(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068460
(43)【公開日】2024-05-20
(54)【発明の名称】エレベーターシステム、連携装置、連携方法、および連携プログラム
(51)【国際特許分類】
B66B 1/14 20060101AFI20240513BHJP
B66B 3/00 20060101ALI20240513BHJP
B66B 5/02 20060101ALI20240513BHJP
【FI】
B66B1/14 Z
B66B1/14 L
B66B3/00 P
B66B5/02 Z
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178929
(22)【出願日】2022-11-08
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神農 大輝
【テーマコード(参考)】
3F303
3F304
3F502
【Fターム(参考)】
3F303BA03
3F303CB21
3F304CA12
3F304EA35
3F304EB22
3F304EB23
3F502HB15
3F502HC07
3F502JA10
3F502JA54
3F502KA11
3F502MA07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】かご内に利用者がいない場合の利用者閉込めの誤発報を抑えられるエレベーターシステム、連携装置、連携方法、および連携プログラムを提供する。
【解決手段】エレベーター装置1および自律移動体2を連携させるゲートウェイ装置3は、登録部33と、判定部34と、を備える。登録部33は、自律移動体2の呼びの登録をエレベーター装置1に要求する。判定部34は、かご14の運行状態に基づいて、かご14における利用者閉込めの誤発報の可能性を判定する。かご14の運行状態は、登録部33が要求した呼びの登録状態を含む。判定部34は、かご14に登録されている行先階への呼びが自律移動体2の行先階への呼びのみである場合に、当該呼びの登録が解除されてからかごの戸141の全閉が第1閾値を超えて継続しているときに、利用者閉込めの誤発報の可能性があると判定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の階床の間を走行するかごを含むエレベーター装置と、
前記かごに乗車して前記複数の階床の間を移動する自律移動体の呼びの登録を前記エレベーター装置に要求する登録部と、
前記登録部が要求した呼びの登録状態を含む前記かごの運行状態に基づいて、前記かごに登録されている行先階への呼びが前記自律移動体の行先階への呼びのみである場合に、当該呼びの登録が解除されてから前記かごの戸の全閉が予め設定された第1閾値を超えて継続しているときに、前記かごにおいて利用者閉込めの誤発報の可能性があると判定する判定部と、
を備える、エレベーターシステム。
【請求項2】
前記判定部は、前記かごに登録されている行先階への呼びが前記自律移動体の行先階への呼びのみである場合に、前記かごの戸の全閉および前記かごの停止が予め設定された第2閾値を超えて継続しているときに、前記かごにおいて利用者閉込めの誤発報の可能性があると判定する、
請求項1に記載のエレベーターシステム。
【請求項3】
前記かごにおいて利用者閉込めの誤発報の可能性があると前記判定部が判定するときに、前記かごの戸を戸開させる指令を出力する指令部、
を備える、請求項1または請求項2に記載のエレベーターシステム。
【請求項4】
前記指令部は、前記かごが前記複数の階床のいずれかに停止している場合に、前記かごの戸を戸開させる指令を出力する、
を備える、請求項3に記載のエレベーターシステム。
【請求項5】
前記登録部は、前記かごにおいて利用者閉込めの誤発報の可能性があると前記判定部が判定するときに、前記複数の階床のうちのいずれかである第1階床を行先階とする呼びの登録を前記エレベーター装置に要求し、
前記指令部は、前記かごが前記第1階床に停止するときに、前記かごの戸を戸開させる指令を出力する、
請求項3に記載のエレベーターシステム。
【請求項6】
前記登録部は、前記かごが前記第1階床に停止するときに前記かごの戸を戸開させる指令を前記指令部が出力してから前記かごの戸の全閉が予め設定された第3閾値を超えて継続しているときに、前記複数の階床のうち前記第1階床の他の第2階床を行先階とする呼びの登録を前記エレベーター装置に要求し、
前記指令部は、前記かごが前記第2階床に停止するときに、前記かごの戸を戸開させる指令を出力する、
請求項5に記載のエレベーターシステム。
【請求項7】
前記判定部は、前記かごにおいて利用者閉込めの誤発報の可能性があると判定してから、前記かごの内部に設けられたかご操作盤が利用者に操作された場合に、前記かごにおいて利用者閉込めの可能性があると判定する、
請求項1または請求項2に記載のエレベーターシステム。
【請求項8】
前記判定部は、前記かごにおいて利用者閉込めの誤発報の可能性があると判定してから、前記かごの内部に設けられたかご操作盤が利用者に操作された場合に、前記かごにおいて利用者閉込めの可能性があると判定し、
前記指令部は、前記かごにおいて利用者閉込めの可能性があると前記判定部が判定した後に、前記かごの戸を戸開させる指令を出力しない、
請求項3に記載のエレベーターシステム。
【請求項9】
前記判定部は、前記かごにおいて利用者閉込めの誤発報の可能性があると判定してから、前記かごの内部に設けられたかご操作盤が利用者に操作された場合に、前記かごにおいて利用者閉込めの可能性があると判定し、
前記登録部は、前記かごにおいて利用者閉込めの可能性があると前記判定部が判定した後に、前記複数の階床のいずれかを行先階とする呼びの登録を前記エレベーター装置に要求しない、
請求項5に記載のエレベーターシステム。
【請求項10】
複数の階床の間を走行するエレベーター装置のかごに乗車して前記複数の階床の間を移動する自律移動体の呼びの登録を、前記エレベーター装置に要求する登録部と、
前記登録部が要求した呼びの登録状態を含む前記かごの運行状態に基づいて、前記かごに登録されている行先階への呼びが前記自律移動体の行先階への呼びのみである場合に、当該呼びの登録が解除されてから前記かごの戸の全閉が予め設定された第1閾値を超えて継続しているときに、前記かごにおいて利用者閉込めの誤発報の可能性があると判定する判定部と、
を備える、連携装置。
【請求項11】
複数の階床の間を走行するエレベーター装置のかごに乗車して前記複数の階床の間を移動する自律移動体の呼びの登録を、前記エレベーター装置にコンピュータが要求する登録ステップと、
前記登録ステップで要求した呼びの登録状態を含む前記かごの運行状態に基づいて、前記かごに登録されている行先階への呼びが前記自律移動体の行先階への呼びのみである場合に、当該呼びの登録が解除されてから前記かごの戸の全閉が予め設定された第1閾値を超えて継続しているときに、前記かごにおいて利用者閉込めの誤発報の可能性があるとコンピュータが判定する判定ステップと、
を備える、連携方法。
【請求項12】
コンピュータに、
複数の階床の間を走行するエレベーター装置のかごに乗車して前記複数の階床の間を移動する自律移動体の呼びの登録を、前記エレベーター装置に要求する登録ステップと、
前記登録ステップで要求した呼びの登録状態を含む前記かごの運行状態に基づいて、前記かごに登録されている行先階への呼びが前記自律移動体の行先階への呼びのみである場合に、当該呼びの登録が解除されてから前記かごの戸の全閉が予め設定された第1閾値を超えて継続しているときに、前記かごにおいて利用者閉込めの誤発報の可能性があると判定する判定ステップと、
を実行させる、連携プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エレベーターシステム、連携装置、連携方法、および連携プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、エレベーターシステムの例を開示する。当該システムは、かご内を撮影するカメラを備える。当該システムにおいて、基準画像とカメラが撮影する画像との比較によって利用者の有無が検出される。当該システムにおいて、利用者の有無の検出結果に基づいて閉込めが検出されると、監視センターに発報が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のエレベーターシステムにおいて、かごに乗車する人である利用者と自律移動体とが区別されない。このため、かご内に利用者がおらず自律移動体のみがある場合にも、閉込めの発報が行われることがある。
【0005】
本開示は、このような課題の解決に係るものである。本開示は、かご内に利用者がいない場合の利用者閉込めの誤発報を抑えられるエレベーターシステム、連携装置、連携方法、および連携プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るエレベーターシステムは、複数の階床の間を走行するかごを含むエレベーター装置と、前記かごに乗車して前記複数の階床の間を移動する自律移動体の呼びの登録を前記エレベーター装置に要求する登録部と、前記登録部が要求した呼びの登録状態を含む前記かごの運行状態に基づいて、前記かごに登録されている行先階への呼びが前記自律移動体の行先階への呼びのみである場合に、当該呼びの登録が解除されてから前記かごの戸の全閉が予め設定された第1閾値を超えて継続しているときに、前記かごにおいて利用者閉込めの誤発報の可能性があると判定する判定部と、を備える。
【0007】
本開示に係るエレベーターおよび移動体の連携装置は、複数の階床の間を走行するエレベーター装置のかごに乗車して前記複数の階床の間を移動する自律移動体の呼びの登録を、前記エレベーター装置に要求する登録部と、前記登録部が要求した呼びの登録状態を含む前記かごの運行状態に基づいて、前記かごに登録されている行先階への呼びが前記自律移動体の行先階への呼びのみである場合に、当該呼びの登録が解除されてから前記かごの戸の全閉が予め設定された第1閾値を超えて継続しているときに、前記かごにおいて利用者閉込めの誤発報の可能性があると判定する判定部と、を備える。
【0008】
本開示に係るエレベーターおよび移動体の連携方法は、複数の階床の間を走行するエレベーター装置のかごに乗車して前記複数の階床の間を移動する自律移動体の呼びの登録を、前記エレベーター装置にコンピュータが要求する登録ステップと、前記登録ステップで要求した呼びの登録状態を含む前記かごの運行状態に基づいて、前記かごに登録されている行先階への呼びが前記自律移動体の行先階への呼びのみである場合に、当該呼びの登録が解除されてから前記かごの戸の全閉が予め設定された第1閾値を超えて継続しているときに、前記かごにおいて利用者閉込めの誤発報の可能性があるとコンピュータが判定する判定ステップと、を備える。
【0009】
本開示に係るエレベーターおよび移動体の連携プログラムは、コンピュータに、複数の階床の間を走行するエレベーター装置のかごに乗車して前記複数の階床の間を移動する自律移動体の呼びの登録を、前記エレベーター装置に要求する登録ステップと、前記登録ステップで要求した呼びの登録状態を含む前記かごの運行状態に基づいて、前記かごに登録されている行先階への呼びが前記自律移動体の行先階への呼びのみである場合に、当該呼びの登録が解除されてから前記かごの戸の全閉が予め設定された第1閾値を超えて継続しているときに、前記かごにおいて利用者閉込めの誤発報の可能性があると判定する判定ステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本開示に係るエレベーターシステム、連携装置、連携方法、または連携プログラムによれば、かご内に利用者がいない場合の利用者閉込めの誤発報が抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態1に係るエレベーターシステムの構成図である。
【
図2】実施の形態1に係るエレベーターシステムの動作の例を示すフローチャートである。
【
図3】実施の形態1に係るエレベーターシステムの動作の例を示すフローチャートである。
【
図4】実施の形態1に係るエレベーターシステムの主要部のハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の対象を実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一または相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化または省略する。なお、本開示の対象は以下の実施の形態に限定されることなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、実施の形態の任意の構成要素の変形、または実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【0013】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るエレベーターシステムの構成図である。
【0014】
エレベーターシステムは、エレベーター装置1と、自律移動体2と、ゲートウェイ装置3と、を含む。エレベーター装置1は、施設に適用される。施設は、例えば、屋内施設もしくは屋外施設、またはこれらを複合した施設などである。施設は、例えば、1つまたは複数の建物などからなる。施設は、例えば、建物などの一部であってもよい。施設において、複数の階床が設けられる。施設において、昇降路10が設けられる。昇降路10は、上下方向を長手方向として複数の階床にわたる空間である。エレベーター装置1は、施設における複数の階床の間の移動に利用される。自律移動体2は、施設を自律的に移動するロボットなどの装置である。自律移動体2は、エレベーターシステムの外部装置であってもよい。自律移動体2は、施設において階床間の移動にエレベーター装置1を利用する。ゲートウェイ装置3は、エレベーター装置1および自律移動体2を連携させる装置である。
【0015】
エレベーター装置1は、制御装置11と、巻上機12と、ロープ13と、かご14と、つり合い重り15と、を備える。制御装置11は、エレベーター装置1の制御を行う装置である。巻上機12は、制御装置11による制御に従って駆動力を発生させるモータ、およびモータが発生させる駆動力によって回転するシーブを含む。ロープ13は、巻上機12のシーブに巻き掛けられる。ロープ13は、巻上機12のシーブの一方側において、かご14の荷重を支持する。ロープ13は、巻上機12のシーブの他方側において、つり合い重り15の荷重を支持する。かご14およびつり合い重り15は、昇降路10に設けられる。かご14およびつり合い重り15は、巻上機12のモータが発生させる駆動力によって、巻上機12のシーブおよびロープ13を介して昇降路10の上下方向の互いに反対側に、図示されないガイドレールに沿って走行する。かご14は、昇降路10を走行することで、かご14の内部に乗車している利用者または自律移動体2などを施設の複数の階床の間で輸送する。つり合い重り15は、巻上機12のシーブの両側にかかる荷重のつり合いをかご14との間でとる機器である。つり合い重り15は、例えば金属などによって構成される。
【0016】
施設において、各々の階床にエレベーター装置1の乗場16が設けられる。乗場16は、昇降路10に通じる場所である。各々の階床の乗場16において、乗場の戸161と、乗場操作盤162と、が設けられる。乗場の戸161は、乗場16および昇降路10を区画する戸である。乗場操作盤162は、乗場16にいるエレベーター装置1の利用者の操作を受け付ける装置である。
【0017】
かご14は、かごの戸141と、かご操作盤142と、を備える。かごの戸141は、かご14の内部および外部を区画する戸である。かごの戸141は、かご14がいずれかの階床に停止するときに、乗場16から利用者などが乗降しうるように開閉する。このとき、かごの戸141は、当該階床に設けられた乗場の戸161を連動させて開閉する。また、かごの戸141の開閉状態は、戸開によって全閉から全開に遷移し、戸閉によって全開から全閉に遷移する。かご操作盤142は、かご14の内部に設けられる。かご操作盤142は、かご14の内部にいるエレベーター装置1の利用者の操作を受け付ける装置である。
【0018】
制御装置11は、運行制御部111と、第1通信部112と、検出部113と、を備える。
【0019】
運行制御部111は、エレベーター装置1の運行を制御する機能を搭載する部分である。運行制御部111は、例えば、エレベーター装置1の呼びのかご14への登録などの管理、登録された呼びに基づくかご14の走行および停止、ならびにかごの戸141の開閉などの制御を行う。エレベーター装置1の呼びは、例えば、乗場呼びおよびかご呼びを含む。乗場呼びは、利用者または自律移動体2などがかご14に乗車する出発階までかご14を走行させる呼びである。乗場呼びは、出発階への呼びの例である。利用者の乗場呼びは、例えば乗場操作盤162の利用者による操作を通じて運行制御部111に入力される。自律移動体2の乗場呼びは、ゲートウェイ装置3を通じて運行制御部111に入力される。かご呼びは、利用者または自律移動体2などがかご14から降車する行先階までかご14を走行させる呼びである。かご呼びは、行先階への呼びの例である。利用者のかご呼びは、例えばかご操作盤142の利用者による操作を通じて運行制御部111に入力される。自律移動体2のかご呼びは、ゲートウェイ装置3を通じて運行制御部111に入力される。
【0020】
第1通信部112は、エレベーター装置1の外部の装置との通信を行う機能を搭載する部分である。第1通信部112は、例えば、ゲートウェイ装置3との間で情報を通信する。第1通信部112は、例えば、自律移動体2の呼びの登録の要求、およびかごの戸141の開閉の指令などを含む制御信号を、ゲートウェイ装置3から受信する。第1通信部112は、例えば、エレベーター装置1のかご14の運行状態を、ゲートウェイ装置3に送信する。かご14の運行状態は、かご操作盤142において行われた操作の情報、かご14に登録された呼びの登録状態、かご14の走行状態、かごの戸141の開閉状態、およびかご14の位置などを含む。呼びの登録状態は、各々の階床について、当該階床を行先階とする呼び、すなわち当該階床へのかご呼びが登録されているか否かの情報を含む。呼びの登録状態は、当該呼びが人である利用者によるものか、または自律移動体2によるものかを区別する情報を含んでもよい。
【0021】
検出部113は、エレベーター装置1における閉込めの発生を検出する機能を搭載する部分である。検出部113は、例えば、かご呼びが登録されてからかごの戸141が全閉している状態が、閉込め閾値を超えて継続しているときに、かご14における閉込めを検出する。ここで、閉込め閾値は、予め設定された時間の閾値である。あるいは、検出部113は、かご呼びが登録されてかごの戸141が全閉してからかご14が停止している状態が、閉込め閾値を超えて継続しているときに、かご14における閉込めを検出してもよい。検出部113は、かご14における閉込めを検出するときに、保守センターに発報を行う。保守センターは、例えば、施設の外部において、エレベーター装置1の監視または保守管理などを行う拠点である。
【0022】
ここで、エレベーター装置1における閉込めは、利用者閉込めと、移動体閉込めと、を含む。利用者閉込めは、かご14内に利用者がいる状態で発生する閉込めである。移動体閉込めは、かご14内に利用者がおらず移動体がいる状態で発生する閉込めである。利用者閉込めは、人である利用者がかご14内にいるため、対応の優先度が高い。一方、移動体閉込めは、人である利用者はかご14内にいないため、利用者閉込めより優先度は高くない。このため、移動体閉込めが発生したときに、利用者閉込めの発報またはこれらを区別しない閉込めの発報が行われた場合に、保守センターにおいて必要以上に高い優先度での対応が行われることになり、保守センターにおける対応効率などが低下しうる。このため、ゲートウェイ装置3は、移動体閉込めによる無用な発報を抑制しうるように、エレベーター装置1および自律移動体2を連携させる。ゲートウェイ装置3は、エレベーター装置1および自律移動体2の間の連携装置の例である。
【0023】
ゲートウェイ装置3は、例えば、1つまたは複数のサーバコンピュータなどである。ゲートウェイ装置3の機能の一部または全部は、エレベーター装置1が適用される施設またはその遠隔地に配置された1つまたは複数の装置に搭載されるものであってもよい。ゲートウェイ装置3の機能の一部または全部は、他の装置と共有されるハードウェア上に搭載されるものであってもよい。ゲートウェイ装置3の機能の一部または全部は、クラウドサービス上の仮想マシン上に実装されるものであってもよいし、クラウドサービス上の記憶または処理のリソースなどによって実装されるものであってもよい。ゲートウェイ装置3は、例えば、記録媒体に記録されたプログラムを読み込み、当該プログラムに従って動作することで各機能を実行する。当該プログラムを記録する記録媒体は、例えばゲートウェイ装置3を構成する内部装置に内蔵されるもの、もしくは当該内部装置に接続されるものであってもよいし、またはゲートウェイ装置3と通信する外部装置によって情報が読み出されるものなどであってもよい。当該プログラムは、ゲートウェイ装置3を構成する複数の内部装置の各々の上で動作するソフトウェアを複数含むソフトウェアパッケージなどであってもよい。
【0024】
ゲートウェイ装置3は、第2通信部31と、第3通信部32と、登録部33と、判定部34と、指令部35と、を備える。
【0025】
第2通信部31は、ゲートウェイ装置3の外部の装置との通信を行う機能を搭載する部分である。第2通信部31は、例えば、エレベーター装置1の制御装置11との間で情報を通信する。第2通信部31は、例えば、自律移動体2の呼びの登録の要求、およびかごの戸141の開閉の指令などを含む制御信号を、制御装置11に送信する。第2通信部31は、例えば、エレベーター装置1のかご14の運行状態を、制御装置11から受信する。
【0026】
第3通信部32は、ゲートウェイ装置3の外部の装置との通信を行う機能を搭載する部分である。第3通信部32は、例えば、自律移動体2との間で情報を通信する。第3通信部32は、例えば、自律移動体2の出発階および行先階、ならびにかご14の乗降の際のかごの戸141の開閉要求などの情報を、自律移動体2から受信する。第3通信部32は、例えば、エレベーター装置1のかご14の運行状態を、自律移動体2に送信する。
【0027】
登録部33は、自律移動体2の呼びの登録をエレベーター装置1に要求する機能を搭載する部分である。登録部33は、例えば、自律移動体2の出発階を指定した乗場呼びを要求する情報を生成し、第2通信部31などを通じてエレベーター装置1に出力する。登録部33は、例えば、自律移動体2の行先階を指定したかご呼びを要求する情報を生成し、第2通信部31などを通じてエレベーター装置1に出力する。かご呼びの要求は、自律移動体2がかご14に乗車する前にエレベーター装置1に出力されてもよい。
【0028】
判定部34は、利用者閉込めの誤発報の可能性を判定する機能を搭載する部分である。判定部34は、エレベーター装置1から取得するかご14の運行状態に基づいて判定を行う。判定部34は、登録部33が要求した呼びの出発階および行先階の情報を記憶する。この例において、ゲートウェイ装置3は、利用者閉込めの誤発報の可能性があると判定部34が判定するときに、利用者閉込めの発報を抑制するように、エレベーター装置1に制御信号などを出力する。
【0029】
指令部35は、かごの戸141を戸開させる指令を、第2通信部31などを通じてエレベーター装置1に出力する機能を搭載する部分である。指令部35は、例えば判定部34による判定の結果などに基づいて指令を出力する。
【0030】
自律移動体2は、移動制御部21と、第4通信部22と、を備える。
【0031】
移動制御部21は、自律移動体2の移動を制御する機能を搭載する部分である。移動制御部21は、例えば車輪またはその他の移動手段の制御によって、自律移動体2を施設において移動させる。
【0032】
第4通信部22は、自律移動体2の外部の装置との通信を行う機能を搭載する部分である。第4通信部22は、例えば、ゲートウェイ装置3との間で情報を通信する。第4通信部22は、例えば、自律移動体2の出発階および行先階、ならびにかご14の乗降の際のかごの戸141の開閉要求などの情報を、ゲートウェイ装置3に送信する。第4通信部22は、例えば、エレベーター装置1のかご14の運行状態を、ゲートウェイ装置3から受信する。
【0033】
続いて、
図2および
図3を用いて、エレベーターシステムの動作の例を説明する。
図2および
図3は、実施の形態1に係るエレベーターシステムの動作の例を示すフローチャートである。
【0034】
図2において、ゲートウェイ装置3の動作の例が示される。
【0035】
ステップS1において、判定部34は、第1通信部112および第2通信部31などを通じて、制御装置11からかご14の運行状態を取得する。判定部34は、運行状態に含まれる呼びの登録状態を読み込む。判定部34は、かご14に登録されているかご呼びが、自律移動体2のかご呼びのみであるかを判定する。ここで、自律移動体2の呼びは、登録部33からの要求によって制御装置11においてかご14に登録された呼びである。判定部34は、自律移動体2の行先階の他の階床を行先階とするかご呼びがかご14に登録されていないときに、判定結果をYesとする。一方、判定部34は、自律移動体2の行先階の他の階床を行先階とするかご呼びがかご14に登録されているときに、判定結果をNoとする。また、判定部34は、かご14に登録されているかご呼びがないときに、判定結果をNoとする。ここで、判定部34は、かご呼びがないことを検知するときに、登録部33が要求したかご呼びの行先階の情報を削除する。すなわち、登録部33が要求したかご呼びについての判定部34の記憶は、当該かご呼びがかご14に登録されている間だけ保持される。ステップS1における判定結果がNoの場合に、ゲートウェイ装置3の処理は、ふたたびステップS1に進む。すなわち、ゲートウェイ装置3は、かご14に登録されているかご呼びが自律移動体2のかご呼びのみである状態を待機する。ゲートウェイ装置3はこのような状態を待機した上で後の処理を行うので、かご14内に利用者がいるときの利用者閉込めの発報を妨げにくくなる。一方、ステップS1における判定結果がYesの場合に、ゲートウェイ装置3の処理は、ステップS2に進む。
【0036】
ステップS2において、判定部34は、かご14に登録されているかご呼びの登録が全て解除されてからかごの戸141の全閉が第1閾値を超えて継続しているかを判定する。ここで、ステップS2における判定は、施設におけるセキュリティ設定などによって、自律移動体2の行先階でかごの戸141が戸開せずにかご呼びが解除される場合などを想定したものである。判定部34は、かご呼びの登録の解除を、呼びの登録状態に基づいて検知する。第1閾値は、予め設定された時間の閾値である。第1閾値は、かご14が正常にかご呼びに応答してかごの戸141が戸開するときにこれ以降のステップの動作が行われないように設定される。この例において、第1閾値は、検出部113における閉込め閾値より短く設定される。ステップS2における判定結果がYesの場合に、判定部34は、かご14において利用者閉込めの誤発報の可能性があると判定する。その後、ゲートウェイ装置3の処理は、ステップS4に進む。一方、ステップS2における判定結果がNoの場合に、ゲートウェイ装置3の処理は、ステップS3に進む。
【0037】
ステップS3において、判定部34は、かごの戸141の全閉およびかご14の停止が第2閾値を超えて継続しているかを判定する。ここで、ステップS3における判定は、エレベーター装置1の故障などによりかご14が走行できない場合などを想定したものである。第2閾値は、予め設定された時間の閾値である。第2閾値は、かご14が正常にかご呼びに応答してかごの戸141が戸開するときにこれ以降のステップの動作が行われないように設定される。この例において、第2閾値は、検出部113における閉込め閾値より短く設定される。第2閾値は、第1閾値と同一の閾値であってもよい。ステップS3における判定結果がYesの場合に、判定部34は、かご14において利用者閉込めの誤発報の可能性があると判定する。その後、ゲートウェイ装置3の処理は、ステップS4に進む。一方、ステップS3における判定結果がNoの場合に、ゲートウェイ装置3の処理は、ステップS1に進む。
【0038】
ステップS4において、指令部35は、かごの戸141を戸開させる指令を出力する。このとき、指令部35は、かご14がいずれかの階床に停止していることをかご14の運行情報などに基づいて確認した上で、指令の出力を行ってもよい。指令部35は、このようにかごの戸141を戸開させることで、検出部113による閉込めの発報の抑制を試みる。指令部35からの指令を第1通信部112が受け付けるときに、運行制御部111は、かご14が停止している階床における乗場の戸161を連動させてかごの戸141を戸開させる。運行制御部111は、かご14がいずれかの階床に停止していることを確認した上で、かごの戸141を戸開させてもよい。その後、ゲートウェイ装置3の処理は、ステップS5に進む。
【0039】
ステップS5において、判定部34は、かごの戸141が戸開したかを判定する。判定部34は、指令部35による指令の出力から経過した時間が第3閾値を超えるまでにかごの戸141の戸開が検知された場合に、判定結果をYesとする。第3閾値は、予め設定された時間の閾値である。この例において、第3閾値は、検出部113における閉込め閾値より短く設定される。第3閾値は、第1閾値または第2閾値と同一の閾値であってもよい。一方、判定部34は、指令部35による指令の出力から経過した時間が第3閾値を超えてもかごの戸141の戸開が検知されない場合に、判定結果をNoとする。戸開の検知は、例えばかごの戸141または乗場の戸161に設けられたセンサーまたはスイッチなどによって行われる。ステップS5における判定結果がYesの場合に、利用者閉込めの誤発報を抑制するゲートウェイ装置3の処理は、終了する。一方、ステップS5における判定結果がNoの場合に、ゲートウェイ装置3の処理は、ステップS6に進む。
【0040】
ステップS6において、ゲートウェイ装置3は、各々の階床についてのかご呼びの登録およびかごの戸141の戸開によって、検出部113による閉込めの発報の抑制を試みる。ステップS6の処理の後に、利用者閉込めの誤発報を抑制するゲートウェイ装置3の処理は、終了する。
【0041】
図3において、
図2のステップS6におけるゲートウェイ装置3の動作の例が示される。
【0042】
ステップS61において、判定部34は、施設の階床のうち、その階床を行先階とするかご呼びがステップS6の処理の実行中にまだ登録されていない階床があるかを判定する。ステップS61における判定結果がNoの場合に、ステップS6についてのゲートウェイ装置3の処理は、終了する。一方、ステップS61における判定結果がYesの場合に、ゲートウェイ装置3の処理は、ステップS62に進む。
【0043】
ステップS62において、登録部33は、ステップS61でかご呼びがまだ登録されていないと判定された階床を行先階とするかご呼びの登録を、エレベーター装置1に要求する。当該階床は、第1階床の例である。また、ステップS6の処理の実行中にステップS62の処理が複数実行されるときに、2回目以降の処理における当該階床は、第2階床の例である。登録部33が要求したかご呼びは、運行制御部111によってかご14に登録される。その後、ゲートウェイ装置3の処理は、ステップS63に進む。
【0044】
ステップS63において、指令部35は、運行制御部111が登録したかご呼びの行先階にかご14が停止するときにかごの戸141を戸開させる指令を出力する。ステップS5においてかごの戸141が戸開しなかった原因が乗場の戸161にあった場合に、他の階床までかご14を移動させることで、かごの戸141を戸開させられるようになる。指令部35は、このようにかごの戸141を戸開させることで、検出部113による閉込めの発報の抑制を試みる。指令部35からの指令を第1通信部112が受け付けるときに、運行制御部111は、かご14が停止している階床における乗場の戸161を連動させてかごの戸141を戸開させる。その後、ゲートウェイ装置3の処理は、ステップS64に進む。
【0045】
ステップS64において、判定部34は、ステップS5と同様に、かごの戸141が戸開したかを判定する。判定部34は、指令部35による指令の出力から経過した時間が第3閾値を超えるまでにかごの戸141の戸開が検知された場合に、判定結果をYesとする。一方、判定部34は、指令部35による指令の出力から経過した時間が第3閾値を超えてもかごの戸141の戸開が検知されない場合に、判定結果をNoとする。ステップS64における判定結果がNoの場合に、ゲートウェイ装置3の処理は、ステップS61に進む。ステップS64における判定結果がYesの場合に、ステップS6についてのゲートウェイ装置3の処理は、終了する。
【0046】
なお、
図2および
図3における利用者閉込めの誤発報を抑制するゲートウェイ装置3の処理の間に、かご14内に利用者がいると判定部34が判定するときに、判定部34は、利用者閉込めの可能性があると判定する。このとき、ゲートウェイ装置3による誤発報抑制の処理は直ちに終了する。すなわち、かご14内に利用者がいると判定部34が判定した後に、指令部35によるかごの戸141の戸開の指令、および登録部33による新たなかご呼びの登録などは行われない。これにより、ゲートウェイ装置3は、かご14内に利用者がいると判定された後の、検出部113による利用者閉込めの発報を妨げない。
【0047】
判定部34は、例えば、利用者によるかご操作盤142の操作があったときに、かご14内に利用者がいると判定する。利用者によるかご操作盤142の操作は、例えばかごの戸141の開閉を操作する戸開ボタン、戸閉ボタン、もしくは戸開延長ボタンの操作、またはかご呼びを登録する行先階ボタンの操作などを含む。かご操作盤142の操作の情報は、例えばかご14の運行状態として判定部34に通知される。判定部34は、例えば、自律移動体2の行先階へのかご呼びの他のかご呼びが新たに登録されたことを登録状態に基づいて検知するときに、当該他のかご呼びが利用者のかご操作盤142の操作によるものと判定する。
【0048】
また、
図2および
図3における利用者閉込めの誤発報を抑制するゲートウェイ装置3の処理の間に、エレベーター装置1が管制運転を開始したと判定部34が判定するときに、ゲートウェイ装置3の当該処理は直ちに終了する。すなわち、管制運転が開始されたと判定部34が判定した後に、指令部35によるかごの戸141の戸開の指令、および登録部33による新たなかご呼びの登録などは行われない。ここで、エレベーター装置1の管制運転は、例えば、地震発生時などの非常時に、利用者およびエレベーター装置1の保護などのために行われる運転である。これにより、ゲートウェイ装置3は、エレベーター装置1における管制運転を妨げない。
【0049】
判定部34は、例えば、管制運転または通常運転などの運転モードの情報が運行状態に含まれるときに、運行情報に基づいてエレベーター装置1が管制運転を開始したと判定する。
【0050】
以上に説明したように、実施の形態1に係るエレベーターシステムは、エレベーター装置1と、ゲートウェイ装置3と、を備える。エレベーター装置1は、複数の階床の間を走行するかご14を含む。エレベーターシステムにおいて、自律移動体2は、かご14に乗車して複数の階床の間を移動する。ゲートウェイ装置3は、登録部33と、判定部34と、を備える。登録部33は、自律移動体2の呼びの登録をエレベーター装置1に要求する。判定部34は、かご14の運行状態に基づいて、かご14における利用者閉込めの誤発報の可能性を判定する。かご14の運行状態は、登録部33が要求した呼びの登録状態を含む。判定部34は、かご14に登録されている行先階への呼びが自律移動体2の行先階への呼びのみである場合に、当該呼びの登録が解除されてからかごの戸141の全閉が第1閾値を超えて継続しているときに、利用者閉込めの誤発報の可能性があると判定する。
【0051】
このような構成により、自律移動体2が乗車するエレベーター装置1においても、かご14に登録されている呼びの登録情報などに基づいてかご14内の利用者の有無が判定される。この判定結果に基づいて利用者閉込めの誤発報の可能性が判定されるので、ゲートウェイ装置3は、かご14内に利用者がいない場合の利用者閉込めの誤発報を抑えうる。例えば、施設におけるセキュリティ設定などによって、自律移動体2の行先階でかごの戸141が戸開せずにかご呼びが解除される場合などに、利用者閉込めの誤発報が生じうる。ゲートウェイ装置3は、このような場合においても、検出部113による利用者閉込めの発報が誤発報となる可能性を低減することができる。また、ゲートウェイ装置3は、自律移動体2がかご14に乗車する前であっても、誤発報の可能性を低減することができる。
【0052】
また、判定部34は、かごの戸141の全閉およびかご14の停止が第2閾値を超えて継続しているときに、かご14において利用者閉込めの誤発報の可能性があると判定する。これにより、エレベーター装置1の故障などによりかご14が走行できない場合などにおいても、ゲートウェイ装置3は、検出部113による利用者閉込めの発報が誤発報となる可能性を低減することができる。
【0053】
また、ゲートウェイ装置3は、指令部35を備える。指令部35は、かご14において利用者閉込めの誤発報の可能性があると判定部34が判定するときに、かごの戸141を戸開させる指令を出力する。指令部35は、かご14がいずれかの階床に停止している場合に、かごの戸141を戸開させる指令を出力する。これにより、かごの戸141の戸開が可能な状況であれば利用者閉込めの発報の条件が解除されるので、指令部35は、検出部113による利用者閉込めの誤報を抑えられるようになる。
【0054】
また、登録部33は、利用者閉込めの誤発報の可能性があると判定部34が判定するときに、いずれかの階床を行先階とする追加のかご呼びの登録をエレベーター装置1に要求する。指令部35は、かご14が当該階床に停止するときに、かごの戸141を戸開させる指令を出力する。これにより、指令部35の指令に関わらず乗場の戸161などの原因によってかごの戸141の戸開が検出されなかった場合であっても、他の階床までかご14を走行させることで、指令部35は、検出部113による利用者閉込めの誤報をより確実に抑えられるようになる。
【0055】
また、登録部33は、追加のかご呼びに従ってかご14が行先階に停止するときにかごの戸141を戸開させる指令を指令部35が出力してからかごの戸141の全閉が第3閾値を超えて継続しているときに、他の階床を行先階とする呼びの登録をエレベーター装置1に要求する。指令部35は、かご14が当該他の階床に停止するときに、かごの戸141を戸開させる指令を出力する。これにより、いずれかの階床においてかごの戸141の戸開が検出されなかった場合であっても、さらに他の階床までかご14を走行させることで、指令部35は、検出部113による利用者閉込めの誤報をより確実に抑えられるようになる。
【0056】
また、判定部34は、かご14において利用者閉込めの誤発報の可能性があると判定してから、かご14の内部に設けられたかご操作盤142が利用者に操作された場合に、かご14において利用者閉込めの可能性があると判定する。これより後に、指令部35は、かごの戸141を戸開させる指令を出力せず、登録部33は、いずれかの階床を行先階とするかご呼びの登録をエレベーター装置1に要求しない。これにより、判定部34は、かご操作盤142の操作によって利用者がかご14内にいることを検知でき、ゲートウェイ装置3は、その後の検出部113による利用者閉込めの発報を妨げない。すなわち、実際に利用者閉込めが生じた場合に、より迅速に閉込め救出が行われるようになる。
【0057】
続いて、
図4を用いて、エレベーターシステムのハードウェア構成の例について説明する。
図4は、実施の形態1に係るエレベーターシステムの主要部のハードウェア構成図である。
【0058】
エレベーターシステムの各機能は、処理回路により実現し得る。処理回路は、少なくとも1つのプロセッサ100aと少なくとも1つのメモリ100bとを備える。処理回路は、プロセッサ100aおよびメモリ100bと共に、あるいはそれらの代用として、少なくとも1つの専用ハードウェア200を備えてもよい。
【0059】
処理回路がプロセッサ100aとメモリ100bとを備える場合、エレベーターシステムの各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせで実現される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、プログラムとして記述される。そのプログラムはメモリ100bに格納される。プロセッサ100aは、メモリ100bに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、エレベーターシステムの各機能を実現する。
【0060】
プロセッサ100aは、CPU(Central Processing Unit)、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSPともいう。メモリ100bは、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROMなどの、不揮発性または揮発性の半導体メモリなどにより構成される。
【0061】
処理回路が専用ハードウェア200を備える場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらの組み合わせで実現される。
【0062】
エレベーターシステムの各機能は、それぞれ処理回路で実現することができる。あるいは、エレベーターシステムの各機能は、まとめて処理回路で実現することもできる。エレベーターシステムの各機能について、一部を専用ハードウェア200で実現し、他部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。このように、処理回路は、専用ハードウェア200、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせでエレベーターシステムの各機能を実現する。
【0063】
以上の説明をまとめると、本開示に係る技術の取りうる構成は、以下に付記として示す各構成などを含む。
(付記1)
複数の階床の間を走行するかごを含むエレベーター装置と、
前記かごに乗車して前記複数の階床の間を移動する自律移動体の呼びの登録を前記エレベーター装置に要求する登録部と、
前記登録部が要求した呼びの登録状態を含む前記かごの運行状態に基づいて、前記かごに登録されている行先階への呼びが前記自律移動体の行先階への呼びのみである場合に、当該呼びの登録が解除されてから前記かごの戸の全閉が予め設定された第1閾値を超えて継続しているときに、前記かごにおいて利用者閉込めの誤発報の可能性があると判定する判定部と、
を備える、エレベーターシステム。
(付記2)
前記判定部は、前記かごに登録されている行先階への呼びが前記自律移動体の行先階への呼びのみである場合に、前記かごの戸の全閉および前記かごの停止が予め設定された第2閾値を超えて継続しているときに、前記かごにおいて利用者閉込めの誤発報の可能性があると判定する、
付記1に記載のエレベーターシステム。
(付記3)
前記かごにおいて利用者閉込めの誤発報の可能性があると前記判定部が判定するときに、前記かごの戸を戸開させる指令を出力する指令部、
を備える、付記1または付記2に記載のエレベーターシステム。
(付記4)
前記指令部は、前記かごが前記複数の階床のいずれかに停止している場合に、前記かごの戸を戸開させる指令を出力する、
を備える、付記3に記載のエレベーターシステム。
(付記5)
前記登録部は、前記かごにおいて利用者閉込めの誤発報の可能性があると前記判定部が判定するときに、前記複数の階床のうちのいずれかである第1階床を行先階とする呼びの登録を前記エレベーター装置に要求し、
前記指令部は、前記かごが前記第1階床に停止するときに、前記かごの戸を戸開させる指令を出力する、
付記3または付記4に記載のエレベーターシステム。
(付記6)
前記登録部は、前記かごが前記第1階床に停止するときに前記かごの戸を戸開させる指令を前記指令部が出力してから前記かごの戸の全閉が予め設定された第3閾値を超えて継続しているときに、前記複数の階床のうち前記第1階床の他の第2階床を行先階とする呼びの登録を前記エレベーター装置に要求し、
前記指令部は、前記かごが前記第2階床に停止するときに、前記かごの戸を戸開させる指令を出力する、
付記5に記載のエレベーターシステム。
(付記7)
前記判定部は、前記かごにおいて利用者閉込めの誤発報の可能性があると判定してから、前記かごの内部に設けられたかご操作盤が利用者に操作された場合に、前記かごにおいて利用者閉込めの可能性があると判定する、
付記1から付記6のいずれか一項に記載のエレベーターシステム。
(付記8)
前記判定部は、前記かごにおいて利用者閉込めの誤発報の可能性があると判定してから、前記かごの内部に設けられたかご操作盤が利用者に操作された場合に、前記かごにおいて利用者閉込めの可能性があると判定し、
前記指令部は、前記かごにおいて利用者閉込めの可能性があると前記判定部が判定した後に、前記かごの戸を戸開させる指令を出力しない、
付記3から付記6のいずれか一項に記載のエレベーターシステム。
(付記9)
前記判定部は、前記かごにおいて利用者閉込めの誤発報の可能性があると判定してから、前記かごの内部に設けられたかご操作盤が利用者に操作された場合に、前記かごにおいて利用者閉込めの可能性があると判定し、
前記登録部は、前記かごにおいて利用者閉込めの可能性があると前記判定部が判定した後に、前記複数の階床のいずれかを行先階とする呼びの登録を前記エレベーター装置に要求しない、
付記5または付記6に記載のエレベーターシステム。
(付記10)
複数の階床の間を走行するエレベーター装置のかごに乗車して前記複数の階床の間を移動する自律移動体の呼びの登録を、前記エレベーター装置に要求する登録部と、
前記登録部が要求した呼びの登録状態を含む前記かごの運行状態に基づいて、前記かごに登録されている行先階への呼びが前記自律移動体の行先階への呼びのみである場合に、当該呼びの登録が解除されてから前記かごの戸の全閉が予め設定された第1閾値を超えて継続しているときに、前記かごにおいて利用者閉込めの誤発報の可能性があると判定する判定部と、
を備える、連携装置。
(付記11)
複数の階床の間を走行するエレベーター装置のかごに乗車して前記複数の階床の間を移動する自律移動体の呼びの登録を、前記エレベーター装置にコンピュータが要求する登録ステップと、
前記登録ステップで要求した呼びの登録状態を含む前記かごの運行状態に基づいて、前記かごに登録されている行先階への呼びが前記自律移動体の行先階への呼びのみである場合に、当該呼びの登録が解除されてから前記かごの戸の全閉が予め設定された第1閾値を超えて継続しているときに、前記かごにおいて利用者閉込めの誤発報の可能性があるとコンピュータが判定する判定ステップと、
を備える、連携方法。
(付記12)
コンピュータに、
複数の階床の間を走行するエレベーター装置のかごに乗車して前記複数の階床の間を移動する自律移動体の呼びの登録を、前記エレベーター装置に要求する登録ステップと、
前記登録ステップで要求した呼びの登録状態を含む前記かごの運行状態に基づいて、前記かごに登録されている行先階への呼びが前記自律移動体の行先階への呼びのみである場合に、当該呼びの登録が解除されてから前記かごの戸の全閉が予め設定された第1閾値を超えて継続しているときに、前記かごにおいて利用者閉込めの誤発報の可能性があると判定する判定ステップと、
を実行させる、連携プログラム。
【符号の説明】
【0064】
1 エレベーター装置、 10 昇降路、 11 制御装置、 111 運行制御部、 112 第1通信部、 113 検出部、 12 巻上機、 13 ロープ、 14 かご、 141 かごの戸、 142 かご操作盤、 15 つり合い重り、 16 乗場、 161 乗場の戸、 162 乗場操作盤、 2 自律移動体、 21 移動制御部、 22 第4通信部、 3 ゲートウェイ装置、 31 第2通信部、 32 第3通信部、 33 登録部、 34 判定部、 35 指令部、 100a プロセッサ、 100b メモリ、 200 専用ハードウェア