IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東洋ゴム工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-空気入りタイヤ 図1
  • 特開-空気入りタイヤ 図2
  • 特開-空気入りタイヤ 図3
  • 特開-空気入りタイヤ 図4
  • 特開-空気入りタイヤ 図5
  • 特開-空気入りタイヤ 図6
  • 特開-空気入りタイヤ 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068466
(43)【公開日】2024-05-20
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 11/03 20060101AFI20240513BHJP
   B60C 5/00 20060101ALI20240513BHJP
【FI】
B60C11/03 300E
B60C11/03 B
B60C11/03 300B
B60C5/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178947
(22)【出願日】2022-11-08
(71)【出願人】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003395
【氏名又は名称】弁理士法人蔦田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小野 公大
【テーマコード(参考)】
3D131
【Fターム(参考)】
3D131BC34
3D131CB06
3D131EB05U
3D131EB08W
3D131EB11V
3D131EB11W
3D131EB11X
3D131EB18W
3D131EB18X
3D131EB28V
3D131EB28W
3D131EB31V
3D131EB31W
3D131EB31X
3D131EB38W
3D131EB48W
3D131EB48X
3D131EB91V
3D131EB91W
3D131EB91X
3D131EC13V
3D131EC13W
3D131EC13X
3D131EC14W
3D131EC14X
(57)【要約】
【課題】複数のブロックを有するタイヤにおいて偏摩耗の発生を抑える。
【解決手段】本発明の空気入りタイヤは、第1ショルダー主溝12Bのタイヤ軸方向内側に形成された第1中間陸領域18Bと、第2ショルダー主溝12Dのタイヤ軸方向内側に形成された第2中間陸領域18Dとを、トレッド10に備える空気入りタイヤにおいて、第1中間陸領域18Bに設けられた複数の第1中間ブロック16Bは、第2中間陸領域18Dに設けられた複数の第2中間ブロック16Dより接地面の面積が小さく、第1中間ブロック16Bの周縁の少なくとも一部に段差30が形成され、第2中間ブロック16Dは、周縁に段差が形成されていない。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ周方向に延びる第1ショルダー主溝及び第2ショルダー主溝と、
前記第1ショルダー主溝のタイヤ軸方向内側に形成された第1中間陸領域と、
前記第2ショルダー主溝のタイヤ軸方向内側に形成された第2中間陸領域とを、トレッドに備える空気入りタイヤにおいて、
前記第1中間陸領域は、タイヤ周方向に並べて設けられた複数の第1中間ブロックを備え、
前記第2中間陸領域は、タイヤ周方向に並べて設けられた複数の第2中間ブロックを備え、
前記第1中間ブロックは、前記第2中間ブロックより接地面の面積が小さく、前記第1中間ブロックの周縁の少なくとも一部に段差が形成され、
前記第2中間ブロックは、周縁に段差が形成されていない、空気入りタイヤ。
【請求項2】
タイヤ周方向に延びる第1ショルダー主溝及び第2ショルダー主溝と、
前記第1ショルダー主溝のタイヤ軸方向外側に形成された第1ショルダー陸領域と、
前記第2ショルダー主溝のタイヤ軸方向外側に形成された第2ショルダー陸領域とを、トレッドに備える空気入りタイヤにおいて、
前記第1ショルダー陸領域は、タイヤ周方向に並べて設けられた複数の第1ショルダーブロックを備え、
前記第2ショルダー陸領域は、タイヤ周方向に並べて設けられた複数の第2ショルダーブロックを備え、
前記第1ショルダーブロックは、前記第2ショルダーブロックより接地面の面積が小さく、前記第1ショルダーブロックの周縁の少なくとも一部に段差が形成され、
前記第2ショルダーブロックは周縁に段差が形成されていない、空気入りタイヤ。
【請求項3】
タイヤ周方向に平行に延びるストレート主溝と、
タイヤ軸方向に振幅を持って屈曲しながらタイヤ周方向に延びるジグザグ主溝と、
前記ストレート主溝のみによってタイヤ軸方向が区画された第1陸領域と、
前記ジグザグ主溝によってタイヤ軸方向の少なくとも一方が区画された第2陸領域とを、トレッドに備える空気入りタイヤにおいて、
前記第1陸領域は、タイヤ周方向に並べて設けられた複数の第1ブロックを備え、
前記第2陸領域は、タイヤ周方向に並べて設けられた複数の第2ブロックを備え、
前記第1ブロックは周縁の少なくとも一部に段差が形成され、前記第2ブロックは周縁に段差が形成されていない、空気入りタイヤ。
【請求項4】
前記第1中間陸領域は、前記第2中間陸領域より車両内側に位置する、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項5】
前記段差は、前記第1中間ブロックのタイヤ周方向端縁に形成され、前記第1中間ブロックのタイヤ軸方向端縁に形成されていない、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項6】
前記第1ショルダー主溝のタイヤ軸方向外側に形成された第1ショルダー陸領域と、前記第2ショルダー主溝のタイヤ軸方向外側に形成された第2ショルダー陸領域と、前記第1ショルダー主溝と前記第2ショルダー主溝との間に設けられたタイヤ周方向に延びる第1中間主溝及び第2中間主溝と、前記第1中間主溝と前記第2中間主溝との間に形成された中央陸領域とを、備え、
前記第1ショルダー主溝は前記第2ショルダー主溝より車両内側に位置し、
前記第1中間主溝は前記第2中間主溝より車両内側に位置し、
前記第1ショルダー陸領域は、タイヤ周方向に並べて設けられた複数の内側ショルダーブロックを備え、
前記第2ショルダー陸領域は、タイヤ周方向に並べて設けられた複数の外側ショルダーブロックを備え、
前記中央陸領域は、タイヤ周方向に並べて設けられた複数の中央ブロックを備え、
前記第1中間陸領域は、前記第1ショルダー主溝と前記第1中間主溝との間に形成され、タイヤ周方向に並べて設けられた複数の内側中間ブロックを備え、
前記第2中間陸領域は、前記第2ショルダー主溝と前記第2中間主溝との間に形成され、タイヤ周方向に並べて設けられた複数の外側中間ブロックを備え、
前記第1ショルダー主溝、前記第2ショルダー主溝及び前記第1中間主溝は、タイヤ周方向に平行に延びるストレート主溝であり、
前記第2中間主溝は、タイヤ軸方向に振幅を持って屈曲しながらタイヤ周方向に延びるジグザグ主溝であり、
前記内側中間ブロック、前記内側ショルダーブロック、及び前記外側ショルダーブロックは周縁の少なくとも一部に段差が形成され、前記外側中間ブロック及び前記中央ブロックの周縁に段差が形成されていない、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
空気入りタイヤにおいては、タイヤ周方向に延びる主溝とタイヤ軸方向に延びる横溝とにより形成される複数のブロックをトレッドに備えるものがある。このようなブロックを持つタイヤでは、横溝を有するためトラクション性に優れる傾向がある。
【0003】
このような複数のブロックを有するタイヤでは、ブロックの周縁に段差を設けてエッジ効果を増大させることによりトラクション性を向上させることが提案されている(例えば、特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-46223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、段差を設けたブロックは剛性が高くなるため、ブロックの剛性差が大きくなる場合があり、剛性の低いブロックが剛性の高いブロックに比べて早期に摩耗する偏摩耗が発生しやすい。そこで、本発明は、偏摩耗の発生を抑えることができる空気入りタイヤを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態の空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延びる第1ショルダー主溝及び第2ショルダー主溝と、前記第1ショルダー主溝のタイヤ軸方向内側に形成された第1中間陸領域と、前記第2ショルダー主溝のタイヤ軸方向内側に形成された第2中間陸領域とを、トレッドに備える空気入りタイヤにおいて、前記第1中間陸領域は、タイヤ周方向に並べて設けられた複数の第1中間ブロックを備え、前記第2中間陸領域は、タイヤ周方向に並べて設けられた複数の第2中間ブロックを備え、前記第1中間ブロックは、前記第2中間ブロックより接地面の面積が小さく、前記第1中間ブロックの周縁の少なくとも一部に段差が形成され、前記第2中間ブロックは、周縁に段差が形成されていない、空気入りタイヤである。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、上記の特徴を備えることにより、複数のブロックを有するタイヤにおいて偏摩耗の発生を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係る空気入りタイヤのトレッドパターンを示す斜視図
図2】一実施形態に係る空気入りタイヤのトレッドパターンを示す展開図
図3図2のトレッドパターンの要部拡大平面図
図4図3のIVーIV線断面図
図5図2のトレッドパターンの要部拡大平面図
図6図5のVIーVI線断面図
図7図5のVIIーVII線断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0010】
一実施形態に係るタイヤは、空気入りタイヤであり、左右一対のビード部及びサイドウォールと、左右のサイドウォールの径方向外方端部同士を連結するように両サイドウォール間に設けられたトレッドとを備えて構成されている。タイヤの内部構成は、特に限定されず、例えば、ビードに埋設された環状のビードコアと、一対のビード間にトロイダル状に延びるラジアル構造のカーカスプライと、トレッドにおいてカーカスプライのタイヤ径方向外側に設けられたベルト及びトレッドゴム等を有して構成される。本実施形態では、トレッドパターン以外については一般的なタイヤ構造を採用することができる。
【0011】
なお、本明細書における各形状及び寸法等は、特に断らない限り、タイヤを正規リムに装着して正規内圧を充填した無負荷の正規状態でのものである。正規リムとは、JATMA規格における「標準リム」、TRA規格における「Design Rim」、又はETRTO規格における「Measuring Rim」である。正規内圧とは、JATMA規格における「最高空気圧」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の「最大値」、又はETRTO規格における「INFLATION PRESSURE」である。
【0012】
(1)トレッド10の基本構成
図1は、一実施形態に係るタイヤのトレッド10の一部を示す斜視図、図2は、同タイヤのトレッド10の一部展開図である。図中、符号CLは、タイヤ軸方向中心に相当するタイヤ赤道面を示す。符号Aは、タイヤ軸方向(タイヤ幅方向とも称される。)を示す。タイヤ軸方向A内側とはタイヤ赤道面CLに近づく方向をいう。タイヤ軸方向A外側とはタイヤ赤道面CLから離れる方向をいう。符号Cは、タイヤ回転軸を中心とした円周上の方向であるタイヤ周方向を示す。
【0013】
図1及び図2に示すタイヤは、車両に装着される際の表裏の指定があるタイヤである。すなわち、車両に装着する際に外側に装着される面と内側に装着される面とが指定されている。そのため、タイヤの例えばサイドウォール表面には、車両への装着向きを指定するための表示が設けられている。図2中、符号OUTで示す側が車両装着姿勢において外側(車両外側)に向き、符号INで示す側が車両装着姿勢において内側(車両内側)に向くように、車両に装着される。
【0014】
図1及び図2に示すように、トレッド10の表面には、タイヤ周方向Cに延びる4本の主溝12A、12B、12C、12Dと、タイヤ軸方向Aに延びる横溝14A、14B、14C、14D、14E、14F、14G、14H、14Iと、ブロック16A、16B、16C、16D、16Eが設けられている。
【0015】
詳細には、トレッド10には、タイヤ赤道面CLの車両内側に設けられた内側中央主溝12Aと、タイヤ赤道面CLの車両外側に設けられた外側中央主溝12Bと、内側中央主溝12Aのタイヤ軸方向外側に設けられた内側ショルダー主溝12Cと、外側中央主溝12Bのタイヤ軸方向外側に設けられた外側ショルダー主溝12Dとが設けられている。
【0016】
本実施形態では、車両内側INの内側中央主溝12A、車両内側INの内側ショルダー主溝12C、及び車両外側OUTの外側ショルダー主溝12Dが、タイヤ周方向Cに平行に延びるストレート主溝である。車両外側OUTの外側中央主溝12Bは、タイヤ周方向Cに屈曲しながらジグザグ状に延びるジグザグ主溝である。
【0017】
なお、内側中央主溝12A、内側ショルダー主溝12C、及び外側ショルダー主溝12Dはジグザク状の主溝であってもよく、外側中央主溝12Bは直線状の主溝であってもよい。すなわち、主溝12A、12B、12C、12Dは、タイヤ周方向Cに延びる溝であれば、必ずしもタイヤ周方向Cに平行でなくてもよく、傾斜しつつタイヤ周方向Cに延びる溝でもよい。
【0018】
内側中央主溝12Aと外側中央主溝12Bとの間には中央陸領域18Aが設けられている。内側ショルダー主溝12Cのタイヤ幅方向内側(内側中央主溝12Aと内側ショルダー主溝12Cの間)には、内側中間陸領域18Bが設けられている。内側ショルダー主溝12Cのタイヤ幅方向外側(内側ショルダー主溝12Cと接地端の間)には、内側ショルダー陸領域18Cが設けられている。外側ショルダー主溝12Dのタイヤ幅方向内側(外側中央主溝12Bと外側ショルダー主溝12Dの間)には、外側中間陸領域18Dが設けられている。外側ショルダー主溝12Dのタイヤ幅方向外側(即ち、外側ショルダー主溝12Dと接地端の間)には、外側ショルダー陸領域18Eが設けられている。
【0019】
(2)中央陸領域18A
図2に示すように、内側中央主溝12Aと外側中央主溝12Bとの間に設けられた中央陸領域18Aは、複数の第1中央横溝14Aと、複数の中央ブロック16Aと、を備える。第1中央横溝14Aは、タイヤ軸方向Aに対して傾斜して延び、内側中央主溝12Aと外側中央主溝12Bに開口する溝である。
【0020】
中央ブロック16Aは、タイヤ軸方向Aの一方側がタイヤ周方向Cにジグザグ状に延びる外側中央主溝12Bで区画され、他方側がタイヤ周方向Cに平行に延びる直線状の内側中央主溝12Aで区画され、タイヤ周方向Cが第1中央横溝14Aによって分断されている。
【0021】
中央ブロック16Aには、第1中央横溝14Aと逆向きに傾斜する第2中央横溝14Bが設けられている。第2中央横溝14Bは、一端が内側中央主溝12Aに開口し、他端が中央ブロック16A内で終端する溝である。第1中央横溝14A及び第2中央横溝14Bは、タイヤ周方向Cに交互に設けられている。なお、第1中央横溝14A及び第2中央横溝14Bは、直線状の溝や、湾曲線状の溝や、屈曲部を有した溝でもよい。
【0022】
(3)内側中間陸領域18B
図2及び図3に示すように、内側ショルダー主溝12Cのタイヤ幅方向内側に設けられた内側中間陸領域18Bは、複数の第1内側中間横溝14Cと、複数の第2内側中間横溝14Dと、複数の内側中間ブロック16Bと、を備える。
【0023】
第1内側中間横溝14C及び第2内側中間横溝14Dは、タイヤ軸方向Aに対して傾斜して延び、内側中央主溝12Aと内側ショルダー主溝12Cに開口する溝である。第1内側中間横溝14C及び第2内側中間横溝14Dは、タイヤ周方向Cに交互に設けられている。第1内側中間横溝14Cは直線状の溝からなる。第2内側中間横溝14Dは、内側ショルダー主溝12C側が第1内側中間横溝14Cと平行に設けられ、タイヤ軸方向中央部に屈曲部を有する溝からなる。なお、第1内側中間横溝14C及び第2内側中間横溝14Dは、直線状の溝や、湾曲線状の溝や、屈曲部を有した溝でもよい。
【0024】
内側中間ブロック16Bは、タイヤ軸方向Aの両側がタイヤ周方向Cに平行に延びる直線状の内側中央主溝12A及び内側ショルダー主溝12Cで区画され、タイヤ周方向Cが第1内側中間横溝14C及び第2内側中間横溝14Dによって分断されたブロックである。
【0025】
図3及び図4に示すように、内側中間ブロック16Bにおけるタイヤ周方向Cの両端縁には、タイヤ軸方向Aに延びる段差30が形成されている。
【0026】
(4)内側ショルダー陸領域18C
図2及び図3に示すように、内側ショルダー主溝12Cのタイヤ幅方向外側に設けられた内側ショルダー陸領域18Cは、複数の内側ショルダー横溝14Eと、複数の内側ショルダーブロック16Cと、を備える。
【0027】
内側ショルダー横溝14Eは、タイヤ軸方向Aに対して傾斜して延び、内側ショルダー主溝12C及び接地端に開口する溝である。内側ショルダー主溝12Cに開口する内側ショルダー横溝14Eの開口部は、第1内側中間横溝14C及び第2内側中間横溝14Dの延長線上に形成されている。内側ショルダー横溝14Eは屈曲部を有する溝からなる。なお、内側ショルダー横溝14Eは直線状の溝や湾曲線状の溝であってもよい。
【0028】
内側ショルダーブロック16Cは、タイヤ軸方向の内側がタイヤ周方向Cに平行に延びる直線状の内側ショルダー主溝12Cで区画され、タイヤ周方向Cが内側ショルダー横溝14Eによって分断されたブロックである。
【0029】
内側ショルダーブロック16Cにおけるタイヤ周方向Cの両端縁には、タイヤ軸方向Aに延びる段差31が形成されている。
【0030】
(5)外側中間陸領域18D
図2及び図5に示すように、外側中央主溝12Bと外側ショルダー主溝12Dとの間に設けられた外側中間陸領域18Dは、複数の第1外側中間横溝14Fと、複数の外側中間ブロック16Dとを備える。
【0031】
第1外側中間横溝14Fは、タイヤ軸方向Aに対して傾斜して延び、外側中央主溝12Bと外側ショルダー主溝12Dに開口する直線状の溝である。
【0032】
外側中間ブロック16Dは、タイヤ軸方向の一方側がタイヤ周方向Cにジグザグ状に延びる外側中央主溝12Bで区画され、他方側がタイヤ周方向Cに平行に延びる直線状の外側ショルダー主溝12Dで区画されており、タイヤ周方向Cが第1外側中間横溝14Fによって分断されたブロックである。
【0033】
外側中間陸領域18Dに設けられた個々の外側中間ブロック16Dは、内側中間陸領域18Bに設けられた個々の内側中間ブロック16Bより接地面の面積が広い。なお、図2及び図5に示すように、外側中間ブロック16Dや内側中間ブロック16Bに、横溝やサイプと呼ばれるタイヤの通常荷重での接地時に閉じる微小な溝幅(例えば1mm以下)の溝が設けられている場合、接地面の面積とは横溝やサイプを除いたブロック表面の面積である。
【0034】
外側中間ブロック16Dには、第1外側中間横溝14Fと逆向きに傾斜する第2外側中間横溝14Gが設けられている。第2外側中間横溝14Gは、一端が外側ショルダー主溝12Dに開口し、他端が外側中間ブロック16D内で終端する直線状の溝である。第2外側中間横溝14Gは、第1外側中間横溝14Fとタイヤ周方向Cに交互に設けられている。なお、第1外側中間横溝14F及び第2外側中間横溝14Gは、直線状の溝や、湾曲線状の溝や、屈曲部を有した溝でもよい。
【0035】
また、外側中間ブロック16Dには、外側ショルダー主溝12Dに面した側壁16D1から外側ショルダー主溝12D内へ突出する第1突起20及び第2突起40が設けられている。第1突起20及び第2突起40の詳細については後述する。
【0036】
また、第2外側中間横溝14Gの外側中央主溝12B側には、サイプが外側中央主溝12Bへ貫通するように設けられていてもよい。
【0037】
(6)第1突起20及び第2突起40
次に、第1突起20及び第2突起40について、主に図5図7を参照して説明する。
【0038】
図5図7に示すように、第1突起20及び第2突起40は、外側中間ブロック16Dの外側ショルダー主溝12Dに面した側壁16D1から外側ショルダー主溝12D内へ突出している。第2突起40は、外側中間ブロック16Dの側壁16D1から外側ショルダー主溝12Dへの突出量が第1突起20より小さい。
【0039】
第1突起20は、外側ショルダー主溝12Dに向かうほど互いにタイヤ周方向Cに近づく第1外側中間横溝14Fと第2外側中間横溝14Gとで挟まれた領域に設けられている。第2突起40は、外側ショルダー主溝12Dに向かうほど互いにタイヤ周方向Cに離れる第1外側中間横溝14Fと第2外側中間横溝14Gとで挟まれた領域に設けられている。第1突起20及び第2突起40は1つの外側中間ブロック16Dにそれぞれ1つずつ設けられている。第1突起20及び第2突起40はタイヤ周方向Cに交互に設けられている。
【0040】
第1突起20は、図5及び図6に示すように、外側中間ブロック16Dの接地面16D2と外側ショルダー主溝12Dの溝底12D1とを接続する第1突起傾斜面20aを備える。第1突起傾斜面20aは、先端20bに向かうほど(つまり、外側ショルダー陸領域18Eに近づくほど)溝底12D1からの突出高さが小さくなるように傾斜する平面からなる。第1突起傾斜面20aは、外側ショルダー主溝12Dの溝底12D1近傍において溝底12D1と曲面によって滑らかに連結されている。
【0041】
第1突起20は、タイヤ周方向Cの一方の側壁20cが第1外側中間横溝14Fに面した外側中間ブロック16Dの側壁16D3と同一平面上にあり、タイヤ周方向Cの他方の側壁20dが第2外側中間横溝14Gに面した外側中間ブロック16Dの側壁16D4と同一平面上にある。側壁20c及び側壁20dは第1突起20の先端20bに向かうほど互いの間隔が近づくように傾斜している。これにより、第1突起傾斜面20aは、図5に示すようなタイヤ径方向から見て先端20bに向かうほどタイヤ周方向Cの長さが短くなる台形状をなしている。
【0042】
このような第1突起20は、先端20bの少なくとも一部が、第1外側ショルダー横溝14Hの外側ショルダー主溝12Dに開口する部分14H1(以下、この部分をショルダー開口部14H1ということもある)とタイヤ軸方向Aに重なるように設けられている。
【0043】
第1突起20は、先端20bのタイヤ周方向Cの中央がショルダー開口部14H1のタイヤ周方向中央と第1外側ショルダー横溝14Hの延長方向に重なるように、先端20bが配置されていることが好ましい。また、第1突起20の先端20bのタイヤ周方向Cの長さは、ショルダー開口部14H1のタイヤ周方向Cの長さより短いことが好ましい。
【0044】
第2突起40は、図5及び図7示すように、外側中間ブロック16Dの接地面16D2と外側ショルダー主溝12Dの溝底12D1とを接続する第2突起傾斜面40aを備える。第2突起傾斜面40aは、図5に示すようなタイヤ径方向から見て先端40bに向かうほどタイヤ周方向Cの長さが短くなる台形状をなしている。本実施形態では、第2突起40の先端40bのタイヤ周方向Cの長さは、第1突起20の先端20bのタイヤ周方向Cの長さより長くなっている。
【0045】
第2突起傾斜面40aは、図7に示すように、外側中間ブロック16Dの接地面16D2に連結された接地面側傾斜面40a1と、接地面側傾斜面40a1の先端側に連結された溝底側傾斜面40a2とを備える。接地面側傾斜面40a1は、第2突起40の先端40bに向かうほど(つまり、外側ショルダー陸領域18Eに近づくほど)溝底12D1からの突出高さが小さくなるように傾斜する平面からなる。溝底側傾斜面40a2はタイヤ径方向にほぼ平行に設けられた平面からなる。溝底側傾斜面40a2は、外側ショルダー主溝12Dの溝底12D1近傍において溝底12D1と曲面によって滑らかに連結されている。
【0046】
(7)外側ショルダー陸領域18E
図2及び図5に示すように、外側ショルダー主溝12Dのタイヤ幅方向外側に設けられた外側ショルダー陸領域18Eには、複数の第1外側ショルダー横溝14Hと、複数の外側ショルダーブロック16Eと、を備える。第1外側ショルダー横溝14Hは、タイヤ軸方向Aに対して傾斜して延び、外側ショルダー主溝12Dと接地端に開口する直線状の溝である。
【0047】
外側ショルダーブロック16Eは、タイヤ軸方向Aの内側がタイヤ周方向Cに平行に延びる直線状の外側ショルダー主溝12Dで区画され、タイヤ周方向Cが第1外側ショルダー横溝14Hによって分断されたブロックである。
【0048】
外側ショルダー陸領域18Eに設けられた個々の外側ショルダーブロック16Eは、内側ショルダー陸領域18Cに設けられた個々の内側ショルダーブロック16Cより接地面の面積が広い。なお、図2に示すように、外側ショルダーブロック16Eや内側ショルダーブロック16Cに横溝やサイプが設けられている場合、接地面の面積とは横溝やサイプを除いたブロック表面の面積である。
【0049】
外側ショルダーブロック16Eは、第1外側ショルダー横溝14Hに面した第1側壁16E1と第2側壁16E2とを備える。
【0050】
第1側壁16E1の外側ショルダー主溝12D側には、外側ショルダー主溝12Dに近づくほど第1外側ショルダー横溝14Hの溝幅が広がるように第1側壁16E1に対して傾斜する第1ショルダー傾斜面16E3が設けられている。第1ショルダー傾斜面16E3は、第1外側中間横溝14Fの延長方向に平行な平面からなる。
【0051】
第2側壁16E2の外側ショルダー主溝12D側には、外側ショルダー主溝12Dに近づくほど第1外側ショルダー横溝14Hの溝幅が広がるように第2側壁16E2に対して傾斜する第2ショルダー傾斜面16E4が設けられている。第2ショルダー傾斜面16E4は、第2外側中間横溝14Gの延長方向に平行な平面からなる。
【0052】
外側ショルダー主溝12Dは、第1ショルダー傾斜面16E3及び第2ショルダー傾斜面16E4によってショルダー開口部14H1において最も溝幅が広くなっている。本実施形態では、第1外側中間横溝14Fの延長上に第1外側ショルダー横溝14Hのショルダー開口部14H1が位置するとともに、第2外側中間横溝14Gの延長上に第1外側ショルダー横溝14Hのショルダー開口部14H1が位置している。
【0053】
なお、空気入りタイヤが回転方向を指定したタイヤである場合、外側ショルダーブロック16Eの蹴り出し側(回転方向後方側)に第1ショルダー傾斜面16E3を設け、踏み込み側(回転方向前方側)に第2ショルダー傾斜面16E4を設けることが好ましい。
【0054】
外側ショルダーブロック16Eにおけるタイヤ周方向Cの両端縁には、タイヤ軸方向Aに延びる段差32が形成されている。
【0055】
また、外側ショルダーブロック16Eには、接地面16E5から外側ショルダー主溝12Dに面した側壁16E6に渡って傾斜した面取り部50と、第1外側ショルダー横溝14Hと平行に延びる第2外側ショルダー横溝14Iとが設けられている。
【0056】
面取り部50は、外側中間ブロック16Dに設けられた第2突起40と外側ショルダー主溝12Dを挟んで対向する位置に設けられている。面取り部50は、図1及び図7に示すように、外側ショルダーブロック16Eにおいて外側ショルダー主溝12Dに面した側壁16E6から外側ショルダー主溝12Dへ突出してもよい。
【0057】
第2外側ショルダー横溝14Iは、一端が接地端に開口し、他端が外側ショルダーブロック16E内で終端する溝である。第1外側ショルダー横溝14H及び第2外側ショルダー横溝14Iは、タイヤ周方向Cに交互に設けられている。
【0058】
なお、第1外側ショルダー横溝14H及び第2外側ショルダー横溝14Iは、直線状の溝や、湾曲線状の溝や、屈曲部を有した溝でもよい。
【0059】
また、第2外側ショルダー横溝14Iの外側ショルダー主溝12D側には、サイプと呼ばれるタイヤの通常荷重での接地時に閉じる微小な溝幅(例えば1mm以下)の切り込みが外側ショルダー主溝12Dへ貫通するように設けられていてもよい。
【0060】
(8)段差30、31、32
本実施形態では、内側中間ブロック16Bと外側中間ブロック16Dのうち、接地面の面積が小さい内側中間ブロック16Bに段差30が設けられているが、外側中間ブロック16Dの周縁に段差が設けられていない。
【0061】
また、トレッド10に設けられたブロック16A、16B、16C、16D、16Eのうち、タイヤ周方向Cに平行に延びる直線状のストレート主溝のみによってタイヤ軸方向Aが区画された内側中間ブロック16B、内側ショルダーブロック16C及び外側ショルダーブロック16Eに段差30,31,32が設けられているが、タイヤ軸方向Aの一方側がタイヤ周方向Cにジグザグ状に延びるジグザグ溝(外側中央主溝12B)で区画された中央ブロック16A及び外側中間ブロック16Dに段差が設けられていない。
【0062】
内側中間ブロック16Bに設けられた段差30は、図4に示すように、第1面30aと第2面30bとで形成された凹みからなり、第1内側中間横溝14C又は第2内側中間横溝14Dに面した内側中間ブロック16Bの側壁16B1と、内側中間ブロック16Bの接地面16B2とで形成されるエッジ全体に設けられている。
【0063】
第1面30aは、接地面16B2よりもタイヤ径方向内側に設けられタイヤ径方向外側を向いた面である。第2面30bは、第1面30aから径方向外方へ立ち上がり第1面30aと接地面16B2とを繋ぐ面である。
【0064】
内側ショルダーブロック16Cに設けられた段差31は、段差30と同様、タイヤ径方向外側を向いた第1面と、第1面と内側ショルダーブロック16Cの接地面16C2とを繋ぐ第2面とで形成された凹みからなる。段差31は、内側ショルダー横溝14Eに面した内側ショルダーブロック16Cの側壁16C1と、内側ショルダーブロック16Cの接地面16C2とで形成されるエッジ全体に設けられている。
【0065】
外側ショルダーブロック16Eに設けられた段差32は、段差30、31と同様、タイヤ径方向外側を向いた第1面と、第1面と外側ショルダーブロック16Eの接地面16E5とを繋ぐ第2面とで形成された凹みからなる。段差32は、第1外側ショルダー横溝14Hに面した外側ショルダーブロック16Eの側壁16E1,16E2と、外側ショルダーブロック16Eの接地面16E5とで形成されるエッジ全体に設けられている。
【0066】
本実施形態では、内側中間ブロック16Bに設けられた段差30と、内側ショルダーブロック16Cに設けられた段差31、外側ショルダーブロック16Eに設けられた段差32は同一の断面形状を有している。例えば、段差30、31、32の深さ(接地面16B2、16C2、16E5から第1面30aまでのタイヤ径方向の長さ)Hは、横溝14C、14D、14E、14Hの深さの5~50%であることが好ましく、例えば、0.5~2.0mmとすることができる。また、段差30,31,32の幅W(段差30,31,32が設けられたブロックの側壁から第2面30bまでの長さ)は、段差30,31,32の深さHより小さく設定することができ、例えば、0.2~2.0mmとすることができる。
【0067】
(9)効果
本実施形態では、内側中間ブロック16Bと外側中間ブロック16Dのうち、接地面の面積が小さい内側中間ブロック16Bに段差30を設け、接地面の面積が大きい外側中間ブロック16Dに段差を設けていない。そのため、接地面の面積が小さくブロック剛性が低下しやすい内側中間ブロック16Bのブロック剛性を高めることができ、内側中間ブロック16Bと外側中間ブロック16Dとの間で生じる偏摩耗を抑えることができる。
【0068】
また、本実施形態では、トレッド10に設けられたブロック16A、16B、16C、16D、16Eのうち、タイヤ周方向Cに平行に延びる直線状のストレート主溝のみによってタイヤ軸方向Aが区画された内側中間ブロック16B、内側ショルダーブロック16C及び外側ショルダーブロック16Eに段差30,31,32が設けられているが、タイヤ軸方向Aの一方側がタイヤ周方向Cにジグザグ状に延びる外側中央主溝12Bで区画された中央ブロック16A及び外側中間ブロック16Dに段差が設けられていない。直線状のストレート主溝のみによってタイヤ軸方向Aが区画されたブロック16B、16C、16Eは、ジグザグ状のジグザグ主溝によってタイヤ軸方向Aが区画されたブロック16A、16Dよりもブロック剛性が低くなりやすいが、ブロック16B、16C、16Eのブロック剛性を高めることができ、ブロック16B、16C、16Eとブロック16A、16Dとの間で生じる偏摩耗を抑えることができる。
【0069】
(10)変更例
以上の実施形態は例示であり、発明の範囲は以上の実施形態に限定されない。以上の実施形態に対し、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、様々な変更を行うことができる。以下では複数の変更例について説明するが、上記実施形態に対して、複数の変更例のうちいずれか1つを適用しても良いし、複数の変更例のうちいずれか2つ以上を組み合わせて適用しても良い。
【0070】
(変更例1)
上記実施形態では、内側ショルダーブロック16C及び外側ショルダーブロック16Eに段差31,32を設けたが、接地面の面積の大きい外側ショルダーブロック16Eに段差を設けず、接地面の面積が小さい内側ショルダーブロック16Cの周縁の少なくとも一部に段差を設けてもよい。
【0071】
(変更例2)
上記実施形態では、内側中間ブロック16B、内側ショルダーブロック16C及び外側ショルダーブロック16Eのタイヤ周方向端縁に段差30,31,32を設け、これらのブロック16B,16B,16Eのタイヤ軸方向端縁(つまり、主溝に面した内側中間ブロック16Bの側壁)に段差を設けていないが、ブロック16B,16B,16Eのタイヤ軸方向端縁のみに段差を設けたり、内側中間ブロック16Bの周縁全体に段差を設けたりしてもよい。
【符号の説明】
【0072】
10…トレッド、12A…内側中央主溝、12B…外側中央主溝、12C…内側ショルダー主溝、12D…外側ショルダー主溝、12D1…溝底、14A…第1中央横溝、14B…第2中央横溝、14C…第1内側中間横溝、14D…第2内側中間横溝、14E…内側ショルダー横溝、14F…第1外側中間横溝、14G…第2外側中間横溝、14H…第1外側ショルダー横溝、14H1…ショルダー開口部、14I…第2外側ショルダー横溝、16A…中央ブロック、16B…内側中間ブロック、16B1…側壁、16B2…接地面、16C…内側ショルダーブロック、16C1…側壁、16C2…接地面、16D…外側中間ブロック、16D1…側壁、16D2…接地面、16D3…側壁、16D4…側壁、16E…外側ショルダーブロック、16E1…第1側壁、16E2…第2側壁、16E3…第1ショルダー傾斜面、16E4…第2ショルダー傾斜面、16E5…接地面、16E6…側壁、18A…中央陸領域、18B…内側中間陸領域、18C…内側ショルダー陸領域、18D…外側中間陸領域、18E…外側ショルダー陸領域、20…第1突起、20a…第1突起傾斜面、20b…先端、20c…側壁、20d…側壁、30…段差、31…段差、32…段差、40…第2突起、40a…第2突起傾斜面、40a1…接地面側傾斜面、40a2…溝底側傾斜面、50…面取り部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7