IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 朝日インテック株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-付勢力発生装置および動作補助装置 図1
  • 特開-付勢力発生装置および動作補助装置 図2
  • 特開-付勢力発生装置および動作補助装置 図3
  • 特開-付勢力発生装置および動作補助装置 図4
  • 特開-付勢力発生装置および動作補助装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068415
(43)【公開日】2024-05-20
(54)【発明の名称】付勢力発生装置および動作補助装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 11/00 20060101AFI20240513BHJP
   A61H 3/00 20060101ALI20240513BHJP
【FI】
B25J11/00 Z
A61H3/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178849
(22)【出願日】2022-11-08
(71)【出願人】
【識別番号】390030731
【氏名又は名称】朝日インテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】弁理士法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】近野 一郎
【テーマコード(参考)】
3C707
4C046
【Fターム(参考)】
3C707AS38
3C707HT36
3C707XK02
3C707XK06
3C707XK16
3C707XK27
3C707XK33
3C707XK42
3C707XK74
4C046AA25
4C046BB07
4C046CC01
4C046DD06
4C046DD38
4C046DD39
(57)【要約】
【課題】使用者の歩行の阻害を防止でき、耐久性が向上した付勢力発生装置および動作補助装置を提供する。
【解決手段】付勢力発生装置は、回転軸が設けられたベース部と、回転軸に対し回動可能に支持された支持部材と、第1の端部が回転軸に保持され、第2の端部が支持部材に支持された弾性体と、を有する第1付勢力発生部と、2つの端部を有し、第1の端部がベース部に支持され、第2の端部が支持部材に支持された圧縮ばねを有する第2付勢力発生部と、を備える。付勢力発生装置は、回転軸の前記ベース部に対する回転角度が所定角度の範囲において、支持部材は回転軸を中心に回動可能に構成され、回転軸が所定角度以下の範囲で回転する際には、支持部材が回動することにより、圧縮ばねが圧縮されて付勢力が発生し、回転軸が所定角度を超えて回転する際には、弾性体が変形して付勢力が更に発生するように構成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動作補助装置で用いられる付勢力発生装置であって、
回転軸が設けられたベース部と、
前記回転軸に対し回動可能に支持された支持部材と、複数の端部を含む弾性体で、前記複数の端部のうち、第1の端部が前記回転軸に保持され、第2の端部が前記支持部材に支持された弾性体と、を有する第1付勢力発生部と、
2つの端部を含む圧縮ばねで、第1の端部が前記ベース部に支持され、第2の端部が前記支持部材に支持された圧縮ばねを有する第2付勢力発生部と、を備え、
前記回転軸の前記ベース部に対する回転角度が所定角度の範囲において、前記支持部材は前記回転軸を中心に回動可能に構成され、
前記回転軸が前記所定角度以下の範囲で回転する際には、前記支持部材が回動することにより、前記圧縮ばねが圧縮されて付勢力が発生し、
前記回転軸が前記所定角度を超えて回転する際には、前記弾性体が変形して付勢力が更に発生するように構成されている、付勢力発生装置。
【請求項2】
前記第2付勢力発生部は、
前記圧縮ばねの内側に挿通され、一方の端部が前記ベース部に支持され、前記一方の端部に対して反対側の端部が前記支持部材に支持され、前記圧縮ばねの伸縮動作をガイドするガイドシャフトを有する、請求項1に記載の付勢力発生装置。
【請求項3】
前記第2付勢力発生部は、
前記ベース部に対し回転可能に支持され、前記ガイドシャフトの前記一方の端部が固定された第1ロータと、
前記支持部材に対し回転可能に支持され、貫通孔を有する第2ロータと、
前記第2ロータの前記貫通孔に固定され、前記ガイドシャフトの前記反対側の端部が貫通し、前記ガイドシャフトの長手方向に沿って摺動可能であるスライダと、を有し、
前記第1ロータおよび前記スライダは、前記圧縮ばねの端部が当接する座面をそれぞれ有し、
前記支持部材が回動し、前記第2ロータおよび前記スライダが、前記ガイドシャフトに沿って前記第1ロータへ近づくように移動する際には、前記圧縮ばねは圧縮され、前記第1ロータおよび前記スライダの座面は、互いに平行を保つように構成されている、請求項2に記載の付勢力発生装置。
【請求項4】
前記弾性体は、ゼンマイばねである、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の付勢力発生装置。
【請求項5】
使用者に装着される動作補助装置であって、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の付勢力発生装置と、
前記付勢力発生装置の回転軸に固定された下フレームと、
前記下フレームに接続される腿パッドと、を備える動作補助装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、付勢力発生装置および動作補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、上体支持フレームがベース部に対して傾動されると、ワイヤの一部が第1プーリに巻き取られて、圧縮コイルスプリングが圧縮される前傾姿勢サポート装置が開示されている。この前傾姿勢サポート装置では、圧縮された圧縮コイルスプリングの付勢力がワイヤ及び第1プーリを介して上体支持フレームに伝達される。これにより、当該上体支持フレームに使用者の上体を引き起こす方向への付勢力が生じるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-209443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された前傾姿勢サポート装置では、装着初期状態から使用者の腿に大きな付勢力が作用する。このため、腿パッドが腿に強く押し付けられ、使用者の歩行を阻害する。
【0005】
本開示の目的は、例えば、使用者の歩行の阻害を防止でき、耐久性が向上した付勢力発生装置および動作補助装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を解決するために、本開示の一態様である付勢力発生装置は、動作補助装置で用いられる付勢力発生装置であって、回転軸が設けられたベース部と、前記回転軸に対し回動可能に支持された支持部材と、複数の端部を含む弾性体で、前記複数の端部のうち、第1の端部が前記回転軸に保持され、第2の端部が前記支持部材に支持された弾性体と、を有する第1付勢力発生部と、2つの端部を含む圧縮ばねで、第1の端部が前記ベース部に支持され、第2の端部が前記支持部材に支持された圧縮ばねを有する第2付勢力発生部と、を備え、前記回転軸の前記ベース部に対する回転角度が所定角度の範囲において、前記支持部材は前記回転軸を中心に回動可能に構成され、前記回転軸が前記所定角度以下の範囲で回転する際には、前記支持部材が回動することにより、前記圧縮ばねが圧縮されて付勢力が発生し、前記回転軸が前記所定角度を超えて回転する際には、前記弾性体が変形して付勢力が更に発生するように構成されている。
【0007】
前記第2付勢力発生部は、前記圧縮ばねの内側に挿通され、一方の端部が前記ベース部に支持され、前記一方の端部に対して反対側の端部が前記支持部材に支持され、前記圧縮ばねの伸縮動作をガイドするガイドシャフトを有していてもよい。
【0008】
前記第2付勢力発生部は、前記ベース部に対し回転可能に支持され、前記ガイドシャフトの前記一方の端部が固定された第1ロータと、前記支持部材に対し回転可能に支持され、貫通孔を有する第2ロータと、前記第2ロータの前記貫通孔に固定され、前記ガイドシャフトの前記反対側の端部が貫通し、前記ガイドシャフトの長手方向に沿って摺動可能であるスライダと、を有し、前記第1ロータおよび前記スライダは、前記圧縮ばねの端部が当接する座面をそれぞれ有し、前記支持部材が回動し、前記第2ロータおよび前記スライダが、前記ガイドシャフトに沿って前記第1ロータへ近づくように移動する際には、前記圧縮ばねは圧縮され、前記第1ロータおよび前記スライダの座面は、互いに平行を保つように構成されてもよい。
【0009】
前記弾性体は、ゼンマイばねであってもよい。
【0010】
本開示の一態様である動作補助装置は、使用者に装着される動作補助装置であって、上記の付勢力発生装置と、前記付勢力発生装置の回転軸に固定された下フレームと、前記下フレームに接続される腿パッドと、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、使用者の歩行の阻害を防止でき、耐久性が向上した付勢力発生装置および動作補助装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一実施形態にかかる動作補助装置の斜視図である。
図2図1に示した駆動部の正面断面図である。
図3図1に示した駆動部の上面図である。
図4図1に示した動作補助装置を装着した使用者の歩行時および作業時の駆動部の動作の説明図である。
図5図4に示した回転軸の回転角度と補助力の発生状態との関係についての説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の一実施形態にかかる付勢力発生装置および動作補助装置について説明する。付勢力発生装置を備える動作補助装置は、使用者の上体を起こす動作(腰を伸ばす動作)を補助するものである。図1は、動作補助装置の斜視図である。
【0014】
動作補助装置1は、使用者に上半身に装着される上部10と、一対の駆動部20と、一対の下肢部30とを備える。図1において、背当て部11に対して胸当て部12側を前側、胸当て部12に対して背当て部11側を後側、駆動部20に対して上部10側を上側、駆動部20に対して下肢部30側を下側として説明する。一対の駆動部20が互いに対向する方向を左右方向とする。図1における上部10および下肢部30の駆動部20に対する姿勢は、動作補助装置1を装着した使用者が直立した状態における姿勢である。
【0015】
上部10は、背当て部11と、胸当て部12と、上フレーム13A、13Bと、腰部固定部材14と、を有する。
【0016】
背当て部11は、装着時に使用者の背中に当接する平板である。背当て部11は、使用者の背中に当接する面、すなわち動作補助装置1の正面側の面が、弾性力のある柔らかい素材で形成されている。なお、背当て部11の形状は図示する形態に限られない。
【0017】
胸当て部12は、使用者の胸部に装着される部材である。胸当て部12は、使用者の動きに追従して変形できるように、弾性力のある柔らかい素材で形成された1対の帯状部材を有する。胸当て部12の正面側の両端には、例えば、バックル12Aが設けられている。バックル12Aにより1対の帯状部材を互いに連結することで胸当て部12が筒状に保持される。胸当て部12の内周長は調節可能であり、これにより胸当て部12を使用者の胸部に適切に当接させることができる。
【0018】
上フレーム13A、13Bは、一対の駆動部20と、背当て部11と、胸当て部12とを互いに連結する部材である。上フレーム13A、13Bは、中空丸棒等の棒材を湾曲させて形成されている。上フレーム13A、13Bは剛体であり、一対の駆動部20、背当て部11および胸当て部12の相対的な位置関係を固定する。
【0019】
上フレーム13Aは、背当て部11の背面側に設けられており、背当て部11および一対の上フレーム13Bを固定する。各上フレーム13Bは、背当て部11の上下に伸び出ている部材であり、その下端はそれぞれ駆動部20の上端に連結されている。一対の上フレーム13Bの上端には、それぞれ胸当て部12の帯状部材が連結されている。
【0020】
腰部固定部材14は、1本の帯状の部材であり、一対の駆動部20に連結されている。腰部固定部材14の正面側の両端には、例えば、バックル14Aが設けられており、バックル14Aにより腰部固定部材14が筒状に保持される。腰部固定部材14の内周長は調節可能であり、腰部固定部材14を使用者の腰部に適切に当接させることができる。腰部固定部材14は、柔らかい部材であり、使用者の動きに追従して変形できるため、使用者が動きやすいようになっている。
【0021】
一対の下肢部30は、全体として使用者の大腿部に概ね沿う形状をなしている。各下肢部30は、下肢プレート31と、軸部32と、下肢アーム33と、腿パッド34と、を有する。下肢プレート31は、駆動部20に設けられた回転軸25(図2参照)の回転部に固定され、回転部と共に回動可能である。軸部32は、下肢プレート31の下端に設けられている。下肢アーム33は、軸部32に回動可能に連結されている。下肢アーム33は、軸部32により、使用者の大腿部に近接及び離間するように回動可能である。例えば、下肢アーム33及びそれが接続する下肢プレート31が、下フレームに相当する。
【0022】
各腿パッド34は、使用者の腿部の前側を覆う湾曲形状を有する部材である。各腿パッド34は、各下肢アーム33の先端部に設けられる。使用者が、各腿パッド34を使用者の腿部の前側に当接させることで、腿部の動作が各駆動部20に伝達される。
【0023】
次に、駆動部20について説明する。例えば、駆動部20が、付勢力発生装置に相当する。
図2及び図3は、図1に示した駆動部20の正面断面図及び上面図である。図3に示した駆動部20では、ケース21は省略している。駆動部20は、ケース21と、一対のベース部22と、連結部23と、複数本のシャフト24と、回転軸25と、第1付勢力発生部40と、第2付勢力発生部50と、を備える。
【0024】
ケース21に取り付けられている回転軸25に腰部固定部材14が回転可能に装着されている。これにより、駆動部20は、腰部固定部材14が使用者の腰部に装着された状態において使用者の腰部付近に保持される。各ベース部22は、平面視略楕円形状の平板であり、隙間22aをあけて互いに対向している。ベース部22の上端部には、上フレーム13Bの下端部が、連結部23により接続される。隙間22aは、一対のベース部22の間に設けられた複数(例えば、6本)のシャフト24により形成されている。隙間22aに、第1付勢力発生部40および第2付勢力発生部50が配置されている。各ベース部22には、図示せぬ軸固定孔が形成されている。
【0025】
回転軸25は、各ベース部22の図示せぬ軸固定孔に挿入されている。回転軸25は、固定部と当該固定部に対して回転する回転部とを有する。回転軸25の固定部が図示せぬ軸固定穴に挿入されて、当該固定部はベース部22に対し回転不能に固定されている。回転部は、左右方向に延びる軸を中心に回転する。
【0026】
第1付勢力発生部40は、一対の支持部材41と、4本の支柱42と、弾性体43とを有する。各支持部材41は、平板状をなし、隙間41aをあけて互いに対向している。隙間41aは、一対の支持部材41の間に設けられた4本の円筒状の支柱42により形成されている。隙間41aに、弾性体43が配置される。
【0027】
各支持部材41は、下側部41Bと上側部41Cとを有する。下側部41Bと上側部41Cとの接続部は、支持部材41の回動方向の両側にくびれ部を有する。2本のシャフト24(第1シャフト24Aおよび第2シャフト24B)が、くびれ部を挟むようにベース部22の端縁に固定されている。下側部41Bには、軸挿通穴41dが形成されている。軸挿通穴41dには、回転軸25が挿通されて、各支持部材41は、回転軸25に対し回動可能に支持されている。
【0028】
弾性体43は、板状部材を非接触で渦巻き状にしたゼンマイばねにより構成されている。弾性体43の外端部(第2の端部)は、支柱42の一つに固定され、弾性体43の内端部(第1の端部)は、回転軸25の回転部に固定されている。このため、回転軸25が回転すると、弾性体43を介して、一対の支持部材41が回動する。このように、第1付勢力発生部40は、回転軸25を中心に回動可能である。
【0029】
弾性体43であるゼンマイばねは、その外端部から中心に位置する内端部に向かって、図1の下肢プレート31側から見て時計回りに巻回されている。よって、弾性体43の外端部の位置を固定したまま、内端部が時計回りに回転するように弾性体43を巻くことにより、弾性体43には、その逆方向(反時計回り)に回転する付勢力(補助力)が発生する。当該補助力は、使用者が姿勢を前屈から直立に戻す腰の動作において、腰の動きを補助する力となる。
【0030】
第2付勢力発生部50は、第1ロータ51と、ガイドシャフト52と、第2ロータ53と、スライダ54と、圧縮ばね55と、を備える。第1ロータ51は、一対のベース部22に対し、左右方向に延びる軸を中心に回転可能に支持されている。第1ロータ51は、左右方向に延びる軸に直交する方向に貫通する第1ザグリ孔51aを有する。第1ロータ51は、ベース部22の第2シャフト24B側の端縁に設けられている。ガイドシャフト52は、一端部が第1ザグリ孔51aに挿入されて固定され、他端部はベース部22の第1シャフト24A側の端縁に向かって延びている。
【0031】
第2ロータ53は、一対の支持部材41に対し、左右方向に延びる軸を中心に回転可能に支持されている。よって、一対の支持部材41が回動すると、これに伴い第2ロータ53も回動する。第2ロータ53は、上側部41Cに設けられている。第2ロータ53は、左右方向に延びる軸に直交する方向に貫通する第2ザグリ孔53aを有する。ガイドシャフト52は、第2ザグリ孔53aを貫通している。スライダ54は、フランジを有するブッシュ軸受であり、第2ザグリ孔53aに固定されている。スライダ54をガイドシャフト52が貫通している。このため、一対の支持部材41の回動時には、第2ロータ53およびスライダ54は、ガイドシャフト52の長手方向に沿って摺動可能である。
【0032】
圧縮ばね55は、ガイドシャフト52の外周を覆うように設けられている。すなわち、ガイドシャフト52は、圧縮ばね55の内側に挿通され、圧縮ばね55の伸縮動作をガイドする。ガイドシャフト52の軸と圧縮ばね55の軸とは、略同軸である。圧縮ばね55の一端は、第1ザグリ孔51aの段差面に当接している。圧縮ばね55の他端は、スライダ54のフランジに当接している。よって、第1ザグリ孔51aの段差面およびスライダ54のフランジは、圧縮ばね55の座面として機能する。圧縮ばね55の一端部(第1の端部)は、第1ロータ51を介してベース部22に支持され、圧縮ばね55の他端部(第2の端部)は、第2ロータ53およびスライダ54を介して支持部材41に支持されている。圧縮ばね45により、第2ロータ53およびスライダ54は、第1ロータ51から離れる方向に常に付勢されている。
【0033】
次に、動作補助装置1を装着した使用者の歩行時や階段昇降時における駆動部20の動作について説明する。
【0034】
図4は、図1に示す動作補助装置1を装着した使用者の歩行時および作業時の駆動部20の動作の説明図である。図4(a)は、動作補助装置1を装着した使用者が直立した状態における、駆動部20の状態(初期状態)を示している。この状態では、圧縮ばね45により、第2ロータ53およびスライダ54が押され、支持部材41の一方のくびれ部は第1シャフト24Aに当接している。
【0035】
使用者の歩行時には、腿パッド34が腿部に押され、下肢アーム33を介して、下肢プレート31が、上フレーム13Bおよび駆動部20に対して、回転軸25を中心に時計回りに回転する。これにより、図4(b)に示すように、回転軸25は時計回りに回転するので、弾性体43を介して一対の支持部材41も時計回りに回動する。一対の支持部材41の回動により、第2ロータ53も回転軸25を中心に回動する。これにより、第2ロータ53およびスライダ54は、ガイドシャフト52に沿って、第1ロータ51へ近づくように移動するので、圧縮ばね55は圧縮される。この結果、圧縮ばね55による補助力が発生する。第2ロータ53の回転に伴い、第1ロータ51、第2ロータ53、およびスライダ54は、左右方向に延びる軸を中心にわずかに回転し、ガイドシャフト52は、第1ロータ51を中心に回転する。これにより、圧縮ばね55の座面として機能する第1ザグリ孔51aの段差面およびスライダ54のフランジは、互いに平行に保たれる。この結果、圧縮ばね55の圧縮時に、圧縮ばね55の中央部が外側に膨らむのが防止される。また、ガイドシャフト52によっても、圧縮ばね55の圧縮時に、圧縮ばね55の中央部が外側に膨らむのが防止される。
【0036】
使用者が荷役時に弾性体43による補助力を必要とするときには、膝を少し曲げ上半身を前方に倒すことにより、図8(c)に示すように、一対の支持部材41がさらに回動し、その他方のくびれ部が第2シャフト24Bに当接する。一対の支持部材41は、これ以上時計回りに回動することができないので、回転軸25の回転により、図8(d)に示すように、弾性体43が巻き締められて、弾性体43による補助力が発生する。
【0037】
図5は、図4に示した回転軸25の回転角度と補助力の発生状態との関係についての説明図である。図5(a)に示すように、回転軸25のベース部22に対する回転角度(初期状態からの回転角度)が所定角度θ1の範囲において、回転軸25が回転する際には、一対の支持部材41が回動することにより、圧縮ばね55が圧縮されて圧縮ばね55による補助力が発生する。所定角度θ1は、一対の支持部材41が第1シャフト24Aと第2シャフト24Bとの間で回動する角度とほぼ等しく構成される。
【0038】
図5(b)に示すように、回転軸25が所定角度θ1を超えて、回転角度θ2の範囲で回転する際には、一対の支持部材41は回動しないので、回転軸25の回転により、弾性体43が巻き締められて、弾性体43による補助力が更に発生する。回転角度θ2は、弾性体43による補助力が発生する範囲である。
【0039】
このように、使用者の歩行時には、圧縮ばね55の付勢力(伸長力)のみが、回転軸25等を介して、腿パッド34に作用し、腿パッド34が使用者の腿部に軽く押し付けられている。このため、使用者の歩行時に、腿パッド34が腿部から外れるのを抑制することができ、かつ、腿部に対し大きな力が作用しないので、歩行を阻害することを防止することができる。
【0040】
弾性体43は、ゼンマイばねであるので、その弾性変形における外端部から内端部(内端部から外端部)への力の伝達を効率よく行うことができる。
【0041】
第2付勢力発生部50の付勢力を発生する手段として圧縮ばね55を用いている。このため、ばねを装置に取付ける際にフック等が必要ないので、より安価で、耐久性が向上し、且つ、組立が容易な第2付勢力発生部50を実現できる。
【0042】
本開示は、上述した実施形態の構成に限定されるものではない。特許請求の範囲によって示される本発明は、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0043】
例えば、上記の実施形態では、弾性体43としてゼンマイばねを使用したが、弾性体の形態はこれに限られない。ゼンマイばねは外端及び内端の2つ端部があるが、弾性体43としては、力が発生する部材であれば、3つ端部がある弾性体を採用してもよい。
【符号の説明】
【0044】
1:動作補助装置
10:上部
11:背当て部
12:胸当て部
12A:バックル
13A:上フレーム、 13B:上フレーム
14:腰部固定部材
14A:バックル
20:駆動部
21:ケース、 22:ベース部、 22a:隙間、 23:連結部、
24:シャフト、 24A:第1シャフト、 24B:第2シャフト、 25:回転軸
30:下肢部
31:下肢プレート、 32:軸部、 33:下肢アーム、 34:腿パッド
40:第1付勢力発生部
41:支持部材
41a:隙間、 41B:下側部、 41C:上側部、 41d:軸挿通穴
42:支柱
43:弾性体
50:第2付勢力発生部
51:ロータ、 51a:ザグリ孔、 52:ガイドシャフト、 53:ロータ、
53a:ザグリ孔、 54:スライダ
θ1:所定角度、 θ2:回転角度
図1
図2
図3
図4
図5