(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068450
(43)【公開日】2024-05-20
(54)【発明の名称】パラレルリンク機構の設計支援装置
(51)【国際特許分類】
G06F 30/10 20200101AFI20240513BHJP
F16H 21/02 20060101ALI20240513BHJP
F16H 21/46 20060101ALI20240513BHJP
G06F 111/04 20200101ALN20240513BHJP
【FI】
G06F30/10
F16H21/02
F16H21/46
G06F111:04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178913
(22)【出願日】2022-11-08
(71)【出願人】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】千葉 玄明
(72)【発明者】
【氏名】勅使河原 誠一
【テーマコード(参考)】
3J062
5B146
【Fターム(参考)】
3J062AA39
3J062AB28
3J062AC10
3J062CB04
3J062CB30
3J062CB33
5B146DC05
5B146DJ05
(57)【要約】
【課題】設計者の負担を軽減できるパラレルリンク機構の設計支援装置を提供する。
【解決手段】パラレルリンク機構の設計支援装置であって、組み合わせ角度とツールの初期姿勢の角度を代入した第1次逆運動学方程式の判別式によりパラレルリンク機構の成立要件を満たすかを判定する。成立要件を満たすと判定した組み合わせ角度を第1次組み合わせ角度と認定する。第1次組み合わせ角度とツールの可動域から選択された選択姿勢角度を選択し、第2次逆運動学方程式に代入する。第2次逆運動学方程式の判別式によりパラレルリンク機構の成立要件を満たすかを判定する第2次絞り込み判定する。第2次絞り込み判定後、他の選択姿勢角度を選択し第2次絞り込み判定を繰り返し行う。ツールの姿勢角度の可動域における全てのツールの姿勢角度で成立要件を満たすと判定した第1次組み合わせ角度を第2次組み合わせ角度と認定する。
【選択図】
図18
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ツールの中心線上にある回転中心を中心に姿勢変換を行うパラレルリンク機構において、要求される前記ツールの姿勢角度の可動域を満たす設計変数を絞り込むパラレルリンク機構の設計支援装置であって、
前記パラレルリンク機構は、
固定ベースと、
前記ツールを支持するエンドエフェクタベースと、
前記固定ベースと前記エンドエフェクタベースとを連結する複数のリンク機構と、
を備え、
前記リンク機構は、
前記固定ベースに回転自在に連結する基部側ジョイントと、
一端が前記基部側ジョイントと連結する基部側リンクと、
前記基部側リンクの他端に設けられた中間ジョイントと、
前記中間ジョイントを介して一端が前記基部側リンクと回転自在に連結する先端側リンクと、
前記先端側リンクの他端と前記エンドエフェクタベースとを回転自在に連結する先端側ジョイントと、
を有し、
絞り込まれる前記設計変数は、
前記基部側ジョイントと前記中間ジョイントとがなす第1角度と、
前記中間ジョイントと前記先端側ジョイントとがなす第2角度と、
前記回転中心から前記固定ベースに引いた垂線である基準線と前記先端側ジョイントとがなす第3角度と、
前記基準線と前記基部側ジョイントとがなす第4角度と、
であり、
要求される前記ツールの姿勢角度の可動域と、
前記第1角度、前記第2角度、前記第3角度、及び前記第4角度のそれぞれが設定可能な所定の角度と、
を記憶し、
前記所定の角度から選択された前記第1角度、前記第2角度、前記第3角度、及び前記第4角度をそれぞれ含む組み合わせ角度であって、前記第1角度、前記第2角度、前記第3角度、及び前記第4角度のうち少なくとも1つが異なる複数の前記組み合わせ角度を準備し、
準備した複数の前記組み合わせ角度から1つの前記組み合わせ角度を選択し、
選択した前記組み合わせ角度と、前記ツールの初期姿勢の角度と、を第1次逆運動学方程式に代入し、
前記第1次逆運動学方程式の判別式により前記パラレルリンク機構の成立要件を満たすかを判定する第1次絞り込み判定し、
前記成立要件を満たすと判定した前記組み合わせ角度を第1次組み合わせ角度と認定し、
第1次絞り込み判定した後、改めて複数の前記組み合わせ角度から他の前記組み合わせ角度を選択し第1次絞り込み判定することを繰り返し行うことで、複数の前記組み合わせ角度を、複数の前記第1次組み合わせ角度に絞り込み、
複数の前記第1次組み合わせ角度から1つの前記第1次組み合わせ角度を選択し、
前記ツールの可動域から選択された選択姿勢角度を選択し、
選択した前記第1次組み合わせ角度と、前記選択姿勢角度と、を第2次逆運動学方程式に代入し、
前記第2次逆運動学方程式の判別式により前記パラレルリンク機構の成立要件を満たすかを判定する第2次絞り込み判定し、
第2次絞り込み判定した後、選択した前記第1次組み合わせ角度をそのままとし、改めて前記ツールの姿勢角度の可動域から他の前記選択姿勢角度を選択し第2次絞り込み判定することを繰り返し行うことで、前記ツールの姿勢角度の可動域における全ての前記ツールの姿勢角度で前記成立要件を満たすと判定した前記第1次組み合わせ角度を第2次組み合わせ角度と認定し、
選択した1つの前記第1次組み合わせ角度の前記第2次絞り込み判定が終了した場合、改めて複数の前記第1次組み合わせ角度から他の前記第1次組み合わせ角度を選択し第2次絞り込み判定することを繰り返すことで、複数の前記第1次組み合わせ角度を、第2次組み合わせ角度に絞り込む
パラレルリンク機構の設計支援装置。
【請求項2】
前記ツールが初期姿勢の場合における前記第1次組み合わせ角度の第1ヤコビアンを算出し、
前記ツールが前記選択姿勢角度の場合における前記第2次組み合わせ角度の第2ヤコビアンを算出し、
前記第1ヤコビアンの符号関数と前記第2ヤコビアンの符号関数を算出し、
前記第2ヤコビアンの符号関数と前記第2ヤコビアンの符号関数とが等しいかを特異点判定し、
等しくない判定した前記第1次組み合わせ角度を前記第2次組み合わせ角度に認定しない
請求項1に記載のパラレルリンク機構の設計支援装置。
【請求項3】
前記パラレルリンク機構の回転中心が前記ツールの先端に配置された場合、前記組み合わせ角度に含まれる前記第3角度の範囲を90°から180°未満に絞り込み、前記第4角度の範囲を0°から90°未満に絞り込む
請求項2に記載のパラレルリンク機構の設計支援装置。
【請求項4】
前記パラレルリンク機構がいずれの姿勢であっても前記中間ジョイントが前記回転中心よりも前記固定ベースの反対側に移動しない場合、前記組み合わせ角度を代入した前記中間ジョイントのZ成分が前記回転中心より前記固定ベース寄りにあるかを判定し、
前記中間ジョイントのZ成分が前記回転中心より前記固定ベース寄りにないと判定した前記組み合わせ角度を前記第1次組み合わせ角度に認定しない
請求項3に記載のパラレルリンク機構の設計支援装置。
【請求項5】
寸法条件である、前記パラレルリンク機構の外径最大値と、前記パラレルリンク機構の高さ最大値と、前記ツールの長さと、を記憶し、
複数の前記第2次組み合わせ角度から1つの前記第2次組み合わせ角度を選択し、
選択した前記第2次組み合わせ角度に含まれる前記第3角度と、前記ツールの長さに基づいて、前記エンドエフェクタベースの大きさを算出し、
算出した前記エンドエフェクタベースの大きさが、前記パラレルリンク機構の外径最大値以下となっているかの第3次絞り込み判定を行い、
前記パラレルリンク機構の外径最大値以下と判定した前記第2次組み合わせ角度を第3次組み合わせ角度と認定し、
前記第3次組み合わせ角度に含まれる前記第4角度に基づいて、前記固定ベースの大きさを算出し、
算出された前記固定ベースの大きさが、要求される前記パラレルリンク機構の外径最大値以下となっているかの第4次絞り込み判定を行い、
算出された前記固定ベースの大きさが、前記パラレルリンク機構の外径最大値以下となっていると判定した前記第3次組み合わせ角度を第4次組み合わせ角度と認定し、
前記第3次絞り込み判定で、前記パラレルリンク機構の外径最大値を超えると判定した場合、及び前記第4次絞り込み判定が終了した場合、改めて複数の前記第2次組み合わせ角度から他の前記第2次組み合わせ角度を選択し第3次絞り込み判定することを繰り返し行うことで、複数の前記第2次組み合わせ角度から前記第4次組み合わせ角度に絞り込む
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のパラレルリンク機構の設計支援装置。
【請求項6】
絞り込まれる前記設計変数は、前記基部側リンクのうち、前記基部側リンクの中間部から前記基部側ジョイントと連結する部分までの第1延在部長さであり、
前記第1延在部長さの設定可能な所定の長さを記憶し、
前記所定の長さから前記第1延在部長さを1つ選択し、
複数の前記第4次組み合わせ角度から1つの前記第4次組み合わせ角度を選択し、
選択された前記第4次組み合わせ角度と、選択された前記第1延在部長さに基づいて、前記中間ジョイントが径方向外側に張り出す第1張り出し量を算出し、
前記第1張り出し量が前記外径最大値の半分の半径最大値未満となるかを第5次絞り込み判定し、
前記第1張り出し量が前記外径最大値の半分の半径最大値未満と判定した前記第1延在部長さを第1次第1延在部長さと認定し、
前記第1次第1延在部長さと前記第4次組み合わせ角度に基づいて、前記先端側ジョイントが径方向外側に最も張り出す第2張り出し量を算出し、
前記第2張り出し量が前記半径最大値未満となるかを第6次絞り込み判定し、
前記第2張り出し量が前記半径最大値未満となると判定した前記第1次第1延在部長さを第2次第1延在部長さと認定し、
前記第5次絞り込み判定で、前記第1張り出し量が前記外径最大値の半分の半径最大値以上と判定された場合、及び、前記第6次絞り込み判定が収容した場合、前記第4次組み合わせ角度をそのままにしつつ、前記第1延在部長さを他の長さに変更し前記第5次絞り込み判定し、かつ前記第6次絞り込み判定することを繰り返し行うことで、前記第4次組み合わせ角度に対応する前記第1延在部長さを前記所定の長さから第2次第1延在部長さに絞り、
1つの前記第4次組み合わせ角度に対応する前記第1延在部長さを絞り終えた場合、複数の前記第4次組み合わせ角度から他の前記第4次組み合わせ角度を選択し、選択した他の前記第4次組み合わせ角度に対応する第2次第1延在部長さを絞り込む
請求項5に記載のパラレルリンク機構の設計支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パラレルリンク機構の設計支援装置。
【背景技術】
【0002】
近年、医療機器や産業機器などの装置に、パラレルリンク機構が用いられることがある。下記特許文献に示すように、パラレルリンク機構は、固定ベースと、固定ベースから離隔するエンドエフェクタベースと、固定ベースとエンドエフェクタベースとを連結する複数のリンク機構と、を備える。エンドエフェクタベースには、ツールが取り付けられる。複数のリンク機構のうち少なくとも1つに動力が伝達されると、エンドエフェクタベースは任意の点を中心に傾き、ツールの姿勢が変わる。そして、ツールの先端は、任意の点を中心とする仮想球面上を移動する。また、任意の点がツールの先端に配置されたパラレルリンク機構が検討されている。これによれば、ツールの先端が移動しないで、ツールの姿勢のみが変更される。以下、ツールの姿勢を変えることを姿勢変換と称する場合がある。また、任意の点を回転中心と称する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、パラレルリンク機構では、ツールの姿勢変換の可動域などの設計要求がある。そして、設計要求を満たす、例えば各ジョイントの角度やリンクの長さなどの設計変数は無数にある。よって、これらの各要素の設計変数を手計算で算出すると、多大な時間と労力が必要となる。このような事情から、パラレルリンク機構の各要素の設計変数を絞り込むことができる装置の開発が望まれている。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、設計者の負担を軽減できるパラレルリンク機構の設計支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明の一態様に係るパラレルリンク機構の設計支援装置は、ツールの中心線上にある回転中心を中心に姿勢変換を行うパラレルリンク機構において、要求される前記ツールの姿勢角度の可動域を満たす設計変数を絞り込む。前記パラレルリンク機構は、固定ベースと、前記ツールを支持するエンドエフェクタベースと、前記固定ベースと前記エンドエフェクタベースとを連結する複数のリンク機構と、を備える。前記リンク機構は、前記固定ベースに回転自在に連結する基部側ジョイントと、一端が前記基部側ジョイントと連結する基部側リンクと、前記基部側リンクの他端に設けられた中間ジョイントと、前記中間ジョイントを介して一端が前記基部側リンクと回転自在に連結する先端側リンクと、前記先端側リンクの他端と前記エンドエフェクタベースとを回転自在に連結する先端側ジョイントと、を有する。絞り込まれる前記設計変数は、前記基部側ジョイントと前記中間ジョイントとがなす第1角度と、前記中間ジョイントと前記先端側ジョイントとがなす第2角度と、前記回転中心から前記固定ベースに引いた垂線である基準線と前記先端側ジョイントとがなす第3角度と、前記基準線と前記基部側ジョイントとがなす第4角度と、である。要求される前記ツールの姿勢角度の可動域と、前記第1角度、前記第2角度、前記第3角度、及び前記第4角度のそれぞれが設定可能な所定の角度と、を記憶する。前記所定の角度から選択された前記第1角度、前記第2角度、前記第3角度、及び前記第4角度をそれぞれ含む組み合わせ角度であって、前記第1角度、前記第2角度、前記第3角度、及び前記第4角度のうち少なくとも1つが異なる複数の前記組み合わせ角度を準備する。準備した複数の前記組み合わせ角度から1つの前記組み合わせ角度を選択する。選択した前記組み合わせ角度と、前記ツールの初期姿勢の角度と、を第1次逆運動学方程式に代入する。前記第1次逆運動学方程式の判別式により前記パラレルリンク機構の成立要件を満たすかを判定する第1次絞り込み判定する。前記成立要件を満たすと判定した前記組み合わせ角度を第1次組み合わせ角度と認定する。第1次絞り込み判定した後、改めて複数の前記組み合わせ角度から他の前記組み合わせ角度を選択し第1次絞り込み判定することを繰り返し行うことで、複数の前記組み合わせ角度を、複数の前記第1次組み合わせ角度に絞り込む。複数の前記第1次組み合わせ角度から1つの前記第1次組み合わせ角度を選択する。前記ツールの可動域から選択された選択姿勢角度を選択する。選択した前記第1次組み合わせ角度と、前記選択姿勢角度と、を第2次逆運動学方程式に代入する。前記第2次逆運動学方程式の判別式により前記パラレルリンク機構の成立要件を満たすかを判定する第2次絞り込み判定する。第2次絞り込み判定した後、選択した前記第1次組み合わせ角度をそのままとし、改めて前記ツールの姿勢角度の可動域から他の前記選択姿勢角度を選択し第2次絞り込み判定することを繰り返し行うことで、前記ツールの姿勢角度の可動域における全ての前記ツールの姿勢角度で前記成立要件を満たすと判定した前記第1次組み合わせ角度を第2次組み合わせ角度と認定する。選択した1つの前記第1次組み合わせ角度の前記第2次絞り込み判定が終了した場合、改めて複数の前記第1次組み合わせ角度から他の前記第1次組み合わせ角度を選択し第2次絞り込み判定することを繰り返すことで、複数の前記第1次組み合わせ角度を、第2次組み合わせ角度に絞り込む。
【0007】
本開示によれば、組み合わせ角度(第1角度、第2角度、第3角度、及び第4角度)の設計変数が絞り込まれ、設計者の負担が軽減される。
【0008】
また、一態様に係る前記パラレルリンク機構の設計支援装置において、前記ツールが初期姿勢の場合における前記第1次組み合わせ角度の第1ヤコビアンを算出する。前記ツールが前記選択姿勢角度の場合における前記第2次組み合わせ角度の第2ヤコビアンを算出する。前記第1ヤコビアンの符号関数と前記第2ヤコビアンの符号関数を算出する。前記第2ヤコビアンの符号関数と前記第2ヤコビアンの符号関数とが等しいかを特異点判定する等しくない判定した前記第1次組み合わせ角度を前記第2次組み合わせ角度に認定しない。
【0009】
前記構成によれば、複数の組み合わせ角度のうち、パラレルリンク機構を制御できない特異点を含む組み合わせ角度が除外される。よって、組み合わせ角度(第1角度、第2角度、第3角度、及び第4角度)が絞り込まれ、設計者の負担がさらに軽減される。
【0010】
また、一態様に係る前記パラレルリンク機構の設計支援装置において、前記パラレルリンク機構の回転中心が前記ツールの先端に配置された場合、前記組み合わせ角度に含まれる前記第3角度の範囲を90°から180°未満に絞り込み、前記第4角度の範囲を0°から90°未満に絞り込む。
【0011】
前記構成によれば、組み合わせ角度(第1角度、第2角度、第3角度、及び第4角度)がさらに絞り込まれ、設計者の負担が大きく軽減される。
【0012】
また、一態様に係る前記パラレルリンク機構の設計支援装置において、前記パラレルリンク機構がいずれの姿勢であっても前記中間ジョイントが前記回転中心よりも前記固定ベースの反対側に移動しない場合、前記組み合わせ角度を代入した前記中間ジョイントのZ成分が前記回転中心より前記固定ベース寄りにあるかを判定する。前記中間ジョイントのZ成分が前記回転中心より前記固定ベース寄りにないと判定した前記組み合わせ角度を前記第1次組み合わせ角度に認定しない。
【0013】
前記構成によれば、組み合わせ角度(第1角度、第2角度、第3角度、及び第4角度)がさらに絞り込まれ、設計者の負担が大きく軽減される。
【0014】
また、一態様に係る前記パラレルリンク機構の設計支援装置において、寸法条件である、前記パラレルリンク機構の外径最大値と、前記パラレルリンク機構の高さ最大値と、前記ツールの長さと、を記憶する。複数の前記第2次組み合わせ角度から1つの前記第2次組み合わせ角度を選択する。選択した前記第2次組み合わせ角度に含まれる前記第3角度と、前記ツールの長さに基づいて、前記エンドエフェクタベースの大きさを算出する。算出した前記エンドエフェクタベースの大きさが、前記パラレルリンク機構の外径最大値以下となっているかの第3次絞り込み判定を行う。前記パラレルリンク機構の外径最大値以下と判定した前記第2次組み合わせ角度を第3次組み合わせ角度と認定する。前記第3次組み合わせ角度に含まれる前記第4角度に基づいて、前記固定ベースの大きさを算出する。算出された前記固定ベースの大きさが、要求される前記パラレルリンク機構の外径最大値以下となっているかの第4次絞り込み判定を行う。算出された前記固定ベースの大きさが、前記パラレルリンク機構の外径最大値以下となっていると判定した前記第3次組み合わせ角度を第4次組み合わせ角度と認定する。前記第3次絞り込み判定で、前記パラレルリンク機構の外径最大値を超えると判定した場合、及び前記第4次絞り込み判定が終了した場合、改めて複数の前記第2次組み合わせ角度から他の前記第2次組み合わせ角度を選択し第3次絞り込み判定することを繰り返し行うことで、複数の前記第2次組み合わせ角度から前記第4次組み合わせ角度に絞り込む。
【0015】
前記構成によれば、組み合わせ角度(第1角度、第2角度、第3角度、及び第4角度)がさらに絞り込まれ、設計者の負担が大きく軽減される。
【0016】
また、一態様に係る前記パラレルリンク機構の設計支援装置において、絞り込まれる前記設計変数は、前記基部側リンクのうち、前記基部側リンクの中間部から前記基部側ジョイントと連結する部分までの第1延在部長さである。前記第1延在部長さの設定可能な所定の長さを記憶する。前記所定の長さから前記第1延在部長さを1つ選択する。複数の前記第4次組み合わせ角度から1つの前記第4次組み合わせ角度を選択する。選択された前記第4次組み合わせ角度と、選択された前記第1延在部長さに基づいて、前記中間ジョイントが径方向外側に張り出す第1張り出し量を算出する。前記第1張り出し量が前記外径最大値の半分の半径最大値未満となるかを第5次絞り込み判定する。前記第1張り出し量が前記外径最大値の半分の半径最大値未満と判定した前記第1延在部長さを第1次第1延在部長さと認定する。前記第1次第1延在部長さと前記第4次組み合わせ角度に基づいて、前記先端側ジョイントが径方向外側に最も張り出す第2張り出し量を算出する。前記第2張り出し量が前記半径最大値未満となるかを第6次絞り込み判定する。前記第2張り出し量が前記半径最大値未満となると判定した前記第1次第1延在部長さを第2次第1延在部長さと認定する。前記第5次絞り込み判定で、前記第1張り出し量が前記外径最大値の半分の半径最大値以上と判定された場合、及び、前記第6次絞り込み判定が収容した場合、前記第4次組み合わせ角度をそのままにしつつ、前記第1延在部長さを他の長さに変更し前記第5次絞り込み判定し、かつ前記第6次絞り込み判定することを繰り返し行うことで、前記第4次組み合わせ角度に対応する前記第1延在部長さを前記所定の長さから第2次第1延在部長さに絞る。1つの前記第4次組み合わせ角度に対応する前記第1延在部長さを絞り終えた場合、複数の前記第4次組み合わせ角度から他の前記第4次組み合わせ角度を選択し、選択した他の前記第4次組み合わせ角度に対応する第2次第1延在部長さを絞り込む。
【0017】
前記構成によれば、各組み合わせ角度(第1角度、第2角度、第3角度、及び第4角度)に対応する第1延在部長さが絞り込まれる。よって、設計者の負担が軽減される。
【発明の効果】
【0018】
本開示のパラレルリンク機構の設計支援装置によれば、設計者の負担を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、実施形態に係るパラレルリンク機構を側方から視た側面図である。
【
図2】
図2は、各基部側ジョイントを軸方向に切った断面図である。
【
図3】
図3は、エンドエフェクタベースから第2方向(基部側ジョイントの方)を見た図である。
【
図4】
図4は、パラレルリンク機構(ツールを外した状態)を第1方向から視た図である。
【
図5】
図5は、各ジョイントの回転軸の延長線を指す方向を説明するための図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係るパラレルリンク機構が作動した状態を示す側面図である。
【
図7】
図7は、変形例に係るパラレルリンク機構であり、作動した状態を側方から視た側面図である。
【
図8】
図8は、パラレルリンク機構の各要素の説明するための模式図である。
【
図9】
図9は、ツールの姿勢変換行列を説明するための図である。
【
図10】
図10は、パラレルリンク機構のエンドエフェクタベースと固定ベースの定義を説明するための模式図である。
【
図11】
図11は、パラレルリンク機構の基部側リンクを説明するための模式図である。
【
図13】
図13は、パラレルリンク機構の基部側リンクを説明するための模式図である。
【
図15】
図15は、先端側リンクの張り出し量を説明するための図である。
【
図16】
図16は、パラレルリンク機構の寸法を説明するための模式図である。
【
図17】
図17は、設計支援装置の絞り込み作業におけるフローを示す図である。
【
図18】
図18は、判別式を用いた組み合わせ角度の絞り込み作業におけるフローを示す図である。
【
図19】
図19は、ツールの初期の姿勢角度を用いた組み合わせ角度の絞り込みのフローを示す図である。
【
図20】
図20は、第1次絞り込み判定のフローを示す図である。
【
図21】
図21は、ツールの姿勢角度の可動域を用いた組み合わせ角度の絞り込みのフローを示す図である。
【
図22】
図22は、第2次絞り込み判定のフローを示す図である。
【
図23】
図23は、要求される寸法条件を用いた絞り込みのフローを示す図である。
【
図24】
図24は、第1次絞り込み判定のフローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で発明した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0021】
図1は、実施形態に係るパラレルリンク機構を側方から視た側面図である。
図2は、各基部側ジョイントを軸方向に切った断面図である。
図3は、エンドエフェクタベースから第2方向(基部側ジョイントの方)を見た図である。
図4は、パラレルリンク機構(ツールを外した状態)を第1方向から視た図である。
図5は、各ジョイントの回転軸の延長線を指す方向を説明するための図である。
図6は、実施形態に係るパラレルリンク機構が作動した状態を示す側面図である。
図7は、変形例に係るパラレルリンク機構であり、作動した状態を側方から視た側面図である。
【0022】
最初に、実施形態に係るパラレルリンク機構の基本構成について説明する。
図1に示すように、実施形態のパラレルリンク機構100は、土台101に固定された固定ベース1と、一端が固定ベース1と連結する複数のリンク機構3と、固定ベース1に設けられた複数のモータ6と、複数のリンク機構3の他端と連結するエンドエフェクタベース50と、を備える。
【0023】
固定ベース1は、板状を成している。固定ベース1は、土台101の表面101aに沿って延在している。固定ベース1は、図示しないボルトにより土台101に固定されている。固定ベース1は、エンドエフェクタベース50の方を向く第1面1aを有する。第1面1aは平坦な面である。固定ベース1の中央部には、第1面1aに対して法線方向に延在する仮想上の基準線Zが設定されている。この基準線Zは、パラレルリンク機構100の各部品を配置するうえで基準となる。言い換えると、基準線Zは、固定座標であり、ベースを基準とする座標系の基準となる。固定ベース1の第1面1aの中央部には、固定部1bが設けられている。固定部1bは、エンドエフェクタベース50の方に開口する孔1cが設けられている(
図2参照)。
【0024】
以下の説明において、基準線Zと平行な方向を軸方向と称する。軸方向のうち固定ベース1から視てエンドエフェクタベース50が配置される方向を第1方向H1と称する。軸方向のうちエンドエフェクタベース50から視て固定ベース1が配置される方向を第2方向H2と称する。基準線Zに直交する方向(第1面1aと平行な方向)を水平方向と称する。水平方向において、基準線Zから離隔する方向を径方向外側と称する。水平方向において、基準線Zに向かう方向を径方向内側と称する。
【0025】
図1に示すように、モータ6は、固定ベース1の第1面1aに固定されている。モータ6は、リンク機構3と同数(3つ)設けられている。3つのモータ6は、基準線Zを中心に120°間隔で配置されている。固定ベース1の第1面1aには、2つの台座4、5が設けられている。台座5は、台座4よりも第1方向H1への突出量が大きい。3つのモータ6のうち1つは、固定ベース1の第1面1aに配置されている。3つのモータ6のうち1つは、台座4に配置されている。3つのモータ6のうち残り1つは、台座5に設定されている。これにより、3つのモータ6は、軸方向の位置がそれぞれ異なる。以下、3つのモータ6を固定ベース1寄りに配置される順に、第1モータ7、第2モータ8、第3モータ9と称する。第1モータ7の出力軸7aは、第1方向H1を向いている。出力軸7aには、駆動プーリ7bが設けられている。同様に、第2モータ8の出力軸8aと第3モータ9の出力軸9aは、第1方向H1を向き、駆動プーリ8b、9bが設けられている。
【0026】
本実施形態において、リンク機構3の数は3つとなっている。以下、3つのリンク機構を第1リンク機構10、第2リンク機構20、第3リンク機構30と称する。リンク機構3(第1リンク機構10、第2リンク機構20、第3リンク機構30)は、それぞれ共通する技術適用要素として、基部側ジョイント(第1基部側ジョイント11、第2基部側ジョイント21、第3基部側ジョイント31)と、基部側リンク(第1基部側リンク13、第2基部側リンク23、第3基部側リンク33)と、中間ジョイント(第1中間ジョイント14、第2中間ジョイント24、第3中間ジョイント34)と、先端側リンク(第1先端側リンク15、第2先端側リンク25、第3先端側リンク35)と、先端側ジョイント(第1先端側ジョイント16、第2先端側ジョイント26、第3先端側ジョイント36(
図1において不図示。
図4参照。))を備える。
【0027】
図2に示すように、基部側ジョイント(第1基部側ジョイント11、第2基部側ジョイント21、第3基部側ジョイント31)は、円柱状の軸2と、軸2に回転自在に嵌合する円筒部(第1円筒部12、第2円筒部22、第3円筒部32)を備える。
【0028】
軸2は、軸方向に延在している。軸2の第2方向H2の端部は、固定部1bの孔1cに嵌合している。これにより、軸2は、固定ベース1と一体化し、軸2の中心は、基準線Zと重なる。軸2の第1方向H1の端部には、軸2の外周面2aよりも径方向外側に膨出する抜け止め部2bが設けられている。この抜け止め部2bは、第1円筒部12と第2円筒部22と第3円筒部32が軸2から抜けることを規制している。
【0029】
第1円筒部12は、軸2の外周側に嵌合している。第1円筒部12の内周面12aは、軸2の外周面2aに摺動自在に当接している。第1円筒部12の外周面には、第2方向H2から第1方向H1へ順に、第1従動プーリ12b、第1被嵌合面12c、第1連結面12dが設けられている。
図1に示すように、第1従動プーリ12bは、第1モータ7の駆動プーリ7bに対し、水平方向に配置されている。第1従動プーリ12bと駆動プーリ7bには、図示しない無端ベルトが懸架されている。よって、第1モータ7が駆動すると、その動力が第1円筒部12に伝達される。そして、第1円筒部12は、軸2(基準線Z)を中心に回転する。また、第1被嵌合面12cと第1連結面12dは、断面形状が円形状となっている。第1円筒部12の第1方向H1の端面には、第2方向H2に窪む凹部12eが設けられている。凹部12eには、抜け止め部2bが収容されている。なお、本実施形態では、第1円筒部12の内周面12aが軸2の外周面2aに摺動自在に当接しているが、第1円筒部12の回転をより円滑とするため、本発明は、第1円筒部12の内周面12aと軸2の外周面2aとの間に軸受を介在させてもよい。
【0030】
図2に示すように、第2円筒部22は、第1円筒部12の第1被嵌合面12cの外周側に嵌合している。第2円筒部22の内周面22aは、第1被嵌合面12cに摺動自在に当接している。第2円筒部22の外周面には、第2方向H2から第1方向H1へ順に、第2従動プーリ22b、第2被嵌合面22c、第2連結面22dが設けられている。
図1に示すように、第2従動プーリ22bは、第2モータ8の駆動プーリ8bに対し、水平方向に配置されている。第2従動プーリ22bと駆動プーリ8bには、図示しない無端ベルトが懸架されている。よって、第2モータ8が駆動すると、その動力が第2円筒部22に伝達される。そして、第2円筒部22は、軸2(基準線Z)を中心に回転する。また、第2被嵌合面22cと第2連結面22dは、断面形状が円形状となっている。なお、本実施形態では、第2円筒部22の内周面22aが第1円筒部12の第1被嵌合面12cに摺動自在に当接しているが、第2円筒部22の回転をより円滑とするため、本発明は、第2円筒部22の内周面22aと第1円筒部12の第1被嵌合面12cとの間に軸受を介在させてもよい。
【0031】
図2に示すように、第3円筒部32は、第2円筒部22の第2被嵌合面22cに外周側に嵌合している。第3円筒部32の内周面32aは、第2被嵌合面22cに摺動自在に当接している。第3円筒部32の外周面には、第2方向H2から第1方向H1へ順に、第3従動プーリ32b、第3連結面32cが設けられている。
図1に示すように、第3従動プーリ32bは、第3モータ9の駆動プーリ9bに対し、水平方向に配置されている。第3従動プーリ32bと駆動プーリ9bとには、図示しない無端ベルトが懸架されている。よって、第3モータ9が駆動すると、その動力が第3円筒部32に伝達される。そして、第3円筒部32は、軸2(基準線Z)を中心に回転する。また、第3連結面32cは、断面形状が円形状となっている。なお、本実施形態では、第3円筒部32の内周面32aが第2円筒部22の第2被嵌合面22cに摺動自在に当接しているが、第3円筒部32の回転をより円滑とするため、本発明は、第3円筒部32の内周面32aと第2円筒部22の第2被嵌合面22cとの間に軸受を介在させてもよい。
【0032】
なお、駆動プーリ7bと第1従動プーリ12bに懸架される図示しない無端ベルトと、駆動プーリ8bと第2従動プーリ22bに懸架される図示しない無端ベルトと、駆動プーリ9bと第3従動プーリ32bに懸架される図示しない無端ベルトとは、それぞれ軸方向の位置が異なる。このため、各無端ベルトは互いに干渉しない。
【0033】
図3に示すように、基部側リンク(第1基部側リンク13、第2基部側リンク23、第3基部側リンク33)は、径方向に延在し、一端が径方向内側を指し、他端が径方向外側を指している。第1基部側リンク13の一端は、第1円筒部12の第1連結面12dに接続している。第2基部側リンク23の一端は、第2円筒部22の第2連結面22dに接続している。第3基部側リンク33の一端は、第3円筒部32の第3連結面32cに接続している。第1基部側リンク13と第2基部側リンク23と第3基部側リンク33は、パラレルリンク機構100の作動開始時、軸2を中心に120°間隔で配置されている。
【0034】
先端側リンク(第1先端側リンク15、第2先端側リンク25、第3先端側リンク35)の一端は、中間ジョイント(第1中間ジョイント14、第2中間ジョイント24、第3中間ジョイント34)を介して、基部側リンク(第1基部側リンク13、第2基部側リンク23、第3基部側リンク33)の他端と連結している。第1先端側リンク15、第2先端側リンク25、第3先端側リンク35は、パラレルリンク機構100の作動開始時、軸2を中心に周方向に延在するように配置されている。
【0035】
中間ジョイント(第1中間ジョイント14、第2中間ジョイント24、第3中間ジョイント34)と、先端側ジョイント(第1先端側ジョイント16、第2先端側ジョイント26、第3先端側ジョイント36)は、回転自在に部品同士を連結するものである。本実施形態では、ボルトとナットにより構成されている。よって、回転軸(
図5に示すM1、M2、M3、N1、N2の回転軸の延長線を参照)は、ボルトの軸部の中心となる。
【0036】
なお、ボルトの軸部を貫通させるため、先端側リンク(第1先端側リンク15、第2先端側リンク25、第3先端側リンク35)の他端には、貫通孔15a、25a、35aが設けられている。同様に、基部側リンク(第1基部側リンク13、第2基部側リンク23、第3基部側リンク33)の他端と、先端側リンク(第1先端側リンク15、第2先端側リンク25、第3先端側リンク35)の一端にも、図示しない貫通孔が設けられている。
【0037】
基部側リンクの径方向の長さに関し、第1基部側リンク13、第2基部側リンク23、第3基部側リンク33の順で長さが短い。同様に、先端側リンクの長さに関し、第1先端側リンク15、第2先端側リンク25、第3先端側リンク35の順で長さが短い。これにより、パラレルリンク機構100の作動時、第1リンク機構10は、第2リンク機構20と第3リンク機構30の内周側を移動する。また、第2リンク機構20は、第1リンク機構10の外周側であり、第3リンク機構30の内周側を移動する。第3リンク機構30は、第1リンク機構10と第2リンク機構20の外周側を移動する。つまり、3つのリンク機構3は、互いに接触しないようになっている。
【0038】
基部側リンク(第1基部側リンク13、第2基部側リンク23、第3基部側リンク33)、先端側リンク(第1先端側リンク15、第2先端側リンク25、第3先端側リンク35)は、円筒部(12、22、32)やツール110との接触を回避するため、適宜屈曲している。詳細には、基部側リンク(第1基部側リンク13、第2基部側リンク23、第3基部側リンク33)のそれぞれは、
図1に示す第2基部側リンク23のように、基部側リンクの中間部が折れ曲がっている。よって、基部側リンクは、先端側ジョイントから中間部まで直線状に延在する第1延在部104と、中間部から中間ジョイントまで直線状に延在する第2延在部105と、を有している。
【0039】
図4に示すように、エンドエフェクタベース50は、円形板状の本体部51と、本体部51の外周側から径方向外側に突出する突出部52と、本体部51の中央部に設けられた支持部53と、を備えている。
【0040】
図1に示すように、本体部51は、パラレルリンク機構100の作動開始時、水平方向に延在している。本体部51の第1方向H1の面は、ツール110の先端側が向く方向を向く第1面51aである。本体部51の第2方向H2の面は、固定ベース1と対向する対向面51bである。
【0041】
図4に示すように、突出部52の径方向外側の端部には、台座54が設けられている。各台座54は、先端側ジョイント(第1先端側ジョイント16、第2先端側ジョイント26、第3先端側ジョイント36)を介して、先端側リンク(第1先端側リンク15、第2先端側リンク25、第3先端側リンク35)の他端が連結している。また、台座54は、先端側ジョイント(第1先端側ジョイント16、第2先端側ジョイント26、第3先端側ジョイント36)の回転軸の延長線(
図5に示すN1、N2を参照)がツール110の第1方向H1の端部(ツール110の先端P側)を向くように、傾斜している。
【0042】
支持部53は、軸方向に貫通する保持穴53aを有し、円筒状を成している。支持部53は、本体部51の第1面51aに設けられている。保持穴53aは、本体部51を貫通している。ツール110は、保持穴53aに挿入され、保持穴53aに嵌合している。
図1に示すように、ツール110は、エンドエフェクタベース50を貫通している。つまり、ツール110は、対向面51bよりも第2方向H2に突出している。また、支持部53には、支持部53を径方向に貫通するボルト53bが設けられている。ボルト53bは、支持部53に螺合している。ボルト53bを回転させると、保持穴53a内への突出量が変わるようになっている。そして、このボルト53bにより、ツール110は、保持穴53aから脱落しないように保持されている。
【0043】
ツール110は、第1方向H1の端部が径方向外側に膨出した形状となっている。ツール110の第1方向H1の端面は、円形の平坦面となっている。ツール110の第1方向H1の端面の中央部は、基準線Z上にある。以下、ツール110の第1方向H1の端面の中央部を先端Pと称する。
【0044】
つぎに、パラレルリンク機構100の詳細について説明する。パラレルリンク機構100は、少なくとも1つ以上のモータ6が駆動すると、エンドエフェクタベース50が傾き、ツール110の姿勢を変更する(
図6参照)。パラレルリンク機構100の作動時、任意の点を中心にエンドエフェクタベース50及びツール110が傾く。任意の点は、各ジョイントの回転軸の延長線が交わる交点である。つぎに、各ジョイントの回転軸の延長線が交わる交点(任意の点)について説明する。
【0045】
図5に示すように、第1基部側ジョイント11と第2基部側ジョイント21と第3基部側ジョイント31の回転軸は、基準線Zと重なっている。このため、第1基部側ジョイント11と第2基部側ジョイント21と第3基部側ジョイント31の回転軸の延長線は、ツール110の先端Pを通過している。第1中間ジョイント14の回転軸の延長線M1と、第2中間ジョイント24の回転軸の延長線M2と、第3中間ジョイント34の回転軸の延長線M3は、ツール110の先端Pで交わる。第1先端側ジョイント16の回転軸の延長線N1と、第2先端側ジョイント26の回転軸の延長線N2と、第3先端側ジョイント36の回転軸の延長線(実施形態において不図示。変形例の
図7の延長線N3を参照)は、ツール110の先端Pで交わる。以上から、各基部側ジョイントの回転軸の延長線と、各中間ジョイントの回転軸の延長線と、各前記先端側ジョイントの回転軸の延長線と、は、ツール110の先端Pで交わる。よって、実施形態において、任意の点は、ツール110の先端Pにある。従って、
図6に示すように、実施形態のパラレルリンク機構100が作動すると、ツール110は先端Pを中心に姿勢変換を行う。よって、ツール110の先端Pの位置は変位しない。
【0046】
なお、本開示のパラレルリンク機構は、上記したパラレルリンク機構100に限定されない。変形例のパラレルリンク機構100Aについて説明する。なお、実施形態において、説明した構成と技術的に同じ構成については、実施形態と同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0047】
図7に示すように、変形例のパラレルリンク機構100Aは、モータ6を備えていない点で、実施形態のパラレルリンク機構100と相違する。また、変形例のパラレルリンク機構100Aは、各基部側ジョイント(11A、21A、31A)が同軸上となっていない点で、実施形態のパラレルリンク機構100と相違する。以下、相違点に絞って説明する。
【0048】
変形例では、パラレルリンク機構100Aが固定される図示しない装置(又は土台)の方にモータが設けられている。そして、3つのリンク機構3(10、20,30)は、図示しない装置(又は土台)のモータから動力が伝達されて作動する。このように、本発明のパラレルリンク機構は、モータを備えていなくてもよい。なお、パラレルリンク機構100Aが固定される図示しない装置の方に設置される3つのモータの位置に関し、特に制限はない。
【0049】
各基部側ジョイント(11A、21A、31A)は、固定ベース1の第1面a上に、分散して配置されている。また、各基部側ジョイント(11A、21A、31A)の回転軸の延長線(
図7において第1基部側ジョイント11Aの回転軸の延長線Lのみ図示。)は、互いにツール110の先端Pで交わっている。以上、変形例のパラレルリンク機構100Aによっても、エンドエフェクタベース50は、ツール110の先端Pを中心に傾く。よって、ツール110の先端Pの位置は変位しない。
【0050】
次に、パラレルリンク機構の設計支援装置について説明する。パラレルリンク機構の設計支援装置は、例えば、コンピュータ(情報処理装置)によって構成される。コンピュータとしては、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット端末などが例示される。コンピュータは、プログラムを実行することで設計支援装置として機能する。プログラムは、コンピュータの内部の記憶部に記憶されていてもよく、コンピュータの外部の記憶装置に記憶されていてもよい。
【0051】
また、パラレルリンク機構の設計支援装置は、装置本体と、入力部と、表示部と、を備えている。入力部としては、例えば、キーボードやマウス、タッチパネルなどが挙げられる。表示部としては、ディスプレイやタッチパネル、プリンタなどが挙げられる。また、装置本体は、処理部と、記憶部と、を備える。処理部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサが記憶部に格納されたプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。又は、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることでインストールされてもよい。
【0052】
次に、パラレルリンク機構の設計支援装置の説明で使用する文言を説明する。各文言について、以下の表1に示すように定義する。
【0053】
【0054】
図8は、パラレルリンク機構の各要素の説明するための模式図である。
図8に示すように、座標系は、基準線Zと平行な方向を「Z
0」とする。よって、基準線Zと直交する一方向を「X
0」とする。また、「X
0」と「Z
0」の両方に直交する方向を「Y
0」とする。
【0055】
図8と表1に示すように、「i」は、固定ベース1とエンドエフェクタベース50とを連結する連鎖(リンク機構)のインデックスである。実施形態において、リンク機構は3つあるため、「i」は、1、2、3のいずれかとなる。i=1の場合、第1リンク機構10を示す。i=2の場合、第2リンク機構20を示す。i=3の場合、第3リンク機構30を示す。
【0056】
「ui」は、基部側ジョイントの方向ベクトルである。「wi」は、中間ジョイントの方向ベクトルである。「vi」は、先端側ジョイントの方向ベクトルである。下付きの「i」はインデックスである。よって、例えば「u1」は、第1基部側ジョイント11の方向ベクトルである。「w2」は、第2中間ジョイント23の方向ベクトルである。「v3」は、第3先端側ジョイント36の方向ベクトルである。また、「ui」と「wi」と「vi」は、それぞれ単位ベクトルである。
【0057】
「n」はツール110の方向ベクトルである。「α1i」は、「ui」と「wi」とがなす角度である。「α2i」は、「wi」と「vi」とがなす角度である。「βi」は、「Z0」と「vi」とがなす角度である。「γi」は、「Z0」と「ui」とがなす角度である。「ηi」は、隣接する連鎖(リンク機構)同士の取付位相である。言い換えると、「u1(第1基部側ジョイント11)」と「u2(第2基部側ジョイント21)」がなす角度である。若しくは、「v1(第1先端側ジョイント16)」と「v2(第2先端側ジョイント26)」がなす角度である。「θi」は、「ui」回りの回転角度である。
【0058】
上記した「α1i」と「α2i」と「βi」と「γi」のそれぞれは、本実施形態で変数の絞り込みが行われる対象である。以下、「α1i」を第1角度と称する。「α2i」を第2角度と称する。「βi」を第3角度と称する。「γi」を第4角度と称する。
【0059】
次に、パラレルリンク機構の成立条件について説明する。
図9は、ツールの姿勢変換行列を説明するための図である。
図9に示すように、パラレルリンク機構の初期姿勢((ψ,θ,Φ)=(0,0,0))の場合、ツール110が第1方向H1を向く。よって、ツール110の方向ベクトルはn
0=(0,0,1)となる。そして、パラレルリンク機構が姿勢変換する場合の姿勢変換行列をQ(ψ,θ,Φ)とすると、姿勢変換後のツール110は、n=Q(ψ,θ,Φ)n
0と表すことができる。
【0060】
また、パラレルリンク機構の初期姿勢(ψ,θ,Φ)=(0,0,0)の場合、先端側ジョイントの方向ベクトルvi
*は、以下の式(1)に示す通りとなる。
【0061】
【0062】
連鎖(リンク機構)の数をNとした場合、ツール110の方向ベクトルと先端側ジョイントの方向ベクトルviは、以下の式(2)に示す通りとなる。
【0063】
【0064】
なお、n=Q(ψ,θ,Φ)n0の関係を考慮すると、式(2)は、以下の式(3)となる。
【0065】
【0066】
ベクトルuiは、以下の式(4)となる。ベクトルwiは、以下の式(5)となる。また、ベクトルui、wiは、以下の式(6)の内積関係を有している。ベクトルwi、viは、以下の式(7)の内積関係を有している。
【0067】
【0068】
【0069】
【0070】
【0071】
以上から、パラレルリンク機構100の成立条件は、全てのインデックスi(i=1,2,3,・・・N)に対し、式(6)が常に成立し、かつ、式(7)において、θiに対して少なくても解を1つ持つことである。式(7)を、以下、逆運動学方程式と称する。また、式(7)において、θiに対して少なくても解を1つ持つか否かは判別式により分かる。よって、本実施形態では、逆運動学方程式の判別式を用いて、θiに対して少なくても解を1つ以上持つ第1角度α1i、第2角度α2i、第3角度βi、及び第4角度γiに絞り込んでいる。
【0072】
つぎに、ツール110の先端に姿勢変換の回転中心Pを配置した場合、パラレルリンク機構100に発生する制約条件について説明する。ツール110の先端に姿勢変換の回転中心Pを配置した場合、以下に示す式(8)と式(9)の制約条件が発生する。
【0073】
【0074】
【0075】
式(8)は、先端側ジョイントが回転中心Pよりも常に第2方向H2(固定ベース1側)に存在している、ということを示している。また、式(9)は、基部側ジョイントが回転中心Pよりも常に第2方向H2(固定ベース1側)に存在している、ということを示している。この式(8)及び式(9)により、第3角度βi、と第4角度γiの設計変数の範囲が絞られる。
【0076】
また、第1角度α1iから第4角度γiの設計変数を絞るため、以下の式(10-2)を使用してもよい。
【0077】
【0078】
式(10-1)は、パラレルリンク機構100がいずれの姿勢であっても中間ジョイントが回転中心Pよりも上に存在しない、ということを示している。この式(10-1)を満たさない場合、中間ジョイントがツール110の先端よりも第1方向H1に配置され、作業環境と接触する可能性がある。よって、このようなことを回避するという条件から式(10-1)が導出される。また、式(10-1)に関しては、式(9)より(0°<γi<90°のため)、式(10-2)に変換される。
【0079】
次に、リンクの長さを絞り込むために使用する式について説明する。
図10は、パラレルリンク機構のエンドエフェクタベース50と固定ベース1の定義を説明するための模式図である。
図10に示すように、第1角度α
1iから第4角度γ
iの設計変数を用いつつ、固定ベース1の水平方向の大きさD
fbは、以下の式(11-1)で表すことができる。
【0080】
【0081】
式(11-2)は、式(11-1)を整理したものである。なお、Hは、回転中心Pから固定ベース1までの距離(高さ)である。hは、固定ベース1とエンドエフェクタベース50との距離である。leeは、ツール110のうち、エンドエフェクタベース50から上方に延在している部分の長さである。
【0082】
図10に示すように、エンドエフェクタベース50の水平方向の大きさは、以下の式(12-1)で表すことができる。なお、式(12-2)は、式(12-1)を整理したものである。
【0083】
【0084】
図11は、パラレルリンク機構の基部側リンクを説明するための模式図である。
図12は、
図11を簡略化した図である。
図11、
図12に示す仮想三角形は、先端側ジョイントと、中間ジョイントと、回転中心と、を結ぶ三角形である。この三角形を基に、回転中心と先端側ジョイントとの距離l
1iは、以下の式(13-1)と表すことができる。
【0085】
【0086】
回転中心と先端側ジョイントとの距離l2iは、上記の式(13-2)と表すことができる。また、基部側リンクは、中間点が屈曲している。よって、基部側リンクは、第1延在部104の長さL1piと第2延在部105の長さL1siとの関係は、上記の式(13-3)と表すことができる。また、基準線から径方向外側に、中間ジョイントの張り出し量R1iは、上記の式(13-4)と表すことができる。
【0087】
図13は、パラレルリンク機構の基部側リンクを説明するための模式図である。
図14は、
図13を簡略化した図である。
図15は、先端側リンクの張り出し量を説明するための図である。
図13から
図15に示すように、先端側リンクの長さL
2iは、以下の式(14-1)となる。また、回転中心pから先端側ジョイントまでの距離l
3iは、以下の式(14-2)となる。
【0088】
【0089】
回転中心Pと、固定ベースと基準線との交点と、先端側ジョイントと、を結ぶ三角形の三角関数は、以下の式(15-1)となる。
【0090】
【0091】
回転中心Pと、固定ベースと基準線との交点と、先端側ジョイントと、を結ぶ三角形の内角の和から式(15-2)が算出される。また、基準線から径方向外側に、基部側リンクが張り出している張り出し量R2iは、以下の式(15-3)と表すことができる。先端側ジョイントの張り出し量R2iを算出する際、式(15-1)と式(15-3)は、式(15-3)に代入される。
【0092】
図16は、パラレルリンク機構の寸法を説明するための模式図である。
図16に示すように、パラレルリンク機構に対し、寸法の制限が与えられる場合がある。なお、この寸法とは、ツールが初期姿勢の場合に限らず、ツールがいずれの姿勢であっても要求される寸法である。また、以下において、要求寸法に関し、基準軸X方向の最大の長さを、高さ最大値H
MAXと称すると、基準軸を中心とする円形(水平方向)の最大の大きさを外径最大値と称する。このような場合において、エンドエフェクタベース50の直径D
ebは、以下の式(16-1)を満たす必要がある。
【0093】
【0094】
また、固定ベース1の直径Dfbは、上記の式(16-2)を満たす必要がある。中間ジョイントの張り出し量R1iは、上記の式(16-3)を満たす必要がある。先端側ジョイントの張り出し量R2iは、上記の式(16-4)を満たす必要がある。そして、本実施形態では、式(16-1)から式(16-4)を用いて第1角度α1i、第2角度α2i、第3角度βi、及び第4角度γiに絞り込んでいる。
【0095】
パラレルリンク機構の設計支援装置は、パラレルリンク機構を構成する要素の設計変数を絞り込む装置である。本実施形態で絞り込むことができる要素は、第1角度α1iから第4角度γiと、基部側リンクの第1延在部104の長さL1pi(以下、第1延在部長さL1piと称する)である。
【0096】
設計支援装置は、第1角度α1i、第2角度α2i、第3角度βi、及び第4角度γiのそれぞれを一組として絞り込んでいる。言い換えると、設計支援装置は、例えば第2角度α2iと第3角度βiと第4角度γiとの関係を無視して、第1角度α1iの設計変数を絞り込む、というものではない。よって、設計支援装置は、第1角度α1iと第2角度α2iと第3角度βiと第4角度γiとのそれぞれを含む組み合わせ角度(α1i,α2i,βi,γi)を複数準備する。そして、複数の組み合わせ角度(α1i,α2i,βi,γi)から有効な設計変数となるものを選択している。以下、簡略化のため、組み合わせ角度(α1i,α2i,βi,γi)のうち(α1i,α2i,βi,γi)を表記しない場合がある。
【0097】
また、第1延在部長さL1piは、複数の組み合わせ角度のそれぞれに対応し、設計変数が絞り込まれる。言い換えると、組み合わせ角度ごとに、第1延在部長さL1piの設計変数が絞り込まれている。よって、第1延在部長さL1piは、組み合わせ角度に関連付けられている。
【0098】
なお、第1延在部長さL1piが絞り込まれた場合、その第1延在部長さL1piと、第1延在部長さL1piに関連付けられた組み合わせ角度の第1角度α1iと、を式(13-3)に代入することで、間接的に第2延在部105の長さL1siの設計変数が絞り込まれる。
【0099】
また、第1延在部長さL1piが絞り込まれた場合、その第1延在部長さL1piと、第1延在部長さL1piに関連付けられた組み合わせ角度の第2角度α2iと、ツール110の長さleeを、式(14-2)に代入することで、間接的に先端側リンクの長さL2iの設計変数が絞り込まれる。
【0100】
図17は、設計支援装置の絞り込み作業におけるフローを示す図である。設計支援装置は、ツール110の姿勢角度の可動域に関する情報が入力されると、このツール110の姿勢角度の可動域の情報を記憶する。そして、
図17に示すように、設計支援装置は、記憶したツール110の姿勢角度の可動域に基づき、絞り込み作業を行う(スタート)。なお、絞り込み作業として最初に、逆運動学方程式(式(7)を参照)の判別式を用いて組み合わせ角度の絞り込みを行う(S1)。次に、ツール110の姿勢角度の可動域以外に、パラレルリンク機構100に要求される寸法条件を記憶しているかを判定する(S4)。
【0101】
ステップS4において、パラレルリンク機構100に要求される寸法条件を記憶していると判定された場合、パラレルリンク機構100に要求される寸法条件を用いて組み合わせ角度及び第1延在部長さL1piの絞り込みを行う(S5)。パラレルリンク機構100に要求される寸法条件を用いて組み合わせ角度及び第1延在部長さL1piの絞り込みが終了した場合、絞り込み作業を終了する(エンド)。また、ステップS4において、パラレルリンク機構100に要求される寸法条件を記憶していないと判定された場合にも絞り込み作業を終了する(エンド)。
【0102】
絞り込み作業の終了後は、残った(絞り込まれた)組み合わせ角度(α1i,α2i,βi,γi)を有効な設計変数として提示する。また、ステップS4で、パラレルリンク機構に要求される寸法条件を記憶していると判定された場合には、組み合わせ角度に対応する有効な第1延在部長さL1piを有効な設計変数として提示する。次に、各工程の詳細を説明する。
【0103】
図18は、判別式を用いた組み合わせ角度の絞り込み作業におけるフローを示す図である。
図18に示すように、逆運動学方程式の判別式を用いた組み合わせ角度の絞り込み(S1)は、最初に、ステップS10として、ツール110の初期の姿勢角度を用いた組み合わせ角度の絞り込みを行う。その後、ステップS30として、ツール110の姿勢角度の可動域を用いた組み合わせ角度の絞り込みを行う。
【0104】
図19は、ツールの初期の姿勢角度を用いた組み合わせ角度の絞り込みのフローを示す図である。ステップS10に含まれる各工程について説明する。
図19に示すように、ステップS10では、最初に組み合わせ角度(α
1i,α
2i,β
i,γ
i)を準備する。
【0105】
具体的には、最初に、所定の角度から第3角度を1つ選択する(S11)。次に、所定の角度から第2角度を1つ選択する(S12)。次に、所定の角度から第1角度を1つ選択する(S13)。次に、所定の角度から第4角度を1つ選択する(S14)。これにより、第1角度、第2角度、第3角度、及び第4角度がそれぞれ選択された組み合わせ角度が準備される。なお、実施形態では、第3角度、第2角度、第1角度、第4角度の順で選択しているが、本開示は、この選択順に限定されない。
【0106】
ここで、上記した所定の角度は、第1角度、第2角度、第3角度、第4角度として選択し得る角度(設定可能な角度)であり、設計支援装置が記憶している。また、設計支援装置が記憶する所定の角度は、初期値が予め設定され、図示しない入力装置により変更可能となっている。より詳細に説明すると、本実施形態において、設計支援装置が記憶する所定の角度の初期値は、0°以上180°未満となっている。そして、設計支援装置は、所定の角度を変更するような情報(数値)が入力さた場合に所定の角度を変更して記憶する。ここで、所定の角度を変更する場合とは、例えば、本実施形態では、パラレルリンク機構100の回転中心Pがツール110の先端に配置され、式(8)、式(9)が成立している。つまり、第3角度の所定の角度は、90°から180°未満に限定されている。また、第4角度の所定の角度は、0°から90°未満に限定されている。よって、本実施形態では、この情報(数値)が使用者により入力装置に入力され、設計支援装置が記憶する第3角度及び第4角度の所定の範囲が狭くなっている。以上から、ステップS11で規定される第3角度の所定の角度は、90°から180°未満に絞られている。また、ステップS14で規定される第4角度の所定の角度は、0°から90°未満に絞られている。これによれば、ステップS11からステップS14で準備される組み合わせ数の総数が低減する。なお、本開示は、設計支援装置が記憶する所定の角度の初期値は、0°以上180°未満の範囲に限定されない。また、設計支援装置は、予め初期値を記憶していなくてもよい。このような場合、設計支援装置は、入力装置により入力された角度を所定の角度として記憶する。
【0107】
また、ステップS11からステップS14において、所定の角度から選択する場合、所定の角度のうち小さい角度から順に選択する。ステップS14の終了後、ステップS15において、準備された組み合わせ角度で第1次絞り込み判定を行う。
【0108】
図20は、第1次絞り込み判定のフローを示す図である。
図20に示すように、第1次絞り込み判定(第1次絞り込み判定スタート)は、最初に、複数のリンク機構から1つのリンク機構を選択する(S21)。言い換えると、ステップS21は、リンク機構のインデックスiを選択する。本実施形態は、リンク機構の総数は3である。よって、インデックスiの範囲は、1≦i≦3となる。また、本実施形態のステップS15は、インデックスiを1、2、3の順で選択する。
【0109】
ステップS22は、ステップS21で選択したインデックスiに対応するリンク機構の取付位相η
i(
図8参照)を算出する。本実施形態では、3つのリンク機構が120°間隔で配置されている。よって、選択したインデックスiが1の場合、第1リンク機構の取付位相η
1は0°となる。選択したインデックスiが2の場合、第1リンク機構の取付位相η2は120°となる。選択したインデックスiが3の場合、第3リンク機構の取付位相η
1は-120°となる。
【0110】
ステップS23は、ツール110の初期の姿勢角度((ψ,θ,Φ)=(0,0,0)の場合)と、ステップS11からステップS14で準備された組み付け角度(α1i,α2i,βi,γi)と、ステップS22で算出された取付位相ηiを、第1逆運動学方程式(式(7)を参照)に代入する。また、ステップS23では、第1逆運動学方程式の第1判別式D1を立てる。
【0111】
ステップS24では、第1判別式が0以上となっているかを判定する。第1判別式が0以上となっている場合、第1逆運動学方程式は、θiに対して1つ以上の解を有しており、パラレルリンク機構が成立する。よって、第1判別式が0以上と判定された場合、第1逆運動学方程式に代入された組み合わせ角度は、有効な設計変数であり、第1次組み合わせ角度と認定される。その後、ステップS25に進む。
【0112】
ステップS24では、第1判別式が0未満と判定された場合、第1逆運動学方程式は、θ
iに対して解を有していない。つまり、代入された組み合わせ角度は、有効な設計変数でない。よって、第1絞り込み判定が終了する。その後、ステップS16(
図19参照)に進み、他の組み合わせ角度が準備される。
【0113】
ステップS25は、第1次組み合わせ角度を式(10-2)に代入する。なお、式(10-2)はパラレルリンク機構100がいずれの姿勢であっても中間ジョイントが回転中心Pよりも上に存在しない、という条件式である。そして、ステップS25で、式(10-2)が成立するかを判定する。
【0114】
式(10-2)が成立すると判定した場合、代入された第1次組み合わせ角度は、パラレルリンク機構の成立要件を満たす。よって、第1次組み合わせ角度は、有効な設計変数として、ステップS27に進む。一方で、式(10-2)が成立しないと判定した場合、代入された第1次組み合わせ角度は、パラレルリンク機構の成立要件を満たさない。よって、ステップS18に進み、他の組み合わせ角度が準備される。よって、ステップS25によれば、有効な設計変数を持つ組み合わせ角度(第1次組み合わせ角度)を減らすことができる。
【0115】
ステップS26は、ツール110の初期姿勢の場合((ψ,θ,Φ)=(0,0,0)の場合)、第1次組み合わせ角度の第1ヤコビ行列Jを算出する。次に、第1ヤコビ行列Jの第1ヤコビアンdet(J)を算出する。算出後は、ステップS27に進む。
【0116】
ステップS27は、i=3であるかを判定する。本実施形態のステップS15において、インデックスiを1、2、3の順で選択している。i=3の場合、第1次組み合わせ角度に関連付けられるリンク機構は、最後のリンク機構である。つまり、第1次組み合わせ角度は、複数のリンク機構において全てのリンク機構との関係で、パラレルリンク機構が成立している、と認められる。よって、次のステップS28に進む。
【0117】
一方で、i=3でないと判定した場合、ステップS21に戻る。そして、組み合わせ角度に関連付けるリンク機構を他のリンク機構とし(インデックスiの値を変更し)、再度、第1判別式D1による判定S24を受ける。
【0118】
ステップS28では、第1次組み合わせ角度を記憶する。また、ステップS27で算出されたヤコビアンdet(J)を第1次組み合わせ角度と関連付けて記憶する。また、連鎖数(リンク機構の数)を記憶する。なお、連鎖数(リンク機構の数)は、予め設定された範囲(例えば、リンク機構が4つ)と設定するものであり、記憶された第1次組み合わせ角度等がどのような条件で絞られたかを示すものである。記憶したら、ステップS11からステップS14で準備された組み合わせ角度(第1次組み合わせ角度)の判定が終了する(第1次絞り込み判定S10のエンド)。そして、ステップS16に進む。
【0119】
図19に示すように、ステップS16は、組み合わせ角度に含まれる第4角度γ
iが所定の角度(0°から90°未満)の最大角度であるかを判定する。組み合わせ角度に含まれる第4角度γ
iが所定の角度(0°から90°未満)の最大角度でないと判定された場合、ステップS14に戻る。そして、ステップS14で、組み合わせ角度に含まれる第4角度γ
iに対して1つ大きい角度を選択し、ステップS15に進む。これにより、第1次絞り込み判定(S17)に提供される組み合わせ角度は、第4角度γ
iのみが変更された他の組み合わせ角度となる。一方で、組み合わせ角度に含まれる第4角度γ
iが所定の角度(0°から90°未満)の最大角度であると判定された場合、ステップS17に進む。
【0120】
ステップS17は、組み合わせ角度に含まれる第1角度α1iが所定の角度(0°から180°未満)の最大角度であるかを判定する。組み合わせ角度に含まれる第1角度α1iが所定の角度(0°から180°未満)の最大角度でないと判定された場合、ステップS13に戻る。そして、ステップS13で、組み合わせ角度に含まれる第1角度α1iに対して1つ大きい角度を選択し、新しい組み合わせ角度が準備される。一方で、組み合わせ角度に含まれる第1角度α1iが所定の角度(0°から180°未満)の最大角度であると判定された場合、ステップS18に進む。
【0121】
ステップS18は、組み合わせ角度に含まれる第2角度α2iが所定の角度(0°から180°未満)の最大角度であるかを判定する。組み合わせ角度に含まれる第2角度α2iが所定の角度(0°から180°未満)の最大角度でないと判定された場合、ステップS12に戻る。そして、ステップS12で、組み合わせ角度に含まれる第2角度α2iに対して1つ大きい角度を選択し、新しい組み合わせ角度が準備される。一方で、組み合わせ角度に含まれる第2角度α2iが所定の角度(0°から180°未満)の最大角度であると判定された場合、ステップS19に進む。
【0122】
ステップS19は、組み合わせ角度に含まれる第3角度βiが所定の角度(90°から180°未満)の最大角度であるかを判定する。ステップS19で、組み合わせ角度に含まれる第3角度βiが所定の角度(90°から180°未満)の最大角度でないと判定された場合、ステップS13に戻る。そして、ステップS11で、組み合わせ角度に含まれる第3角度βiに対して1つ大きい角度を選択し、新しい組み合わせ角度が準備される。
【0123】
一方、ステップS19で、組み合わせ角度に含まれる第3角度βiが所定の角度(90°から180°未満)の最大角度であると判定された場合、所定の角度に含まれる第1角度α1i、第2角度α2i、第3角度βi、及び第4角度γiにおける全ての組み合わせが第1次判別式D1による判定を受けたこととなり、ステップS10が終了する(第1次絞り込み判定S10のエンド)。そして、ステップS30に進む。
【0124】
図21は、ツールの姿勢角度の可動域を用いた組み合わせ角度の絞り込みのフローを示す図である。次にステップS30に含まれる各工程について説明する。ステップS30では、
図21に示すように、最初に記憶された第1次組み合わせ角度の数を特定する。そして、各第1次組み合わせ角度に番号を割り当てる。本実施形態では、第1次組み合わせ角度の数は「k」個とする。
【0125】
ステップS32では、複数の第1組み合わせ角度から第2次絞り込み判定の対象となる1つの第1次組み合わせ角度を選択する。また、本実施形態では、第1次組み合わせ角度に割り当てた番号が小さい方から順に選択する。
【0126】
ステップS33からステップS35で、ツール110の姿勢角度の可動域から1つのツール110の姿勢角度(ψ、θ、Φ)を選択する。具体的に、ステップS33は、y成分におけるツール110の姿勢角度の可動域(θminからθmax未満)から、1つの姿勢角度θを選択する。ステップS34は、x成分におけるツール110の姿勢角度の可動域(ψminからψmax未満)から、1つの姿勢角度ψを選択する。ステップS35は、z成分におけるツール110の姿勢角度の可動域(ΦminからΦmax未満)から、1つの姿勢角度Φを選択する。そして、ステップS35が終了したら、第2次絞り込み判定(S36)が実行される。
【0127】
また、ステップS33からステップS35において、選択する角度は、可動域に含まれる角度のうち小さい角度から順に選択する。以下、ステップS33からステップS35で準備されたツール100の姿勢角度を選択姿勢角度と称する場合がある。なお、実施形態では、y成分、x成分、z成分の順で選択しているが、本開示は、この選択順に限定されない。
【0128】
図22は、第2次絞り込み判定のフローを示す図である。
図22に示すように、第2次絞り込み判定(第2次絞り込み判定S36のスタート)は、最初に、複数のリンク機構から1つのリンク機構を選択する(S51)。次に、選択したインデックスiに対応するリンク機構の取付位相η
iを算出する(S52)。なお、ステップS51とステップS52は、ステップS21とステップS22と同じ処理であるため、詳細な説明を省略する。
【0129】
ステップS53は、ステップS33からステップS35で準備された選択姿勢角度と、ステップS32で選択された第1組み付け角度と、ステップS52で算出された取付位相ηiを、第2逆運動学方程式(式(7)を参照)に代入する。また、ステップS35では、第2逆運動学方程式の第2判別式D2を立てる。
【0130】
ステップS54では、第2判別式が0以上となっているかを判定する。第2判別式が0以上となっている場合、第2逆運動学方程式は、θiに対して1つ以上の解を有しており、パラレルリンク機構が成立する。よって、第2判別式が0以上と判定された場合、第2逆運動学方程式に代入された第1組み合わせ角度は、有効な設計変数であり、第2次組み合わせ角度と認定される。そして、その後、ステップS55に進む。
【0131】
一方、ステップS54で第2判別式が0未満と判定された場合、第2逆運動学方程式は、θiに対して解を有していない。つまり、代入された第1次組み合わせ角度は、有効な設計変数でない。よって、第2絞り込み判定が終了する(第2次絞り込み判定エンド)。第2絞り込み判定の終了後は、ステップS41に進む。
【0132】
ステップS55は、ツール110が選択姿勢角度(ψ,θ,Φ)の場合、第2次組み合わせ角度の第2ヤコビ行列Jを算出する。次に、第2ヤコビ行列Jの第2ヤコビアンdet(J)を算出する。算出後は、ステップS56に進む。
【0133】
ステップS56は、第1ヤコビアンの符号関数sgn(det(J0))を算出する。また、第2ヤコビアンの符号関数sgn(det(J))を算出する。そして、ステップS57において、第1ヤコビアンの符号関数sgn(det(J0))と、第2ヤコビアンの符号関数sgn(det(J))と、が等しいかを判定する。
【0134】
第1ヤコビアンの符号関数sgn(det(J0))と、第2ヤコビアンの符号関数sgn(det(J))とが等しくない場合、第1次組み合わせ角度は、そのツールの姿勢角度の可動域に特異点(制御できない姿勢)が含まれている。つまり、その第2次組み合わせ角度は、有効な設計変数でない。
【0135】
よって、ステップS57で、第1ヤコビアンの符号関数sgn(det(J0))と、第2ヤコビアンの符号関数sgn(det(J))とが等しくないと判定された場合、第1次組み合わせ角度は有効でない設計変数として、第2絞り込み判定が終了する(第2次絞り込み判定S36のエンド)。第2絞り込み判定の終了後は、ステップS41に進む。
【0136】
一方で、ステップS57で、第1ヤコビアンの符号関数sgn(det(J0))と、第2ヤコビアンの符号関数sgn(det(J))とが等しいと判定された場合、ステップS58に進む。
【0137】
ステップS58において、第2次組み合わせ角度に関連付けられているインデックスがi=3となっているかを判定する。
【0138】
ステップS58で、i=3でないと判定した場合、ステップS51に戻り、他のリンク機構との関係でパラレルリンク機構が成立するか判定される。
【0139】
一方、ステップS58で、i=3であると判定された場合、第2次組み合わせ角度に関連付けられるリンク機構は、最後のリンク機構である。つまり、第2次組み合わせ角度は、複数のリンク機構における全てのリンク機構との関係で、全てのリンク機構との関係で、パラレルリンク機構が成立している、と認められる。よって、i=3であると判定された場合、第2絞り込み判定が終了する(第2次絞り込み判定S36のエンド)。第2絞り込み判定の終了後は、ステップS37に進む。
【0140】
図21に示すように、ステップS37は、選択姿勢角度に含まれるz成分Φが、ツール100の姿勢角度の可動域(ΦminからΦmax未満)の最大角度であるかを判定する。選択姿勢角度に含まれるz成分Φが、ツール100の姿勢角度の可動域(ΦminからΦmax未満)の最大角度でないと判定された場合、ステップS35に戻る。そして、ステップS35で、選択姿勢角度に含まれるz成分Φに対して1つ大きい角度を選択し、ステップS36に進む。一方、選択姿勢角度に含まれるz成分Φが、ツール100の姿勢角度の可動域(ΦminからΦmax未満)の最大角度であると判定された場合、ステップS38に進む。
【0141】
ステップS38は、選択姿勢角度に含まれるx成分ψが、ツール100の姿勢角度の可動域(ψminからψmax未満)の最大角度であるかを判定する。選択姿勢角度に含まれるx成分ψが、ツール100の姿勢角度の可動域(ψminからψmax未満)の最大角度でないと判定された場合、ステップS34に戻る。そして、ステップS34で、選択姿勢角度に含まれるx成分ψに対して1つ大きい角度を選択し、ステップS35に進む。一方、選択姿勢角度に含まれるx成分ψが、ツール100の姿勢角度の可動域(ψminからψmax未満)の最大角度であると判定された場合、ステップS39に進む。
【0142】
ステップS39は、選択姿勢角度に含まれるy成分θが、ツール100の姿勢角度の可動域(θminからθmax未満)の最大角度であるかを判定する。選択姿勢角度に含まれるy成分θが、ツール100の姿勢角度の可動域(θminからθmax未満)の最大角度でないと判定された場合、ステップS33に戻る。そして、ステップS33で、選択姿勢角度に含まれるy成分θに対して1つ大きい角度を選択し、ステップS34に進む。一方、選択姿勢角度に含まれるy成分θが、ツール100の姿勢角度の可動域(θminからθmax未満)の最大角度であると判定された場合、ステップS40に進む。
【0143】
以上のステップS37からステップS39によれば、1つの第2次組み合わせ角度に対し、ツール110の姿勢角度の可動域に含まれる各角度において、パラレルリンク機構100が成立したと判定された第2次組み合わせ角度のみがステップS40に進む。そして、ステップS40において、第2次組み合わせ角度とリンク機構の総数が記憶される。その後、ステップS41に進む。
【0144】
ステップS41では、第2次組み合わせ角度(第1次組み合わせ角度)に割り当てられた番号が「k」であるかを判定する。つまり、第2次組み合わせ角度の割り当てられた番号が「k」と判定された場合、第1次組み合わせ角度の全てが第2次絞り込み判定(S36)を受けたこととなり、ステップS30が終了となる。そして、ステップS4に進む。一方で、第2次組み合わせ角度の割り当てられた番号が「k」でない判定された場合、ステップS32に戻り、他の第1次組み合わせ角度の第2次絞り込み判定(S36)を行う。
【0145】
図17に示すように、ステップS4では、パラレルリンク機構100に要求される寸法条件を記憶しているかを判定する。なお、このパラレルリンク機構100に要求される寸法条件は、入力装置に入力された場合、設計支援装置は記憶する。ここで、パラレルリンク機構100に要求される寸法条件とは、パラレルリンク機構の外径最大値D
MAX(
図16参照)と、パラレルリンク機構の高さ最大値H
MAX(
図16参照)と、ツール110の長さl
ee(
図10参照)である。
【0146】
また、ステップS4では、外径最大値DMAXと高さ最大値HMAXとツール110の長さleeの全てを記憶しているかを判定する。そして、外径最大値DMAXと高さ最大値HMAXとツール110の長さleeの全てを記憶していないと判定された場合、エンドに進み、処理が終了となる。一方で、外径最大値DMAXと高さ最大値HMAXとツール110の長さleeの全てを記憶していると判定された場合、ステップ7に進む。
【0147】
図23は、要求される寸法条件を用いた絞り込みのフローを示す図である。ステップS7に含まれる各工程について説明する。
図23に示すように、ステップS7では、最初に記憶された第2組み合わせ角度の数を特定する(S71)。そして、各第2組み合わせ角度に番号を割り当てる。本実施形態では、第2組み合わせ角度の数は「kk」個とする。
【0148】
ステップS72では、複数の第2組み合わせ角度から1つの第2組み合わせ角度を選択する。本実施形態では、第2組み合わせ角度に割り当てた番号が小さい方から順に選択する。
【0149】
ステップS73は、エンドエフェクタベース50の大きさDebを算出する。算出用法は、式(12-2)に、選択された第2次組み合わせ角度に含まれる第3角度βiと、記憶するツールの長さleeを代入する。そして、ステップS74は、算出されたエンドエフェクタベースの大きさDebが、記憶するパラレルリンク機構100の外径最大値DMAX以下となっているかを判定する。また、ステップS74の条件式は、式(16-1)である。以下、ステップS74の判定を、第3次絞り込み判定と称する。
【0150】
ステップS74において、算出されたエンドエフェクタベース50の大きさDebが、パラレルリンク機構100の外径最大値DMAXを超えると判定された場合、選択された第2次組み合わせ角度は寸法要件を満たさない。よって、ステップS78に進む。
【0151】
一方、ステップS74において、算出されたエンドエフェクタベース50の大きさDebが、パラレルリンク100機構の外径最大値DMAX以下と判定された場合、第2次組み合わせ角度は、寸法要件を満たす第3次組み合わせ角度と認定され、ステップS75に進む。
【0152】
ステップS75において、固定ベースの大きさDfbを算出する。算出方法は、式(11-2)に、選択された第3次組み合わせ角度に含まれる第4角度γiを代入する。また、式(11-2)の「H」にパラレルリンク機構の高さ最大値HMAXを代入する。
【0153】
そして、ステップS76は、算出された固定ベース1の大きさDfbが、記憶するパラレルリンク機構100の外径最大値DMAX以下となっているかを判定する。また、ステップS74の条件式は、式(16-2)である。以下、ステップS76の判定を、第4次絞り込み判定と称する。
【0154】
ステップS76において、算出された固定ベース1の大きさDfbが記憶するパラレルリンク機構100の外径最大値DMAXを超えると判定された場合、第3次組み合わせ角度は寸法要件を満たさない。よって、ステップS78に進む。
【0155】
一方、ステップS76で、固定ベース1の大きさDfbが記憶するパラレルリンク機構100の外径最大値DMAX以下と判定された場合、第3次組み合わせ角度は、寸法要件を満たす第4次組み合わせ角度と認定され、ステップS77に進み、第1延在部長さ絞り込み判定を行う。
【0156】
図24は、第1次絞り込み判定のフローを示す図である。
図24に示すように、ステップS77は、寸法要件から第1延在部長さL
1piを絞り込む工程である。ステップS77は、最初のステップS81において、第1延在部長さL
1piの所定の長さから、第1延在部長さL
1piの長さを選択する。なお、所定の長さは、第1延在部長さL
1piとして設定可能な範囲である。また、設計支援装置は、設定可能な範囲のうち、最も小さい値であるL
1pi_MINと、最も大きい値であるL
1pi_MAXとを記憶している。また、設計支援装置が記憶するL
1pi_MINとL
1pi_MAXは、使用者により入力された情報である。そして、ステップS81において、所定の長さ(L
1pi_MIN以上、L
1pi_MAX以下)のうち最も小さい値から選択する。なお、本実施形態では、使用者により入力された値を所定の長さとして設計支援装置が記憶しているが、予め設定された初期値を設計支援装置が記憶してもよい。
【0157】
ステップS82は、複数のリンク機構から1つのリンク機構を選択する。
【0158】
ステップS83は、第4次組み合わせ角度と選択した第1延在部長さL1piから第1張り出し量R1iを算出する。なお、第1張り出し量R1iの算出には、式(13-1)から式(13-4)に第4次組み合わせ角度と選択した第1延在部長さL1piを代入する。
【0159】
ステップS84は、第1張り出し量R1iがパラレルリンク機構100の外径最大値DMAXの半分の半径最大値(DMAX/2)よりも小さいかを判定する。このステップS84の条件式は、式(16-3)である。以下、ステップS84の判定を第5次絞り込み判定と称する。
【0160】
ステップS84で、第1張り出し量R1iがパラレルリンク機構100の半径最大値(DMAX/2)以上と判定された場合、ステップS81で選択された第1延在部長さL1piは、寸法要件を満たさない。よって、ステップS89に進む。
【0161】
一方、ステップS84で、第1張り出し量R1iがパラレルリンク機構100の半径最大値(DMAX/2)よりも小さいと判定された場合、第1延在部長さL1piは、寸法要件を満たす第1次第1延在部長さL1piと認定し、ステップS85に進む。
【0162】
ステップS85は、第4次組み合わせ角度と第1次第1延在部長さL1piから第2張り出し量R2iを算出する。なお、第2張り出し量R2iの算出には、式(14-1)から式(15-3)に第4次組み合わせ角度と選択した第1延在部長さL1piを代入する。
【0163】
ステップS86は、第2張り出し量R2iがパラレルリンク機構100の外径最大値Dmaxの半分の半径最大値(DMAX/2)よりも小さいかを判定する。このステップS86の条件式は、式(16-4)である。以下、ステップS86の判定を第6次絞り込み判定と称する。
【0164】
ステップS86で、第2張り出し量R2iがパラレルリンク機構の半径最大値(DMAX/2)以上と判定された場合、ステップS81で選択された第1延在部長さL1piは、寸法要件を満たさない。よって、ステップS89に進む。
【0165】
一方で、ステップS86で、第2張り出し量R2iがパラレルリンク機構の半径最大値(DMAX/2)よりも小さいと判定された場合、第1次第1延在部長さL1piは、寸法要件を満たす第2次第1延在部長さL1piと認定し、ステップS87に進む。
【0166】
ステップS87において、第2次第1延在部長さL1piに関連付けられているインデックスがi=3となっているかを判定する。i=3であると判定された場合、第2次第1延在部長さL1piに関連付けられるリンク機構は、最後のリンク機構である。よって、第2次第1延在部長さL1piは、複数のリンク機構における全てのリンク機構との関係で、寸法要件を満たす、と認められる。よって、次のステップS88に進む。
【0167】
ステップS88は、第4次組み合わせ角度と第2次第1延在部長さL1piを記憶する。ここで、第2次第1延在部長さL1piは、第4次組み合わせ角度という条件の下で、第5次絞り込みと判定第6次絞り込み判定とで、寸法要件を満たした値である。よって、第4次組み合わせ角度に関連付けられた状態で第2次第1延在部長さL1piが記憶される。また、リンク機構の総数も併せて記憶される。
【0168】
ステップS89は、第2次第1延在部長さL1piがL1pi_MAXと等しいかを判定する。L1p_MAXは、第1延在部長さL1piを選択できる範囲の最大長さである。よって、第2次第1延在部長さL1piがL1pi_MAXよりも小さい判定された場合、ステップS81に戻り、第2次第1延在部長さL1piの値を大きい長さに変更し、改めて第5次絞り込み判定及び第6次絞り込み判定を行う。
【0169】
一方で、第2次第1延在部長さL1piがL1pi_MAXと等しいと判定された場合、1つの第4次組み合わせ角度に対し、所定の長さに含まれる全ての長さが判定されて、ステップS90に進む。
【0170】
ステップS78では、第4次組み合わせ角度(第2次組み合わせ角度)に割り当てられた番号が「kk」であるかを判定する。第4次組み合わせ角度の割り当てられた番号が「kk」でない判定された場合、ステップS72に戻り、他の第2次組み合わせ角度で第3次絞り込み判定S74を行う。
【0171】
一方、ステップS78で、第4次組み合わせ角度の割り当てられた番号が「kk」と判定された場合、第2次組み合わせ角度の全てが第3次絞り込み判定(S74)、第4次絞り込み判定(S76)、第5次絞り込み判定(S84)、及び第6次絞り込み判定(S86)を受けたこととなり、ステップS7の処理が終わる。これにより、設計支援装置による絞り込み作業が終了となる(エンド)。
【0172】
以上、設計支援装置によれば、ステップS7を経て終了した場合、記憶部には、複数の第4次組み合わせ角度(α1i,α2i,βi,γi)が記憶されている。また、第4次組み合わせ角度に関連付けられた状態で、第2次第1延在部長さL1piが記憶されている。また、判定したリンク機構の総数も記憶されている。よって、第1角度α1i、第2角度α2i、第3角度βi、及び第4角度γiに関し、所定の角度(S11からS14を参照)から有効な設計変数に絞り込まれている。また、第2次第1延在部長さL1piに関し、所定の長さ(S81参照)から寸法要件を満たす値に絞られている。よって、設計者の負担が軽減される。
【0173】
また、ステップS4から直接終了した場合、記憶部には、複数の第2次組み合わせ角度(α1i,α2i,βi,γi)が記憶されている。この場合であっても、所定の角度(S11からS14を参照)から有効な設計変数に絞り込まれ、設計者の負担が軽減される。
【0174】
以上、実施形態について説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、設計支援装置は、ステップS1のみを実行し、ステップS4とステップS7を実行しなくてもよい。ステップS1のみであっても組み合わせ角度を絞り、設計者の負担が軽減される。また、パラレルリンク機構100の姿勢変換の回転中心Pは、ツール110の中心線上にあればよく、ツール110の先端になくてもよい。この場合、式(8)、式(9)、式(10-1)、式(10-2)が成立しない。この場合、ステップS11とステップS14で設定される所定の角度は、0°から180未満となる。また、ステップS25が不要となる。また、特異点の有無の判定(ステップS57)を行っているが、本開示は、必須ではない。この場合、併せて、ステップS26とステップS55とステップS56も不要となる。
【0175】
なお、本開示は、以下のような構成の組み合わせであってもよい。
(1)
ツールの中心線上にある回転中心を中心に姿勢変換を行うパラレルリンク機構において、要求される前記ツールの姿勢角度の可動域を満たす設計変数を絞り込むパラレルリンク機構の設計支援装置であって、
前記パラレルリンク機構は、
固定ベースと、
前記ツールを支持するエンドエフェクタベースと、
前記固定ベースと前記エンドエフェクタベースとを連結する複数のリンク機構と、
を備え、
前記リンク機構は、
前記固定ベースに回転自在に連結する基部側ジョイントと、
一端が前記基部側ジョイントと連結する基部側リンクと、
前記基部側リンクの他端に設けられた中間ジョイントと、
前記中間ジョイントを介して一端が前記基部側リンクと回転自在に連結する先端側リンクと、
前記先端側リンクの他端と前記エンドエフェクタベースとを回転自在に連結する先端側ジョイントと、
を有し、
絞り込まれる前記設計変数は、
前記基部側ジョイントと前記中間ジョイントとがなす第1角度と、
前記中間ジョイントと前記先端側ジョイントとがなす第2角度と、
前記回転中心から前記固定ベースに引いた垂線である基準線と前記中間ジョイントとがなす第3角度と、
前記基準線と前記先端側ジョイントとがなす第4角度と、
であり、
要求される前記ツールの姿勢角度の可動域と、
前記第1角度、前記第2角度、前記第3角度、及び前記第4角度のそれぞれが設定可能な所定の角度と、
を記憶し、
前記所定の角度から選択された前記第1角度、前記第2角度、前記第3角度、及び前記第4角度をそれぞれ含む組み合わせ角度であって、前記第1角度、前記第2角度、前記第3角度、及び前記第4角度のうち少なくとも1つが異なる複数の前記組み合わせ角度を準備し、
準備した複数の前記組み合わせ角度から1つの前記組み合わせ角度を選択し、
選択した前記組み合わせ角度と、前記ツールの初期姿勢の角度と、を第1次逆運動学方程式に代入し、
前記第1次逆運動学方程式の判別式により前記パラレルリンク機構の成立要件を満たすかを判定する第1次絞り込み判定し、
前記成立要件を満たすと判定した前記組み合わせ角度を第1次組み合わせ角度と認定し、
第1次絞り込み判定した後、改めて複数の前記組み合わせ角度から他の前記組み合わせ角度を選択し第1次絞り込み判定することを繰り返し行うことで、複数の前記組み合わせ角度を、複数の前記第1次組み合わせ角度に絞り込み、
複数の前記第1次組み合わせ角度から1つの前記第1次組み合わせ角度を選択し、
前記ツールの可動域から選択された選択姿勢角度を選択し、
選択した前記第1次組み合わせ角度と、前記選択姿勢角度と、を第2次逆運動学方程式に代入し、
前記第2次逆運動学方程式の判別式により前記パラレルリンク機構の成立要件を満たすかを判定する第2次絞り込み判定し、
第2次絞り込み判定した後、選択した前記第1次組み合わせ角度をそのままとし、改めて前記ツールの姿勢角度の可動域から他の前記選択姿勢角度を選択し第2次絞り込み判定することを繰り返し行うことで、前記ツールの姿勢角度の可動域における全ての前記ツールの姿勢角度で前記成立要件を満たすと判定した前記第1次組み合わせ角度を第2次組み合わせ角度と認定し、
選択した1つの前記第1次組み合わせ角度の前記第2次絞り込み判定が終了した場合、改めて複数の前記第1次組み合わせ角度から他の前記第1次組み合わせ角度を選択し第2次絞り込み判定することを繰り返すことで、複数の前記第1次組み合わせ角度を、第2次組み合わせ角度に絞り込む
パラレルリンク機構の設計支援装置。
(2)
前記ツールが初期姿勢の場合における前記第1次組み合わせ角度の第1ヤコビアンを算出し、
前記ツールが前記選択姿勢角度の場合における前記第2次組み合わせ角度の第2ヤコビアンを算出し、
前記第1ヤコビアンの符号関数と前記第2ヤコビアンの符号関数を算出し、
前記第2ヤコビアンの符号関数と前記第2ヤコビアンの符号関数とが等しいかを特異点判定し、
等しくない判定した前記第1次組み合わせ角度を前記第2次組み合わせ角度に認定しない
(2)に記載のパラレルリンク機構の設計支援装置。
(3)
前記パラレルリンク機構の回転中心が前記ツールの先端に配置された場合、前記組み合わせ角度に含まれる前記第3角度の範囲を90°から180°未満に絞り込み、前記第4角度の範囲を0°から90°未満に絞り込む
(1)又は(2)に記載のパラレルリンク機構の設計支援装置。
(4)
前記パラレルリンク機構がいずれの姿勢であっても前記中間ジョイントが前記回転中心よりも前記固定ベースの反対側に移動しない場合、前記組み合わせ角度を代入した前記中間ジョイントのZ成分が前記回転中心より前記固定ベース寄りにあるかを判定し、
前記中間ジョイントのZ成分が前記回転中心より前記固定ベース寄りにないと判定した前記組み合わせ角度を前記第1次組み合わせ角度に認定しない
(1)から(3)のいずれか1つに記載のパラレルリンク機構の設計支援装置。
(5)
寸法条件である、前記パラレルリンク機構の外径最大値と、前記パラレルリンク機構の高さ最大値と、前記ツールの長さと、を記憶し、
複数の前記第2次組み合わせ角度から1つの前記第2次組み合わせ角度を選択し、
選択した前記第2次組み合わせ角度に含まれる前記第3角度と、前記ツールの長さに基づいて、前記エンドエフェクタベースの大きさを算出し、
算出した前記エンドエフェクタベースの大きさが、前記パラレルリンク機構の外径最大値以下となっているかの第3次絞り込み判定を行い、
前記パラレルリンク機構の外径最大値以下と判定した前記第2次組み合わせ角度を第3次組み合わせ角度と認定し、
前記第3次組み合わせ角度に含まれる前記第4角度に基づいて、前記固定ベースの大きさを算出し、
算出された前記固定ベースの大きさが、要求される前記パラレルリンク機構の外径最大値以下となっているかの第4次絞り込み判定を行い、
算出された前記固定ベースの大きさが、前記パラレルリンク機構の外径最大値以下となっていると判定した前記第3次組み合わせ角度を第4次組み合わせ角度と認定し、
前記第3次絞り込み判定で、前記パラレルリンク機構の外径最大値を超えると判定した場合、及び前記第4次絞り込み判定が終了した場合、改めて複数の前記第2次組み合わせ角度から他の前記第2次組み合わせ角度を選択し第3次絞り込み判定することを繰り返し行うことで、複数の前記第2次組み合わせ角度から前記第4次組み合わせ角度に絞り込む
(1)から(4)のいずれか1つに記載のパラレルリンク機構の設計支援装置。
(6)
絞り込まれる前記設計変数は、前記基部側リンクのうち、前記基部側リンクの中間部から前記基部側ジョイントと連結する部分までの第1延在部長さであり、
前記第1延在部長さの設定可能な所定の長さを記憶し、
前記所定の長さから前記第1延在部長さを1つ選択し、
複数の前記第4次組み合わせ角度から1つの前記第4次組み合わせ角度を選択し、
選択された前記第4次組み合わせ角度と、選択された前記第1延在部長さに基づいて、前記中間ジョイントが径方向外側に張り出す第1張り出し量を算出し、
前記第1張り出し量が前記外径最大値の半分の半径最大値未満となるかを第5次絞り込み判定し、
前記第1張り出し量が前記外径最大値の半分の半径最大値未満と判定した前記第1延在部長さを第1次第1延在部長さと認定し、
前記第1次第1延在部長さと前記第4次組み合わせ角度に基づいて、前記先端側ジョイントが径方向外側に最も張り出す第2張り出し量を算出し、
前記第2張り出し量が前記半径最大値未満となるかを第6次絞り込み判定し、
前記第2張り出し量が前記半径最大値未満となると判定した前記第1次第1延在部長さを第2次第1延在部長さと認定し、
前記第5次絞り込み判定で、前記第1張り出し量が前記外径最大値の半分の半径最大値以上と判定された場合、及び、前記第6次絞り込み判定が収容した場合、前記第4次組み合わせ角度をそのままにしつつ、前記第1延在部長さを他の長さに変更し前記第5次絞り込み判定し、かつ前記第6次絞り込み判定することを繰り返し行うことで、前記第4次組み合わせ角度に対応する前記第1延在部長さを前記所定の長さから第2次第1延在部長さに絞り、
1つの前記第4次組み合わせ角度に対応する前記第1延在部長さを絞り終えた場合、複数の前記第4次組み合わせ角度から他の前記第4次組み合わせ角度を選択し、選択した他の前記第4次組み合わせ角度に対応する第2次第1延在部長さを絞り込む
(5)に記載のパラレルリンク機構の設計支援装置。
【符号の説明】
【0176】
1 固定ベース
2 軸
3 リンク機構
6 モータ
10 第1リンク機構
11、11A 第1基部側ジョイント
12 第1円筒部
13 第1基部側リンク
14 第1中間ジョイント
15 第1先端側リンク
16 第1先端側ジョイント
20 第2リンク機構
21、21A 第2基部側ジョイント
22 第2円筒部
23 第2基部側リンク
24 第2中間ジョイント
25 第2先端側リンク
26 第2先端側ジョイント
30 第3リンク機構
31、31A 第3基部側ジョイント
32 第3円筒部
33 第3基部側リンク
34 第3中間ジョイント
35 第3先端側リンク
36 第3先端側ジョイント
50 エンドエフェクタベース
51b 対向面
53 支持部
100、100A パラレルリンク機構
101 土台
L、M1、M2、M3、N1、N2 延長線
P 先端
Z 基準線