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特開2024-68449清掃作業管理装置、清掃作業管理方法および清掃作業管理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068449
(43)【公開日】2024-05-20
(54)【発明の名称】清掃作業管理装置、清掃作業管理方法および清掃作業管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/163 20240101AFI20240513BHJP
   G06Q 10/0631 20230101ALI20240513BHJP
【FI】
G06Q50/16 300
G06Q10/0631
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178908
(22)【出願日】2022-11-08
(71)【出願人】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】主税 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】柴田 康弘
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L010AA10
5L049AA10
5L049CC29
5L050CC29
(57)【要約】      (修正有)
【課題】清掃作業によるビルの利用者の不快感の低減と、ゴミの未回収による不快感の低減の両者を達成できるビルの清掃作業スケジュールの計画方法を確立する。
【解決手段】施設での清掃作業の計画である清掃作業計画を作成する清掃作業計画システムにおいて、清掃作業管理装置1は、単位時間帯毎の施設における利用者数を推定する利用者数推定部102と、単位時間帯毎の施設におけるゴミ集積量を推定するゴミ集積量推定部103と、利用者数およびゴミ集積量が所定条件を満たす単位時間帯を、清掃作業を実施する単位時間帯として特定し、特定された前記単位時間帯に基づき、清掃作業計画を作成する清掃作業計画部104と、を有する。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設での清掃作業の計画である清掃作業計画を作成する清掃作業管理装置において、
単位時間帯ごとの前記施設における利用者数を推定する利用者数推定部と、
前記単位時間帯ごとの前記施設におけるゴミ集積量を推定するゴミ集積量推定部と、
前記利用者数および前記ゴミ集積量が所定条件を満たす単位時間帯を、清掃作業を実施する単位時間帯として特定し、特定された前記単位時間帯に基づき、清掃作業計画を作成する清掃作業計画部を有する清掃作業管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の清掃作業管理装置において、
前記利用者数推定部は、前記利用者数として、複数の単位時間帯で構成される周期における利用者数を推定し、
前記ゴミ集積量推定部は、前記ゴミ集積量として、前記周期におけるゴミ集積量を推定し、
前記清掃作業計画部は、前記周期ごとの前記清掃作業計画を作成する清掃作業管理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の清掃作業管理装置において、
前記清掃作業計画部は、前記周期中に、前記清掃作業計画を再設定する清掃作業管理装置。
【請求項4】
請求項1に記載の清掃作業管理装置において、
前記清掃作業計画部は、前記利用者数が利用者数閾値以下であり、前記ゴミ集積量がゴミ箱満杯ライン以下である単位時間帯を、前記所定条件を満たす単位時間帯として特定する清掃作業管理装置。
【請求項5】
請求項1に記載の清掃作業管理装置において、
前記清掃作業計画部は、
前記単位時間帯ごとに、前記清掃作業を推奨する度合いを示す清掃作業推奨度を算出し、
算出された前記清掃作業推奨度を用いて、前記清掃作業を推奨する清掃作業推奨時間帯を特定し、
前記清掃作業推奨時間帯に基づき、清掃作業スケジュールデータを作成する清掃作業管理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の清掃作業管理装置において、
さらに、前記清掃作業推奨時間帯を、前記清掃作業の管理者が利用する建物管理者通信端末に通知し、前記建物管理者通信端末から前記清掃作業推奨時間帯に対する選択結果を受信する通信処理部を有し、
前記清掃作業計画部は、選択された前記清掃作業推奨時間帯を用いて、前記清掃作業スケジュールデータを作成する清掃作業管理装置。
【請求項7】
請求項6に記載の清掃作業管理装置において、
前記清掃作業計画部は、
前記ゴミ集積量がゴミ箱満杯ラインを超える場合、前記通信処理部を介して、前記建物管理者通信端末に、注意喚起通知を送信し、
前記建物管理者通信端末からの再設定指示に応じて、前記清掃作業スケジュールデータを再設定する清掃作業管理装置。
【請求項8】
清掃作業管理装置を用いて、施設での清掃作業の計画である清掃作業計画を作成する清掃作業管理方法において、
利用者数推定部により、単位時間帯ごとの前記施設における利用者数を推定し、
ゴミ集積量推定部により、前記単位時間帯ごとの前記施設におけるゴミ集積量を推定し、
清掃作業計画部により、前記利用者数および前記ゴミ集積量が所定条件を満たす単位時間帯を、清掃作業を実施する単位時間帯として特定し、特定された前記単位時間帯に基づき、清掃作業計画を作成する清掃作業管理方法。
【請求項9】
施設での清掃作業の計画である清掃作業計画を作成する清掃作業管理装置および前記清掃作業の管理者が利用する建物管理者通信端末を含む清掃作業管理システムにおいて、
前記清掃作業管理装置は、
単位時間帯ごとの前記施設における利用者数を推定する利用者数推定部と、
前記単位時間帯ごとの前記施設におけるゴミ集積量を推定するゴミ集積量推定部と、
前記利用者数および前記ゴミ集積量に基づき、前記単位時間帯ごとの清掃作業推奨度および当該清掃作業推奨度に応じて清掃作業を推奨する清掃作業推奨時間帯として特定する清掃作業計画部と、
前記建物管理者通信端末に、前記清掃作業推奨度および前記清掃作業推奨時間帯を含む清掃作業計画データを送信する通信処理部を有し、
前記建物管理者通信端末は、
前記清掃作業の管理者から前記清掃作業推奨時間帯に対する選択を受け付ける作業指示入力部と、
前記清掃作業管理装置に、選択された清掃作業推奨時間帯を送信する通信処理部を有し、
前記清掃作業計画部は、選択された前記清掃作業推奨時間帯を用いて、清掃作業スケジュールデータを作成する清掃作業管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビルなどの施設における清掃作業の管理、特にその計画に関する。なお、本発明の清掃作業には、ゴミの回収そのものおよびこれを伴う清掃作業が含まれる。
【背景技術】
【0002】
ビルなどの施設での清掃作業は、清掃業者に委託して実施されることがある。このような場合などでは、清掃作業は予め決められた間隔、時刻で行われることが多い。そのため、各階の利用者の使用状況に関わらず、清掃作業を実施されることが多々発生する。
【0003】
したがって、利用者の少ない階の清掃やゴミ回収は過剰となり、反対に利用者の多い階の清掃やゴミ回収は不足となり、利用者の不快感が増す。また、清掃作業を実施する清掃場所(階、部屋、トイレなどの領域)の利用者の多少に関わらず、予め決められた時刻で清掃作業を実施することになる。このため、利用者が多い時刻に清掃作業を実施すると清掃員の作業性,建物の利用者の居住性の双方を損なう場合がある。
【0004】
そこで、特許文献1では、利用者数の少ない時間帯に、清掃作業を行うように設定することが開示されている。より具体的には、特許文献1には、「施設60内に設けられた設備51の利用状況及び施設60内の人の状況の少なくとも一方に関する情報を取得する取得部34と、取得部34によって取得された情報に基づいて、施設60において提供されるサービスの需要に関する情報を出力する」サービス支援システム10が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2022-19085号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1によると、ゴミの回収を必要としない無駄な清掃作業を行ってしまう懸念が有る。そこで、本発明では、より適切なタイミングで清掃作業を実現し、利用者の不快感およびゴミ未回収による不快感の低減を達成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明は、該当の施設の利用者数および未回収のゴミ集積量に基づいて、清掃作業計画を作成する。
【0008】
より具体的には、施設での清掃作業の計画である清掃作業計画を作成する清掃作業管理装置において、単位時間帯ごとの前記施設における利用者数を推定する利用者数推定部と、前記単位時間帯ごとの前記施設におけるゴミ集積量を推定するゴミ集積量推定部と、前記利用者数および前記ゴミ集積量が所定条件を満たす単位時間帯を、清掃作業を実施する単位時間帯として特定し、特定された前記単位時間帯に基づき、清掃作業計画を作成する清掃作業計画部を有する清掃作業管理装置である。
【0009】
また、本発明には、清掃作業管理装置を用いた清掃作業管理方法やこれを含む清掃作業管理システムも含まれる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、より適切なタイミングで、施設における清掃作業を実行できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る清掃作業計画システムの全体構成図
図2】従来の清掃インターバルの模式図
図3】従来の清掃インターバルを最長とした場合の模式図
図4】本発明の一実施形態におけるビルの人流データを取得する処理フローを示すフローチャート
図5】本発明の一実施形態における清掃作業計画として、推奨清掃作業間隔、推奨日時を算出する処理フローを示すフローチャート
図6】本発明の一実施形態における処理フローにより定められる清掃インターバルの模式図
図7】本発明の一実施形態における清掃作業推奨度の算出例を示す図
図8】本発明の一実施形態における清掃作業スケジュールデータ157を作成する処理フローを示すフローチャート
図9】本発明の一実施形態における清掃作業履歴158を作成する処理フローを示すフローチャート
図10】本発明の一実施形態における清掃作業計画に含まれる清掃作業推奨度の調整の必要性の一例を示す図
図11】本発明の一実施形態における清掃作業計画の一例である清掃作業スケジュールデータ157を再設定するための処理フローを示すフローチャート
図12】本発明の一実施形態における清掃作業管理装置1の機能ブロック図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。全図に亘って同一の構成には同一の符号を付し、重複説明を省略する。まず、図1は、本実施形態に係る清掃作業計画システムの全体構成図である。本実施形態では、施設の清掃作業としてビルでのゴミの回収を対象とする。但し、施設には、ビルの他、工場、倉庫、建屋、アミューズメントパーク、マンションなどの他、これら施設を構成する昇降機などの設備も含まれる。また、本実施形態では、掃除場所として、ビルのn階を用いるが、これは清掃場所の一例であり、トイレなどの特定の領域であってもよいし、ビル全体としてもよい。さらに、清掃には、ゴミの回収のみを実行することも含まれる。
【0013】
図1に示す清掃作業計画システムは、清掃作業管理装置1、建物管理者通信端末2、清掃作業者通信端末3、人流センサー4に大きく分けられる。
【0014】
まず、清掃作業管理装置1は、いわゆるコンピューター(サーバ)で実現でき、第1通信処理部11、第2通信処理部12、データ処理・判定部13、時刻測定部14および記憶部15を有し、互いにバスなどの通信路を介して接続される。
【0015】
まず、第1通信処理部11は、人流センサー4と接続し、ここで検知された人流データを取り込む。また、第2通信処理部12は、建物管理者通信端末2や清掃作業者通信端末3と通信を行う。なお、第1通信処理部11および第2通信処理部12は、一体の通信処理部として構成してもよい。また、この通信処理部は、ネットワークインターフェースで実現できる。さらに、人流センサー4と清掃作業管理装置1の間は、専用線で接続し、建物管理者通信端末2および清掃作業者通信端末3と人流センサー4と清掃作業管理装置1の間は、別のネットワークで接続してもよいし、同じネットワークで接続されてもよい。
【0016】
また、データ処理・判定部13は、後述の各プログラムに従って、第1通信処理部11や第2通信処理部12から得られるデータおよび記憶部15に格納されている各種データを用いた処理を行う。このため、データ処理・判定部13は、いわゆるCPU(Central Processing Unit)といったプロセッサで実現できる。また、時刻測定部14は、データ処理・判定部13でのデータの処理タイミングなどを計る。このため、時刻測定部14は、いわゆるタイマーで実現できる。
【0017】
さらに、記憶部15は、以下に示すような各種プログラムおよびデータ・情報を格納する。まず、プログラムとして、利用者数推定プログラム151、ゴミ集積量推定プログラム152、清掃作業計画プログラム153および清掃作業スケジュール監視プログラム154が、記憶部15に記憶される。
【0018】
また、データ・情報として、人流データ155、清掃作業者データ156、清掃作業スケジュールデータ157および清掃作業履歴158が、記憶部15に記憶される。
【0019】
以下、各プログラムとデータ・情報について説明する。まず、利用者数推定プログラム151は、人流データ155に基づき、対象のビルにおける、単位時間帯ごとの利用者数を推定する。また、ゴミ集積量推定プログラム152は、対象のビルにおける、単位時間ごとのゴミの集積量を推定する。なお、利用者数推定プログラム151およびゴミ集積量推定プログラム152は、ビル全体の利用者数やゴミ集積量を推定してもよいし、清掃作業の対象となる清掃場所ごとにこれらを推定してもよい。また、利用者数推定プログラム151およびゴミ集積量推定プログラム152は、毎週、毎日といった所定周期ごとのビル全体の利用者数やゴミ集積量を推定することが望ましい。また、単位時間帯として、1日、1時間といった所定周期を構成する時間帯が用いられることが望ましい。つまり、周期は、複数の単位時間帯で構成される。これらの具体例について、処理フローを説明する際に説明する。
【0020】
また、清掃作業計画プログラム153は、推定された利用者数やゴミ集積量に基づき、ビルにおける清掃作業計画を作成する。例えば、清掃作業計画プログラム153により、推定された利用者数やゴミ集積量が所定条件を満たす単位時間帯を、清掃作業を実施する単位時間帯として特定する。なお、清掃作業計画の作成には、後述の清掃作業スケジュールデータ157自体の作成の他、これを作成するための単位時間帯ごとの清掃作業推奨度の算出や清掃作業推奨時間帯の特定も含まれる。
【0021】
また、清掃作業スケジュール監視プログラム154は、時刻測定部14で計時された時刻情報を用いて、清掃作業スケジュールデータ157に従って、清掃作業が実行されているかを監視する。以上の処理については、各プログラムに従って、データ処理・判定部13が実行することになる。これらの詳細については、処理フローにおいて説明する。
【0022】
また、人流データ155は、人流センサー4からで検知された人流データに基づくデータである。また、清掃作業者データ156は、清掃作業者に関する情報で、望ましくはその作業能力情報や勤務情報など清掃作業が可能な時間帯を示し、清掃作業計画を作成するためのデータである。なお、清掃作業に清掃ロボットを利用する場合、清掃作業者データ156には、清掃ロボットの作業能力情報のほか、充電時間などが含まれる。
【0023】
また、清掃作業スケジュールデータ157は、ビルの各清掃場所における清掃作業の計画を示すデータである。このため、清掃作業スケジュールデータ157では、各清掃場所に対し、時間ごとに、清掃の有無や清掃する場合の主体(作業者や清掃ロボット)が割当てられる。また、清掃作業履歴158は、過去の清掃作業を示す記録データである。以上で、記憶部15の説明を終わるが、記憶部15は、いわゆるメモリと副記憶装置で実現できる。上述のプログラムやデータ・情報は、副記憶装置に記憶されており、データ処理・判定部13での処理の際に、メモリに読み込まれることになる。なお、副記憶装置は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、メモリカードなどの各種記憶媒体で実現できる。また、副記憶装置は、ファイルサーバのように清掃作業管理装置1とは別装置で実現してもよい。以上で、清掃作業管理装置1の説明を終わる。
【0024】
また、建物管理者通信端末2は、対象のビルの管理者などの清掃作業の管理者が利用する端末装置であり、PC、タブレットなどのコンピューターで実現できる。このために、建物管理者通信端末2は、通信処理部21、画面表示部22、作業指示入力部23およびデータ処理・判定部24を有する。まず、通信処理部21は、清掃作業管理装置1や清掃作業者通信端末3と通信を行い、ネットワークインターフェースで実現できる。また、画面表示部22は、データ処理・判定部24での処理結果やデータなどを表示し、建物管理者が処理結果やデータを確認する。画面表示部22は、例えば、ディスプレイで実現できる。
【0025】
また、作業指示入力部23は、建物管理者から、清掃作業計画の作成のための入力を受け付けたり、作業指示を受け付けたりする。このため、作業指示入力部23は、例えば、マウスやキーボードといった入力デバイスで実現できる。なお、画面表示部22および作業指示入力部23は、タッチパネルのように一体で構成してもよい。
【0026】
さらに、データ処理・判定部24は、作業指示入力部23に対する入力に応じて、図示しないプログラムに従って、清掃作業計画の作成指示の作成などを行う。また、データ処理・判定部24は、データ処理・判定部13と同様に、いわゆるプロセッサで実現できる。
【0027】
また、清掃作業者通信端末3は、清掃作業者が利用する端末装置であり、PC、タブレットなどのコンピューターで実現できる。このために、清掃作業者通信端末3は、通信処理部31、画面表示部32、作業結果入力部33およびデータ処理・判定部34を有する。まず、通信処理部31は、清掃作業管理装置1や建物管理者通信端末2と通信を行い、通信処理部21と同様にネットワークインターフェースで実現できる。また、画面表示部32は、データ処理・判定部24での処理結果やデータなどを表示し、清掃作業者が清掃指示などの各種データできる。画面表示部32は、画面表示部22と同様に、例えば、ディスプレイで実現できる。
【0028】
また、作業結果入力部33は、清掃作業員から清掃作業の作業結果などの入力を受け付ける。このため、作業結果入力部33は、作業指示入力部23と同様に、例えば、マウスやキーボードといった入力デバイスで実現できる。なお、画面表示部32および作業結果入力部33も、タッチパネルのように一体で構成してもよい。
【0029】
さらに、データ処理・判定部34は、作業結果入力部33に対する入力に応じて、図示しないプログラムに従って、清掃作業履歴158の作成もしくは作成のためのデータ作成などを行う。また、データ処理・判定部34は、データ処理・判定部13やデータ処理・判定部24と同様に、いわゆるプロセッサで実現できる。なお、清掃作業者通信端末3については、清掃機能を有する清掃ロボットにその機能を設けてもよい。
【0030】
また、人流センサー4は、ビルに設置され、その利用者を検知するセンサーであり、人感センサーやカメラなどで実現できる。また、人流センサー4は、清掃場所毎、昇降機や廊下などの移動経路や各居室の出入口毎に複数設置してもよいし、ビルの出入口など1台設置してもよい。以上で、本実施形態の構成についての説明を終わり、次に、本実施形態における清掃作業作成処理について説明する。
【0031】
まず、処理の前提として、従来の清掃計画作成処理を交え、その考え方を説明する。図2は、従来の清掃インターバルの模式図である。図2では、ビルのn階におけるゴミの集積量を時系列に示している。そして、図中の棒グラフは、1周期である3日分の単位時間帯ごとのゴミの集積量の時系列変化を示している。本グラフは、ゴミは利用者の多い日中に増加し、図中の星印で示すように、毎日18時から20時の間に回収していることを示している。また、図の一点鎖線はゴミ箱が満杯になる量を示し、この一点鎖線を超えるとゴミ箱からゴミが溢れて利用者の不快感が大きくなる。なお、図2に示す例では、毎日ゴミ回収を行うことで、ゴミ箱に十分な余裕がある状態で回収していることになる。また、図2で示す回収時刻(時間帯)は、毎日(第1日-第3日)18時から20時であるが、この時間帯のゴミの増加が少ないことから、利用者が比較的少ない時間帯に清掃作業を実施していることが分かる。
【0032】
よって、図2に示すように、清掃作業、つまり、ゴミの回収を行うと、清掃員の作業性、ビルの利用者の居住性は共に良好であり、ゴミが溢れることによるフロアの不快感の増大も十分抑えられている。但し、毎日ゴミ回収を実施する必要が生じている。つまり、図2に示す清掃インターバルでは、無駄に多くゴミ回収を行っている恐れがある。そこで、無駄なゴミ回収を抑制するために、清掃インターバルを延ばすことが考えられる。
【0033】
また、図3は、従来の清掃インターバルを最長とした場合の模式図である。図3では、ビルのn階におけるゴミの集積量を時系列に示している。そして、図中の棒グラフは、1周期である3日分の単位時間帯ごとのゴミの集積量の時系列変化を示している。図において、第1日はゴミを回収しなくても、ゴミ箱は満杯にはならず、翌日の12時から14時に満杯に達する。このため、満杯に達する直前である第2日の10時から12時の間にゴミ回収を行うと、次に満杯に達する直前になるのは第3日の22時から0時の間となることを示している。
【0034】
このため、第2日の10時から12時の間に清掃作業、ゴミ回収を行った場合、フロア利用者の人数が多いため清掃員の作業性や建物の利用者の居住性を損なうことになる。また、第3日の22時から0時は清掃、ゴミ回収作業を行うと深夜作業となり、清掃員の作業負荷が高くなる。
【0035】
さらに、従来の作業計画では、利用者数の時系列変化を定量的に把握していないため、利用者が特定の日次に突発的、局時的に増加することに伴ってゴミ集積量が急激に増加した場合、ゴミ回収作業が遅れる恐れがある。例えば、ゴミ箱が溢れた後に、ゴミの回収が実施される可能性があり、当該階の快適性を損なうリスクが高い。そこで、本実施形態では、ビルにおける利用者数およびゴミ集積量を考慮して、ゴミ回収計画を作成する。なお、ゴミ回収計画は、清掃作業計画の一例であり、本実施形態では清掃作業計画と記載する。以下、清掃作業計画の作成の詳細を示す処理フローについて説明する。
【0036】
本実施形態では、まず、利用者数を特定するための人流データを取得する。図4は、本実施形態におけるビルの人流データを取得する処理フローを示すフローチャートである。まず、人流センサー4で検知された人流データを、清掃作業管理装置1の第1通信処理部11が受け付ける(ステップS41)。
【0037】
ここで、人流センサー4として、カメラ、人感センサーや入退管理装置を用いることができる。カメラは、ビルの各フロア天井部やエレベーターのかご内に設置され、映像で検知されたビル内の人流情報を取得する。また、人感センサーは、赤外線や超音波などで近傍の人物を検知する。また、入退管理装置は、ビルの各設備の出入口付近に設置され、認証情報を取得する。
【0038】
また、清掃作業管理装置1の時刻測定部14が、時間を計時する。そして、データ処理・判定部13が、利用者数推定プログラム151に従って、計時された時間を用いて、所定周期、例えば、一定時間が経過したかを判定する(ステップS42)。ここで、所定周期(一定時間)とは、任意の開始時間からの所定時間経過したことを示す。この判定の結果、一定時間が経過した場合(Yes)、ステップS43に遷移する。また、一定時間が経過していない場合(No)、ステップS41での人流データの受け付けを継続する。
【0039】
また、データ処理・判定部13が、利用者数推定プログラム151に従って、受け付けた人流データを集積し、記憶部15に人流データ155として格納する(ステップS43)。この際、データ処理・判定部13は、利用者数推定プログラム151に従って、受け付けた人流データに時間データを付与したり、人流データを整形したりしてもよい。この結果、人流データ155が取得されることになる。そして、この人流データ155に基づき、ゴミ回収計画が作成されることになる。
【0040】
次に、図5は、本実施形態における清掃作業計画として、推奨清掃作業間隔、推奨時間帯を算出する処理フローを示すフローチャートである。本フローチャートは、図4における単位時間の人流データ155が新たに格納(ステップS43)された後、より望ましくはその直後に、周期的に実行される。
【0041】
まず、データ処理・判定部13が、利用者数推定プログラム151に従って、記憶部15の人流データ155から所定の人流データを取り出す(ステップS51)。ここで、本実施形態では、清掃場所として、ビルの各階(n階)を用いる。そして、データ処理・判定部13は、人流データとして、例えば直近の人流変化量、前週以前の同曜日の人流データ、前年以前の同月の人流変動データ、などのn階の今後の人流を予測するために有用となる人流データを取り出す。
【0042】
また、データ処理・判定部13が、利用者数推定プログラム151に従って、取り出された人流データを用いて、今後のn階における単位時間帯毎の利用者数および作業許容指数(P)を推定する(ステップS52)。なお、作業許容指数(P)については、追って説明する。
【0043】
また、データ処理・判定部13が、利用者数推定プログラム151に従って、前回の清掃、つまり、ゴミ回収の内容を示す清掃作業情報を、記憶部15の清掃作業履歴158から取り出す(ステップS53)。
【0044】
また、データ処理・判定部13が、利用者数推定プログラム151に従って、前回の清掃作業(時間帯)から現在までのn階における利用者数を推定する(ステップS54)。なお、現在とは、本ステップでの利用者数を算出する際の基準となる時間であればよい。
【0045】
また、データ処理・判定部13が、ゴミ集積量推定プログラム152に従って、ステップS54で推定された前回の清掃作業から現在までのn階の利用者数から、現在のゴミ集積量を推定する(ステップS55)。なお、また、ステップS55での現在のゴミ集積量を推定は、ゴミ箱に対するセンサーを用いて実行されてもよい。例えば、重量センサーにより計測された重量を、ゴミの集積値としてもよいし、カメラでゴミ箱を撮影した画像データに対する画像処理の結果に基づいて推測してもよい。
【0046】
さらに、データ処理・判定部13が、ゴミ集積量推定プログラム152に従って、ステップS52で推定した今後のn階の利用者数に基づいて、(単位時間帯)ゴミ集積量予測値およびゴミ集積量予測値(Q)を推定する(ステップS56)。ここで、(単位時間帯)ゴミ集積量予測値は、現在以降の単位時間帯ごとゴミ集積量である。また、ゴミ集積量予測値(Q)は、(単位時間帯)ゴミ集積量予測値の累積値である。この際、データ処理・判定部13は、さらにステップS54において推定されたゴミ集積量も用いてもよい。
【0047】
また、データ処理・判定部13が、清掃作業計画プログラム153に従って、記憶部15の清掃作業者データ156から、各作業者、清掃ロボットの作業能力情報の一種である清掃作業能力指数(R)を取り出す。そして、データ処理・判定部13が、清掃作業計画プログラム153に従って、単位時間帯ごとの清掃作業推奨度を算出する(ステップS57)。この清掃作業推奨度は、各単位時間帯における清掃作業を推奨する度合いを示す指標であり、その算出の一例について、図7を用いて後述する。
【0048】
さらに、データ処理・判定部13が、清掃作業計画プログラム153に従って、ステップS57で算出した単位時間帯ごとの清掃作業推奨度を用いて、清掃作業推奨時間帯を特定する(ステップS58)。例えば、データ処理・判定部13は、例えば、清掃作業推奨度が最大値の単位時間帯を、清掃作業推奨時間帯として特定する。また、データ処理・判定部13は、例えば、清掃作業推奨度が所定値以上や所定数の上位の単位時間帯を、清掃作業推奨時間帯として特定してもよい。さらに、清掃作業推奨時間帯の数は適宜設定可能であり、単数でも複数でもよい。
【0049】
なお、清掃作業推奨時間帯を特定については、予め記憶部15に記憶された利用者数閾値およびゴミ箱満杯ラインを所定条件として用いて、行ってもよい。つまり、データ処理・判定部13が、清掃作業計画プログラム153に従って、利用者数閾値以下の利用者数であって、ゴミ箱満杯ライン以下のゴミ集積量である単位時間帯を、清掃作業推奨時間帯として特定する。
【0050】
ここで、図5での処理フローでの処理結果の一例を説明する。図6は、本実施形態における処理フローにより定められる清掃インターバルの模式図である。図6では、図5で示した処理フローを用いて、n階のゴミ集積量に対し、人流データを踏まえて適正化していることを示している。図6の上側の棒グラフは、本実施形態で推定されたn階の利用者数の3日分の時系列変化を示している。ここでは、3日間とも、8時から18時の日中にかけて利用者が多く、18時から翌日の8時までの夜間は利用者が少ない、典型的な事務所フロアの平日の利用者数の推移を示している。また、図6の下側の棒グラフは、本実施形態で推定されたn階のゴミ集積量の3日分の時系列変化を示している。この結果、清掃作業(ゴミの回収)のタイミング、つまり、清掃作業推奨時間帯は、利用者数が比較的少なく、ゴミ集積量が満杯ラインに近い、第1日の6時-8時および第2日の18時-20時の単位時間帯で実行されることになっている。この結果、図6で示す例においては、利用者数がフロア利用者数閾値以下であり、ゴミ集積量がゴミ箱満杯ライン以下の単位時間帯が、清掃作業推奨時間帯として特定されていることが示されている。
【0051】
次に、図5のステップS57における清掃作業推奨度の算出について説明する。図7は、本実施形態における清掃作業推奨度の算出例を示す図である。図7では、「単位時間帯」ごとの「清掃作業実施予定」「利用者数」「清掃作業許容指数(P)」「ゴミ集積量予測値(単位時間)」「ゴミ集積量予測値(累積)(Q)」「清掃作業能力指数(R)」および「清掃作業推奨度(P×Q×R)」の各項目を有する。
【0052】
まず、「清掃作業実施予定」は、ステップS58において、「清掃作業推奨度(P×Q×R)」に基づき特定される清掃作業推奨時間帯に対し、星印が記載される。つまり、星印の単位時間帯に、清掃作業が予定される。また、「利用者数」は、ステップS52で推定される単位時間帯毎の利用者数である。ここで、「利用者数予測」の推定について説明する。「利用者数」の推定のために、データ処理・判定部13が、利用者数推定プログラム151に従って、記憶部15の人流データ155から、現在の人流データおよび過去の人流データを取り出す。ここで、過去の人流データとは、例えば直近の人流変化量、前週以前の同曜日前年以前の同月の人流変動データ、などのn階の今後の人流予測を算出する人流データである。「利用者数」とは、これら取り出された人流データをもとに、今後の人流予測を時間帯毎に推定されたものである。
【0053】
さらに、「清掃作業許容指数(P)」は、ステップS52において推定される作業許容指数(P)である。ここで、「清掃作業許容指数(P)」の予測について説明する。データ処理・判定部13が、利用者数推定プログラム151に従って、単位時間帯ごとの利用者数から、作業許容指数(P)を予測する。ここで、清掃作業許容指数(P)とは、n階で清掃作業を実施することをn階の利用者が共用する程度を示す値で、一般にn階の利用者が少ない場合に作業許容指数(P)は大きく、n階の利用者が多い場合に作業許容指数(P)は小さくなる。
【0054】
また、「ゴミ集積量予測値(単位時間)」および「ゴミ集積量予測値(累積)(Q)」は、ステップS56において推定される単位時間帯ゴミ集積量予測値およびゴミ集積量予測値(Q)である。ここで、ゴミ集積量予測値(Q)とは、データ処理・判定部13が、ゴミ集積量推定プログラム152に従って、利用者が排出する単位時間帯毎のゴミの量を推測し、これらを累積したものである。例えば、n階の利用者のゴミの量は、一般にはn階の利用者の増減に応じて変化する。ただし、12-14時は昼休み時間帯のため、特にゴミの排出量が増加することになる。また、データ処理・判定部13が、ゴミ集積量推定プログラム152に従って、清掃作業を行われた場合、ゴミ集積量予測値(Q)を一旦ゼロとして再び累積することになる。
【0055】
また、「清掃作業能力指数(R)」は、ステップS57において取り出された清掃作業能力指数(R)である。清掃作業能力指数(R)は、単位時間帯ごと設定されるもので、清掃員や清掃ロボットの清掃作業(含むゴミ回収)のしやすさを示す指数である。本例では、深夜および昼休み時間帯は低く、早朝および夕方から夜にかけての単位時間帯を高く設定している。
【0056】
さらに、「清掃作業推奨度(P×Q×R)」は、ステップS57で算出され、該当の単位時間帯での清掃作業を推奨する度合いを示す指標である。本実施形態では、清掃作業推奨度を、清掃作業許容指数(P)、ゴミ集積量予測値(Q)、清掃作業能力指数(R)の積(P×Q×R)で算出する。ここで、図6下側の棒グラフおよび図7では、前日からのゴミが60%集積している状態である。深夜時間帯中は清掃作業能力指数(R)が低いため、清掃作業推奨度は低い値を示している。但し、朝6時台に入ると、清掃作業能力指数(R)が高くなり、清掃作業推奨度が大きくなる。また、第1日の6時から8時の間に清掃作業を実施した場合、清掃作業推奨度は低くなる。
【0057】
ゴミは時間の経過と共に徐々にゴミ集積量が増加し、第2日の10時には前回清掃作業時のゴミ集積量を上回る。しかし、日中時間帯でn階の利用者が多いため、清掃作業許容指数(P)が小さく、ゴミ収集作業推奨度も小さい。
【0058】
第2日の18時になると、n階の利用者が減少するため、清掃作業許容指数(P)が大きくなるため、清掃作業推奨度も大きくなる。この時のゴミ集積量予測値(Q)は95.6%、ゴミ箱が満杯になる直前に清掃作業を行うことができる。なお、図7に示す表である清掃作業推奨データや「清掃作業実施予定」「清掃作業推奨度」については、清掃作業計画データとして用いることができる。特に、「清掃作業実施予定」や作業者や清掃ロボットをこれに割り当てて、清掃作業スケジュールデータ157として用いてもよい。なお、これら清掃作業計画データは、データ処理・判定部13が、清掃作業計画プログラム153に従って、記憶部15に記憶する。この際、清掃作業計画データは、清掃作業スケジュールデータ157として記憶されてもよい。
【0059】
次に、清掃作業推奨度を用いた、清掃作業スケジュールデータ157の作成について説明する。図8は、本実施形態における清掃作業スケジュールデータ157を作成する処理フローを示すフローチャートである。本処理フローでは、建物管理者通信端末2と清掃作業管理装置1が連携して、n階の清掃作業時間帯を設定し、清掃作業スケジュールデータ157を作成することになる。
【0060】
まず、建物管理者からの作業指示入力部23に対する操作に応じて、建物管理者通信端末2が、清掃作業管理装置1にn階の清掃作業計画データを要求する(ステップS81)。このために、データ処理・判定部24が、建物管理者通信端末2が記憶するプログラムに従って、通信処理部21から当該要求を送信する。
【0061】
また、清掃作業管理装置1の第2通信処理部12は、建物管理者通信端末2からの要求を受け付ける。そして、データ処理・判定部13が、清掃作業計画プログラム153に従って、図7で説明したn階における単位時間帯ごとの清掃作業推奨度および清掃作業推奨時間帯を含む清掃作業計画データを、建物管理者通信端末2に送信する(ステップS82)。
【0062】
また、建物管理者通信端末2のデータ処理・判定部24が、プログラムに従って、画面表示部22に、清掃作業計画データを表示する(ステップS83)。
【0063】
この結果、建物管理者は表示された清掃作業計画データを元に、n階における清掃作業時間帯を選択することができる。そして、作業指示入力部23が、建物管理者から選択された清掃作業時間帯を特定する操作を受け付ける。次に、データ処理・判定部24が、プログラムに従って、通信処理部21を介して、選択された清掃作業時間帯を、清掃作業管理装置1に送信する(ステップS84)。なお、本ステップでは、清掃作業時間帯に対し、清掃作業を実施する作業員ないし清掃ロボットを割当てた結果を、清掃作業時間帯として送信してもよい。
【0064】
また、清掃作業管理装置1の第2通信処理部12は、送信されたn階の清掃作業時間帯を受信する。そして、データ処理・判定部13が、清掃作業計画プログラム153に従って、受信した清掃作業時間帯をも用いて清掃作業スケジュールデータ157を作成し、これを記憶部15に格納する(ステップS85)。この清掃作業スケジュールデータ157には、清掃作業を実施する作業員や清掃ロボットが割当てられていてもよいし、割当てられてなくともよい。
【0065】
次に、清掃作業が実施された後の処理フローについて説明する。本実施形態では、清掃作業の結果を、清掃作業履歴158に反映し、この結果を清掃作業の管理や次回以降の清掃作業スケジュールデータ157の作成に利用する。
【0066】
図9は、本実施形態における清掃作業履歴158を作成する処理フローを示すフローチャートである。本処理フローでは、清掃作業者が利用する清掃作業者通信端末3にてn階の清掃作業指示を受信し、清掃作業が実施された後、清掃作業履歴158が作成され、登録される。以下、その詳細を説明する。
【0067】
まず、清掃作業管理装置1のデータ処理・判定部13が、清掃作業スケジュール監視プログラム154に従って、清掃作業スケジュールデータ157に基づき、作業設定連絡データを作成する。この作業設定連絡データは、清掃作業スケジュールデータ157に作業員が割当てられている場合、この旨を示すデータである。そして、データ処理・判定部13が、清掃作業スケジュール監視プログラム154に従って、第2通信処理部12を介して、清掃作業を実施する清掃作業者の清掃作業者通信端末3に、作業設定連絡データを送信する(ステップS91)。なお、清掃作業を実施する清掃作業者とは、清掃作業スケジュールデータ157で、清掃作業が割当てられている清掃作業者である。
【0068】
また、清掃作業者通信端末3の通信処理部31が、作業設定連絡データを受信する。そして、通信処理部31と清掃作業管理装置1の第2通信処理部12が通信接続する(ステップS92)。
【0069】
そして、清掃作業管理装置1のデータ処理・判定部13が、清掃作業スケジュール監視プログラム154に従って、第2通信処理部12を介して、清掃作業者通信端末3に、該当の清掃作業スケジュールデータ157を送信する(ステップS93)。このステップは、ステップS92で確立されている通信により実行される。
【0070】
また、清掃作業者通信端末3のデータ処理・判定部34が、清掃作業者通信端末3が記憶するプログラムに従って、受信した清掃作業スケジュールデータ157を、画面表示部32に表示する(ステップS92)。この結果、清掃作業者は、表示された清掃作業スケジュールデータ157を目視することで、自身の清掃作業予定を確認できる。この結果、清掃作業者は、清掃作業スケジュールデータ157に従って清掃作業を実施することになる。なお、清掃ロボットが清掃を実行する場合、ステップS94までの処理が省略され、当該清掃ロボットに対しステップS93での清掃作業スケジュールデータ157の送信が実行される。そして、清掃ロボットが、清掃作業スケジュールデータ157に従って清掃作業を実施することになる。
【0071】
また、清掃作業管理装置1のデータ処理・判定部13が、清掃作業スケジュール監視プログラム154に従って、時刻測定部14の時刻情報を用いて、継続的に清掃作業スケジュールデータ157の作業日時を監視する(ステップS95)。つまり、データ処理・判定部13は、清掃作業スケジュールデータ157が示す清掃作業時間帯になったかを判定する。この結果、清掃作業時間帯になった場合(Yes)、ステップS96に遷移する。清掃時間帯になっていない場合(No)、ステップS95での監視を継続する。
【0072】
また、データ処理・判定部13が、清掃作業スケジュール監視プログラム154に従って、第2通信処理部12を介して、清掃作業を実施する清掃作業者の清掃作業者通信端末3に、清掃作業時間連絡データを送信する(ステップS96)。この清掃作業時間連絡データは、清掃作業時間帯になったことを示すデータである。
【0073】
また、清掃作業者通信端末3の通信処理部31が、清掃作業時間連絡データを受信する。そして、データ処理・判定部34が、プログラムに従って、受信した清掃作業時間連絡データを、画面表示部32に表示する。このため、清掃作業者は、清掃作業時間帯になったことを把握できる。
【0074】
この結果、清掃作業者は、n階の清掃作業を実施することができる。そして、作業結果入力部33が、作業実施者から清掃作業を実施したことを受け付ける。この入力を受け、データ処理・判定部34が、プログラムに従って、通信処理部31を介して、清掃作業が実施されたことを示す清掃作業実施データを、清掃作業管理装置1に通知する(ステップS97)。
【0075】
また、清掃作業管理装置1の第2通信処理部12が、清掃作業実施データを受け付ける。そして、データ処理・判定部13が、清掃作業スケジュール監視プログラム154に従って、受け付けた清掃作業実施データを登録することで、清掃作業履歴158を更新する(ステップS98)。なお、清掃作業履歴158には、作業実施時間帯のほか、清掃時のゴミ集積量を入力することで、以後のゴミ集積量予測値(Q)値の精度向上を図ることができる。
【0076】
また、本実施形態では、図6で示した建屋の各フロアの推奨清掃作業間隔、推奨時間帯を算出し、図8で示したように建物管理者通信端末2にてn階の清掃収集作業時間帯を設定する。但し、その後、n階の利用人数が予測値から外れ、設定した清掃、ゴミ収集作業日時よりも早くゴミ箱が満杯になる可能性がある。例えば、図6では第1日の6時から8時に清掃作業を実施した後、第2日の18時から20時に清掃作業を実施すればゴミ箱は満杯にならない予測となっている。このように、清掃作業推奨度、清掃作業計画データおよび清掃作業スケジュールデータ157を始めとする清掃作業計画は、利用者数の実態(実測値)に応じて、変動することになる。そこで、本実施形態では、清掃作業計画を、ビルの利用人数の実態に即して調整する。以下その内容を説明する。
【0077】
図10は、本実施形態における清掃作業計画に含まれる清掃作業推奨度の調整の必要性の一例を示す図である。図10の清掃作業計画データでは、図7の清掃作業計画データに従って、清掃作業時間帯が決定された後、実際のn階の利用者数が予測を上回っていることを示している。このため、図10では、第2日の18時にはゴミ箱は満杯となり、ゴミ集積量が100%を超過する単位時間帯が発生している状態を示している。そこで、本実施形態では、清掃作業計画の作成周期中に、以下で説明する調整、つまり、再設定を実行する。
【0078】
図11は、本実施形態における清掃作業計画の一例である清掃作業スケジュールデータ157を再設定するための処理フローを示すフローチャートである。本実施形態では、上述のように特定された清掃作業時間帯よりも早く、ゴミ箱が満杯になり得る場合を想定している。
【0079】
まず、清掃作業管理装置1のデータ処理・判定部13が、清掃作業計画プログラム153に従って、ステップS56で推定されたゴミ集積量予測値の中に、100%(ゴミ満杯ライン)を超過するゴミ集積量予測値が存在しないか判定する(ステップS111)。この結果、存在する場合(Yes)、ステップS112に遷移する。また、存在しない場合(No)、本処理フローを終了する。
【0080】
また、データ処理・判定部13が、清掃作業計画プログラム153に従って、第2通信処理部12を介して、n階のゴミ集積量の注意喚起通知を、建物管理者通信端末2に送信する(ステップS112)。この注意喚起通知には、n階のゴミ集積量が100%を超過することを示し、対象の清掃場所(n階)やその単位時間帯が含まれる。
【0081】
また、建物管理者通信端末2の通信処理部21が、注意喚起通知を受け付ける。そして、データ処理・判定部24が、プログラムに従って、画面表示部22に、注意喚起通知を表示する。この結果、建物管理者がn階のゴミ集積量が100%を超えたことを把握でき、清掃作業スケジュールデータ157を見直すことができる。
【0082】
そこで、建物管理者通信端末2の作業指示入力部23が、建物管理者から清掃作業スケジュールデータ157に対する再設定指示を受け付ける。この再設定指示には、清掃作業推奨時間帯の指定が含まれる。そして、データ処理・判定部24が、プログラムに従って、通信処理部21を介して、再設定指示を、清掃作業管理装置1に送信する(ステップS113)。これを受けた、清掃作業管理装置1における清掃作業スケジュールデータ157の再設定手順は、図8のステップS83からステップS85での清掃作業スケジュールデータ157の作成と同様に実現できるため、その説明は省略する。
【0083】
このように、本実施形態では、ビルの人流データからn階の利用者数と、ゴミ集積量の時系列的な変化を推定し、作業許容指数(P)および清掃作業能力指数(R)を適切に設定する。このことによって、n階の利用者数が多い時間帯および、清掃員の作業が困難な深夜および昼休み時間帯の双方を回避しながら、適切な作業間隔で清掃、ゴミ収集作業スケジュールを設定することができる。
【0084】
また、清掃作業スケジュールデータ157を設定した後に、n階の利用者数予測が変化し、ゴミ集積量が清掃作業時間帯よりも早く満杯になることが予測された場合も清掃作業スケジュールデータ157を修正(再設定)することができる。このため、n階の利用者の快適性を保つ清掃作業を実現することができる。
【0085】
なお、本実施形態では、n階のゴミの回収を含む清掃作業を挙げたが、階床に限らず、清掃作業を行う区域に分けて管理することもできる。この際、人流データからそれぞれの区域の利用者数を推定することで清掃作業スケジュールデータ157等の清掃作業計画を作成すればよい。
【0086】
また、清掃作業員ではなく、清掃ロボットを使用した清掃作業を実行する場合は、以下のとおりの清掃作業スケジュールデータ157を作成することができる。清掃作業能力指数(R)を、n階の利用者の少ない単位時間帯を高く、反対にn階の利用者の多い時間帯を低く設定することによって、n階の利用者の少ない単位時間帯となるような清掃作業スケジュールデータ157とできる。
【0087】
このように、本実施形態では、ビルの人流データからn階の利用者数と、ゴミの集積量の時系列的な変化を推定し、かつ、作業許容指数(P)および清掃作業能力指数(R)を適切に設定する。このことによって、n階の利用者数が多い時間帯および、清掃員の作業が困難な深夜および昼休み時間帯の双方を回避しながら、適切な作業間隔で清掃、ゴミ収集作業スケジュールを設定することができる。
【0088】
また、本実施形態における清掃作業管理装置1については、各プログラムに従って処理を実行するコンピューターを例に説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ハードウエアで各処理を実行してもよいし、専用装置で実現してもよい。このため、清掃作業管理装置1については、図12に示す機能ブロック図で表すことができる。図12は、本実施形態における清掃作業管理装置1の機能ブロック図である。
【0089】
図12において、清掃作業管理装置1は、通信部101、利用者数推定部102、ゴミ集積量推定部103、清掃作業計画部104、清掃作業スケジュール管理部105、時刻測定部106および記憶部107を有する。
【0090】
以下、各部と図1の構成の関係を説明する。まず、通信部101は、第1通信処理部11および第2通信処理部12の機能を実現する。また、利用者数推定部102は、利用者数推定プログラム151に従ったデータ処理・判定部13の処理を実行する。また、ゴミ集積量推定部103は、ゴミ集積量推定プログラム152に従ったデータ処理・判定部13の処理を実行する。また、清掃作業計画部104は、清掃作業計画プログラム153に従ったデータ処理・判定部13の処理を実行する。また、清掃作業スケジュール管理部105は、清掃作業スケジュール監視プログラムに従ったデータ処理・判定部13の処理を実行する。
【0091】
また、時刻測定部106は、時刻測定部14の機能を実行する。また、記憶部107は記憶部15に相当し、人流データ155、清掃作業者データ156、清掃作業スケジュールデータ157および清掃作業履歴158を記憶する。
【符号の説明】
【0092】
1 清掃作業管理装置
11 第1通信処理部
12 第2通信処理部
13 データ処理・判定部
14 時刻測定部
15 記憶部
151 利用者数推定プログラム
152 ゴミ集積量推定プログラム
153 清掃作業計画プログラム
154 清掃作業スケジュール監視プログラム
155 人流データ
156 清掃作業者データ
157 清掃作業スケジュールデータ
158 清掃作業履歴
2 建物管理者通信端末
21 通信処理部
22 画面表示部
23 作業指示入力部
24 データ処理・判定部
3 清掃作業者通信端末
31 通信処理部
32 画面表示部
33 作業結果入力部
34 データ処理・判定部
4 人流センサー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12