(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068409
(43)【公開日】2024-05-20
(54)【発明の名称】車載用スクリーン装置
(51)【国際特許分類】
B60R 11/02 20060101AFI20240513BHJP
B60R 7/02 20060101ALI20240513BHJP
G03B 21/585 20140101ALI20240513BHJP
G03B 21/62 20140101ALI20240513BHJP
【FI】
B60R11/02 C
B60R7/02
G03B21/585
G03B21/62
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178841
(22)【出願日】2022-11-08
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102141
【弁理士】
【氏名又は名称】的場 基憲
(74)【代理人】
【識別番号】100137316
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 宏
(72)【発明者】
【氏名】志小田 雄宇
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 勇希
(72)【発明者】
【氏名】河西 純
【テーマコード(参考)】
2H021
3D020
3D022
【Fターム(参考)】
2H021AA04
2H021BA21
3D020BA04
3D020BB01
3D020BC21
3D020BD03
3D020BD08
3D020BD10
3D022CB01
3D022CC27
3D022CD01
(57)【要約】
【課題】安価な車載用スクリーン装置を提供すること。
【解決手段】本発明の車載用スクリーン装置は、トランクリッド又はバックドアと荷室との間にスクリーンを張設するものであり、上下方向に開閉する車両のトランクリッド又はバックドアを、ストライカーと係合して車体に固定するラッチと、
上記トランクリッド若しくはバックドア、又は車両の荷室に設けられた、スクリーン収納部に収納されたスクリーンと、を備える。
そして、上記スクリーンが、その先端に上記ラッチと係合可能な係合部を有することとしたため、スクリーン張設のために、車両側に新たな固定具を設ける必要がなく、低コスト化が可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に開閉する車両のトランクリッド又はバックドアを、ストライカーと係合して車体に固定するラッチと、
上記トランクリッド若しくはバックドア、又は車両の荷室に設けられた、スクリーン収納部に収納されたスクリーンと、を備え、
上記トランクリッド又はバックドアと荷室との間に、上記スクリーンを張設する車載用スクリーン装置であって、
上記スクリーンが、その先端に上記ラッチと係合可能な係合部を有する
ことを特徴とする車載用スクリーン装置。
【請求項2】
上記ラッチが、トランクリッド又はバックドアに設けられ、
上記スクリーン収納部が、荷室に設けられ、スクリーン収納部に巻き取られた引き出し式のスクリーンであることを特徴とする請求項1に記載の車載用スクリーン装置。
【請求項3】
上記トランクリッド又はバックドアのヒンジが、開状態を維持する閉防止部を有し、
上記スクリーンが、巻き取りロック機構を有さないスプリングスクリーンであることを特徴とする請求項1に記載の車載用スクリーン装置。
【請求項4】
上記スクリーンが、入射光を全方向に散乱する透過型スクリーンであることを特徴とする請求項1に記載の車載用スクリーン装置。
【請求項5】
上記請求項2~4のいずれか1つの項に記載の車載用スクリーン装置のスクリーンを張設する方法であって、
上記スクリーンを引き出し、
上記係合部を、開状態のトランクリッド又はバックドアのラッチに係合させることを特徴とする車載用スクリーン装置の張設方法。
【請求項6】
上記請求項1~4のいずれか1つの項に記載の車載用スクリーン装置のスクリーンを収納する方法であって、
上記ラッチが、係合解除ボタンを有し、
上記係合解除ボタンを操作して上記ラッチから上記係合部を取り外し、
上記スクリーンを上記スクリーン収納部に収納することを特徴とする車載用スクリーン装置の収納方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用スクリーン装置に係り、更に詳細には、車両に設置されて画像の投射を可能にする車載用スクリーン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、場所又は時間を問わず、車両内外で映像を楽しみたいというニーズが高まっている。
【0003】
特許文献1には、車両のバックドア又はリアハッチの開口部上端近傍に取り付けられた車外向けスクリーン装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の車外向けスクリーン装置は、スクリーンの先端を磁石によって車両開口部の下端近傍に固定するものであって、スクリーンを固定するためにスクリーン側と車両側との両方に磁石を設ける必要があるため、コストがかかるという問題がある。
【0006】
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、安価な車載用スクリーン装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、スクリーンを引き出す固定部を、トランクリッド又はバックドアを車体に固定するラッチに係合し固定することにより、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明の車載用スクリーン装置は、トランクリッド又はバックドアと荷室との間にスクリーンを張設するものであり、上下方向に開閉する車両のトランクリッド又はバックドアを、ストライカーと係合して車体に固定するラッチと、
上記トランクリッド若しくはバックドア、又は車両の荷室に設けられた、スクリーン収納部に収納されたスクリーンと、を備える。
そして、上記スクリーンが、その先端に上記ラッチと係合可能な係合部を有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の車載用スクリーン装置の張設方法は、上記車載用スクリーン装置のスクリーンを張設する方法である。
そして、上記スクリーンを引き出し、上記係合部を、開状態のトランクリッド又はバックドアのラッチに係合させることを特徴とする。
【0010】
さらに、本発明の車載用スクリーン装置の収納方法は、車載用スクリーン装置のスクリーンを収納する方法である。
そして、上記ラッチが、係合解除ボタンを有し、
上記係合解除ボタンを操作して上記ラッチから上記係合部を取り外し、上記スクリーンを上記スクリーン収納部に収納することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、スクリーンの先端に、トランクリッド又はバックドアを車体に固定するラッチと係合可能な係合部を有することとしたため、安価な車載用スクリーン装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の車載用スクリーン装置を張設した状態の一例を示す図である。
【
図2】本発明の車載用スクリーン装置のスクリーンの一例を示す図である。
【
図3】スクリーンの固定部(左)とストライカー(右)の一例を示す図である。
【
図4】スクリーンの固定部をラッチに係合させた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の車載用スクリーン装置について詳細に説明する。
上記車載用スクリーン装置は、ラッチと、スクリーンと、を備え、上方向に開いた上記トランクリッド又はバックドアと荷室との間に、
図1に示すように、上記スクリーンを張設し、キャンプ場などの屋外であっても、映像の視聴を可能にするものである。
【0014】
上記ラッチは、ストライカーと係合することで、上下方向に開閉する車両のトランクリッド又はバックドアを車体に固定するものである。
【0015】
上記スクリーンは、スクリーン収納部に収納可能なものであり、このスクリーンが、
図2に示すように、スクリーン収納部に巻き取られた引き出し式のスクリーンであると、使用時にスクリーン収納部から引き出し、使用しない時には、スクリーン収納部に巻き取られるのでコンパクトな収納が可能である。
【0016】
また、上記スクリーンは、その引き出し方向先端にスクリーンの幅よりも長い固定パイプを有し、スクリーンのめくれや垂れ下がりが防止される。
【0017】
この固定パイプの中央部には、スクリーンの引き出しを容易にすると共に、スクリーンを張設するための固定部が設けられており、使用の際には、ここを持ってスクリーンを引き出し、スクリーンを張設する。
【0018】
本発明の車載用スクリーン装置は、上記固定部が、
図3に示すように、上記ラッチと係合可能な係合部を有する。
この係合部の形状は、上記ラッチと係合可能な形状、すなわち、上記ランクリッド又はバックドアを車体に固定するためのストライカーの、上記ラッチと係合する部分の形状と同じであることが好ましい。
【0019】
係合部の形状が上記形状であると、トランクリッドやバックドアを車体に固定するためのラッチを、そのままスクリーン張設のために流用できるので、スクリーン張設のために、車両側に新たな固定具を設ける必要がないので低コスト化が可能である。
【0020】
なお、本発明において、係合部の形状が、ストライカーのラッチと係合する部分の形状と同じとは、ラッチとの係合がストライカーと同様にできる形状であれば足り、寸法が同一であることを意味しない。
【0021】
また、固定部のプルグリップと係合部、及び固定部と固定パイプとはワイヤによって連結している。
【0022】
本発明の車載用スクリーン装置は、スクリーン収納部に巻き取られたスクリーンを引き出して、上記固定部の係合部を、開状態のトランクリッド又はバックドアのラッチに押し込む。そうすると、
図4に示すように、ラッチの爪が固定部の係合部を把持するので、固定部をラッチに係合させることで張設することができる。
【0023】
そして、上記ラッチは、トランクリッドやバックドアを車体に固定するラッチであり、所謂、半ドア状態であっても容易に外れることはないので、半ドア状態での係合可能であり、係合のために強い力が必要ないため、容易に係合部を係合させることが可能である。
【0024】
また、本発明の車載用スクリーン装置は、トランクリッドやバックドアを車体に固定するラッチを用いているので、荷室内に人が閉じ込められることなどを防止する係合解除ボタンを有する。
【0025】
スクリーンを収納する際には、ラッチに設けられた係合解除ボタンを操作することや、運転席近傍のトランクオープナーを操作し、間接的に係合解除ボタンを操作することで、係合部の係合を解除することができ、スクリーン収納部にスクリーンを巻き取らせればよいので、収納が容易である。
【0026】
上記スクリーンを巻き取るスクリーン収納部は、トランクリッド又はバックドアに設けてもよく、また、荷室に設けてもよいが、
図1に示すように、荷室に設けることが好ましい。この場合、トランクリッド又はバックドアにラッチが設けられ、車体にストライカーが設けられることになる。
【0027】
荷室側にスクリーン収納部を設けることで、トランクリッド又はバックドアが重くなることを防止できる。また、スクリーン収納部を荷室の床下に設置することで、スクリーン収納部が荷物の出し入れなどの際に邪魔になることを防止できる。
【0028】
上記トランクリッド又はバックドアのヒンジは、その開状態を維持する閉防止部を有することが好ましい。トランクリッドやバックドアを開いた状態で固定して容易に閉じることを防止できる。
【0029】
上記閉防止部としては、ヒンジのスライド部分に凹部を設け、ここにバネなどで付勢されたボールをはめ込むものなどを挙げることができる。
【0030】
また、上記スクリーンは、巻き取りロック機構を有さないスプリングスクリーンであることが好ましい。
【0031】
一般的なスプリングスクリーンは、スクリーンが巻き取られる方向に付勢されており、使用時には、スクリーンが収容部内に引き込まれないようにロック機構が設けられているが、本発明においては、このロック機構を有さないことで、張設したスクリーンには、常に引っ張り力がかかる。
【0032】
したがって、張設したスクリーンが風などによって弛んだりよれたりすることがなく、上記トランクリッド又はバックドアの開状態を維持する固定部と相俟って、張設したスクリーンが風などによる応力に抗するので、継続して映像を楽しむことが可能である。
【0033】
上記スクリーンは、反射型スクリーンであっても透過型スクリーンであってもよく、スクリーンに映像を投影するプロジェクタなどの映像投影装置を設置する位置に応じて選択できるが、入射光を全方向に散乱する透過型スクリーンであることが好ましい。
【0034】
スクリーンが入射光を全方向に散乱することで、映像投影装置の側からであっても、スクリーンを挟んで映像投影装置とは反対側からであっても映像を視聴することができる。
【0035】
したがって、映像投影装置を設置する箇所の制限を受けないため、荷室(車内)側に設けることや、スタンドなどを用いて車両の後方に設けることが可能であり、映像を視聴する環境に応じた映像投影装置の設置が可能である。
【0036】
上記入射光を全方向に散乱するスクリーンとしては、例えば、その内層に高屈折微粒子を含有し、上記微粒子によってスクリーン内部に形成された多くの界面によって入射光を全方向に散乱するものなどを挙げることができる。
【0037】
以上のように、本発明の車載用スクリーン装置によれば、安価に車両内外で映像を楽しむことが可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 トランクリッド(バックドア)
2 荷室
3 スクリーン
31 スクリーン収納部
32 固定パイプ
33 固定部
331 プルグリップ
332 係合部
4 ラッチ
41 爪
42 係合解除ボタン
5 ストライカー
51 ラッチと係合する部分