(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068369
(43)【公開日】2024-05-20
(54)【発明の名称】開口枠及び開口部構造
(51)【国際特許分類】
E04F 19/02 20060101AFI20240513BHJP
E04F 19/00 20060101ALI20240513BHJP
【FI】
E04F19/02 N
E04F19/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178756
(22)【出願日】2022-11-08
(71)【出願人】
【識別番号】000204985
【氏名又は名称】大建工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岸田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】石塚 桃子
(57)【要約】
【課題】室内の壁に非矩形状の開口部を容易に形成できるようにする。
【解決手段】壁Wに形成された非矩形状の開口部2を縁取る開口枠20は、開口部2となる切り欠き3,3が形成された壁Wの一部を構成する一対の壁下地材10,10の切り欠き3,3の周縁に沿って延び、該一対の壁下地材10,10間を遮蔽する板状の枠本体部21と、一対の壁下地材10,10間に挿入されて該一対の壁下地材10,10に固定され、枠本体部21を支持する支持部22とを備えている。枠本体部21は、ポリ塩化ビニルを主材料とする樹脂材料で人の手で変形可能に構成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁に形成された非矩形状の開口部を縁取る開口枠であって、
上記開口部となる切り欠きが形成された上記壁の一部を構成する一対の壁下地材の上記切り欠きの周縁に沿って延び、該一対の壁下地材間を遮蔽する板状の枠本体部と、
上記一対の壁下地材間に挿入されて該一対の壁下地材に固定され、上記枠本体部を支持する支持部とを備え、
上記枠本体部は、第1の軟質材料で人の手で変形可能に構成されている
ことを特徴とする開口枠。
【請求項2】
請求項1に記載の開口枠において、
上記支持部は、
上記枠本体部の片側の面から突出して該枠本体部の長手方向に延び、
上記第1の軟質材料と同一又は異なる部材である第2の軟質材料で、上記枠本体部と一体に且つ人の手で変形可能に構成されている
ことを特徴とする開口枠。
【請求項3】
請求項2に記載の開口枠であって、
上記支持部は、上記枠本体部の上記片側の面からそれぞれ突出して該枠本体部の長手方向に互いに平行に延びる一対の板状の脚部からなる
ことを特徴とする開口枠。
【請求項4】
請求項1に記載の開口枠において、
上記支持部は、上記枠本体部とは別体に構成され、
上記枠本体部と上記支持部とには、互いに係合する係合部がそれぞれ設けられ、
上記枠本体部及び上記支持部の上記係合部は、互いに係合させると、上記枠本体部が上記支持部に取り付けられて支持されるように構成されている
ことを特徴とする開口枠。
【請求項5】
請求項4に記載の開口枠において、
上記支持部は、上記第1の軟質材料と同一又は異なる部材である第2の軟質材料で人の手で変形可能に構成され、上記一対の壁下地材間に挿入されて上記切り欠きの外周に沿って延びている
ことを特徴とする開口枠。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1つに記載の開口枠において、
上記支持部は、上記一対の壁下地材の内面と当接する2つの外面を有し、
上記各外面の少なくとも一部は、凹凸形状に形成されている
ことを特徴とする開口枠。
【請求項7】
壁に非矩形状の開口部を形成する開口部構造であって、
上記開口部となる切り欠きが形成された上記壁の一部を構成する一対の壁下地材と、
上記開口部を縁取る開口枠とを備え、
上記開口枠は、請求項1~5のいずれか1つに記載の開口枠である
ことを特徴とする開口部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内の壁に湾曲部を有する非矩形状の開口部を形成するための開口枠及びそれを備えた開口部構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅等の室内の壁に、アーチ型等の非矩形状の開口部が形成されることがある(例えば、下記の特許文献1を参照)。この種の非矩形状の開口部には、曲げ合板等、予め開口形状に成形された開口枠を準備して施工現場に搬送し、施工していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、予め非矩形状の開口形状に成形された開口枠を用いる場合、施工現場において壁下地材の切り欠きの周縁にぴったりと沿うように、精度良く開口形状に成形する(曲げ合板の場合、曲げる)必要がある。そのため、従来の手法では、開口枠の準備に手間がかかり、また、開口枠施工後に開口枠に化粧を施す必要があるがその作業も容易ではないため、非矩形状の開口部を容易に形成できないという問題があった。
【0005】
本発明は斯かる点に鑑みてなされたもので、その目的は、室内の壁に非矩形状の開口部を容易に形成できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明では、一対の壁下地材の切り欠きの周縁に沿って延びて該一対の壁下地材間を遮蔽する板状の枠本体部を、軟質材料で人の手で変形可能に構成することとした。
【0007】
具体的には、第1の発明は、壁に形成された非矩形状の開口部を縁取る開口枠を前提とするものである。
【0008】
そして、第1の発明は、上記開口部となる切り欠きが形成された上記壁の一部を構成する一対の壁下地材の上記切り欠きの周縁に沿って延び、該一対の壁下地材間を遮蔽する板状の枠本体部と、上記一対の壁下地材間に挿入されて該一対の壁下地材に固定され、上記枠本体部を支持する支持部とを備え、上記枠本体部は、第1の軟質材料で人の手で変形可能に構成されていることを特徴とするものである。
【0009】
ここで、「第1の軟質材料」とは、枠本体部を人の手で変形可能に構成することができる材料を言い、例えば、合成樹脂材料や天然樹脂材料等の弾性を有する材料を用いることができる。
【0010】
第1の発明では、非矩形状の開口部の開口形状に形成されて該開口部を縁取る板状の枠本体部が、第1の軟質材料で人の手で変形可能に構成されている。そのため、施工現場において枠本体部を一対の壁下地材の切り欠きの周縁に沿って延びるように変形させながら、一対の壁下地材の切り欠きの周縁に施工することができる。従って、第1の発明によれば、非矩形状の開口部の開口形状に形成されて該開口部を縁取る板状の枠本体部を、予め開口形状に成形しておくことなく、施工現場で変形させながら容易に一対の壁下地材の切り欠きの周縁にぴったりと沿うように精度良く施工することができる。
【0011】
第2の発明は、第1の発明において、上記支持部は、上記枠本体部の片側の面から突出して該枠本体部の長手方向に延び、上記第1の軟質材料と同一又は異なる部材である第2の軟質材料で、上記枠本体部と一体に且つ人の手で変形可能に構成されていることを特徴とするものである。
【0012】
ここで、「第2の軟質材料」とは、支持部を人の手で変形可能に構成することができる材料を言い、例えば、合成樹脂材料や天然樹脂材料等の弾性を有する材料を用いることができる。
【0013】
また、「枠本体部と一体に構成」とは、射出成形で一体成形してもよく、個別に成形した後に接着・融着・溶着等によって固着させて一体化させてもよい。
【0014】
第2の発明では、支持部も枠本体部と同様に長い部材で構成されているが、枠本体部と同様に、第2の軟質材料で人の手で変形可能に構成されている。また、支持部は枠本体部と一体に構成されている。そのため、施工現場において枠本体部及び支持部を一対の壁下地材の切り欠きの周縁に沿って延びるように変形させながら、支持部を一対の壁下地材間に挿入して支持部を両壁下地材に固定することにより、容易に開口枠を施工することができる。従って、第2の発明によれば、非矩形状の開口部の開口形状に形成されて該開口部を縁取る開口枠を、施工現場で変形させながら容易に非矩形状の開口部の周縁にぴったりと沿うように精度良く施工することができる。
【0015】
第3の発明は、第2の発明において、上記支持部は、上記枠本体部の上記片側の面からそれぞれ突出して該枠本体部の長手方向に互いに平行に延びる一対の板状の脚部からなることを特徴とするものである。
【0016】
第3の発明では、支持部が一対の板状の脚部からなる。このような構成によれば、一対の壁下地材に固定して枠本体部を支持する支持部を、必要最小限の分量の第2の軟質材料で軽量に且つ変形し易く構成することができる。
【0017】
第4の発明は、第1の発明において、上記支持部は、上記枠本体部とは別体に構成され、上記枠本体部と上記支持部とには、互いに係合する係合部がそれぞれ設けられ、上記枠本体部及び上記支持部の上記係合部は、互いに係合させると、上記枠本体部が上記支持部に取り付けられて支持されるように構成されていることを特徴とするものである。
【0018】
第4の発明では、支持部が枠本体部とは別体に構成され、係合部どうしを係合させるだけで、支持部に容易に枠本体部を取り付けることができるように構成されている。このような構成によれば、支持部を先に一対の壁下地材に挿入して固定し、固定された支持部に枠本体部を取り付けることにより、開口枠を容易に施工することができる。
【0019】
第5の発明は、第4の発明において、上記支持部は、上記第1の軟質材料と同一又は異なる部材である第2の軟質材料で人の手で変形可能に構成され、上記一対の壁下地材間に挿入されて上記切り欠きの外周に沿って延びていることを特徴とするものである。
【0020】
第5の発明では、支持部も枠本体部と同様に長い部材で構成されているが、枠本体部と同様に、第2の軟質材料で人の手で変形可能に構成されている。そのため、施工現場において支持部を容易に変形させることができるため、支持部を変形させながら一対の壁下地材間に挿入することにより、容易に一対の壁下地材の切り欠きの外周に沿うように配置することができる。第5の発明によれば、施工現場において、非矩形状の開口部を縁取る開口枠を、容易に、非矩形状の開口部の周縁にぴったりと沿うように精度良く施工することができる。
【0021】
第6の発明は、第1~第5のいずれか1つの発明において、上記支持部は、上記一対の壁下地材の内面と当接する2つの外面を有し、上記各外面の少なくとも一部は、凹凸形状に形成されていることを特徴とするものである。
【0022】
第6の発明では、一対の壁下地材間に挿入されて一対の壁下地材の内面と当接する支持部の2つの外面の少なくとも一部が、凹凸形状に形成されている。そのため、支持部が一対の壁下地材間に挿入された際に、支持部の外面と壁下地材の内面との摩擦抵抗が増大し、支持部が一対の壁下地材にひっかかり易くなる。そのため、一対の壁下地材に支持部を固定する際に、支持部がずれるのを抑制することができ、固定作業が容易になる。
【0023】
第7の発明は、壁に非矩形状の開口部を形成する開口部構造であって、上記開口部となる切り欠きが形成された上記壁の一部を構成する一対の壁下地材と、上記開口部を縁取る開口枠とを備え、上記開口枠は、第1~第5のいずれか1つの発明に係る開口枠であることを特徴とするものである。
【0024】
第7の発明によれば、第1~第5のいずれか1つの発明に係る開口枠を備えているため、壁に非矩形状の開口部を容易に形成することができる。
【発明の効果】
【0025】
以上説明した如く、本発明によると、一対の壁下地材の切り欠きの周縁に沿って延びて該一対の壁下地材間を遮蔽する板状の枠本体部を、軟質材料で人の手で変形可能に構成したため、室内の壁に非矩形状の開口部を容易に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態1の開口部構造の正面図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態1の開口部構造の分解斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態1の開口部構造の横断面図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態2の開口部構造の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
【0028】
《発明の実施形態1》
-開口部構造の概略構成-
図1に示すように、開口部構造1は、住宅等の建物の室内の壁Wに非矩形状の開口部2を形成するものである。なお、本実施形態1では、非矩形状の開口部2の一例としてアーチ型の開口部2を形成する例について説明する。以下では、説明の便宜上、
図1の上側、下側、左側、右側を、それぞれ「上」、「下」、「左」、「右」として説明する。また、
図1の紙面直交方向において手前側を「前」、奥側を「後」として説明する。
【0029】
図1及び
図2に示すように、開口部構造1は、開口部2となる切り欠き3がそれぞれ形成され、壁Wの一部を構成する一対の壁下地材10,10と、開口部2を縁取る開口枠20とを備えている。
【0030】
〔壁下地材〕
壁下地材10は、複数の石膏ボード11~13でアーチ形状に加工されている。本実施形態1では、壁下地材10は、半円形状の切り欠きが形成された上部石膏ボード11と、2つの矩形状で長尺の側部石膏ボード12,13とで構成されている。石膏ボード11~13は、上部石膏ボード11の左右の下端に、2つの側部石膏ボード12,13が連続して下方に延びるように配置され、柱やまぐさ等の躯体(図示省略)にビス等で固定されている。壁下地材10は、3つの石膏ボード11~13を上述のように配置して躯体に固定することにより、アーチ形状に形成されている。
【0031】
一対の壁下地材10,10は、躯体の前側と後側とにそれぞれ施工され、大壁構造の壁Wの一部を構成している。一対の壁下地材10,10は、切り欠き3の外周縁部に、後述する開口枠20の支持部22を挿入するための挿入代(空間)が形成されるように、躯体の開口部2側の端面より挿入代分だけ突出するように施工されている。
【0032】
図3に示すように、本実施形態1では、一対の壁下地材10,10の化粧面(前側の壁下地材10の前面、後側の壁下地材10の後面)には、クロスCが施工されている。
【0033】
〔開口枠〕
図3及び
図4に示すように、開口枠20は、一対の壁下地材10,10間を遮蔽する板状の枠本体部21と、枠本体部21を支持する支持部22とを備えている。枠本体部21は、ポリ塩化ビニルを主材料とする樹脂材料(第1の軟質材料)で人の手で変形可能に構成されている。また、支持部22も、ポリ塩化ビニルを主材料とする樹脂材料(第2の軟質材料)で人の手で変形可能に構成されている。本実施形態1では、枠本体部21と支持部22とは、射出成形により一体に構成されている。
【0034】
枠本体部21は、幅狭で薄い長尺の矩形状の板状部分である。枠本体部21は、一対の壁下地材10,10間を遮蔽するように、一対の壁下地材10,10の切り欠き3,3の周縁に沿って切り欠き3,3の周縁の一端部(左端部)3aから他端部(右端部)3bに亘って延びている。枠本体部21は、このように設けられて開口部2を縁取っている。
【0035】
枠本体部21の幅は、一対の壁下地材10,10間を遮蔽すると共に、一対の壁下地材10,10の開口部2側の端面を遮蔽するように、開口部2の前側の壁下地材10の前面から後側の壁下地材の後面に亘る長さに形成されている。なお、本実施形態1では、枠本体部21の幅は、壁Wの厚みよりも4~10mm程度長く形成されている。そのため、枠本体部21は、壁Wの前面及び後面よりも前後にそれぞれ2~5mm程度(好ましくは3mm以上)突出している。このように枠本体部21の幅を壁Wの厚みよりも長くすることにより、見切材を用いることなくクロスC等の化粧材を止めることができる。また、枠本体部21の突出部にクロスCをぶつけてカットすることで、クロスCの端部が目立ち難くなり、端部処理が容易になる。
【0036】
枠本体部21の厚みは、例えば、2~5mm程度に形成されている。なお、枠本体部21の厚みは、人の手で枠本体部21を一対の壁下地材10,10の切り欠き3,3の周縁に沿って湾曲させることができる厚みであればよく、枠本体部21を構成する材料に応じて変更すればよい。
【0037】
枠本体部21の長さは、一対の壁下地材10,10の切り欠き3,3の周縁の一端部(左端部)3aから他端部(右端部)3bに亘る長さに形成されている。
【0038】
なお、本実施形態1では、
図1に示すように、一対の壁下地材10,10の下端部には巾木4,4が設けられている。巾木4,4は、前側の壁下地材10から後側の壁下地材10へ折り曲げられながら連続して延びるように施工されている。そのため、一対の壁下地材10,10間の下端部は、巾木4,4によって遮蔽されている。
【0039】
以上のように巾木4,4が設けられることにより、本実施形態1では、枠本体部21は、切り欠き3,3の周縁の一端部(左端部)3aの巾木4の上端から他端部(右端部)3bの巾木4の上端に亘る長さに形成されている。なお、巾木4,4は必ずしも設けられていなくてもよく、巾木4,4が設けられない場合、枠本体部21は、切り欠き3,3の周縁の床に接する一端から同様に床に接する他端に亘って延びる長さに形成すればよい。
【0040】
なお、本実施形態1では、施工現場で切断することにより、枠本体部21の長さは、一対の壁下地材10,10の切り欠き3,3の周縁の一端部(左端部)3aの巾木4の上端から他端部(右端部)3bの巾木4の上端に亘る長さに形成される。
【0041】
支持部22は、枠本体部21の片側の面から突出して枠本体部21の長手方向に互いに平行に延びる一対の板状の脚部23,23によって構成されている。一対の脚部23,23は、同様に構成されている。一対の脚部23,23は、一対の壁下地材10,10間に挿入された際に、外面23a,23aが一対の壁下地材10,10の内面に当接するように、外面23a,23a間の距離が一対の壁下地材10,10の内面間の距離と等しい又は僅かに大きい長さになるように形成されている。
【0042】
脚部23は、幅狭で薄い長尺の矩形状の板状部分である。脚部23の幅(突出高さ)は、20~40mm程度に形成されている。脚部23の厚みは、3~7mm程度に形成されている。脚部23の長さは、枠本体部21の長さ方向の一端から他端に亘る長さ(即ち、本実施形態1では、一対の壁下地材10,10の切り欠き3,3の周縁の一端部3aの巾木4の上端から他端部3bの巾木4の上端に亘る長さ)に形成されている。
【0043】
また、脚部23の外面23aの少なくとも一部には、複数本の線条突起23b,…,23bが形成されている。線条突起23bは、脚部23の外面23aから僅かに突起し、脚部23の長手方向の一端から他端に亘って(即ち、枠本体部21の長さ方向の一端から他端に亘って)延びている。このような複数本の線条突起23b,…,23bにより、脚部23の外面23aの少なくとも一部は、凹凸形状に形成されている。
【0044】
支持部22(一対の脚部23,23)は、一対の壁下地材10,10間に挿入され、2つの外面23a,23aが一対の壁下地材10,10の内面に当接した状態で、ビス30,30によって一対の壁下地材10,10に固定されている。
【0045】
-開口部構造の施工方法-
次に、開口部構造1の施工方法について説明する。
【0046】
まず、一対の壁下地材10,10を施工する。柱やまぐさ等の躯体(図示省略)の前側及び後側のそれぞれに、3つの石膏ボード11~13を、上部石膏ボード11の左右の下端に、2つの側部石膏ボード12,13が連続して下方に延びるように配置し、それぞれ躯体にビス等で固定する。これにより、アーチ形状の一対の壁下地材10,10が施工される。
【0047】
次に、一対の壁下地材10,10の下端部に巾木4,4を施工する。巾木4,4は、前側の壁下地材10から後側の壁下地材10へ折り曲げられながら連続して延び、ビス等で壁下地材10に固定される。一対の壁下地材10,10間の下端部は、巾木4,4によって遮蔽される。
【0048】
次に、開口枠20を施工する。
【0049】
まず、一対の壁下地材10,10の切り欠き3,3の周縁の一端部3a側から他端部3b側へ(逆も可)、順に支持部22(一対の脚部23,23)を一対の壁下地材10,10間に挿入していく。なお、上述のように、本実施形態1では、一対の壁下地材10,10の下端部には巾木4,4が設けられ、一対の壁下地材10,10間の下端部は、巾木4,4によって遮蔽されている。そのため、本実施形態1では、一対の壁下地材10,10の切り欠き3,3の周縁の一端部(左端部)3aの巾木4の上端から他端部(右端部)3bの巾木4の上端に亘り、支持部22(一対の脚部23,23)を挿入する。
【0050】
なお、支持部22の外面23a,23aには、挿入前に予め接着剤を塗布しておく。支持部22を挿入する際、枠本体部21が一対の壁下地材10,10の切り欠き3,3の周縁に沿うように、枠本体部21を手で変形(湾曲)させながら、支持部22を挿入していく。支持部22は、一対の壁下地材10,10の切り欠き3側の端面が枠本体部21に当接するまで挿入する。
【0051】
そして、支持部22を、一対の壁下地材10,10の切り欠き3,3の周縁の一端部3aの巾木4の上端から他端部3bの巾木4の上端に亘って挿入すると、枠本体部21によって一対の壁下地材10,10間(本実施形態1では巾木4,4の上方)が遮蔽され、一対の壁下地材10,10の開口部2側の端面(本実施形態1では巾木4,4の上方)も遮蔽される。つまり、枠本体部21によって開口部2が縁取られる。この状態で、壁下地材10,10の外側から内側に向かって支持部22が挿入された複数箇所にビス30を打ち込むことにより、支持部22を一対の壁下地材10,10に固定する。
【0052】
開口枠20の施工後、一対の壁下地材10,10を含む壁Wの化粧面にクロスCを施工する。
【0053】
以上の手順により、開口部構造1が施工され、壁Wに非矩形状(アーチ型)の開口部2が形成される。
【0054】
-実施形態1の効果-
本実施形態1では、非矩形状(アーチ型)の開口部2の開口形状に形成されて該開口部2を縁取る板状の枠本体部21が、ポリ塩化ビニルを主材料とする樹脂材料(第1の軟質材料)で人の手で変形可能に構成されている。そのため、施工現場において枠本体部21を一対の壁下地材10,10の切り欠き3,3の周縁に沿って延びるように変形させながら、一対の壁下地材10,10の切り欠き3,3の周縁に施工することができる。従って、本実施形態1によれば、非矩形状(アーチ型)の開口部2の開口形状に形成されて該開口部2を縁取る板状の枠本体部21を、開口形状に成形しておくことなく、施工現場で変形させながら容易に一対の壁下地材10,10の切り欠き3,3の周縁にぴったりと沿うように精度良く施工することができる。
【0055】
また、本実施形態1では、支持部22も枠本体部21と同様に長い部材で構成されているが、枠本体部21と同様に、ポリ塩化ビニルを主材料とする樹脂材料(第2の軟質材料)で人の手で変形可能に構成されている。また、支持部22は枠本体部21と一体に構成されている。そのため、施工現場において枠本体部21及び支持部22を一対の壁下地材10,10の切り欠き3,3の周縁に沿って延びるように変形させながら、支持部22を一対の壁下地材10,10間に挿入して支持部22を両壁下地材10,10に固定することにより、容易に開口枠20を施工することができる。従って、本実施形態1によれば、非矩形状(アーチ型)の開口部2の開口形状に形成されて該開口部2を縁取る開口枠20を、施工現場で変形させながら容易に非矩形状(アーチ型)の開口部2の周縁にぴったりと沿うように精度良く施工することができる。
【0056】
また、本実施形態1では、支持部22が一対の板状の脚部23,23からなる。このような構成によれば、一対の壁下地材10,10に固定して枠本体部21を支持する支持部22を、必要最小限の分量の材料(第2の軟質材料)で軽量に且つ変形し易く構成することができる。
【0057】
また、本実施形態1では、一対の壁下地材10,10間に挿入されて一対の壁下地材10,10の内面と当接する支持部22の2つの外面23a,23aの少なくとも一部が、凹凸形状に形成されている。そのため、支持部22が一対の壁下地材10,10間に挿入された際に、支持部22の外面23a,23aと壁下地材10,10の内面との摩擦抵抗が増大し、支持部22が一対の壁下地材10,10にひっかかり易くなる。そのため、一対の壁下地材10,10に支持部22を固定する際に、支持部22がずれるのを抑制することができ、固定作業が容易になる。
【0058】
また、本実施形態1によれば、壁Wに非矩形状(アーチ型)の開口部2を形成する開口部構造1が、上述のような開口枠20を備えることにより、壁Wに非矩形状(アーチ型)の開口部2を容易に形成することができる。
【0059】
《発明の実施形態2》
図5及び
図6に示すように、実施形態2の開口部構造1は、開口枠20の枠本体部21と支持部22とを別体に構成したものである。以下では、実施形態1と異なる部分についてのみ詳細に説明し、実施形態1と同様の構成については、詳細な説明を省略する。
【0060】
〔開口枠〕
実施形態2においても開口枠20は、一対の壁下地材10,10間を遮蔽する板状の枠本体部21と、枠本体部21を支持する支持部22とを備えている。また、本実施形態2では、枠本体部21と支持部22とは、実施形態1と同様にポリ塩化ビニルを主材料とする樹脂材料(第1及び第2の軟質材料)で構成されているが、別体に構成されている。別体に構成された枠本体部21と支持部22とは、いずれも人の手で変形可能に構成されている。
【0061】
実施形態2では、枠本体部21は、幅狭で薄い長尺の矩形状の板状部分24と、支持部22と係合する係合部25とを有している。板状部分24と係合部25とは、ポリ塩化ビニル(第1の軟質材料)で一体に形成されている。
【0062】
板状部分24の幅は、実施形態1の枠本体部21の幅と同様に、壁Wの厚みよりも4~10mm程度長く形成されている。そのため、枠本体部21の板状部分24は、壁Wの前面及び後面よりも前後にそれぞれ2~5mm程度(好ましくは3mm以上)突出している。このように枠本体部21の幅を壁Wの厚みよりも長くすることにより、見切材を用いることなくクロスC等の化粧材を止めることができる。また、枠本体部21の突出部にクロスCをぶつけてカットすることで、クロスCの端部が目立ち難くなり、端部処理が容易になる。
【0063】
板状部分24の厚みは、幅方向の両端部が、例えば、2.5~5mm程度に形成され、それ以外の部分は、幅方向の両端部よりも薄く、例えば、1~2.5mm程度に形成されている。なお、板状部分24の厚みは、人の手で板状部分24を一対の壁下地材10,10の切り欠き3,3の周縁に沿って湾曲させることができる厚みであればよく、板状部分24を構成する材料に応じて変更すればよい。
【0064】
板状部分24の長さは、実施形態1の枠本体部21の長さと同様に、一対の壁下地材10,10の切り欠き3,3の周縁の一端部(左端部)3aの巾木4の上端から他端部(右端部)3bの巾木4の上端に亘る長さに形成されている。
【0065】
係合部25は、板状部分24の片側の面から突出して板状部分24の長手方向に互いに平行に延びる一対の係合片部26,26によって構成されている。一対の係合片部26,26は、いずれも板状部分24に垂直な垂直部と垂直部及び板状部分24に対して傾斜した傾斜部とを有して断面V字形状に形成され、互いの垂直部が向かい合うように設けられている。一対の係合片部26,26は、該一対の係合片部26,26と板状部分24の幅方向の両端部との間に、後述する支持部22の一対の係合片部29,29がそれぞれ嵌まるように、係合片部26の垂直部と板状部分24の幅方向の端部との間の距離が、係合片部29の幅よりも僅かに長くなるように形成されている。
【0066】
実施形態2では、支持部22は、断面形状がコ字形状で長尺の支持本体部27と、枠本体部21の係合部25(一対の係合片部26,26)と係合する係合部28とを有している。支持本体部27と係合部28とは、ポリ塩化ビニル(第2の軟質材料)で一体に形成されている。なお、実施形態2では、枠本体部21と支持部22とは、同一のポリ塩化ビニルで構成されているが、支持部22には、枠本体部21で用いるポリ塩化ビニルよりも硬度の高いポリ塩化ビニルが用いられている。
【0067】
支持本体部27は、一対の脚部27a,27aと連結部27bとにより、断面がコ字形状に形成されている。一対の脚部27a,27aは、同様に構成されている。一対の脚部27a,27aは、支持部22の支持本体部27が一対の壁下地材10,10間に挿入された際に、外面27c,27cが一対の壁下地材10,10の内面に当接するように、外面27c,27c間の距離が一対の壁下地材10,10の内面間の距離と等しい又は僅かに大きい長さになるように形成されている。
【0068】
脚部27aは、幅狭で薄い長尺の矩形状の板状部分である。脚部27aの幅(突出高さ)は、20~40mm程度に形成されている。脚部27aの厚みは、1~2mm程度に形成されている。脚部27aの長さは、枠本体部21の長さ方向の一端から他端に亘る長さ(即ち、一対の壁下地材10,10の切り欠き3,3の周縁の一端部3aの巾木4の上端から他端部3bの巾木4の上端に亘る長さ)に形成されている。
【0069】
連結部27bは、薄い長尺の矩形状の板状部分であり、一対の脚部27a,27aの一端部を連結している。連結部27bの幅は、一対の脚部27a,27aの外面27c,27c間の距離と等しい長さに形成されている。連結部27bの厚みは、脚部27aの厚みと同一であり、1~2mm程度に形成されている。連結部27bの長さは、脚部27aの長さと同じ長さに形成されている。
【0070】
係合部28は、支持本体部27の一対の脚部27a,27aの他端(連結部27bとは逆側の端)にそれぞれ連続して各脚部27aの長手方向に延びる各脚部27aに垂直な一対の平板状の係合片部29,29によって構成されている。各係合片部29は、脚部27aの他端から内側に延びる内側部分29aと、脚部27aの他端から外側に延びる外側部分29bとを有している。
【0071】
支持部22は、支持本体部27が一対の壁下地材10,10間に挿入され、支持本体部27の2つの外面27c,27cが一対の壁下地材10,10の内面に当接し、一対の係合片部29,29の外側部分29b,29bが一対の壁下地材10,10の切り欠き3側の端面に当接した状態で、ビス31,31によって一対の壁下地材10,10に固定されている。
【0072】
また、一対の壁下地材10,10に固定された支持部22の一対の係合片部29,29が、枠本体部21の一対の係合片部26,26と板状部分24の幅方向の両端部との間にそれぞれ嵌まるように、枠本体部21を支持部22に押し付けると、枠本体部21の一対の係合片部26,26が、支持部22の一対の係合片部29,29の内側部分29a,29aにひっかかる(係合する)ことにより、枠本体部21が支持部22に取り付けられる。つまり、枠本体部21の係合部25と支持部22の係合部28とは、互いに係合させると、枠本体部21が支持部22に取り付けられて支持されるように構成されている。
【0073】
-開口部構造の施工方法-
次に、開口部構造1の施工方法について説明する。実施形態2においても、まず、一対の壁下地材10,10を施工し、その下端部に巾木4,4を施工する。一対の壁下地材10,10及び巾木4,4の施工方法は、実施形態1と同様であるため説明を省略する。
【0074】
次に、開口枠20を施工する。実施形態2では、枠本体部21と別体に構成された支持部22を先に一対の壁下地材10,10に固定する。
【0075】
具体的には、一対の壁下地材10,10の切り欠き3,3の周縁の一端部3a側から他端部3b側へ(逆も可)、順に支持部22の支持本体部27を一対の壁下地材10,10間に挿入していく。支持部22の2つの外面27c,27cには、挿入前に予め接着剤を塗布しておく。支持部22の支持本体部27を挿入する際、支持部22が一対の壁下地材10,10の切り欠き3,3の周縁に沿うように、支持部22を手で変形(湾曲)させながら挿入していく。支持部22は、係合部28の一対の平板状の係合片部29,29の外側部分29b,29bが一対の壁下地材10,10の切り欠き3側の端面に当接するまで挿入する。
【0076】
そして、支持部22の支持本体部27を、一対の壁下地材10,10の切り欠き3,3の周縁の一端部3aの巾木4の上端から他端部3bの巾木4の上端に亘って挿入した状態で、壁下地材10,10の外側から内側に向かって支持部22の支持本体部27が挿入された複数箇所にビス31を打ち込むことにより、支持部22を一対の壁下地材10,10に固定する。
【0077】
支持部22の固定後、枠本体部21を支持部22に取り付ける。具体的には、一対の壁下地材10,10の切り欠き3,3の周縁の一端部3a側から他端部3b側へ(逆も可)、順に枠本体部21を支持部22に押し付けていく。枠本体部21が押し付けられた部分では、枠本体部21の一対の係合片部26,26の傾斜部が、支持部22の一対の係合片部29,29の内側部分29a,29aを乗り越え、該内側部分29a,29aにひっかかる。また、支持部22の一対の係合片部29,29が、枠本体部21の一対の係合片部26,26と板状部分24の幅方向の両端部との間にそれぞれ嵌まる。このように、枠本体部21の一対の係合片部26,26が、支持部22の一対の係合片部29,29の内側部分29a,29aにひっかかる(枠本体部21及び支持部22の係合部25,28が互いに係合する)ことにより、枠本体部21が支持部22に取り付けられる。
【0078】
このようにして、一対の壁下地材10,10の切り欠き3,3の周縁の一端部3aの巾木4の上端から他端部3bの巾木4の上端に亘って枠本体部21を支持部22に取り付けると、枠本体部21によって一対の壁下地材10,10間(巾木4,4の上方)が遮蔽され、一対の壁下地材10,10の開口部2側の端面(巾木4,4の上方)も遮蔽される。つまり、枠本体部21によって開口部2が縁取られる。
【0079】
開口枠20の施工後、一対の壁下地材10,10を含む壁Wの化粧面にクロスCを施工する。
【0080】
以上の手順により、開口部構造1が施工され、壁Wに非矩形状(アーチ型)の開口部2が形成される。
【0081】
-実施形態2の効果-
本実施形態2においても、非矩形状(アーチ型)の開口部2の開口形状に形成されて該開口部2を縁取る板状の枠本体部21が、ポリ塩化ビニルを主材料とする樹脂材料(第1の軟質材料)で人の手で変形可能に構成されている。そのため、施工現場において枠本体部21を一対の壁下地材10,10の切り欠き3,3の周縁に沿って延びるように変形させながら、一対の壁下地材10,10の切り欠き3,3の周縁に施工することができる。従って、本実施形態1によれば、非矩形状(アーチ型)の開口部2の開口形状に形成されて該開口部2を縁取る板状の枠本体部21を、開口形状に成形しておくことなく、施工現場で変形させながら容易に一対の壁下地材10,10の切り欠き3,3の周縁にぴったりと沿うように精度良く施工することができる。
【0082】
また、本実施形態2では、支持部22が枠本体部21とは別体に構成され、係合部25,28どうしを係合させるだけで、支持部22に容易に枠本体部21を取り付けることができるように構成されている。このような構成によれば、支持部22を先に一対の壁下地材10,10に挿入して固定し、固定された支持部22に枠本体部21を取り付けることにより、開口枠20を容易に施工することができる。
【0083】
また、本実施形態2では、支持部22も枠本体部21と同様に長い部材で構成されているが、枠本体部21と同様に、ポリ塩化ビニルを主材料とする樹脂材料(第2の軟質材料)で人の手で変形可能に構成されている。そのため、施工現場において支持部22を容易に変形させることができるため、支持部22を変形させながら一対の壁下地材10,10間に挿入することにより、容易に一対の壁下地材10,10の切り欠き3,3の外周に沿うように配置することができる。従って、本実施形態2によれば、施工現場において、非矩形状の開口部2を縁取る開口枠20を、容易に、非矩形状(アーチ型)の開口部2の周縁にぴったりと沿うように精度良く施工することができる。
【0084】
また、本実施形態1によっても、壁Wに非矩形状(アーチ型)の開口部2を形成する開口部構造1が、上述のような開口枠20を備えることにより、壁Wに非矩形状(アーチ型)の開口部2を容易に形成することができる。
【0085】
《その他の実施形態》
上記実施形態1,2では、非矩形状の開口部2の一例としてアーチ型の開口部2を形成する例について説明したが、本発明に係る開口枠20が適用される非矩形状の開口部2は、アーチ型に限られない。特に、本発明に係る開口枠20は、円形状や半円形状の開口部2等、湾曲部を有する開口部2に適用されると、壁Wに非矩形状の開口部2を容易に形成することができるという本発明が奏する効果がより顕著になる。
【0086】
上記実施形態1,2では、壁下地材10は、3つの石膏ボード11~13で構成されていたが、壁下地材10の構成はこれに限られない。壁下地材10は、1つ,2つ又は4つ以上の石膏ボードで構成されていてもよく、1つ又は複数の木質ボードで構成されていてもよい。
【0087】
また、上記実施形態1,2では、開口枠20は、一連の部材で構成されていたが、開口枠20を複数の部材で構成してもよい。
【0088】
また、上記実施形態1,2では、枠本体部21を構成する第1の軟質材料として、ポリ塩化ビニルを主材料とする樹脂材料を用いていたが、枠本体部21を構成する第1の軟質材料は、枠本体部21を人の手で変形可能に構成することができる材料であればいかなるものであってもよい。第1の軟質材料として、ポリ塩化ビニルの他、例えば、合成樹脂材料や天然樹脂材料等の弾性を有する材料を用いることができる。
【0089】
また、上記実施形態1,2では、支持部22を構成する第2の軟質材料として、ポリ塩化ビニルを主材料とする樹脂材料を用いていたが、支持部22を構成する第2の軟質材料は、支持部22を人の手で変形可能に構成することができる材料であればいかなるものであってもよい。第2の軟質材料として、ポリ塩化ビニルの他、例えば、合成樹脂材料や天然樹脂材料等の弾性を有する材料を用いることができる。
【0090】
また、上記実施形態1,2では、枠本体部21を構成する第1の軟質材料と支持部22を構成する第2の軟質材料とが同一の材料(塩化ビニルを主材料とする樹脂材料)である場合について説明したが、枠本体部21を構成する第1の軟質材料と支持部22を構成する第2の軟質材料とは異なる材料であってもよい。
【0091】
また、上記実施形態1,2では、枠本体部21は、幅が壁Wの厚みよりも4~10mm程度長くなるように形成され、壁Wの前面及び後面よりも前後にそれぞれ2~5mm程度突出するように形成されていたが、枠本体部21は、上記の構成に限られない。枠本体部21は、幅が壁Wの厚みと同一の長さになるように形成されていてもよく、また、壁Wの前面及び後面において折れ曲がり、壁Wの前面及び後面に沿って延びる見切部を有するものであってもよい。
【0092】
また、上記実施形態1,2では、支持部22は、一対の脚部23,23/27a,27aを有するように構成されていたが、このような構成に限られない。支持部22は、一対の壁下地材10,10の内面に固定できるように、一対の壁下地材10,10間に挿入されて該一対の壁下地材10,10の内面に当接する2つの外面23a,23a/27c,27cを有するように構成されていればよい。例えば、実施形態1において、支持部22は、一対の脚部23,23に架け渡された桟状片部を有するものであってもよく、枠本体部21の片側の面から、一対の脚部23,23の代わりに断面が矩形状の柱状体が突出するものであってもよい。また、実施形態2においても同様に、支持部22は、一対の脚部27a,27aに架け渡された桟状片部を有するものであってもよく、支持本体部27を断面矩形状の柱状体で構成し、枠本体部21の一対の係合片部26,26が収まる溝等を形成してもよい。
【0093】
また、上記実施形態1では、枠本体部21と支持部22とが、射出成形によって一体に構成されていたが、枠本体部21と支持部22とを一体に構成する手法は射出成形に限られない。枠本体部21と支持部22とは、個別に成形した後、接着・融着・溶着等によって固着させて一体化させてもよい。
【0094】
また、上記実施形態2では、支持部22の2つの外面27c,27cは平坦面に構成されていたが、実施形態1の支持部22の2つの外面23a,23aと同様に、少なくとも一部が、凹凸形状に形成されていてもよい。このような構成によれば、支持部22の支持本体部27が一対の壁下地材10,10間に挿入された際に、支持部22の外面27c,27cと壁下地材10,10の内面との摩擦抵抗が増大し、支持部22が一対の壁下地材10,10にひっかかり易くなる。そのため、一対の壁下地材10,10に支持部22を固定する際に、支持部22がずれるのを抑制することができ、固定作業が容易になる。
【0095】
なお、上記実施形態1においても、上記実施形態2の変形例においても、支持部22の外面23a,23a/27c,27cの一部だけでなく、全部を凹凸形状に形成してもよい。また、凹凸形状の形成手法は、複数本の線条突起23b,…,23bを形成することに限られない。支持部22の外面23a,23a/27c,27cに、複数本の線条溝を形成することによって凹凸形状に形成してもよく、複数の凸部や凹部を形成することによって凹凸形状に形成してもよい。
【0096】
また、上記実施形態1,2では、一対の壁下地材10,10の化粧面(前側の壁下地材10の前面、後側の壁下地材10の後面)に、表面材としてクロスCを施工していたが、一対の壁下地材10,10の化粧面に施工する表面材はクロスCに限られない。例えば、厚さが3mm程度の不燃化粧材(例えば、大建工業(株)製グラビオLS等)を表面材として使用することができる。この場合、一対の壁下地材10,10の表面が不燃材料で覆われるため、キッチン等、火元が近くにある箇所にも使用することができる。つまり、表面材を不燃化粧板とすれば、室内の場所を問わず使用することができる。
【0097】
また、表面材を不燃化粧板とする場合にも、上記実施形態1,2の表面材をクロスCとする場合と同様に、開口枠20の枠本体部21が、壁Wの前面及び後面よりも前後にそれぞれ2~5mm程度(好ましくは3mm以上)突出するように、枠本体部21の幅を壁Wの厚みよりも4~10mm程度長く形成することとすれば、見切材を用いることなく不燃化粧板等の化粧材を止めることができる。そして、枠本体部21の突出部に不燃化粧材合わせてカットすることで、不燃化粧材の端部が目立ち難くなり、端部処理が容易になる。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明は、室内の壁に湾曲部を有する非矩形状の開口部を形成するための開口枠及びそれを備えた開口部構造に有用である。
【符号の説明】
【0099】
1 開口部構造
2 開口部
3 切り欠き
10 壁下地材
20 開口枠
21 枠本体部
22 支持部
23 脚部
23a 外面
25 係合部
27a 脚部
27c 外面
28 係合部
W 壁