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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068368
(43)【公開日】2024-05-20
(54)【発明の名称】回路基板用電気コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/91 20110101AFI20240513BHJP
【FI】
H01R12/91
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178755
(22)【出願日】2022-11-08
(71)【出願人】
【識別番号】390005049
【氏名又は名称】ヒロセ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138140
【弁理士】
【氏名又は名称】藤岡 努
(72)【発明者】
【氏名】楊 竣凱
(72)【発明者】
【氏名】玉井 暢洋
【テーマコード(参考)】
5E223
【Fターム(参考)】
5E223AB26
5E223BA01
5E223BA07
5E223BB01
5E223BB12
5E223CB22
5E223CB31
5E223CB38
5E223CD01
5E223DA05
5E223DB08
5E223DB11
5E223EA03
(57)【要約】
【課題】コネクタ同士を嵌合させる際にハウジングの損傷を良好に回避できる回路基板用電気コネクタを提供する。
【解決手段】第一ガイド部75,76および第二ガイド部78,79は、第一端子配置部72および第二端子配置部73よりも上方まで延びており、第一端子配置部72および第二端子配置部73は、相手コネクタ2の可動ハウジング170を正規の嵌合位置へ案内可能に傾斜する後期案内部72D,73Dを上端部に有しており、第一ガイド部75,76および第二ガイド部78,79は、相手コネクタ2の可動ハウジング170を正規の嵌合位置へ案内可能に傾斜する初期案内部75A,76A,78A,79Aを上端部に有しており、初期案内部75A,76A,78A,79Aは、後期案内部72D,73Dよりも上方に位置しているとともに、後期案内部72D,73Dよりも傾斜方向での寸法が大きくなっている。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板の実装面上に配置され、前記実装面に対して直角な上下方向をコネクタ接続方向とする電気コネクタであって、
前記電気コネクタは、前記電気コネクタと同一形状の相手コネクタが上方から嵌合接続されるようになっており、
前記実装面に対して平行な一方向を端子配列方向として配列される複数の端子と、前記端子を介して前記回路基板に固定される固定ハウジングと、前記固定ハウジングに対して相対移動可能な可動ハウジングとを有し、前記端子が前記固定ハウジングと前記可動ハウジングとに架け渡されて設けられている回路基板用電気コネクタにおいて、
前記可動ハウジングは、端子配列範囲で並設された第一端子配置部および第二端子配置部と、端子配列範囲外に設けられた第一ガイド部および第二ガイド部とを有し、
前記第一端子配置部は、上方および端子配列方向に延び、端子配列方向に延びる外側面に前記端子が配置されており、
前記第二端子配置部は、上方および端子配列方向に延びコネクタ幅方向で対向する2つの対向壁部の内側面に前記端子が配置され、前記2つの対向壁部同士間に前記相手コネクタの第一端子配置部を受入可能となっており、
前記第一ガイド部は、端子配列方向での前記可動ハウジングの一端側で、前記第一端子配置部および前記第二端子配置部よりも上方まで延びており、
前記第二ガイド部は、端子配列方向での前記可動ハウジングの他端側で、前記第一端子配置部および前記第二端子配置部よりも上方まで延びており、上下方向に見て、前記相手コネクタの第一ガイド部を少なくとも部分的に包囲可能となっており、
前記第一端子配置部および前記第二端子配置部の少なくとも一方は、前記相手コネクタの可動ハウジングを正規の嵌合位置へ案内可能に傾斜する後期案内部を上端部に有しており、
前記第一ガイド部および前記第二ガイド部の少なくとも一方は、前記相手コネクタの可動ハウジングを正規の嵌合位置へ案内可能に傾斜する初期案内部を上端部に有しており、
前記初期案内部は、前記後期案内部よりも上方に位置しているとともに、前記後期案内部よりも傾斜方向での寸法が大きくなっていることを特徴とする回路基板用電気コネクタ。
【請求項2】
可動ハウジングは、コネクタ幅方向での前記第一端子配置部よりも外側で、前記第一端子配置部に沿って端子配列方向に延びる支持壁部を有しており、
前記支持壁部は、コネクタ嵌合状態にて、前記相手コネクタの前記対向壁部の外側面に対面して、前記対向壁部をコネクタ幅方向で外側から支持可能となっていることとする請求項1に記載の回路基板用電気コネクタ。
【請求項3】
前記端子は、前記対向壁部の下部の範囲に位置する部分で、相手コネクタの端子と接触可能となっており、
前記対向壁部の下部は、上部よりも壁厚寸法が大きくなっていて、前記端子をコネクタ幅方向で外側から支持していることとする請求項1または請求項2に記載の回路基板用電気コネクタ。
【請求項4】
前記端子は、前記対向壁部の上部の範囲に位置する部分で、相手コネクタの端子と接触可能となっており、
前記対向壁部の上部は、コネクタ幅方向での前記端子の弾性変形を許容する溝部が形成されているとともに、前記溝部と対応する位置での壁厚寸法が、下方に向かうにつれて大きくなっていることとする請求項1または請求項2に記載の回路基板用電気コネクタ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板の実装面上に配置され、前記実装面に対して直角な上下方向をコネクタ接続方向として相手コネクタが嵌合接続される回路基板用電気コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
かかる回路基板用電気コネクタとして、該回路基板用電気コネクタと同一形状の相手コネクタが上方から嵌合接続される、いわゆる雌雄同体のコネクタが特許文献1に開示されている(特許文献1の例えば図22ないし図24参照)。特許文献1のコネクタは、上下方向に延びた状態で配列される複数の端子と、該複数の端子を保持するハウジングとを有しており、該コネクタと同じ形状の相手コネクタが上方から嵌合接続されるようになっている。ハウジングは、四角筒状の嵌合部と、嵌合部の端部に設けられた案内のための突部および孔部を有している。
【0003】
嵌合部は、上方から見て長手方向に延びる2つの側壁と短手方向に延びる2つの端壁とを有し、これらの側壁および端壁によって囲まれた空間内に複数の端子を収容している。側壁の上部には、上記長手方向での一端側の半部(ここでは「第一半部」という)で、外面から没した没入部(ここでは「第一没入部」という)が形成されており、上記長手方向での他端側の半部(「第二半部」という)で、内面から没した没入部(ここでは「第二没入部」という)が形成されている。したがって、コネクタ嵌合時においては、コネクタの第一半部が相手コネクタの第二没入部へ下方から進入するとともに、コネクタの第一没入部が相手コネクタの第二半部を上方から受け入れる。
【0004】
端壁の外面には、コネクタ同士の案内のための突部(ピン)および孔部(ボア)が設けられている。具体的には、上記長手方向の一端側に、上下方向に延び先端が先細り形状をなすピン状の突部が設けられ、上記長手方向の他端側に、上下方向に延びる孔部が形成されている。コネクタ嵌合時においては、コネクタの突部が相手コネクタの孔部に案内されながら下方から進入し、相手コネクタの突部がコネクタの孔部に案内されながら上方から進入する。
【0005】
また、コネクタのハウジングの上端面(相手コネクタにおいては下端面)は、上記突部を除き、上下方向に対して直角な平坦面をなしている。したがって、コネクタ嵌合状態において、コネクタの上端面と相手コネクタの下端面とが、上下方向で隙間なく接面するようになっている(特許文献1の例えば図24参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第7635278号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1では、コネクタ同士は、突部が孔部に進入して案内されることにより、互いの嵌合部が正規の嵌合位置に案内される。しかし、例えば、製造誤差等に起因して、突部の外径寸法が正規の寸法よりも小さくなっていた場合、あるいは、孔部の内径寸法が正規の寸法よりも大きくなっていた場合、嵌合部は正規の嵌合位置からずれた位置に案内されるおそれがある。特許文献1では、既述したようにハウジングの端面が上下方向に対して直角な平坦面となっているので、嵌合部が正規の嵌合位置からずれた位置に案内されると、嵌合部の端面同士が当接することになる。このとき、嵌合部の端面同士は嵌合操作力のもとで強く当接するので、嵌合部の側壁および端壁が損傷することがある。特に側壁は、上記長手方向に長く延びているとともに、没入部が形成されている分、薄くなっているので、撓みやすく、損傷しやすい。
【0008】
本発明は、かかる事情に鑑み、コネクタ同士を嵌合させる際にハウジングの損傷を良好に回避できる回路基板用電気コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1) 本発明に係る回路基板用電気コネクタは、回路基板の実装面上に配置され、前記実装面に対して直角な上下方向をコネクタ接続方向とする電気コネクタであって、前記電気コネクタは、前記電気コネクタと同一形状の相手コネクタが上方から嵌合接続されるようになっており、前記実装面に対して平行な一方向を端子配列方向として配列される複数の端子と、前記端子を介して前記回路基板に固定される固定ハウジングと、前記固定ハウジングに対して相対移動可能な可動ハウジングとを有し、前記端子が前記固定ハウジングと前記可動ハウジングとに架け渡されて設けられている。
【0010】
かかる回路基板用電気コネクタにおいて、本発明では、前記可動ハウジングは、端子配列範囲で並設された第一端子配置部および第二端子配置部と、端子配列範囲外に設けられた第一ガイド部および第二ガイド部とを有し、前記第一端子配置部は、上方および端子配列方向に延び、端子配列方向に延びる外側面に前記端子が配置されており、前記第二端子配置部は、上方および端子配列方向に延びコネクタ幅方向で対向する2つの対向壁部の内側面に前記端子が配置され、前記2つの対向壁部同士間に前記相手コネクタの第一端子配置部を受入可能となっており、前記第一ガイド部は、端子配列方向での前記可動ハウジングの一端側で、前記第一端子配置部および前記第二端子配置部よりも上方まで延びており、前記第二ガイド部は、端子配列方向での前記可動ハウジングの他端側で、前記第一端子配置部および前記第二端子配置部よりも上方まで延びており、上下方向に見て、前記相手コネクタの第一ガイド部を少なくとも部分的に包囲可能となっており、前記第一端子配置部および前記第二端子配置部の少なくとも一方は、前記相手コネクタの可動ハウジングを正規の嵌合位置へ案内可能に傾斜する後期案内部を上端部に有しており、前記第一ガイド部および前記第二ガイド部の少なくとも一方は、前記相手コネクタの可動ハウジングを正規の嵌合位置へ案内可能に傾斜する初期案内部を上端部に有しており、前記初期案内部は、前記後期案内部よりも上方に位置しているとともに、前記後期案内部よりも傾斜方向での寸法が大きくなっていることを特徴としている。
【0011】
本発明では、コネクタ同士を嵌合接続させる過程において、まず、コネクタの第一ガイド部が相手コネクタの第二ガイド部内に下方から進入するとともに、コネクタの第二ガイド部が相手コネクタの第一ガイド部を上方から受け入れる。このとき、第一ガイド部と第二ガイド部の少なくとも一方に形成されている初期案内部によって、第一ガイド部が第二ガイド部内へ案内される。この初期案内部は後期案内部よりも傾斜方向での寸法が大きく形成されているので、第一端子配置部と第二端子配置部との嵌合に先立って、この初期案内部によって大まかな案内が行われることとなる。したがって、第一端子配置部と第二端子配置部は、互いの嵌合が開始される時点において、すでに正規の嵌合位置に近い位置にもたらされた状態となっている。
【0012】
そして、コネクタの第一端子配置部が相手コネクタの第二端子配置部の一対の対向壁部同士間に下方から進入するとともに、コネクタの第二端子配置部の一対の対向壁部が相手コネクタの第一端子配置部を上方から受け入れる。このとき、第一端子配置部と第二端子配置部の対向壁部の少なくとも一方に形成されている後期案内部によって、第一端子配置部が対向壁部同士間へ案内される。上述したように、この案内が開始される時点において、第一端子配置部と第二端子配置部が正規の嵌合位置に近い位置にある状態となっているので、第一端子配置部と第二端子配置部は、難なく正規の嵌合位置にもたらされる。本発明では、第一端子配置部と第二端子配置部の少なくとも一方に後期案内部が設けられており、上下方向で互いに当接したときには、この後期案内部による案内が行われるので、第一端子配置部と第二端子配置部が損傷することを良好に回避できる。
【0013】
また、本発明では、コネクタ同士は、まず、嵌合操作当初の比較的強い嵌合操作力をもって第一ガイド部と第二ガイド部とが当接するが、これらの第一ガイド部と第二ガイド部は、初期案内部を形成できる程度に、端子配列方向およびコネクタ幅方向の少なくとも一方で厚く形成されており、上記嵌合操作力をもって当接しても、これに十分に対抗する強度を有しているので、第一ガイド部と第二ガイド部が破損しにくい。また、第一ガイド部と第二ガイド部との当接により、その後の嵌合操作力は小さくなる。したがって、第一端子配置部と第二端子配置部とが嵌合時に当接しても、第一端子配置部および第二端子配置部は破損しにくくなる。
【0014】
(2) (1)の発明において、可動ハウジングは、コネクタ幅方向での前記第一端子配置部よりも外側で、前記第一端子配置部に沿って端子配列方向に延びる支持壁部を有しており、前記支持壁部は、コネクタ嵌合状態にて、前記相手コネクタの前記対向壁部の外側面に対面して、前記対向壁部をコネクタ幅方向で外側から支持可能となっていてもよい。
【0015】
コネクタ嵌合状態において、第二端子配置部の対向壁部の内側面に配置された端子は、相手コネクタの端子(相手端子)との接圧をもった接触により、該相手端子からコネクタ幅方向外方へ向けた外力を受ける。したがって、対向壁部も端子を介してコネクタ幅方向外方へ向けた外力を受けることとなる。ここで、上記支持壁部を設けることにより、該支持壁部で対向壁部をコネクタ幅方向での外側から支持して、その支持力で上記外力に対抗できる。その結果、コネクタ幅方向外方へ向けた対向壁部の変形を規制して、該対向壁部の損傷を防止できる。
【0016】
(3) (1)または(2)の発明において、前記端子は、前記対向壁部の下部の範囲に位置する部分で、相手コネクタの端子と接触可能となっており、前記対向壁部の下部は、上部よりも壁厚寸法が大きくなっていて、前記端子をコネクタ幅方向で外側から支持してもよい。このように対向壁部の下部の壁厚寸法を大きくすることにより、該下部において、相手端子から受ける外力、すなわち、コネクタ幅方向外方へ向けた外力に十分に対抗可能な強度を確保できる。その結果、対向壁部の変形を規制して、該対向壁部の損傷を防止できる。
【0017】
(4) (1)または(2)の発明において、前記端子は、前記対向壁部の上部の範囲に位置する部分で、相手コネクタの端子と接触可能となっており、前記対向壁部の上部は、コネクタ幅方向での前記端子の弾性変形を許容する溝部が形成されているとともに、前記溝部と対応する位置での壁厚寸法が、下方に向かうにつれて大きくなっていてもよい。このように対向壁部の上部を、上記溝部と対応する位置での壁厚寸法が下方に向かうにつれて大きくなるように形成することにより、溝部の上部で端子の大きい撓み変形を許容しつつ、対向壁部のうち溝部の下部に対応する部分で大きい強度を確保できる。したがって、仮に、端子が過剰に撓み変形して上記溝部の内壁面に当接することがあっても、対向壁部において、端子から受ける外力に十分に対抗可能な強度を確保できる。その結果、対向壁部の変形を規制して、該対向壁部の損傷を防止できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、コネクタ同士を嵌合させる際にハウジングの損傷を良好に回避できる回路基板用電気コネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係る回路基板用電気コネクタを相手コネクタとともに示した斜視図であり、嵌合接続前の状態を斜め上方から見て示している。
図2図1の回路基板用電気コネクタおよび相手コネクタの斜視図であり、嵌合接続前の状態を斜め下方から見て示している。
図3図1の回路基板用電気コネクタおよび相手コネクタの嵌合接続前の状態を示す図であり、(A)は側面図、(B)は平面図である。
図4図1の回路基板用電気コネクタおよび相手コネクタの斜視図であり、嵌合接続後の状態を斜め上方から見て示している。
図5図1の回路基板用電気コネクタの平面図である。
図6】(A)は図4のVIA-VIA断面図であり、(B)は図4のVIB-VIB断面図である。
図7】端子を単体で示した斜視図であり、(A)は第一信号端子、(B)は第二信号端子、(C)は第一電源端子、(D)は第二電源端子を示している。
図8】カバー部材を単体で示す斜視図であり、(A)は回路基板用電気コネクタに取り付けられる姿勢で示した斜視図、(B)は(A)の姿勢を上下反転した姿勢で示した斜視図である。
図9図3(B)のIX-IX断面図である。
図10図3(B)のX-X断面図である。
図11図9に示される回路基板用電気コネクタおよび相手コネクタの嵌合動作が進行した後の状態を示す断面図であり、(A)は嵌合途中の状態、(B)は嵌合接続後の状態を示している。
図12図10に示される回路基板用電気コネクタおよび相手コネクタの嵌合動作が進行した後の状態を示す断面図であり、(A)は嵌合途中の状態、(B)は嵌合接続後の状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面にもとづき、本発明の実施形態について説明する。
【0021】
図1ないし図3は、本発明の実施形態に係る回路基板用電気コネクタ1(以下、「コネクタ1」という)と相手コネクタ(相手接続体)としての回路基板用電気コネクタ2(以下、「相手コネクタ2」という)との嵌合接続前の状態を示す図であり、図1は、斜め上方から見た斜視図、図2は、斜め下方から見た斜視図、図3(A)は、側面図、図3(B)は、平面図である。図4は、嵌合接続後の状態にあるコネクタ1および相手コネクタ2を斜め上方から見て示した斜視図である。図5は、図1のコネクタ1の平面図である。
【0022】
図6(A),(B)は、図4に示されるコネクタ1および相手コネクタ2の端子配列方向に対して直角な面での断面図である。具体的には、図6(A)は、図4のVIA-VIA断面図であり、端子配列方向での後述の第一信号端子10の位置での断面を示しており、図6(B)は、図4のVIB-VIB断面図であり、端子配列方向での後述の第二信号端子20の位置での断面を示している。図1図4図5および図6(A),(B)では、コネクタ1は回路基板P1の実装面に実装された状態で示されている。図2では、相手コネクタ2は他の回路基板P2の実装面に実装された状態で示されている。
【0023】
図1図4図5および図6(A),(B)に示されるように、コネクタ1は、回路基板P1の実装面に実装される回路基板用電気コネクタである。また、相手コネクタ2は、他の回路基板P2の実装面に実装される回路基板用電気コネクタである。コネクタ1および相手コネクタ2は、回路基板P1,P2の実装面同士が平行となった姿勢で、実装面に対して直角な上下方向(Z軸方向)をコネクタ接続方向として嵌合接続され、電気コネクタ組立体を構成する。本実施形態では、コネクタ1に対して相手コネクタ2が上方から嵌合接続されるようになっている。
【0024】
コネクタ1と相手コネクタ2は、互いに同一形状をなす、いわゆる雌雄同体のコネクタである。図1ないし図4に示されるように、相手コネクタ2は、コネクタ1に対して、上下反転するととともに、上下方向に見てコネクタ1の中心を通る軸線まわりに180°回転させたような姿勢で、コネクタ1に上方から嵌合接続される。相手コネクタ2については、以下で説明するコネクタ1の各部に対応する部分に、コネクタ1における符号に「100」を加えた符号を付し、説明を省略する。なお、本実施形態では、回路基板P1に配置されたコネクタを「コネクタ1」とし、回路基板P2に配置されたコネクタを「相手コネクタ2」として説明するが、回路基板P2に配置されたコネクタから見れば、回路基板P1に配置されたコネクタが相手コネクタとなる。
【0025】
コネクタ1は、図1ないし図5に示されるように、回路基板P1の実装面に対して平行な一方向(Y軸方向)を端子配列方向として配列された複数の信号端子10,20および電源端子30,40(以下、区別する必要がない場合には、「端子10,20,30,40」と総称する)と、複数の端子10,20,30,40を保持するハウジング50と、端子配列方向におけるハウジング50の両端部で保持される固定金具80と、ハウジング50に下方から取り付けられるカバー部材90とを有している。
【0026】
ハウジング50は、樹脂製(例えば樹脂製)であり、端子10,20,30,40を介して回路基板P1に固定される固定ハウジング60と、固定ハウジング60に対して相対移動可能な可動ハウジング70とを有している。端子10,20,30,40は、固定ハウジング60と可動ハウジング70とに架け渡されて設けられている。コネクタ1は、端子10,20,30,40の弾性変形により固定ハウジング60に対する可動ハウジング70の移動が許容される、いわゆるフローティングコネクタである。本実施形態では、可動ハウジング70は、コネクタ幅方向(X軸方向)、端子配列方向(Y軸方向)および上下方向(Z軸方向)の3方向で移動可能となっている。
【0027】
信号端子10,20は、互いに形状の異なる第一信号端子10と、第二信号端子20とを有している。電源端子30,40は、互いに形状の異なる第一電源端子30と、第二電源端子40とを有している。第一信号端子10は、図1に示されるように、ハウジング50の端子配列方向(Y軸方向)における中間域にてY2側に寄った範囲で2列をなして配列されている。第二信号端子20は、図1に示されるように、ハウジング50の端子配列方向における中間域にてY1側に寄った範囲で2列をなして配列されている。2列の信号端子10,20は、コネクタ幅方向(X軸方向)で互いに対称な向きで対向している(図6(A),(B)も参照)。
【0028】
第一電源端子30は、端子配列方向(Y軸方向)でのハウジング50のY1側の端部に一対設けられている。第二電源端子40は、端子配列方向でのハウジング50のY2側の端部に一対設けられている。一対の第一電源端子30および一対の第二電源端子40は、各対におけるそれぞれの電源端子30,40がコネクタ幅方向(X軸方向)方向で互いに対称な向きで対向している。
【0029】
図7(A)~(D)は、各端子10,20,30,40を単体で示した斜視図であり、(A)は第一信号端子10、(B)は第二信号端子20、(C)は第一電源端子30、(D)は第二電源端子40を示している。図7(A)~(D)に示されるように、端子10,20,30,40は、金属帯状片を板厚方向に屈曲して形成されており、固定ハウジング60に保持される固定側被保持部11,21,31,41と、可動ハウジング70に保持される可動側被保持部12,22,32,42と、固定側被保持部11,21,31,41と可動側被保持部12,22,32,42との間に位置し弾性変形可能な弾性部13,23,33,43と、固定側被保持部11,21,31,41から延び回路基板P1に半田接続可能な接続部14,24,34,44と、可動側被保持部12,22,32,42から延び相手コネクタ2に接触可能な接触腕部15,25,35,45とを有している。換言すると、端子10,20,30,40は、接続部14,24,34,44と接触腕部15,25,35,45とが、中間部で連結された構成となっており、該中間部は、固定側被保持部11,21,31,41と、可動側被保持部12,22,32,42と、弾性部13,23,33,43とを有している。
【0030】
また、図7(A)~(D)に示されるように、固定側被保持部11,21,31,41の上端と弾性部13,23,33,43とは屈曲部16,26,36,46を介して連結されており、固定側被保持部11,21,31,41の下端と接続部14,24,34,44とは屈曲部17,27,37,47を介して連結されており、可動側被保持部12,22,32,42の下端と弾性部13,23,33,43とは屈曲部18,28,38,48を介して連結されている。
【0031】
端子10,20,30,40のさらなる説明に先立ち、固定ハウジング60および可動ハウジング70の構成を図1ないし図5に基づいて説明する。固定ハウジング60は、図1に示されるように、端子配列方向(Y軸方向)に延びる一対の側壁部61と、コネクタ幅方向(X軸方向)に延び一対の側壁部61の端部同士を連結する一対の端壁部62とを有し、この一対の側壁部61および一対の端壁部62によって周壁を形成している。この周壁に囲まれて上下方向に貫通する空間は、可動ハウジング70の一部を収容する中央空間63を形成している。また、中央空間63は、端子配列方向(Y軸方向)でのY1側に、相手コネクタ2の後述の第二外ガイド部178を上方から受け入れる端受入部63Aを有している。
【0032】
側壁部61は、図1に示されるように、端子配列方向(Y軸方向)での中間域にてY2側に寄った範囲で第一信号端子10の固定側被保持部11を圧入保持し(図6(A)参照)、Y1側に寄った範囲で第二信号端子20の固定側被保持部21を圧入保持している(図6(B)参照)。具体的には、側壁部61におけるY2側に寄った範囲では、図6(A)に示されるように、側壁部61の下部に、第一信号端子10の弾性部13の一部および固定側被保持部11を収容するための溝状の固定側保持部61Aが、側壁部61の内側面(コネクタ幅方向に対して直角な面)から没入するとともに下方へ開放されて形成されている。また、側壁部61におけるY1側に寄った範囲では、図6(B)に示されるように、側壁部61の下部に、第二信号端子20の弾性部23の一部および固定側被保持部21を収容するための溝状の固定側保持部61Bが、側壁部61の内側面(コネクタ幅方向に対して直角な面)から没入するとともに下方へ開放されて形成されている。固定側保持部61A,61Bは、それぞれ固定側被保持部11,21を圧入保持している。
【0033】
また、側壁部61は、図1に示されるように、端子配列方向(Y軸方向)におけるY1側の端部で、第一電源端子30の固定側被保持部31(図7(C)参照)を圧入保持し、Y2側の端部で第二電源端子40の固定側被保持部41(図7(D)参照)を保持している。具体的には、側壁部61におけるY1側の端部に、第一電源端子30の弾性部33の一部および固定側被保持部31を収容するための固定側端子溝部(図示せず)が形成され、Y2側の端部に、第二電源端子40の弾性部43の一部および固定側被保持部41を収容するための固定側端子溝部(図示せず)が形成されている。これらの固定側保持部は、それぞれ固定側被保持部31,41を圧入保持している。これらの固定側端子溝部は、固定側保持部61A,61Bと同様の溝状をなしているが、若干幅広に形成されている点で固定側保持部61A,61Bと異なっている。
【0034】
端壁部62は、固定金具80を圧入保持するための溝状の金具保持部62Aが、端壁部62に外端面から没入するとともに、端壁部62を上下方向に貫通して形成されている。
【0035】
可動ハウジング70は、その下部をなし、端配列方向を長手方向として延びる略直方体外形の基部71が、固定ハウジング60の中央空間63内に収容されている。図5に示されるように、基部71は、中央空間63内にて、固定ハウジング60の内面(側壁部61の内面および端壁部62の内面)との間に隙間をもって位置している。可動ハウジング70は、この隙間の範囲内で、コネクタ幅方向(X軸方向)および端子配列方向(Y軸方向)の両方向に移動可能となっている。図5に示されるように、端子配列方向でのY1側では、基部71と固定ハウジング60の端壁部62との間の隙間が、他の位置における隙間よりも大きくなっており、この隙間が端受入部63Aをなしている。また、基部71は、固定ハウジング60とほぼ同じ上下方向寸法で形成されており、該基部71の上面は、上下方向で固定ハウジング60の上面と同じ高さに位置している。
【0036】
図5に示されるように、基部71には、端子配列方向(Y軸方向)での中間域にてY2側に寄った範囲に、2つの第一中間孔部71Aが形成され、Y1側に寄った範囲に1つの第二中間孔部71Bか形成されている。第一中間孔部71Aは、コネクタ幅方向で後述の第一信号端子配置部72の両側に1つずつ形成されており、第一信号端子10の配列範囲にわたって延びるとともに、基部71を上下方向に貫通している。第一中間孔部71Aの上端部の縁部には、相手コネクタ2の後述する第二信号端子配置部173の対向壁部173Eを正規の嵌合位置へ案内するための後期案内部71A-1が形成されている。後期案内部71A-1は、第一中間孔部71Aの上端部の縁部を面取りしたような傾斜面をなしている。
【0037】
基部71において、コネクタ幅方向で、第一信号端子配置部72および第一中間孔部71Aの外側には支持壁部71Fが形成されている。支持壁部71Fは、端子配列方向で第一信号端子配置部72の範囲にわたって延びており、第一中間孔部71Aを形成する壁部の一部をなしている。支持壁部71Fは、コネクタ嵌合状態にて、相手コネクタ2の対向壁部173Eの外側面に接面して、対向壁部173Eをコネクタ幅方向で外側から支持可能となっている(図12(B)参照)。
【0038】
第二中間孔部71Bは、コネクタ幅方向で後述の第二信号端子配置部73の2つの対向壁部73Eの間に形成されており、第二信号端子20の配列範囲にわたって延びるとともに、基部71を上下方向に貫通している。第二中間孔部71Bの上端部の縁部には、相手コネクタ2の後述する第一信号端子配置部172を正規の嵌合位置へ案内するための後期案内部71B-1が形成されている。後期案内部71B-1は、第二中間孔部71Bの上端部の縁部を面取りしたような傾斜面をなしている。
【0039】
また、基部71には、端子配列方向(Y軸方向)でのY1側の端部に、2つの第一端孔部71Cおよび1つの内端孔部71Dが形成され、端子配列方向(Y軸方向)でのY2側の端部に、1つの第二端孔部71Eが形成されている。第一端孔部71Cは、コネクタ幅方向で後述の第一電源端子配置部74の両側に1つずつ形成されており、端子配列方向にて第一電源端子配置部74を含む範囲で、基部71を上下方向に貫通している。
【0040】
第一端孔部71Cの上端部の縁部には、相手コネクタ2の後述の第二電源端子配置部177を正規の嵌合位置へ案内するための後期案内部71C-1が形成されている。後期案内部71C-1は、第一端孔部71Cの上端部の縁部を面取りしたような傾斜面をなしている。
【0041】
内端孔部71Dは、図5に示されるように、コネクタ幅方向で中央域、かつ、端子配列方向で第二中間孔部71Bと後述の第一内ガイド部76との間に位置している。内端孔部71Dは、第二中間孔部71Bに連通しているとともに、基部71を上下方向に貫通している。
【0042】
第二端孔部71Eは、図5に示されるように、上下方向に見て、後述する第二電源端子配置部77、第二外ガイド部78および第二内ガイド部79に部分的に包囲されており、端子配列方向にて第二電源端子配置部77を含む範囲で、基部71を上下方向に貫通している。
【0043】
基部71の下部には、端子配列方向(Y軸方向)での中間域にて、Y2側に寄った範囲で、図6(A)に示されるように、第一信号端子10の弾性部13の一部を収容するための収容溝部71Gが形成されており、Y1側に寄った範囲で、図6(B)に示されるように、第二信号端子20の弾性部23の一部を収容するための収容溝部71Hが形成されている。収容溝部71G,71Hは、基部71の外側面(コネクタ幅方向に対して直角な面)から没入するとともに下方へ開放されて形成されている。
【0044】
また、基部71の下部には、端子配列方向(Y軸方向)におけるY1側の端部で、第一電源端子30の弾性部33の一部を収容するための収容溝部(図示せず)が形成されており、Y2側の端部で、第二電源端子40の弾性部43の一部を収容するための収容溝部(図示せず)が形成されている。これらの収容溝部は、収容溝部71G,71Hと同様の形状をなしている。
【0045】
可動ハウジング70は、端子配列方向(Y軸方向)での中間域にてY2側に寄った範囲に、第一信号端子配置部72を有し、Y1側に寄った範囲に、第二信号端子配置部73を有している。図5に示されるように、第一信号端子配置部72は、コネクタ幅方向での中央域、換言すると、2つの第一中間孔部71Aの間に位置しており、その上部は、基部71の上面から上方へ延びる突壁部72Aをなし、下部は、基部71の一部をなしている。第一信号端子配置部72のコネクタ幅方向での両側の外側面には、第一信号端子10を配置するための可動側端子溝部72Bが端子配列方向に配列形成されている。
【0046】
可動側端子溝部72Bは、図6(A)に示されるように、上記外側面から没入するとともに、第一信号端子配置部72の上端の位置から基部71の上面よりも若干下方の位置までの範囲にわたって上下方向に延びる溝状をなしている。可動側端子溝部72Bは、図6(A)に示されるように、上記外側面から没入するとともに、上下方向で第一信号端子10の接触腕部15に対応する範囲の部分、突壁部72Aおよび基部71の上部に及ぶ範囲にわたって上下方向に延びる溝状をなしている。図6(A)に示されるように、可動側端子溝部72Bは、その上部が下部よりも深い溝として形成されており、この深い溝で第一信号端子10の接触腕部15の弾性変形を許容するようになっている(図12(A),(B)参照)。第一信号端子配置部72は、可動側端子溝部72Bの下部に対応する位置での壁厚寸法が、可動側端子溝部72Bの上部に対応する位置での壁厚寸法よりも大きくなっている。また、第一信号端子配置部72は、可動側端子溝部72Bの上部に対応する位置では、下方に向かうにつれて徐々に壁厚寸法(コネクタ幅方向での寸法)が大きくなっている。
【0047】
また、可動側端子溝部72Bの下方には、第一信号端子10の可動側被保持部12を収容して保持する可動側保持部72Cが形成されている。可動側保持部72Cは、第一信号端子配置部72の外側面から没入するとともに、可動側端子溝部72Bの下端の位置から基部71の下端の位置までの範囲にわたって上下方向に延びる溝状をなしている。可動側保持部72Cは、可動側端子溝部72Bの下部と同じ深さの溝となっている。
【0048】
突壁部72Aの上端部の縁部には、相手コネクタ2の後述する第二信号端子配置部173の対向壁部173Eを正規の嵌合位置へ案内するための後期案内部72Dが形成されている。後期案内部72Dは、突壁部72Aの上端部の縁部を面取りしたような傾斜面をなしている。
【0049】
第二信号端子配置部73は、図5および図6(B)に示されるように、コネクタ幅方向での第二中間孔部71Bの両側に位置しており、その上部は、基部71の上面から上方へ延びる突壁73Aをなし、下部は、基部71の一部をなしている。第二信号端子配置部73は、上下方向で第二信号端子20の接触腕部25に対応する範囲の部分、すなわち突壁73Aおよび基部71の上部に及ぶ範囲の部分が、コネクタ幅方向で対向する対向壁部73Eとして形成されている。図6(B)に示されるように、対向壁部73Eの内側面には、第二信号端子20を配置するための可動側端子溝部73Bが端子配列方向に配列形成されている。
【0050】
可動側端子溝部73Bは、図6(B)に示されるように、上記内側面から没入するとともに、上下方向で対向壁部73Eの範囲、すなわち接触腕部25に対応する範囲の全域にわたって延びる溝状をなしている。図6(B)に示されるように、可動側端子溝部72Bは、その上部が下部よりも深い溝として形成されており、この深い溝で第二信号端子20の接触腕部25の弾性変形を許容するようになっている(図12(A),(B)参照)。対向壁部73Eの下部は、上部よりも壁厚寸法が大きくなっている。また、対向壁部73Eは、可動側端子溝部73Bの上部に対応する位置では、下方に向かうにつれて徐々に壁厚寸法(コネクタ幅方向での寸法)が大きくなっている。
【0051】
また、可動側端子溝部73Bの下方には、第二信号端子20の可動側被保持部22を収容して保持する可動側保持部73Cが形成されている。可動側保持部73Cは、第二信号端子配置部73の内側面から没入するとともに、可動側端子溝部73Bの下端の位置から基部71の下端の位置までの範囲にわたって上下方向に延びる溝状をなしている。可動側保持部73Cは、可動側端子溝部73Bの下部と同じ深さの溝となっている。
【0052】
対向壁部73Eの上端部の縁部には、相手コネクタ2の後述する第一信号端子配置部172を正規の嵌合位置へ案内するための後期案内部73Dが形成されている。後期案内部73Dは、対向壁部73Eの上端部の縁部を面取りしたような傾斜面をなしている。
【0053】
図1および図5に示されているように、可動ハウジング70は、端子配列方向(Y軸方向)でのY1側の端部に第一電源端子配置部74、第一外ガイド部75および第一内ガイド部76を有し、Y2側の端部に第二電源端子配置部77、第二外ガイド部78および第二内ガイド部79を有している。以下、第一外ガイド部75および第一内ガイド部76については、これらを区別する必要がない場合には、「第一ガイド部75,76」と総称する。また、第二外ガイド部78および第二内ガイド部79については、これらを区別する必要がない場合には、「第二ガイド部78,79」と総称する。
【0054】
第一電源端子配置部74は、コネクタ幅方向での中央域、換言すると、2つの第一端孔部71Cの間に位置しており、その上部は、基部71の上面から上方へ延び、下部は、基部71の一部をなしている。図3(A)に示されるように、第一電源端子配置部74の上端面は、上下方向で第一信号端子配置部72および第二信号端子配置部73と同じ高さに位置している。第一電源端子配置部74のコネクタ幅方向での両側の外側面には、第一電源端子30の接触腕部35を配置するための可動側端子溝部74Bが形成されている。可動側端子溝部74Bは、既述した第一信号端子配置部72の可動側端子溝部72Bを幅広にしたような形状をなしている。
【0055】
また、可動側端子溝部74Bの下方には、第一電源端子30の可動側被保持部32を収容して保持する可動側保持部(図示せず)が形成されている。該可動側保持部は、既述した第一信号端子配置部72の可動側保持部72Cを幅広にしたような形状をなしている。
【0056】
第一電源端子配置部74の上端部の縁部には、相手コネクタ2の後述する第二電源端子配置部177を正規の嵌合位置へ案内するための後期案内部74Dが形成されている。後期案内部74Dは、第一電源端子配置部74の上端部の縁部を面取りしたような傾斜面をなしている。
【0057】
第一外ガイド部75は、端子配列方向で第一電源端子配置部74の外側に位置し、第一電源端子配置部74に連結されている。第一外ガイド部75は、図5に示されるように、上方から見たとき、端子配列方向で可動ハウジング70のY1側の端面から突出しており、端受入部63Aに位置している。第一外ガイド部75は、その上部が基部71の上面から上方へ延び、下部が基部71の一部をなしている。また、図3(A)に示されるように、第一外ガイド部75の上端部は、第一電源端子配置部74よりも上方に突出している。この第一外ガイド部75の上端部の縁部には、相手コネクタ2の後述する第二外ガイド部178を正規の嵌合位置へ案内するための初期案内部75Aが形成されている。初期案内部75Aは、第一外ガイド部75の上端部の縁部を面取りしたような傾斜面をなしている。初期案内部75Aの傾斜面は、後期案内部71A-1,71B-1,71C-1,72D、73Dよりも傾斜方向での寸法が大きくなっている。
【0058】
第一内ガイド部76は、端子配列方向で第一電源端子配置部74の内側に位置し、第一電源端子配置部74に連結されている。第一内ガイド部76は、その上部が基部71の上面から上方へ延び、下部が基部71の一部をなしている。また、図3(A)に示されるように、第一内ガイド部76の上端部は、第一電源端子配置部74よりも上方に突出している。この第一内ガイド部76の上端部の縁部には、相手コネクタ2の後述する第二内ガイド部179を正規の嵌合位置へ案内するための初期案内部76Aが形成されている。初期案内部76Aは、第一内ガイド部76の上端部の縁部を面取りしたような傾斜面をなしている。初期案内部76Aの傾斜面は、後期案内部71A-1,71B-1,71C-1,72D、73Dよりも傾斜方向での寸法が大きくなっている。
【0059】
第二電源端子配置部77は、コネクタ幅方向で第二端孔部71Eの両側に1つずつ設けられており、その上部は、基部71の上面から上方へ延び、下部は、基部71の一部をなしている。図3(A)に示されるように、第二電源端子配置部77の上端面は、上下方向で第一信号端子配置部72および第二信号端子配置部73と同じ高さに位置している。第二電源端子配置部77のコネクタ幅方向での内側面、換言すると、コネクタ幅方向で対向する2つの第二電源端子配置部77の内側面には、第二電源端子40の接触腕部45を配置するための可動側端子溝部77Bが形成されている。可動側端子溝部77Bは、既述した第二信号端子配置部73の可動側端子溝部73Bを幅広にしたような形状をなしている。
【0060】
また、可動側端子溝部77Bの下方には、第二電源端子40の可動側被保持部42を収容して保持する可動側保持部(図示せず)が形成されている。該可動側保持部は、既述した第二信号端子配置部73の可動側保持部73Cを幅広にしたような形状をなしている。
【0061】
第二電源端子配置部77の上端部の縁部には、相手コネクタ2の後述する第一電源端子配置部174を正規の嵌合位置へ案内するための後期案内部77Dが形成されている。後期案内部77Dは、第二電源端子配置部77の上端部の縁部を面取りしたような傾斜面をなしている。
【0062】
第二外ガイド部78は、端子配列方向で第二電源端子配置部77よりも外側(Y2側)に位置している。第二外ガイド部78は、図5に示されるように、上方から見て、端子配列方向内方(Y1側)へ向けて開口するU字状をなしており、コネクタ幅方向(X軸方向)に延びる部分と、コネクタ幅方向の両端から端子配列方向内方へ延びる部分とを有している。第二外ガイド部78は、その上部が基部71の上面から上方へ延び、下部が基部71の一部をなしている。また、図3(A)に示されるように、第二外ガイド部78の上端部は、第二電源端子配置部77よりも上方に突出している。この第二外ガイド部78の上端部の縁部には、相手コネクタ2の後述する第一外ガイド部175を正規の嵌合位置へ案内するための初期案内部78Aが形成されている。初期案内部78Aは、第二外ガイド部78の上端部の縁部を面取りしたような傾斜面をなしている。初期案内部78Aの傾斜面は、後期案内部71A-1,71B-1,71C-1,72D、73Dよりも傾斜方向での寸法が大きくなっている。
【0063】
第二内ガイド部79は、第二電源端子配置部77よりも内側(Y1側)に位置し、第一信号端子配置部72に連結されている。第二内ガイド部79は、その上部が基部71の上面から上方へ延び、下部が基部71の一部をなしている。また、図3(A)に示されるように、第二内ガイド部79の上端部は、第二電源端子配置部77よりも上方に突出している。この第二内ガイド部79の上端部の縁部には、相手コネクタ2の後述する第一内ガイド部176を正規の嵌合位置へ案内するための初期案内部79Aが形成されている。初期案内部79Aの傾斜面は、後期案内部71A-1,71B-1,71C-1,72D、73Dよりも傾斜方向での寸法が大きくなっている。
【0064】
本実施形態では、図5に示されるように、上方から見て、第二電源端子配置部77、第二外ガイド部78および第二内ガイド部79は、第二端孔部71Eの周縁部に位置しており、該第二端孔部71Eを部分的に包囲している。この第二電源端子配置部77、第二外ガイド部78および第二内ガイド部79は、コネクタ嵌合接続状態において、上下方向に見て、相手コネクタ2の第一電源端子配置部174、第一外ガイド部175および第一内ガイド部176を部分的に包囲可能となっている。
【0065】
図2に示されるように、可動ハウジング70の基部71の下面には、カバー部材90を取り付けるための複数の取付突起70Aが設けられている。取付突起70Aは、基部71の下面の複数位置で、下方へ突出する円柱状をなして形成されている。
【0066】
端子10,20,30,40の説明に戻る。第一信号端子10は、図6(A)に示されるように、固定側被保持部11は、上下方向に延びており、下端部を除く大部分は固定ハウジング60の固定側保持部61A内に収容され、下端部は固定側保持部61A外に延出している。図7(A)に示されるように、固定側被保持部11は、その両側縁部に端子幅方向外方へ突出する複数の圧入突起11Aを有しており、圧入突起11Aによって固定側保持部61A内で圧入保持されるようになっている。
【0067】
弾性部13は、図6(A)および図7(A)に示されるように、固定側被保持部11の上端からクランク状に延びている。具体的には、弾性部13は、固定側被保持部11の上端からコネクタ幅方向内方へ延びて固定側保持部61Aから延出してから、収容溝部71G内で下方へ延び、基部71の下面に沿ってコネクタ幅方向内方へ延びている。
【0068】
接続部14は、図6(A)に示されるように、固定側被保持部11の下端から固定ハウジング60の下面に沿ってコネクタ幅方向外方へ向けて延びている。接続部14は、その下面で回路基板の対応回路部P1Aに半田接続されるようになっている。
【0069】
可動側被保持部12は、図6(A)および図7(A)に示されるように、弾性部13のコネクタ幅方向での内側の端部から上方へ延び、図7(A)に示されるように、可動側保持部72Cの下部に収容されている。つまり、可動側被保持部12は、コネクタ幅方向で固定側被保持部11よりも内側に位置している。図7(A)に示されるように、可動側被保持部12は、その両側縁部に端子幅方向外方へ突出する複数の圧入突起12Aを有しており、圧入突起12Aによって可動側保持部72C内で圧入保持されるようになっている。
【0070】
接触腕部15は、図6(A)および図7(A)に示されるように、可動側被保持部12の上端から上方へ延び、上端部には、コネクタ幅方向外方へ向けて突出するように屈曲された接触部15Aが設けられている。接触腕部15は、その上部が可動側端子溝部72Bに沿って延びている。接触腕部15は、その板厚方向、すなわちコネクタ幅方向での弾性変形が可能となっている。接触腕部15は、接触部15Aで相手コネクタ2の第一信号端子110の接触腕部115と接圧をもって接触可能となっている(図12(B)参照)。
【0071】
第一信号端子10は、固定側被保持部11が固定ハウジング60の固定側保持部61Aへ下方から圧入されるとともに、可動側被保持部12が可動ハウジング70の可動側保持部72Cへ下方から圧入されることにより、固定ハウジング60および可動ハウジング70に保持される。
【0072】
本実施形態では、第一信号端子10は、弾性部13の一部および固定側被保持部11によって形成されるU字状部分が形成されている。このU字状部分は、図6(A)および図7等に示されるように、下方へ向けて開口しており、逆U字状部分となっている。図7に示されるように、固定側被保持部11は、該固定側被保持部11の上端に連結されている連結部分である屈曲部16および該固定側被保持部11の下端に連結されている連結部分である屈曲部17よりも、端子幅方向での寸法が大きく、すなわち幅広に形成されている。また、可動側被保持部12は、該可動側被保持部12の下端に連結されている連結部分である屈曲部18よりも幅広に形成されている。また、弾性部13は、コネクタ幅方向での外端に連結されている連結部分である屈曲部16およびコネクタ幅方向での内端に連結されている連結部分である屈曲部18よりも幅広に形成されている。
【0073】
第二信号端子20は、図6(B)および図7(B)に示されるように、第一信号端子10の接触部15Aをコネクタ幅方向で反対側へ突出させたような形状をなしている。つまり、第二信号端子20は、接触部25Aを除き、第一信号端子10と同じ形状をなしている。ここでは、第二信号端子20については、第一信号端子10の各部と対応する部分に、第一信号端子10での符号に「10」を加えた符号を付し、説明を省略する。また、第二信号端子20は、第一信号端子10と同じ要領で、固定ハウジング60および可動ハウジング70に下方から圧入されて取り付けられる。
【0074】
第一電源端子30は、図7(C)に示されるように、第一信号端子10を幅広にしたような形状をなしている。図7(C)では、第一電源端子30について、第一信号端子10の各部と対応する部分が、第一信号端子10での符号に「20」を加えた符号を付して示されている。第一電源端子30では、弾性部33は、端子幅方向での中央位置で弾性部33のほぼ全長範囲にわたって延びるスリット33Aが形成されており、該スリット33Aを挟んで位置する2つの細条片をなしている。このように弾性部33を2つの細条片をとして設けることにより、各細条片の端子幅寸法が小さくなるので、弾性部33が弾性変位しやすくなる。
【0075】
接触腕部35は、端子幅方向での中央位置で接触腕部35のほぼ全長範囲にわたって延びるスリット35Bが形成されており、該スリット35Bを挟んで位置する2つの細条片をなしている。このように接触腕部35を2つの細条片をとして設けることにより、各細条片の端子幅寸法が小さくなるので、接触腕部35が弾性変位しやすくなる。また、固定側被保持部31は、その両側縁部に端子幅方向外方へ突出する圧入突起31Aを有している。可動側被保持部32は、その両側縁部に端子幅方向外方へ突出する圧入突起32Aを有している。第一電源端子30は、第一信号端子10と同じ要領で、固定ハウジング60および可動ハウジング70に下方から圧入されて取り付けられる。
【0076】
第二電源端子40は、図7(D)に示されるように、第一電源端子30の接触部35Aをコネクタ幅方向で反対側へ突出させたような形状をなしている。つまり、第二電源端子40は、接触部45Aを除き、第一電源端子30と同じ形状をなしている。ここでは、第二電源端子40については、第一電源端子30の各部と対応する部分に、第一電源端子30での符号に「10」を加えた符号を付し、説明を省略する。また、第二電源端子40は、第一信号端子10と同じ要領で、固定ハウジング60および可動ハウジング70に下方から圧入されて取り付けられる。
【0077】
固定金具80は、図1に示されるように、金属板部材を板厚方向に屈曲して形成されており、コネクタ幅方向に見てL字状をなしている。固定金具80は、上下方向に延びる被保持部81と、被保持部81の下端から端子配列方向外方へ向けて延びる固定部82とを有している。固定金具80は、被保持部81が固定ハウジング60の金具保持部62Aへ下方から圧入されることにより、固定ハウジング60に保持されている。固定部82は、その下面で回路基板の対応部に半田接続されて固定される。
【0078】
図8(A),(B)はカバー部材90を単体で示す斜視図であり、図8(A)はコネクタ1に取り付けられる姿勢で示した斜視図、図8(B)は図8(A)の姿勢を上下反転した姿勢で示した斜視図である。カバー部材90は、樹脂製であり、上下方向に対して直角な方向に広がる板面をもつ板状の本体部91と、本体部91の上面から十字状に突出する突出部92と、コネクタ幅方向での本体部91の両側縁部から上方へ起立するとともに端子配列方向に延びる起立部93とを有している。本実施形態では、カバー部材90が樹脂製であることとしたが、カバー部材90の材料はこれに限られず、電気絶縁材製であればよく、例えばゴム製であってもよい。
【0079】
本体部91は、端子配列方向を長手方向としており、端子配列方向では第一信号端子10および第二信号端子20の配列範囲にわたって延び(図2参照)、コネクタ幅方向では、固定ハウジング60の2つの側壁部61の固定側保持部61A,61Bに及ぶ範囲にわたって延びている(図6(A),(B)参照)。
【0080】
突出部92は、コネクタ幅方向での中央域で、端子配列方向における本体部91の全域にわたって延びる長突出部92Aと、端子配列方向での長突出部92Aの中央域で、長突出部92Aの側縁部からコネクタ幅方向外方へ延び起立部93に連結される短突出部92Bとを有している。長突出部92Aの両側縁部には、隣接する第一信号端子10の間および隣接する第二信号端子20の間のそれぞれの位置でコネクタ幅方向外方および上方へ突出する内側隔壁92Cが形成されている。
【0081】
また、本体部91には、端子配列方向での長突出部92Aの両端側の位置およびコネクタ幅方向での短突出部92Bの両端側の位置に、上下方向に見て円形状の取付孔部92Dが、本体部91を貫通して形成されている。
【0082】
起立部93は、図8(A),(B)に示されるように、端子配列方向での第一信号端子10および第二信号端子20のそれぞれの位置で、コネクタ幅方向外方へ突出するとともに上下方向に延びる外側隔壁93Aを有している。
【0083】
カバー部材90は、上方に向かう方向を取付方向として、可動ハウジング70の下面に取り付けられる。つまり、本実施形態では、上方が取付方向前方であり、下方が取付方向後方である。カバー部材90の取付時においては、可動ハウジング70の下面から突出する取付突起70Aがカバー部材90の取付孔部92Dに挿通し、該取付突起70Aの先端部を熱カシメにより変形させる。その結果、取付突起70Aの先端部が取付孔部92Dの周縁部に係止することで、カバー部材90が可動ハウジング70の下面に固定される。したがって、カバー部材90の本体部91は、コネクタ1における下端側、すなわち上記取付方向での後方側の端部(上記取付方向での手前側の端部)に設けられることとなる。したがって、カバー部材90を可動ハウジング70に取り付ける際、上記取付方向での前方側(奥側)でカバー部材90を取り付ける作業を行う必要がないので、カバー部材90を簡単に取り付けることができる。
【0084】
カバー部材90が可動ハウジング70の下面に取り付けられた状態において、図6(A),(B)に示されるように、隣接する内側隔壁92Cの間には、信号端子10,20の屈曲部18,28が収容される。また、起立部93が信号端子10,20のそれぞれの逆U字状部分へ下方から進入する。また、カバー部材90は、信号端子10,20の弾性部13,23が少なくとも自由状態にあるとき、信号端子10,20には接触していない。
【0085】
このようにカバー部材90が可動ハウジング70に取り付けられると、下方から見て、信号端子10,20におけるハウジング50からの露出部分の一部、具体的には、弾性部13,23を含む範囲が覆われる。つまり、弾性部13,23を含む範囲を下方から覆う樹脂層が形成される。したがって、弾性部13,23において、特性インピーダンスの増大が抑制されることで、特性インピーダンスの不整合の発生しにくくなり、その結果、端子における信号伝送特性の低下を良好に回避できる。
【0086】
信号端子10,20において、固定側被保持部11,21と屈曲部16,26との連結部分、および、屈曲部16,26と弾性部13,23との連結部分では、端子幅寸法が急激に変化しているので、この連結部分で特性インピーダンスの不整合が生じやすい。本実施形態では、起立部93が信号端子10,20の逆U字状部分に進入して、上記連結部分に沿って設けられている。したがって、上記連結部分における特性インピーダンスの不整合の発生を回避しやすくなる。
【0087】
また、カバー部材90は、信号端子10,20の弾性部13,23が少なくとも自由状態にあるとき、該弾性部13,23に接触していないので、カバー部材90が弾性部13,23の弾性変形を妨げにくくなる。したがって、弾性部13,23が大きい変形量をもって円滑に弾性変形することが可能となり、その結果、可動ハウジング70におけるフローティング量を十分に大きく確保できる。
【0088】
本実施形態では、カバー部材90は可動ハウジング70に取り付けられることとしたが、これに替えて、カバー部材は固定ハウジングに取り付けられていてもよく、また、端子に取り付けられていてもよい。いずれの場合においても、カバー部材は、端子の弾性部が少なくとも自由状態にあるときに、弾性部に接触しないように取り付けられることが好ましい。
【0089】
本実施形態では、図6(A),(B)に示されるように回路基板P1は、その実装面に沿って延びるグランド層P1Bを有している。グランド層P1Bは、上下方向に見て、コネクタ1の大部分を含む範囲に広がって形成されているが、信号端子10,20の接続部14,24に対応する範囲には不在域P1Cが形成されている。具体的には、グランド層P1Bの不在域P1Cは、接続部14,24のそれぞれに対応する位置で、上下方向に見て、接続部14,24を含むような孔部として形成されている。つまり、各接続部14,24が、グランド層P1Bの孔部の周縁に囲まれた状態となっている。また、相手コネクタ2が実装される回路基板P2も、回路基板P1と同じ構成を有している。
【0090】
このように、回路基板P1において、信号端子10,20の接続部14,24に対応する範囲にグランド層P1Bの不在域P1Cを形成することにより、接続部14,24が接続された位置には、金属層が存在せず、回路基板P1の樹脂層のみが存在することとなる。したがって、信号端子10,20において、接続部14,24での特性インピーダンスを、接続部14,24以外の部分での特性インピーダンスに近付けることができ、その結果、特性インピーダンスの不整合の発生を回避しやすくなる。
【0091】
このような構成のコネクタ1と、これと同じ形状の相手コネクタ2は、次の要領で嵌合接続される。ここでは、図1ないし図4、および図9ないし図12に基づいてコネクタ1と相手コネクタ2との嵌合接続動作を説明する。
【0092】
まず、コネクタ1を回路基板P1の実装面へ半田接続により実装するとともに、相手コネクタ2を回路基板P2の実装面へ半田接続により実装する。次に、図1図2図3図9および図10に見られるように、相手コネクタ2を、コネクタ1に対して上下反転させた姿勢で、コネクタ1の上方に位置させる。しかる後、相手コネクタ2をそのままの姿勢で降下させ、第一信号端子配置部172、第二信号端子配置部173、第一電源端子配置部174、第二電源端子配置部177を、それぞれ、コネクタ1の可動ハウジング70の第二信号端子配置部73、第一信号端子配置部72、第二電源端子配置部77、第一電源端子配置部74に上方から嵌合させる。
【0093】
仮に、コネクタ嵌合(ここでは、「初期嵌合」という)が開始される直前にコネクタ1に対する相手コネクタ2の位置が、正規位置よりも端子配列方向(Y軸方向)でY1側にずれていた場合、相手コネクタ2が降下すると、相手コネクタ2の第一内ガイド部176の初期案内部176Aがコネクタ1の第二内ガイド部79の初期案内部79Aに当接(接面)し、相手コネクタ2の第二内ガイド部179の初期案内部179Aがコネクタ1の第一内ガイド部76の初期案内部76Aに当接(接面)する。したがって、相手コネクタ2は、降下するにつれて、第一内ガイド部176および第二内ガイド部179が初期案内部79A,76Aによって、正規の嵌合位置へ向けて、すなわちY2側へ向けて案内される。このとき、第一信号端子配置部172、第二信号端子配置部173、第一電源端子配置部174および第二電源端子配置部177もY2側へ移動する。
【0094】
仮に、初期嵌合が開始される直前にコネクタ1に対する相手コネクタ2の位置が、正規位置よりも端子配列方向(Y軸方向)でY2側にずれていた場合、相手コネクタ2が降下すると、相手コネクタ2の第一外ガイド部175の初期案内部175Aがコネクタ1の第二外ガイド部78の初期案内部78Aに当接(接面)し、相手コネクタ2の第二外ガイド部178の初期案内部178Aがコネクタ1の第一外ガイド部75の初期案内部75Aに当接(接面)する。したがって、相手コネクタ2は、降下するにつれて、第一外ガイド部175および第二外ガイド部178が初期案内部78A,75Aによって、正規の嵌合位置へ向けて、すなわちY1側へ向けて案内される。このとき、第一信号端子配置部172、第二信号端子配置部173、第一電源端子配置部174および第二電源端子配置部177もY1側へ移動する。
【0095】
仮に、初期嵌合が開始される直前にコネクタ1に対する相手コネクタ2の位置が、正規位置よりもコネクタ幅方向(X軸方向)でいずれかの側にずれていた場合、相手コネクタ2が降下すると、相手コネクタ2の第一外ガイド部175の初期案内部175Aがコネクタ1の第二外ガイド部78の初期案内部78Aに当接(接面)し、相手コネクタ2の第二外ガイド部178の初期案内部178Aがコネクタ1の第一外ガイド部75の初期案内部75Aに当接(接面)する。したがって、相手コネクタ2は、降下するにつれて、第一外ガイド部175および第二外ガイド部178が、初期案内部78A,75Aによって、正規の嵌合位置へ向けて、すなわち、X1側にずれていた場合にはX2側へ、X2側にずれていた場合にはX1側へ向けて案内される。このとき、第一信号端子配置部172、第二信号端子配置部173、第一電源端子配置部174および第二電源端子配置部177もX2側あるいはX1側へ移動する。
【0096】
相手コネクタ2が各初期案内部75A,76A、78A,79Aに案内された後、第一信号端子配置部172、第二信号端子配置部173、第一電源端子配置部174、第二電源端子配置部177のそれぞれの、コネクタ1の第二信号端子配置部73、第一信号端子配置部72、第二電源端子配置部77、第一電源端子配置部74への嵌合(ここでは、「後期嵌合」という)が開始される。
【0097】
仮に、後期嵌合が開始される直前にコネクタ1に対する相手コネクタ2の位置が、端子配列方向(X軸方向)でいずれかの側にずれていた場合、相手コネクタ2が降下すると、相手コネクタ2の第一信号端子配置部172の後期案内部172Dがコネクタ1の第二信号端子配置部73の後期案内部73Dに当接(接面)し、相手コネクタ2の第二信号端子配置部173の後期案内部173Dがコネクタ1の第一信号端子配置部72の後期案内部72Dに当接(接面)する。また、相手コネクタ2の第一電源端子配置部174の後期案内部174Dがコネクタ1の第二電源端子配置部77の後期案内部77Dに当接(接面)し、相手コネクタ2の第二電源端子配置部177の後期案内部177Dがコネクタ1の第一電源端子配置部74の後期案内部74Dに当接(接面)する。したがって、相手コネクタ2は、降下するにつれて、第一信号端子配置部172、第二信号端子配置部173、第一電源端子配置部174および第二電源端子配置部177が正規の嵌合位置へ向けて、すなわち、X1側にずれていた場合にはX2側へ、X2側にずれていた場合にはX1側へ向けて案内される。
【0098】
後期嵌合が行われている途中において、仮に、コネクタ1に対する相手コネクタ2の位置が、正規位置よりも端子配列方向(Y軸方向)でいずれかの側にずれていた場合、相手コネクタ2が降下すると、相手コネクタ2の第一信号端子配置部172の後期案内部172Dがコネクタ1の第二中間孔部71Bの後期案内部71B-1に当接(接面)し、相手コネクタ2の第二信号端子配置部173の後期案内部173Dがコネクタ1の第一中間孔部71Aの後期案内部71A-1に当接(接面)する。また、相手コネクタ2の第二電源端子配置部177の後期案内部177Dがコネクタ1の第一端孔部71Cの後期案内部71C-1に当接(接面)する。したがって、相手コネクタ2は、降下するにつれて、第一信号端子配置部172、第二信号端子配置部173および第二電源端子配置部177が正規の嵌合位置へ向けて、すなわち、Y1側にずれていた場合にはY2側へ、Y2側にずれていた場合にはY1側へ向けて案内される。これに伴って、第一電源端子配置部174もY2側あるいはY1側へ移動する。
【0099】
後期嵌合が行われている途中において、仮に、後期嵌合の進行中にコネクタ1に対する相手コネクタ2の位置が、コネクタ幅方向(X軸方向)でいずれかの側にずれていた場合、相手コネクタ2が降下すると、相手コネクタ2の第一信号端子配置部172の後期案内部172Dがコネクタ1の第二中間孔部71Bの後期案内部71B-1に当接(接面)し、相手コネクタ2の第二信号端子配置部173の後期案内部173Dがコネクタ1の第一中間孔部71Aの後期案内部71A-1に当接(接面)し、相手コネクタ2の第二電源端子配置部177の後期案内部177Dがコネクタ1の第一端孔部71Cの後期案内部71C-1に当接(接面)する。したがって、相手コネクタ2は、降下するにつれて、第一信号端子配置部172および第二電源端子配置部177が正規の嵌合位置へ向けて、すなわち、X1側にずれていた場合にはX2側へ、X2側にずれていた場合にはX1側へ向けて案内される。これに伴って、第二信号端子配置部173および第一電源端子配置部174もX2側あるいはX1側へ移動する。
【0100】
このようにして相手コネクタ2が正規の嵌合位置にもたらされた状態で、さらに後期嵌合が進行すると、図11(B)および図12(B)に示されるように、相手コネクタ2の第一信号端子配置部172がコネクタ1の第二信号端子配置部73の対向壁部73E同士間で第二中間孔部71B内に上方から進入する。また、これと同時に、相手コネクタ2の第一中間孔部171A内にコネクタ1の第二信号端子配置部73の対向壁部73Eが下方から進入する。また、コネクタ1の第一信号端子配置部72が相手コネクタ2の第二信号端子配置部173の対向壁部173E同士間で第二中間孔部171B内に下方から進入する。また、これと同時に、コネクタ1の第一中間孔部71A内に相手コネクタ2の第二信号端子配置部173の対向壁部173Eが上方から進入する。この結果、第一信号端子10と第一信号端子110、第二信号端子20と第二信号端子120が接触状態となる。
【0101】
また、図11(B)および図12(B)に示されるように、相手コネクタ2の第一電源端子配置部174がコネクタ1の第二電源端子配置部77同士間に上方から進入する。また、これと同時に、コネクタ1の第一電源端子配置部74が相手コネクタ2の第二電源端子配置部77同士間に下方から進入する。この結果、第一電源端子30と第一電源端子130、第二電源端子40と第二電源端子140とが接触状態となる。
【0102】
また、相手コネクタ2の第一外ガイド部175の下部および第一内ガイド部176の下部は、図11(B)に示されるように、それぞれコネクタ1の第二端孔部71Eの下部に上方から進入する。これと同時に、コネクタ1の第一外ガイド部75の上部および第一内ガイド部76の上部は、図11(B)に示されるように、それぞれコネクタ1の第二端孔部71Eの上部に下方から進入する。また、図11(B)に示されるように、相手コネクタ2の第二外ガイド部178の下部は、コネクタ1の端受入部63Aに上方から進入し、相手コネクタ2の第二内ガイド部179の下部は、コネクタ1の内端孔部71Dに上方から進入する。これと同時に、図11(B)に示されるように、コネクタ1の第二外ガイド部78の上部は、相手コネクタ2の端受入部163Aに下方から進入し、コネクタ1の第二内ガイド部79は、相手コネクタ2の内端孔部171Dに下方から進入する。
【0103】
このようにして、コネクタ1と相手コネクタ2とが互いに組み合わさることにより、コネクタ嵌合接続動作が完了する。
【0104】
本実施形態では、コネクタ同士を嵌合接続させる過程において、まず、初期案内部75A,76A,78A,79Aによる案内が行われてから、後期案内部71A-1,71B-1,71C-1,72D,73D,74D,77Dによる案内が行われる。これらの初期案内部は後期案内部よりも傾斜方向での寸法が大きく形成されているので、端子配置部72,73,74、77と端子配置部173,172,177、174との嵌合に先立って、これらの初期案内部によって大まかな案内が行われることとなる。したがって、端子配置部同士は、互いの嵌合が開始される時点において、すでに正規の嵌合位置に近い位置にもたらされた状態となっている。
【0105】
つまり、後期案内部による案内が開始される時点において、端子配置部72,73,74、77と端子配置部173,172,177、174とは正規の嵌合位置に近い位置にある状態となっているので、端子配置部同士は難なく正規の嵌合位置にもたらされる。このように、本実施形態では、可動ハウジング70,170同士が上下方向で互いに当接したときには、これらの後期案内部による案内が行われるので、端子配置部72,73,74、77および端子配置部173,172,177、174が損傷することを良好に回避できる。
【0106】
また、本実施形態では、コネクタ1と相手コネクタ2とは、まず、嵌合操作当初の比較的強い嵌合操作力をもって第一ガイド部75,76および第二ガイド部78,79と、第二ガイド部178,179および第一ガイド部175,176とが当接するが、これらの第一ガイド部と第二ガイド部は、初期案内部を形成できる程度に、端子配列方向およびコネクタ幅方向で厚く形成されているので、上記嵌合操作力をもって当接しても、これに十分に対抗する強度を有しており、破損しにくい。また、第一ガイド部と第二ガイド部との当接により、その後の嵌合操作力は小さくなる。したがって、端子配置部72,73,74、77と端子配置部173,172,177、174とが嵌合時に当接しても、破損しにくくなる。
【0107】
図12(B)の右半部には、コネクタ同士の嵌合接続状態における、コネクタ1の第二信号端子20と、相手コネクタ2の第一信号端子110との接触した状態が示されている。図12(B)に示されるように、第一信号端子110の接触部115Aが第二信号端子20の接触腕部25の下部に接圧をもって接触し、第二信号端子20の接触部25Aが第一信号端子110の接触腕部15の上部に接圧をもって接触する。このとき、コネクタ1の第二信号端子20は、その上部、すなわち可動側端子溝部73Bに対応する部分がコネクタ幅方向外方へ向けて弾性変形し、相手コネクタ2の第一信号端子110は、その下部、すなわち可動側端子溝部172Bに対応する部分がコネクタ幅方向外方へ向けて弾性変形する。第二信号端子20の弾性変形は可動側端子溝部73Bによって許容され、第一信号端子110の弾性変形は可動側端子溝部172Bによって許容される。
【0108】
上述したように、第一信号端子110の接触部115Aは、第二信号端子20の接触腕部25の下部、すなわち、可動ハウジング70の対向壁部73Eの下部の内面に沿って延びている部分に接触している。この接触腕部25の下部は、接触部115Aからコネクタ幅方向外方へ向けた接圧を受けるが、このとき、対向壁部73Eの下部によってコネクタ幅方向での外側から支持される。
【0109】
本実施形態では、対向壁部73Eは、その下部の壁厚寸法(コネクタ幅方向での寸法)が上部の壁厚寸法よりも大きくなっている。したがって、下部において、第一信号端子110の接触部115Aから受ける外力、すなわち、コネクタ幅方向外方へ向けた外力に十分に対抗可能な強度を確保できる。その結果、対向壁部73Eの変形を規制して、該対向壁部73Eの損傷を防止できる。
【0110】
上述したように、第二信号端子20の接触腕部25の上部はコネクタ幅方向で外方へ向けて弾性変形し、この弾性変形は対向壁部73Eの上部に形成された可動側端子溝部73Bによって許容されている。本実施形態では、対向壁部73Eの上部は、上下方向での可動側端子溝部73Bに対応する範囲において、その壁厚寸法が下方に向かうにつれて大きくなっている。対向壁部73Eの上部をこのような形状とすることにより、可動側端子溝部73Bの上部で端子の大きい撓み変形を許容しつつ、対向壁部73Eのうち可動側端子溝部73Bの下部に対応する部分で大きい強度を確保できる。したがって、仮に、接触腕部25が過剰に撓み変形して可動側端子溝部73Bの内壁面に当接することがあっても、対向壁部73Eにおいて、接触腕部25から受ける外力に十分に対抗可能な強度を確保できる。その結果、対向壁部73Eの変形を規制して、該対向壁部73Eの損傷を防止できる。
【0111】
また、本実施形態では、図12(B)に示されるように、コネクタ嵌合接続状態において、相手コネクタ2の支持壁部171Fが、コネクタ幅方向でコネクタ1の対向壁部73Eの外側に位置し、該対向壁部73Eの外側面に対面することにより、対向壁部73Eをコネクタ幅方向で外側から支持可能となっている。したがって、該支持壁部171Fで対向壁部73Eをコネクタ幅方向での外側から支持して、その支持力で、接触腕部25の上部が接触部115Aからコネクタ幅方向外方へ向けた外力に対抗できる。その結果、コネクタ幅方向外方へ向けた対向壁部73Eの変形を規制して、該対向壁部73Eの損傷を防止できる。
【0112】
また、本実施形態では、可動側端子溝部73Bだけでなく、コネクタ1および相手コネクタ2における他の可動側端子溝部も該可動側端子溝部73Bと同じ形状をなしている。したがって、のこれらの他の可動側端子溝部に対応する位置において可動ハウジング70,170の十分な強度を確保できる。
【0113】
また、図12(B)に示されるように、コネクタ嵌合接続状態において、相手コネクタ2の可動ハウジング170の支持壁部71Fが、コネクタ1の対向壁部73Eの外側面に近接して対面し、該対向壁部73Eをコネクタ幅方向で外側から支持可能となっている。したがって、仮に、接触腕部25が過剰に撓み変形して可動側端子溝部73Bの内壁面に当接することがあっても、支持壁部71Fからのコネクタ幅方向で内方へ向けた支持力で接触腕部25から受ける外力に対抗できる。その結果、コネクタ幅方向外方へ向けた対向壁部73Eの変形を規制して、該対向壁部73Eの損傷を防止できる。ここでは、コネクタ1の対向壁部73Eにおいて得られる効果について説明したが、相手コネクタ2の対向壁部173Eにおいても同様の効果が得られる。
【0114】
本実施形態では、第一信号端子配置部および第二信号端子配置部の両方に後期案内部が設けられていることとしたが、これに替えて、第一信号端子配置部および第二信号端子配置部のいずれか一方に後期案内部が設けられていることとしてもよい。また、第一電源端子配置部および第二電源端子配置部の両方に後期案内部が設けられていることとしたが、これに替えて、第一電源端子配置部および第二電源端子配置部のいずれか一方に後期案内部が設けられていることとしてもよい。
【0115】
本実施形態では、回路基板の実装面に対して直角な方向を相手接続体との接続方向とするコネクタにカバー部材が設けられることとしたが、カバー部材が設けられるコネクタはこれに限定されず、例えば、回路基板の実装面に対して平行な方向を相手接続体との接続方向する、いわゆるライトアングルコネクタであってもよい。
【0116】
本実施形態では、カバー部材は、回路基板の実装面に対して直角な上方へ向かう方向を取付方向として取り付けられることとしたが、カバー部材の取付方向はこれに限定されない。例えば、コネクタを側方(回路基板の実装面に対して平行な方向)から見たときに端子の中間部が露出している場合には、回路基板の実装面に対して平行な方向を取付方向として、コネクタの側面(回路基板の実装面に対して直角な面)にカバー部材が取り付けられるようになっていてもよい。
【0117】
本実施形態では、端子の弾性部の弾性変形により可動ハウジングがフローティング可能なフローティングコネクタにカバー部材が設けられることとしたが、カバー部材が設けられるのがフローティングコネクタであることは必須ではなく、例えば、フローティングしない単一のハウジングで端子が保持されたコネクタであってもよい。このとき、カバー部材は、ハウジングに取り付けられてもよいし、端子に取り付けられてもよい。
【0118】
本実施形態では、コネクタには1つのカバー部材が設けられることとしたが、これに替えて、複数のカバー部材が設けられていてもよい。このとき、例えば、本実施形態のカバー部材が、端子配列方向で複数に分割されたような構成としてもよい。
【符号の説明】
【0119】
1 コネクタ
2 相手コネクタ
10,110 第一信号端子
20,120 第二信号端子
60,160 固定ハウジング
70、170 可動ハウジング
71F,171F 支持壁部
72,172 第一信号端子配置部(第一端子配置部)
72B,172B 可動側端子溝部
72D,172D 後期案内部
73,173 第二信号端子配置部(第二端子配置部)
73B 可動側端子溝部
73D,173D 後期案内部
73E,173E 対向壁部
74,174 第一電源端子配置部(第一端子配置部)
74D,174D 後期案内部
75,175 第一外ガイド部(第一ガイド部)
75A,175A 初期案内部
76,176 第一内ガイド部(第一ガイド部)
76A,176A 初期案内部
77,177 第一電源端子配置部(第二端子配置部)
77D,177D 後期案内部
78,178 第二外ガイド部(第二ガイド部)
78A,178A 初期案内部
79,179 第二内ガイド部(第二ガイド部)
79A,179A 初期案内部
P1 回路基板

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12