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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068453
(43)【公開日】2024-05-20
(54)【発明の名称】物品搬送設備
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/00 20060101AFI20240513BHJP
   B65G 35/00 20060101ALI20240513BHJP
【FI】
B65G1/00 501C
B65G35/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178920
(22)【出願日】2022-11-08
(71)【出願人】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】吉永 和治
(72)【発明者】
【氏名】打田 雅之
(72)【発明者】
【氏名】野上 翔平
(72)【発明者】
【氏名】高木 大樹
【テーマコード(参考)】
3F022
【Fターム(参考)】
3F022LL07
3F022LL14
3F022MM13
3F022NN08
(57)【要約】
【課題】複数階層の走行フロアを備えた物品搬送設備において、到着階での搬送車の発進をスムーズに行う。
【解決手段】第1直進経路R1と第2直進経路R2とが互いに平行であると共に、第1直進経路R1を搬送車Vが走行する向きと、第2直進経路R2を搬送車Vが走行する向きとが互いに反対側を向くように設定されている。第1リフタL1は、第1直進経路R1の直進経路第1側X1の端部と第2直進経路R2の直進経路第1側X1の端部とを接続するように構成され、第2リフタは、第1直進経路R1の直進経路第2側X2の端部と第2直進経路R2の直進経路第2側X2の端部とを接続するように構成されている。第1リフタL1及び第2リフタのそれぞれは、搬送車Vを載置可能な昇降台Laを備えている。昇降台Laは、上下方向視で、旋回動作を実行する搬送車Vの軌跡である旋回軌跡よりも大きい。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に並ぶ複数階層の走行フロアと、前記走行フロアを走行して物品を搬送する搬送車と、を備えた物品搬送設備であって、
複数の前記走行フロアのそれぞれに設けられ、前記搬送車が直進する走行経路である直進経路と、
複数の前記走行フロアに亘って前記搬送車を昇降させる一対のリフタである第1リフタ及び第2リフタと、を備え、
前記搬送車は、直進走行を行うと共に、その場で上下軸心まわりに旋回する旋回動作を実行して方向転換を行うように構成され、
上下方向に互いに隣接する一対の前記走行フロアの前記直進経路をそれぞれ第1直進経路及び第2直進経路として、
前記第1直進経路と前記第2直進経路とが互いに平行であると共に、前記第1直進経路を前記搬送車が走行する向きと、前記第2直進経路を前記搬送車が走行する向きとが互いに反対側を向くように設定され、
前記第1直進経路を走行する前記搬送車が向かう側を直進経路第1側とし、前記第2直進経路を走行する前記搬送車が向かう側を直進経路第2側として、
前記第1リフタは、前記第1直進経路の前記直進経路第1側の端部と前記第2直進経路の前記直進経路第1側の端部とを接続するように構成され、
前記第2リフタは、前記第1直進経路の前記直進経路第2側の端部と前記第2直進経路の前記直進経路第2側の端部とを接続するように構成され、
前記第1リフタ及び前記第2リフタのそれぞれは、前記搬送車を載置可能な昇降台を備え、
前記昇降台は、上下方向視で、前記旋回動作を実行する前記搬送車の軌跡である旋回軌跡よりも大きい、物品搬送設備。
【請求項2】
前記第1リフタ及び前記第2リフタのそれぞれは、複数の前記昇降台を備え、複数の前記昇降台を予め定められた環状経路に沿って循環させるように構成されている、請求項1に記載の物品搬送設備。
【請求項3】
前記第1リフタ及び前記第2リフタのそれぞれは、複数の前記昇降台を前記環状経路に沿う方向の一方側のみに向かって移動させるように構成され、
前記環状経路は、前記昇降台を上昇させる上昇経路と、前記昇降台を下降させる下降経路と、前記上昇経路と前記下降経路とを上下の両側で接続する一対の円弧状の接続経路と、を含み、
前記第1リフタが、前記搬送車の上昇用に設定され、前記上昇経路にある前記昇降台のみに前記搬送車を載置させ、
前記第2リフタが、前記搬送車の下降用に設定され、前記下降経路にある前記昇降台のみに前記搬送車を載置させる、請求項2に記載の物品搬送設備。
【請求項4】
複数の前記搬送車を制御する制御装置を更に備え、
前記搬送車が前記物品を受け取る物品受取りエリアが、前記第1リフタ及び前記第2リフタのいずれかである対象リフタの出口に隣接して設けられ、
前記第1リフタ及び前記第2リフタのうちの前記対象リフタではない方を非対象リフタとして、
前記制御装置は、前記対象リフタ内の前記搬送車の数が、前記非対象リフタ内の前記搬送車の数以上となるように、前記走行フロアの前記搬送車を制御する、請求項3に記載の物品搬送設備。
【請求項5】
前記第1リフタ及び前記第2リフタのそれぞれは、複数の前記昇降台を備え、
前記第1リフタ及び前記第2リフタのそれぞれにおける複数の前記昇降台のうちの一部が、前記搬送車を一時的に保管する保管部として機能する、請求項1に記載の物品搬送設備。
【請求項6】
前記搬送車が前記物品を受け取る物品受取りエリアと、前記搬送車が前記物品を排出する物品排出エリアとが、同一階の前記走行フロアに設けられている、請求項1から5のいずれか一項に記載の物品搬送設備。
【請求項7】
前記第1リフタ及び前記第2リフタのそれぞれは、複数の前記昇降台を備え、
前記第1リフタ及び前記第2リフタのそれぞれにおける複数の前記昇降台の上下方向の間隔が、前記物品を保持した状態の前記搬送車における前記搬送車と前記物品とを合わせた高さに一定の余裕代を加算した長さ以上であって、複数の前記昇降台のうち1つが前記第1直進経路が設けられた前記走行フロアに接続された状態で、複数の前記昇降台のうち別の1つが前記第2直進経路が設けられた前記走行フロアに接続された状態となるように設定されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の物品搬送設備。
【請求項8】
前記搬送車は、前記走行フロアに設けられた複数の位置情報保持部に保持された位置情報を読み取りながら前記走行フロアを走行すると共に、前記位置情報保持部に対応する位置において前記旋回動作を実行するように構成され、
前記第1リフタ及び前記第2リフタの前記昇降台における前記搬送車が載置される載置面にも、前記位置情報保持部が設けられている、請求項1から5のいずれか一項に記載の物品搬送設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上下方向に並ぶ複数階層の走行フロアと、前記走行フロアを走行して物品を搬送する搬送車と、を備えた物品搬送設備に関する。
【背景技術】
【0002】
このような物品搬送設備の一例が、特許第6833983号公報(特許文献1)に開示されている。以下、背景技術の説明において括弧内に示された符号は、特許文献1のものである。
【0003】
特許文献1に開示された設備は、異なる階層(40,41)の間で搬送車(30)を昇降させるリフタ(20)を備えている。搬送車(30)がリフタ(20)によって異なる階層に移動する場合には、リフタ(20)内に進入した搬送車(30)の一部(32)と当該リフタ(20)の一部(116)とが係合される。そして、この係合状態のまま、搬送車(30)はリフタ(20)によって昇降する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6833983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、特許文献1の設備では、リフタ(20)による搬送車(30)の昇降中は、搬送車(30)の一部(32)とリフタ(20)の一部(116)とが係合するようになっている。そのため、搬送車(30)の姿勢は、出発階と到着階とで同一となる。従って、搬送車(30)は、出発階において前進してリフタ(20)に進入した場合には、到着階では後進してリフタ(20)から退出する必要がある。このような搬送車は、通常の移動は前進して行うことが一般的であるから、動き出しに後進が必要となる状況では、到着階における発進をスムーズに行い難いという問題がある。
【0006】
上記実情に鑑みて、複数階層の走行フロアを備えた物品搬送設備において、到着階での搬送車の発進をスムーズに行うことが可能な技術の実現が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上下方向に並ぶ複数階層の走行フロアと、前記走行フロアを走行して物品を搬送する搬送車と、を備えた物品搬送設備であって、
複数の前記走行フロアのそれぞれに設けられ、前記搬送車が直進する走行経路である直進経路と、
複数の前記走行フロアに亘って前記搬送車を昇降させる一対のリフタである第1リフタ及び第2リフタと、を備え、
前記搬送車は、直進走行を行うと共に、その場で上下軸心まわりに旋回する旋回動作を実行して方向転換を行うように構成され、
上下方向に互いに隣接する一対の前記走行フロアの前記直進経路をそれぞれ第1直進経路及び第2直進経路として、
前記第1直進経路と前記第2直進経路とが互いに平行であると共に、前記第1直進経路を前記搬送車が走行する向きと、前記第2直進経路を前記搬送車が走行する向きとが互いに反対側を向くように設定され、
前記第1直進経路を走行する前記搬送車が向かう側を直進経路第1側とし、前記第2直進経路を走行する前記搬送車が向かう側を直進経路第2側として、
前記第1リフタは、前記第1直進経路の前記直進経路第1側の端部と前記第2直進経路の前記直進経路第1側の端部とを接続するように構成され、
前記第2リフタは、前記第1直進経路の前記直進経路第2側の端部と前記第2直進経路の前記直進経路第2側の端部とを接続するように構成され、
前記第1リフタ及び前記第2リフタのそれぞれは、前記搬送車を載置可能な昇降台を備え、
前記昇降台は、上下方向視で、前記旋回動作を実行する前記搬送車の軌跡である旋回軌跡よりも大きい。
【0008】
本構成によれば、搬送車は、リフタによる昇降中に旋回動作を行うことによって、到着階での発進に適した姿勢に予めなっておくことができる。このため搬送車は、到着階における発進をスムーズに行うことができる。また、本構成によれば、リフタの昇降台が、上下方向視において搬送車の旋回軌跡よりも大きい。そのため搬送車は、リフタによる昇降中であっても適切に旋回動作を行うことができる。
【0009】
本開示に係る技術のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】物品搬送設備の1階走行フロア及び2階走行フロアを示す平面図
図2】搬送車の走行動作を示す説明図
図3】搬送車が各階層を循環する様子を示す説明図
図4】搬送車が異なる階の走行フロアを移動する様子を示す説明図
図5】各昇降台の間隔及び昇降台と走行フロアとの位置関係を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0011】
物品搬送設備は、上下方向に並ぶ複数階層の走行フロアと、走行フロアを走行して物品を搬送する搬送車と、を備えている。以下、物品搬送設備の実施形態について図面を参照して説明する。
【0012】
図1に示すように、物品搬送設備100は、上下方向に並ぶ複数階層の走行フロアFと、複数の走行フロアFのそれぞれに形成された走行面Faを走行する搬送車Vと、を備えている。各階層の走行フロアFにおいて、複数の搬送車Vが走行面Faを走行している。
【0013】
本実施形態では、物品搬送設備100は、複数の搬送車Vを制御する制御装置Mを更に備えている。制御装置Mは、各搬送車Vに対して、搬送指令や待機指令などを行う。搬送指令では、物品Gの搬送元と搬送先とが指定される。搬送指令を受けた搬送車Vは、指定された搬送元において物品Gを受け取ると共に、指定された搬送先へ当該物品Gを搬送する。また、待機指令では、待機場所が指定される。待機指令を受けた搬送車Vは、指定された待機場所まで走行して、その場で次の指令等を受けるまで待機する。
【0014】
図1に示す例では、物品搬送設備100は、2階層の走行フロアFを備えている。図1は、1階の走行フロアFと2階の走行フロアFを示している。但し、このような構成に限定されることなく、物品搬送設備100は、3階層以上の走行フロアFを備えていてもよい。
【0015】
物品搬送設備100は、複数の走行フロアFのそれぞれに設けられ、搬送車Vが直進する走行経路である直進経路Rを備えている。上下方向に互いに隣接する一対の走行フロアFの直進経路Rが、それぞれ第1直進経路R1及び第2直進経路R2とされている。本例では、第1直進経路R1は、1階の走行フロアFに設けられている。第2直進経路R2は、2階の走行フロアFに設けられている。以下、第1直進経路R1と第2直進経路R2とを特に区別しない場合には、両者を「直進経路R」と総称することがある。
【0016】
直進経路Rは、走行フロアFの一部として構成されている。各階の走行フロアFは、直進経路Rと走行フィールドFfとを備えている。図示の例では、第1直進経路R1は、後述する作業エリアWAと仕分けエリアSAとに亘って設けられた1本の通路である。搬送車Vは、作業エリアWAから仕分けエリアSAへ物品Gを搬送する場合には、第1直進経路R1を走行する。走行フィールドFfは、走行フロアFにおける平面状に広がる部分である。搬送車Vは、走行フィールドFfを自在に走行することが可能となっている。本実施形態では、直進経路Rと走行フィールドFfとは、一部で重複している。図示の例において、1階の走行フロアFでは、作業エリアWAと仕分けエリアSAとの間に走行フィールドFfが設けられている。第1直進経路R1は、作業エリアWAと仕分けエリアSAとの間で、走行フィールドFfを横断するように設けられている。
【0017】
以下では、第1直進経路R1が延在する方向を「直進経路方向X」とし、上下方向視で直進経路方向Xに直交する方向を「経路幅方向Y」とする。なお、本実施形態では、第2直進経路R2は、第1直進経路R1が設けられた階層と異なる階層において、第1直進経路R1と同じ方向に延在している。すなわち、第2直進経路R2は、直進経路方向Xに沿って延在している。
【0018】
図2に示すように、搬送車Vは、直進走行を行うと共に、その場で上下軸心まわりに旋回する旋回動作を実行して方向転換を行うように構成されている。搬送車Vは、直進走行と旋回動作とを行うことにより、1階の走行フロアF及び2階の走行フロアFのそれぞれにおいて、走行フィールドFfを自在に走行することが可能となっている。
【0019】
走行面Faには、搬送車Vの走行経路が、直進経路方向X及び経路幅方向Yのそれぞれに沿って延在するように設定されている。直進経路方向Xに延在する走行経路と経路幅方向Yに延在する走行経路との交点に、搬送車Vの旋回動作が許容される旋回位置が設定されている。
【0020】
本実施形態では、走行フロアFにおける複数箇所に、位置情報を保持した位置情報保持部Inが設けられている。複数の位置情報保持部Inを繋ぐように、搬送車Vの走行経路が設定されている。搬送車Vの旋回動作が許容される旋回位置は、位置情報保持部Inの位置に基づいて設定されている。そして、本実施形態では、搬送車Vは、走行フロアFに設けられた複数の位置情報保持部Inに保持された位置情報を読み取りながら走行フロアFを走行すると共に、位置情報保持部Inに対応する位置において旋回動作を実行するように構成されている。
【0021】
本実施形態では、位置情報保持部Inには、固有の識別情報が設定されている。本例では、識別情報には、位置情報保持部Inが設けられた位置を示すアドレス情報が含まれている。搬送車Vは、位置情報保持部Inを検出するための検出部(不図示)を備えている。そして、搬送車Vは、この検出部によって位置情報保持部Inを検出することにより、当該位置情報保持部Inが設けられた位置、すなわち、検出時における自車の現在位置を把握可能となっている。例えば、位置情報保持部Inとして、識別情報を保有した1次元コード又は2次元コードを用いることができる。或いは、位置情報保持部Inとして、識別情報を保有したRFIDタグ(Radio Frequency Identification Tag)を用いることができる。
【0022】
図1に示すように、物品搬送設備100は、複数の走行フロアFに亘って搬送車Vを昇降させる一対のリフタLである第1リフタL1及び第2リフタL2を備えている。以下では、第1リフタL1と第2リフタL2とを特に区別しない場合には、両者を「リフタL」と総称することがある。
【0023】
物品搬送設備100は、物品Gが供給される物品供給部Pgと、物品供給部Pgから供給された物品Gを搬送車Vに引き渡す作業が行われる作業エリアWAと、搬送車Vによって搬送された物品Gの仕分け作業が行われる仕分けエリアSAと、仕分けエリアSAにおける仕分け作業によって発生した空の容器Cを回収する空容器回収装置Bと、を備えている。本実施形態では、作業エリアWAが、「搬送車が物品を受け取る物品受取りエリア」に相当する。仕分けエリアSAが、「搬送車が物品を排出する物品排出エリア」に相当する。
【0024】
本実施形態では、作業エリアWA及び仕分けエリアSAの双方が、1階の走行フロアFと同じレベルに設けられている。そして、2階の走行フロアFには、作業エリアWA及び仕分けエリアSAの双方が設けられていない。すなわち、搬送車Vが物品Gを受け取る物品受取りエリア(作業エリアWA)と、搬送車Vが物品Gを排出する物品排出エリア(仕分けエリアSA)とが、同一階の走行フロアFに設けられている。
【0025】
作業エリアWAは、第1直進経路R1と物品供給部Pgとの双方に隣接するように配置されている。本実施形態では、物品供給部Pgは、物品Gを、供給容器Cpに収容した状態で作業エリアWAに供給する。作業エリアWAでは、供給容器Cpに収容された物品Gを取り出して、第1直進経路R1で待機する搬送車Vに当該物品Gを引き渡す作業が行われる。搬送車Vへの物品Gの引き渡しは、供給容器Cpとは別の容器Cに物品Gを収容した状態で行われてもよいし、物品Gを容器Cに収容することなくそのまま引き渡す態様で行われてもよい。本実施形態では、作業エリアWAでの上記作業が、作業者Wによって行われる。但し、作業者Wではなく、ロボットによって上記作業が行われてもよいし、作業者W及びロボットの双方によって上記作業が行われてもよい。
【0026】
搬送車Vは、物品G又は物品Gが収容された容器Cを搬送するように構成されている。本実施形態では、搬送車Vは、作業エリアWAにて受け取った物品G又は物品Gが収容された容器Cを仕分けエリアSAに搬送する。
【0027】
仕分けエリアSAは、作業エリアWAとは離れた場所において第1直進経路R1に対して経路幅方向Yに隣接して設けられている。仕分けエリアSAでは、搬送車Vによって搬送された物品Gの仕分け作業が行われる。仕分け作業は、予め定められたオーダー情報に基づいて行われる。例えば、オーダー情報には、例えば、顧客情報、出荷先情報、物品種別情報などの各種情報が含まれる。
【0028】
本実施形態では、搬送車Vが、容器Cに収容された物品Gを仕分けエリアSAに搬送する場合には、仕分けエリアSAでは、搬送車Vによって搬送された容器Cから物品Gを取り出す取出作業が行われる。すなわち、仕分け作業には、搬送車Vによって搬送された容器Cから物品Gを取り出す取出作業が含まれる。この取出作業により、容器Cと物品Gとが分離され、空の容器Cが発生する。搬送車Vが、物品G(容器Cに収容されていない状態の物品G)を仕分けエリアSAに搬送する場合には、仕分けエリアSAでは、搬送車Vによって搬送された物品Gを受け取る受取作業が行われる。取出作業により容器Cから取り出された物品Gや、受取作業により受け取られた物品Gは、例えば、出荷先に応じた不図示の容器に収容される。
【0029】
空容器回収装置Bは、上記の取出作業によって発生した空の容器Cを回収するように構成されている。そして、空容器回収装置Bによって空の容器Cが搬送される経路である回収経路Rbが、作業エリアWAに隣接する位置まで延在している。本例では、回収経路Rbは、作業エリアWAの内部まで延在している。空容器回収装置Bによって回収された空の容器Cは、回収経路Rbに沿って作業エリアWAまで搬送され、作業エリアWAでの作業に用いられる。空容器回収装置Bは、例えばコンベヤを用いて構成されている。コンベヤを用いて構成される空容器回収装置Bは、回収経路Rbに沿って延在している。本実施形態では、仕分けエリアSAでの仕分け作業(上記取出作業を含む)が、作業者Wによって行われる。但し、作業者Wではなく、ロボットによって仕分け作業が行われてもよいし、作業者W及びロボットの双方によって仕分け作業が行われてもよい。
【0030】
搬送車Vは、物品Gを仕分けエリアSAに引き渡した後は、リフタLに乗って、他階の走行フロアF(本例では2階の走行フロアF)へ向かう。そして、搬送車Vは、2階の走行フロアFを走行して他のリフタLに乗り、上述の作業エリアWA及び仕分けエリアSAが設けられた階の走行フロアF(本例では1階の走行フロアF)へ戻る。戻った搬送車Vは、上記同様に、作業エリアWAにおいて物品Gを受け取り、当該物品Gを仕分けエリアSAへ搬送する。
【0031】
図3は、搬送車Vが各階層を往来する様子を示している。図3に示すように、第1直進経路R1と第2直進経路R2とが互いに平行であると共に、第1直進経路R1を搬送車Vが走行する向きと、第2直進経路R2を搬送車Vが走行する向きとが互いに反対側を向くように設定されている。以下では、第1直進経路R1を走行する搬送車Vが向かう側を「直進経路第1側X1」とし、第2直進経路R2を走行する搬送車Vが向かう側を「直進経路第2側X2」とする。
【0032】
第1リフタL1は、第1直進経路R1の直進経路第1側X1の端部と第2直進経路R2の直進経路第1側X1の端部とを接続するように構成されている。第1リフタL1は、第1直進経路R1の直進経路第1側X1の端部と第2直進経路R2の直進経路第1側X1の端部との間で、搬送車Vを昇降させるように構成されている。
【0033】
第2リフタL2は、第1直進経路R1の直進経路第2側X2の端部と第2直進経路R2の直進経路第2側X2の端部とを接続するように構成されている。第2リフタL2は、第1直進経路R1の直進経路第2側X2の端部と第2直進経路R2の直進経路第2側X2の端部との間で、搬送車Vを昇降させるように構成されている。
【0034】
第1リフタL1は、第2リフタL2に対して直進経路第1側X1に配置されている。第2リフタL2は、第1リフタL1に対して直進経路第2側X2に配置されている。第1リフタL1と第2リフタL2との直進経路方向Xの間には、第1直進経路R1及び第2直進経路R2が配置されている。なお、第1直進経路R1及び第2直進経路R2のうち少なくとも一方は、第1リフタL1又は第2リフタL2が連結された部分から水平面に沿って延在する延長経路(不図示)に接続されていてもよい。
【0035】
第1リフタL1及び第2リフタL2のそれぞれは、搬送車Vを載置可能な昇降台Laを備えている。第1リフタL1及び第2リフタL2のそれぞれは、自らが備える昇降台Laに搬送車Vを載置した状態で、当該搬送車Vを複数階層に亘って昇降させる。第1リフタL1及び第2リフタL2のそれぞれは、昇降台Laの姿勢を水平面に沿う姿勢(例えば、水平面に平行な姿勢)に維持した状態で、昇降台Laを昇降させるように構成されている。本例では、後述する上昇経路RLu、下降経路RLd、及び一対の接続経路RLcの全てにおいて、昇降台Laの姿勢が水平面に沿う姿勢に維持される。
【0036】
本実施形態では、第1リフタL1及び第2リフタL2のそれぞれは、複数の昇降台Laを備えている。第1リフタL1及び第2リフタL2のそれぞれは、複数の昇降台Laを予め定められた環状経路RLに沿って循環させるように構成されている。
【0037】
環状経路RLは、昇降台Laを上昇させる上昇経路RLuと、昇降台Laを下降させる下降経路RLdと、上昇経路RLuと下降経路RLdとを上下方向の両側で接続する一対の接続経路RLcと、を含む。本実施形態では、上昇経路RLuと下降経路RLdとは、上下方向に沿って延びていると共に、直進経路方向Xに並ぶように配置されている。また本例では、一対の接続経路RLcは、円弧状に形成されている。従って、環状経路RLは、経路幅方向Y視において、上下方向に沿って延びる略楕円形状の経路とされている。
【0038】
本実施形態では、第1リフタL1及び第2リフタL2のそれぞれは、複数の昇降台Laを環状経路RLに沿う方向の一方側のみに向かって移動させるように構成されている。換言すれば、第1リフタL1及び第2リフタL2のそれぞれが複数の昇降台Laを循環させる方向は、予め一方向に定められている。
【0039】
本実施形態では、第1リフタL1が、搬送車Vの上昇用に設定され、上昇経路RLuにある昇降台Laのみに搬送車Vを載置させるように構成されている。本例では、第1リフタL1は、環状経路RLのうち上昇経路RLu以外の経路(下降経路RLd及び一対の接続経路RLc)にある昇降台Laには搬送車Vを載置させないように構成されている。換言すれば、第1リフタL1は、上昇経路RLuにおいて第1直進経路R1から搬送車Vを受け取ると共に、上昇経路RLuにおいて第2直進経路R2へ搬送車Vを引き渡す。すなわち、第1リフタL1は、上昇経路RLuにおいて第1直進経路R1から受け取った搬送車Vが、接続経路RLcや下降経路RLdを通る前に、当該搬送車Vを第2直進経路R2へ引き渡す。
【0040】
搬送車Vを保管するための保管部として、昇降台Laを用いることもできる。例えば、設備の休止状態、或いは、搬送車Vにバッテリ切れや故障が生じたなどの理由により、設備内において搬送車Vを意図的に稼働させない場合に、昇降台Laを搬送車Vの保管部として用いることがある。このような場合には、第1リフタL1は、上昇経路RLu以外にも、下降経路RLdや接続経路RLcにある昇降台Laに搬送車Vを載置させておくことができる。すなわち本例では、第1リフタL1における複数の昇降台Laのうちの一部が、搬送車Vを一時的に保管する保管部として機能する。この場合、例えば、制御装置M(図1参照)は、保管されるべき特定の搬送車Vに対して、第1リフタL1における複数の昇降台Laのうちいずれかを指定して、当該指定した昇降台Laで待機する旨の待機指令を行う。
【0041】
本実施形態では、第2リフタL2が、搬送車Vの下降用に設定され、下降経路RLdにある昇降台Laのみに搬送車Vを載置させるように構成されている。本例では、第2リフタL2は、環状経路RLのうち下降経路RLd以外の経路(上昇経路RLu及び一対の接続経路RLc)にある昇降台Laには搬送車Vを載置させないように構成されている。換言すれば、第2リフタL2は、下降経路RLdにおいて第2直進経路R2から搬送車Vを受け取ると共に、下降経路RLdにおいて第1直進経路R1へ搬送車Vを引き渡す。すなわち、第2リフタL2は、下降経路RLdにおいて第2直進経路R2から受け取った搬送車Vが、接続経路RLcや上昇経路RLuを通る前に、当該搬送車Vを第1直進経路R1へ引き渡す。なお、第2リフタL2は、下降経路RLd以外にも、上昇経路RLuや接続経路RLcにある昇降台Laに搬送車Vを載置させておくことができる。すなわち本例では、第2リフタL2における複数の昇降台Laのうちの一部が、搬送車Vを一時的に保管する保管部として機能する。この場合、例えば、制御装置M(図1参照)は、保管されるべき特定の搬送車Vに対して、第2リフタL2における複数の昇降台Laのうちいずれかを指定して、当該指定した昇降台Laで待機する旨の待機指令を行う。
【0042】
上述のように、本実施形態では、搬送車Vが物品Gを受け取る作業エリアWA(物品受取りエリア)と、搬送車Vが物品Gを排出する仕分けエリアSA(物品排出エリア)とが、同一階の走行フロアFに設けられている。詳細には、作業エリアWAと仕分けエリアSAとは、1階の走行フロアFに設けられている。本例では、搬送車Vは、下降用の第2リフタL2の出口から1階の走行フロアFに出て、作業エリアWAにおいて物品Gを受け取る。その後、搬送車Vは、物品Gを保持した状態で第1直進経路R1を直進経路第1側X1に向けて走行し、仕分けエリアSAにおいて当該物品Gを排出する。さらにその後、搬送車Vは、1階の走行フロアFから上昇用の第1リフタL1に進入し、2階の走行フロアFへ向かう。搬送車Vは、上昇用の第1リフタL1の出口から2階の走行フロアFに出て、第2直進経路R2を直進経路第2側X2に向けて走行する。そして、搬送車Vは、下降用の第2リフタL2に進入し、1階の走行フロアFへ向かう。このようにして、搬送車Vは、1階の走行フロアFと2階の走行フロアFとを循環する。
【0043】
上記のように、搬送車Vが物品Gを受け取る作業エリアWA(物品受取りエリア)と、搬送車Vが物品Gを排出する仕分けエリアSA(物品排出エリア)とが、同一階の走行フロアFに設けられている構成では、搬送車Vは、同一階で物品Gの搬送を完結させるため、物品Gを保持した状態で第1リフタL1及び第2リフタL2リフタの双方に乗ることがない。すなわち、搬送車Vは、第1リフタL1及び第2リフタL2リフタの何れに対しても、物品Gを保持していない状態で乗るようになっている。
【0044】
本実施形態では、搬送車Vが物品Gを受け取る作業エリアWA(物品受取りエリア)が、第1リフタL1及び第2リフタL2のいずれかである対象リフタの出口に隣接して設けられている。本例では、第2リフタL2が対象リフタとされている。また、第1リフタL1及び第2リフタL2のうちの対象リフタではない方を非対象リフタとする。本例では、第1リフタL1が非対象リフタとされている。そして、制御装置M(図1参照)は、対象リフタ(第2リフタL2)内の搬送車Vの数が、非対象リフタ(第1リフタL1)内の搬送車Vの数以上となるように、走行フロアF(1階及び2階の走行フロアF)の搬送車Vを制御する。
【0045】
このような構成によれば、対象リフタ(第2リフタL2)内の搬送車Vの台数を相対的に多くすることができるため、当該対象リフタ(第2リフタL2)の出口に設けられた作業エリアWA(物品受取りエリア)に短時間で到着できる搬送車Vの台数を多くし易い。従って、作業エリアWA(物品受取りエリア)において搬送車V待ちの状態が生じる可能性を低減でき、設備に存在する複数の搬送車Vのうち物品Gを搬送中の搬送車Vが占める割合を大きくすることができる。そのため、設備全体としての搬送能力向上に寄与できる。
【0046】
図4は、搬送車Vが異なる階の走行フロアFを移動する場合の説明図である。具体的には、図4は、搬送車Vが、第1リフタL1によって1階の走行フロアFから2階の走行フロアFへ移動する様子を示している。なお、図4では、第1リフタL1の周辺の構造を示しているが、第2リフタL2の周辺の構造もこれと同様である。従って、第2リフタL2の周辺構造については図示を省略する。
【0047】
図4に示すように、第1直進経路R1及び第2直進経路R2には、複数の位置情報保持部Inが直進経路方向Xに沿って並んで配置されている。第1リフタL1及び第2リフタL2の昇降台Laにおける搬送車Vが載置される載置面Lfにも、位置情報保持部Inが設けられている。搬送車Vは、第1直進経路R1又は第2直進経路R2の位置情報保持部Inを順番に読み取りながら走行する。そして、搬送車Vは、複数の位置情報保持部Inを伝って、第1リフタL1又は第2リフタL2に進入し、或いは、第1リフタL1又は第2リフタL2から退出する。
【0048】
第1直進経路R1及び第2直進経路R2には、少なくともリフタLの近傍では、2台以上の搬送車Vが経路幅方向Yに並列して走行可能なスペースはない。すなわち、リフタL近傍の第1直進経路R1及び第2直進経路R2では、1台の搬送車Vしか走行できるスペースがない。そのため、異なる階の走行フロアFに移動するためリフタLに進入した搬送車Vは、到着階では、進入した方向と逆方向に当該リフタLから退出する必要がある。しかしながら、上述のように、リフタLの近傍における第1直進経路R1及び第2直進経路R2には、リフタLの進入前に予め方向転換しておくようなスペースはない。
【0049】
そこで、本開示に係る物品搬送設備100では、搬送車Vは、リフタL内において旋回動作して、方向転換するように構成されている。具体的には、搬送車Vは、直進経路第1側X1向けて走行してリフタL(ここでは第1リフタL1)内に進入した場合には、当該リフタL内において180°旋回して直進経路第2側X2を向く。そして、到着階において、当該リフタL(第1リフタL1)から直進経路第2側X2に走行して退出する。また、搬送車Vは、直進経路第2側X2に走行してリフタL(ここでは第2リフタL2)内に進入した場合には、当該リフタL(第2リフタL2)内において180°旋回して直進経路第1側X1を向く。そして、到着階において、当該リフタL(第2リフタL2)から直進経路第1側X1に走行して退出する。このような構成により、搬送車Vは、到着階においてリフタLからスムーズに退出することができる。また、仮にリフタLの近傍に方向転換可能なスペースが存在していたとしても、そのようなスペースを利用せず、上記構成のように、搬送車VがリフタL内で方向転換するようにすれば、リフタLによって昇降されている期間を方向転換のためにも用いることができる。従って、搬送車Vを効率的に移動させることができる。
【0050】
図4に示すように、昇降台Laは、上下方向視で、旋回動作を実行する搬送車Vの軌跡である旋回軌跡Vtよりも大きい。これにより、搬送車Vは、リフタLによる昇降中であっても適切に旋回動作を行うことが可能となっている。
【0051】
本実施形態では、昇降台Laは、経路幅方向Yに離間して配置された一対の横壁w1と、リフタLの出入口に対して直進経路方向Xの奥側(図示の例では直進経路第1側X1)に配置された後壁w2と、搬送車Vが載置される載置面Lfを有する底部w3と、を備えている。本例では、底部w3の載置面Lfに位置情報保持部Inが設けられており、一対の横壁w1と後壁w2とが、位置情報保持部Inの位置で搬送車Vが旋回動作した場合の旋回軌跡Vtに対して干渉しない位置に配置されている。これにより、搬送車Vは、リフタL内において一対の横壁w1及び後壁w2と干渉することなく、適切に旋回動作することができる。
【0052】
搬送車Vが第1直進経路R1(1階の走行フロアF)から第2直進経路R2(2階の走行フロアF)へ移動する場合を例として説明する。搬送車Vは、複数の位置情報保持部Inを伝って、第1直進経路R1を直進経路第1側X1へ走行し、上昇用の第1リフタL1に進入する(図4(a)参照)。搬送車Vは、1階から2階への上昇中に、第1リフタL1内において旋回動作し、180°方向転換する(図4(b)参照)。これにより、第1リフタL1への進入時には直進経路第1側X1を向いていた搬送車Vは、その反対側である直進経路第2側X2を向く。搬送車Vは、第2直進経路R2のある2階に到着すると、直進経路第2側X2に向けて発進し、第1リフタL1から退出する(図4(c)参照)。
【0053】
ここで上述のように、本実施形態では、搬送車Vが物品Gを受け取る物品受取りエリア(作業エリアWA)と、搬送車Vが物品Gを排出する物品排出エリア(仕分けエリアSA)とが、同一階に設けられている。そのため、搬送車Vは、基本的には、物品Gを保持した状態でリフタLに乗ることがないようになっている。しかしながら、搬送車Vが物品排エリアで一部の物品Gのみを排出した場合や、物品受取りエリア(作業エリアWA)と物品排出エリア(仕分けエリアSA)とが、同一階ではなく、異なる階に設けられている場合などには、搬送車Vが物品Gを保持した状態でリフタLに乗り込む必要がある。本開示に係る物品搬送設備100は、このような場合にも対応可能となっており、物品Gを保持した搬送車Vを、適切に別の階の走行フロアFに移動させることができる。以下、図5を参照して説明する。
【0054】
図5は、リフタLが備える複数の昇降台La同士の間隔と、複数の昇降台Laと各階の走行フロアFとの位置関係を示している。なお、図5は、第2リフタL2の構造を示しているが、第1リフタL1の構造もこれと同様である。従って、第1リフタL1の構造については図示を省略する。
【0055】
本実施形態では、第1リフタL1及び第2リフタL2のそれぞれにおける複数の昇降台Laの上下方向の間隔Hdが、物品Gを保持した状態の搬送車Vにおける搬送車Vと物品Gとを合わせた高さ(Hv+Hc)に一定の余裕代Haを加算した長さ以上であって、複数の昇降台Laのうち1つが第1直進経路R1が設けられた走行フロアFに接続された状態で、複数の昇降台Laのうち別の1つが第2直進経路R2が設けられた走行フロアFに接続された状態となるように設定されている。これにより、搬送車Vが物品Gを保持したままリフタLに乗ることがあっても、当該搬送車Vが乗っている昇降台Laの上側に隣接する他の昇降台Laに対して、物品Gが干渉することを避けることができる。また、複数の昇降台Laのうち1つが走行フロアFに接続された状態で、複数の昇降台Laのうち他の1つが他の走行フロアFに接続されるため、同一のリフタLへの搬送車Vの進入と他の搬送車Vの退出とを、異なる階層において同時に行うことが可能となる。
【0056】
上述のように、搬送車Vは、物品Gをそのまま搬送することもできるが、容器Cに収容された物品Gを当該容器Cごと搬送することがある。本実施形態では、第1リフタL1及び第2リフタL2のそれぞれにおける複数の昇降台Laの上下方向の間隔Hdは、搬送車Vの高さHvと容器Cの高さHcと一定の余裕代Haとを加算した長さ以上に設定されている。これにより、搬送車Vが容器Cを保持したままリフタLに乗ることがあっても、当該搬送車Vが乗っている昇降台Laの上側に隣接する他の昇降台Laに対して、容器Cが干渉することを避けることができる。
【0057】
〔その他の実施形態〕
次に、物品搬送設備のその他の実施形態について説明する。
【0058】
(1)上記の実施形態では、第1リフタL1及び第2リフタL2のそれぞれが、複数の昇降台Laを予め定められた環状経路RLに沿って循環させるように構成されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、第1リフタL1及び第2リフタL2の少なくとも一方が、単数又は複数の昇降台Laを1本の昇降経路によって往復させるように構成されていてもよい。
【0059】
(2)上記の実施形態では、第1リフタL1及び第2リフタL2のそれぞれが、複数の昇降台Laを環状経路RLに沿う方向の一方側のみに向かって移動させるように構成されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、第1リフタL1及び第2リフタL2の少なくとも一方が、複数の昇降台Laを環状経路RLに沿う方向の一方側及び他方側の双方に向かって移動させるように構成されていてもよい。
【0060】
(3)上記の実施形態では、第1リフタL1が搬送車Vの上昇用に設定され、第2リフタL2が搬送車Vの下降用に設定されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、第1リフタL1を、搬送車Vの上昇用及び下降用の双方に用いてもよい。また、第2リフタL2を、搬送車Vの上昇用及び下降用の双方に用いてもよい。
【0061】
(4)上記の実施形態では、第1リフタL1及び第2リフタL2のそれぞれにおける複数の昇降台Laのうちの一部が、搬送車Vを一時的に保管する保管部として機能する例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、第1リフタL1及び第2リフタL2のそれぞれは、搬送車Vの昇降用として機能していればよく、搬送車Vを保管するための機能は有していなくてもよい。
【0062】
(5)上記の実施形態では、複数の昇降台Laのうち1つが走行フロアFに接続された状態で、複数の昇降台Laのうち他の1つが他の走行フロアFに接続される例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、複数の昇降台Laのうち1つが走行フロアFに接続された状態で、他の走行フロアFには昇降台Laは接続されていなくてもよい。
【0063】
(6)なお、上述した実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0064】
〔上記実施形態の概要〕
以下、上記において説明した物品搬送設備について説明する。
【0065】
上下方向に並ぶ複数階層の走行フロアと、前記走行フロアを走行して物品を搬送する搬送車と、を備えた物品搬送設備であって、
複数の前記走行フロアのそれぞれに設けられ、前記搬送車が直進する走行経路である直進経路と、
複数の前記走行フロアに亘って前記搬送車を昇降させる一対のリフタである第1リフタ及び第2リフタと、を備え、
前記搬送車は、直進走行を行うと共に、その場で上下軸心まわりに旋回する旋回動作を実行して方向転換を行うように構成され、
上下方向に互いに隣接する一対の前記走行フロアの前記直進経路をそれぞれ第1直進経路及び第2直進経路として、
前記第1直進経路と前記第2直進経路とが互いに平行であると共に、前記第1直進経路を前記搬送車が走行する向きと、前記第2直進経路を前記搬送車が走行する向きとが互いに反対側を向くように設定され、
前記第1直進経路を走行する前記搬送車が向かう側を直進経路第1側とし、前記第2直進経路を走行する前記搬送車が向かう側を直進経路第2側として、
前記第1リフタは、前記第1直進経路の前記直進経路第1側の端部と前記第2直進経路の前記直進経路第1側の端部とを接続するように構成され、
前記第2リフタは、前記第1直進経路の前記直進経路第2側の端部と前記第2直進経路の前記直進経路第2側の端部とを接続するように構成され、
前記第1リフタ及び前記第2リフタのそれぞれは、前記搬送車を載置可能な昇降台を備え、
前記昇降台は、上下方向視で、前記旋回動作を実行する前記搬送車の軌跡である旋回軌跡よりも大きい。
【0066】
本構成によれば、搬送車は、リフタによる昇降中に旋回動作を行うことによって、到着階での発進に適した姿勢に予めなっておくことができる。このため搬送車は、到着階における発進をスムーズに行うことができる。また、本構成によれば、リフタの昇降台が、上下方向視において搬送車の旋回軌跡よりも大きい。そのため搬送車は、リフタによる昇降中であっても適切に旋回動作を行うことができる。
【0067】
前記第1リフタ及び前記第2リフタのそれぞれは、複数の前記昇降台を備え、複数の前記昇降台を予め定められた環状経路に沿って循環させるように構成されている、と好適である。
【0068】
本構成によれば、第1リフタ及び第2リフタのそれぞれにより複数の搬送車を並行して昇降させることができる。従って、異なる階層間での搬送車の循環効率を向上させることができる。
【0069】
前記第1リフタ及び前記第2リフタのそれぞれは、複数の前記昇降台を前記環状経路に沿う方向の一方側のみに向かって移動させるように構成され、
前記環状経路は、前記昇降台を上昇させる上昇経路と、前記昇降台を下降させる下降経路と、前記上昇経路と前記下降経路とを上下の両側で接続する一対の円弧状の接続経路と、を含み、
前記第1リフタが、前記搬送車の上昇用に設定され、前記上昇経路にある前記昇降台のみに前記搬送車を載置させ、
前記第2リフタが、前記搬送車の下降用に設定され、前記下降経路にある前記昇降台のみに前記搬送車を載置させる、と好適である。
【0070】
本構成によれば、第1リフタ及び第2リフタのそれぞれの役割が上昇用と下降用とに分かれており、それぞれの昇降台を搬送車が載置された状態で上昇または下降の一方側のみに移動させるため、それぞれのリフタにおける搬送車の昇降移動の方向を一方向にすることができる。従って、昇降台を往復移動させる場合に比べて、それぞれのリフタにおける搬送車の移動効率を高め易い。ここで、環状経路に沿って昇降台を移動させるリフタの場合、当該環状経路の構造によっては、環状経路の最上位置又は最下位置(上昇と下降とが切り替わる点)を通過する場合に、昇降台が大きく振動する場合があり、昇降台上の搬送車の位置ずれ等が生じやすい。しかし、本構成によれば、昇降台に載置された搬送車は、第1リフタにおいては上昇経路のみを通り、第2リフタにおいては下降経路のみを通る。これにより、搬送車が環状経路の最上位置又は最下位置を通過しないようにできるため、上記のような問題が起こり難い。
【0071】
複数の前記搬送車を制御する制御装置を更に備え、
前記搬送車が前記物品を受け取る物品受取りエリアが、前記第1リフタ及び前記第2リフタのいずれかである対象リフタの出口に隣接して設けられ、
前記第1リフタ及び前記第2リフタのうちの前記対象リフタではない方を非対象リフタとして、
前記制御装置は、前記対象リフタ内の前記搬送車の数が、前記非対象リフタ内の前記搬送車の数以上となるように、前記走行フロアの前記搬送車を制御する、と好適である。
【0072】
本構成によれば、対象リフタ内の搬送車の台数を相対的に多くすることができるため、当該対象リフタの出口に設けられた物品受取りエリアに短時間で到着できる搬送車の台数を多くし易い。従って、物品受取りエリアにおいて搬送車待ちの状態が生じる可能性を低減でき、設備に存在する複数の搬送車のうち物品を搬送中の搬送車が占める割合を大きくすることができる。従って、設備全体としての搬送能力向上に寄与できる。
【0073】
前記第1リフタ及び前記第2リフタのそれぞれは、複数の前記昇降台を備え、
前記第1リフタ及び前記第2リフタのそれぞれにおける複数の前記昇降台のうちの一部が、前記搬送車を一時的に保管する保管部として機能する、と好適である。
【0074】
本構成によれば、稼働していない搬送車を保管するための場所が確保できない場合などに、各リフタが備える複数の昇降台のうち一部の昇降台を、搬送車を保管するための保管部として利用することができる。例えば、夜間中など、設備が本格稼働していない状態(休止状態を含む。)などに、複数の昇降台の一部を搬送車の保管部として利用すると有益である。
【0075】
前記搬送車が前記物品を受け取る物品受取りエリアと、前記搬送車が前記物品を排出する物品排出エリアとが、同一階の前記走行フロアに設けられている、と好適である。
【0076】
本構成によれば、搬送車は、同一階において物品の受け取りと排出とを完結することができるため、物品を保持した状態でリフタに乗ることがないようにできる。従って、リフタによる昇降中の振動から物品を保護することができる。また、搬送車により搬送される物品の寸法を考慮せずにリフタを設計することができるため、リフタの小型化を図り易い。
【0077】
前記第1リフタ及び前記第2リフタのそれぞれは、複数の前記昇降台を備え、
前記第1リフタ及び前記第2リフタのそれぞれにおける複数の前記昇降台の上下方向の間隔が、前記物品を保持した状態の前記搬送車における前記搬送車と前記物品とを合わせた高さに一定の余裕代を加算した長さ以上であって、複数の前記昇降台のうち1つが前記第1直進経路が設けられた前記走行フロアに接続された状態で、複数の前記昇降台のうち別の1つが前記第2直進経路が設けられた前記走行フロアに接続された状態となるように設定されている、と好適である。
【0078】
本構成によれば、搬送車が物品を保持したままリフタに乗ることがある場合であっても、当該搬送車が乗っている昇降台の上側に隣接する他の昇降台に対して、物品が干渉することを避けることができる。また、本構成によれば、同一のリフタへの搬送車の進入と他の搬送車の退出とを、異なる階層において同時に行うことが可能となる。
【0079】
前記搬送車は、前記走行フロアに設けられた複数の位置情報保持部に保持された位置情報を読み取りながら前記走行フロアを走行すると共に、前記位置情報保持部に対応する位置において前記旋回動作を実行するように構成され、
前記第1リフタ及び前記第2リフタの前記昇降台における前記搬送車が載置される載置面にも、前記位置情報保持部が設けられている、と好適である。
【0080】
本構成によれば、搬送車は、昇降台の載置面に設けられた位置情報保持部の位置に基づいて、昇降台において旋回動作を行うことができる。従って、昇降台における搬送車の適切な旋回動作を実現し易い。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本開示に係る技術は、上下方向に並ぶ複数階層の走行フロアと、前記走行フロアを走行して物品を搬送する搬送車と、を備えた物品搬送設備に利用することができる。
【符号の説明】
【0082】
100 :物品搬送設備
F :走行フロア
In :位置情報保持部
L :リフタ
L1 :第1リフタ
L2 :第2リフタ
La :昇降台
Lf :載置面
RL :環状経路
RLc :接続経路
RLd :下降経路
RLu :上昇経路
R :直進経路
R1 :第1直進経路
R2 :第2直進経路
M :制御装置
V :搬送車
Vt :旋回軌跡
G :物品
Hv :搬送車の高さ
Hc :物品の高さ
Ha :余裕代
X1 :直進経路第1側
X2 :直進経路第2側
図1
図2
図3
図4
図5