(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068454
(43)【公開日】2024-05-20
(54)【発明の名称】物品搬送設備
(51)【国際特許分類】
B65G 1/00 20060101AFI20240513BHJP
【FI】
B65G1/00 511E
B65G1/00 501C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178921
(22)【出願日】2022-11-08
(71)【出願人】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】吉永 和治
(72)【発明者】
【氏名】高木 大樹
【テーマコード(参考)】
3F022
【Fターム(参考)】
3F022LL07
3F022LL14
3F022MM52
3F022MM67
3F022NN08
(57)【要約】
【課題】リフタに対する搬送車の円滑な進入及び退出を妨げることなく、昇降中の搬送車がリフタから落下することを回避可能な技術を実現する。
【解決手段】物品搬送設備は、複数の走行フロアに亘って搬送車1を昇降させるリフタ2を備えている。リフタ2は、搬送車1を載置可能な昇降台20と、昇降台20の出入口20Eに設けられたゲート24と、を備えている。ゲート24は、直交方向Dyに離間して配置された一対のゲート片240を備えている。搬送車1は、直進走行を行うと共に、旋回動作を実行して方向転換を行うように構成されている。一対のゲート片240同士の直交方向Dyの間隔をゲート間隔とし、搬送車1の走行方向に沿う寸法を前後寸法とし、上下方向視で搬送車1の走行方向に直交する方向に沿う寸法を横幅寸法として、ゲート間隔は、前後寸法よりも狭く、且つ、横幅寸法よりも広い。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に並ぶ複数階層の走行フロアと、前記走行フロアを走行する搬送車と、を備えた物品搬送設備であって、
複数の前記走行フロアに亘って前記搬送車を昇降させるリフタを備え、
前記リフタは、前記搬送車が複数の前記走行フロアのそれぞれに対して出入り可能であると共に進入した前記搬送車を載置可能な昇降台と、前記昇降台の出入口に設けられたゲートと、を備え、
前記搬送車が前記出入口を通行する際に走行する方向を通行方向とし、上下方向視で前記通行方向に直交する方向を直交方向として、
前記ゲートは、前記直交方向に離間して配置された一対のゲート片を備え、
一対の前記ゲート片は、前記直交方向の間隔が固定された状態で前記昇降台に支持され、
前記搬送車は、直進走行を行うと共に、その場で上下軸心まわりに旋回する旋回動作を実行して方向転換を行うように構成され、
一対の前記ゲート片同士の前記直交方向の間隔をゲート間隔とし、前記搬送車の走行方向に沿う寸法を前後寸法とし、上下方向視で前記搬送車の前記走行方向に直交する方向に沿う寸法を横幅寸法として、
前記ゲート間隔は、前記前後寸法よりも狭く、且つ、前記横幅寸法よりも広い、物品搬送設備。
【請求項2】
前記走行方向が前記通行方向に沿うような前記搬送車の姿勢を通行姿勢とし、前記走行方向が前記直交方向に沿うような前記搬送車の姿勢を横向き姿勢として、
前記搬送車は、
前記昇降台に進入した後であって前記昇降台が昇降動作を開始する前に90°旋回して前記横向き姿勢となり、
前記昇降台の昇降動作中は前記横向き姿勢を維持し、
前記昇降台の昇降が停止した後であって前記昇降台から退出する前に前記横向き姿勢から90°旋回して前記通行姿勢となる、請求項1に記載の物品搬送設備。
【請求項3】
前記搬送車は、バッテリに蓄えられた電力を用いて動作するように構成され、
前記搬送車は、前記バッテリに蓄えられた電力の残量が予め定められた設定値以下となった状態で前記昇降台に進入した場合には、前記昇降台から退出することなく前記横向き姿勢で前記昇降台にて待機する、請求項2に記載の物品搬送設備。
【請求項4】
前記昇降台における前記搬送車が載置される載置面に、前記横向き姿勢の前記搬送車の車輪の転動を規制する第1転動規制部が設けられている、請求項2に記載の物品搬送設備。
【請求項5】
前記昇降台における前記搬送車が載置される載置面に、前記通行姿勢の前記搬送車の車輪の転動を規制する第2転動規制部が設けられている、請求項2に記載の物品搬送設備。
【請求項6】
前記搬送車は、前記走行フロアに設けられた複数の位置情報保持部に保持された位置情報を読み取りながら前記走行フロアを走行すると共に、前記位置情報保持部に対応する位置において前記旋回動作を実行するように構成され、
前記リフタの前記昇降台における前記搬送車が載置される載置面にも、前記位置情報保持部が設けられている、請求項1から5のいずれか一項に記載の物品搬送設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上下方向に並ぶ複数階層の走行フロアと、前記走行フロアを走行する搬送車と、を備えた物品搬送設備に関する。
【背景技術】
【0002】
このような物品搬送設備の一例が、特許第6833983号公報(特許文献1)に開示されている。以下、背景技術の説明において括弧内に示された符号は、特許文献1のものである。
【0003】
特許文献1に開示された設備は、異なる階層(40,41)の間で搬送車(30)を昇降させるリフタ(20)を備えている。搬送車(30)がリフタ(20)によって異なる階層に移動する場合には、リフタ(20)内に進入した搬送車(30)の一部(32)と当該リフタ(20)の一部(116)とが係合される。そして、この係合状態のまま、搬送車(30)はリフタ(20)によって昇降する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、特許文献1の設備では、リフタ(20)による搬送車(30)の昇降中は、搬送車(30)の一部(32)とリフタ(20)の一部(116)とが係合するようになっている。これにより、搬送車(30)の昇降中に振動が生じても、リフタ(20)からの搬送車(30)の落下を防止できる。しかしながら、搬送車(30)の一部(32)とリフタ(20)の一部(116)とを係合させる態様では、搬送車(30)のリフタ(20)への進入時に上記係合が行われ、到着階において搬送車(30)のリフタ(20)からの退出時に上記係合の解除が行われる。そのため、係合及び係合解除のための動作が、搬送車(30)の円滑な進入及び退出の妨げとなり得る。また、係合させる対象部(32,116)の相対位置の調整も難しい。一方で、昇降中の搬送車(30)の落下を防止するための措置を講じる必要性は高い。
【0006】
上記実情に鑑みて、リフタに対する搬送車の円滑な進入及び退出を妨げることなく、昇降中の搬送車がリフタから落下することを回避可能な技術の実現が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上下方向に並ぶ複数階層の走行フロアと、前記走行フロアを走行する搬送車と、を備えた物品搬送設備であって、
複数の前記走行フロアに亘って前記搬送車を昇降させるリフタを備え、
前記リフタは、前記搬送車が複数の前記走行フロアのそれぞれに対して出入り可能であると共に進入した前記搬送車を載置可能な昇降台と、前記昇降台の出入口に設けられたゲートと、を備え、
前記搬送車が前記出入口を通行する際に走行する方向を通行方向とし、上下方向視で前記通行方向に直交する方向を直交方向として、
前記ゲートは、前記直交方向に離間して配置された一対のゲート片を備え、
一対の前記ゲート片は、前記直交方向の間隔が固定された状態で前記昇降台に支持され、
前記搬送車は、直進走行を行うと共に、その場で上下軸心まわりに旋回する旋回動作を実行して方向転換を行うように構成され、
一対の前記ゲート片同士の前記直交方向の間隔をゲート間隔とし、前記搬送車の走行方向に沿う寸法を前後寸法とし、上下方向視で前記搬送車の前記走行方向に直交する方向に沿う寸法を横幅寸法として、
前記ゲート間隔は、前記前後寸法よりも狭く、且つ、前記横幅寸法よりも広い。
【0008】
本構成によれば、一対のゲート片同士の直交方向の間隔(ゲート間隔)が、搬送車の横幅寸法よりも広い。そのため搬送車は、昇降台の出入口を通行方向に沿って走行することで、一対のゲート片に接触することなく昇降台に対して円滑に進入及び退出することができる。また、本構成によれば、一対のゲート片同士の直交方向の間隔(ゲート間隔)が、搬送車の前後寸法よりも狭い。そのため搬送車は、昇降台に進入した場合に、例えば、搬送車の前後が直交方向に沿うような姿勢となることで、その姿勢のままでの昇降台からの退出が一対のゲート片により妨げられる。従って、昇降中に昇降台に比較的大きな振動が生じた場合であっても、昇降台からの搬送車の落下を回避することができる。以上のように、本構成によれば、リフタに対する搬送車の円滑な進入及び退出を妨げることなく、昇降中の搬送車がリフタから落下することを回避することができる。
【0009】
本開示に係る技術のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】物品搬送設備の1階走行フロア及び2階走行フロアを示す平面図
【
図4】通行姿勢の搬送車が昇降台に載置されている状態を示す図
【
図5】横向き姿勢の搬送車が昇降台に載置されている状態を示す図
【
図6】搬送車が異なる階の走行フロアを移動する様子を示す説明図
【
図7】その他の実施形態に係る昇降台の構造を示す図
【
図8】その他の実施形態に係る第1転動規制部を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
物品搬送設備は、上下方向に並ぶ複数階層の走行フロアと、走行フロアを走行する搬送車と、を備えている。以下、物品搬送設備の実施形態について図面を参照して説明する。
【0012】
図1に示すように、物品搬送設備100は、上下方向に並ぶ複数階層の走行フロアFと、複数の走行フロアFのそれぞれに形成された走行面Faを走行する搬送車1と、を備えている。各階層の走行フロアFにおいて、複数の搬送車1が走行面Faを走行している。
【0013】
本実施形態では、物品搬送設備100は、複数の搬送車1を制御する制御装置Mを更に備えている。制御装置Mは、各搬送車1に対して、搬送指令や待機指令などを行う。搬送指令では、物品Gの搬送元と搬送先とが指定される。搬送指令を受けた搬送車1は、指定された搬送元において物品Gを受け取ると共に、指定された搬送先へ当該物品Gを搬送する。また、待機指令では、待機場所が指定される。待機指令を受けた搬送車1は、指定された待機場所まで走行して、その場で次の指令等を受けるまで待機する。
【0014】
図1に示す例では、物品搬送設備100は、2階層の走行フロアFを備えている。
図1は、1階の走行フロアFと2階の走行フロアFを示している。但し、このような構成に限定されることなく、物品搬送設備100は、3階層以上の走行フロアFを備えていてもよい。
【0015】
物品搬送設備100は、複数の走行フロアFのそれぞれに設けられ、搬送車1が直進する走行経路である直進経路Rを備えている。上下方向に互いに隣接する一対の走行フロアFの直進経路Rが、それぞれ第1直進経路R1及び第2直進経路R2とされている。本例では、第1直進経路R1は、1階の走行フロアFに設けられている。第2直進経路R2は、2階の走行フロアFに設けられている。以下、第1直進経路R1と第2直進経路R2とを特に区別しない場合には、両者を「直進経路R」と総称することがある。
【0016】
直進経路Rは、走行フロアFの一部として構成されている。各階の走行フロアFは、直進経路Rと走行フィールドFfとを備えている。図示の例では、第1直進経路R1は、後述する作業エリアWAと仕分けエリアSAとに亘って設けられた1本の通路である。搬送車1は、作業エリアWAから仕分けエリアSAへ物品Gを搬送する場合には、第1直進経路R1を走行する。走行フィールドFfは、走行フロアFにおける平面状に広がる部分である。搬送車1は、走行フィールドFfを自在に走行することが可能となっている。本実施形態では、直進経路Rと走行フィールドFfとは、一部で重複している。図示の例において、1階の走行フロアFでは、作業エリアWAと仕分けエリアSAとの間に走行フィールドFfが設けられている。第1直進経路R1は、作業エリアWAと仕分けエリアSAとの間で、走行フィールドFfを横断するように設けられている。
【0017】
以下では、第1直進経路R1が延在する方向を「直進経路方向X」とし、上下方向視で直進経路方向Xに直交する方向を「経路幅方向Y」とする。なお、本実施形態では、第2直進経路R2は、第1直進経路R1が設けられた階層と異なる階層において、第1直進経路R1と同じ方向に延在している。すなわち、第2直進経路R2は、直進経路方向Xに沿って延在している。
【0018】
図2に示すように、搬送車1は、直進走行を行うと共に、その場で上下軸心まわりに旋回する旋回動作を実行して方向転換を行うように構成されている。搬送車1は、直進走行と旋回動作とを行うことにより、1階の走行フロアF及び2階の走行フロアFのそれぞれにおいて、走行フィールドFfを自在に走行することが可能となっている。
【0019】
走行面Faには、搬送車1の走行経路が、直進経路方向X及び経路幅方向Yのそれぞれに沿って延在するように設定されている。直進経路方向Xに延在する走行経路と経路幅方向Yに延在する走行経路との交点に、搬送車1の旋回動作が許容される旋回位置が設定されている。
【0020】
本実施形態では、走行フロアFにおける複数箇所に、位置情報を保持した位置情報保持部Inが設けられている。複数の位置情報保持部Inを繋ぐように、搬送車1の走行経路が設定されている。搬送車1の旋回動作が許容される旋回位置は、位置情報保持部Inの位置に基づいて設定されている。そして、本実施形態では、搬送車1は、走行フロアFに設けられた複数の位置情報保持部Inに保持された位置情報を読み取りながら走行フロアFを走行すると共に、位置情報保持部Inに対応する位置において旋回動作を実行するように構成されている。
【0021】
本実施形態では、位置情報保持部Inには、固有の識別情報が設定されている。本例では、識別情報には、位置情報保持部Inが設けられた位置を示すアドレス情報が含まれている。搬送車1は、位置情報保持部Inを検出するための検出部(不図示)を備えている。そして、搬送車1は、この検出部によって位置情報保持部Inを検出することにより、当該位置情報保持部Inが設けられた位置、すなわち、検出時における自車の現在位置を把握可能となっている。例えば、位置情報保持部Inとして、識別情報を保有した1次元コード又は2次元コードを用いることができる。或いは、位置情報保持部Inとして、識別情報を保有したRFIDタグ(Radio Frequency Identification Tag)を用いることができる。
【0022】
図1に示すように、物品搬送設備100は、複数の走行フロアFに亘って搬送車1を昇降させるリフタ2を備えている。本実施形態では、物品搬送設備100は、複数の走行フロアFに亘って搬送車1を昇降させる一対のリフタ2である第1リフタ2A及び第2リフタ2Bを備えている。以下では、第1リフタ2Aと第2リフタ2Bとを特に区別しない場合には、両者を「リフタ2」と総称することがある。
【0023】
物品搬送設備100は、物品Gが供給される物品供給部Pgと、物品供給部Pgから供給された物品Gを搬送車1に引き渡す作業が行われる作業エリアWAと、搬送車1によって搬送された物品Gの仕分け作業が行われる仕分けエリアSAと、仕分けエリアSAにおける仕分け作業によって発生した空の容器Cを回収する空容器回収装置Bと、を備えている。作業エリアWAは、搬送車1が物品Gを受け取るための「物品受取りエリア」と言い換えることができる。仕分けエリアSAは、搬送車1が物品Gを排出するための「物品排出エリア」と言い換えることができる。
【0024】
本実施形態では、作業エリアWA及び仕分けエリアSAの双方が、1階の走行フロアFと同じレベルに設けられている。そして、2階の走行フロアFには、作業エリアWA及び仕分けエリアSAの双方が設けられていない。すなわち、搬送車1が物品Gを受け取る物品受取りエリア(作業エリアWA)と、搬送車1が物品Gを排出する物品排出エリア(仕分けエリアSA)とが、同一階の走行フロアFに設けられている。
【0025】
作業エリアWAは、第1直進経路R1と物品供給部Pgとの双方に隣接するように配置されている。本実施形態では、物品供給部Pgは、物品Gを、供給容器Cpに収容した状態で作業エリアWAに供給する。作業エリアWAでは、供給容器Cpに収容された物品Gを取り出して、第1直進経路R1で待機する搬送車1に当該物品Gを引き渡す作業が行われる。搬送車1への物品Gの引き渡しは、供給容器Cpとは別の容器Cに物品Gを収容した状態で行われてもよいし、物品Gを容器Cに収容することなくそのまま引き渡す態様で行われてもよい。本実施形態では、作業エリアWAでの上記作業が、作業者Wによって行われる。但し、作業者Wではなく、ロボットによって上記作業が行われてもよいし、作業者W及びロボットの双方によって上記作業が行われてもよい。
【0026】
搬送車1は、物品G又は物品Gが収容された容器Cを搬送するように構成されている。本実施形態では、搬送車1は、作業エリアWAにて受け取った物品G又は物品Gが収容された容器Cを仕分けエリアSAに搬送する。
【0027】
仕分けエリアSAは、作業エリアWAとは離れた場所において第1直進経路R1に対して経路幅方向Yに隣接して設けられている。仕分けエリアSAでは、搬送車1によって搬送された物品Gの仕分け作業が行われる。仕分け作業は、予め定められたオーダー情報に基づいて行われる。例えば、オーダー情報には、例えば、顧客情報、出荷先情報、物品種別情報などの各種情報が含まれる。
【0028】
本実施形態では、搬送車1が、容器Cに収容された物品Gを仕分けエリアSAに搬送する場合には、仕分けエリアSAでは、搬送車1によって搬送された容器Cから物品Gを取り出す取出作業が行われる。すなわち、仕分け作業には、搬送車1によって搬送された容器Cから物品Gを取り出す取出作業が含まれる。この取出作業により、容器Cと物品Gとが分離され、空の容器Cが発生する。搬送車1が、物品G(容器Cに収容されていない状態の物品G)を仕分けエリアSAに搬送する場合には、仕分けエリアSAでは、搬送車1によって搬送された物品Gを受け取る受取作業が行われる。取出作業により容器Cから取り出された物品Gや、受取作業により受け取られた物品Gは、例えば、出荷先に応じた不図示の容器に収容される。
【0029】
空容器回収装置Bは、上記の取出作業によって発生した空の容器Cを回収するように構成されている。そして、空容器回収装置Bによって空の容器Cが搬送される経路である回収経路Rbが、作業エリアWAに隣接する位置まで延在している。本例では、回収経路Rbは、作業エリアWAの内部まで延在している。空容器回収装置Bによって回収された空の容器Cは、回収経路Rbに沿って作業エリアWAまで搬送され、作業エリアWAでの作業に用いられる。空容器回収装置Bは、例えばコンベヤを用いて構成されている。コンベヤを用いて構成される空容器回収装置Bは、回収経路Rbに沿って延在している。本実施形態では、仕分けエリアSAでの仕分け作業(上記取出作業を含む)が、作業者Wによって行われる。但し、作業者Wではなく、ロボットによって仕分け作業が行われてもよいし、作業者W及びロボットの双方によって仕分け作業が行われてもよい。
【0030】
搬送車1は、物品Gを仕分けエリアSAに引き渡した後は、リフタ2に乗って、他階の走行フロアF(本例では2階の走行フロアF)へ向かう。そして、搬送車1は、2階の走行フロアFを走行して他のリフタ2に乗り、上述の作業エリアWA及び仕分けエリアSAが設けられた階の走行フロアF(本例では1階の走行フロアF)へ戻る。戻った搬送車1は、上記同様に、作業エリアWAにおいて物品Gを受け取り、当該物品Gを仕分けエリアSAへ搬送する。
【0031】
図3は、搬送車1が各階層を往来する様子を示している。
図3に示すように、第1直進経路R1と第2直進経路R2とが互いに平行であると共に、第1直進経路R1を搬送車1が走行する向きと、第2直進経路R2を搬送車1が走行する向きとが互いに反対側を向くように設定されている。以下では、第1直進経路R1を走行する搬送車1が向かう側を「直進経路第1側X1」とし、第2直進経路R2を走行する搬送車1が向かう側を「直進経路第2側X2」とする。
【0032】
第1リフタ2Aは、第1直進経路R1の直進経路第1側X1の端部と第2直進経路R2の直進経路第1側X1の端部とを接続するように構成されている。第1リフタ2Aは、第1直進経路R1の直進経路第1側X1の端部と第2直進経路R2の直進経路第1側X1の端部との間で、搬送車1を昇降させるように構成されている。
【0033】
第2リフタ2Bは、第1直進経路R1の直進経路第2側X2の端部と第2直進経路R2の直進経路第2側X2の端部とを接続するように構成されている。第2リフタ2Bは、第1直進経路R1の直進経路第2側X2の端部と第2直進経路R2の直進経路第2側X2の端部との間で、搬送車1を昇降させるように構成されている。
【0034】
第1リフタ2Aは、第2リフタ2Bに対して直進経路第1側X1に配置されている。第2リフタ2Bは、第1リフタ2Aに対して直進経路第2側X2に配置されている。第1リフタ2Aと第2リフタ2Bとの直進経路方向Xの間には、第1直進経路R1及び第2直進経路R2が配置されている。なお、第1直進経路R1及び第2直進経路R2のうち少なくとも一方は、第1リフタ2A又は第2リフタ2Bが連結された部分から水平面に沿って延在する延長経路(不図示)に接続されていてもよい。
【0035】
第1リフタ2A及び第2リフタ2Bのそれぞれは、搬送車1を載置可能な昇降台20を備えている。第1リフタ2A及び第2リフタ2Bのそれぞれは、自らが備える昇降台20に搬送車1を載置した状態で、当該搬送車1を複数階層に亘って昇降させる。第1リフタ2A及び第2リフタ2Bのそれぞれは、昇降台20の姿勢を水平面に沿う姿勢(例えば、水平面に平行な姿勢)に維持した状態で、昇降台20を昇降させるように構成されている。本例では、後述する環状経路Rcの全体において、昇降台20の姿勢が水平面に沿う姿勢に維持される。
【0036】
本実施形態では、第1リフタ2A及び第2リフタ2Bのそれぞれは、複数の昇降台20を備えている。第1リフタ2A及び第2リフタ2Bのそれぞれは、複数の昇降台20を予め定められた環状経路Rcに沿って循環させるように構成されている。
【0037】
本実施形態では、第1リフタ2A及び第2リフタ2Bのそれぞれは、複数の昇降台20を環状経路Rcに沿う方向の一方側のみに向かって移動させるように構成されている。換言すれば、第1リフタ2A及び第2リフタ2Bのそれぞれが複数の昇降台20を循環させる方向は、予め一方向に定められている。
【0038】
本実施形態では、第1リフタ2Aが、搬送車1の上昇用に設定されている。第1リフタ2Aは、環状経路Rcにおける上昇経路にある昇降台20のみに搬送車1を載置させるように構成されている。第1リフタ2Aは、環状経路Rcにおける上昇経路において第1直進経路R1から搬送車1を受け取ると共に、当該上昇経路において第2直進経路R2へ搬送車1を引き渡す。
【0039】
本実施形態では、第2リフタ2Bが、搬送車1の下降用に設定されている。第2リフタ2Bは、環状経路Rcにおける下降経路にある昇降台20のみに搬送車1を載置させるように構成されている。第2リフタ2Bは、環状経路Rcにおける下降経路において第2直進経路R2から搬送車1を受け取ると共に、当該下降経路において第1直進経路R1へ搬送車1を引き渡す。
【0040】
上述のように、本実施形態では、搬送車1が物品Gを受け取る作業エリアWA(物品受取りエリア)と、搬送車1が物品Gを排出する仕分けエリアSA(物品排出エリア)とが、同一階の走行フロアFに設けられている。詳細には、作業エリアWAと仕分けエリアSAとは、1階の走行フロアFに設けられている。本例では、搬送車1は、下降用の第2リフタ2Bの出入口20E(詳細には出口)から1階の走行フロアFに出て、作業エリアWAにおいて物品Gを受け取る。その後、搬送車1は、物品Gを保持した状態で第1直進経路R1を直進経路第1側X1に向けて走行し、仕分けエリアSAにおいて当該物品Gを排出する。さらにその後、搬送車1は、1階の走行フロアFにおいて上昇用の第1リフタ2Aの出入口20E(詳細には入口)から第1リフタ2Aに進入し、2階の走行フロアFへ向かう。搬送車1は、上昇用の第1リフタ2Aの出入口20E(詳細には出口)から2階の走行フロアFに出て、第2直進経路R2を直進経路第2側X2に向けて走行する。そして、搬送車1は、下降用の第2リフタ2Bに進入し、1階の走行フロアFへ向かう。このようにして、搬送車1は、1階の走行フロアFと2階の走行フロアFとを循環する。
【0041】
このように、作業エリアWA(物品受取りエリア)と仕分けエリアSA(物品排出エリア)とが同一階の走行フロアFに設けられた構成では、搬送車1は、物品Gの搬送作業を同一階で完結する。従って、搬送車1は、基本的には、物品Gを保持したままリフタ2に乗ることがない。但し、搬送車1が物品Gを保持したままリフタ2に乗る態様を除外するものではない。例えば、作業エリアWA(物品受取りエリア)と仕分けエリアSA(物品排出エリア)とが異なる階の走行フロアFに設けられている場合などには、搬送車1は、物品Gを保持したままリフタ2に乗ることがある。
【0042】
図4及び
図5は、搬送車1が昇降台20に載置されている状態を示している。それぞれ、(a)は平面図であり、(b)は通行方向Dx(後述)に沿う通行方向Dx視図である。
図6にも示すように、搬送車1は、直進経路Rを走行してリフタ2内に進入し、昇降台20に載置される。以下では、搬送車1が昇降台20の出入口20Eを通行する際に走行する方向を「通行方向Dx」とし、上下方向視で通行方向Dxに直交する方向を「直交方向Dy」とする。本例では、通行方向Dxは、直進経路方向Xに対応している。直交方向Dyは、経路幅方向Yに対応している。
【0043】
図4及び
図5に示すように、搬送車1は、台車本体10と、複数の車輪11と、バッテリ12(
図3参照)と、を備えている。本実施形態では、搬送車1は、バッテリ12に蓄えられた電力を用いて動作するように構成されている。
【0044】
本実施形態では、搬送車1は、台車本体10に取り付けられた支持台10aを備えている。支持台10aは、物品G又は物品Gを収容した容器Cを支持するように構成されている。支持台10aは、台車本体10の上端部に取り付けられている。
【0045】
本実施形態では、複数の車輪11には、駆動輪11aと従動輪11bとが含まれる。駆動輪11a及び従動輪11bは、台車本体10の底部に取り付けられている。
【0046】
駆動輪11aは、不図示のモータにより駆動される。本例では、一対の駆動輪11aが台車本体10に取り付けられている。一対の駆動輪11aのそれぞれは、別々のモータにより駆動されて、独立して回転する。例えば、車輪回転軸方向に離間して配置された一対の駆動輪11aのうち一方が正転方向に回転すると共に、他方が逆転方向に回転することで、搬送車1の旋回動作が実現される。
【0047】
従動輪11bは、その回転軸に沿う方向が変化し得る態様で、台車本体10に取り付けられている。例えば、従動輪11bは、キャスター輪を用いて構成されている。図示の例では、一対の従動輪11bが台車本体10に取り付けられている。
【0048】
リフタ2は、搬送車1が複数の走行フロアFのそれぞれに対して出入り可能であると共に進入した搬送車1を載置可能な昇降台20と、昇降台20の出入口20Eに設けられたゲート24と、を備えている。
【0049】
本実施形態では、昇降台20は、一対の横壁部21と、後壁部22と、底部23と、を備えている。昇降台20に進入した搬送車1は、昇降台20における底部23に載置される。底部23は、板状に形成されており、搬送車1が載置される載置面23fを有している。
【0050】
一対の横壁部21は、底部23における直交方向Dyの両縁から上方に延在するように設けられている。後壁部22は、底部23における出入口20Eとは反対側(通行方向Dxにおける反対側)の縁から上方に延在するように設けられている。
【0051】
ゲート24は、直交方向Dyに離間して配置された一対のゲート片240を備えている。一対のゲート片240は、直交方向Dyの間隔が固定された状態で昇降台20に支持されている。
【0052】
本実施形態では、一対の横壁部21のそれぞれにゲート片240が固定されている。一対のゲート片240のそれぞれは、それぞれが固定されている横壁部21から直交方向Dyの内側に突出している。
【0053】
本実施形態では、一対のゲート片240の上下方向の配置位置は、搬送車1が昇降台20に載置されている状態において、台車本体10の上下方向の配置領域内とされている。詳細には、一対のゲート片240の上下方向の配置位置は、台車本体10における支持台10aと車輪11との上下方向の間とされている。すなわち、一対のゲート片240は、車輪11よりも上側であって支持台10aよりも下側に配置されている。図示の例では、一対のゲート片240は、互いに同じ高さに配置されている。しかし、このような構成に限定されることなく、一対のゲート片240は、互いに異なる高さに配置されていてもよい。
【0054】
一対のゲート片240同士の直交方向Dyの間隔をゲート間隔L24とし、搬送車1の走行方向に沿う寸法を前後寸法L1(
図5参照)とし、上下方向視で搬送車1の走行方向に直交する方向に沿う寸法を横幅寸法L2(
図4参照)とする。前後寸法L1は、台車本体10の寸法であり、走行方向を基準とする台車本体10の前端部から後端部までの寸法である。横幅寸法L2は、走行方向を基準とする台車本体10の左端部から右端部までの寸法である。
【0055】
また、搬送車1の走行方向が通行方向Dxに沿うような搬送車1の姿勢を通行姿勢Axとし、搬送車1の走行方向が直交方向Dyに沿うような搬送車1の姿勢を横向き姿勢Ayとする。
【0056】
図4に示すように、ゲート間隔L24は、搬送車1の横幅寸法L2よりも広い。これにより、搬送車1が通行姿勢Axで昇降台20に進入する場合に、台車本体10と一対のゲート片240とが接触しないようにできる。従って、搬送車1は、昇降台20の出入口20Eを通行方向Dxに沿って走行することで、一対のゲート片240に接触することなく昇降台20に対して円滑に進入及び退出することができる。
【0057】
図5に示すように、ゲート間隔L24は、搬送車1の前後寸法L1よりも狭い。これにより、搬送車1が横向き姿勢Ayで昇降台20に載置されている状態において、一対のゲート片240が、通行方向Dx視において台車本体10と重複するように配置される。そのため搬送車1は、昇降台20に進入した場合に、横向き姿勢Ayのままでの昇降台20からの退出が一対のゲート片240により妨げられる。従って、昇降中に昇降台20に比較的大きな振動が生じた場合であっても、昇降台20からの搬送車1の落下を回避することができる。
【0058】
ここで、上述のように、一対のゲート片240の上下方向の配置位置は、台車本体10における支持台10aと車輪11との上下方向の間とされている。そのため、支持台10aの寸法が台車本体10の寸法(前後寸法L1又は横幅寸法L2)より大きくても、支持台10aが一対のゲート片240に対して接触することを避けることができる。また、車輪11が、例えば台車本体10からはみ出すように配置されている場合であっても、車輪11が一対のゲート片240に対して接触することを避けることができる。すなわち、一対のゲート片240は、搬送車1が横向き姿勢Ayである状態において、台車本体10のみと接触し得る。このような構成により、搬送車1における支持台10aの構造や、車輪11の配置位置などについては、自由度高く設計することが可能となっている。
【0059】
本実施形態では、昇降台20における搬送車1が載置される載置面23fに、横向き姿勢Ay(
図5参照)の搬送車1の車輪11の転動を規制する第1転動規制部31が設けられている。本例では、第1転動規制部31は、複数の車輪11のうち駆動輪11aの転動を規制する。
【0060】
本実施形態では、駆動輪11aの数に対応した数の第1転動規制部31が設けられている。上述のように、搬送車1は、一対の駆動輪11aを備えている。従って本実施形態では、一対の第1転動規制部31が設けられている。一対の第1転動規制部31は、搬送車1が昇降台20内において横向き姿勢Ayになっている状態での、一対の駆動輪11aの位置に対応した位置に配置されている。一対の第1転動規制部31は、互いに同様の構造となっている。
【0061】
図5(b)に示すように、第1転動規制部31は、車輪11(駆動輪11a)における車輪外形の最下点から周方向の両側にずれた部分に接触する一対の第1接触部31aを備えている。一対の第1接触部31aは、互いに直交方向Dyに離間するように配置されている。これにより、搬送車1が横向き姿勢Ayである状態において、一対の第1接触部31aは、駆動輪11aにおける車輪外形の最下点から周方向の両側にずれた部分に接触する。
【0062】
本実施形態では、一対の第1接触部31aのそれぞれは、載置面23fから上方に突出している。一対の第1接触部31aのそれぞれは、通行方向Dxに延在している。本実施形態では、第1転動規制部31は、一対の第1接触部31aを連結する第1連結部31bを備えている。第1連結部31bは、一対の第1接触部31aのそれぞれにおける通行方向Dxの端部を連結している。従って、本例では、第1転動規制部31は、上下方向視において、角ばったU字状を成すように形成されている。このような第1転動規制部31に対して、横向き姿勢Ayの搬送車1の車輪11が嵌まり込むようになっている。
【0063】
一対の第1接触部31aが車輪11に接触することによって、車輪11の転動が規制される。しかし、車輪11は、駆動力を付与されて動作する場合には、一対の第1接触部31aを乗り越えて転動することが可能である。すなわち、一対の第1接触部31aは、横向き姿勢Ayの搬送車1が停止している状態において車輪11が意図せず転動することを規制する。また、本実施形態では、第1連結部31bが車輪11の側面に接触可能な位置に配置されるため、横向き姿勢Ayの搬送車1が通行方向Dxに移動することも第1転動規制部31によって規制できる。
【0064】
図6は、搬送車1が異なる階の走行フロアFを移動する場合の説明図である。具体的には、
図6は、搬送車1が、第1リフタ2Aによって1階の走行フロアFから2階の走行フロアFへ移動する様子を示している。なお、
図6では、第1リフタ2Aの周辺の構造を示しているが、第2リフタ2Bの周辺の構造もこれと同様である。従って、第2リフタ2Bの周辺構造については図示を省略する。
【0065】
図6に示すように、第1直進経路R1及び第2直進経路R2には、複数の位置情報保持部Inが直進経路方向Xに沿って並んで配置されている。リフタ2の昇降台20における搬送車1が載置される載置面23fにも、位置情報保持部Inが設けられている。搬送車1は、第1直進経路R1又は第2直進経路R2の位置情報保持部Inを順番に読み取りながら走行する。そして、搬送車1は、複数の位置情報保持部Inを伝って、リフタ2に進入し、或いは、リフタ2から退出する。
【0066】
第1直進経路R1及び第2直進経路R2には、少なくともリフタ2の近傍では、2台以上の搬送車1が経路幅方向Yに並列して走行可能なスペースはない。すなわち、リフタ2近傍の第1直進経路R1及び第2直進経路R2では、1台の搬送車1しか走行できるスペースがない。そのため、異なる階の走行フロアFに移動するためリフタ2に進入した搬送車1は、到着階では、進入した方向と逆方向に当該リフタ2から退出する必要がある。しかしながら、上述のように、リフタ2の近傍における第1直進経路R1及び第2直進経路R2には、リフタ2の進入前に予め方向転換しておくようなスペースはない。
【0067】
そこで、本開示に係る物品搬送設備100では、搬送車1は、リフタ2内において旋回動作して、方向転換するように構成されている。
【0068】
本実施形態では、搬送車1は、通行姿勢Axの状態で昇降台20に進入する(
図6(a)参照)。そして、搬送車1は、昇降台20に進入した後であって昇降台20が昇降動作を開始する前に90°旋回して横向き姿勢Ayとなる(
図6(b)参照)。搬送車1は、昇降台20の昇降動作中は横向き姿勢Ayを維持する。そして、搬送車1は、昇降台20の昇降が停止した後であって昇降台20から退出する前に横向き姿勢Ayから90°旋回して通行姿勢となる(
図6(c)参照)。これにより、搬送車1は、到着階において円滑に昇降台20から退出することができる。また、搬送車1は、リフタ2による昇降中は横向き姿勢Ayとなっている。そのため、昇降中に昇降台20に比較的大きな振動が生じた場合であっても、一対のゲート片240が搬送車1に接触することにより、昇降台20からの搬送車1の落下を回避することができる。
【0069】
一対のゲート片240によって昇降台20からの搬送車1の落下を回避できることを利用して、例えば、昇降台20を搬送車1の待機場所とすることができる。本実施形態では、搬送車1は、バッテリ12(
図3参照)に蓄えられた電力の残量が予め定められた設定値以下となった状態で昇降台20に進入した場合には、昇降台20から退出することなく横向き姿勢Ayで昇降台20にて待機する。すなわち本例では、リフタ2における複数の昇降台20のうちの一部が、搬送車1を一時的に保管する保管部として機能する。この場合、例えば、制御装置M(
図1参照)は、保管されるべき特定の搬送車1に対して、リフタ2における複数の昇降台20のうちいずれかを指定して、当該指定した昇降台20で待機する旨の待機指令を行う。なお、上記設定値は、搬送車1の能力などに基づいて適宜設定される。上述したように、本実施形態では、第1転動規制部31によって、横向き姿勢Ayの搬送車1の車輪11(駆動輪11a)の転動を規制できる。そのため、搬送車1が、バッテリ12から電力が供給されない状態で車輪11(駆動輪11a)に制動力が付与されない構成である場合において、仮に昇降台20上でバッテリ切れが発生した場合であっても、昇降台20からの搬送車1の落下を回避し易い。
【0070】
以上説明した物品搬送設備100によれば、リフタ2に対する搬送車1の円滑な進入及び退出を妨げることなく、昇降中の搬送車1がリフタ2から落下することを回避できる。
【0071】
〔その他の実施形態〕
次に、物品搬送設備のその他の実施形態について説明する。
【0072】
(1)上記の実施形態では、昇降台20における搬送車1が載置される載置面23fに、横向き姿勢Ayの搬送車1の車輪11の転動を規制する第1転動規制部31が設けられている例について説明した。しかし、このような例に限定されることはない。例えば
図7に示すように、昇降台20における搬送車1が載置される載置面23fに、通行姿勢Axの搬送車1の車輪11の転動を規制する第2転動規制部32が設けられていてもよい。すなわち、第2転動規制部32は、横向き姿勢Ayではなく、通行姿勢Axの搬送車1の車輪11の転動を規制する。図示の例では、第2転動規制部32は、第1転動規制部31と同様の構成となっている。すなわち、第2転動規制部32は、通行姿勢Axの搬送車1の車輪11(駆動輪11a)に接触する一対の第2接触部32aと、一対の第2接触部32aを連結する第2連結部32bと、を備えている。第2転動規制部32は、上下方向視において角ばったU字状に形成されている。第2転動規制部32に対して、通行姿勢Axの搬送車1の車輪11が嵌まり込むようになっている。このような構成により、昇降台20内において搬送車1が、横向き姿勢Ayではなく通行姿勢Axである状態であっても、第2転動規制部32によって車輪11の転動を規制することができる。従って、昇降台20の振動等によって搬送車1が昇降台20から落下する可能性を低減することができる。なお、詳細な図示は省略するが、昇降台20における搬送車1が載置される載置面23fには、第1転動規制部31及び第2転動規制部32の双方が設けられていてもよい。
【0073】
(2)上記の実施形態では、第1転動規制部31が備える一対の第1接触部31aが、載置面23fから上方に突出している例について説明した。しかし、このような例に限定されない。例えば
図8に示すように、第1転動規制部31は、昇降台20における搬送車1が載置される載置面23fから下方に凹む凹部310を備えていてもよい。この場合、搬送車1の駆動輪11aが凹部310に嵌まり込むようになっており、凹部310の縁が駆動輪11aに接触する。すなわち、凹部310の縁が第1接触部31aに相当する。このような構成によっても、搬送車1の車輪11の転動を規制することができる。なお、凹部310に嵌まり込む対象の車輪11が、サスペンションなどにより下方に向けて付勢されていると、凹部310に対する車輪11の嵌まり込みが容易となる。あるいは、搬送車1が備える全ての車輪11に対応して上記のような凹部を設けることで、搬送車1全体を沈みこませることができるため、対象車輪11の凹部310への嵌まり込みを容易に実現できる。以上は第1転動規制部31の変形例について説明したが、第2転動規制部32についても同様の変形例を適用できる。
【0074】
(3)上記の実施形態では、搬送車1は、昇降台20に進入した後であって昇降台20が昇降動作を開始する前に90°旋回して横向き姿勢Ayとなり、昇降台20の昇降動作中は横向き姿勢Ayを維持する例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、昇降台20の昇降動作中は、搬送車1は、台車本体10が一対のゲート片240と通行方向Dx視で重複するような姿勢となっていればよい。
【0075】
(4)上記の実施形態では、昇降台20における搬送車1が載置される載置面23fに、横向き姿勢Ayの搬送車1の車輪11の転動を規制する第1転動規制部31が設けられている例について説明した。しかし、第1転動規制部31は必須の構成ではなく、載置面23fに第1転動規制部31は設けられていなくてもよい。
【0076】
(5)上記の実施形態では、リフタ2の昇降台20における搬送車1が載置される載置面23fにも、位置情報保持部Inが設けられている例について説明した。しかし、載置面23fには位置情報保持部Inは設けられていなくてもよい。
【0077】
(6)上記の実施形態では、第1リフタ2A及び第2リフタ2Bのそれぞれが、複数の昇降台20を予め定められた環状経路Rcに沿って循環させるように構成されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、第1リフタ2A及び第2リフタ2Bの少なくとも一方が、単数又は複数の昇降台20を1本の昇降経路によって往復させるように構成されていてもよい。
【0078】
(7)なお、上述した実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0079】
〔上記実施形態の概要〕
以下、上記において説明した物品搬送設備について説明する。
【0080】
上下方向に並ぶ複数階層の走行フロアと、前記走行フロアを走行する搬送車と、を備えた物品搬送設備であって、
複数の前記走行フロアに亘って前記搬送車を昇降させるリフタを備え、
前記リフタは、前記搬送車が複数の前記走行フロアのそれぞれに対して出入り可能であると共に進入した前記搬送車を載置可能な昇降台と、前記昇降台の出入口に設けられたゲートと、を備え、
前記搬送車が前記出入口を通行する際に走行する方向を通行方向とし、上下方向視で前記通行方向に直交する方向を直交方向として、
前記ゲートは、前記直交方向に離間して配置された一対のゲート片を備え、
一対の前記ゲート片は、前記直交方向の間隔が固定された状態で前記昇降台に支持され、
前記搬送車は、直進走行を行うと共に、その場で上下軸心まわりに旋回する旋回動作を実行して方向転換を行うように構成され、
一対の前記ゲート片同士の前記直交方向の間隔をゲート間隔とし、前記搬送車の走行方向に沿う寸法を前後寸法とし、上下方向視で前記搬送車の前記走行方向に直交する方向に沿う寸法を横幅寸法として、
前記ゲート間隔は、前記前後寸法よりも狭く、且つ、前記横幅寸法よりも広い。
【0081】
本構成によれば、一対のゲート片同士の直交方向の間隔(ゲート間隔)が、搬送車の横幅寸法よりも広い。そのため搬送車は、昇降台の出入口を通行方向に沿って走行することで、一対のゲート片に接触することなく昇降台に対して円滑に進入及び退出することができる。また、本構成によれば、一対のゲート片同士の直交方向の間隔(ゲート間隔)が、搬送車の前後寸法よりも狭い。そのため搬送車は、昇降台に進入した場合に、例えば、搬送車の前後が直交方向に沿うような姿勢となることで、その姿勢のままでの昇降台からの退出が一対のゲート片により妨げられる。従って、昇降中に昇降台に比較的大きな振動が生じた場合であっても、昇降台からの搬送車の落下を回避することができる。以上のように、本構成によれば、リフタに対する搬送車の円滑な進入及び退出を妨げることなく、昇降中の搬送車がリフタから落下することを回避することができる。
【0082】
前記走行方向が前記通行方向に沿うような前記搬送車の姿勢を通行姿勢とし、前記走行方向が前記直交方向に沿うような前記搬送車の姿勢を横向き姿勢として、
前記搬送車は、
前記昇降台に進入した後であって前記昇降台が昇降動作を開始する前に90°旋回して前記横向き姿勢となり、
前記昇降台の昇降動作中は前記横向き姿勢を維持し、
前記昇降台の昇降が停止した後であって前記昇降台から退出する前に前記横向き姿勢から90°旋回して前記通行姿勢となる、と好適である。
【0083】
本構成によれば、搬送車は、昇降台の昇降動作中に横向き姿勢となることで、昇降台に比較的大きな振動が生じた場合であっても、一対のゲート片が搬送車に接触することにより、昇降台から落下しないようにできる。また、搬送車は、昇降台からの退出時には通行姿勢となることで、一対のゲート片に接触することなく円滑に昇降台から退出することができる。
【0084】
前記搬送車は、バッテリに蓄えられた電力を用いて動作するように構成され、
前記搬送車は、前記バッテリに蓄えられた電力の残量が予め定められた設定値以下となった状態で前記昇降台に進入した場合には、前記昇降台から退出することなく前記横向き姿勢で前記昇降台にて待機する、と好適である。
【0085】
本構成によれば、バッテリに蓄えられた電力の残量が少なくなった場合に、昇降台を、搬送車の待機場所として利用することができる。そして、搬送車は、昇降台での待機中は横向き姿勢となるため、待機中に昇降台から搬送車が落下することを回避することができる。
【0086】
前記昇降台における前記搬送車が載置される載置面に、前記横向き姿勢の前記搬送車の車輪の転動を規制する第1転動規制部が設けられている、と好適である。
【0087】
本構成によれば、昇降台において搬送車が横向き姿勢となっている状態では、第1転動規制部によって搬送車の車輪の転動を規制することができる。そのため、昇降中に昇降台に振動が生じた場合であっても搬送車が動かないようにし易く、その結果、昇降台からの搬送車の落下を更に回避し易くなる。
【0088】
前記昇降台における前記搬送車が載置される載置面に、前記通行姿勢の前記搬送車の車輪の転動を規制する第2転動規制部が設けられている、と好適である。
【0089】
本構成によれば、昇降台において搬送車が通行姿勢となっている状態では、第2転動規制部によって搬送車の車輪の転動を規制することができる。そのため、昇降台の昇降動作中に、仮に搬送車が通行姿勢である状態で昇降台に振動が生じた場合であっても、搬送車が動かないようにし易い。その結果、昇降台からの搬送車の落下を回避し易くなる。
【0090】
前記搬送車は、前記走行フロアに設けられた複数の位置情報保持部に保持された位置情報を読み取りながら前記走行フロアを走行すると共に、前記位置情報保持部に対応する位置において前記旋回動作を実行するように構成され、
前記リフタの前記昇降台における前記搬送車が載置される載置面にも、前記位置情報保持部が設けられている、と好適である。
【0091】
本構成によれば、昇降台における搬送車の旋回位置を、位置情報保持部の配置位置に基づいて設定することができる。そのため、搬送車が、昇降台において旋回動作を行う際に、一対のゲート片や他の部材に干渉することがないようにし易い。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本開示に係る技術は、上下方向に並ぶ複数階層の走行フロアと、前記走行フロアを走行する搬送車と、を備えた物品搬送設備に利用することができる。
【符号の説明】
【0093】
100 :物品搬送設備
1 :搬送車
11 :車輪
12 :バッテリ
2 :リフタ
20 :昇降台
20E :出入口
23f :載置面
24 :ゲート
240 :ゲート片
31 :第1転動規制部
32 :第2転動規制部
F :走行フロア
In :位置情報保持部
G :物品
Ax :通行姿勢
Ay :横向き姿勢
Dx :通行方向
Dy :直交方向
L1 :前後寸法
L2 :横幅寸法
L24 :ゲート間隔