IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ソフトバンクグループ株式会社の特許一覧

特開2024-68441センシングシステム、センシング方法及び移動式ロボット
<>
  • 特開-センシングシステム、センシング方法及び移動式ロボット 図1
  • 特開-センシングシステム、センシング方法及び移動式ロボット 図2
  • 特開-センシングシステム、センシング方法及び移動式ロボット 図3
  • 特開-センシングシステム、センシング方法及び移動式ロボット 図4
  • 特開-センシングシステム、センシング方法及び移動式ロボット 図5
  • 特開-センシングシステム、センシング方法及び移動式ロボット 図6
  • 特開-センシングシステム、センシング方法及び移動式ロボット 図7
  • 特開-センシングシステム、センシング方法及び移動式ロボット 図8
  • 特開-センシングシステム、センシング方法及び移動式ロボット 図9
  • 特開-センシングシステム、センシング方法及び移動式ロボット 図10
  • 特開-センシングシステム、センシング方法及び移動式ロボット 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068441
(43)【公開日】2024-05-20
(54)【発明の名称】センシングシステム、センシング方法及び移動式ロボット
(51)【国際特許分類】
   B25J 13/08 20060101AFI20240513BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20240513BHJP
   B25J 5/00 20060101ALN20240513BHJP
【FI】
B25J13/08 A
G06T7/00 350B
B25J5/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178895
(22)【出願日】2022-11-08
(71)【出願人】
【識別番号】591280485
【氏名又は名称】ソフトバンクグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(72)【発明者】
【氏名】孫 正義
【テーマコード(参考)】
3C707
5L096
【Fターム(参考)】
3C707BS27
3C707CS09
3C707HS27
3C707JU03
3C707KS04
3C707KS11
3C707KS36
3C707KS39
3C707KT02
3C707KT05
3C707KT06
3C707KT11
3C707KT16
3C707LW12
3C707WA13
5L096AA02
5L096AA06
5L096BA05
5L096CA04
5L096CA05
5L096FA64
5L096FA67
5L096FA69
5L096HA11
5L096KA04
(57)【要約】
【課題】作業員の所定動作を充分にセンシングすることができない。
【解決手段】本発明に係るセンシングシステムは、センシング対象の所定動作をセンシングするための第1センサと、前記第1センサと異なる位置から前記センシング対象の所定動作をセンシングするための第2センサと、前記第1センサと、第1移動機構とを備える第1移動式ロボットと、前記第1センサ、前記第2センサ及び前記第1移動機構と通信可能な管理制御装置と、を備え、前記管理制御装置は、前記第1センサにより取得される第1情報及び前記第2センサにより取得される第2情報から、前記センシング対象が所定動作時に可動する所定部位がセンシングされるか否かを判定する判定部と、前記判定部により前記所定部位がセンシングされていないと判定された場合、前記所定部位がセンシングされる様に前記第1移動機構を作動させる制御部と、を有する、ことを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センシング対象の所定動作をセンシングするための第1センサと、
前記第1センサと異なる位置から前記センシング対象の所定動作をセンシングするための第2センサと、
前記第1センサと、第1移動機構とを備える第1移動式ロボットと、
前記第1センサ、前記第2センサ及び前記第1移動機構と通信可能な管理制御装置と、を備え、
前記管理制御装置は、
前記第1センサにより取得される第1情報及び前記第2センサにより取得される第2情報から、前記センシング対象が所定動作時に可動する所定部位がセンシングされるか否かを判定する判定部と、
前記判定部により前記所定部位がセンシングされていないと判定された場合、前記所定部位がセンシングされる様に前記第1移動機構を作動させる制御部と、を有する、
ことを特徴とするセンシングシステム。
【請求項2】
前記第2センサは、第2移動機構を備える第2移動式ロボットに配置され、
前記制御部は、前記判定部により前記所定部位がセンシングされていないと判定された場合、前記所定部位がセンシングされる様に前記第1移動機構及び前記第2移動機構を作動させる、
請求項1に記載のセンシングシステム。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1センサが前記所定部位の一部をセンシングするように前記第1移動機構を作動させ、且つ、前記第2センサが前記所定部位の他部をセンシングするように前記第2移動機構を作動させる、請求項2に記載のセンシングシステム。
【請求項4】
作業ロボットをさらに備え、
前記管理制御装置は、
前記第1情報、及び、前記第2情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記第1情報及び前記第2情報を参照して前記所定動作を学習する学習部と、
前記学習部による学習結果を参照して、前記作業ロボットに動作指示を与える動作情報を生成する動作情報生成部と、をさらに有する、
請求項1~3の何れか一項に記載のセンシングシステム。
【請求項5】
前記記憶部は、予め、前記センシング対象の作業マニュアル情報、又は、工程表情報を記憶し、
前記動作情報生成部は、前記学習部による学習結果、及び、前記センシング対象の作業マニュアル情報又は工程表情報を参照して、前記作業ロボットに動作指示を与える動作情報を生成する、請求項4に記載のセンシングシステム。
【請求項6】
センシング対象の所定動作をセンシングするための第1センサと、
前記第1センサと異なる位置から前記センシング対象の所定動作をセンシングするための第2センサと、
前記第1センサと、第1移動機構とを備える第1移動式ロボットと、
前記第1センサ、前記第2センサ及び前記第1移動機構と通信可能な管理制御装置と、を備え、
前記管理制御装置は、
前記第1センサにより取得される第1情報及び前記第2センサにより取得される第2情報から、前記センシング対象が所定動作時に可動する所定部位がセンシングされるか否かを判定し、
前記判定部により前記所定部位がセンシングされていないと判定された場合、前記所定部位がセンシングされる様に前記第1移動機構を作動させる、
ことを特徴とするセンシング方法。
【請求項7】
センシング対象の所定動作をセンシングするための第1センサと、
前記第1センサと異なる位置から前記センシング対象の所定動作をセンシングするための第2センサと、
前記第1センサと、第1移動機構とを備える第1移動式ロボットと、
前記第1センサ、前記第2センサ及び前記第1移動機構と通信可能な管理制御装置と、を備え、
前記管理制御装置は、
前記第1センサにより取得される第1情報及び前記第2センサにより取得される第2情報から、前記センシング対象が所定動作時に可動する所定部位がセンシングされるか否かを判定し、かつ前記第1センサによりセンシングされる所定部位と前記第2センサによりセンシングされる所定部位とが同一であるか否かを判定する判定部と、
前記第1センサによりセンシングされる所定部位と前記第2センサによりセンシングされる所定部位とが同一であると判定された場合、前記第1センサによりセンシングされる所定部位と前記第2センサによりセンシングされる所定部位とが異なる様に前記第1移動機構を作動させる制御部と、を有する、
ことを特徴とするセンシングシステム。
【請求項8】
移動式ロボットであって、
移動機構と、
センシング対象をセンシングする第1センサと、
前記第1センサと異なる位置から前記センシング対象をセンシングする第2センサと、
前記第2センサの位置を移動させることが可能な駆動機構と、
前記第1センサ、前記第2センサ、前記移動機構、及び、前記駆動機構を制御する情報処理部と、を備え、
前記情報処理部は、
前記第1センサにより取得される第1情報及び前記第2センサにより取得される第2情報から、前記センシング対象が所定動作時に可動する所定部位がセンシングされるか否かを判定する判定部と、
前記判定部により前記所定部位がセンシングされていないと判定された場合、前記所定部位がセンシングされる様に前記移動機構又は前記駆動機構を作動させる制御部と、を有する、
ことを特徴とする移動式ロボット。
【請求項9】
移動式ロボットであって、
移動機構と、
センシング対象をセンシングする第1センサと、
前記第1センサと異なる位置から前記センシング対象をセンシングする第2センサと、
前記第2センサの位置を移動させることが可能な駆動機構と、
前記第1センサ、前記第2センサ、前記移動機構、及び、前記駆動機構を制御する情報処理部と、を備え、
前記情報処理部は、
前記第1センサにより取得される第1情報及び前記第2センサにより取得される第2情報から、前記センシング対象が所定動作時に可動する所定部位がセンシングされるか否かを判定し、かつ前記第1センサによりセンシングされる所定部位と前記第2センサによりセンシングされる所定部位とが同一であるか否かを判定する判定部と、
前記第1センサによりセンシングされる所定部位と前記第2センサによりセンシングされる所定部位とが同一であると判定された場合、前記第1センサによりセンシングされる所定部位と前記第2センサによりセンシングされる所定部位とが異なる様に前記移動機構又は前記駆動機構を作動させる制御部と、を有する、
ことを特徴とする移動式ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センシングシステム、センシング方法及び移動式ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば工場でのライン作業など、人による作業を作業ロボットに行わせる技術が検討されている。人による作業を作業ロボットに行わせるには、その前提として、人による作業をセンサで検知(センシング)し、その動作を把握する必要がある。例えば、特許文献1には、セルカメラ30から作業場画像Ic、天井カメラ80から全体画像Iaを各々生成し、画像解析をする作業推定装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-113042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
作業員の作業には、例えば移動を伴ったり、大きな動作が伴ったりする場合もある。特許文献1の作業推定装置では、各センサ(カメラ)は固定的に配置されるため、作業員とセンサ位置との関係によっては作業員の作業(所定動作)を充分にセンシングできない場合もある。
【0005】
そこで、本発明は、作業員の所定動作を充分にセンシングすることができるセンシングシステム、センシング方法及び移動式ロボットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るセンシングシステムは、センシング対象の所定動作をセンシングするための第1センサと、前記第1センサと異なる位置から前記センシング対象の所定動作をセンシングするための第2センサと、前記第1センサと、第1移動機構とを備える第1移動式ロボットと、前記第1センサ、前記第2センサ及び前記第1移動機構と通信可能な管理制御装置と、を備え、前記管理制御装置は、前記第1センサにより取得される第1情報及び前記第2センサにより取得される第2情報から、前記センシング対象が所定動作時に可動する所定部位がセンシングされるか否かを判定する判定部と、前記判定部により前記所定部位がセンシングされていないと判定された場合、前記所定部位がセンシングされる様に前記第1移動機構を作動させる制御部と、を有する、ことを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係るセンシング方法は、センシング対象の所定動作をセンシングするための第1センサと、前記第1センサと異なる位置から前記センシング対象の所定動作をセンシングするための第2センサと、前記第1センサと、第1移動機構とを備える第1移動式ロボットと、前記第1センサ、前記第2センサ及び前記第1移動機構と通信可能な管理制御装置と、を備え、前記管理制御装置は、前記第1センサにより取得される第1情報及び前記第2センサにより取得される第2情報から、前記センシング対象が所定動作時に可動する所定部位がセンシングされるか否かを判定し、前記判定部により前記所定部位がセンシングされていないと判定された場合、前記所定部位がセンシングされる様に前記第1移動機構を作動させる、ことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係るセンシングシステムは、センシング対象の所定動作をセンシングするための第1センサと、前記第1センサと異なる位置から前記センシング対象の所定動作をセンシングするための第2センサと、前記第1センサと、第1移動機構とを備える第1移動式ロボットと、前記第1センサ、前記第2センサ及び前記第1移動機構と通信可能な管理制御装置と、を備え、前記管理制御装置は、前記第1センサにより取得される第1情報及び前記第2センサにより取得される第2情報から、前記センシング対象が所定動作時に可動する所定部位がセンシングされるか否かを判定し、かつ前記第1センサによりセンシングされる所定部位と前記第2センサによりセンシングされる所定部位とが同一であるか否かを判定する判定部と、前記第1センサによりセンシングされる所定部位と前記第2センサによりセンシングされる所定部位とが同一であると判定された場合、前記第1センサによりセンシングされる所定部位と前記第2センサによりセンシングされる所定部位とが異なる様に前記第1移動機構を作動させる制御部と、を有する、ことを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る移動式ロボットは、移動機構と、センシング対象をセンシングする第1センサと、前記第1センサと異なる位置から前記センシング対象をセンシングする第2センサと、前記第2センサの位置を移動させることが可能な駆動機構と、前記第1センサ、前記第2センサ、前記移動機構、及び、前記駆動機構を制御する情報処理部と、を備え、前記情報処理部は、前記第1センサにより取得される第1情報及び前記第2センサにより取得される第2情報から、前記センシング対象が所定動作時に可動する所定部位がセンシングされるか否かを判定する判定部と、前記判定部により前記所定部位がセンシングされていないと判定された場合、前記所定部位がセンシングされる様に前記移動機構又は前記駆動機構を作動させる制御部と、を有する、ことを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る移動式ロボットは、移動機構と、センシング対象をセンシングする第1センサと、前記第1センサと異なる位置から前記センシング対象をセンシングする第2センサと、前記第2センサの位置を移動させることが可能な駆動機構と、前記第1センサ、前記第2センサ、前記移動機構、及び、前記駆動機構を制御する情報処理部と、を備え、前記情報処理部は、前記第1センサにより取得される第1情報及び前記第2センサにより取得される第2情報から、前記センシング対象が所定動作時に可動する所定部位がセンシングされるか否かを判定し、かつ前記第1センサによりセンシングされる所定部位と前記第2センサによりセンシングされる所定部位とが同一であるか否かを判定する判定部と、前記第1センサによりセンシングされる所定部位と前記第2センサによりセンシングされる所定部位とが同一であると判定された場合、前記第1センサによりセンシングされる所定部位と前記第2センサによりセンシングされる所定部位とが異なる様に前記移動機構又は前記駆動機構を作動させる制御部と、を有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、作業員の所定動作を充分にセンシングすることができるセンシングシステム、センシング方法及び移動式ロボットが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】(a)本発明に係る実施形態1のセンシングシステムでの、システム構成の一例、及び(b)(a)に示す移動式ロボットの一例を示す図である。
図2】本発明に係る実施形態1のセンシングシステムでの、移動式ロボットが移動した際の一例を示す図である。
図3】本発明に係る実施形態1のセンシングシステムでの、構成及び機能の一例を示すブロック図である。
図4】本発明に係る実施形態1のセンシングシステムでの、管理制御装置の機能の一例を示すブロック図である。
図5】本発明に係る実施形態1のセンシングシステムの処理を示すフローチャートの一例である。
図6図5のステップS103で示される所定部位センシング判定処理の、より詳細な処理を示すフローチャートの一例である。
図7図5のステップS104で示される動作情報生成処理の、より詳細な処理を示すフローチャートの一例である。
図8】(a)本発明に係る実施形態1の変形例1に係るセンシングシステムでの、システム構成の一例、及び(b)(a)に示す移動式ロボットの一例を示す図である。
図9】本発明に係る実施形態1の変形例1に係るセンシングシステムでの、移動式ロボットの機能の一例を示すブロック図である。
図10】(a)本発明に係る実施形態1の変形例2に係るセンシングシステムでの、システム構成の一例、及び(b)(a)に示すセンサ取付部材の一例を示す図である。
図11】本発明に係る実施形態1の変形例2に係るセンシングシステムでの、構成及び機能の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、センシングシステム、センシング方法及び移動式ロボットについて説明する。ただし、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態には限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0014】
(実施形態1)
図1は、センシングシステムを説明するための図である。
【0015】
図1(a)は、本発明に係る実施形態1のセンシングシステムでの、システム構成の一例を示す図である。センシングシステムでは、移動式ロボットとして機能する第1人型ロボット20a及び第2人型ロボット20bを備える。なお、人型ロボットの数は2台に限定されない。
【0016】
各人型ロボット20a、20bは、後述する管理制御装置60(図3参照)からの指示を受け、又は各人型ロボット20a、20bに設けられた各情報処理装置25a、25b(図3参照)からの指示により、作業場200の作業ライン201で作業する作業員400の付近に移動する。そして、センシングシステムは、第1人型ロボット20aに備えられた第1センサ23a(第1撮像装置24a)及び第2人型ロボット20bに備えられた第2センサ23b(第2撮像装置24b)により、作業員400の所定動作をセンシングする。第2センサ23b(第2撮像装置24b)は、第1センサ23a(第1撮像装置24a)と異なる位置から作業員400の所定動作をセンシングする。
【0017】
図1(b)は、(a)に示す移動式ロボットの一例を示す図である。移動式ロボットとして機能する人型ロボット20は、ロボット本体21と、ロボット移動機構22と、ロボット用センサ23と、ロボット用センサ23に含まれるロボット用撮像装置24と、情報処理装置25と、ロボット腕部26と、を備える。
【0018】
人型ロボット20は、ロボット本体21の下方に設けられたロボット移動機構22により移動することが可能であり、例えば管理制御装置60といった人型ロボット20の外部から指示を受けて、あるいは情報処理装置25に記憶されたプログラムを参照して、作業場200の作業ライン201付近に移動する。
【0019】
ロボット本体21は、ロボット胴体211と、ロボット頭部212とを備える。ロボット胴体211とロボット頭部212とは、第1駆動機構を構成し、ロボット用センサ23(ロボット用撮像装置24)のセンシング領域230(撮像領域240)を変更することが可能である。駆動機構の構成は特に限定されず、例えば図示しないサーボモータにより、ロボット頭部212がロボット胴体211に対して所定角度回転したり、ロボット胴体211がロボット移動機構22に対して所定角度回転したりする構成であってもよい。
【0020】
ロボット胴体211の下方にはロボット移動機構22、ロボット胴体211の側方にはロボット腕部26、ロボット頭部212にはロボット用センサ23がそれぞれ設けられている。また、ロボット本体21の内部には、情報処理装置25が設けられている。
【0021】
ロボット移動機構22は、任意の構成でよく、例えばモーターで駆動する回転体を設けたものでもよいし、脚部として人の脚に形状を似せた構成であってもよい。一例として、ロボット移動機構22を人の脚の形状に似せた構成にする場合、人の関節に相当する箇所にサーボモータを設けて、所定角度回転させることで移動機構を構成する。
【0022】
ロボット用センサ23は、好ましくはロボット頭部212に設けられ、作業員400をセンシングする。また、ロボット用センサ23は、人型ロボット20の周辺にある、人型ロボット20が作業する物体とロボット腕部26との距離及び角度を少なくとも表す情報を逐次取得する。ロボット用センサ23の一例としては、最高性能のカメラ、サーモカメラ、高画素・望遠・超広角・360度・高性能カメラ、レーダー、ソリッドステートLiDAR、LiDAR、マルチカラーレーザ同軸変位計、ビジョン認識、又はその他様々なセンサ群が採用され得る。これらは、ロボット用撮像装置24の一例でもある。また他には、ロボット用センサ23の他の一例としては、振動計、硬度計、微小振動計、超音波測定器、振動測定器、赤外線測定器、紫外線測定器、電磁波測定器、温度計、湿度計、スポットAI天気予報、高精度マルチチャネルGPS、低高度衛星情報、又はロングテールインシデントAI data等が挙げられる。
【0023】
ロボット用センサ23から取得するセンサ情報の一例としては、画像、距離、振動、熱、匂い、色、音、超音波、電波、紫外線、赤外線、湿度等が挙げられ、好ましくはロボット用撮像装置24により、画像、距離の情報が取得される。ロボット用センサ23(ロボット用撮像装置24)は、これらのセンシングを、一例としてナノ秒毎に実施する。センサ情報は、例えば、作業員400の動作のモーションキャプチャ、作業場200の3Dマップ、作業場200における作業員400の移動や動作のナビゲーション、コーナリング、スピード等の分析に用いられる。
【0024】
ロボット腕部26は、右腕部261と左腕部262とを備える。また、右腕部261は、右把持支持部263及び右把持部265を、左腕部262は、左把持支持部264及び左把持部266を、それぞれ備える。右把持支持部263は右把持部265を、左把持支持部264は左把持部266を、それぞれ支持するための機構であり、一例としては人の腕に形状を似せたものであってもよい。把持部265、266は、例えば作業用の部品等を把持するための機構であり、一例としては人の手の形状に似せたものであってもよい。
【0025】
ロボット腕部26は、第2駆動機構を構成する。駆動機構の構成は特に限定されず、例えば、ロボット腕部26を人の形状に似せる場合、サーボモータを、人の肩に相当する箇所、肘に相当する箇所、手首に相当する箇所、指関節に相当する箇所等の各関節箇所に設け、所定角度回転させる構成を採用してもよい。
【0026】
なお、人型ロボット20は、例えばロボット胴体部211にセンサをさらに設けてもよい(図8(b)参照)。この場合、当該センサは、ロボット頭部212に設けられたロボット用センサ23とは、その高さ位置が異なる。高さ位置が異なることで、センサは作業員400の動作を異なる角度からセンシングすることができる。
【0027】
図1(a)に戻り、ロボット用センサ(ロボット用撮像装置)である第1センサ23a(第1撮像装置24a)及び第2センサ23b(第2撮像装置24b)が作業員400の動作をセンシングする場合、センシングシステムは、第2センサ23b(第2撮像装置24b)が、第1センサ23a(第1撮像装置24a)と異なる位置から作業員400の所定動作をセンシングするよう、かつ、各センサのセンシング領域230a、230b(撮像領域240a、240b)がそれぞれ作業員400の異なる所定部位をセンシングするよう、各人型ロボット20a、20bの移動機構や駆動機構を作動させる。ただし、各センサのセンシング領域230a、230b(撮像領域240a、240b)は、その領域全てが異なる必要はなく、一部分でも所定部位が異なるように設定されればよい。所定部位としては、例えば作業員の首、腕、手首等が挙げられる。また、各センサによる所定部位の認識については、既知の画像認識技術を用いてもよいし、学習部663(図4参照)による学習により所定部位を認識してもよい。
【0028】
本実施形態では、第1人型ロボット20aに設けられた第1センサ23a(第1撮像装置24a)のセンシング領域230a(撮像領域240a)が作業員400の左腕を、第2人型ロボット20bに設けられた第2センサ23b(第2撮像装置24b)のセンシング領域230b(撮像領域240b)が作業員400の右腕を、それぞれセンシングするよう、各人型ロボットの移動機構22や駆動機構が作動する。
【0029】
各センサによるセンシングが行われる間、センシングシステムは、第1センサ23a(第1撮像装置24a)により取得される第1情報及び第2センサ23b(第2撮像装置24b)により取得される第2情報から、作業員400が所定動作時に可動する所定部位がセンシングされるか否かを判定する。所定動作は多岐にわたり、例えば部品の組付けや部品の移動、製品の塗装、作業員自身の移動等が挙げられる。
【0030】
作業員400が所定動作時に可動する所定部位が、センシングされていないと判定された場合、センシングシステムは、所定部位がセンシングされる様に、第1人型ロボット20aの第1移動機構22a(図3参照)及び/又は第2人型ロボット20bの第2移動機構22b(図3参照)を作動させる。
【0031】
図2は、本実施形態のセンシングシステムでの、移動式ロボットが移動した際の一例を示す図である。
【0032】
図2に示すように、作業員400が所定動作を行うことで、例えば作業員400の背中側から見た際に、作業員400の左腕が背中に隠れてしまうといったことが生じ得る。そこで、作業員400が所定動作時に可動する所定部位がセンシングされるか否かが判定され、所定部位がセンシングされていないと判定された場合に、センシングシステムは、所定部位がセンシングされる様に第1人型ロボット20aの第1移動機構22aを作動させる。これにより、第1人型ロボット20aは第1センサ23a(第1撮像装置24a)のセンシングしやすい位置に移動することができ、第1センサ23a(第1撮像装置24a)は所定部位(本実施形態では左腕)を充分にセンシングすることが可能となる。なお、図2では、作業員400の所定動作に伴い右腕の位置も異なっていることから、右腕をセンシングしていた第2人型ロボット20b(第2センサ23b(第2撮像装置24b))の第2移動機構22bも作動させている。
【0033】
第1情報及び第2情報は記憶されるところ、センシングシステムは、記憶された第1情報及び第2情報に基づき作業員の所定動作を学習する。この学習は、例えば、学習済みモデルを自動的に作成したり、学習済みモデルを使用して判定/解析を自動的に行ったりする学習である自動学習により行われる。
【0034】
センシングシステムは、学習結果、並びに、作業員400の作業マニュアル情報及び/又は工程表情報を参照して、作業員400の作業を行う作業ロボットに動作指示を与える動作情報を生成する。これにより、人による作業を作業ロボットに行わせることが可能となる。なお、作業マニュアル情報には、例えば各作業項目の名称及び内容、作業項目の順序、各作業項目に要する標準的な作業時間の情報等が含まれる。また、工程表情報には、例えば作業全体の作業時間や開始時刻/終了時刻を示す情報、各作業項目の作業時間や開始時刻/終了時刻を示す情報、各作業項目の作業員を示す情報等が含まれる。
【0035】
図3は、本実施形態のセンシングシステム100での、構成及び機能の一例を示すブロック図である。
【0036】
センシングシステム100は、第1人型ロボット20aと、第2人型ロボット20bと、管理制御装置60と、を含んで構成されている。第1人型ロボット20a及び第2人型ロボット20bは、管理制御装置60の通信部64と、各々無線又は有線通信を介して接続され、管理制御装置60からの指示を受けると共に、各センサにより取得される情報を送信する。また、第1人型ロボット20aと第2人型ロボット20b同士も、無線又は有線通信を介して接続され、各センサにより取得される情報や指示を送受信してもよい。
【0037】
第1人型ロボット20aは、第1移動機構22aと、ロボット用センサである第1センサ23aと、第1センサ23aに含まれるロボット用撮像装置である第1撮像装置24aと、第1情報処理装置25aと、第1駆動機構と、第2駆動機構と、を備える。また、第2人型ロボット20bも、第2移動機構22bと、ロボット用センサである第2センサ23bと、第2センサ23に含まれるロボット用撮像装置である第2撮像装置24bと、第2情報処理装置25bと、2つの駆動機構と、を備える。本実施形態では、第1人型ロボット20aと第2人型ロボット20bとは、それら構成が同一である。
【0038】
本実施形態による第1情報処理装置25aは、CPU(Central Processing Unit)1212、RAM(Random Access Memory)1214、及びグラフィックコントローラ1216を含み、それらはホストコントローラ1210によって相互に接続されている。第1情報処理装置25aはまた、通信インタフェース1222、記憶装置1224、DVDドライブ、及びICカードドライブのような入出力ユニットを含み、それらは入出力コントローラ1220を介してホストコントローラ1210に接続されている。DVDドライブは、DVD-ROMドライブ及びDVD-RAMドライブ等であってよい。記憶装置1224は、ハードディスクドライブ及びソリッドステートドライブ等であってよい。第1情報処理装置25aはまた、ROM(Read Only Memory)1230及びキーボードのような入出力ユニットを含み、それらは入出力チップ1240を介して入出力コントローラ1220に接続されている。
【0039】
CPU1212は、ROM1230及びRAM1214内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ1216は、RAM1214内に提供されるフレームバッファ等又はそれ自体の中に、CPU1212によって生成されるイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス1218上に表示されるようにする。
【0040】
通信インタフェース1222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。記憶装置1224は、第1情報処理装置25a内のCPU1212によって使用されるプログラム及びデータを格納する。また、記憶装置1224は、第1情報及び第2情報を記憶してもよい。DVDドライブは、プログラム又はデータをDVD-ROM等から読み取り、記憶装置1224に提供する。ICカードドライブは、プログラム及びデータをICカードから読み取り、及び/又はプログラム及びデータをICカードに書き込む。
【0041】
ROM1230はその中に、アクティブ化時に第1情報処理装置25aによって実行されるブートプログラム等、及び/又は第1情報処理装置25aのハードウェアに依存するプログラムを格納する。入出力チップ1240はまた、様々な入出力ユニットをUSBポート、パラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入出力コントローラ1220に接続してよい。
【0042】
プログラムは、DVD-ROM又はICカードのようなコンピュータ可読記憶媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読記憶媒体から読み取られ、コンピュータ可読記憶媒体の例でもある記憶装置1224、RAM1214、又はROM1230にインストールされ、CPU1212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、第1情報処理装置25aに読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置又は方法が、第1情報処理装置25aの使用に従い情報のオペレーション又は処理を実現することによって構成されてよい。
【0043】
例えば、通信が第1情報処理装置25a及び外部デバイス間で実行される場合、CPU1212は、RAM1214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インタフェース1222に対し、通信処理を命令してよい。通信インタフェース1222は、CPU1212の制御の下、RAM1214、記憶装置1224、DVD-ROM、又はICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、又はネットワークから受信した受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ領域等に書き込む。
【0044】
また、CPU1212は、記憶装置1224、DVDドライブ(DVD-ROM)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイル又はデータベースの全部又は必要な部分がRAM1214に読み取られるようにし、RAM1214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU1212は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックしてよい。
【0045】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、及びデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理を受けてよい。CPU1212は、RAM1214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプのオペレーション、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM1214に対しライトバックする。また、CPU1212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。
【0046】
上で説明したプログラム又はソフトウエアモジュールは、第1情報処理装置25a上又は第1情報処理装置25a近傍のコンピュータ可読記憶媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワーク又はインターネットに接続されたサーバシステム内に提供されるハードディスク又はRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読記憶媒体として使用可能であり、それによりプログラムを、ネットワークを介して第1情報処理装置25aに提供する。
【0047】
本実施形態におけるフローチャート及び図におけるブロックは、オペレーションが実行されるプロセスの段階又はオペレーションを実行する役割を持つ装置の「部」を表してよい。特定の段階及び「部」が、専用回路、コンピュータ可読記憶媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプログラマブル回路、及び/又はコンピュータ可読記憶媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプロセッサによって実装されてよい。専用回路は、デジタル及び/又はアナログハードウェア回路を含んでよく、集積回路(IC)及び/又はディスクリート回路を含んでよい。プログラマブル回路は、例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、及びプログラマブルロジックアレイ(PLA)等のような、論理積、論理和、排他的論理和、否定論理積、否定論理和、及び他の論理演算、フリップフロップ、レジスタ、並びにメモリエレメントを含む、再構成可能なハードウェア回路を含んでよい。
【0048】
コンピュータ可読記憶媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよく、その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読記憶媒体は、フローチャート又はブロック図で指定されたオペレーションを実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。コンピュータ可読記憶媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(登録商標)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
【0049】
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、又はSmalltalk(登録商標)、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、及び「C」プログラミング言語又は同様のプログラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語を含む、1又は複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコード又はオブジェクトコードのいずれかを含んでよい。
【0050】
コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ、又はプログラマブル回路が、フローチャート又はブロック図で指定されたオペレーションを実行するための手段を生成するために当該コンピュータ可読命令を実行すべく、ローカルに又はローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ、又はプログラマブル回路に提供されてよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
【0051】
ここまで説明してきた内容は、第2情報処理装置25bについても同様である。
【0052】
管理制御装置60は、センシングシステム100を実現するため、人型ロボット20a、20bに対して指示を与える制御装置である。また、管理制御装置60は、記憶装置1224に蓄積されたセンサ情報(第1情報及び第2情報)を取得する。
【0053】
管理制御装置60は、CPU60A、RAM60B、ROM60C、入出力部(I/O)60D、及びこれらを接続するデータバスやコントロールバス等のバス60E、並びに通信部68で構成されている。I/O60Dには、記憶媒体62が接続されている。
【0054】
また、I/O60Dには、人型ロボット20の制御系との間でセンサ情報や作業マニュアル情報、工程表情報等を送受信する通信部64が接続されている。
【0055】
図4は、本実施形態のセンシングシステムでの、管理制御装置60の機能の一例を示すブロック図である。
【0056】
管理制御装置60は、記憶媒体62と、通信部64と、処理部66とを備える。
【0057】
記憶媒体62は、例えば、半導体記憶装置、磁気テープ装置、磁気ディスク装置、又は光ディスク装置のうちの少なくとも一つを備える。記憶媒体62は、処理部66での処理に用いられるドライバプログラム、オペレーティングシステムプログラム、アプリケーションプログラム、データ等を記憶する。例えば、記憶媒体62は、第1情報及び第2情報を記憶する。また、記憶媒体62は、作業員400の作業マニュアル情報及び/又は工程表情報を記憶する。
【0058】
通信部64は、Wi-Fi(登録商標)等の無線の通信インタフェース回路及び/又はイーサネット(登録商標)等の有線の通信インタフェース回路を有する。通信部64は、人型ロボット20a、20bと、インタフェース回路を通じて各種情報を送受信する。
【0059】
処理部66は、一又は複数個のプロセッサ及びその周辺回路を有する。処理部66は、センシングシステム100の全体的な動作を統括的に制御するものであり、例えば、CPUである。処理部66は、記憶媒体62に記憶されているプログラム(ドライバプログラム、オペレーティングシステムプログラム、アプリケーションプログラム等)を参照して処理を実行する。また、処理部66は、複数のプログラム(アプリケーションプログラム等)を並列に実行することができる。
【0060】
処理部66は、判定部661と、制御部662と、学習部663と、動作情報生成部664と、を備える。これらの各部は、処理部60が備えるプロセッサで実行されるプログラムにより実現される機能モジュールである。あるいは、これらの各部は、ファームウェアとして処理部66に実装されてもよい。
【0061】
判定部661は、第1情報及び第2情報から、作業員400が所定動作時に可動する所定部位がセンシングされるか否かを判定する。また、判定部661は、第1センサ23a(第1撮像装置24a)によりセンシングされる所定部位と第2センサ23b(第2撮像装置24b)によりセンシングされる所定部位とが同一であるか否かを判定する。
【0062】
制御部662は、判定部661により作業員400の所定部位がセンシングされていないと判定された場合に、所定部位がセンシングされる様に、人型ロボット20aの第1移動機構22a及び/又は人型ロボット20bの第2移動機構22bを作動させる。また、制御部662は、第1センサ23a(第1撮像装置24a)によりセンシングされる所定部位と第2センサ23b(第2撮像装置24b)によりセンシングされる所定部位とが同一であると判定された場合に、第1センサ23a(第1撮像装置24a)によりセンシングされる所定部位と第2センサ23b(第2撮像装置24b)によりセンシングされる所定部位とが異なる様に、人型ロボット20aの第1移動機構22a及び/又は人型ロボット20bの第2移動機構22bを作動させる。
【0063】
学習部663は、記憶媒体62及び/又は記憶装置1224に記憶された第1情報及び第2情報を参照して作業員400の所定動作を学習する。
【0064】
動作情報生成部664は、学習部663による学習結果を参照して、作業ロボットとして機能する人型ロボット20に動作指示を与える動作情報を生成する。なお、動作情報生成部664は、動作情報を生成する際、作業マニュアル情報及び/又は工程表情報を参照してもよい。
【0065】
(本発明に係る実施形態1のセンシングシステムの処理)
図5は、本実施形態のセンシングシステムの処理を示すフローチャートの一例である。
【0066】
まず、管理制御装置60の指示により、あるいは記憶媒体62又は記憶装置1224に記憶されたプログラムの読み出し指示により、情報処理装置25は、移動式ロボットとして機能する複数台(本実施形態では2台)の人型ロボット20を作業場200に移動するよう指示する(ステップS101)。移動は、各人型ロボット20のロボット移動機構22の作動による。
【0067】
移動に際しては、複数台のロボット用センサ23(ロボット用撮像装置24)の各センシング領域230(撮像領域240)が、それぞれ異なる向きから作業員400をセンシングするよう、指示が与えられる。このような複数台の人型ロボット20の配置は、例えば予め作業場200のフロア図面を記憶装置1224及び/又は記憶媒体62に記憶させ、各人型ロボット20の位置を、当該記憶されたフロア図面に対応付けることにより行われる。あるいは、人型ロボット20の配置は、機械学習を通じて最適化された位置に基づいてもよい。
【0068】
次に、複数のセンサ23a、23b(複数の撮像装置24a、24b)により、作業員400の作業ライン201での所定動作がセンシングされる(ステップS102)。本実施形態では、制御部662は、第1センサ23a(第1撮像装置24a)のセンシング領域230a(撮像領域240a)が作業員400の左腕を、第2センサ23b(第2撮像装置24b)のセンシング領域230b(撮像領域240b)が作業員400の右腕を、それぞれセンシングするよう指示を与え、各人型ロボットの移動機構22や駆動機構が作動する。
【0069】
第1センサ23a(第1撮像装置24a)により取得される第1情報及び第2センサ23b(第2撮像装置24b)により取得される第2情報は、記憶装置1224及び/又は通信部64を介して記憶媒体62に記憶される。記憶装置1224及び記憶媒体62は、記憶部として機能する。
【0070】
第1情報及び第2情報が取得される際、作業員400の所定部位がセンシングされているか否かを判定される(ステップS103)。判定部661により所定部位がセンシングされていないと判定された場合、制御部662は、所定部位がセンシングされる様に第1移動機構22a及び/又は第2移動機構22bを作動させる。
【0071】
管理制御装置60は、記憶装置1224及び/又は記憶媒体62に蓄積された、言い換えると記憶された第1情報及び第2情報を参照して所定動作を学習し、学習結果を参照して、作業ロボットとして機能する人型ロボット20に動作指示を与える動作情報を生成する(ステップS104)。
【0072】
図6は、図5のステップS103で示される所定部位センシング判定処理の、より詳細な処理を示すフローチャートの一例である。
【0073】
第1情報及び第2情報が取得されると(ステップS201)、判定部661は、第1情報及び第2情報から、作業員400が所定動作時に可動する所定部位がセンシングされているか否かを判定する(ステップS202、S203)。一例として、第1センサ23a(第1撮像装置24a)は作業員400の左腕を、第2センサ23b(第2撮像装置24b)は作業員400の右腕をセンシングするよう指示を受けているところ、作業員400の所定動作時に左腕や右腕が背中に隠れるといった事態が発生する場合がある。そこで、判定部661は、第1情報及び第2情報を参照して、第1センサ23a(第1撮像装置24a)が所定部位としての左腕をセンシングしているか否かを判定する。
【0074】
センシングされていないと判定された場合(S203-NO)、制御部662は、所定部位がセンシングされる様に第1移動機構22a及び/又は第2移動機構22bを作動させる(ステップS206)。一例として、制御部662は、第1センサ23a(第1撮像装置24a)が作業員400の所定部位の一部である左腕をセンシングできる様、第1移動機構22aを作動させ、第1人型ロボット20aを移動させる。また、制御部662は、第2センサ23b(第2撮像装置24b)が作業員400の所定部位の他部である右腕をセンシングできる様、第2移動機構22bを作動させ、第2人型ロボット20bを移動させる。これにより、作業員400の所定動作や移動により所定部位がセンシングされないといった事態を回避することができ、充分なセンシングを行うことが可能となる。加えて、各センサはそれぞれ所定部位の一部と他部とをセンシングすることとなるので、作業員400の作業の学習に必要なデータ(情報)を効率よく取得することができる。
【0075】
他方、センシングされていると判定された場合(S203-YES)、判定部661は、第1センサ23a(第1撮像装置24a)によりセンシングされる所定部位と第2センサ23b(第2撮像装置24b)によりセンシングされる所定部位とが同一であるか否かを判定する(ステップS204、S205)。一例として、センシング開始時は、第1センサ23a(第1撮像装置24a)が作業員400の左腕を、第2センサ23b(第2撮像装置24b)が作業員400の右腕を、それぞれセンシングしていたが、作業員400の所定動作により、同じ所定部位(例えば背中)をセンシングしてしまっているといった事態が生じ得る。そこで、判定部661は、各センサがセンシングする所定部位が同一であるか否かを判定する。
【0076】
各センサがセンシングする所定部位が同一であると判定された場合(S205-YES)、制御部662は、第1センサ23a(第1撮像装置24a)によりセンシングされる所定部位と第2センサ23b(第2撮像装置24b)によりセンシングされる所定部位とが異なる様に第1移動機構22a及び/又は第2移動機構22bを作動させる(S206)。一例として、第1センサ23a(第1撮像装置24a)と第2センサ23b(第2撮像装置24b)とが共に作業員400の背中をセンシングしていた場合に、制御部662は、第1センサ23a(第1撮像装置24a)が作業員の左腕を、第2センサ23b(第2撮像装置24b)が作業員の右腕をセンシングするよう、第1移動機構22a及び第2移動機構22bを作動させる。これにより、複数のセンサが同一の所定部位をセンシングする事態を回避でき、効率よく作業の学習に必要なデータを取得することができる。
【0077】
図7は、図5のステップS104で示される動作情報生成処理の、より詳細な処理を示すフローチャートの一例である。
【0078】
第1情報及び第2情報は記憶装置1224及び/又は記憶媒体62に記憶される(ステップS301)ところ、学習部663は、記憶装置1224及び/又は記憶媒体62に記憶された第1情報及び第2情報を参照して、作業員400の動作を学習する(ステップS302)。学習においては、作業員400の動作のモーションキャプチャ、作業場200の3Dマップ、作業場200における作業員400の移動や動作のナビゲーション、コーナリング、スピード等の分析が行われ、自動学習により作業ロボットとしても機能可能な人型ロボット20の最適な動作が学習される。これにより、作業員400の所定動作を一度に多角的な面から分析することが可能となり、作業員400の動作分析やプログラミングに掛かる時間及びコストを削減することができる。
【0079】
その後、動作情報生成部664は、学習部663による学習結果を参照して(ステップS303)、作業ロボットとして機能する人型ロボット20に動作指示を与える動作情報を生成する(ステップS304)。動作情報生成部664は、動作情報生成の際には、センシング対象の作業マニュアル情報及び/又は工程表情報を参照してもよい(S303)。生成された動作情報を参照することにより、作業ロボットとして機能する人型ロボット20は、作業員400の作業(所定動作)を行うことが可能となる。
【0080】
(実施形態1に係るセンシングシステムの作用効果)
本実施形態に係るセンシングシステム100によれば、センシング対象である作業員400が所定動作時に可動する所定部位がセンシングされていない場合に、所定部位がセンシングされるように第1移動機構22aが作動するため、作業員400の所定動作により所定部位がセンシングされないといった事態を防ぐことができ、充分なセンシングを行うことが可能となる。
【0081】
また、本実施形態に係るセンシングシステム100によれば、移動式ロボットである人型ロボット20にセンサ23(撮像装置24)が備えられる一方、人型ロボット20は、予め記憶されたプログラムや機械学習結果だけでなく、センシング結果に応じて適切な位置に移動する。そのため、作業場200に固定的なセンサを配置する場合と比較して、センサの再配置やセンサ数を増加させるといった事態を生じさせることなく、充分なセンシング環境を整えることができる。
【0082】
また、本実施形態に係るセンシングシステム100によれば、複数(本実施形態では2台)の移動式ロボットのそれぞれに移動機構が備えられ、センシング対象である作業員400が所定動作時に可動する所定部位がセンシングされていない場合に、所定部位がセンシングされるように各移動機構が作動するため、複数の異なる角度から作業員400の所定動作をセンシングすることができる。
【0083】
また、本実施形態に係るセンシングシステム100によれば、複数(本実施形態では2つ)のセンサ23(撮像装置24)につき、その一つが作業員400の所定部位の一部をセンシングするように移動機構を作動させ、且つ、他のセンサ(撮像装置)が所定部位の他部をセンシングするように移動機構を作動させることから、作業員400の所定動作を、複数の異なる角度からかつ複数の所定部位をセンシングすることができることとなる。これにより、複数台の移動式ロボットが協働して移動しながらセンシングを行うことを可能とし、充分なセンシングを行うことができる。
【0084】
また、本実施形態に係るセンシングシステム100によれば、各センサにより取得されるセンサ情報(本実施形態では、第1情報及び第2情報)が記憶され、記憶されたセンサ情報を参照して作業員400の所定動作が学習され、かつ学習結果を参照して、作業ロボットとして機能する人型ロボットに動作指示を与える動作情報が生成されることから、充分なセンシング結果を反映した動作情報が生成されることとなる。これにより、作業員400の作業を行うことのできる作業ロボット(人型ロボット20)を効率よく作製することができる。
【0085】
また、本実施形態に係るセンシングシステム100によれば、動作情報生成の際に、作業マニュアル情報及び/又は工程表情報が参照された上で、動作情報が生成される。作業員400は、いつでも作業に忠実な動作をするとは限らず、場合によっては無駄な動作をしたり、あるいは必要な動作を省いたりすることもある。そこで、作業マニュアル情報と工程表情報とを参照することで、作業員400による不要ないしは不適切な所定動作が動作情報に反映されることを抑制することができる。
【0086】
(実施形態1の変形例1)
図8は、本実施形態の変形例1に係るセンシングシステムの一例を示す図である。
【0087】
図8(a)本発明に係る実施形態1の変形例1に係るセンシングシステムでの、システム構成の一例を示す図である。本センシングシステムでは、移動式ロボットとして機能する人型ロボット20cに、第2センサに相当する胴体センサ23d(胴体撮像装置24d)が設けられている点が特徴となっている。また、本センシングシステムでは、管理制御装置60は必ずしも必要ではなく、人型ロボット20c単体でセンシングシステムを構成することができる。
【0088】
図8(b)は、図8(a)に示す移動式ロボットの一例を示す図である。移動式ロボットとして機能する人型ロボット20cは、ロボット本体21cと、ロボット移動機構22cと、頭部センサ23cと、頭部センサ23cに含まれる頭部撮像装置24cと、胴体センサ23dと、胴体センサ23dに含まれる胴体撮像装置24dと、情報処理装置25cと、ロボット腕部と、を備える。
【0089】
ロボット本体21cは、ロボット胴体211と、ロボット頭部212とを備える。ロボット胴体211とロボット頭部212とは、第1駆動機構21c(図9参照)を構成し、頭部センサ23c(頭部撮像装置24c)のセンシング領域230c(撮像領域240c)及び胴体センサ23d(胴体撮像装置24d)のセンシング領域230d(撮像領域240d)を変更することが可能である。ロボット移動機構22cは、第1移動機構として機能する。
【0090】
頭部センサ23c(頭部撮像装置24c)は第1センサとして機能し、胴体センサ23d(胴体撮像装置24d)は第2センサとして機能する。頭部センサ23c(頭部撮像装置24c)と胴体センサ23d(胴体撮像装置24d)とは、高さ位置が異なる箇所に配置されることから、第2センサとして機能する胴体センサ23d(胴体撮像装置24d)は、頭部センサ23c(頭部撮像装置24c)と異なる位置からセンシング対象の所定動作をセンシングすることとなる。
【0091】
情報処理装置25cの構成は、第1人型ロボット20aの第1情報処理装置25aと同様である。ロボット腕部についても第1人型ロボット20aと同様である。
【0092】
図9は、本センシングシステムでの、移動式ロボットの機能の一例を示すブロック図である。センシングシステム100'では、情報処理装置25cは、情報処理部66cと、通信インタフェース1222cと、記憶装置1224cとを備え、情報処理部66cは、判定部661cと、制御部662cと、学習部663cと、動作情報生成部664cと、を備える。すなわち、センシングシステム100'では、情報処理部66cが管理制御装置60の処理部66と同様の処理を行う。なお、情報処理装置25cは、頭部センサ23c(頭部撮像装置24c)、胴体センサ23d(頭部撮像装置24d)、第1移動機構22c及び第1駆動機構21cと通信可能に構成されている。
【0093】
センシングシステム100'の人型ロボット20cは、情報処理装置25cに情報処理部66cが備えられていることから、人型ロボット20c単体でセンシングシステムを構成する。
【0094】
図8を参照して、例えば人型ロボット20cの制御部662cは、第1センサとして機能する頭部センサ23c(頭部撮像装置24c)が作業員400の左腕を、第2センサとして機能する胴体センサ23d(胴体撮像装置24d)が作業員400の右腕をそれぞれセンシングするよう指示する。そして、各センサで取得されるセンサ情報(第1情報及び第2情報)から、作業員400が所定動作時に可動する所定部位がセンシングされるか否かが判定部661cにより判定され、所定部位がセンシングされていないと判定された場合、制御部662cは、所定部位がセンシングされる様に第1移動機構22c及び/又は第1駆動機構21cを作動させる。
【0095】
また、判定部661cは、頭部センサ23c(頭部撮像装置24c)によりセンシングされる所定部位と胴体センサ23d(胴体撮像装置24d)によりセンシングされる所定部位とが同一であるか否かを判定し、制御部662cは、各センサ(撮像装置)によりセンシングされる所定部位が同一であると判定された場合に、各センサ(撮像装置)によりセンシングされる所定部位が異なる様に、第1移動機構22c及び/又は第1駆動機構21cを作動させる。
【0096】
(変形例1の作用効果)
本センシングシステムによれば、人型ロボット20cは単独でセンシングシステムを構成することができることから、例えば、管理制御装置60との通信ができないような場所においても、充分にセンシングを行うことが可能となる。
【0097】
また、本人型ロボット20cは、複数(本変形例では2つ)のセンサ(撮像装置)を備えていることから、例えば、作業員400をセンシングするには狭い場所においても、充分にセンシングを行うことが可能となる。
【0098】
なお、本センシングシステムにおいて、移動式ロボットとして機能する人型ロボットは、必ずしも1台である必要はなく、複数台であってもよい。この場合、人型ロボットの数が増えるだけ、センサの数は人型ロボットの倍数分増えることとなり、一度にセンサ情報を多く取得することができる。
【0099】
(実施形態1の変形例2)
図10は、本実施形態の変形例2に係るセンシングシステムの一例を示す図である
【0100】
図10(a)は、実施形態1の変形例2に係るセンシングシステムでの、システム構成の一例を示す図である。本センシングシステムでは、移動式ロボットとして機能する人型ロボット20に加え、センサ取付部材30を備える点が特徴となっている。
【0101】
図10(b)は、(a)に示すセンサ取付部材の一例を示す図である。センサ取付部材30は、取付部材本体31と、取付部材移動機構32と、取付部材用センサ33と、取付部材用撮像装置34と、を備える。センサ取付部材30は、取付部材本体31の下方に設けられた取付部材移動機構32により移動することが可能である。もっとも、取付部材移動機構32は設けられなくてもよい。
【0102】
取付部材本体31は、例えば棒状ないしは杖状の部材であり、その材料は特に限定されない。取付部材本体31の長さは、人型ロボット20の高さ(背丈)よりも長く、例えば2.1メートルである。取付部材本体31には、その下方、好ましくは下端に取付部材移動機構32、取付部材本体31の上方、好ましくは上端に取付部材用センサ33が設けられている。
【0103】
取付部材移動機構32は、例えばキャスター等の回転体を設けた構成からなり、人型ロボット20の移動に合わせて、センサ取付部材30が移動することを補助する。なお、本実施形態においては、センサ取付部材30は自律して移動することを想定していないが、取付部材移動機構32に指示を与える取付部材制御部(不図示)を設け、取付部材制御部からの信号に基づき取付部材移動機構32を動かす構成であってもよい。
【0104】
図10(a)も参照して、第2センサとして機能する取付部材用センサ33(取付部材用撮像装置34)は、取付部材本体31の上方に設けられ、作業員400をセンシングする。取付部材用センサ33の一例は、ロボット用センサ23と同様であり、また取付部材用撮像装置34の一例も、ロボット用撮像装置24の一例と同様である。加えて、取得されるセンサ情報の一例もロボット用センサ23と同様であり、センサ情報のセンシングタイミングの一例もロボット用センサ23と同様である。
【0105】
取付部材用撮像装置34は、取付部材用センサ33に含まれる。また、取付部材用撮像装置34を含む取付部材用センサ33は、人型ロボット20の高さ(背丈)よりも高い位置に配置されている。これにより、取付部材用センサ33はロボット用センサ23よりも高い位置から作業員400の動作をセンシングすることができる。
【0106】
図11は、実施形態1の変形例2に係るセンシングシステムでの、構成及び機能の一例を示す図である。センシングシステム100''において、センサ取付部材30は、人型ロボット20の情報処理装置25と、無線又は有線を介して通信可能に構成される。もっとも、センサ取付部材30は、情報処理装置25の代わりに又は共に、管理制御装置60の通信部64と通信可能に構成されてもよい。なお、センシングシステム100''の人型ロボット20及び管理制御装置60の構成は、センシングシステム100のそれらと同様である。
【0107】
図10も参照して、人型ロボット20は、第2駆動機構を構成するロボット腕部26の一部である右把持部265(又は左把持部266)により、センサ取付部材30を把持する。センサ取付部材30の取付部材用センサ33(取付部材用撮像装置34)は、第2駆動機構によりそのセンシング領域330(撮像領域340)を変更することが可能である。
【0108】
センシングシステム100''では、例えば、制御部662は、第1センサとして機能するロボット用センサ23(ロボット用撮像装置24)が作業員400の左腕を、第2センサとして機能する取付部材用センサ33(取付部材用撮像装置34)が作業員400の右腕をそれぞれセンシングするよう指示する。そして、各センサで取得されるセンサ情報(第1情報及び第2情報)から、作業員400が所定動作時に可動する所定部位がセンシングされるか否かが判定部661により判定され、所定部位がセンシングされていないと判定された場合、制御部662は、所定部位がセンシングされる様に第1移動機構22及び/又は第2駆動機構26を作動させる。また、判定部661によって各センサ(撮像装置)によりセンシングされる所定部位が同一であると判定された場合に、制御部662は、各センサ(撮像装置)によりセンシングされる所定部位が異なる様に、第1移動機構22及び/又は第2駆動機構26を作動させる。
【0109】
(変形例2の作用効果)
本センシングシステムによれば、取付部材用センサ33(取付部材用撮像装置34)を第2センサとして構成していることから、例えば、作業員400をセンシングするには狭い場所においても、充分にセンシングを行うことが可能となる。
【0110】
また、本センシングシステムによれば、センサ取付部材30は、人型ロボット20の高さ(背丈)よりも高い位置に取付部材用センサ30(取付部材用撮像装置40)が配置されている。そのため、作業員400の動作を、より俯瞰的な位置からセンシングすることができ、例えば作業員400の背中によりセンシングしにくいといった事態を回避しやすく、作業員400の作業の学習に必要なデータを効率よく取得することができる。
【0111】
なお、本センシングシステムにおいても、移動式ロボットとして機能する人型ロボットは1台でなくてよく、センサ取付用部材も1つだけでなくてよい。例えば、2つのセンサ取付用部材を両保持部265、266により保持した人型ロボット20を複数台備えていてもよい。この場合も、センサの数を増加させることができ、一度にセンサ情報を多く取得することが可能となる。
【0112】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上述した本発明の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
【0113】
本実施形態のセンシングシステム100では、センサと移動機構とを備える移動式ロボット(人型ロボット)は2台用いるものとして説明した。しかし、移動式ロボットの数はこれ以上であってもよい。例えば、センサと移動機構とを備える移動式ロボットの台数が多ければ、それぞれ異なる位置、高さ及び/又は向きから作業員400の所定動作をセンシングするよう複数のセンサを配置することが可能となる。これにより、作業員400の所定動作の学習に必要な様々なデータを取得しやすくなると共に、作業員400の各所定部位を全体的にカバーできるようにセンシングすることができる。
【0114】
また、本実施形態では、第1センサ(第1撮像装置)は作業員の左腕を、第2センサ(第2撮像装置)は作業員の左腕を、それぞれセンシングするものとして説明した。しかし、センシング対象となる所定部位はこれに限らず、また各センサがセンシングする所定部位もこれに限らない。例えば、第1センサ(第1撮像装置)は作業員の右手の指先をセンシングし、第2センサ(第2撮像装置)は作業員の首の動作をセンシングしてもよい。
【0115】
また、本実施形態では、作業員の所定動作の学習を自動学習により行うものとして説明した。しかし、学習は必ずしも自動学習である必要はなく、他の既知の機械学習、例えばディープラーニング(深層学習)や教師なし/あり学習、強化学習等であってもよい。
【0116】
また、本実施形態では、移動式ロボットと作業ロボットとは同じ人型ロボットであるものして説明した。この場合、移動式ロボットを作業ロボットに併用するといったことが可能となり、ロボット作製に係る費用及びコストを節約できる。もっとも、移動式ロボットと作業ロボットとは、異なるロボットであってもよい。
【0117】
また、本実施形態では、センシング対象として作業員(人)を用いて説明した。しかし、これに限定されず、例えば作業員の所定動作を模倣可能なロボットをセンシング対象としてもよい。
【符号の説明】
【0118】
100、100'、100'’ センシングシステム
20、20a、20b、20c 人型ロボット(移動式ロボット、作業ロボット)
22、22a、22b、22c 移動機構
23、23a、23b、23c、23d ロボット用センサ
230、230a、230b、230c、230d センシング領域
24、24a、24b、24c、24d ロボット用撮像装置
240、240a、240b、240c、240d 撮像領域
25、25a、25b、25c 情報処理装置
60 管理制御装置
62 記憶媒体(記憶部)
1224 記憶装置(記憶部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11