、第2容器本体820の上面に沿う方向の一対の第2被把持部821の間隔である第2間隔L2(
図7参照)よりも小さくなっている。第1間隔L1は、配列方向Dxにおける一対の第1被把持部811の間隔である。第2間隔L2は、配列方向Dxにおける一対の第2被把持部821の間隔である。なお、第1容器本体810と第2容器本体820との大きさも異なっており、これにより、例えば、各容器80で、異なる種類や大きさの被収容物を収容することができる。
【0032】
図4は、把持装置12を下方から見た斜視図である。
図4では、水平方向に沿う特定の方向を第1方向Xとして示しており、上下方向視で第1方向Xに直交する方向を第2方向Yとして示している。
【0033】
図4に示すように、把持装置12は、一対の把持体121と、一対の把持体121を水平方向に沿う把持動作方向に互いに接近及び離間させる把持駆動機構12m(
図6及び
図7参照)と、を備えている。本明細書では、把持動作方向は、第1方向Xに等しい。
【0034】
本実施形態では、把持装置12は、把持本体部120と、複数の位置決め部122と、を備えている。一対の把持体121、及び、複数の位置決め部122は、把持本体部120によって支持されており、把持本体部120から下方に突出するように設けられている。なお、把持本体部120には、上述した昇降ベルト13aが連結されている(
図6及び
図7参照)。
【0035】
本実施形態では、把持装置12には、4つの位置決め部122が設けられている。4つの位置決め部122のうち2つが、一対の第1被把持部811に設けられた位置決め用凹部801cに対応する位置に配置されている。4つの位置決め部122のうち他の2つが、一対の第2被把持部821に設けられた位置決め用凹部801cに対応する位置に配置されている。
【0036】
一対の把持体121のそれぞれは、複数の把持爪121Cを備えている。本例では、一対の把持体121のそれぞれは、一対の把持爪121Cを備えている。1つの把持体121が備える一対の把持爪121Cは、第1方向X(把持動作方向)の同じ位置において、第2方向Y(上下方向視で把持動作方向に直交する方向)に間隔を空けて配置されている。一対の把持爪121Cは、把持本体部120の内部まで貫通しており、把持本体部120の内部において一体化されている。従って、一対の把持爪121Cは、一体的に動作する。
【0037】
本実施形態では、把持爪121Cは、把持本体部120に支持されると共に把持本体部120から下方に延在する基部121aと、基部121aから水平方向の外側に延在する延出部121bと、を備えている。本例では、把持爪121Cは、側面視(第2方向Y視)で略L字状を成すように形成されている。
【0038】
図6及び
図7に示すように、把持対象の容器80である対象容器80に対して把持装置12が把持動作を開始する基準となる、対象容器80を基準とした把持装置12の相対位置を把持基準位置Pとする。また、対象容器80の被把持部801を対象被把持部801とする。
【0039】
本実施形態では、一対の把持体121は、把持装置12が把持基準位置Pに配置された状態において、一対の対象被把持部801の間に配置される。そして、一対の把持体121は、一対の対象被把持部801の間において、互いに把持動作方向に沿って離間するように動作することで、一対の被把持部801を配列方向Dxの内側から把持するように構成されている。
【0040】
このとき、各把持爪121Cにおける延出部121bは、隣接する複数の支柱801aの間を通って、板状部801bに対して下方から対向する位置に配置される。この状態で、把持装置12の全体が上昇すると、対象容器80の支持が支持部91(
図2参照)から把持装置12に移行し、各把持爪121Cにおける延出部121bが、板状部801bを下方から持ち上げる。反対に、各把持爪121Cにおける延出部121bが板状部801bを持ち上げた状態から、把持装置12の全体が下降すると、対象容器80の支持が把持装置12から支持部91(
図2参照)へ移行し、各把持爪121Cにおける延出部121bが板状部801bから下方に離間する。
【0041】
把持装置12が把持基準位置Pに配置された状態で、一対の把持体121の間の中心位置A1が、一対の対象被把持部801の間の中心位置A2に一致(或いは略一致)する。さらに本実施形態では、把持装置12が把持基準位置Pに配置された状態で、延出部121bが容器本体800よりも上方であって板状部801bよりも下方の高さに配置された状態となる。把持装置12は、このような把持基準位置Pに配置されることで、一対の対象被把持部801の把持及び把持解除を行うことができる状態となる。すなわち、把持装置12が把持基準位置Pに配置された状態で、一対の把持体121が互いに離間するように動作することで、把持装置12による一対の被把持部801の把持が行われる。一方、一対の把持体121が互いに接近するように動作することで、把持装置12による被把持部801の把持解除が行われる。一対の把持体121の動作は、把持本体部120の内部に設けられた把持駆動機構12mによって実現される。
【0042】
本実施形態では、複数の位置決め部122は、把持本体部120から下方に突出するように設けられている。複数の位置決め部122のそれぞれは、容器80の被把持部801に設けられた位置決め用凹部801cに対応する位置に設けられている。複数の位置決め部122のそれぞれは、少なくとも、把持装置12が一対の被把持部801を把持している状態で、対応する位置決め用凹部801cに嵌まり込むように構成されている。また、搬送車1が、支持部91に載置されている容器80を受け取る場合には、把持装置12の支持部91への下降に伴って、複数の位置決め部122のそれぞれが位置決め用凹部801cに嵌まり込む。すなわち、把持装置12が一対の被把持部801を把持するよりも前に、複数の位置決め部122のそれぞれが位置決め用凹部801cに嵌まり込む。これにより、一対の把持体121のそれぞれが、対応する被把持部801に対して適正位置に位置決めされる。その後、一対の把持体121を動作させることで、一対の被把持部801を適切に把持することが可能となる。
【0043】
ここで、上述のように、第1容器81と第2容器82とは、詳細な構成が異なっている。すなわち、一対の第1被把持部811の間隔である第1間隔L1(
図6参照)は、一対の第2被把持部821の間隔である第2間隔L2(
図7参照)よりも小さくなっている。本開示に係る搬送車1は、このように構成が異なる第1容器81と第2容器82との双方を把持可能に構成されている。以下、詳細に説明する。
【0044】
搬送車1は、把持装置12により把持する容器80の種類を判別する判別装置14を備えている。搬送車1は、容器80を把持する前に、当該容器80の種類を判別装置14によって判別する。搬送車1は、把持対象の容器80である対象容器80の種類を判別した後、判別した種類に応じて対象容器80を把持するための把持動作を行う。本実施形態では、制御装置Cが、判別装置14を制御する。なお、上述のように、制御装置Cは、走行装置11、把持装置12、及び、昇降装置13も制御する。
【0045】
図6及び
図7に示すように、本実施形態では、制御装置Cは、走行経路Rよりも下側に配置された支持部91(
図2参照)に支持された対象容器80を把持装置12により把持する場合に、一対の把持体121が一対の対象被把持部801の間に配置され、且つ、把持動作方向(本例では第1方向X)が一対の対象被把持部801の配列方向Dxに沿う方向となるように、把持装置12を把持基準位置Pまで下降させて、判別装置14により対象容器80の種類を判別する。そして、制御装置Cは、判別装置14による判別結果に基づいて、一対の把持体121の把持動作方向に沿う移動量を制御する。本実施形態では、制御装置Cは、一対の把持体121の把持動作方向の間隔が、一対の対象被把持部801の間隔に応じた間隔となるように、一対の把持体121を離間させる。
【0046】
判別装置14は、第1検出器141及び第2検出器142を備えている。本実施形態では、第1検出器141及び第2検出器142は、把持装置12に設けられている。判別装置14は、第1検出器141を用いて第1容器81を検出し、第2検出器142を用いて第2容器82を検出する。
【0047】
第1容器81における第1被把持部811と第2容器82における第2被把持部821とのそれぞれには、被検出部Tが設けられている。被検出部Tは、第1検出器141又は第2検出器142によって検出される対象被把持部801の一部である。本例では、第1被把持部811に設けられた被検出部Tは、第1検出器141によって検出される。第2被把持部821に設けられた被検出部Tは、第2検出器142によって検出される。
【0048】
本実施形態では、被検出部Tは、第1被把持部811及び第2被把持部821のそれぞれの上面(詳細には板状部801bの上面)に設けられた位置決め用凹部801cである。
【0049】
本実施形態では、第1容器81における一対の第1被把持部811に設けられた複数の位置決め用凹部801cのうち一部が、第1検出器141によって検出される被検出部Tである。
図6に示す例では、一対の第1被把持部811に設けられた4つの位置決め用凹部801cのうち1つが、第1検出器141によって検出される被検出部Tとされている。第1検出器141は、把持装置12が把持基準位置Pに配置された状態で、第1被把持部811の被検出部T(位置決め用凹部801c)に対して上下方向視で重複する位置に配置される。
【0050】
本実施形態では、第2容器82における一対の第2被把持部821に設けられた複数の位置決め用凹部801cのうち一部が、第2検出器142によって検出される被検出部Tである。
図7に示す例では、一対の第2被把持部821に設けられた4つの位置決め用凹部801cのうち1つが、第2検出器142によって検出される被検出部Tとされている。第2検出器142は、把持装置12が把持基準位置Pに配置された状態で、第2被把持部821の被検出部T(位置決め用凹部801c)に対して上下方向視で重複する位置に配置される。
【0051】
第1検出器141は、把持装置12に取り付けられ、把持装置12が把持基準位置Pに配置された状態で、第1被把持部811の被検出部Tを検出すると共に第2被把持部821の被検出部Tを検出しないように構成されている。
【0052】
図6に示すように、本実施形態では、第1検出器141は、把持装置12が把持基準位置Pに配置された状態で、第1被把持部811の被検出部T(位置決め用凹部801c)に対して上下方向視で重複すると共に第2被把持部821の被検出部T(
図7参照)に対しては上下方向視で重複しない位置に配置される。
【0053】
第2検出器142は、把持装置12に取り付けられ、把持装置12が把持基準位置Pに配置された状態で、第2被把持部821の被検出部Tを検出すると共に第1被把持部811の被検出部Tを検出しないように構成されている。
【0054】
図7に示すように、本実施形態では、第2検出器142は、把持装置12が把持基準位置Pに配置された状態で、第2被把持部821の被検出部T(位置決め用凹部801c)に対して上下方向視で重複すると共に第1被把持部811の被検出部T(
図6参照)に対しては上下方向視で重複しない位置に配置される。
【0055】
図6に示すように、第1検出器141は、一対の把持体121の間の中心位置A1を基準として、把持動作方向(第1方向X)における第2検出器142と同じ側に配置されている。第1検出器141は、第2検出器142よりも把持動作方向(第1方向X)の内側(中心位置A1側)に配置されている。
【0056】
本実施形態では、第1検出器141は、把持装置12に対して上下動自在に支持された第1検出体141aと、第1検出体141aの上下動を検出する第1センサ141sと、を備えている。
【0057】
本実施形態では、把持装置12に設けられた複数の位置決め部122のうち一部が、第1検出体141aとされている。上述のように本例では、把持装置12には、4つの位置決め部122が設けられており、4つの位置決め部122のうち1つが、第1検出体141aとされている。
【0058】
把持本体部120の底部には、把持本体部120の内部と外部とに開口する孔部(不図示)が形成されている。第1検出体141aは、孔部を貫通するように配置されている。孔部は、第1検出体141aを上下方向に移動可能に案内すると共に、第1検出体141aの水平方向の移動を規制するように構成されている。これにより、第1検出体141aは、把持本体部120に対して、水平方向の移動が規制された状態で上下動自在となっている。
【0059】
把持装置12の全体が昇降装置13によって下降することで、第1検出体141aは、把持装置12が把持基準位置Pに配置されるよりも前に第1被把持部811の被検出部T(位置決め用凹部801c)に接触する。把持装置12が更に下降することで、第1検出体141aは、把持本体部120に対して上方に動き、把持本体部120の内部に押し込まれる。そして、把持装置12の下降が更に継続されると、把持装置12は把持基準位置Pに配置される。
【0060】
第1検出体141aは、把持装置12が把持基準位置Pに配置された状態で、第1被把持部811の位置決め用凹部801cに対して上側から嵌合し、第2被把持部821には接触しない位置に配置されている(
図7も参照)。第1検出体141aが、位置決め用凹部801cに嵌合することにより、第1被把持部811に対する把持装置12の位置決めが行われる。
【0061】
第1センサ141sは、把持本体部120の内部に設けられている。第1センサ141sは、第1検出体141aの上下動に基づいて第1検出体141aが位置決め用凹部801c(被検出部T)に嵌合しているか否かを検出する。第1検出器141は、第1検出体141aが位置決め用凹部801cに嵌合していることを第1センサ141sにより検出した場合に、第1被把持部811の被検出部Tを検出したものとする。
【0062】
本実施形態では、第1センサ141sは、投光部と受光部とを有する投受光部(後述する下側投受光部Sd1)を備えており、光軸の遮断の有無に基づいて、第1検出体141aの状態を検出するように構成されている。第1検出体141aが被検出部Tに接触していない通常の状態では、第1センサ141sの光軸は、第1検出体141aの一部によって遮断されている。そして、第1検出体141aが、第1被把持部811の被検出部Tによって押し込まれて、把持本体部120の内部へ突出することにより、第1センサ141sの光軸の遮断が解除される(受光部が投光部からの光を受ける)。これにより、第1センサ141sは、第1検出体141aが位置決め用凹部801c(被検出部T)に嵌合していることを検出する。
【0063】
本実施形態では、第1センサ141sは、第1検出体141aの上下動に基づいて、把持装置12が下降限度にあることを検出する。
図6の状態よりも把持装置12がさらに下降した状態、すなわち、把持体121の延出部121bが第1容器本体810に対して僅かな隙間を空けて隣接している状態(或いは接触している状態)が、把持装置12が下降限度に配置された状態である。下降限度以上に把持装置12が下降すると、把持体121の延出部121bと第1容器本体810とが強く接触して、移載エラーとなり得る。従って、制御装置Cは、第1センサ141sが把持装置12の下降限度を検出した場合には、昇降装置13による把持装置12の下降を停止する。
【0064】
本実施形態では、第1センサ141sは、下側投受光部Sd1と、下側投受光部Sd1よりも上側に配置された上側投受光部Su1と、を備えている。下側投受光部Sd1での光軸の遮断の有無によって、第1検出体141aが位置決め用凹部801c(被検出部T)に嵌合していることが検出される。上側投受光部Su1での光軸の遮断の有無によって、把持装置12が下降限度にあることが検出される。本例では、第1検出体141aの把持本体部120の内部への突出量が、予め設定された設定量となった場合に、第1検出体141aの一部が上側投受光部Su1の光軸を遮断する。上記設定量は、把持装置12の下降限度との関係で適宜定められる。
【0065】
このように制御装置Cは、第1検出器141によって、対象容器80が第1容器81であると判別すると共に、把持装置12が第1容器81に対して下降限度にあることを検出する。
【0066】
上述のように、本実施形態では、把持装置12には、一対の第1被把持部811及び一対の第2被把持部821に対応して配置された4つの位置決め部122が設けられている。そして、4つの位置決め部122のうち1つが第1検出体141aとされている。対象容器80が第1容器81である場合には、第1検出体141aが第1被把持部811の位置決め用凹部801c(被検出部T)に嵌まり込む。
図6(a)に示すように、本例では、4つの位置決め部122のうち第1検出体141aに対して上下方向視で対角の位置に配置された位置決め部122が、第1検出体141aが嵌まり込む位置決め用凹部801c(被検出部T)が設けられた第1被把持部811とは異なる第1被把持部811の位置決め用凹部801cに嵌まり込む。すなわち、4つの位置決め部122のうち上下方向視で対角に配置された2つの位置決め部122によって、把持装置12が第1容器81に対して位置決めされる。そして、当該2つの位置決め部122のうち1つが、第1検出体141aとして、対象容器80が第1容器81であることを検出する。
【0067】
制御装置Cは、対象容器80が第1容器81であると判別した場合には、把持駆動機構12mにより一対の把持体121を第1間隔L1に応じた間隔となるまで離間させる。これにより、一対の把持爪121Cにおける延出部121bが、一対の第1被把持部811の板状部801bに対して下方に配置される。
【0068】
制御装置Cは、一対の把持体121を第1間隔L1に応じた間隔となるまで離間させた後は、昇降装置13により把持装置12を上昇させる。これにより、一対の把持体121が、一対の第1被把持部811を下方から持ち上げる。そして、把持装置12による第1容器81の把持が完了する。
【0069】
本実施形態では、把持装置12が第1容器81の一対の第1被把持部811を把持している状態で、第1検出器141は第1被把持部811の被検出部Tを検出し、第2検出器142は第1被把持部811の被検出部Tを検出しない。これにより、把持装置12が対象容器80を把持している状態でも、判別装置14は、対象容器80が第1容器81であることを判別することができる。従って、把持装置12が対象容器80を把持した後に、把持している容器80の種類を記憶しておかなくても、対象容器80を把持している間は、常に判別装置14による判別結果を参照することができる。このような判別結果は、例えば、対象容器80を搬送する搬送動作、対象容器80を昇降させる昇降動作、対象容器80の把持を解除する把持解除動作等に用いることができる。
【0070】
図7に示すように、第2検出器142は、一対の把持体121の間の中心位置A1を基準として、把持動作方向(第1方向X)における第1検出器141と同じ側に配置されている。第2検出器142は、第1検出器141よりも把持動作方向(第1方向X)の外側(中心位置A1側とは反対側)に配置されている。
【0071】
本実施形態では、第2検出器142は、把持装置12に対して上下動自在に支持された第2検出体142aと、第2検出体142aの上下動を検出する第2センサ142sと、を備えている。
【0072】
本実施形態では、把持装置12に設けられた複数の位置決め部122のうち一部が、第2検出体142aとされている。上述のように本例では、把持装置12には、4つの位置決め部122が設けられており、4つの位置決め部122のうち1つが、第2検出体142aとされている。
【0073】
本実施形態では、把持本体部120の底部には、把持本体部120の内部と外部とに開口する孔部(不図示)が形成されている。第2検出体142aは、孔部を貫通するように配置されている。孔部は、第2検出体142aを上下方向に移動可能に案内すると共に、第2検出体142aの水平方向の移動を規制するように構成されている。これにより、第2検出体142aは、把持本体部120に対して、水平方向の移動が規制された状態で上下動自在となっている。
【0074】
把持装置12の全体が昇降装置13によって下降することで、第2検出体142aは、把持装置12が把持基準位置Pに配置されるよりも前に第2被把持部821の被検出部T(位置決め用凹部801c)に接触する。把持装置12が更に下降することで、第2検出体142aは、把持本体部120に対して上方に動き、把持本体部120の内部に押し込まれる。そして、把持装置12の下降が更に継続されると、把持装置12は把持基準位置Pに配置される。
【0075】
第2検出体142aは、把持装置12が把持基準位置Pに配置された状態で、第2被把持部821の位置決め用凹部801cに対して上側から嵌合し、第1被把持部811には接触しない位置に配置されている(
図6も参照)。第2検出体142aが、位置決め用凹部801cに嵌合することにより、第2被把持部821に対する把持装置12の位置決めが行われる。
【0076】
第2センサ142sは、把持本体部120の内部に設けられている。第2センサ142sは、第2検出体142aの上下動に基づいて第2検出体142aが位置決め用凹部801cに嵌合しているか否かを検出する。第2検出器142は、第2検出体142aが位置決め用凹部801cに嵌合していることを第2センサ142sにより検出した場合に、第2被把持部821の被検出部Tを検出したものとする。
【0077】
本実施形態では、第2センサ142sは、投光部と受光部とを有する投受光部(後述する下側投受光部Sd2)を備えており、光軸の遮断の有無に基づいて、第2検出体142aの状態を検出するように構成されている。第2検出体142aが被検出部Tに接触していない通常の状態では、第2センサ142sの光軸は、第2検出体142aの一部によって遮断されている。そして、第2検出体142aが、第2被把持部821の被検出部Tによって押し込まれて、把持本体部120の内部へ突出することにより、第2センサ142sの光軸の遮断が解除される(受光部が投光部からの光を受ける)。これにより、第2センサ142sは、第2検出体142aが位置決め用凹部801c(被検出部T)に嵌合していることを検出する。
【0078】
本実施形態では、第2センサ142sは、第2検出体142aの上下動に基づいて、把持装置12が下降限度にあることを検出する。
図7の状態よりも把持装置12がさらに下降した状態、すなわち、把持体121の延出部121bが第2容器本体820に対して僅かな隙間を空けて隣接している状態(或いは接触している状態)が、把持装置12が下降限度に配置された状態である。下降限度以上に把持装置12が下降すると、把持体121の延出部121bと第2容器本体820とが強く接触して、移載エラーとなり得る。従って、制御装置Cは、第2センサ142sが把持装置12の下降限度を検出した場合には、昇降装置13による把持装置12の下降を停止する。
【0079】
本実施形態では、第2センサ142sは、下側投受光部Sd2と、下側投受光部Sd2よりも上側に配置された上側投受光部Su2と、を備えている。下側投受光部Sd2での光軸の遮断の有無によって、第2検出体142aが位置決め用凹部801c(被検出部T)に嵌合していることが検出される。上側投受光部Su2での光軸の遮断の有無によって、把持装置12が下降限度にあることが検出される。本例では、第2検出体142aの把持本体部120の内部への突出量が、予め設定された設定量となった場合に、第2検出体142aの一部が上側投受光部Su2の光軸を遮断する。上記設定量は、把持装置12の下降限度との関係で適宜定められる。
【0080】
このように制御装置Cは、第2検出器142によって、対象容器80が第2容器82であると判別すると共に、把持装置12が第2容器82に対して下降限度にあることを検出する。
【0081】
本実施形態では、把持装置12に設けられた4つの位置決め部122のうち1つが、第2検出体142aとされている。対象容器80が第2容器82である場合には、第2検出体142aが第2被把持部821の位置決め用凹部801c(被検出部T)に嵌まり込む。
図7(a)に示すように、本例では、4つの位置決め部122のうち第2検出体142aに対して上下方向視で対角の位置に配置された位置決め部122が、第2検出体142aが嵌まり込む位置決め用凹部801c(被検出部T)が設けられた第2被把持部821とは異なる第2被把持部821の位置決め用凹部801cに嵌まり込む。すなわち、4つの位置決め部122のうち上下方向視で対角に配置された2つの位置決め部122によって、把持装置12が第2容器82に対して位置決めされる。そして、当該2つの位置決め部122のうち1つが、第2検出体142aとして、対象容器80が第2容器82であることを検出する。
【0082】
制御装置Cは、対象容器80が第2容器82であると判別した場合には、把持駆動機構12mにより一対の把持体121を第2間隔L2に応じた間隔となるまで離間させる。これにより、一対の把持爪121Cにおける延出部121bが、一対の第2被把持部821の板状部801bに対して下方に配置される。
【0083】
制御装置Cは、一対の把持体121を第2間隔L2に応じた間隔となるまで離間させた後は、昇降装置13により把持装置12を上昇させる。これにより、一対の把持体121が、一対の第2被把持部821を下方から持ち上げる。そして、把持装置12による第2容器82の把持が完了する。
【0084】
本実施形態では、把持装置12が第2容器82の一対の第2被把持部821を把持している状態で、第1検出器141は第2被把持部821の被検出部Tを検出せず、第2検出器142は第2被把持部821の被検出部Tを検出する。これにより、把持装置12が対象容器80を把持している状態でも、判別装置14は、対象容器80が第2容器82であることを判別することができる。従って、把持装置12が対象容器80を把持した後に、把持している容器80の種類を記憶しておかなくても、対象容器80を把持している間は常に、判別装置14による判別結果を参照することができる。このような判別結果は、例えば、対象容器80を搬送する搬送動作、対象容器80を昇降させる昇降動作、対象容器80の把持を解除する把持解除動作等に用いることができる。
【0085】
以上説明した搬送車1によれば、複数種類の容器80それぞれについて種類を判別可能であると共に当該複数種類の容器80を把持することが可能となる。
【0086】
〔その他の実施形態〕
次に、搬送車のその他の実施形態について説明する。
【0087】
(1)上記の実施形態では、第1検出器141と第2検出器142とが、一対の把持体121の間の中心位置A1を基準として、把持動作方向(第1方向X)における同じ側に配置されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることはない。
図8に示すように、第1検出器141と第2検出器142とは、一対の把持体121の間の中心位置A1を基準として、把持動作方向(第1方向X)における互いに反対側に配置されていてもよい。なお、図示の例では、第1検出器141と第2検出器142とは、第2方向Y(上下方向視で把持動作方向に直交する方向)における同じ位置に配置されている。但し、第1検出器141と第2検出器142とは、第2方向Yにおける異なる位置に配置されていてもよい。
【0088】
(2)上記の実施形態では、第1検出器141が、第1検出体141aと第1検出体141aの上下動を検出する第1センサ141sとを備え、第2検出器142が、第2検出体142aと第2検出体142aの上下動を検出する第2センサ142sとを備えている例について説明した。しかし、このような例に限定されることはなく。例えば、
図9に示すように、第1検出器141は、把持本体部120の孔部h1から光を投光して第1被把持部811を検出する光センサを用いて構成されていてもよい。また、第2検出器142は、把持本体部120の孔部h2から光を投光して第2被把持部821を検出する光センサを用いて構成されていてもよい。
【0089】
(3)上記の実施形態では、被検出部Tが、第1被把持部811及び第2被把持部821のそれぞれの上面に設けられた位置決め用凹部801cである例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、被検出部Tは、第1被把持部811及び第2被把持部821のそれぞれの一部であればよく、例えば、第1被把持部811及び第2被把持部821のそれぞれの上面自体であってもよい。或いは、第1被把持部811及び第2被把持部821のそれぞれに取り付けられた別部材の一部又は全部が、被検出部Tとされていてもよい。
【0090】
(4)上記の実施形態では、一対の把持体121が、一対の対象被把持部801の間において、互いに把持動作方向(第1方向X)に沿って離間するように動作することで、一対の被把持部801を配列方向Dxの内側から把持するように構成されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、一対の把持体121は、一対の対象被把持部801に対して配列方向Dxの外側に配置され、互いに把持動作方向に沿って接近するように動作することで、一対の被把持部801を配列方向Dxの外側から把持するように構成されていてもよい。この場合、制御装置Cは、一対の把持体121が一対の対象被把持部801に対して配列方向Dxの外側に配置され、且つ、把持動作方向(第1方向X)が一対の対象被把持部801の配列方向Dxに沿う方向となるように、把持装置12を把持基準位置Pまで下降させる。その後、制御装置Cは、一対の把持体121を把持動作方向(第1方向X)に沿って接近させるように動作させる。
【0091】
(5)上記の実施形態では、複数種類の容器80には、第1容器81と第2容器82とが含まれる例について説明した。複数種類の容器80には、第1容器81及び第2容器82以外の種類の容器80が含まれていてもよい。この場合、判別装置14は、第1検出器141及び第2検出器142以外にも、容器80の種類に応じた数の検出器を備えているとよい。
【0092】
(6)なお、上述した実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0093】
〔上記実施形態の概要〕
以下、上記において説明した搬送車について説明する。
【0094】
走行経路に沿って走行して、第1容器と第2容器とを含む複数種類の容器を搬送する搬送車であって、
前記容器を把持する把持装置と、
前記把持装置を昇降させる昇降装置と、
前記把持装置により把持する前記容器の種類を判別する判別装置と、を備え、
前記容器は、容器本体と、前記容器本体の上面から上側に突出するように設けられて前記把持装置により把持される一対の被把持部と、を備え、
前記第1容器は、前記容器本体としての第1容器本体と、一対の前記被把持部としての一対の第1被把持部と、を備え、
前記第2容器は、前記容器本体としての第2容器本体と、一対の前記被把持部としての一対の第2被把持部と、を備え、
前記第1被把持部と前記第2被把持部とのそれぞれには、被検出部が設けられており、
前記第1容器本体の上面に沿う方向の一対の前記第1被把持部の間隔である第1間隔は、前記第2容器本体の上面に沿う方向の一対の前記第2被把持部の間隔である第2間隔よりも小さく、
前記判別装置は、第1検出器及び第2検出器を備え、
把持対象の前記容器である対象容器に対して前記把持装置が把持動作を開始する基準となる、前記対象容器を基準とした前記把持装置の相対位置を把持基準位置として、
前記第1検出器は、前記把持装置に取り付けられ、前記把持装置が前記把持基準位置に配置された状態で、前記第1被把持部の前記被検出部を検出すると共に前記第2被把持部の前記被検出部を検出しないように構成され、
前記第2検出器は、前記把持装置に取り付けられ、前記把持装置が前記把持基準位置に配置された状態で、前記第2被把持部の前記被検出部を検出すると共に前記第1被把持部の前記被検出部を検出しないように構成されている。
【0095】
本構成によれば、把持装置が把持基準位置に配置された状態において、第1検出器によって第1被把持部の被検出部が検出された場合には、対象容器が第1容器であると判別できる。また、把持装置が把持基準位置に配置された状態において、第2検出器によって第2被把持部の被検出部が検出された場合には、対象容器が第2容器であると判別できる。そして、搬送車は、対象容器が第1容器であると判別した場合には、一対の第1被把持部の間隔である第1間隔に応じた把持動作を行うことにより第1容器を適切に把持できる。また、搬送車は、対象容器が第2容器であると判別した場合には、一対の第2被把持部の間隔である第2間隔に応じた把持動作を行うことにより第2容器を適切に把持できる。以上のように、本構成によれば、複数種類の容器それぞれについて種類を判別可能であると共に当該複数種類の容器を把持可能な搬送車を実現することができる。
【0096】
前記把持装置及び前記昇降装置を制御する制御装置を更に備え、
前記把持装置は、一対の把持体と、一対の前記把持体を水平方向に沿う把持動作方向に互いに接近及び離間させる把持駆動機構と、を備え、
前記対象容器の前記被把持部を対象被把持部とし、一対の前記対象被把持部が並ぶ方向を配列方向として、
前記制御装置は、前記走行経路よりも下側に配置された支持部に支持された前記対象容器を前記把持装置により把持する場合に、一対の前記把持体が一対の前記対象被把持部の間に配置され、且つ、前記把持動作方向が前記配列方向に沿う方向となるように、前記把持装置を前記把持基準位置まで下降させて、前記判別装置により前記対象容器の種類を判別し、
前記制御装置は、前記対象容器が前記第1容器であると判別した場合には、前記把持駆動機構により一対の前記把持体を前記第1間隔に応じた間隔となるまで離間させ、前記対象容器が前記第2容器であると判別した場合には、前記把持駆動機構により一対の前記把持体を前記第2間隔に応じた間隔となるまで離間させ、
前記制御装置は、一対の前記把持体を前記第1間隔に応じた間隔又は前記第2間隔に応じた間隔となるまで離間させた後は、前記昇降装置により前記把持装置を上昇させる、と好適である。
【0097】
本構成によれば、把持装置が把持基準位置にある状態において、一対の把持体が一対の対象被把持部の間に配置される。そして、一対の把持体を、一対の対象被把持部の間隔に応じた間隔となるまで離間させることにより、対象容器を把持することができる。すなわち本構成によれば、一対の対象被把持部を配列方向の内側から把持することができる。従って、例えば一対の対象被把持部を配列方向の外側から把持する構成に比べて、把持装置を配列方向に小型化することができる。
【0098】
前記把持装置が前記第1容器の一対の前記第1被把持部を把持している状態で、前記第1検出器は前記第1被把持部の前記被検出部を検出し、前記第2検出器は前記第1被把持部の前記被検出部を検出せず、
前記把持装置が前記第2容器の一対の前記第2被把持部を把持している状態で、前記第1検出器は前記第2被把持部の前記被検出部を検出せず、前記第2検出器は前記第2被把持部の前記被検出部を検出する、と好適である。
【0099】
本構成によれば、把持装置が対象容器を把持している状態でも、対象容器が第1容器か第2容器かを判別することができる。従って、把持装置が対象容器を把持した後に、把持している容器の種類を記憶しておかなくても、対象容器を把持している間は常に、判別装置による判別結果を参照することができる。このような判別結果は、例えば、対象容器を搬送する搬送動作、対象容器を昇降させる昇降動作、対象容器の把持を解除する把持解除動作等に用いることができる。
【0100】
前記被検出部は、前記第1被把持部及び前記第2被把持部のそれぞれの上面に設けられた位置決め用凹部であり、
前記第1検出器は、前記把持装置に対して上下動自在に支持された第1検出体と、前記第1検出体の上下動を検出する第1センサと、を備え、
前記第2検出器は、前記把持装置に対して上下動自在に支持された第2検出体と、前記第2検出体の上下動を検出する第2センサと、を備え、
前記第1検出体は、前記把持装置が前記把持基準位置に配置された状態で、前記第1被把持部の前記位置決め用凹部に対して上側から嵌合し、前記第2被把持部には接触しない位置に配置され、
前記第2検出体は、前記把持装置が前記把持基準位置に配置された状態で、前記第2被把持部の前記位置決め用凹部に対して上側から嵌合し、前記第1被把持部には接触しない位置に配置され、
前記第1検出体が、前記位置決め用凹部に嵌合することにより、前記第1被把持部に対する前記把持装置の位置決めが行われ、
前記第2検出体が、前記位置決め用凹部に嵌合することにより、前記第2被把持部に対する前記把持装置の位置決めが行われ、
前記第1センサは、前記第1検出体の上下動に基づいて前記第1検出体が前記位置決め用凹部に嵌合しているか否かを検出し、
前記第1検出器は、前記第1検出体が前記位置決め用凹部に嵌合していることを前記第1センサにより検出した場合に、前記第1被把持部の前記被検出部を検出したものとし、
前記第2センサは、前記第2検出体の上下動に基づいて前記第2検出体が前記位置決め用凹部に嵌合しているか否かを検出し、
前記第2検出器は、前記第2検出体が前記位置決め用凹部に嵌合していることを前記第2センサにより検出した場合に、前記第2被把持部の前記被検出部を検出したものとする、と好適である。
【0101】
本構成によれば、第1検出体を用いて、第1容器の判別だけではなく、第1被把持部に対する把持装置の位置決めも行うことができる。また、第2検出体を用いて、第2容器の判別だけではなく、第2被把持部に対する把持装置の位置決めも行うことができる。このように本構成によれば、第1検出体及び第2検出体が、容器の判別機能と把持装置の位置決め機能とを有しているため、部材点数を削減でき、装置の小型化も図り易い。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本開示に係る技術は、走行経路に沿って走行して、第1容器と第2容器とを含む複数種類の容器を搬送する搬送車に利用することができる。
【符号の説明】
【0103】
1 :搬送車
12 :把持装置
12m :把持駆動機構
121 :把持体
13 :昇降装置
14 :判別装置
141 :第1検出器
141a :第1検出体
141s :第1センサ
142 :第2検出器
142a :第2検出体
142s :第2センサ
80 :容器
800 :容器本体
801 :被把持部
801c :位置決め用凹部
T :被検出部
81 :第1容器
810 :第1容器本体
811 :第1被把持部
82 :第2容器
820 :第2容器本体
821 :第2被把持部
91 :支持部
C :制御装置
L1 :第1間隔
L2 :第2間隔
P :把持基準位置
R :走行経路
Dx :配列方向