(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068436
(43)【公開日】2024-05-20
(54)【発明の名称】情報処理システムおよび情報処理方法
(51)【国際特許分類】
D06F 58/30 20200101AFI20240513BHJP
D06F 34/06 20200101ALI20240513BHJP
D06F 58/36 20200101ALI20240513BHJP
D06F 33/52 20200101ALI20240513BHJP
【FI】
D06F58/30
D06F34/06
D06F58/36
D06F33/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178884
(22)【出願日】2022-11-08
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100205785
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100203297
【弁理士】
【氏名又は名称】橋口 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135301
【弁理士】
【氏名又は名称】梶井 良訓
(72)【発明者】
【氏名】神沢 和則
(72)【発明者】
【氏名】川口 弘暁
【テーマコード(参考)】
3B167
【Fターム(参考)】
3B167AA02
3B167AA04
3B167AB23
3B167AB30
3B167AB32
3B167AB33
3B167AE03
3B167AE04
3B167AE05
3B167AE06
3B167AE07
3B167BA55
3B167HA16
3B167HA22
3B167HA53
3B167JA41
3B167JC22
3B167JC30
3B167KA02
3B167KA03
3B167KA12
3B167KA32
3B167KA63
3B167KA84
3B167KB16
3B167LB03
3B167LC19
3B167LC20
3B167LD03
3B167LE07
3B167LF02
3B167LG08
3B167MA01
3B167MA03
(57)【要約】
【課題】衣類の乾燥状態が不適切になることを抑制することができる情報処理システムおよび情報処理方法を提供することである。
【解決手段】実施形態の情報処理システムは、情報記録部と、条件特定部と、補正部とを備える。前記情報記録部は、衣類乾燥機の運転条件を示す運転条件情報と、前記衣類乾燥機が前記運転条件で運転されたときの衣類の乾燥状態に関する運転結果とを対応付けた状態で蓄積する。前記条件特定部は、前記情報記録部により蓄積された情報に基づき、前記衣類の乾燥状態が不適切になりやすい前記運転条件である特定運転条件を特定する。前記補正部は、前記条件特定部により特定された前記特定運転条件で前記衣類乾燥機が運転される場合に関して、前記衣類乾燥機の乾燥制御の内容を補正する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣類乾燥機の運転条件を示す運転条件情報と、前記衣類乾燥機が前記運転条件で運転されたときの衣類の乾燥状態に関する運転結果とを対応付けた状態で蓄積する情報記録部と、
前記情報記録部により蓄積された情報に基づき、前記衣類の乾燥状態が不適切になりやすい前記運転条件である特定運転条件を特定する条件特定部と、
前記条件特定部により特定された前記特定運転条件で前記衣類乾燥機が運転される場合に関して、前記衣類乾燥機の乾燥制御の内容を補正する補正部と、
を備える情報処理システム。
【請求項2】
前記運転条件は、運転コース、前記衣類の重量、前記衣類の布質、室温、および水温を含む、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記運転条件は、前記衣類乾燥機の乾燥運転の通算回数若しくは通算時間、または前記衣類乾燥機の使用年数を含む、
請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記運転条件情報は、前記運転条件に加え、前記衣類乾燥機の不備または運転不具合に関する情報を含む、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記不備または前記運転不具合に関する情報は、前記衣類乾燥機のフィルタの掃除実施の有無、前記フィルタの詰まりに関する検出結果、または前記衣類乾燥機の加熱装置の加熱動作の中断の有無に関する情報である、
請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記条件特定部は、前記運転条件情報に基づき、前記不備若しくは前記運転不具合が生じていない、または前記不備若しくは前記運転不具合の程度が所定基準以下の場合における前記特定運転条件を特定する、
請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記衣類乾燥機の運転終了後に、前記衣類乾燥機の入力部に対するユーザの入力、または、前記衣類乾燥機と通信可能もしくは前記衣類乾燥機を管理するサーバと通信可能である端末装置に対するユーザの入力に基づき、前記衣類の乾燥状態に関する前記ユーザの評価を取得する評価取得部をさらに備え、
前記情報記録部は、前記評価取得部により取得された前記ユーザの評価を、前記運転結果として前記運転条件情報と対応付けて蓄積する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記評価取得部は、3段階以上の段階評価である前記ユーザの評価を取得する、
請求項7に記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記評価取得部は、前記ユーザの評価として、未乾燥に関する評価に加え、衣類のしわ、または乾燥むらに関する評価を取得する、
請求項7に記載の情報処理システム。
【請求項10】
前記条件特定部は、所定回数以上の運転に関する前記運転条件情報と前記運転結果との対応関係が前記情報記録部により蓄積された場合に、蓄積された前記対応関係に基づき前記特定運転条件を特定する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項11】
前記情報記録部は、複数の衣類乾燥機と通信可能なサーバに設けられ、前記複数の衣類乾燥機から受信する前記運転条件情報と前記運転結果とを対応付けて記録し、
前記条件特定部は、前記複数の衣類乾燥機から受信されて前記情報記録部により記録された情報に基づき、前記特定運転条件を特定する、
請求項1から請求項10のうちいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項12】
前記複数の衣類乾燥機に含まれる各衣類乾燥機に関して、前記衣類乾燥機の運転終了後に前記衣類の乾燥状態に関するユーザの評価を取得する評価取得部と、
前記サーバで生成された制御指令を前記複数の衣類乾燥機に含まれる個別の衣類乾燥機に出力可能である制御指令出力部と、
をさらに備え、
前記制御指令出力部は、前記特定運転条件に関して前記乾燥制御の内容を補正するための補正指令を、前記複数の衣類乾燥機のなかで前記特定運転条件に関して所定基準以下の低い評価を示したユーザが使用する前記衣類乾燥機に限り出力する、
請求項11に記載の情報処理システム。
【請求項13】
1つ以上のコンピュータが
衣類乾燥機の運転条件を示す運転条件情報と、前記衣類乾燥機が前記運転条件で運転されたときの衣類の乾燥状態に関する運転結果とを対応付けた状態で蓄積し、
前記蓄積された情報に基づき、前記衣類の乾燥状態が不適切になりやすい前記運転条件である特定運転条件を特定し、
前記特定運転条件で前記衣類乾燥機が運転される場合に関して、前記衣類乾燥機の乾燥制御の内容を補正する、
ことを含む情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報処理システムおよび情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
外部から衣類の乾燥に関する乾燥情報を取得する乾燥情報取得部と、取得された乾燥情報を用いて、衣類の乾燥にかかる期間を推定する期間推定部とを備える衣類乾燥機が提案されている。
【0003】
ところで、衣類乾燥機で行われる乾燥運転は、運転コースや衣類の重量、衣類の布質など多くの運転条件の影響を受ける。このため、ある運転条件では、衣類の乾燥状態が不適切な状態になる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、衣類の乾燥状態が不適切になることを抑制することができる情報処理システムおよび情報処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の情報処理システムは、情報記録部と、条件特定部と、補正部とを備える。前記情報記録部は、衣類乾燥機の運転条件を示す運転条件情報と、前記衣類乾燥機が前記運転条件で運転されたときの衣類の乾燥状態に関する運転結果とを対応付けた状態で蓄積する。前記条件特定部は、前記情報記録部により蓄積された情報に基づき、前記衣類の乾燥状態が不適切になりやすい前記運転条件である特定運転条件を特定する。前記補正部は、前記条件特定部により特定された前記特定運転条件で前記衣類乾燥機が運転される場合に関して、前記衣類乾燥機の乾燥制御の内容を補正する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態の衣類処理システムの全体構成を示す図。
【
図2】第1実施形態の洗濯乾燥機の全体構成を示す断面図。
【
図3】第1実施形態の乾燥機構に関連する構成を示す図。
【
図4】第1実施形態のドラムモータを駆動するモータ制御部を示す電気回路図。
【
図5】第1実施形態の制御装置の機能構成を示すブロック図。
【
図6】第1実施形態の操作パネルの画面の一例を示す図。
【
図7】第1実施形態の機器管理サーバの機能構成を示すブロック図。
【
図8】第1実施形態の対応関係情報を蓄積する流れを示すフローチャート。
【
図9】第1実施形態の機器管理サーバでの処理の流れを示すフローチャート。
【
図10】第2実施形態の機器管理サーバの機能構成を示すブロック図。
【
図11】第2実施形態の操作パネルの画面の一例を示す図。
【
図12】実施形態の変形例の端末装置の表示画面の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態の情報処理システムおよび情報処理方法を、図面を参照して説明する。以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。本出願で「XXに基づく」とは、「少なくともXXに基づく」ことを意味し、XXに加えて別の要素に基づく場合も含み得る。また「XXに基づく」とは、XXを直接に用いる場合に限定されず、XXに対して演算や加工が行われたものに基づく場合も含み得る。本出願で「XXまたはYY」とは、XXとYYのうちいずれか一方の場合に限定されず、XXとYYの両方の場合も含み得る。これは選択的要素が3つ以上の場合も同様である。XXおよびYYは、任意の要素(例えば任意の情報)である。
【0009】
本出願で「取得」とは、送信要求を送信して能動的に取得する場合に限定されず、他の装置から送信される情報を受動的に受信することで取得する場合も含み得る。また「取得」とは、外部から得られた情報に対して演算または加工などを行い目的の情報を生成することで目的の情報を得る場合も含み得る。
【0010】
(第1実施形態)
<1.全体構成>
図1は、第1実施形態の衣類処理システム1の全体構成を示す図である。衣類処理システム1は、例えば、1つ以上の衣類乾燥機100と、機器管理サーバ200と、1つ以上の端末装置300の家電管理アプリAPPとを含む。後述するネットワークNWは、例えば、インターネット、セルラー網、Wi-Fi網、LPWA(Low Power Wide Area)、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)、またはその他の公衆回線や専用回線などを状況に応じて利用すればよい。
【0011】
本実施形態では、機器管理サーバ200と1つ以上の衣類乾燥機100とにより「情報処理システム」の一例が実現される。ただし、「情報処理システム」は、上記例に限定されず、機器管理サーバ200により実現されてもよく、機器管理サーバ200と、1つ以上の端末装置300の家電管理アプリAPPとにより実現されてもよく、機器管理サーバ200と、1つ以上の衣類乾燥機100と、1つ以上の端末装置300の家電管理アプリAPPとにより実現されてもよい。衣類乾燥機100、機器管理サーバ200、および端末装置300の各々は、「コンピュータ」の一例である。
【0012】
衣類乾燥機100は、ユーザUの住居内に配置される。衣類乾燥機100は、例えば、ユーザUの住居内に設置された不図示の無線ルータおよびモデムを介してネットワークNWと接続される。衣類乾燥機100は、ネットワークNWを介して、機器管理サーバ200と通信可能である。本出願でいう「衣類乾燥機」は、例えば洗濯乾燥機ですが、これに限定されず、クローゼット型の衣類処理機なども該当し得る。以下では説明の便宜上、「衣類乾燥機100」を「洗濯乾燥機100」と称する場合がある。ただし以下の説明における「洗濯乾燥機」は「衣類乾燥機」と適宜読み替えられてよい。
【0013】
機器管理サーバ200は、衣類乾燥機100を管理する管理サーバである。例えば、機器管理サーバ200は、衣類乾燥機100の状態および遠隔操作を管理する。機器管理サーバ200は、1つまたは複数のサーバ装置(例えばクラウドサーバ)により構成される。機器管理サーバ200は、ネットワークNWを介して、衣類乾燥機100および端末装置300と通信可能である。機器管理サーバ200は、ネットワークNW中のルータに含まれる情報処理部など、エッジコンピューティングやフォグコンピューティングを行う情報処理部を含んでもよい。機器管理サーバ200は、クラウドサーバに限定されず、ユーザUの住居にあるコンピュータでもよく、家庭内ルータなどでもよい。
【0014】
端末装置300は、ユーザUが使用するコンピュータである。端末装置300は、例えば、スマートフォンまたはタブレット端末装置のような携帯端末装置である。ただし、端末装置300は、携帯端末装置に限定されず、パーソナルコンピュータなどでもよい。端末装置300は、例えば、表示装置301と、入力装置302と、通信部303とを有する。表示装置301は、種々の情報を表示可能な表示画面301aを有する。入力装置302は、ユーザUの入力を受け付け可能である。入力装置302は、例えば表示装置301の表示画面301aと重ねて設けられたタッチパネルである。入力装置302は、端末装置300に設けられたカメラやマイクなどを含み得る。通信部303は、無線通信可能な通信モジュールである。通信部303は、ネットワークNWを介して、衣類乾燥機100または機器管理サーバ200と通信可能である。通信部303は、Bluetooth(登録商標)のような近距離無線通信により洗濯乾燥機100と直接に通信可能でもよい。
【0015】
端末装置300には、アプリケーションプログラムPがインストールされ、以下に説明する機能がサポートされる。アプリケーションプログラムPは、例えば、衣類乾燥機100を管理するためのアプリケーションプログラムである。以下では、アプリケーションプログラムPが実行されることで起動されるアプリケーションソフトウェアを「家電管理アプリAPP」と称する。
【0016】
<2.洗濯乾燥機(衣類乾燥機)>
<2.1 洗濯乾燥機の全体構成>
図2は、洗濯乾燥機100の全体構成を示す断面図である。洗濯乾燥機100は、例えば、ドラム式の洗濯乾燥機である。洗濯乾燥機100は、例えば、筐体(外箱)11、扉12、操作パネルPU、水槽13、ドラム14、ベローズ15、ドラムモータ16、給水弁21、注水ケース22、注水管23、排水管24、乾燥機構30、および制御装置50(
図5参照)を有する。
【0017】
筐体11は、前板、後板、左側板、右側板、底板、および天板を有し、中空状に形成されている。筐体11の前板には、貫通孔である出入口11aが設けられている。扉12は、筐体11の前板に装着されている。扉12は、出入口11aを開閉可能に閉じている。
【0018】
操作パネルPUは、例えば、筐体11の前上端部に設けられている。操作パネルPUは、タッチパネルを含み、ユーザUによる操作を受け付ける。例えば、操作パネルPUは、ユーザUによる運転コースの選択を受け付ける。運転コースとしては、例えば、標準コース、時短コース(お急ぎコース)、おしゃれ着コース(丁寧洗いコース)、静音コースなどが挙げられる。時短コースは、標準コースと比べて短い運転時間で洗濯運転および乾燥運転を完了するコースである。静音コースは、標準コースと比べて騒音を抑制する(すなわち水槽13またはドラム14の振動を抑制する)コースである。
【0019】
本実施形態では、操作パネルPUは、乾燥運転の終了時に、衣類の乾燥状態に関するユーザUの評価を受け付ける。この内容については、詳しく後述する。操作パネルPUは、「入力部」の一例である。なお「入力部」は、タッチパネルに代えて/加えて、音声入力を受け付け可能なマイクなどにより実現されてもよい。
【0020】
水槽13は、筐体11の内部に設けられている。水槽13は、後面が閉塞された円筒状に形成されている。水槽13は、後下がりに傾斜した状態で配置されている。水槽13の前面は、開口を有する。出入口11aに対する扉12の閉塞状態では、扉12が水槽13の前面の開口を気密状態に閉塞する。
【0021】
ドラム14は、水槽13内に配置されている。ドラム14は、衣類(洗濯物)が収容される収容室である。ドラム14は、円筒状であり、水槽13内で回転可能に支持されている。ドラム14は、前後方向に延び且つ水平からやや後下がりに傾斜した傾斜軸(中心軸CL)を中心に回転するように構成されている。ドラム14は、「回転槽」の一例である。
【0022】
ドラム14の周壁部および後壁部には、通水および通気用の多数の孔14aが設けられている。ドラム14の周壁部の内面には、洗濯物攪拌用の複数のバッフル14bが設けられている。ドラム14内の衣類は、各バッフル14bに引っ掛かりながら円周方向へ移動した後に重力で落下することで撹拌される。ドラム14の前面部には、衣類が出し入れされる円形の開口部が設けられている。水槽13の前面部には、ドラム14の開口部に連なる投入口13aが設けられている。水槽13の投入口13aと筐体11の出入口11aとはベローズ15を介して連通している。
【0023】
ドラムモータ16は、水槽13の後方に設けられている。ドラムモータ16は、洗濯乾燥機100の駆動機構を構成する。ドラムモータ16は、例えば、三相交流モータである。ただし、ドラムモータ16は、速度制御可能な直流モータなどでもよい。ドラムモータ16の回転軸16aの先端は、水槽13の背面を貫通して水槽13内に突出し、ドラム14の後端部の中心部に連結固定されている。これにより、ドラム14は、ドラムモータ16により直接的に回転駆動される。
【0024】
給水弁21は、筐体11の内部に固定されている。給水弁21の入口は、不図示のホースを介して水道の蛇口に接続される。給水弁21の出口は、給水弁モータにより開放状態と閉鎖状態とに切り換えられる。給水弁21の出口は、注水ケース22に接続されている。注水ケース22は、筒状の注水管23を介して、水槽13の内部に接続されている。給水弁21が開放動作されると、水道から供給される水が、水槽13内に給水される。
【0025】
水槽13の底部には、排水口13bが設けられている。排水口13bには、排水管24の上端部が接続されている。排水管24には不図示の排水弁が設けられている。排水弁は、排水弁モータにより開放状態と閉鎖状態とに切り換えられる。排水弁が開放動作されると、水槽13内の洗濯水が、排水管24から排出される。
【0026】
水槽13の前部の上部には、水槽13内の空気を排出する排気口13cが設けられている。水槽13の背面部の上部には、水槽13内に乾燥風を供給するための給気口13dが設けられている。筐体11の内部には、ドラム14内に乾燥風(温風)を循環供給して洗濯物の乾燥運転を実行するための乾燥機構30が設けられている。
【0027】
<2.2 乾燥機構>
図3は、乾燥機構30に関連する構成を示す図である。乾燥機構30は、例えば、循環風路31、リントフィルタ32、送風ファン33と、ヒートポンプ40とを有する。
【0028】
循環風路31は、筐体11内で水槽13の外部に設けられたダクトである。循環風路31は、水槽13内に乾燥用の温風(乾燥風)を送る。詳しく述べると、循環風路31の入口は、水槽13の排気口13cに接続されている。循環風路31の出口は、水槽13の給気口13dに接続されている。循環風路31には、乾燥風から糸くず(リント)を捕獲するためのユニット式のリントフィルタ32が着脱可能に設けられている。リントフィルタ32は、「フィルタ」の一例である。
【0029】
送風ファン33は、水槽13の排気口13cから排出された空気を、循環風路31内を矢印A方向に循環させ、ヒートポンプ40により除湿および加熱された空気を給気口13dから水槽13を介してドラム14内に供給する。
【0030】
ヒートポンプ40は、循環風路31を通る空気の除湿および加熱を行って乾燥風(温風)を生成する。ヒートポンプ40は、例えば、圧縮機41、凝縮器42、絞り装置43、および蒸発器44を配管45によりサイクル接続して冷凍サイクルを構成する。ヒートポンプ40は、循環風路31を通る空気を加熱する「加熱装置」の一例である。ただし、「加熱装置」は、ヒートポンプ40に限定されず、ヒータ(電熱器)などでもよい。
【0031】
循環風路31において、水槽13の給気口13dの上流側には、入口温度センサS1が設けられている。入口温度センサS1は、ヒートポンプ40を通過することで加熱されてドラム14に供給される空気(水槽13に供給される空気)の温度を検出する。入口温度センサS1により検出される温度は、「循環風路における水槽に対する入口温度」の一例である。本出願で「入口温度」とは、厳密な意味での入口における温度に限定されず、水槽13に対する入口側(上流側)の温度を広く意味する。このため以下の説明における「入口温度」とは「入口側温度」と読み替えられてもよい。
【0032】
循環風路31において、水槽13の排気口13cの下流側には、出口温度センサS2が設けられている。出口温度センサS2は、水槽13の13c排気口とヒートポンプ40との間に設けられ、ドラム14を通過してヒートポンプ40に戻る空気(水槽13を通過してヒートポンプ40に戻る空気)の温度を検出する。出口温度センサS2により検出される温度は、「循環風路における水槽に対する出口温度」の一例である。本出願で「出口温度」とは、厳密な意味での出口における温度に限定されず、水槽13に対する出口側(下流側)の温度を広く意味する。このため以下の説明における「出口温度」とは「出口側温度」と読み替えられてもよい。
【0033】
<2.3 モータ駆動系の電気回路構成>
図4は、ドラムモータ16を駆動するモータ制御部111を示す電気回路図である。インバータ回路132は、6個のIGBT(半導体スイッチング素子)133a~133fを三相ブリッジ接続して構成されており、各IGBT133a~133fのコレクタ-エミッタ間には、フライホイールダイオード134a~134fが接続されている。下アーム側のIGBT133d,133e,133fのエミッタは、シャント抵抗135u,135v,135wを介してグランドに接続されている。IGBT133d,133e,133fのエミッタとシャント抵抗135u,135v,135wとの各接続点は、それぞれレベルシフト回路136を介して制御回路111cに接続されている。本実施形態では、シャント抵抗135u,135v,135wとレベルシフト回路136との組み合わせにより、電流センサ61(
図5参照)を流れる電流の一例が構成されている。
【0034】
レベルシフト回路136は、オペアンプなどを含み、シャント抵抗135u,135v,135wの端子電圧を増幅することで信号を生成し、生成した信号の出力範囲が正側に収まるようにバイアスを与える。過電流比較回路138は、インバータ回路132の上下アームが短絡した場合、過電流を検出する。
【0035】
インバータ回路132の入力側には、駆動用電源回路139が接続されている。駆動用電源回路139は、100Vの交流電源140を、ダイオードブリッジで構成される全波整流回路141および直列接続された2個のコンデンサ142a,142bにより倍電圧全波整流し、約280Vの直流電圧をインバータ回路132に供給する。インバータ回路132の各相出力端子は、ドラムモータ16の各相巻線16u,16v,16wに接続されている。
【0036】
制御回路111cは、電源145を電源として動作し、駆動回路144と高圧ドライバ回路146を介して、6個のIGBT133a~133fをPWM(Pulse Wide Modulation)制御する。駆動回路144は、電源143を電源として動作し、制御回路111cが出力した駆動信号を、電圧を高めた駆動信号に変換して下アーム側のIGBT133d,133e,133fのゲートに印加する。高圧ドライバ回路146は、駆動回路144の出力を倍電圧全波整流電圧よりも高い電圧に変換し、上アーム側のIGBT133a,133b,133cのゲートに印加する。制御回路111cには、ドラムモータ16に設けられたロータ位置センサ161の出力信号が入力される。制御回路111cは、ロータ位置センサ161の出力信号を基準としてドラムモータ16を駆動する駆動信号を生成する。
【0037】
制御回路111cは、レベルシフト回路136を介して得られるドラムモータ16の巻線16u~16wに流れる三相電流Iau~Iawを検出し、検出した電流値に基づいて2次側の回転磁界の位相θおよび回転角速度ωを推定するとともに、三相電流Iau~Iawを直交座標変換およびdq(direct-quadrature) 座標変換して励磁電流成分Id,トルク電流成分Iq(以下「q軸電流」と称する)を算出する。q軸電流は、ドラムモータ16に作用するモータトルクに比例して大きくなる電流成分である。q軸電流は、「トルク電流」の一例である。ただし、本出願でいう「トルク電流」とは、q軸電流に限定されず、モータの負荷に応じて大きくなる電流であればよい。
【0038】
<3.制御装置>
次に、洗濯乾燥機100の制御装置50について説明する。制御装置50は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などからなるコンピュータを主体として構成される。制御装置50は、洗濯乾燥機100の全体を統括的に制御し、洗濯乾燥機100による洗い動作、すすぎ動作、および脱水動作を含む洗濯運転と、その後に続く乾燥運転(乾燥動作)とを実行する。
【0039】
図5は、制御装置50の機能構成を示すブロック図である。制御装置50には、操作パネルPU、電流センサ61、入口温度センサS1、出口温度センサS2、室温センサS3、水温センサS4、フィルタ検知センサS5、および扉開検知センサS6が接続されている。電流センサ61は、ドラムモータ16に流れる電流を測定する。
図5では説明の便宜上、電流センサ61とモータ制御部111とを分けて記載している。ただし、電流センサ61は、モータ制御部111に含まれていてもよい。
【0040】
室温センサS3は、例えば筐体11に設けられ、洗濯乾燥機100が設置された部屋の室温を検出する。水温センサS4は、例えば注水ケース22に設けられ、洗濯に用いられる水の水温を検出する。なお、乾燥機構70が水冷除湿方式の除湿装置(例えば蒸発器44)を含む場合、上記例に代えて/加えて、水冷用の水の温度を検出する水温センサS4が設けられてもよい。フィルタ検知センサS5は、例えば筐体11に設けられ、筐体11に対するリントフィルタ32の取り外しを検知する。扉開検知センサS6は、例えば筐体11に設けられ、筐体11の出入口11aに対する扉12の開きを検知する。
【0041】
制御装置50は、上述したモータ制御部111に加え、例えば、重量検出部51、布質検出部52、フィルタ詰まり検出部53、制御指令取得部54、制御部55、評価取得部56、情報送信部57、および記憶部59を有する。
【0042】
重量検出部51、布質検出部52、フィルタ詰まり検出部53、制御指令取得部54、制御部55、評価取得部56、および情報送信部57の全部または一部は、CPU(Central Processing Unit)のようなハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。ただし、これら機能部の全部または一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、またはFPGA(Field Programmable Gate Array)、ディスクリート回路などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとの協働によって実現されてもよい。モータ制御部111は、制御部55の一部として設けられてもよい。
【0043】
<3.1 重量検出部>
重量検出部51は、例えば、衣類の重量によってドラムモータ16の負荷量が変化することを利用して衣類の重量(布量)を判定する。重量検出部51は、例えば、水槽13への給水前において衣類がドラム14に収容された状態でドラムモータ16によりドラム14を回転させ、ドラムモータ16に流れるトルク電流の大きさ(例えばq軸電流の電流値)に基づき衣類の重量を検出する。
【0044】
<3.2 布質検出部>
布質検出部52は、例えば、布質による吸水性の差異によってドラムモータ16の負荷量が変化することを利用して布質を判定する。布質検出部52は、例えば、綿系の洗濯物が主であるか、化学繊維系の洗濯物が主であるかを判定することで布質を判定する。布質検出部52は、例えば、(1)洗い動作中においてドラム14が一定速度で回転中のq軸電流の平均値(または積分値)と、(2)洗い動作中においてドラム14が1回転する間のq軸電流の最大値と最小値の差の平均値とである2つの指標の組み合わせにより布質を検出する。
【0045】
<3.3 フィルタ詰まり検出部>
フィルタ詰まり検出部53は、入口温度センサS1の検出温度と出口温度センサS2の検出温度とに基づき、リントフィルタ32に付着した糸くずによるフィルタ詰まりの有無を検知する。例えば、リントフィルタ32に付着した糸くずの量が多くなると、循環風路31内の空気の流れが悪化し、入口温度センサS1の検出温度と出口温度センサS2の検出温度との差が大きくなる。このため、フィルタ詰まり検出部53は、入口温度センサS1の検出温度と出口温度センサS2の検出温度との差が閾値以上である場合、フィルタ詰まりがあることを検知する。なお、フィルタ詰まり検出部53は、フィルタ詰まりの有無に加えて、入口温度センサS1の検出温度と出口温度センサS2の検出温度との差に基づき、フィルタ詰まりの程度を検出してもよい。
【0046】
<3.4 制御指令取得部>
制御指令取得部54は、機器管理サーバ200からの制御指令を取得して、制御部55に出力する。制御部55は、制御指令取得部54が機器管理サーバ200から補正指令(後述)を取得した場合、取得した補正指令を補正情報INF2として記憶部59に記憶させる。
【0047】
<3.5 制御部>
制御部55は、洗濯乾燥機100の全体を制御する。例えば、制御部55は、ドラムモータ16の駆動を制御することで、ドラム14の回転を制御する。制御部55は、記憶部59に記憶された基本運転情報INF1に基づき、洗濯運転および乾燥運転を制御する。基本運転情報INF1には、例えば乾燥運転に関して、洗濯乾燥機100の様々な運転条件(例えば、運転コース、重量検出部51により検出された衣類の重量、布質検出部52により検出された衣類の布質、室温センサS3により検出された室温、水温センサS4により検出された水温)に対応した運転内容(例えば、乾燥時間の長さ、送風ファン33の駆動量、ヒートポンプ40の駆動量(例えば圧縮機41の駆動量))が規定されている。
【0048】
制御部55は、基本運転情報INF1に基づき、運転条件に対応した運転内容を取得し、取得した運転内容に基づいて、ドラム14、送風ファン33、およびヒートポンプ40などを駆動させる。基本運転情報INF1は、駆動量に対応する具体的な数値を含んでもよく、駆動量を算出するための計算式を含んでもよい。なお、基本運転情報INF1は、運転条件の項目として上記全ての項目を含む必要はなく、例えば、運転コース、重量検出部51により検出された衣類の重量、および布質検出部52により検出された衣類の布質の3つの項目のみを含んでもよい。
【0049】
制御部55は、後述する特定運転条件に関する補正情報INF2が記憶部59に存在する場合、特定運転条件で運転する際には、基本運転情報INF1の内容を補正情報INF2により補正し、運転内容を決定する。この内容については、詳しく後述する。
【0050】
制御部55は、洗濯乾燥機100の1回ごとの運転終了後に、記憶部59に記憶された使用履歴情報INF3を更新する。使用履歴情報INF3は、洗濯乾燥機100の乾燥運転の通算回数、乾燥運転の通算時間、および洗濯乾燥機100の使用年数のうち1つ以上を含む。乾燥運転の通算回数、乾燥運転の通算時間、および洗濯乾燥機100の使用年数の各々は、洗濯乾燥機100の購入時から計算されたものでもよいし、洗濯乾燥機100のメンテナンスの記録がある場合、前回のメンテナンスの実施日から計算されたものでもよい。これらは、例えば、洗濯乾燥機100の循環風路31に堆積されるリントの量を間接的に示す情報である。
【0051】
<3.6 評価取得部>
評価取得部56は、洗濯乾燥機100の運転終了後(例えば乾燥運転の終了後)に、洗濯乾燥機100の操作パネルPUに対するユーザUの入力に基づき、衣類の乾燥状態に関するユーザUの評価を取得する。衣類の乾燥状態に関するユーザUの評価は、例えば、衣類の未乾燥に関する評価である。なお、衣類の未乾燥に関する評価は、衣類が未乾燥であるか否かを示す評価に加え、衣類が未乾燥である場合、未乾燥の程度に関する評価を含んでもよい。本実施形態では、評価取得部56は、乾燥状態に関する3段階以上の段階評価であるユーザUの評価を取得する。
【0052】
図6は、操作パネルPUの画面の一例の図である。評価取得部56は、洗濯乾燥機100の乾燥運転の終了後に、操作パネルPUの表示画面に
図6に示す内容を表示させる。例えば、評価取得部56は、操作パネルPUの表示画面に、乾燥状態の評価を受け付けるための操作部71a~71eを表示させる。操作部71a~71eは、例えば、衣類の乾燥状態が「とても良好」、「良好」、「普通」、「やや不十分」、および「不十分」にそれぞれ対応する。ユーザUは、洗濯乾燥機100から取り出した衣類の乾燥状態に応じて、操作部71a~71eのなかから1つの操作部を選択して操作する。なおこの例では、乾燥状態が5段階で評価されるが、乾燥状態は3段階以上であればよい。また、評価取得部56は、複数段階での評価に代えて、衣類が未乾燥であるか否かを示す2択の選択肢によりユーザUの評価を受け付けてもよい。
【0053】
なお、評価取得部56は、ユーザUによる直接の操作に代えて、ユーザUの行為に基づいて衣類の乾燥状態に関するユーザUの評価を取得してもよい。評価取得部56は、例えば、上述したような衣類の乾燥状態をユーザUに確認する表示がされた状態で、ユーザUの回答に相当する操作がない場合、ユーザUの評価として衣類の乾燥状態が適切であることを示す評価を取得する。一方で、評価取得部56は、乾燥運転の終了後に連続して再度乾燥運転が行われる場合、ユーザUの評価として衣類の乾燥状態が不適切(未乾燥)であることを示す評価を取得する。
【0054】
<3.7 情報送信部>
情報送信部57は、洗濯乾燥機100の乾燥運転の終了後に、運転条件情報と運転結果情報とを機器管理サーバ200に送信する。なお、運転条件情報と運転結果情報は、同時に送ってもよいし、運転条件情報と運転結果情報を同じIDに紐づけて別々に送ってもよい。
【0055】
「運転条件情報」は、洗濯乾燥機100の運転条件を示す情報である。「運転条件情報」は、例えば、洗濯乾燥機100の運転条件を示す第1情報と、洗濯乾燥機100の不備または運転不具合に関する第2情報と、洗濯乾燥機100の運転が変則的であるか否かを示す第3情報とを含む。
【0056】
第1情報は、例えば、洗濯乾燥機100により実行された運転コース、重量検出部51により検出された衣類の重量、布質検出部52により検出された衣類の布質、室温センサS3により検出された室温、および水温センサS4により検出された水温を含む。また本実施形態では、第1情報は、使用履歴情報INF3に含まれる洗濯乾燥機100の乾燥運転の通算回数、乾燥運転の通算時間、および洗濯乾燥機100の使用年数のうち1つ以上を含む。
【0057】
第2情報は、過去の所定期間(例えば1か月)内のリントフィルタ32の掃除実施の有無、リントフィルタ32の詰まりに関する検出結果、および加熱装置(ヒートポンプ40)の加熱動作の中断の有無に関する情報のうち少なくとも1つを含む。「リントフィルタ32の掃除実施の有無」は、例えば、フィルタ検知センサS5によるリントフィルタ32の取り外しが検知されたことの有無である。「リントフィルタ32の詰まりに関する検出結果」は、例えば、フィルタ詰まり検出部53により検知されたフィルタ詰まりの有無のみでもよく、フィルタ詰まりの有無に加え、フィルタ詰まり検出部53により検出されたフィルタ詰まりの程度の検出結果を含んでもよい。「加熱装置の加熱動作の中断の有無」は、例えば、ヒートポンプ40の圧縮機41のON/OFF回数である。なお、洗濯乾燥機100の加熱装置がヒートポンプ40ではなく、ヒータ(電熱器)により実現される場合は、「加熱装置の加熱動作の中断の有無」は、ヒータのON/OFF回数である。加熱装置の加熱動作の中断は、何らかの理由により循環風路31を流れる温風の温度(例えば出口温度センサS2により検出される温度)が閾値以上に高くなる場合、乾燥機構20の保護などのために行われる。
【0058】
第3情報は、例えば、洗濯乾燥機100により実行された乾燥運転が「乾燥連続運転」であるか否か、洗濯乾燥機100の運転内容を変更するユーザUの手入力による設定操作の有無、および運転途中における扉12の開閉の有無のうち少なくとも1つを含む。「乾燥連続運転」は、乾燥運転が連続して2回行われる運転である。乾燥連続運転における2回目の乾燥運転では、装置の初期温度が高い点で通常の乾燥運転と異なる。「洗濯乾燥機100の運転内容を変更するユーザUの手入力による設定操作」は、例えば、洗濯乾燥機100にデフォルトとして設定された設定内容から、洗濯運転の水位やすすぎ運転の内容、脱水の回数など、衣類の脱水率に影響を与える内容を変更するユーザUの操作である。「運転途中における扉12の開閉の有無」は、例えば、運転途中に衣類を追加投入または一部の衣類の取り出しを行うために扉12が開けられる行為の有無であり、扉開検知センサS6により検知された扉12の開きの有無である。
【0059】
「運転結果情報」は、衣類乾燥機100が上記運転条件で運転されたときの衣類の乾燥状態に関する運転結果を示す情報である。「運転結果情報」は、例えば、評価取得部56により取得されたユーザUの評価を示す情報である。
【0060】
<3.8 記憶部>
記憶部59は、RAM、ROM、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)のうち1つまたは複数の組み合わせにより実現される。記憶部59は、基本運転情報INF1、補正情報INF2、および使用履歴情報INF3を記憶する。
【0061】
<4.機器管理サーバ>
次に、機器管理サーバ200について説明する。
図7は、機器管理サーバ200の機能構成を示すブロック図である。機器管理サーバ200は、情報取得部210、評価取得部220、情報記録部230、条件特定部240、補正部250、制御指令出力部260、および記憶部290を有する。
【0062】
情報取得部210、評価取得部220、情報記録部230、条件特定部240、補正部250、および制御指令出力部260は、機器管理サーバ200に搭載されたCPUのような1つ以上のハードウェアプロセッサがプログラムを実行することにより実現される。ただし、これら機能部の一部または全部は、ASIC、PLD、またはFPGAなどのハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとの協働によって実現されてもよい。なお、これら機能部は、複数のサーバ装置に分かれて設けられてもよい。また、これら機能部のうち1つ以上は、機器管理サーバ200に代えて、衣類乾燥機100、または端末装置300の家電管理アプリAPPに設けられてもよい。
【0063】
<4.1 情報取得部>
情報取得部210は、洗濯乾燥機100からネットワークNWを介して送信された運転条件情報を取得し、取得した運転条件情報を情報記録部230に出力する。本実施形態では、情報取得部210は、複数の洗濯乾燥機100の各々から運転条件情報を取得する。
【0064】
<4.2 評価取得部>
評価取得部220は、洗濯乾燥機100からネットワークNWを介して送信された運転結果情報を取得し、取得した運転結果情報を情報記録部230に出力する。本実施形態では、評価取得部220は、複数の洗濯乾燥機100の各々から運転結果情報を取得する。なお、情報取得部210と評価取得部220とは、1つの取得部として一体に設けられてもよい。
【0065】
<4.3 情報記録部>
情報記録部230は、情報取得部210により取得された運転条件情報と、評価取得部220により取得された運転結果情報とを対応付けた状態で、対応関係情報INF4の一部として記憶部290に蓄積する。本出願で「対応付けた状態で蓄積する」とは、対応付けられていない運転条件情報と運転結果情報とを対応付けて蓄積する場合に限定されず、例えば洗濯乾燥機100の内部で先に対応付けられて受信される運転条件情報と運転結果情報を、対応付けられた状態を維持して蓄積する場合を含む。
【0066】
本実施形態では、機器管理サーバ200は、複数のユーザUが使用する複数の洗濯乾燥機100と通信可能である。そして、情報記録部230は、複数の洗濯乾燥機100から収集される運転条件情報と運転結果情報とを個別に対応付けて、対応関係情報INF4の一部として記憶部290に蓄積する。なお、情報記録部230は、複数の洗濯乾燥機100から収集される情報を、例えば洗濯乾燥機100の機種ごとに分けて管理する。
【0067】
<4.4 条件特定部>
条件特定部240は、情報記録部230により蓄積された情報に基づき、衣類の乾燥状態が不適切になりやすい運転条件(以下「特定運転条件」と称する)を特定する。衣類の乾燥状態が不適切とは、例えば、衣類の乾燥状態が未乾燥であることである。衣類の乾燥状態が不適切とは、例えば、乾燥状態が十分でないことを示すユーザUの評価が運転結果情報に含まれる場合である。なお、衣類の乾燥状態が不適切とは、衣類の乾燥状態が未乾燥であることに限らず、衣類に乾燥しわがあること、または乾燥むらがあることなどを含み得る。これらは、第2実施形態のなかで詳しく説明する。
【0068】
本実施形態では、条件特定部240は、情報記録部230により蓄積された情報に基づき、乾燥状態が十分でないことを示すユーザUの評価が得られた回数を、運転条件ごとにカウントする。そして、条件特定部240は、乾燥状態が十分でないことを示すユーザUの評価が得られた回数または割合が閾値以上となる運転条件を、特定運転条件として特定する。「特定運転条件を特定する」とは、運転条件を規定する複数の項目(例えば、運転コース、衣類の重量、衣類の布質、室温、および水温)の組み合わせのなかで、乾燥状態が不十分(例えば衣類が未乾燥)になりやすい組み合わせを抽出することを意味する。
【0069】
本実施形態では、条件特定部240は、所定回数以上の運転に関する運転条件情報と運転結果情報とが情報記録部230により対応付けられた状態で蓄積された場合に、情報記録部230により蓄積された情報に基づき特定運転条件を特定する。例えば、条件特定部240は、情報分析に十分な回数の運転に関する運転条件情報と運転結果情報とが複数の洗濯乾燥機100から得られて蓄積された場合に、情報記録部230により蓄積された情報に基づき特定運転条件を特定する。
【0070】
本実施形態では、条件特定部240は、洗濯乾燥機100の乾燥運転の通算回数、乾燥運転の通算時間、および洗濯乾燥機100の使用年数のうち1つ以上が運転条件情報に含まれる場合、乾燥運転の通算回数、乾燥運転の通算時間、または洗濯乾燥機100の使用年数を用いて使用履歴に関する所定区分ごとにグループ分けを行い、同じ所定区分に含まれる洗濯乾燥機100ごとに、特定運転条件を特定する。これは、洗濯乾燥機100の使用により循環風路31内にリントが堆積するため、リントの堆積量が類似する洗濯乾燥機100ごとに特定運転条件を特定すると好ましいためである。
【0071】
本実施形態では、条件特定部240は、情報記録部230により蓄積された情報として上記3段階以上の段階評価であるユーザUの評価を含む情報に基づき、特定運転条件を特定する。例えば、条件特定部240は、ユーザUの評価として第1レベルの評価(例えば「乾燥状態がやや不十分」)が得られた回数または割合が閾値以上となる運転条件を、衣類の乾燥状態が上記第1レベルの不適切になりやすい第1特定運転条件として特定する。また、条件特定部240は、ユーザUの評価として上記第1レベルよりも不適切の程度が大きい第2レベルの評価(例えば「乾燥状態が不十分」)が得られた回数または割合が閾値以上となる運転条件を、衣類の乾燥状態が上記第2レベルの不適切になりやすい第2特定運転条件として特定する。
【0072】
また本実施形態では、条件特定部240は、取得された複数の運転条件情報と運転結果の情報のなかで、所定の条件が満たされた場合、優先度(影響度)を設けて特定運転条件を特定する。優先度は、例えば、衣類乾燥機100の不備または運転不具合に関する情報、または洗濯乾燥機100の運転が変則的であるか否かを示す情報を用いて設定される。
【0073】
例えば、リントフィルタ32の掃除が行われていない場合や、リントフィルタ32の詰まりが発生している場合、循環風路31を流れる温風の経路が阻害されるため、それが理由で衣類の乾燥状態が不適切になる場合がある。また、記衣類乾燥機の加熱装置の加熱動作の中断が発生した場合、循環風路31を流れる温風の温度が一度下がるため、それが理由で衣類の乾燥状態が不適切になる場合がある。このため、条件特定部240は、衣類乾燥機100の不備または運転不具合を示す情報が運転条件情報に含まれる場合、当該運転条件情報に対応する運転結果情報については影響度を下げて判定に用いる。
【0074】
また、上述した「乾燥連続運転」が行われる場合には、初回の乾燥と2回目の乾燥とでは条件が異なる。例えば、2回目の乾燥運転の開始時の洗濯乾燥機100内の各装置の温度は、1回目の運転開始時の温度よりも高い。また、マニュアル操作が行われた場合や、乾燥中に扉12の開閉が行われた場合にも、通常の使用時と条件が異なる。例えば、洗濯運転の水位やすすぎ運転の内容、脱水の回数などを変更するユーザUの操作が行われた場合や、運転途中に衣類を追加投入または一部の衣類の取り出しを行うために扉12が開けられる行為が行われた場合、乾燥運転直前における衣類の脱水率が異なる。このため、条件特定部240は、洗濯乾燥機100の運転が変則的であることを示す情報が運転条件情報に含まれる場合、当該運転条件情報に対応する運転結果情報については影響度を下げて判定に用いる。
【0075】
なお、条件特定部240は、運転条件情報に基づき、不備若しくは運転不具合が生じていない、または不備若しくは運転不具合の程度が所定基準以下の場合における特定運転条件を特定してもよい。すなわち、条件特定部240は、蓄積された情報のなかから、運転条件情報に基づき、不備若しくは運転不具合が生じている、または不備若しくは運転不具合の程度が所定基準を超える場合の運転条件情報および運転結果情報を除外し、残された情報に基づき、特定運転条件を特定してもよい。
【0076】
同様に、条件特定部240は、運転条件情報に基づき、洗濯乾燥機100の運転が変則的であることを示す情報が含まれない場合における特定運転条件を特定してもよい。すなわち、条件特定部240は、蓄積された情報のなかから、運転条件情報に基づき、洗濯乾燥機100の運転が変則的であることを示す情報が含まれる場合を除外し、残された情報に基づき、特定運転条件を特定してもよい。
【0077】
本実施形態では、条件特定部240は、衣類乾燥機100の不備または運転不具合を示す情報が運転条件情報に含まれる場合において、乾燥状態が十分でないことを示すユーザUの評価が得られた回数または割合が閾値未満となる運転条件を、衣類乾燥機100の不備または運転不具合があっても乾燥状態が適切になる条件(以下「特定適切運転条件」と称する)として特定してもよい。この場合、洗濯乾燥機100の運転条件が特定適切運転条件である場合に関しては、後述する補正部250による制御内容の補正は行われなくてもよい。
【0078】
<4.5 補正部>
補正部250は、条件特定部240により特定された特定運転条件で洗濯乾燥機100を運転する場合に関して、洗濯乾燥機100の乾燥制御の内容を補正する補正情報INF2を生成する。補正情報INF2は、例えば、乾燥運転終了時の衣類の乾燥状態を適切にするための情報であり、例えば乾燥度合いを高くするための情報である。補正情報INF2は、例えば、洗濯乾燥機100の乾燥運転の時間延長、送風ファン33の駆動量の増加、およびヒートポンプ40の圧縮機41の駆動量(加熱装置による加熱量)の増加のうち1つ以上を行うための情報である。
【0079】
補正部250は、例えば、乾燥運転の時間が所定時間未満である場合、乾燥運転の時間延長を行うための補正情報INF2を生成する。一方で、補正部250は、例えば、乾燥運転の時間がすでに所定時間以上である場合、乾燥運転の時間延長を抑制しつつ、送風ファン33の駆動量の増加、またはヒートポンプ40の圧縮機41の駆動量(加熱装置による加熱量)の増加を行うための補正情報INF2を生成する。
【0080】
また本実施形態では、補正部250は、乾燥運転における循環風路31を流れる温風の温度(例えば出口温度センサS2により検出される温度)がある閾値以上である場合、ヒートポンプ40の圧縮機41の駆動量(加熱装置による加熱量)の増加を抑制しつつ、乾燥運転の時間延長、または送風ファン33の駆動量の増加を行うための補正情報INF2を生成する。
【0081】
また本実施形態では、衣類乾燥機100の不備または運転不具合を示す情報として、リントフィルタ32の掃除が行われていないことや、リントフィルタ32の詰まりが発生していることを示す情報が存在する場合、ヒートポンプ40の圧縮機41の駆動量(加熱装置による加熱量)の増加よりも、乾燥運転の時間延長、または送風ファン33の駆動量の増加を優先して行うための補正情報INF2を生成する。また本実施形態では、衣類乾燥機100の不備または運転不具合を示す情報として、ヒートポンプ40(加熱装置)の加熱動作の中断を示す情報が存在する場合、ヒートポンプ40の圧縮機41の駆動量(加熱装置による加熱量)の増加よりも、乾燥運転の時間延長、または送風ファン33の駆動量の増加を優先して行うための補正情報INF2を生成する。
【0082】
本実施形態では、補正部250は、上記第1特定運転条件(衣類の乾燥状態が上記第1レベルの不適切になりやすい運転条件)で洗濯乾燥機100を運転する場合に関して洗濯乾燥機100の乾燥制御の内容を第1補正内容で補正する補正情報INF2を生成する。一方で、補正部250は、上記第2特定運転条件(衣類の乾燥状態が上記第1レベルよりも不適切の程度が大きい第2レベルの不適切になりやすい運転条件)で洗濯乾燥機100を運転する場合に関して洗濯乾燥機100の乾燥制御の内容を、第2補正内容で補正する補正情報INF2を生成する。上記第2補正内容は、上記第1補正内容よりも補正の程度が大きい。「補正の程度が大きい」とは、乾燥度合いをより高くするための補正情報であり、例えば、洗濯乾燥機100の乾燥運転の時間延長の程度、送風ファン33の駆動量の増加の程度、またはヒートポンプ40の圧縮機41の駆動量の増加の程度が大きいことを意味する。
【0083】
なお本実施形態では、補正情報INF2は、後述する制御指令出力部260によって洗濯乾燥機100に送信された後、洗濯乾燥機100の記憶部59に記憶され、乾燥運転ごとに基本運転情報INF1とともに参照され、乾燥運転ごとに基本運転情報INF1の内容を補正するために用いられる。なお、補正情報INF2は、上記例に限定されず、後述する制御指令出力部260によって洗濯乾燥機100に送信された後、洗濯乾燥機100の内部で基本運転情報INF1の更新に用いられてもよい。この場合、更新後の基本運転情報INF1が記憶部59に記憶され、洗濯乾燥機100の乾燥運転は、更新後の基本運転情報INF1に基づいて行われる。
【0084】
本実施形態では、補正部250は、衣類乾燥機100の不備または運転不具合を示す情報が運転条件情報に含まれる場合において、条件特定部240により特定運転条件と特定された運転条件については、上述した特定適切運転条件の内容を用いて補正情報INF2を生成してもよい。すなわち、補正対象の特定運転条件を、同じ種類の不備または運転不具合を含む特定適切運転条件であって、当該補正対象の特定運転条件よりも乾燥度合いを高い特定適切運転条件(例えば、洗濯乾燥機100の乾燥運転の時間が長い、送風ファン33の駆動量が多い、またはヒートポンプ40の圧縮機41の駆動量が多い)に近づける(例えば一致させる)ための補正情報INF2を生成してもよい。
【0085】
本実施形態では、補正部250は、衣類乾燥機100の不備または運転不具合の程度に応じて、異なる補正情報INF2を生成してもよい。例えば、補正部250は、フィルタ詰まり検出部53により検出されたフィルタ詰まりの程度や、加熱装置(ヒートポンプ40)などの加熱動作の中断回数に応じて、異なる補正情報INF2を生成してもよい。
【0086】
<4.6 制御指令出力部>
制御指令出力部260は、機器管理サーバ200で生成された制御指令を複数の洗濯乾燥機100に含まれる個別の洗濯乾燥機100に出力可能である。制御指令出力部260は、補正部250により生成された補正情報INF2を個別の洗濯乾燥機100に出力可能である。
【0087】
本実施形態では、制御指令出力部260は、特定運転条件に関して洗濯乾燥機100の乾燥制御の内容を補正する補正情報INF2を補正部250が生成する場合、機器管理サーバ200と通信可能な複数の洗濯乾燥機100のなかで、上記特定運転条件に関して所定基準以下の低い評価を示したユーザUが使用する洗濯乾燥機100に限り補正情報INF2を送信する。
【0088】
<4.7 記憶部>
記憶部290は、例えば、RAM、ROM、EEPROM、SSD、またはHDD(Hard Disk Drive)などの組み合わせにより実現される。記憶部290は、例えば、対応関係情報INF4を記憶する。
【0089】
<5.制御の流れ>
次に、制御の流れについて説明する。
図8は、対応関係情報INF4を蓄積する流れを示すフローチャートである。まず、洗濯乾燥機100において、室温センサS3により室温が検出され、水温センサS4により水温が検出される(S101)。次に、制御部55は、洗濯乾燥機100の不備または運転不具合に関する情報として、過去の所定期間内にリントフィルタ32が掃除されたか否か(例えば過去の所定期間内にフィルタ検知センサS5によりリントフィルタ32の取り外しが検知されたか否か)を判定する。また、制御部55は、洗濯乾燥機100の運転が変則的であるか否かを示す情報として、乾燥連続運転であるか否かを判定する(S102)。
【0090】
次に、重量検出部51により衣類の重量が検出される(S103)。次に、制御部55は、洗濯運転を実行し(S104)、続いて乾燥運転を実行する(S105)。なお、例えば、上記洗濯運転の間に、布質検出部52により衣類の布質が検出される。次に、制御部55は、洗濯乾燥機100の不備または運転不具合に関する情報として、フィルタ詰まりがあるか否か、ヒートポンプ40(加熱装置)の加熱動作が中断されたか否かを判定する(S106)。これにより、洗濯乾燥機100の運転が終了する(S107)。
【0091】
次に、制御部55は、記憶部59に記憶された使用履歴情報INF3に含まれる乾燥運転の通算回数または通算時間を更新する(S108)。次に、評価取得部56は、衣類の乾燥状態に対するユーザUの評価を取得するための表示を操作パネルPUの表示画面に表示させ、ユーザUの回答を受け付ける。これにより、評価取得部56は、ユーザUの評価を取得する(S109)。
【0092】
次に、制御部55は、洗濯乾燥機100の不備または運転不具合に関する情報を検知しているか否かを判定する(S110)。制御部55は、洗濯乾燥機100の不備または運転不具合に関する情報を検知していない場合(S110:YES)、ユーザUの評価に基づき、衣類の乾燥状態が適切であるか否かを判定する(S111)。
【0093】
制御部55は、衣類の乾燥状態が適切であると判定された場合(S111:YES)、通常運転(不備または運転不具合が存在しない運転)であり、且つ、衣類の乾燥状態が適切である運転に関する情報として、運転条件情報および運転結果情報を機器管理サーバ200に送信する(S112)。一方で、制御部55は、衣類の乾燥状態が不適切であると判定された場合(S111:NO)、通常運転であり、且つ、衣類の乾燥状態が不適切である運転に関する情報として、運転条件情報および運転結果情報を機器管理サーバ200に送信する(S113)。
【0094】
また、制御部55は、洗濯乾燥機100の不備または運転不具合に関する情報が検知された場合(S110:NO)、ユーザUの評価に基づき、衣類の乾燥状態が適切であるか否かを判定する(S114)。
【0095】
制御部55は、衣類の乾燥状態が適切であると判定された場合(S114:YES)、不備または運転不具合が存在する運転であり、且つ、衣類の乾燥状態が適切である運転に関する情報として、運転条件情報および運転結果情報を機器管理サーバ200に送信する(S115)。一方で、制御部55は、衣類の乾燥状態が不適切であると判定された場合(S114:NO)、不備または運転不具合が存在する運転であり、且つ、衣類の乾燥状態が不適切である運転に関する情報として、運転条件情報および運転結果情報を機器管理サーバ200に送信する(S116)。
【0096】
そして、機器管理サーバ200は、洗濯乾燥機100から送信される情報を取得し、運転ごとに運転条件情報と運転結果情報とを対応付けられた状態で蓄積する(S117)。これらS101からS117の処理が洗濯乾燥機100の運転ごとに実行される。
【0097】
図9は、機器管理サーバ200での処理の流れを示すフローチャートである。まず、情報取得部210は、洗濯乾燥機100から運転条件情報を受信する。また、評価取得部220は、洗濯乾燥機100から運転結果情報を受信する。情報記録部230は、運転条件情報と運転結果情報とを対応付けた状態で蓄積する(S201)。
【0098】
次に、条件特定部240は、情報記録部230に蓄積された情報が所定数以上になったか否かを判定する(S202)。すなわち、特定運転条件の特定では、情報記録部230に蓄積される情報が多くなるほど信頼性が向上する。このことから、条件特定部240は、所定回数以上(例えば5000回以上)の運転に関する運転条件情報と運転結果情報とが情報記録部230により蓄積されるまで、特定運転条件を特定する処理の開始を待機する。条件特定部240は、蓄積した情報が所定数以上になったら(ステップS202:YES)、処理をステップS203に進める。
【0099】
次に、条件特定部240は、多数の運転条件情報と運転結果情報とに基づき、衣類の乾燥状態が不適切になりやすい特定運転条件を特定する(S203)。特定運転条件の特定は、例えば運転コース、衣類の重量、衣類の布質、室温、水温などの組み合わせと、乾燥状態の評価を示す運転結果情報とを対比させることで実行される。
【0100】
次に、補正部250は、条件特定部240により特定された特定運転条件で洗濯乾燥機100を運転する場合に関して、洗濯乾燥機100の乾燥制御の内容を補正する補正情報INF2を生成する(S204)。例えば、補正部250は、衣類の乾燥状態が未乾燥になりやすい運転条件に関して、乾燥時間を延長させる補正情報INF2を生成する。
【0101】
次に、制御指令出力部260は、補正部250で生成された補正情報INF2を、個別の洗濯乾燥機100に送信する(S205)。これにより、機器管理サーバ200における一連の処理が完了する。
【0102】
<6.利点>
本実施形態にかかる情報処理システムは、衣類乾燥機100の運転条件を示す運転条件情報と、衣類乾燥機100が上記運転条件で運転されたときの衣類の乾燥状態に関する運転結果とを対応付けた状態で蓄積する情報記録部230と、情報記録部230により蓄積された情報に基づき、衣類の乾燥状態が不適切になりやすい運転条件である特定運転条件を特定する条件特定部240と、条件特定部240により特定された特定運転条件で衣類乾燥機100を運転する場合に関して、衣類乾燥機100の乾燥制御の内容を補正する補正部250とを備える。なお上述したように、「特定運転条件で衣類乾燥機100を運転する場合に関して、衣類乾燥機100の乾燥制御の内容を補正する」とは、乾燥制御の補正が1回の運転ごとに行われる場合に限らず、補正用情報INFに基づき洗濯乾燥機100の基本運転情報INF1の内容が更新され、その後は更新後の基本運転情報INF1(補正された基本運転情報INF1)に基づき乾燥制御が行われる場合も該当し得る。
【0103】
このような構成によれば、運転条件情報と、各運転条件での衣類の乾燥状態に関する運転結果とが対応付けられた状態で蓄積され、これらの情報を利用して乾燥制御の内容を補正することで、衣類の乾燥状態が不適切になることを抑制することができる。これにより、ユーザUの利便性を高めることができる。
【0104】
本実施形態では、運転条件は、運転コース、衣類の重量、および衣類の布質を含む。ここで、衣類の重量が多い場合、乾燥に時間がかかる。また、衣類の布質として綿系が多い場合、乾燥に時間がかかる。このため本実施形態によれば、衣類の乾燥状態が不適切になりやすい運転条件を、運転コース、衣類の重量、および衣類の布質の観点で分析して特定することができる。
【0105】
本実施形態では、運転条件は、室温または水温を含む。ここで、室温が低い場合、乾燥に時間がかかる。また、水温が低い場合、乾燥に入る前の衣類温度が低くなり、乾燥に時間がかかる。また、水冷除湿方式の場合、水温によって除湿効率が変わる。このため本実施形態によれば、衣類の乾燥状態が不適切になりやすい運転条件を、室温または水温の観点から分析して特定することができる。
【0106】
本実施形態では、運転条件は、衣類乾燥機100の乾燥運転の通算回数若しくは通算時間、または衣類乾燥機100の使用年数を含む。ここで、衣類乾燥機100の乾燥運転の通算回数が多い、乾燥運転の通算時間が長い、または衣類乾燥機100の使用年数が長い場合、循環風路31に堆積したリントの量が多くなりやすく、乾燥に時間がかかる。このため本実施形態によれば、衣類の乾燥状態が不適切になりやすい運転条件を、乾燥運転の通算回数若しくは通算時間、または衣類乾燥機100の使用年数の観点から分析して特定することができる。
【0107】
本実施形態では、運転条件情報は、上述した運転条件に加え、衣類乾燥機100の不備または運転不具合に関する情報を含む。このような構成によれば、衣類乾燥機100の不備または運転不具合に関する情報を含めておくことで、不備または運転不具合があったときの情報の影響を小さくして(または無くして)、特定運転条件を特定することができるようになる。
【0108】
本実施形態では、不備または運転不具合に関する情報は、衣類乾燥機100のリントフィルタ32の掃除実施の有無、リントフィルタ32の詰まりに関する検出結果、または衣類乾燥機100のヒートポンプ40の加熱動作の中断の有無に関する情報である。このような構成によれば、これら内容の不備または運転不具合の影響を小さくして(または無くして)、特定運転条件を特定することができるようになる。
【0109】
本実施形態では、条件特定部240は、運転条件情報に基づき、不備または運転不具合が発生していない、または不備または運転不具合の程度が所定基準以下の場合における特定運転条件を特定する。このような構成によれば、不備または運転不具合があったときの情報の影響を受けずに、特定運転条件を特定することができる。
【0110】
本実施形態では、情報記録部230は、複数の衣類乾燥機100と通信可能な機器管理サーバ200に設けられ、複数の衣類乾燥機100から受信する運転条件情報と運転結果とを対応付けた状態で記録し、条件特定部240は、複数の衣類乾燥機100から受信されて情報記録部230により記録された情報に基づき、特定運転条件を特定する。このような構成によれば、複数の衣類乾燥機100から多数の情報を蓄積して特定運転条件を特定することで、特定運転条件を特定する際の信頼性の向上を図ることができる。
【0111】
本実施形態では、衣類乾燥機100の運転終了後に、衣類乾燥機100の操作パネルPUに対するユーザUの入力に基づき、衣類の乾燥状態に関するユーザUの評価を取得する評価取得部220をさらに備え、情報記録部230は、評価取得部220により取得されたユーザUの評価を、運転結果として運転条件情報と対応付けて蓄積する。このような構成によれば、評価取得部220により取得されたユーザUの評価を、運転結果として運転条件情報と対応付けて蓄積することで、衣類が不適切となる状態を分析して、特定運転条件を特定することができる。
【0112】
本実施形態では、評価取得部220は、3段階以上の段階評価であるユーザUの評価を取得する。このような構成によれば、ユーザUの評価をより詳細に取得することができる。これにより、補正部250による乾燥運転の制御内容の補正の精度を高めることができる。
【0113】
本実施形態では、条件特定部240は、所定回数以上の運転に関する運転条件情報と運転結果との対応関係が蓄積された場合に、情報記録部230により蓄積された情報に基づき特定運転条件を特定する。このような構成によれば、情報記録部230に、所定回数以上の運転に関する運転条件情報と運転結果とを蓄積させることで、特定運転条件を特定する際の信頼性を向上させることができる。
【0114】
本実施形態では、制御指令出力部260は、補正部250が特定運転条件に関して衣類乾燥機100の乾燥制御の内容を補正する補正指令を生成する場合、特定運転条件に関して所定基準以下の低い評価を示したユーザUが使用する衣類乾燥機100に限り補正指令を出力する。このような構成によれば、特定運転条件に関して所定基準以下の低い評価を示したユーザUが使用する衣類乾燥機100の乾燥制御のみを補正することができ、乾燥状態に不満がないユーザUが使用する衣類乾燥機100の制御はそのまま維持することができる。
【0115】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態では、未乾燥の程度に加えて、乾燥時の衣類のしわ、または乾燥むらに関するユーザUの評価に基づき乾燥制御の内容が補正される点で、第1実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、第1実施形態と同様である。
【0116】
図10は、第2実施形態の機器管理サーバ200aの機能構成を示すブロック図である。機器管理サーバ200aは、例えば、情報取得部210、評価取得部220a、情報記録部230、条件特定部240a、補正部250、制御指令出力部260、および記憶部290を有する。
【0117】
<評価取得部>
評価取得部220aは、ユーザUの評価として、未乾燥の程度に加え、衣類のしわ、または乾燥むらに関する評価を取得する。
図11は、第2実施形態における操作パネルPUの画面の一例の図である。洗濯乾燥機100の乾燥運転が終了すると、洗濯乾燥機100の評価取得部56は、操作パネルPUの表示画面に
図11に示す内容を表示させる。
図11に示すように、操作パネルPUの表示画面には、乾燥状態を評価する操作部71a~71eが表示されるとともに、衣類のしわの状態を評価する操作部72a~72eが表示される。ユーザUは、衣類の乾燥状態に応じて、操作部71a~71eのなかから1つの操作部を選択して入力するとともに、衣類のしわの状態に応じて、操作部72a~72cのなかから1つの操作部を選択して入力する。なお、この例では、乾燥状態やしわの状態を5段階で評価しているが、乾燥状態やしわの状態は、3段階以上であればよい。また、評価取得部56は、乾燥むら(乾燥状態が一様でないこと、乾燥している部分と乾燥していない部分があること)に関しても同様の操作部を表示させてもよい。
【0118】
<条件特定部>
本実施形態では、条件特定部240aは、情報記録部230により蓄積された情報として、乾燥しわに関するユーザの評価を含む情報に基づき、衣類の状態が第1状態になりやすい第3特定運転条件と、衣類の状態が上記第1状態と比べて衣類の乾燥しわが多い第2状態になりやすい第4特定運転条件とを特定する。
【0119】
また本実施形態では、条件特定部240aは、情報記録部230により蓄積された情報として、乾燥むらに関するユーザUの評価を含む情報に基づき、衣類の状態が第3状態になりやすい第5特定運転条件と、衣類の状態が第3状態と比べて乾燥むらが多い第4状態になりやすい第6特定運転条件とを特定する。
【0120】
<補正部>
補正部250は、上記第4特定運転条件で洗濯乾燥機100を運転する場合に関して、上記第3特定運転条件で洗濯乾燥機100を運転する場合と比べて、乾燥運転の時間を短くする、乾燥温度を低くする(例えばヒートポンプ40(加熱装置)の駆動量を小さくする)、または温風の風量を多くする(例えば送風ファン33の駆動量を多くする)ように乾燥制御の内容を補正する補正情報INF2を生成する。
【0121】
また本実施形態では、補正部250は、上記第6特定運転条件で洗濯乾燥機100を運転する場合に関して、上記第5特定運転条件で洗濯乾燥機100を運転する場合と比べて、乾燥風の風量を多くする(例えば送風ファン33の駆動量を多くする)、または洗濯乾燥機100に含まれるドラム14の回転方向の変化を多くするように(衣類がほぐれやすくするように)乾燥制御の内容を補正する補正情報INF2を生成する。
【0122】
<利点>
本実施形態では、評価取得部220aは、ユーザの評価として、未乾燥の程度に加え、衣類のしわ、または乾燥むらに関する評価を取得する。このような構成によれば、評価取得部220aにより取得されたユーザUの評価を、運転結果として運転条件情報と対応付けて蓄積することで、衣類のしわが発生する状態または乾燥むらが生じる状態になることを分析して、特定運転条件を特定することができる。
【0123】
(変形例)
次に、変形例について説明する。変形例において以下に説明する以外の構成は、上述した実施形態の構成と同じである。この変形例は、第1実施形態と組み合わされて実現されてもよく、第2実施形態と組み合わされて実現されてもよい。
【0124】
上述した実施形態では、機器管理サーバ200は、洗濯乾燥機100の運転終了後に、洗濯乾燥機100の操作パネルPUの表示画面に乾燥状態をユーザUに問い合わせる内容を表示させ、操作パネルPUに対するユーザUの入力に基づき、衣類の乾燥状態や乾燥しわの状態などに関するユーザUの評価を取得する。一方で、本変形例では、家電管理アプリAPPは、洗濯乾燥機100の運転終了を知らせる信号を機器管理サーバ200から受信することに応じて、端末装置300の表示画面301aに乾燥状態をユーザUに問い合わせる内容を表示させ、端末装置300対するユーザUの入力に基づき、衣類の乾燥状態や乾燥しわの状態などに関するユーザUの評価を取得してもよい。
【0125】
図12は、変形例における端末装置300の表示画面301aの一例を示す図である。洗濯乾燥機100の運転を終了すると、端末装置300の表示画面301aには、
図11に示すような内容が表示される。この画面には、乾燥状態を評価する操作部(例えばチェックボックス)である操作部371a~371eと、しわの状態を評価する操作部(例えばチェックボックス)である操作部372a~372eが表示される。ユーザUは、衣類の乾燥状態及びしわの状態などに基づき、操作部371a~371eのなかから1つの操作部を選択して入力し、操作部372a~372cのなかから1つの操作部を選択して入力する。
【0126】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、情報処理システムは、衣類乾燥機の運転条件を示す運転条件情報と衣類乾燥機が上記運転条件で運転されたときの衣類の乾燥状態に関する運転結果とを対応付けた状態で蓄積する情報記録部と、情報記録部により蓄積された情報に基づき、衣類の乾燥状態が不適切になりやすい運転条件である特定運転条件を特定する条件特定部と、条件特定部により特定された特定運転条件で衣類乾燥機を運転する場合に関して、衣類乾燥機の乾燥制御の内容を補正する補正部とを有する。このような構成によれば、衣類が未乾燥状態になることを抑制することができる。
【0127】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0128】
100…洗濯乾燥機(衣類乾燥機)、200,200a…機器管理サーバ、210…情報取得部、220,220a…評価取得部、230…情報記録部、240,240a…条件特定部、250…補正部、260…制御指令出力部。