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  • 特開-変圧器のタンク 図1
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  • 特開-変圧器のタンク 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068422
(43)【公開日】2024-05-20
(54)【発明の名称】変圧器のタンク
(51)【国際特許分類】
   H01F 27/00 20060101AFI20240513BHJP
   H01F 27/06 20060101ALI20240513BHJP
   H01F 27/02 20060101ALI20240513BHJP
【FI】
H01F27/00 120
H01F27/06
H01F27/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178859
(22)【出願日】2022-11-08
(71)【出願人】
【識別番号】513296958
【氏名又は名称】東芝産業機器システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】倉本 拓実
(72)【発明者】
【氏名】山下 みどり
【テーマコード(参考)】
5E059
【Fターム(参考)】
5E059BB02
5E059KK01
5E059KK04
5E059KK13
5E059KK14
(57)【要約】
【課題】ジャッキボスを備えるものにあって、ジャッキを用いた持ち上げの作業を安定して行うと共に、牽引用のフックを別部品として設けずに済ませる。
【解決手段】実施形態の変圧器のタンクは、変圧器が収容されるタンク本体の側壁部の下部に位置して、ジャッキボスを備えるものであって、前記ジャッキボスは、前記側壁部に固定された縦壁部と、前記縦壁部の下端部に固着されジャッキの押上げ部を下面側で受ける平板状の受け部と、前記受け部に一体的に設けられた牽引用の引き耳部とを有して構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
変圧器が収容されるタンク本体の側壁部の下部に位置して、ジャッキボスを備えるものであって、
前記ジャッキボスは、
前記側壁部に固定された縦壁部と、
前記縦壁部の下端部に固着されジャッキの押上げ部を下面側で受ける平板状の受け部と、
前記受け部に一体的に設けられた牽引用の引き耳部とを有している変圧器のタンク。
【請求項2】
前記タンク本体は矩形箱状をなし、前記ジャッキボスは、該タンク本体の四隅部に設けられている請求項1記載の変圧器のタンク。
【請求項3】
前記ジャッキボスの引き耳部は、前記タンク本体の側壁部の外面よりも突出して配置される請求項1又は2に記載の変圧器のタンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、変圧器が収容されるタンク本体の側壁部の下部に位置して、ジャッキボスを備える変圧器のタンクに関する。
【背景技術】
【0002】
変圧器、例えば高電圧受配電設備用の油入変圧器においては、変圧器を、密閉型のタンク本体内に絶縁油と共に収容して構成されるものがある。前記タンク本体は、例えば鋼板等の金属から略矩形箱状に構成されている。この種のタンク本体を、搬入したり据付けたりする場合には、ジャッキを用いてタンク本体を持ち上げ、台車に載せて搬送するといったことが行われる。そのため、従来より、タンク本体の側壁部の下部に、ジャッキボスを設けることが行われていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭58-180617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記したタンク本体は、大形でかなりの重量となるものがあり、前記ジャッキボスとして、強度が高く、安定した作業を可能とするものが要望される。一方、タンク本体の据付時などにおいて、台車に載せたタンク本体を移動させたり回転させたりする場合に、ロープ等で牽引することも行われる。この場合、タンク本体に、ロープをかけるためのフックを、別部品として取付けることが行われていた。
【0005】
そこで、ジャッキボスを備えるものにあって、ジャッキを用いた持ち上げの作業を安定して行うことができると共に、牽引用のフックを別部品として設けずに済ませることができる変圧器のタンクを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る変圧器のタンクは、変圧器が収容されるタンク本体の側壁部の下部に位置して、ジャッキボスを備えるものであって、前記ジャッキボスは、前記側壁部に固定された縦壁部と、前記縦壁部の下端部に固着されジャッキの押上げ部を下面側で受ける平板状の受け部と、前記受け部に一体的に設けられた牽引用の引き耳部とを有して構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態を示すもので、油入変圧器のタンクの要部の斜視図
図2】ジャッキボス部分の拡大斜視図
図3】油入変圧器の全体構成を概略的に示す正面図
図4】タンクの概略的な平面図
図5】ジャッキ使用時の様子を示す要部の拡大正面図
図6】第2の実施形態を示すもので、タンクの概略的な平面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
(1)第1の実施形態
以下、変圧器として例えば高電圧受配電設備用の油入変圧器に適用した第1の実施形態について、図1図5を参照しながら説明する。図3は、本実施形態に係る油入変圧器1(以下単に「変圧器1」という)の全体構成を示している。変圧器1は、密閉型のタンク2内に変圧器本体を収容して構成される。図示はしないが、前記変圧器本体は、鉄心及びその鉄心に装着された三相のコイル等からなる周知構成を備えている。尚、本実施形態の説明で方向をいう場合には、便宜上、タンク2の長手方向を左右方向とし、図3を正面図とする。
【0009】
本実施形態に係るタンク2は、前記変圧器本体を絶縁油と共に内部に収容するタンク本体3を備えている。図4等にも示すように、このタンク本体3は、金属例えば鋼板から、図でやや横長な矩形箱状に構成されている。また、前記タンク本体3の前後面には、複数個のユニット状の放熱器4が夫々接続されている。これら放熱器4は、タンク本体3内の絶縁油を循環させることにより、冷却するためのもので、周知構成を備えている。さらに、詳しい説明は省略するが、タンク本体3の上壁部には、外部接続用の複数個のブッシングや、放圧装置等の各種付属装置5が設けられている。
【0010】
さて、前記タンク本体3の側壁部の下部には、搬送時や据付時などにタンク本体3をジャッキ6(図5参照)により持ち上げるための、金属製例えば鋼板製のジャッキボス7が設けられている。本実施形態では、図4に示すように、ジャッキボス7は、矩形箱状をなすタンク本体3の四隅部に、合計4個が設けられている。以下、本実施形態のジャッキボス7について、図1図5を参照して詳述する。
【0011】
即ち、本実施形態では、図4に示すように、4個のジャッキボス7は、タンク本体3の前後の側壁部の、図で左右両端部の下部に位置して、前後左右に対称的に設けられる。図1図2図5は、そのうち前壁部の右端部に設けられるジャッキボス7を示し、このジャッキボス7を代表させて説明する。このジャッキボス7は、タンク本体3に固定される取付壁部8、この取付壁部8に一体に設けられた縦壁部9、この縦壁部9の下端部に固着された受け部10、この受け部10に一体的に設けられた牽引用の引き耳部11を有している。
【0012】
そのうち前記取付壁部8は、やや縦長の矩形板状をなし、タンク本体3の前面を構成する側壁部の右端部下部に、例えば溶接により固着されている。前記縦壁部9は、前記取付壁部8の右辺部上部から、連続して図で右方に延び、右上端部を斜めに切断した如き五角形状をなしている。前記受け部10は、前記ジャッキ6の押上げ部6a(図5参照)を下面側で受ける平板状この場合矩形板状をなし、その中間部が前記縦壁部9の下端部に固着されている。
【0013】
そして、前記引き耳部11は、前記受け部10の前辺部から前方に一体に延出するほぼ半円形板状をなし、その中央部に穴11aが設けられている。前記ジャッキボス7の引き耳部11は、前記タンク本体3の側壁部この場合前壁部の外面よりも前面側に突出して配置される。これにて、引き耳部11にロープを掛けてタンク本体3の牽引の作業を行うことができるように構成されている。
【0014】
尚、個々についての説明は省略するが、図4に示すように、上記した前部右端部のジャッキボス7に対し、後部右端部に設けられるジャッキボス7は、前後方向に対称的な構成を備えている。前部左端部に設けられるジャッキボス7は、後部右端部に設けられるジャッキボス7と同等の形状を備えている。後部左端部に設けられるジャッキボス7は、前部右端部のジャッキボス7と同等の形状を備えている。いずれのジャッキボス7も、受け部10が、タンク本体3の左右の側壁部よりも側方に突出配置され、これと共に、引き耳部11が、タンク本体3の前後の側壁部よりも前後に突出して配置される。
【0015】
次に、上記構成の作用について述べる。上記タンク2を搬入したり据付けたりする場合には、ジャッキ6を用いてタンク本体3を持ち上げ、台車(図示せず)に載せて搬送するといったことが行われる。この場合、4つのジャッキ6を用いて、タンク本体3の4隅部を持ち上げて、床との間に隙間を設けてその隙間に台車を差し入れ、ジャッキ6を下ろしてタンク本体3を台車上に載置した状態とする作業が行われる。
【0016】
今、ジャッキ6を使用する際には、図5に示すように、ジャッキ6の押上げ部6aを、タンク本体3のジャッキボス7の受け部10の下面側に配置する。そして、この状態から、押上げ部6aを上昇させることにより、ジャッキボス7ひいてはタンク本体3が持上げられる。このとき、受け部10が平板状とされていることにより、ジャッキ6の押上げ部6aを広い面積で受けることができ、芯ずれや外れを防止することができて、安定したジャッキ作業を行うことができる。しかも、ジャッキボス7においては、受け部10の上面側には縦壁部9が配置されているので、いわば補強リブとしての機能が得られ、ジャッキボス7全体の強度を十分に高めることができる。
【0017】
また、タンク本体3の据付時等において、タンク本体3を台車と共に移動させたり回転させて向きを変えたりする場合には、タンク本体3をロープ等で牽引することも行われる。このような牽引作業時には、ジャッキボス7の受け部10に一体的に設けられた牽引用の引き耳部11に、ロープを掛けて作業を行うことができる。これにより、平板状の受け部10をやや拡げ、その部分に穴を設けるだけの簡単な構成で引き耳部11を設けることができ、別部材のフック部を設けずとも済ませることができる。
【0018】
このとき、タンク本体3の四隅部に配置されたジャッキボス7の引き耳部11のいずれかにロープを掛けて牽引を行うことができ、多方向への牽引が可能となる。また、各ジャッキボス7の引き耳部11は、タンク本体3の側壁部よりも外側に突出しているので、突出した引き耳部11にロープを掛けることにより、回転方向も含む、より多方向への牽引が可能となる。
【0019】
このような本実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。即ち、本実施形態の変圧器1のタンク2によれば、タンク本体3にジャッキボス7を備えるものにあって、ジャッキボス7は、タンク本体3に固定された縦壁部9、この縦壁部9の下端部に固着された受け部10、この受け部10に一体的に設けられた牽引用の引き耳部11を有して構成されている。これにより、ジャッキ6を用いた持ち上げの作業を安定して行うことができると共に、牽引用のフックを別部品として設けずに済ませることができ、構成の簡単化や省スペースを図ることができる。
【0020】
(2)第2の実施形態、その他の実施形態
図6は、第2の実施形態を示すもので、上記第1の実施例と異なるところは、ジャッキボスを設ける位置及び引き耳部の形状にある。即ち、タンク本体21は、やはり矩形箱状をなしており、その図で左右の側壁部に、前後に各2個のジャッキボス22が設けられている。詳しく図示はしないが、このジャッキボス22は、側壁部に固定された縦壁部と、その縦壁部の下端部に固着されジャッキ6の押上げ部6aを下面側で受ける平板状の受け部と、その受け部に一体的に設けられた牽引用の引き耳部23とを有している。このとき、前記引き耳部23は、タンク本体21の側壁部から側方に突出するような舌片状をなし、穴23aが設けられている。
【0021】
このような構成によれば、上記第1の実施形態と同様に、ジャッキ6を用いたタンク本体21の持ち上げの作業を安定して行うことができると共に、牽引用のフックを別部品として設けずに済ませることができる。そして、タンク本体21の四箇所に配置されたジャッキボス22のいずれかの引き耳部23にロープを掛けて牽引を行うことができ、図に矢印で示すように、多方向への牽引が可能となる。また、各ジャッキボス22の引き耳部23は、タンク本体21の外側に突出しているので、突出した引き耳部23にロープを掛けることにより、回転方向も含む、より多方向への牽引が可能となる。
【0022】
尚、上記第1の実施形態では、タンク本体の四隅部の4箇所にジャッキボスを設けるようにしたが、ジャッキボスひいては引き耳部を、6箇所に設けるようにしても良く、設ける位置や個数、受け部や引き耳部の形状等についても、様々な変更が可能である。1個のジャッキボスの2箇所に引き耳部を設けることも可能である。その他、上記各実施形態では油入変圧器を具体例としたが、ガス絶縁変圧器等の他の変圧器のタンクにも適用することができる。タンクに設けられる放熱器や他の付属装置の構成についても、種々の変更が可能であることは勿論である。
【0023】
以上のように、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0024】
図面中、1は変圧器、2はタンク、3、21はタンク本体、4は放熱器、6はジャッキ、6aは押上げ部、7、22はジャッキボス、8は取付壁部、9は縦壁部、10は受け部、11、23は引き耳部、11a、23aは穴を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6