(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068381
(43)【公開日】2024-05-20
(54)【発明の名称】印刷システム
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20240513BHJP
B41J 29/46 20060101ALI20240513BHJP
B41J 3/42 20060101ALI20240513BHJP
B41J 2/175 20060101ALI20240513BHJP
【FI】
B41J29/38 301
B41J29/38 204
B41J29/46 Z
B41J3/42
B41J2/175 305
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178773
(22)【出願日】2022-11-08
(71)【出願人】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(72)【発明者】
【氏名】高橋 寿行
【テーマコード(参考)】
2C056
2C061
【Fターム(参考)】
2C056EA20
2C056EB12
2C056EB50
2C056EC26
2C056FA13
2C061AQ05
2C061AR01
2C061AR03
2C061AS02
2C061HJ07
2C061HK16
2C061HK23
2C061HN15
2C061HV14
2C061HV33
2C061HV50
(57)【要約】
【課題】ユーザのプリンタへのメンテナンス負担を軽減させる。
【解決手段】第1印刷装置20及び第2印刷装置40と、用紙を給紙する媒体供給装置10と、印字された用紙を積載する媒体排出装置100とを備え、媒体供給装置10は、給紙する用紙の残枚数を検知する残量センサ12を有し、第1印刷装置20及び第2印刷装置40は、インク残量を検知するインク残量センサ28,48と、インク残量値が規定範囲になるとインク交換をユーザに促す表示パネルとを有し、媒体排出装置100は、積載された用紙の積載枚数を検知する排紙センサ66を有し、Kインクのインク残量値が規定範囲のとき、媒体供給装置10の残枚数に応じて、Kインクの代わりにCMYでの印字を継続し、媒体供給装置10の用紙がなくなった際には、媒体排出装置100の積載枚数からユーザに促す消耗品の交換タイミングと印字動作を制御する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェットヘッドから用紙にインクを吐出することにより印字を行う少なくとも2つ以上の印字部と、前記印字部へ用紙を給紙する給紙部と、前記印字部により印字された用紙を積載する排紙部と、を備え、
前記給紙部は、給紙する用紙の残枚数を検知する残枚数検知手段を有し、
前記印字部は、インク残量を検知するインク残量検知手段と、インク残量値が規定範囲になるとインク交換をユーザに促す報知手段とを有し、
前記排紙部は、前記積載された用紙の積載枚数を検知する排紙検知手段を有し、
Kインクの前記インク残量値が規定範囲のとき、前記給紙部の残枚数に応じて、Kインクの代わりにCMYでの印字を継続し、前記給紙部の用紙がなくなった際には、前記排紙部の積載枚数からユーザに促す消耗品の交換タイミングと前記印字部の印字動作を制御する
ことを特徴とする印刷システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データに基づいてインクジェットヘッドによりインクを吐出して印刷を行うインクジェット記録装置を有する印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ライン型のインクジェット記録装置は、給紙トレイに載置された用紙が搬送手段により搬送され、搬送される用紙に対して、画像データに基づいてインクジェットヘッドによりインクを吐出して印刷を行う。
【0003】
特に、インクジェット記録装置を複数連結した大容量印刷機である場合、インク交換、用紙給紙、排紙交換など作業が増える傾向にあり、メンテナンス頻度が高くなると利便性が損なわれるという課題がある。
【0004】
特許文献1では、着色剤(インク)の残量が閾値を下回ったとき、着色剤(インク)の残量と対応する印刷可能枚数がシートの残数よりも少ない時に着色剤(インク)が少ないことを警告し、シート残数以上であれば警告は行わない警告処理を実行する制御を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、用紙補給のタイミングや排紙取り出しのタイミングについては考慮されていない為、警告表示された時点では給紙及び排紙状況が明確でなく、ユーザは、用紙補給した方が良いか、排紙用紙を取り除いた方が効率良いかが分からず、プリンタへのメンテナンス負担が増大するという課題があった。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、ユーザのプリンタへのメンテナンス負担を軽減させる印刷システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る印刷システムの特徴は、
インクジェットヘッドから用紙にインクを吐出することにより印字を行う少なくとも2つ以上の印字部と、前記印字部へ用紙を給紙する給紙部と、前記印字部により印字された用紙を積載する排紙部と、を備え、
前記給紙部は、給紙する用紙の残枚数を検知する検知手段を有し、
前記印字部は、インク残量を検知するインク残量検知手段と、インク残量値が規定範囲になるとインク交換をユーザに促す報知手段とを有し、
前記排紙部は、前記積載された用紙の積載枚数を検知する手段を有し、
Kインクの前記インク残量値が規定範囲のとき、前記給紙部の残枚数に応じて、Kインクの代わりにCMYでの印字を継続し、前記給紙部の用紙がなくなった際には、前記排紙部の積載枚数からユーザに促す消耗品の交換タイミングと前記印字部の印字動作を制御する
ことを特徴とする印刷システム。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る印刷システムの特徴によれば、ユーザのプリンタへのメンテナンス負担を軽減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施の形態における印刷システムを示す構成図である。
【
図2】本発明の一実施の形態における印刷システムの一部の制御構成を示す図である。
【
図3】従来技術によるインクおよび媒体の管理を示した説明図である。(a)は、媒体供給装置の用紙残枚数を示しており、(b)は、インク残量を示しており、(c)は、媒体排出装置の積載枚数を示している。
【
図4】本発明の一実施の形態における印刷システムにおけるインクおよび媒体の管理を示した説明図である。(a)は、媒体供給装置の用紙残枚数を示しており、(b)は、インク残量を示しており、(c)は、媒体排出装置の積載枚数を示している。
【
図5】本発明の一実施の形態における印刷システムの処理フローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一若しくは同等の部位や構成要素には、同一若しくは同等の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
【0012】
また、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0013】
<印刷システムの構成>
図1は、本発明の一実施の形態における印刷システム1を示す構成図である。
【0014】
図2は、本発明の一実施の形態における印刷システム1の一部の制御構成を示す図である。
【0015】
図1,2に示すように、印刷システム1は、媒体供給装置10と、第1印刷装置20と、中間搬送装置30と、第2印刷装置40と、検査装置50と、媒体排出装置100と、制御装置70とを備える。
【0016】
媒体供給装置10、第1印刷装置20、中間搬送装置30、第2印刷装置40、検査装置50、及び媒体排出装置100は、例えば用紙である媒体Mの搬送経路(搬送方向D)に直列に配置されている。
【0017】
図1には、第1印刷装置20、中間搬送装置30、第2印刷装置40、及び媒体排出装置100に、媒体Mの直進搬送経路R1,R4-1,R5、反転経路R8-1、非反転経路R8-2、合流経路R9、収容経路R10,R11,R12,R13を実線で、循環搬送経路R2,R6を2点鎖線で、反転経路R3,R4-2,R7を破線又は点線で、それぞれ示す。
【0018】
媒体供給装置10は、印刷前の媒体Mが積載される載置台11と、載置台11に載置されている媒体Mの残枚数を検知する残量センサ12とを有する。
【0019】
第1印刷装置20は、複数の搬送ローラ対21と、第1印刷部22と、吸着搬送部23と、搬送経路切替え部24,25と、スイッチバックローラ対26と、排出部27と、インク残量センサ28と、を有する。
【0020】
搬送ローラ対21は、第1印刷装置20内に複数対配置され、媒体Mをニップしながら搬送する。
【0021】
第1印刷部22は、例えばCMYK等の基本色のインクを用いて媒体Mに印刷を行う。第1印刷部22は、媒体Mに印刷を行う印刷部の一例である。第1印刷部22は、例えば、印刷に用いられる各色分の図示しないラインヘッド型インクジェットヘッドを有する。なお、第1印刷部22の印刷方式は、インクジェット印刷方式以外の印刷方式であってもよい。
【0022】
吸着搬送部23は、第1印刷部22に対向するように配置されている。吸着搬送部23は、媒体Mを吸着しながらベルトによって媒体Mを搬送する。
【0023】
一方の搬送経路切替え部24は、第1印刷部22によって印刷が行われた媒体Mの搬送経路を、中間搬送装置30へ続く直進搬送経路R1と、排出部27や反転経路R3へ続く循環搬送経路R2とに切替える。
【0024】
他方の搬送経路切替え部25は、媒体Mの循環搬送経路R2を、排出部27へ続く搬送経路と、スイッチバックローラ対26によって媒体Mの表裏を反転させる反転経路R3とに切替える。なお、反転経路R3において表裏が反転した媒体Mは、再び第1印刷部22へ搬送される。
【0025】
排出部27には、媒体排出装置100へ排出されない媒体Mが積載される。
【0026】
インク残量センサ28は、第1印刷部22で用いられるCMYK各インクの残量を検知する。
【0027】
中間搬送装置30は、複数の搬送ローラ対31と、スイッチバックローラ対32と、搬送経路切替え部33とを有する。
【0028】
搬送ローラ対31は、第1印刷装置20から排出された媒体Mをニップしながら搬送する。
【0029】
搬送経路切替え部33は、第1印刷装置20から排出された媒体Mをそのまま第2印刷装置40に搬送する直進搬送経路R4-1と、スイッチバックローラ対32によって媒体Mの表裏を反転させる反転経路R4-2とに搬送経路を切替える。なお、中間搬送装置30が省略され、第1印刷装置20から第2印刷装置40に直接的に媒体Mが搬送されてもよい。
【0030】
第2印刷装置40の構成は、第1印刷装置20の構成と同様にすることができる。例えば、第2印刷装置40は、第1印刷装置20と同様に、搬送ローラ対41と、第2印刷部42と、吸着搬送部43と、搬送経路切替え部44と、スイッチバックローラ対45と、インク残量センサ48とを有する。なお、第2印刷装置40は、第1印刷装置20とは異なり、排出部27、及びこの排出部27に搬送経路を切替える搬送経路切替え部25を有さないが、第1印刷装置20と同様に排出部27及び搬送経路切替え部25を有していてもよい。
【0031】
また、印刷システム1は、第1印刷装置20の第1印刷部22、及び第2印刷装置40の第2印刷部42の計2つの印刷部を備えるが、1つのみの印刷部又は3つ以上の印刷部を備えていてもよい。
【0032】
搬送ローラ対41は、第2印刷装置40内に複数対配置され、媒体Mをニップしながら搬送する。
【0033】
第2印刷部42は、媒体Mに印刷を行う。第2印刷部42は、例えばCMYK等の基本色のインクを用いて媒体Mに印刷を行う。第2印刷部42は、第1印刷部22と同様に、媒体Mに印刷を行う印刷部の一例である。
【0034】
吸着搬送部43は、第2印刷部42に対向するように配置されている。吸着搬送部43は、媒体Mを吸着しながらベルトによって媒体Mを搬送する。
【0035】
搬送経路切替え部44は、第2印刷部42によって印刷が行われた媒体Mの搬送経路を、検査装置50へ続く直進搬送経路R5と、反転経路R7へ続く循環搬送経路R6とに切替える。
【0036】
スイッチバックローラ対45は、反転経路R7において媒体Mの表裏を反転させる。反転経路R7において表裏が反転した媒体Mは、再び第2印刷部42へ搬送される。
【0037】
インク残量センサ48は、第2印刷部42で用いられるCMYK各インクの残量を検知する。
【0038】
検査装置50は、第1搬送部51と、第2搬送部52と、第1検査部53と、第2検査部54と、媒体検知センサ55と、押さえローラ56a,56bとを備える。
【0039】
第1搬送部51は、媒体Mの下面側(第1面側の一例)に配置され、媒体Mを搬送する。第1搬送部51は、例えば、媒体Mを吸着しながらベルトによって媒体Mを搬送する吸着搬送部である。
【0040】
第2搬送部52は、第1搬送部51よりも搬送方向Dの下流側において、媒体Mの上面側(第2面側の一例)に第1搬送部51に隣接して配置され、媒体Mを搬送する。第2搬送部52は、第1搬送部51の向きを上下に反転させたものとすることができる。
【0041】
第1検査部53は、第1搬送部51の上方に配置され、第1搬送部51によって搬送されている媒体Mの上面(第2面の一例)に印刷された画像を検査する。
【0042】
第2検査部54は、第2搬送部52の下方に配置され、第2搬送部52によって搬送されている媒体Mの下面(第1の面の一例)を検査する。
【0043】
媒体排出装置100は、搬送部(例えば、複数の搬送ローラ対101、導入部110、上部搬送部120、及び中間搬送部140)と、反転部111と、第1収容部131と、第2収容部132と、第3収容部133と、反転経路切替え部F10と、第1収容経路切替え部F21と、第2収容経路切替え部F22とを備える。
【0044】
複数の搬送ローラ対101は、導入部110、上部搬送部120、及び中間搬送部140の内部に複数対ずつ配置され、媒体Mをニップしながら搬送する。複数の搬送ローラ対101は、導入部110、上部搬送部120、中間搬送部140とともに、媒体Mを搬送する搬送部の一例として機能する。
【0045】
導入部110では、検査装置50から排出された媒体Mが上述の複数の搬送ローラ対101によって搬送される。導入部110の内部には、反転経路切替え部F10、反転部111、及び第1収容経路切替え部F21が配置されている。
【0046】
反転経路切替え部F10は、第2印刷装置40から検査装置50を通る直進搬送経路R5を、反転部111へ向かう反転経路R8-1と反転部111を通過する非反転経路R8-2とに切替える。反転経路切替え部F10は、例えばフリッパである。
【0047】
反転部111は、例えばスイッチバックローラ対を有し、媒体Mの表裏を反転させる。
【0048】
第1収容経路切替え部F21は、反転経路R8-1と非反転経路R8-2とが合流した合流経路R9を、第1収容部131へ向かう収容経路R10と、第2収容部132及び第3収容部133へ向かう収容経路R11とに切替える。第1収容経路切替え部F21は、例えばフリッパである。
【0049】
なお、第1収容経路切替え部F21は、後述する第2収容経路切替え部F22とともに、合流経路R9を、収容部(第1収容部131、第2収容部132、及び第3収容部133)へ向かう複数の収容経路R10,R11,R12,R13のいずれかへ切替える1つ以上の収容経路切替え部の一例として機能する。
【0050】
第1収容部131及び第2収容部132は、媒体Mの搬送方向Dに配列された複数の下部収容部の一例である。第1収容部131及び第2収容部132は、例えば、検査結果が上述のように正常である媒体Mを収容する。第1収容部131及び第2収容部132は、媒体Mが積載される昇降可能な載置台131a,132aを有する。なお、第1収容部131と第2収容部132とは、例えば、サイズ、種類(例えば、ミシン目の有無、厚紙か否か)等が互いに異なる媒体Mが搬送されてもよいし、或いは、一方に積載可能な量の媒体Mが積載された後や一方から媒体Mが取り出されているときに、他方へ媒体Mが搬送されてもよい。また、第1収容部131は、載置台131aへ積載された媒体Mの積載枚数を検知する排紙センサ66aを有し、第2収容部132は、載置台132aへ積載された媒体Mの積載枚数を検知する排紙センサ66bを有する。
【0051】
第3収容部133は、複数の下部収容部(第1収容部131及び第2収容部132)のうち搬送方向Dにおける下流側端部に位置する下部収容部(第2収容部132)の上部に、後述する上部搬送部120に代えて配置された上部収容部の一例である。第3収容部133は、例えば、検査結果が上述のように異常である媒体Mを収容する。
【0052】
上部搬送部120は、下部収容部(第1収容部131)の上部に位置する上部搬送部の一例である。上部搬送部120には、第2収容部132及び第3収容部133へ向かう収容経路R11が配置されている。
【0053】
第1収容部131と第2収容部132とは、例えば同一寸法で配置されている。そのため、第1収容部131と第2収容部132との上部において、上部搬送部120と第3収容部133とを選択的に配置することができる。
【0054】
第2収容経路切替え部F22は、上部搬送部120内の搬送方向Dにおける下流側端部に配置されている。第2収容経路切替え部F22は、例えばフリッパである。なお、第2収容経路切替え部F22は、中間搬送部140に配置されていてもよい。
【0055】
第2収容経路切替え部F22は、第2収容部132及び第3収容部133へ向かう収容経路R11を、第2収容部132へ向かう収容経路R12と、第3収容部133へ向かう収容経路R13とに切替える。
【0056】
中間搬送部140は、第1収容部131及び上部搬送部120と、第2収容部132及び第3収容部133との間に配置されている。中間搬送部140には、第2収容部132へ向かう収容経路R12、及び第3収容部133へ向かう収容経路R13が配置されている。
【0057】
図2に示す制御装置70は、演算処理装置として機能するプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit)を有し、印刷システム1が備える各装置を制御する。また、制御装置70は、Kインクのインク残量値が規定範囲か否かを判定する。Kインクのインク残量値が規定範囲のとき、制御装置70は、媒体供給装置10の載置台11に載置されている媒体Mの残枚数に応じて、Kインクの代わりにCMYでの印字を継続し、媒体供給装置10の載置台11に載置されている媒体Mがなくなった際には、媒体排出装置100の載置台131a,132aに排紙された媒体Mの積載枚数からユーザに促すインクや媒体Mなどの消耗品の交換タイミングと、第1印刷部22および第2印刷部42の印字動作を制御する。
【0058】
図3は、従来技術によるインクおよび媒体の管理を示した説明図である。(a)は、媒体供給装置の用紙残枚数を示しており、(b)は、インク残量を示しており、(c)は、媒体排出装置の積載枚数を示している。
【0059】
図3(b)に示すように、K(黒)のインク残量が無くなると、従来技術の印刷システムでは、ユーザにインク交換を促すアラームを発報する。
【0060】
この場合、
図3(a)に示すように、媒体供給装置の用紙残枚数が少なく、
図3(c)に示すように、媒体排出装置の積載枚数が多いので、ユーザは、インクを交換し、印刷を再開したとしても、インク交換からすぐに、媒体供給装置の用紙残枚数が下限に達したことを示すアラームや、媒体排出装置の積載枚数が上限に達したことを示すアラームを発報する。
【0061】
そのため、ユーザは、何度も作業が発生し、メンテナンス負担が増大するという課題がある。
【0062】
図4は、本発明の一実施の形態における印刷システム1におけるインクおよび媒体の管理を示した説明図である。(a)は、媒体供給装置の用紙残枚数を示しており、(b)は、インク残量を示しており、(c)は、媒体排出装置の積載枚数を示している。
【0063】
図4(b)に示すように、制御装置70は、インク残量センサ28またはインク残量センサ48による検知結果によりK(黒)のインク残量が無くなった場合に、Kインクのインク残量値が規定範囲であると判定する。
【0064】
そして、制御装置70は、媒体供給装置10の載置台11に載置されている媒体Mの残枚数が予め設定した給紙枚数閾値以下となったか否かを判定する。ここで、給紙枚数閾値は、例えば、予め10(枚)などの所定の値が設定されている。
【0065】
図4(a)に示した例では、制御装置70は、残量センサ12に検知結果に基づき、載置台11に載置されている媒体Mの残枚数が予め設定した給紙枚数閾値以下となったと判定する。このとき、アラーム等は発報せず、また印刷動作は停止することなく継続している。
【0066】
載置台11に載置されている媒体Mの残枚数が予め設定した給紙枚数閾値以下となったと判定した場合、制御装置70は、排紙センサ66a,66bの検知結果に基づき、載置台131a,132aに載置されている媒体Mの枚数が、いずれも排紙枚数閾値以上となったか否かを判定する。ここで、排紙枚数閾値は、例えば、予め3000(枚)などの所定の値が設定されている。
【0067】
図4(c)に示すように、載置台131a,132aに載置されている媒体Mの枚数が、排紙枚数閾値以上となった場合、制御装置70は、載置台11に載置されている媒体Mの残枚数だけKインクの代わりにCMYインクを用いて印刷を継続した後、図示しない表示パネルなどに、インク交換および排紙満タンであるアラームを表示する。
【0068】
図5は、本発明の一実施の形態における印刷システム1の処理フローを示すフローチャートである。
【0069】
図5に示すように、ステップS101において、制御装置70は、インク残量センサ28またはインク残量センサ48による検知結果によりK(黒)のインク残量が無くなったと判定した場合(YES)、ステップS103において、制御装置70は、残量センサ12に検知結果に基づき、媒体供給装置10の載置台11に載置されている媒体Mの残枚数が予め設定した給紙枚数閾値以下となったか否かを判定する。
【0070】
載置台11に載置されている媒体Mの残枚数が予め設定した給紙枚数閾値を超えていると判定した場合(ステップS103;NO)、ステップS105において、制御装置70は、排紙センサ66a,66bの検知結果に基づき、載置台131a,132aに載置されている媒体Mの枚数が、いずれも排紙枚数閾値以上となったか否かを判定する。
【0071】
載置台131a,132aに載置されている媒体Mの枚数が、排紙枚数閾値以上となったと判定された場合(ステップS105;YES)、ステップS109において、制御装置70は、図示しない表示パネルなどに、インク交換および排紙満タンであるアラームを表示する。
【0072】
一方、載置台131a,132aに載置されている媒体Mの枚数が、排紙枚数閾値未満であると判定された場合(ステップS105;NO)、ステップS107において、制御装置70は、図示しない表示パネルなどに、インク交換のアラームを表示する。
【0073】
また、載置台11に載置されている媒体Mの残枚数が予め設定した給紙枚数閾値以下であると判定した場合(ステップS103;YES)、ステップS111において、制御装置70は、排紙センサ66a,66bの検知結果に基づき、載置台131a,132aに載置されている媒体Mの枚数が、いずれも排紙枚数閾値以上となったか否かを判定する。
【0074】
載置台131a,132aに載置されている媒体Mの枚数が、排紙枚数閾値以上となった判定された場合(ステップS111;YES)、ステップS113において、制御装置70は、載置台11に載置されている媒体Mの残枚数だけKインクの代わりにCMYインクを用いて印刷を継続する。
【0075】
ステップS115において、制御装置70は、図示しない表示パネルなどに、インク交換、給紙補給、排紙満タンであるアラームを表示する。
【0076】
一方、載置台131a,132aに載置されている媒体Mの枚数が、排紙枚数閾値未満であると判定された場合(ステップS111;NO)、ステップS117において、制御装置70は、載置台11に載置されている媒体Mの残枚数だけKインクの代わりにCMYインクを用いて印刷を継続する。
【0077】
ステップS119において、制御装置70は、図示しない表示パネルなどに、インク交換、給紙補給のアラームを表示する。
【0078】
(付記)
本出願は、以下の発明を開示する。
【0079】
(付記1)
インクジェットヘッドから用紙にインクを吐出することにより印字を行う少なくとも2つ以上の印字部と、前記印字部へ用紙を給紙する給紙部と、前記印字部により印字された用紙を積載する排紙部と、を備え、
前記給紙部は、給紙する用紙の残枚数を検知する検知手段を有し、
前記印字部は、インク残量を検知するインク残量検知手段と、インク残量値が規定範囲になるとインク交換をユーザに促す報知手段とを有し、
前記排紙部は、前記積載された用紙の積載枚数を検知する手段を有し、
Kインクの前記インク残量値が規定範囲のとき、前記給紙部の残枚数に応じて、Kインクの代わりにCMYでの印字を継続し、前記給紙部の用紙がなくなった際には、前記排紙部の積載枚数からユーザに促す消耗品の交換タイミングと前記印字部の印字動作を制御する
ことを特徴とする印刷システム。
【0080】
これにより、インク交換が必要となるインク残量になったときに、給紙の残枚数に応じてKの代替としてCMYで印字を行い、さらに排紙の積載枚数を考慮して、ユーザがインク交換を行うタイミングで、給紙補給や排紙の取り出しを行える為、ユーザのプリンタへのメンテナンス負担を軽減させる事が出来る。
【0081】
特に印刷機を複数連結した大容量印刷時においては、物理的にインク交換、用紙給紙・用紙排紙が増える傾向にある為、まとめて交換する作業を促す事で、ユーザの利便性を向上させることが出来る。
【符号の説明】
【0082】
1 印刷システム
10 媒体供給装置(給紙部)
11 載置台
12 残量センサ(残枚数検知手段)
20 第1印刷装置(印字部)
22 第1印刷部
28 インク残量センサ(インク残量検知手段)
30 中間搬送装置
40 第2印刷装置(印字部)
42 第2印刷部
48 インク残量センサ(インク残量検知手段)
50 検査装置
55 媒体検知センサ
60 媒体排出装置(排紙部)
66a,66b 排紙センサ(排紙検知手段)
70 制御装置
100 媒体排出装置
110 導入部
111 反転部
120 上部搬送部
131 第1収容部
132 第2収容部
131a,132a 載置台
133 第3収容部
140 中間搬送部