(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068451
(43)【公開日】2024-05-20
(54)【発明の名称】ペン立て付きペンケース
(51)【国際特許分類】
A45C 11/34 20060101AFI20240513BHJP
【FI】
A45C11/34 101Z
A45C11/34 103
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178915
(22)【出願日】2022-11-08
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 公開者名: 株式会社カミオジャパン 刊行物名: 「TATERU PENCASE(タテルペンケース)」の広告用印刷物 発行日 : 令和4年7月22日
(71)【出願人】
【識別番号】596091358
【氏名又は名称】株式会社カミオジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】栗山 朋之
【テーマコード(参考)】
3B045
【Fターム(参考)】
3B045BA18
3B045CE07
3B045DA42
3B045EA02
3B045FC04
3B045FC05
3B045FC08
3B045LA10
3B045LB01
(57)【要約】
【課題】蓋がなくてもペンを立てることができるペン立て付きペンケースを提供する。
【解決手段】ペン立て付きペンケース1は、横たわるペンP1を収容する収容空間S1を形成した内面6を含む袋状の収容部3と、収容部3に出入りするペンP1が通過する開閉可能な開閉部11と、起立したペンP2を支えるペン立て21とを備える。収容部3の内面6は、収容部3内で横たわるペンP1の下に配置される底面7を含む。ペン立て21は、収容部3の底面7から上方に延びる起立したペンP2の外周面に収容部3の中で接することにより当該起立したペンP2を支え、収容部3の底面7上で横たわったペンP1をペン立て21と底面7との間に配置できるように底面7から上方に離れている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
横たわるペンを収容する収容空間を形成した内面を含む袋状の収容部と、前記収容部に出入りするペンが通過する開閉可能な開閉部と、起立したペンを支えるペン立てと、を備え、
前記収容部の前記内面は、前記収容部内で横たわるペンの下に配置される底面を含み、
前記ペン立ては、前記収容部の前記底面から上方に延びる起立したペンの外周面に前記収容部の中で接することにより当該起立したペンを支え、前記収容部の前記底面上で横たわったペンを前記ペン立てと前記底面との間に配置できるように前記底面から上方に離れている、ペン立て付きペンケース。
【請求項2】
前記収容部の前記内面は、前記底面と、前記底面から上方に延びる内周面とを含み、
前記ペン立てと前記収容部の前記内周面とは、前記底面から上方に延びる起立したペンの全周を取り囲む、請求項1に記載のペン立て付きペンケース。
【請求項3】
前記ペン立ては、前記底面から上方に延びる起立したペンが配置される縦置き空間が前記ペン立てと前記内周面との間に形成される使用形態と、前記使用形態のときよりも前記ペン立てと前記内周面との水平方向の間隔が狭まる収納形態と、の間で変形可能である、請求項2に記載のペン立て付きペンケース。
【請求項4】
前記収容部内で横たわるペンの中心線に沿う水平な方向を表す左右方向への前記収容部の長さは、前記左右方向に直交する水平な方向を表す前後方向への前記収容部の長さよりも長く、
前記ペン立ては、前記底面から上方に延びる起立した複数本のペンを前記前後方向に並んだ状態で支えることができる前記前後方向への長さを有している、請求項1~3のいずれか一項に記載のペン立て付きペンケース。
【請求項5】
前記収容部内で横たわるペンの中心線に沿う水平な方向を表す左右方向への前記収容部の長さは、前記左右方向に直交する水平な方向を表す前後方向への前記収容部の長さよりも長く、
前記開閉部は、ペンが前記収容部に出入りできない閉位置とペンが前記収容部に出入りできる開位置との間で前記左右方向に移動可能なスライダーを含むファスナーであり、
前記ペン立て付きペンケースを上から見ると、前記ペン立ては、前記開位置側に位置するように前記左右方向における前記閉位置と前記開位置との間に配置されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のペン立て付きペンケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筆記具などのペンを収容するペン立て付きペンケースに関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1には、ペン立て付きの筆入れが開示されている。この筆入れでは、伸展した蓋版を二つ折りにすることで筆入れ本体が開かれる。筆記具が差し込まれる止環は、蓋版の下面に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の筆入れは、止環に筆記具を差し込むことで当該筆記具を起立させるものの、筆入れ本体を開閉する蓋版に止環が設けられているので、蓋がないペンケースでは止環などのペン立てを設けることができない。
【0005】
そこで、本発明の目的の一つは、蓋がなくてもペンを立てることができるペン立て付きペンケースを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態は、横たわるペンを収容する収容空間を形成した内面を含む袋状の収容部と、前記収容部に出入りするペンが通過する開閉可能な開閉部と、起立したペンを支えるペン立てと、を備え、前記収容部の前記内面は、前記収容部内で横たわるペンの下に配置される底面を含み、前記ペン立ては、前記収容部の前記底面から上方に延びる起立したペンの外周面に前記収容部の中で接することにより当該起立したペンを支え、前記収容部の前記底面上で横たわったペンを前記ペン立てと前記底面との間に配置できるように前記底面から上方に離れている、ペン立て付きペンケースを提供する。
【0007】
前記実施形態において、以下の特徴の少なくとも1つを、前記ペン立て付きペンケースに加えてもよい。
【0008】
前記収容部の前記内面は、前記底面と、前記底面から上方に延びる内周面とを含み、前記ペン立てと前記収容部の前記内周面とは、前記底面から上方に延びる起立したペンの全周を取り囲む。
【0009】
前記ペン立ては、前記底面から上方に延びる起立したペンが配置される縦置き空間が前記ペン立てと前記内周面との間に形成される使用形態と、前記使用形態のときよりも前記ペン立てと前記内周面との水平方向の間隔が狭まる収納形態と、の間で変形可能である。
【0010】
前記収容部内で横たわるペンの中心線に沿う水平な方向を表す左右方向への前記収容部の長さは、前記左右方向に直交する水平な方向を表す前後方向への前記収容部の長さよりも長く、前記ペン立ては、前記底面から上方に延びる起立した複数本のペンを前記前後方向に並んだ状態で支えることができる前記前後方向への長さを有している。
【0011】
前記収容部内で横たわるペンの中心線に沿う水平な方向を表す左右方向への前記収容部の長さは、前記左右方向に直交する水平な方向を表す前後方向への前記収容部の長さよりも長く、前記開閉部は、ペンが前記収容部に出入りできない閉位置とペンが前記収容部に出入りできる開位置との間で前記左右方向に移動可能なスライダーを含むファスナーであり、前記ペン立て付きペンケースを上から見ると、前記ペン立ては、前記開位置側に位置するように前記左右方向における前記閉位置と前記開位置との間に配置されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、蓋がなくてもペンを立てることができるペン立て付きペンケースを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】ファスナーが閉まった状態のペンケースの外観図である。
【
図3】ペン立てを示すペンケースの一部の平面図である。
【
図4】ペンケースの鉛直な断面を示すペンケースの断面図である。
【
図5】
図4に示すV-V線に沿うペンケースの水平な断面を示すペンケースの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、本発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
以下では、特に断りがない限り、基準状態のペン立て付きペンケース1について説明する。基準状態は、ペンケース1が水平面上に置かれており、前記水平面以外の有体物がペンケース1に触れておらず、ペンケース1が空であり、開閉部11の一例であるファスナーが全開であり、使用形態と収納形態との間で変形可能なペン立て21が使用形態である状態である。
【0016】
以下では、ペンケース1内で横たわったペンP1の中心線に沿う水平な方向を左右方向と、左右方向に直交する水平な方向を前後方向と、それぞれ定義する。上下方向は、左右方向および前後方向の両方に直交する方向(鉛直方向)である。ペンケース1の左右方向、前後方向、および上下方向は、ペンケース1の幅方向、奥行方向、および高さ方向にそれぞれ対応する。
図1に示すように、閉位置と開位置との間で移動可能なスライダー14を含むファスナーが開閉部11である場合、スライダー14の閉位置側(
図1の手前側)が右側である。
【0017】
ペンP1、P2は、鉛筆、シャープペンシル、蛍光ペン、フェルトペン、ペン型の消しゴム、タッチペン(タッチパネル用のペン型のポインティングデバイス)、および筆のいずれかであってもよいし、これら以外であってもよい。つまり、片手で扱える大きさの棒状であれば、ペンは、筆記具に限られない。クリップなどの突起やキャップを除くペンの外径(外径の最大値。以下同様。)は、5~20mmであってもよいし、この範囲外であってもよい。ペンP1、P2の全長(ペンP1、P2の軸方向への長さ。キャップなどの付属品がある場合は付属品を含む長さ)は、50~250mmであってもよいし、この範囲外であってもよい。以下では、ペンP1、P2の外径が12mmであり、ペンP1、P2の全長が130mmである例について説明する。
【0018】
最初に、ペン立て付きペンケース1の概要について説明する。
【0019】
図1は、ペン立て付きペンケース1の斜視図である。
図2は、ファスナーが閉まった状態のペン立て付きペンケース1の外観図である。
図2(a)、
図2(b)、
図2(c)、
図2(d)、および
図2(e)は、それぞれ、ペン立て付きペンケース1の左側面図、平面図、正面図、底面図、および右側面図である。
【0020】
図1に示すように、ペン立て付きペンケース1は、ペンP1を収容するケース本体2と、起立したペンP2を支えるペン立て21とを備えている。ケース本体2は、横たわる複数本のペンP1を収容する袋状の収容部3と、収容部3に出入りするペンP1が通過する開閉可能な開閉部11とを含む。ペン立て21は、収容部3の中に配置されている。ペン立て21は、起立したペンP2の外周面に収容部3の中で接することにより当該ペンP2を鉛直にまたは斜めに起立した状態に維持する。
【0021】
収容部3の少なくとも一部は、布、樹脂、天然皮革、合成皮革、人工皮革、木、紙、布製の糸とゴム製の糸により形成された丸断面または平断面のゴム紐、および金属のいずれかで作製されていてもよいし、これら以外の素材で作製されていてもよい。ペン立て21についても同様である。収容部3の素材は、ペン立て21の素材と同じであってもよいし、異なっていてもよい。収容部3の少なくとも一部は、ゴムや樹脂などのゴム弾性を有する素材で作製されていてもよい。ペン立て21についても同様である。
【0022】
収容部3は、横に倒れたペンP1の下に配置される底部4と、底部4上で横に倒れたペンP1の全周を取り囲む筒状部5とを含む。筒状部5の底は、底部4によって塞がれている。筒状部5は、底部4の全周から上方に延びている。筒状部5は、ペンP1が出入りする開口を底部4の上方に形成している。開閉部11は、筒状部5に取り付けられている。
図1は、開閉部11がファスナーである例を示している。
【0023】
図2(a)~(e)に示すように、開閉部11が閉まった状態では、収容部3は、横に倒れた三角柱状である。開閉部11が閉まった状態では、収容部3の右側面および左側面は、三角形状である。開閉部11が閉まった状態では、収容部3の前面、後面、および底面は、左右に長い長方形状である。開閉部11の一例であるファスナーは、収容部3の上方に配置されており、平面視で収容部3に重なっている。
【0024】
収容部3の幅(左右方向の長さ。以下同様。)は、ペンケース1に収容すべきペンP1の全長よりも長い。収容部3の奥行(前後方向の長さ。以下同様。
図2(d)では紙面の上下方向の長さ)は、ペンP1の外径の2倍以上である。収容部3の幅は、収容部3の奥行よりも長く、収容部3の高さ(上下方向の長さ。以下同様。)よりも長い。収容部3の高さは、収容部3の奥行よりも長い。収容部3の高さは、収容部3の奥行以下であってもよい。
【0025】
収容部3の底部4は、左右に長い長方形状である。収容部3の筒状部5は、左右に長い長方形状の水平な断面を有する筒状である。筒状部5は、間隔を空けて前後に向かい合うシート状の前方部5fおよび後方部5bと、間隔を空けて左右に向かい合うシート状の一対の側方部5sとを含む。
【0026】
前方部5fおよび後方部5bは、底部4の2つの長辺から上方に延びている。一対の側方部5sは、底部4の2つの短辺から上方に延びている。前方部5fおよび後方部5bは、右側の側方部5sから左側の側方部5sに延びている。前方部5fおよび後方部5bの上辺3u同士(長辺同士)は、間隔を空けて前後に水平に向かい合っている。一対の側方部5sの上辺同士は、間隔を空けて左右に水平に向かい合っている。
【0027】
前方部5fおよび後方部5bは、左右に長い長方形状である。側方部5sは、上下に長い長方形状である。収容部3は、手で触れて自由に形を変えられる柔らかさに形成されている。
図2(a)および
図2(e)に示すように、開閉部11が閉まった状態では、側方部5sが撓んでおり、上下に長い二等辺三角形状に変形している。開閉部11を開いたり、前方部5fおよび後方部5bの上辺3u同士の間隔を広げたりすると、側方部5sの上部の幅(ここでは、前後方向への長さ)が広がり、側方部5sが長方形状に近づく。
【0028】
前方部5fおよび後方部5bは、幅および高さが互いに等しい。前方部5fおよび後方部5bの幅は、底部4の幅と等しい。側方部5sの奥行(ここでは、側方部5sの底辺の前後方向の長さ)は、底部4の奥行と等しい。側方部5sが上下に長い長方形状のとき、側方部5sの高さは、前方部5fおよび後方部5bの高さと等しくてもよいし、前方部5fおよび後方部5bよりも短いまたは長くてもよい。
【0029】
図2(b)に示すように、開閉部11の一例であるファスナーは、収容部3に取り付けられた帯状の一対のテープ12と、一対のテープ12の長辺に沿って延びる2つの列を形成した複数の小片13と、小片13の2つの列に沿って移動するスライダー14と、一対のテープ12の端同士を連結するストッパー15とを含む。一対のテープ12は、前後に水平に向かい合っている。一方のテープ12は、前方部5fの上辺3uに取り付けられており、他方のテープ12は、後方部5bの上辺3uに取り付けられている。一方の列を形成する複数の小片13は、一方のテープ12に取り付けられており、他方の列を形成する複数の小片13は、他方のテープ12に取り付けられている。スライダー14は、複数の小片13を介して一対のテープ12に保持されている。
【0030】
スライダー14は、スライダー14がストッパー15とは反対側の一対のテープ12の端に位置する閉位置(
図2(a)~(c)に示す位置)と、スライダー14がストッパー15に接する開位置(
図1に示す位置)と、の間で小片13の2つの列に沿って移動可能である。スライダー14が閉位置に配置されているとき、小片13の2つの列が端から端まで互いに噛み合っており、ファスナーが全閉である。スライダー14が開位置に配置されているとき、小片13の2つの列が端から端まで互いに離れており、ファスナーが全開である。小片13の2つの列が互いに噛み合った領域の長さと小片13の2つの列が互いに離れた領域の長さとは、スライダー14の位置に応じて変化する。ファスナーの全部または一部が開いた状態では、ペンP1などの収容物を一対のテープ12の間を通じて収容部3に出し入れすることができる。
【0031】
テープ12は、収容部3の上辺3uに沿って左右に延びている。テープ12は、手で触れて自由に形を変えられる柔らかさに形成されている。テープ12を左右に直線状に延ばすと、テープ12は、収容部3の上辺3uよりも左右に長い。テープ12の一部は、収容部3の上辺3uから左側(
図2(b)~(c)では紙面の右側)にはみ出している。収容部3の上辺3uからはみ出た一対のテープ12は、自重で下に撓んでいる。ストッパー15は、収容部3の上辺3uからはみ出た一対のテープ12の一部に取り付けられている。
【0032】
ペン立て付きペンケース1は、収容部3からはみ出た一対のテープ12の一部を収容部3の表面(外側の面)に留めるスナップボタンを含む。
図2(e)に示すように、スナップボタンは、ストッパー15に取り付けられた凹パーツ16と、収容部3に取り付けられた凸パーツ17とを含む。凸パーツ17の凸部は、収容部3の左側面で露出している。収容部3からはみ出た一対のテープ12の一部を曲げると、凹パーツ16が凸パーツ17に被さる。この状態で、凹パーツ16を凸パーツ17の方に押すと、凸パーツ17の凸部が凹パーツ16の凹部に嵌り、凹パーツ16が凸パーツ17に保持される。その後、凹パーツ16を一定以上の力で引っ張ると、凹パーツ16が凸パーツ17から外れ、スナップボタンによる一対のテープ12の保持が解除される。
【0033】
次に、ペン立て21について説明する。
【0034】
図3は、ペン立て21を示すペンケース1の一部の平面図である。
図4は、ペンケース1の鉛直な断面を示すペンケース1の断面図である。
図4は、収容部3を前後に二等分する鉛直な平面FBに沿う断面を示している。
図5は、
図4に示すV-V線に沿うペンケース1の水平な断面を示すペンケース1の断面図である。
図5において実線で示されたペン立て21は、ペン立て21の使用形態の一例であり、
図5において二点鎖線で示されたペン立て21は、ペン立て21の収納形態の一例である。
【0035】
前述のように、ペン立て付きペンケース1は、起立したペンP2を支えるペン立て21を備えている。
図3に示すように、ファスナーの全部または一部が開いた状態では、ペン立て21の全部または一部がペンケース1の上側から視認可能である。ファスナーが全閉の状態では、ペン立て21のいずれの部分も見えない。ペン立て21は、収容部3を左右に二等分する鉛直な平面LR(
図2(b)参照)に重ならない位置に配置されている。
図3は、ペン立て21がスライダー14の開位置(
図3に示すスライダー14の位置)側に偏った位置に配置された例を示している。ペン立て21は、収容部3を前後に二等分する鉛直な平面FB(
図2(b)参照)に重なる位置に配置されている。
【0036】
ペン立て21は、開閉部11の少なくとも一部よりも下方に配置されている。ペンケース1を上から見ると、ペン立て21は、スライダー14の閉位置とスライダー14の開位置との左右方向における間に位置している。スライダー14の閉位置からペン立て21までの左右方向の最短距離は、スライダー14の開位置からペン立て21までの左右方向の最短距離よりも長くてもよいし、当該最短距離以下であってもよい。つまり、ペン立て21は、スライダー14の開位置側に配置されていてもよい。スライダー14の開位置からペン立て21までの左右方向の最短距離は、収容部3の底面7からペン立て21の中間部21iの下辺21Lまでの上下方向の最短距離D4(
図4参照)よりも短くてもよいし、当該最短距離D4以上であってもよい。
【0037】
図3は、ペン立て21が、均一な厚みの長方形状の1本のバンドである例を示している。ペン立て21は、ペン立て21の短辺が上下に延びる姿勢で収容部3に取り付けられている。ペン立て21の長方形状の表面および裏面は、上下に延びている。ペン立て21の長手方向(長辺に沿う方向)におけるペン立て21の一端部21aおよび他端部21bは、後述する収容部3の内面6の内側前方部8fおよび内側後方部8bに固定されている。
【0038】
ペン立て21は、内側前方部8fから内側後方部8bに掛け渡されている。ペン立て21は、間隔を空けて前後に向かい合う2つの位置で収容部3の内面6に固定されている。ペン立て21の一端部21aからペン立て21の他端部21bに延びるペン立て21の中間部21iは、収容部3の内面6に接触しておらず、空中に配置されている。ペン立て21の一端部21aおよび他端部21bは、収容部3に接触した接触部であり、ペン立て21の中間部21iは、収容部3に非接触部の非接触部である。
【0039】
収容部3の内面6は、横たわるペンP1を収容する収容空間S1を形成している。
図4に示すように、収容部3の内面6は、収容部3内で横たわるペンP1の下に配置される底面7と、底面7から上方に延びる内周面8とを含む。底面7は、収容部3の底部4の上面である。内周面8は、収容部3の筒状部5の内側の面である。内周面8は、間隔を空けて前後に向かい合う内側前方部8fおよび内側後方部8bと、間隔を空けて左右に向かい合う一対の内側側方部8sとを含む。内側前方部8fは、筒状部5の前方部5fの内側の面(前方部5fの後面)である。内側後方部8bは、筒状部5の後方部5bの内側の面(前方部5fの前面)である。一対の内側側方部8sは、筒状部5の一対の側方部5sの内側の面である。
【0040】
ペン立て21は、収容部3の底面7から上方に延びる起立したペンP2の外周面に収容部3の中で接触し得る全ての領域を表す接触領域22を含む。
図3は、ペン立て21の全体が平面視でM字状であり、接触領域22を含む中間部21iが平面視で右側(
図3では紙面の左側)に凹んだU字状である例を示している。接触領域22は、収容部3の内周面8と共に、底面7から上方に延びる起立したペンP2の全周を取り囲む縦置き空間S3を収容部3内に形成している。ペンケース1を上から見たときのペン立て21の接触領域22から収容部3の内周面8までの左右方向への最短距離D1は、ペンP1の外径よりも長い。最短距離D1は、収容部3の底面7からペン立て21の中間部21iの下辺21Lまでの最短距離D4(
図4参照)よりも短くてもよいし、最短距離D4以上であってもよい。
【0041】
図3に示すように、ペンケース1を上から見ると、ペン立て21は、ペン立て21を介して左右に隣接した2つの空間である縦置き空間S3と横置き空間S2とに収容空間S1を分断している。ペンケース1を上から見ると、縦置き空間S3および横置き空間S2は、ペン立て21に対して互いに反対側の空間である。縦置き空間S3は、ペン立て21の上側および下側で横置き空間S2に繋がっている。縦置き空間S3は、横置き空間S2よりも左右に短い。ペンケース1を上から見ると、縦置き空間S3は、1本以上のペンP2を収容できる面積を有している。
図3は、ペンケース1を上から見ると、複数本のペンP2を収容できる面積を縦置き空間S3が有する例を示している。この例では、ペン立て21は、底面7から上方に延びる起立した複数本のペンP2を前後(
図3では上下)に並んだ状態で支えることができる前後方向への長さを有している。
【0042】
図4に示すように、ペン立て21は、収容部3の上辺3uと収容部3の底面7との間に配置されている。ペン立て21の上辺21uは、収容部3の上辺3uから下方に離れている。ペン立て21の下辺21Lは、収容部3の底面7から上方に離れている。ペン立て21の下辺21Lと収容部3の底面7とは、底面7上で横たわるペンP1の外径よりも大きな間隔を両者の間に形成している。
図4は、ペン立て21の下辺21Lと収容部3の底面7との間隔がペンP1の外径の2倍以上である例を示している。収容部3内で横たわるペンP1は、ペン立て21の下に進入可能である。
【0043】
ペン立て21の中間部21iの上辺21uから収容部3の上辺3uまでの上下方向の最短距離D2は、ペンP1の外径よりも長くてもよいし、当該外径以下であってもよい。最短距離D2は、収容部3の底面7からペン立て21の中間部21iの下辺21Lまでの上下方向の最短距離D4よりも短くてもよいし、当該最短距離D4以上であってもよい。前者の場合、起立したペンP2をペン立て21が支える位置が当該ペンP2の重心に近づくので、起立したペンP2を倒れ難くすることができる。ペン立て21の中間部21iの下辺21Lからペン立て21の中間部21iの上辺21uまでの上下方向の最短距離D3は、最短距離D2よりも長くてもよいし、当該最短距離D2以下であってもよい。前者の場合、起立したペンP2をペン立て21が支える範囲が広がるので、起立したペンP2を倒れ難くすることができる。最短距離D4は、最短距離D3よりも長くてもよいし、当該最短距離D3以下であってもよい。前者の場合、より多くのペンP1を寝かした状態でペン立て21の下に配置することができる。
【0044】
ペン立て21は、手で触れて自由に形を変えられる柔らかさに形成されている。ペン立て21は、使用形態と収納形態との間で変形可能である。
図5において実線で示されたペン立て21は、ペン立て21の使用形態の一例であり、
図5において二点鎖線で示されたペン立て21は、ペン立て21の収納形態の一例である。
【0045】
ペン立て21の使用形態は、底面7から上方に延びる起立したペンP2が配置される縦置き空間S3がペン立て21と内周面8との間に形成される形態である。ペン立て21の収納形態は、使用形態のときよりもペン立て21と内周面8との水平方向の間隔が狭まる形態である。ペン立て21が収納形態のとき、ペン立て21の接触領域22と収容部3の内周面8との間隔は、あらゆる位置でペンP2の外径未満であってもよいし、あらゆる位置またはいずれかの位置でペンP2の外径以上であってもよい。
【0046】
指やペンP2などの有体物でペン立て21を押すと、ペン立て21が使用形態から収納形態に、または収納形態から使用形態に変形する。ペン立て21は、使用形態および収納形態のそれぞれで形態を維持可能である。したがって、指やペンP2などのペン立て付きペンケース1以外の有体物をペン立て21から離しても、ペン立て21の形態は、使用形態または収納形態に保たれる。ペン立て21を使用形態にして、ペンP2をペン立て21の接触領域22と収容部3の内周面8との間で縦にすれば、当該ペンP2を立てることができる。ペン立て21を収納形態にすれば、ペンP1などの収容物を収容部3に出し入れする際にペン立て21が邪魔になり難くすることができると共に、より多くのペンP1を横置きで収容部3に収容することができる。
【0047】
次に、本実施形態に係る効果について説明する。
【0048】
本実施形態では、開閉可能な開閉部11を通じて収容部3の中にペンP1を出し入れする。ペンP1は、収容部3の底面7上で横になった状態で収容部3に収容される。ペンP2を立てる場合は、ペンP2の先端(ペン先、ペン尻、または、ペン先を覆うキャップの先端)を収容部3の底面7の上に置き、ペンP2の外周面をペン立て21に接触させる。ペン立て21を収容部3の中でペンP2に接触させて当該ペンP2を支えるので、蓋がなくてもペンP2を起立した状態に維持することができる。さらに、起立したペンP2の下端を収容部3の底面7で支えるので、ペンP2の下端が収容部3の底面7よりも上方に配置される場合に比べて、起立したペンP2の重心を下げることができ、当該ペンP2やペンケース1を倒れ難くすることができる。
【0049】
さらに、ペン立て21を収容部3の底面7から上方に離しており、横たわるペンP1の外径よりも大きな間隔をペン立て21と収容部3の底面7との間に形成する。ペン立て21と収容部3の底面7との間隔がペンP1の外径よりも大きいので、ペン立て21の下でペンP1を横たえることができる。言い換えると、横たわるペンP1の上で、起立したペンP2をペン立て21で支えることができる。しかも、起立したペンP2の下端部を収容部3の底面7上で横たわるペンP1で支えることができ、起立したペンP2をより倒れ難くすることができる。
【0050】
本実施形態では、収容部3の底面7から上方に延びる起立したペンP2の全周を、ペン立て21だけで取り囲むのでなく、ペン立て21と収容部3の内周面8とで取り込む。したがって、ペン立て21と収容部3の内周面8との両方で起立したペンP2が倒れることを防止できる。さらに、起立したペンP2が配置される縦置き空間S3を収容部3の内周面8の一部を利用して形成するので、起立したペンP2の全周をペン立て21だけで取り囲む場合に比べて、ペン立て21を軽量化できる。
【0051】
本実施形態では、指やペンP2などの有体物でペン立て21を押すと、ペン立て21が使用形態から収納形態に、または収納形態から使用形態に変形する。収容部3の底面7から上方に延びる起立したペンP2は、使用形態のペン立て21と収容部3の内周面8との内側に配置され、使用形態のペン立て21によって支えられる。ペン立て21を使用形態から収納形態に変形させると、ペン立て21と収容部3の内周面8との水平方向の間隔が狭まる。これにより、ペン立て21を使用しないときにペン立て21が邪魔になり難くすることができると共に、より多くのペンP1を横置きで収容部3に収容することができる。
【0052】
本実施形態では、起立した複数本のペンP2を前後に並べてペン立て21で支えられるようにペン立て21を前後に長くしている。収容部3は、相対的に前後に短い。起立した複数本のペンP2を、前後方向ではなく左右方向に並べてペン立て21で支えると、起立したペンP2を含むペンケース1全体の重心(起立したペンP2以外の物を収容部3が収容している場合はそれも含む重心)が前後に偏り易い。収容部3が相対的に前後に短いので、ペンケース1全体の重心が前後に偏ると、ペンケース1の姿勢が不安定になり易い。起立した複数本のペンP2を前後に並べてペン立て21で支える場合は、このような姿勢の不安定化を軽減できる。
【0053】
本実施形態では、スライダー14を閉位置と開位置との間で移動させることによりファスナーを開閉する。ペンケース1を上から見ると、収容部3の底面7から上方に延びる起立したペンP2は、スライダー14がペン立て21よりも開位置側に位置している状態で、スライダー14とペン立て21との間に配置される。スライダー14とペン立て21との間に位置する起立したペンP2がファスナーから上方に突出する場合、左右方向へのスライダー14の位置を調整することにより、スライダー14とペン立て21との間に配置できる起立したペンP2の本数を増加または減少させることができる。さらに、スライダー14を閉位置側に移動させて起立したペンP2に近づけることにより、スライダー14とペン立て21との間でファスナーから上方に突出した起立したペンP2を倒れ難くすることができる。加えて、ペン立て21がスライダー14の開位置側に配置されているので、ペンP1などの収容物を収容部3に出し入れするときにペン立て21が邪魔になり難くすることができる。
【0054】
次に、他の実施形態について説明する。
【0055】
ペン立て21の一端部21aからペン立て21の他端部21bに延びるペン立て21の中間部21iは、平面視で縦置き空間S3から離れるように左右に凹んだU字状ではなく、平面視で縦置き空間S3から離れるように左右に凹んだ複数のU字部が前後に並んだ形状であってもよい。例えば、ペン立て21の中間部21iは、波形であってもよい。
【0056】
ペン立て21の全体が上下に貫通したO字状の1つのリングを形成していてもよいし、上下に貫通したO字状またはC字状の複数のリング部と複数のリング部を収容部3の内面6に連結する線状または帯状のサポート部とがペン立て21に設けられていてもよい。前者の場合、1本以上のペンP2が起立した姿勢で1つのリング内に配置され、リングの内周面によって支えられる。後者の場合、複数のペンP2が起立した姿勢で複数のリング部内に1本ずつ配置され、複数のリング部の内周面によって支えられる。
【0057】
ペン立て21の一端部21aが内側前方部8fまたは内側後方部8bに固定され、ペン立て21の他端部21bが内側側方部8sに固定されていてもよい。もしくは、ペン立て21の一端部21aおよび他端部21bの両方が、内側前方部8f、内側後方部8b、または内側側方部8sに固定されていてもよい。ペン立て21の接触領域22と収容部3の底面7との間に横置きのペンP1を配置できるのであれば、ペン立て21は、収容部3の底面7から上方に延びていてもよい。
【0058】
ペン立て21は、均一な厚みの長方形状の1本のバンドまたはベルトでなくてもよい。例えば、ペン立て21は、線状の1本以上の紐であってもよいし、長方形状のバンドと線状の紐とを含んでいてもよい。ペン立て21は、手で触れて自由に形を変えられる柔らかさではなく、手で押しても変形しないまたは殆ど変形しない硬さに形成されていてもよい。例えば、樹脂などの硬い素材でペン立て21の少なくとも一部を作製してもよい。
【0059】
収容部3は、開閉部11が閉まった状態で横に倒れた三角柱状ではなく、左右に長い直方体状であってもよい。ペンケース1を上から見ると、収容部3は、左右に長い長方形状ではなく、左右方向に長い楕円状であってもよい。収容部3の鉛直な断面は、中空の三角柱状または台形状に限らず、中空の円状、楕円状、正方形状、縦長または横長の長方形状であってもよい。
【0060】
収容空間S1を前後に並んだ2つの分割空間に分割する仕切りを収容部3の中に設けてもよい。この場合、分割空間ごとにペン立て21を設けてもよいし、一方の分割空間だけにペン立て21を設けてもよい。収容部3は、内側前方部8fまたは内側後方部8bに重ねられた内ポケットを有していてもよい。
【0061】
開閉部11は、ファスナー以外であってもよい。例えば、開閉部11は、ファスナーに代えてまたは加えて、面ファスナー、マグネット、スナップボタンやそれ以外のボタン、および、収容部3に形成された開口を塞ぐ閉位置と同開口を開く開位置との間で収容部3に対して移動可能な蓋のうちの少なくとも一つを含んでいてもよいし、これら以外を含んでいてもよい。
【0062】
開閉部11の一例であるファスナーは、小片13の2つの列に沿って移動する2つのスライダー14を備えていてもよい。この場合、2つのスライダー14の間隔が最も狭くなる位置がスライダー14の閉位置であり、2つのスライダー14の間隔が最も広くなる位置が開位置に相当する。
【0063】
本発明の実施形態について詳細に説明してきたが、これらは本発明の技術的内容を明らかにするために用いられた具体例に過ぎず、本発明はこれらの具体例に限定して解釈されるべきではなく、本発明の精神および範囲は添付の請求の範囲によってのみ限定される。
【符号の説明】
【0064】
1:ペン立て付きペンケース、3:収容部、3u:収容部の上辺、4:収容部の底部、5:収容部の筒状部、6:収容部の内面、7:収容部の内面の底面、8:収容部の内面の内周面、11:開閉部、14:スライダー、21:ペン立て、21L:ペン立ての下辺、21a:ペン立ての一端部、21b:ペン立ての他端部、21i:ペン立ての中間部、21u:ペン立ての上辺、22:ペン立ての接触領域、P1:ペン、P2:ペン、S1:収容空間、S2:横置き空間、S3:縦置き空間